JPH053934A - メタルウツド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ライ・ロフト角の寸法精度が高くその調整が
容易であると共に、ヘッドとフォーゼル部との接合強度
が高いメタルウッドを提供する。 【構成】 ヘッド１のソール部には凸状の位置決め部２
が設けられており、延長部３ａと位置決め部２とが相互
に接合固定されており、ヘッド１の開放部とフォーゼル
部３とが相互に接合固定されている。 【効果】 ヘッド１とフォーゼル部３との接合強度が従
来に比して高いので、打球時にヘッド１とフォーゼル部
３との間の接合部に割れ又はクラック等が発生すること
を防止できる。また、位置決め部２にフォーゼル部３の
延長部３ａを接合するため、フォーゼル部３の配置位置
を短時間で精度良く決めることができる。このため、接
合後のライ・ロフト角の寸法精度が高く、その調整を従
来に比して短時間で行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はゴルフクラブのメタルウ
ッドに関し、フォーゼル部をヘッドのソール部まで延長
して所定の位置に接合（溶接、拡散接合又はロウ付け
等）することにより、ライ・ロフト角の寸法精度を高
め、その調整を容易にすると共に、その接合強度を向上
させたものである。

【０００２】

【従来の技術】図１６は従来のメタルウッドを示す断面
図である。ヘッド４１は中空状をなし、その上壁を構成
するクラウン部の縁部にフォーゼル部４３の下端が取り
付けられている。このフォーゼル部４３の上端にはシャ
フトが取り付けられるようになっている。

【０００３】また、このようなメタルウッドを製造する
場合は、ヘッド４１を複数部分に分割したものを超塑性
加工又はプレス加工等により成形し、これを組み立てて
各部分の相互間を接合固定した後、ヘッド４１とフォー
ゼル部４３とを相互に接合して固定する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のメタルウッドにおいては、接合時にライ・ロフ
ト角を設定するため、接合の作業時間が長くなると共
に、接合後において得られたライ・ロフト角のバラツキ
が大きい。このため、接合後にライ・ロフト角を調整す
る必要があり、この調整に多大な時間を要するという問
題点がある。

【０００５】また、ヘッド４１とフォーゼル部４３との
間の接合だけでは接合強度が不十分であるため、メタル
ウッドによる打球時にヘッド４１とフォーゼル部４３と
の間の接合部に割れ等が発生して破損しやすいという問
題点がある。

【０００６】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、ライ・ロフト角の寸法精度が高くその調整
が容易であると共に、ヘッドとフォーゼル部との接合強
度が高いメタルウッドを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明に係るメタルウッ
ドは、中空状のヘッドとシャフトとを連結するフォーゼ
ル部が前記ヘッド内に延長する延長部を有し、この延長
部と前記ヘッドのソール部とが接合固定されていること
を特徴とする。

【０００８】

【作用】本発明においては、ヘッドとシャフトとを連結
するフォーゼル部は、従来と同様にしてヘッドのソール
部に対向する所定の位置に接合固定されていると共に、
ヘッド内に延長する延長部が設けられていて、この延長
部と前記ヘッドのソール部とが接合固定されている。こ
のようにフォーゼル部の延長部が前記ヘッドのソール部
に接合されているため、ヘッドとフォーゼル部との接合
強度が従来に比して高い。このため、打球時にヘッドと
フォーゼル部との間の接合部に割れ又はクラック等が発
生することを防止できる。特に、ヘッドが大きいメタル
ウッドの場合、打点とフォーゼル部の接合部との間の距
離が通常より大きくなり、フォーゼル部に印加される力
が大きくなるものの、フォーゼル部は２点の接合部で支
持されるので、大きな力が作用してもヘッドとフォーゼ
ル部との間の接合部に割れ等が生じることはない。

【０００９】また、ヘッドのソール部には凸部、凹部又
は孔部等からなる位置決め部を設け、この位置決め部に
基づいて前記ソール部にフォーゼル部の延長部を接合す
ることにより、フォーゼル部の配置位置を短時間で精度
良く決めることができる。このため、接合後のライ・ロ
フト角の寸法精度が高く、その調整を従来に比して短時
間で行うことができる。

【００１０】なお、本発明においては、ヘッドは超塑性
Ｔｉ合金等の超塑性材料を使用した超塑性加工又は金属
圧延板材を使用したプレス加工等により、ソール部を含
む複数個の部材として分割成形することができ、この複
数個の部材を相互に接合することにより構成することが
できる。また、この場合、フォーゼル部とヘッドのソー
ル部とを接合した後に前記複数個の部材を相互に接合す
ることができる。

