JPH0539336A - 新規なエネルギー線硬化型樹脂組成物 - Google Patents

新規なエネルギー線硬化型樹脂組成物

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JPH0539336A
JPH0539336A JP3195340A JP19534091A JPH0539336A JP H0539336 A JPH0539336 A JP H0539336A JP 3195340 A JP3195340 A JP 3195340A JP 19534091 A JP19534091 A JP 19534091A JP H0539336 A JPH0539336 A JP H0539336A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸
類と酸無水物との反応物と、シクロカーボネート含有化
合物とを用いることにより、高感度で、安定性にも優
れ、耐水性、耐溶剤性ならびに高耐熱性などにも優れた
エネルギ−線硬化型樹脂、ならびに該樹脂組成物を提供
するにある。 【構成】カルボキシル基と不飽和二重結合とを併せ有す
る化合物と、シクロカーボネート基を有する化合物と
を、必須の成分として含んで成る、エネルギ−線硬化型
樹脂、ならびに該樹脂組成物。 【効果】安定性に優れ、しかも、各種性能にも優れる、
コ−ティング材やインキなどの広範囲なる用途に適した
エネルギ−線硬化型樹脂組成物を提供し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規にして有用なるエネ
ルギ−線硬化型樹脂組成物に関する。さらに詳細には、
本発明は有効成分として、それぞれ、エポキシ基を有す
る化合物(以下、エポキシ化合物ともいう。)と、この
エポキシ基と反応する官能基と反応性不飽和二重結合
(以下、不飽和二重結合と略記する。)を有する化合物
と、酸無水基含有化合物(以下、酸無水物と略記す
る。)との反応生成物、ならびにシクロカーボネート基
を有する化合物を必須の成分として含んで成る、新規に
して有用なるエネルギ−線硬化型樹脂組成物に関する。
【0002】そして、かかる本発明のエネルギ−線硬化
型樹脂組成物は、コ−ティング材、印刷インキ、接着剤
などの広範な用途に適した、極めて有用なる、紫外線や
電子線などの、いわゆるエネルギ−線により硬化可能な
樹脂組成物である。
【0003】
【従来の技術】エネルギ−線で硬化可能なる樹脂、特に
ラジカル重合反応により硬化する樹脂としては、不飽和
ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂(エポキシ−ア
クリレ−ト)、各種オリゴアクリレ−ト、ならびにジア
リルフタレ−トプレポリマ−などの各種のものがあり、
それぞれの用途分野で、特長が活かされ、広く用いられ
ている。
【0004】しかし、近年、その用途が広がると共に、
益々、その性能に対する要求が高まっている。それらの
要求を満たすための、すべての諸性能を満足させ得るよ
うな、頗る実用的な、エネルギ−線により硬化可能なる
樹脂組成物は、未だに、得られていない、というのが実
状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来技術
に従う限りは、どうしても、すべての諸性能を満足させ
得るような、頗る実用的な、エネルギ−線により硬化可
能なる樹脂組成物を得ることは出来ない。
【0006】そのために、本発明者らは、前述の情勢に
鑑み、既存の樹脂では、到底、満足できないような用途
に対しても用いることが出来、耐水性、耐溶剤性、耐薬
品性、耐熱性ならびに硬化性などに優れた、極めて実用
性の高いラジカル硬化型樹脂の合成について、鋭意、研
究を行った。
【0007】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、とりわけ、耐水性、耐溶剤性、耐薬品性、耐熱性
ならびに硬化性などに優れた、極めて実用性の高いラジ
カル硬化型樹脂を見い出すことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合
わせて、鋭意、検討を重ねた結果、特定のエネルギ−線
硬化型樹脂、つまり、多官能のエポキシ化合物と、エポ
キシ基と反応する反応性官能基と不飽和二重結合とを併
せ有する化合物と、酸無水物との反応によって得られ
る、エネルギ−線硬化型の樹脂と、シクロカーボネート
基含有化合物とを、必須成分として含んで成る樹脂組成
