JPH0541913Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は筆記具の先端部に関する。詳細には、
ペン芯を装着した液式タイプの筆記具において、
異常状態での筆記先端からのインキ漏出トラブル
を回避する簡易な機構を付加して更に安全性を高
めた筆記具の先端部に関する。

従来の技術 ペン芯の構造及びペン芯を装着した液式タイプ
の筆記具に関しては、従来より数多くの提案がな
されている。しかし、ペン芯と共働してインキ漏
出抑止効果を更に高める、簡易かつ組立加工性を
満足させるための有効な提案は見当たらない。

考案が解決しようとする問題点 気圧や温度の急激な変化によるインキの過剰流
出による、筆記先端からのインキ漏出トラブル
は、ペン芯によつて抑制されるとしても、完全で
なく、実用面において予期せぬトラブルを発生さ
せる危険があつた。

本考案は、前記インキ漏出トラブルの危険性を
解消させる、簡易かつ組立加工性を満足させる機
構を付加し、ペン芯と共働して有効に機能させ、
異常状態における安全性を更に高めようとするも
のである。

問題点を解決するための技術的手段 本考案を図面について詳細に説明する。

軸胴２の先端部にはホルダー部材３を介してペ
ン体４が取り付けられており、前記ホルダー部材
３の後部とインキ貯蔵部５との間には、外周面に
多数の環状櫛溝６１が並設されていると共に該櫛
溝を縦貫し、軸心の貫通孔６２に連通するスリツ
ト６３を配設したペン芯６が配置され、前記貫通
孔にペン体後部を挿通させて筆記先端にインキを
導出させるタイプの筆記具であつて、ペン体４は
少なくとも外面に軸方向の毛細間隙をもつタイプ
のペン体であり、ホルダー部材３は中心孔の後部
孔径が、ペン体の外径より僅かに大径であり、ペ
ン体挿着状態において、前記後部中心孔に位置す
るペン体４の外周面と後部中心孔３２内周面とに
よつて、筒状の毛細インキ貯留間隙６４を形成さ
せた構造を要件とし、ペン芯と共働して異常時に
おける、筆記先端からのインキ漏出を確実に解消
しようとするものである。

前記において、ペン体４は従来より公知の、少
なくとも外面の軸方向に毛細間隙をもつタイプの
ペン体、即ち、繊維束の樹脂加工乃至溶接着加工
によるもの、プラスチツクポーラス体、外面軸方
向に毛細インキ溝をもつプラスチツク加工体等で
ある。

ペン芯６は、スリツト６３を貫通孔６２に挿通
のペン体４の表面に連通させており、ペン体４の
過飽和状態（急激な温度変化、或いは圧力変化に
よりインキ貯蔵部のインキがペン体を伝わつて過
剰流出する）のインキを吸収して櫛溝６１に貯留
させ、ペン体４の先端（筆記先端）から一気に吹
き出す、インキ漏出トラブルを抑制する公知の作
用をなすものであり、従来より公知の構造が有効
である。

ホルダー部材３の後部中心孔３２とペン体の外
周面との間に形成される、筒状の毛細インキ貯留
間隙６４は、0.1〜0.0mm巾、２〜30mm長の大きさ
であり、ペン芯６のみでは、前記異常状態での過
剰流出液を吸収し得ず、筆記先端方向に流出する
余剰液を貯液して、筆記先端からの漏出を防ぐ補
助作用をなし、この間にペン芯６の機能をフルに
機能させ、筆記先端からのインキ漏出を防ぐ。

作 用 前記したとおり、筒状の毛細インキ貯留間隙６
４は、ペン芯６の補助機能を果たし、両者が共働
して、急激な異常状態における、筆記先端からの
インキ漏出が抑止される。

実施例 軸胴２前部にホルダー部材３（前部中心孔３１
の孔径1.9mm、長さ2.0mm、後部中心孔３２の孔径
2.7mm、長さ5.0mm）を装着すると共に、繊維束の
樹脂加工体からなるペン体（外径２mm、全長60
mm）を挿着してなり、ホルダー部材３の後部に
は、ペン芯６（櫛溝数15、溝巾0.3mm）を配置し、
後部軸胴にはインキ貯蔵部５が設けられ、筆記先
端にインキが導出されるように構成される。

筆記先端からのインキ漏出テスト方法及び結果 前記実施例の筆記具を試料とし、インキ貯蔵部
５の全容積に対し、約15％の量の筆記用インキを
充填して、０〜150mmHg、一定時間内に減圧（減
圧勾配は温度変化に近い状態に設定）し、インキ
滴が筆記先端からドロツプする寸前の減圧量を測
定したところ、約90mmHgであつた。一方、比較
例として第６図の如き従来のホルダー部材（筒状
の毛細インキ貯留間隙をもたず、ペン体の保持機
能のみを備えたもの）を装着した系について、同
様のテストを行なつたところ、約60mmHgの値を
示した。

考案の効果 前記テスト結果にみられる如く、本考案先端部
の構造は、筆記先端からのインキ滴の吹き出しが
抑制されており、ホルダー部材３の後部中心孔３
２の内壁とペン体の外周面との間の筒状の毛細イ
ンキ貯留間隙６４は、異常状態（急激な温度変
化、圧力変化等、殊にインキ貯蔵部５のインキ量
が僅少の状態）における筆記先端からのインキ漏
出トラブルが、ペン芯６と共働して抑止される。

前記効果がホルダー部材３の後部中心孔３２の
内径寸法を特定に構成するのみで達成できるの
で、成形性、組立性を満足でき、実用的効果は極
めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案筆記具の先端部の縦断面図、第
２図は第１図のＡ−Ａ線の、第３図はＢ−Ｂ線の
各断面図、第４図は他の例の要部縦断面図、第５
図は第４図のＣ−Ｃ線の断面図、第６図は従来の
筆記先端部の要部縦断面図、第７図は第６図のＤ
−Ｄ線の断面図である。 １……筆記具の先端部、２……軸胴、３……ホ
ルダー部材、３１……前部中心孔、３２……後部
中心孔、４……ペン体、５……インキ貯蔵部、６
……ペン芯、６１……環状櫛溝、６２……貫通
孔、６３……スリツト、６４……毛細インキ貯留
間隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸胴の先端部にはホルダー部材を介してペン体
   が取り付けられており、前記ホルダー部材の後部
   とインキ貯蔵部との間には、外周面に多数の環状
   櫛溝が並設されていると共に該櫛溝を縦貫し、軸
   心の貫通孔に連通するスリツトを配設したペン芯
   が配置され、前記貫通孔にペン体後部を挿通させ
   て筆記先端にインキを導出させるタイプの筆記具
   であつて、ペン体は少なくとも外面に軸方向の毛
   細間隙をもつタイプのペン体であり、ホルダー部
   材は、中心孔の後部孔径がペン体の外径より僅か
   に大径であり、ペン体挿着状態において、前記後
   部中心孔に位置するペン体の外周面と後部中心孔
   内周面とによつて、筒状の毛細インキ貯留間隙を
   形成させてなる、筆記具の先端部。