【００１１】

【実施例】次に、本発明の実施例について添付の図面を
参照して説明する。

【００１２】図１は本発明の第１の実施例に係るメタル
ウッドを示す断面図である。ヘッド１は中空状をなし、
そのソール部の内面には凸状の位置決め部２が設けられ
ており、クラウン部の縁部にはフォーゼル部３を取り付
けるための開口部が設けられている。フォーゼル部３は
その下半部が段差的に細径されて延長部３ａをなし、こ
の延長部３ａの先端が位置決め部２に当接し、フォーゼ
ル部３の略中央がヘッド１の前記開口部に配置されてい
る。そして、延長部３ａの先端と位置決め部２とが相互
に接合固定されており、ヘッド１の前記開口部とフォー
ゼル部３とが相互に接合固定されている。なお、フォー
ゼル部３の上端にはシャフトを取り付けるための凹部が
設けられている。

【００１３】本実施例においては、フォーゼル部３はヘ
ッド１のソール部に対向する所定の位置に接合固定され
ていると共に、その延長部３ａがヘッド１のソール部の
位置決め部２に接合固定されている。これにより、ヘッ
ド１とフォーゼル部３とは２か所で接合固定されるた
め、ヘッド１とフォーゼル部３との接合強度が従来に比
して高いので、打球時にヘッド１とフォーゼル部３との
間の接合部等に割れ又はクラック等が発生することを防
止できる。また、位置決め部２にフォーゼル部３の延長
部３ａの先端を当接させて両者を接合するため、フォー
ゼル部３の配置位置を短時間で精度良く決めることがで
きる。このため、接合後のライ・ロフト角の寸法精度が
高く、その調整を従来に比して短時間で行うことができ
る。

【００１４】次に、図１に示すメタルウッドを実際に製
造しその特性を調べた結果について説明する。先ず、メ
タルウッドのヘッドモデルを樹脂で作製した。次に、こ
のヘッドモデルからヘッド１を分割した複数個の部材
（フェース部、ソール部及びクラウン部）及びフォーゼ
ル部３のパーティングラインを決定した。この場合、成
形後の各部材を金型から取り出せるように各部材の勾配
を選択する。また、ヘッドモデルのソール部にはフォー
ゼル部３の延長線上に位置決め部２を形成するための凹
部を設ける。次いで、上述のヘッドモデルに基づいてヘ
ッド１のフェース部、ソール部及びクラウン部の金型を
作製した。そして、超塑性Ｔｉ合金を使用した超塑性加
工法によりヘッド１のフェース部、ソール部及びクラウ
ン部を分割成形した。なお、成形時の条件としては、温
度は９５０℃とし、Ａｒガスによる圧力は０乃至３０ｋ
ｇｆ／ｍｍ² の範囲で変化させた。一方、フォーゼル部
３は従来のものの長さ及び延長部３ａの長さをヘッドモ
デルから考察し、機械加工により作製した。次に、ソー
ル部の位置決め部２にフォーゼル部３の延長部３ａを接
合し、その後フェース部、ソール部及びクラウン部を組
合せて相互に接合した後、接合部分を研摩した。このよ
うにして、本実施例に係るメタルウッドを製造した。

【００１５】また、比較のために、図１６に示す従来例
に係るメタルウッドを製造した。なお、この従来のメタ
ルウッドのパーティングライン等は本実施例のものと同
様である。

【００１６】次に、上述の実施例及び従来例に係るメタ
ルウッドのライ角及びロフト角を測定した。その結果を
下記表１に示す。なお、ヘッドモデルで設定したライ角
及びロフト角を表１に併せて示す。

【００１７】

【表１】

【００１８】この表１から明らかなように、本実施例に
係るメタルウッドは、ライ角及びロフト角の寸法精度が
従来のものに比して極めて高いものであった。

【００１９】次に、上述の実施例及び従来例に係るメタ
ルウッドにシャフトを取り付けてゴルフクラブとして組
み立てた後、ゴルフ用実打ロボットを使用して耐久性テ
ストを行った。なお、ヘッドスピードは５０ｍ／秒とし
た。