物が、一液で、極めて安定なるものであり、UV(紫外
線)硬化およびポスト・キュアー後は、上述したような
諸塗膜性能を、悉く、満足させることが出来ることを知
りに及んで、ここに、本発明を完成するに到った。
【0009】すなわち、本発明は基本的には、多官能エ
ポキシ化合物とエポキシ基と反応しうる官能基と不飽和
二重結合を樹脂骨格中に有する化合物と酸無水物の反応
によって得られる樹脂組成物とシクロカーボネート基を
有する化合物から成るエネルギー線硬化型樹脂組成物を
提供するものであり、そして具体的には、多官能のエポ
キシ化合物と不飽和モノカルボン酸と酸無水物の反応に
よって得られる樹脂とシクロカーボネート基を有する化
合物を有効成分として含んで成る、エネルギ−線硬化型
樹脂組成物を提供するものである。
【0010】ここにおいて、上記したエネルギ−線硬化
型樹脂〔以下、単に樹脂(A)ともいう。〕とは、多官
能のエポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とを反応さ
せた形のものを指称する。
【0011】当該樹脂(A)としては、勿論、上述した
ような各種の化合物を反応したものであれば、いずれも
使用することが出来るが、それらのうちでも特に代表的
なもののみを例示するに留めれば、まず、多官能エポキ
シ化合物〔以下、これを(a−1)として扱うものとす
る。〕と、不飽和モノカルボン酸化合物〔以下、これを
(a−2)として扱うものとする。〕との反応によって
得られるような、特定の反応物〔以下、これを(a−
3)として扱うものとする。〕などである。
【0012】そのうち、かかる反応物(a−3)を調製
するための、上記多官能エポキシ化合物(a−1)とし
て代表的なものを挙げると、グリシジルエーテル系エポ
キシ樹脂;たとえば、ビスフェノールAとエピクロルヒ
ドリンとをアルカリ存在下に反応させて得られるビスフ
ェノールA系エポキシ樹脂や、ビスフェノールAの代わ
りに、ブロム化ビスフェノールAを用いた形のエポキシ
樹脂などである。
【0013】また、ノボラック樹脂にエピクロルヒドリ
ンを反応させて、グリシジルエーテル化せしめた形のノ
ボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、オ
ルソクレゾールノボラック型などもまた、この多官能エ
ポキシ化合物(a−1)として使用できる。
【0014】さらには、ビスフェノールFにエピクロル
ヒドリンを反応させて得られるビスフェノールF系エポ
キシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAから誘導され
る臭素化エポキシ樹脂なども使用できるし、さらにま
た、シクロヘキセンオキサイド基、トリシクロデセンオ
キサイド基、シクロペンテンオキサイド基を有する環式
脂肪族エポキシ樹脂類;
【0015】フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒ
ドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタ
ル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ
安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステルの如き、各種
のグリシジルエステル樹脂類;
【0016】テトラグリシジルジアミノジフェニルメタ
ン、トリグリシジル−パラ−アミノフェノール、ジグリ
シジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリ
シジルメタキシリレンジアミン、ジグリシジルトリブロ
ムアニリン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロ
ヘキサンの如き、各種のグリシジルアミン系樹脂類;
【0017】ヒダントイン環をグリシジル化せしめた形
のヒダントイン型エポキシ樹脂類;あるいは、トリアジ
ン環を有するトリグリシジルイソシアヌレートなども、
この多官能エポキシ化合物(a−1)として使用でき
る。
【0018】これらは単独使用でも、2種以上の併用で
も良いことは勿論である。他方、前記エポキシ基と反応
する不飽和モノカルボン酸類(a−2)として代表的な
ものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸
または桂皮酸などがあり、これらは2種以上の混合使用
によってもよいが、特にアクリル酸の使用が好適であ
