JPH053971B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は自動車等に使用されるキーの製造方
法に関するものである。

（従来の技術） 一般に、自動車等に使用されるキーとして、キ
ーの一端に合成樹脂材料よりなる把持部を形成し
たものがある。この把持部を形成するために従来
の製造方法では、金型のキヤビテイ内にキー材料
の一端を配置した後、そのキヤビテイ内にランナ
ーを介して合成樹脂材料を注入して把持部を成形
し、前記ランナー内で前記把持部と一体に成形さ
れるランナー対応部分と把持部とを金型から離脱
させた後、前記把持部とランナー対応部分とをゲ
ート部分においてカツターにより切断するように
している。

（発明が解決しようとする課題） ところが、上記の製造方法においては、把持部
とランナー対応部分とがほぼ同一の平面内で成形
され、その平面に対して直交する方向へカツター
が移動されるため、合成樹脂材料の切断部分に圧
縮応力が生じたり、製造時間の短縮を図るあまり
合成樹脂材料が完全に硬化する前に切断動作が行
われるため、合成樹脂材料が柔軟すぎて切断動作
を円滑に行うことが難しいという問題があつた。
又、切断部分には突起状の切り残しが生じ易く、
外観を損なつて商品価値の低下を招くという問題
もある。特に、ゲートが把持部の外周縁に設定さ
れている場合には切り残しの問題が顕著に現れ
る。

この発明は上記の問題点を解消するためになさ
れたものであつて、その目的は切り残しが生じる
ことなく把持部とランナー対応部分との切断を容
易かつ確実に行うことができ、よつて、切断面を
平滑にして商品価値の高いキーを製造することが
可能なキーの製造方法を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、この発明では、
把持部の成形時にランナーの内面形状に応じて把
持部と一体に成形されるランナー対応部分を把持
部から切り離すため、把持部及びランナー対応部
分に、離間方向の張力を付与し、その張力付与状
態でカツターを前記離間方向に交わる方向へ移動
させてそのカツターにより前記把持部とランナー
対応部分との境界部分に切断痕跡を形成し、その
切断痕跡形成部分から前記離間方向の張力によつ
て把持部とランナー対応部分とを切り離すように
している。

（作用） 従つて、この発明によれば、把持部とランナー
対応部分との切断時に合成樹脂材料に引張方向の
応力が生じ、その引張方向と交わる方向にカツタ
ーが移動される。そのため、容易に切断すること
ができ、切断部分に切り残しが生じることもな
い。

（実施例） 以下、この発明を具体化した一実施例を図面に
従つて詳細に説明する。第２図に示すように、イ
ンサート成型用の金型１は上下に分割可能な上型
及び下型から構成され、上下両型の境界部分にお
いて同一の平面上には、一対の金属製キー材料２
の一端に設けた被加工部２ａの外周に把持部３を
それぞれ形成するための一対のキヤビテイ４が形
成されている。又、前記境界部分には各キヤビテ
イ４内へ合成樹脂材料を注入するため、メイン通
路５ａと分岐通路５ｂとからなる平面ほぼＴ字状
のランナー５が形成されている。このランナー５
のメイン通路５ａ外端は金型１の端面において開
口され、分岐通路５ｂのキヤビテイ４側端部には
前記被加工部２ａの基端に対応すると共にキヤビ
テイ４に連通するゲート６が形成されている。

そして、予めホルダー（図示略）によつて保持
された一対のキー材料２の被加工部２ａを前記金
型１のキヤビテイ４内に挿入配置した後、成型機
のノズル７をランナー５の外端に合致させ、その
ノズル７からランナー５を介してキヤビテイ４内
に流動体状の合成樹脂材料を注入すると、その合
成樹脂材料によつて前記各キー材料２の被加工部
２ａが被覆され、合成樹脂材料が硬化することに
より、各キー材料２の被加工部２ａ外周に把持部
３が形成される。又、ランナー５内の合成樹脂材
料が硬化することにより、軸状部８ａと両側へ突
出する突出部８ｂとよりなるＴ字状のランナー対
応部分８が前記把持部３と一体に形成される。