【００２０】その結果、本実施例に係るメタルウッド
は、１００００発の実打を行った後においてもフォーゼ
ル部３とヘッド１との間の接合部に割れ及びクラックが
発生していなかった。即ち、フォーゼル部３の延長部３
ａがヘッド１のソール部の位置決め部２に接合固定され
ているため、その接合強度が向上しており、クラブの耐
久性が優れていた。

【００２１】一方、従来例に係るメタルウッドは、５５
０発目の実打によりフォーゼル部４３とヘッド４１との
間の接合部に割れが発生した。

【００２２】次に、本発明の第２の実施例について説明
する。図２はこの第２の実施例のメタルウッドを製造す
る際に使用するヘッドモデルを示す斜視図、図３は本発
明の第２の実施例に係るメタルウッドを分解して示す斜
視図、図４及び図５は第２の実施例に係るメタルウッド
の接合工程を示す斜視図、図６は製造されたメタルウッ
ドの完成品を示す斜視図、図７はその内部を示す一部切
欠断面図である。

【００２３】先ず、図２に示すように、所定の形状のヘ
ッドモデル１４を樹脂で作製する。次に、このヘッドモ
デル１４から、ソール部１１ａ、クラウン部１１ｂ、フ
ェース部１１ｃ及びフォーゼル部１３のパーティングラ
インを決定する。この場合、加工性及び金型からの取り
出しを考慮して各部材の勾配を選択する。即ち、各部材
にオーバーハングが形成されると、成形後に金型から取
り出せないので、オーバーハングができない形状に各部
材を分割する。次に、上記パーティングラインに沿って
ヘッドモデル１４を分割し、分割したヘッドモデル１４
に基づいてプレス用金型を作製する。但し、フォーゼル
部１３用の金型は除く。そして、上記金型を使用して、
Ｔｉ合金材（Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖ）をプレス成形した
後、不要部を切り離して、ソール部１１ａ、クラウン部
１１ｂ及びフェース部１１ｃを得る。なお、各部材の加
工法はプレス加工法に限定されることはなく、ＨＩＰ又
は超塑性加工法等で行うことができる。一方、フォーゼ
ル部１３は旋盤加工によりその一端に細径の延長部１３
ａを一体成形する。これらのソール部１１ａ、クラウン
部１１ｂ、フェース部１１ｃ及びフォーゼル部１３を図
３に示す。なお、フォーゼル部１３の他端には、図７に
示すように、シャフトを取り付けるための凹部が設けら
れている。

【００２４】次に、図４に示すように、ライ・ロフト角
を調整しつつ、ソール部１１ａの所定の位置にフォーゼ
ル部１３の延長部１３ａを接合し、更に図５及び図６に
示すように、クラウン部１１ｂ、フェース部１１ｃを接
合した後、接合部分を研摩した。このようにして、本実
施例に係るメタルウッドを製造する。

【００２５】このようにして製造された本実施例のメタ
ルウッドにおいては、フォーゼル部１３の延長部１３ａ
をソール部１１ａの所定の位置に接合固定するため、第
１の実施例と同様にして、ヘッド１１とフォーゼル部１
３との接合強度を従来よりも向上させることができると
共に、フォーゼル部１３の配置位置を短時間で精度良く
決めることができる。

【００２６】図８は本発明の第３の実施例に係るメタル
ウッドの組立工程を示す斜視図、図９はその組立工程を
示す断面図、図１０はその接合工程を示す断面図、図１
１はその研摩工程を示す断面図である。

【００２７】先ず、図８に示すように、分割成形したソ
ール部、クラウン部及びフェース部を相互に接合してヘ
ッド２１を得る。このヘッド２１のソール部には位置決
め部（孔部）２２が開口されている。次に、図９に示す
ように、ヘッド２１の開口部にフォーゼル部２３の延長
部２３ａを挿入し、更に位置決め部２２に延長部２３ａ
を挿入する。次に、図１０に示すように、ヘッド２１の
前記開口部とフォーゼル部２３とを相互に接合し、位置
決め部２２と延長部２３ａとを相互に接合した。その
後、図１１に示すように、ヘッド２１から突出した部分
の延長部２３ａを研摩し、接合部分を研摩する。このよ
うにして、本実施例に係るメタルウッドを製造する。

【００２８】本実施例によれば、フォーゼル部２３の延
長部２３ａをヘッド２１のソール部の位置決め部２２に
挿入し接合固定するため、第１及び第２の実施例と同様
にして、ヘッド２１とフォーゼル部２３との接合強度を
従来よりも向上させることができると共に、フォーゼル
部２３の配置位置を短時間で精度良く決めることができ
る。