る。
【0019】また、前記した酸無水物の特に代表的なも
のとしては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シト
ラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘット酸、ハイミッ
ク酸、クロレンディック酸、ダイマ−酸、アジピン酸、
コハク酸、アルケニルコハク酸、セバチン酸、アゼライ
ン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、テレフタル
酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、2−ナトリウム
スルホテレフタル酸、イソフタル酸、2−カリウムスル
ホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホイソフタル酸、
【0020】5−ナトリウム−スルホイソフタル酸の、
たとえば、ジメチル−ないしはジエチルのような、各種
のジ低級アルキルエステル類、オルソフタル酸、4−ス
ルホフタル酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、
ムコン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、トリメリ
ット酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロムフタル
酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸もしくはピロ
メリット酸の酸無水物などが挙げられる。
【0021】さらに、前記のシクロカーボネート基含有
化合物(B)として特に代表的なもののみを挙げるにと
どめれば、前述した多官能エポキシ化合物(a−1)を
シクロカーボネート化せしめた形のものなどであり、具
体的には、トリアジン環を骨格に有する3価のエポキシ
化合物たる、トリス(2、3−エポキシプロピル)イソ
シアヌレート中のエポキシ基を、シクロカーボネート化
せしめた形の化合物などである。
【0022】かくして得られる本発明のエネルギ−線硬
化型樹脂組成物は、一液で、保存安定性に優れるもので
あるし、紫外線(UV)未照射の組成物は、容易に、ア
ルカリ性物質にも、溶剤にも溶解するものであるが、U
V照射後、さらに、ポストキュアー後においては、耐水
性、耐溶剤性、耐薬品性ならびに耐熱性などに優れた皮
膜を与えるものとなる。
【0023】かくして得られる本発明のエネルギ−線硬
化型樹脂、ならびに該樹脂を必須の成分として含んで成
るエネルギ−線硬化型樹脂組成物には、さらに必要に応
じて、本発明の目的を逸脱しない範囲、とりわけ、保存
安定性ならびに耐水性、耐溶剤性、耐薬品性および耐熱
性などを保持しうる範囲内で、公知エポキシ化合物や、
公知慣用の添加剤、就中、他のタイプの反応性希釈剤、
有機溶剤およびエポキシ開環触媒などを、添加せしめる
ことを妨げるものではない。
【0024】上記反応性希釈剤としては、単官能性のも
のから、多官能性のものまでが、広く用いられ得るが、
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するに留
めれば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、2−エ
チルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、N−ビニルピロリ
ドン、1−ビニルイミダゾ−ル、イソボルニル(メタ)
アクリレ−ト、テトラヒドロフルフィリル(メタ)アク
リレ−ト、カルビト−ル(メタ)アクリレ−ト、フェノ
キシエチル(メタ)アクリレ−ト、
【0025】ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレ−
ト、1,3−ブタンジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−
ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレ
ングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシピバ
リン酸エステル、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)ア
クリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アク
リレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレ
−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−
トまたはジペンタエリスリト−ルヘキサ(メタ)アクリ
レ−トなどである。
【0026】溶剤として特に代表的なもののみを例示す
るにとどめれば、トルエンもしくはキシレンの如き芳香
族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトンもしくはシクロヘキサノンの如きケトン類;酢酸
メチル、酢酸エチルもしくは酢酸ブチルの如きエステル
類;メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ルもしくはブ
タノ−ルの如きアルコ−ル類;ヘキサン、ヘプタンの如
き脂肪族炭化水素類をはじめ、セロソルブアセテ−ト、
カルビト−ルアセテ−ト、ジメチルホルムアミド、また
はテトラヒドロフランなどである。
【0027】本発明で言う前記エネルギ−線とは、電子
線、α線、β線、γ線、X線、中性子線または紫外線の
如き、電離性放射線や光などを総称するものである。本
発明において、エネルギ−線として紫外線を用いて、本
発明の樹脂組成物を硬化させる場合には、波長が1,0
00〜8,000オングストロームなる紫外線により解
離して、ラジカルを発生するような光(重合)開始剤を
使用すべきであり、かかる光(重合)開始剤としては、
公知慣用のものが、いずれも使用できるが、そのうちで
も特に代表的な例を挙げるにとどめれば、アセトフェノ
ン類、ベンゾフェノン、ミヒラ−ズケトン、ベンジン、
ベンゾイン・ベンゾエ−ト、ベンゾイン、ベンゾインメ
チルエ−テル類、ベンジル・ジメチルケタ−ル、α−ア
シロキシムエステル、チオキサントン類、アンスラキノ
ン類およびそれらの各種誘導体などである。
【0028】また、こうした光(重合)開始剤に、公知
慣用の光増感剤をも併用することができるが、かかる光
増感剤として特に代表的なもののみを例示するに留めれ
ば、アミン類、尿素類、含硫黄化合物、含燐化合物、含
塩素化合物またはニトリル類もしくはその他の含窒素化
合物などである。
【0029】さらに、本発明で言うエポキシ開環触媒と
は、アミン類、酸無水物類、ポリアミド樹脂、イミダゾ
ール類、ルイス酸類、ルイス酸塩類、フェノール樹脂、
アミド樹脂などの各種の化合物を指称するものである。
【0030】本発明のエネルギー線硬化型樹脂およびそ
れを含んで成る樹脂組成物は、通常、そのまま、上掲し
た如きエネルギー源を用いることにより、放射線ないし
は活性エネルギー線を照射させて硬化せしめ、さらに、
加熱硬化せしめればよい。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例、応用例および比較応
用例により、一層、具体的に説明するが、以下におい
て、部、および%は特に断りの無い限り、すべて重量基
準であるものとする。
【0032】実施例 1 温度計、攪拌機および還流冷却管を備えたフラスコに、
エポキシ当量が213なる「エピクロン N−695」
〔大日本インキ化学工業(株)製のクレゾールノボラッ
ク型エポキシ化合物〕の213gと、アクリル酸72.
0gおよびトリフェニルフォスフィンの1.2gとを加
えて、酸価が3以下となるまで、110℃の温度で反応
せしめ、その後は、テトラヒドロ無水フタル酸の152
gを加えて、酸価が130となるまで、100℃で反応
を進めることにより、カルボキシル基と不飽和二重結合
とを併せ有する化合物(A)を得た。以下、これを樹脂
(A−1)と略記する。
【0033】別に、トリス(2,3−エポキシプロピ
ル)イソシアヌレートのエポキシ基を、常法により、炭
酸ガス(CO2)でシクロカーボネート化せしめて、ト
リグリシジルイソシアヌレートのカーボネート化物を得
た。以下、これを樹脂(B−1)と略記する。
【0034】実施例 2 温度計、攪拌機および還流冷却管を備えたフラスコに、
エポキシ当量が187なる「エピクロン 850」〔大
日本インキ化学工業(株)製のビスフェノールA型エポ
キシ化合物〕の187gと、アクリル酸の72.0gお
よびトリフェニルフォスフィンの1.2gとを加えて、
酸価が3以下となるまで、110℃の温度で反応せし
め、次いで、テトラヒドロ無水フタル酸の152gを加
え、酸価が137となるまで、100℃で反応を進める
ことにより、カルボキシル基と不飽和二重結合とを併せ