そして、金型１から把持部３及びランナー対応
部分８を離脱させた後、第１図及び第３図に示す
ように、一対の押圧プレート９を両キー材料２の
内側において、そのキー材料２に沿つて移動さ
せ、各押圧プレート９の先端でランナー対応部分
８の突出部８ｂを把持部３とは反対側へ押圧す
る。すると、前記突出部８ｂが第３図に示すよう
に自身の弾性に抗して湾曲され、把持部３と突出
部８ｂとに離間方向の張力が付与される。

この状態で、一対のカツター１０を把持部３と
ランナー対応部分８の突出部８ｂとの境界部分へ
向かつて下方移動させる。すると、第５図に示す
ように、そのカツター１０により前記境界部分に
切断痕跡１１が形成される。この時、前記押圧プ
レート９による張力は把持部３及びランナー対応
部分８に継続的に作用しているため、その張力に
よつて前記切断痕跡１１が拡開され、ついには第
４図に示すように各把持部３からランナー対応部
分８全体が切り離される。

又、第５図に示すように、前記切断痕跡１１の
形成に際しカツター１０はキー材料２から所定間
隔Ｓだけ隔てた位置を通過するため、キー材料２
に傷が付いたり、カツター１０が破損したりする
おそれがない。又、把持部３とランナー対応部分
８との切断部分に引張応力が生じた状態で、カツ
ター１０が前記引張方向と直交する方向へ移動さ
れるため、従来とは異なり、前記切断部分に生じ
る圧縮応力によつて切断しにくくなることがな
く、切り残しが生じることもない。そのため、切
断面を平滑にして商品価値の高いキーを製造する
ことができる。

更に、この実施例では、ゲート６が把持部３の
外周縁に設定されておらず、キー材料２の被加工
部２ａの基端に対応する位置に設定されているた
め、万一、切り残しが生じた場合にも、目立つこ
とがない。

尚、この発明は前記実施例に限定されるもので
はなく、例えばランナー５のメイン通路５ａをキ
ヤビテイ４と直交する方向へ延在させたり、１個
或いは３個以上のキヤビテイを備えた金型を使用
したりすることも可能である。

発明の効果 以上詳述したように、この発明は切り残しが生
じることなく把持部とランナー対応部分との切断
を容易かつ確実に行うことができ、よつて、切断
面を平滑にして商品価値の高いキーを製造するこ
とができるという優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明を具体化した実施例における
キー、押圧プレート及びカツターの配置状態を示
す斜視図、第２図はキーの把持部成形状態を示す
平面図、第３図は切断開始時におけるキーを示す
平面図、第４図は切断終了時におけるキーを示す
平面図、第５図は切断痕跡を示す部分拡大平面図
である。 １……金型、２……キー材料、３……把持部、
４……キヤビテイ、５……ランナー、８……ラン
ナー対応部分、１０……カツター、１１……切断
痕跡。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 金型１のキヤビテイ４内にキー材料２の一端
   を配置し、そのキヤビテイ４内にランナー５を介
   して合成樹脂材料を注入することによりキー材料
   ２の一端を合成樹脂材料によつて被覆して把持部
   ３を形成するようにしたキーの製造方法におい
   て、 前記把持部３の成形時に前記ランナー５の内面
   形状に応じて前記把持部３と一体に成形されるラ
   ンナー対応部分８を把持部３から切り離すため、
   前記把持部３及びランナー対応部分８に、離間方
   向の張力を付与し、その張力付与状態においてカ
   ツター１０を前記離間方向と交わる方向へ移動さ
   せてそのカツター１０により前記把持部３とラン
   ナー対応部分８との境界部分に切断痕跡１１を形
   成し、その切断痕跡形成部分から前記離間方向の
   張力によつて把持部３とランナー対応部分８とを
   切り離すようにしたことを特徴とするキーの製造
   方法。