【００２９】図１２乃至図１５は本発明に係るメタルウ
ッドにおける位置決め部の変形例を示す断面図である。
なお、図１２乃至図１５はヘッドのソール部を抽出して
示すものである。

【００３０】図１２においては、ヘッドのソール部３１
ａの所定の位置にはフォーゼル部の延長部３３ａが当接
して接合固定されている。また、図１３においては、ソ
ール部３１ａの所定の位置には位置決め部（孔部）３２
ａが開口していて、この位置決め部３２ａにフォーゼル
部の延長部３３ａが挿入され、接合固定されている。更
に、図１４においては、ソール部３１ａの所定の位置に
は位置決め部（凸部）３２ｂが形成されていて、この位
置決め部３２ｂにフォーゼル部の延長部３３ａが当接し
て接合固定されている。更にまた、図１５においては、
ソール部３１ａの所定の位置には位置決め部（凹部）３
２ｃが形成されていて、この位置決め部３２ｃにフォー
ゼル部の延長部３３ａが当接して接合固定されている。
このように、本発明においては、位置決め部の形状は特
に限定されることはない。また、図１４及び図１５にお
いて、位置決め部３２ｂ，３２ｃに伴ってソール部３１
ａの外表面に形成される凹部又は凸部は、接合後、肉盛
り又は研摩によって平坦化することができ、又はそのま
ま残してデザインの一部として使用することができる。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ヘ
ッドとシャフトとを連結するフォーゼル部は前記ヘッド
内に延長する延長部を有し、この延長部を前記ヘッドの
ソール部に接合するから、ヘッドとフォーゼル部との接
合強度が従来に比して高い。また、前記ソール部の所定
の位置にフォーゼル部の延長部を接合することにより、
フォーゼル部の配置位置を短時間で精度良く決めること
ができるので、接合後のライ・ロフト角の寸法精度が高
く、その調整が従来に比して容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１の実施例に係るメタルウッドを
示す断面図である。

【図２】 本発明の第２の実施例のメタルウッドを製造
する際に使用するヘッドモデルを示す斜視図である。

【図３】 本発明の第２の実施例に係るメタルウッドを
分解して示す斜視図である。

【図４】 本発明の第２の実施例に係るメタルウッドの
接合工程を示す斜視図である。

【図５】 本発明の第２の実施例に係るメタルウッドの
接合工程を示す斜視図である。

【図６】 本発明の第２の実施例に係るメタルウッドを
示す斜視図である。

【図７】 図６の内部を示す一部切欠断面図である。

【図８】 本発明の第３の実施例に係るメタルウッドの
組立工程を示す斜視図である。

【図９】 本発明の第３の実施例に係るメタルウッドの
組立工程示す断面図である。

【図１０】 本発明の第３の実施例に係るメタルウッド
の接合工程示す断面図である。

【図１１】 本発明の第３の実施例に係るメタルウッド
の研摩工程を示す断面図である。

【図１２】 本発明に係るメタルウッドにおける位置決
め部の変形例を示す断面図である。

【図１３】 本発明に係るメタルウッドにおける位置決
め部の変形例を示す断面図である。

【図１４】 本発明に係るメタルウッドにおける位置決
め部の変形例を示す断面図である。

【図１５】 本発明に係るメタルウッドにおける位置決
め部の変形例を示す断面図である。

【図１６】 従来のメタルウッドを示す断面図である。

【符号の説明】

１，１１，２１，４１；ヘッド、１１ａ，３１ａ；ソー
ル部、１１ｂ；クラウン部、１１ｃ；フェース部、２，
２２，３２ａ，３２ｂ，３２ｃ；位置決め部、３，１
３，２３，４３；フォーゼル部、３ａ，１３ａ，２３
ａ，３３ａ；延長部、１４；ヘッドモデル

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中空状のヘッドとシャフトとを連結する
   フォーゼル部が前記ヘッド内に延長する延長部を有し、
   この延長部と前記ヘッドのソール部とが接合固定されて
   いることを特徴とするメタルウッド。
2. 【請求項２】 前記ソール部には前記フォーゼル部の接
   合位置を規定する位置決め部が設けられていることを特
   徴とする請求項１に記載のメタルウッド。