有する化合物(A)を得た。以下、これを樹脂(A−
2)と略記する。
【0035】実施例 3 温度計、攪拌機および還流冷却管を備えたフラスコに、
エポキシ当量が213なる「エピクロン N−695」
〔大日本インキ化学工業(株)製のクレゾールノボラッ
ク型エポキシ化合物〕の213gと、アクリル酸の7
2.0gおよびトリフェニルフォスフィンの1.2gと
を加えて、酸価が3以下となるまで、110℃の温度で
反応せしめ、その後も、テトラヒドロ無水フタル酸の7
6.0gを加え、酸価が76となるまで、100℃で反
応を進めることにより、カルボキシル基と、不飽和二重
結合と、水酸基とを併せ有する化合物(m−1)を得
た。
【0036】別に、温度計、攪拌機および還流冷却管を
備えたフラスコに、トリレンジイソシアネートの1モル
と、2−ヒドロキシエチルアクリレートの1モルとを、
常法によってウレタン化反応せしめて、ウレタンアクリ
レートたる末端に、未反応のイソシアネート基を有する
不飽和ウレタン化合物(u−1)を得た。
【0037】さらに、温度計、攪拌機および還流冷却管
を備えた、別のフラスコに、化合物(m−1)の285
gを加え、しかるのち、さらに、化合物(u−1)の2
90gを、徐々に加えて行き、常法により、未反応のイ
ソシアネート基が消失するまで、ウレタン化反応を行っ
て、カルボキシル基と不飽和二重結合とを併せ有する化
合物(A)を得た。以下、これを樹脂(A−3)と略記
する。
【0038】応用例 1 実施例1で得られた樹脂(A−1)に対して、下記の如
き各成分を配合せしめ、充分に混合し、攪拌せしめて、
塗料を調製した。
【0039】 樹脂(A−1) 100部 樹脂(B−1) 30部 1−ヒドロキシヘキシルフェニルケトン 3部 イミダゾールアミン 1部 メチルエチルケトン 30部 しかるのち、かくして得られた塗料を、水研ぎしたブリ
キ板に、20ミクロン(μm)の厚さで塗布した。
【0040】次いで、この塗装物に、80Wの高圧水銀
灯で、15cmの高さから、60秒間のあいだ、紫外線
を照射し、硬化せしめた。以後は、それぞれの被覆板に
ついて、諸塗膜性能の評価を行った。すなわち、UV硬
化を行ってから、140℃で、40分間、熱硬化せしめ
たのちの塗膜性能の評価を行ったが、それらの結果は、
まとめて、第1表に示す。
【0041】応用例 2 樹脂(A−1)に替えて、実施例2で得られた樹脂(A
−2)の同量を用いるように変更した以外は、応用例1
と同様にして、塗料を得て、塗布し、硬化せしめた。こ
の被覆板についても、同様の性能評価を行った処、第1
表に示されるような結果が得られた。
【0042】応用例 3 樹脂(A−1)に替えて、実施例3で得られた樹脂(A
−3)の同量を用いるように変更した以外は、応用例1
と同様にして、塗料を得て、塗布し、硬化せしめた。こ
の被覆板についても、同様の性能評価を行った処、第1
表に示されるような結果が得られた。
【0043】応用例 4 実施例1で得られた樹脂(A−1)に対して、下記の如
き各成分を配合せしめ、充分に混合し、攪拌せしめて、
塗料を調製した。
【0044】 樹脂(A−1) 100部 樹脂(B−1) 40部 1−ヒドロキシヘキシルフェニルケトン 3部 トリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト 20部 メチルエチルケトン 20部 イミダゾールアミン 3部 応用例1と同様にして、塗料を得て、塗布し、硬化せし
めた。この被覆板についても、同様の性能評価を行った
処、第1表に示されるような結果が得られた。
【0045】比較応用例 1 シクロカーボネート基含有化合物(B−1)の代わり
に、「EOCN」〔日本化薬(株)製のクレゾールノボ
ラック型エポキシ樹脂;エポキシ当量=220〕を、同
量、使用するように変更した以外は、応用例1と全く同
様にして、塗料を得、次いで、試験を行った。
【0046】比較応用例 2 シクロカーボネート化合物(B−1)の代わりに、「R
E−310S」〔日本化薬(株)製のビスフェノールA
型エポキシ樹脂;エポキシ当量=185〕を、同量、使
用する以外は、応用例1と全く同様にして、塗料を得、
次いで、試験を行った。
【0047】
【0048】なお、各性能の評価は、次の様な要領で行
ったものである。 安定性…………80℃なる恒温中に、遮光して保管し、
溶液状態の変化を判定した。
【0049】◎:5時間後変化なし ○:3時間後変化なし △:3時間後ゲル化 ×:1時間後ゲル化 硬化性…………塗布した塗膜を、80℃の温風中で、1
5分間の乾燥を行ったのち、80W/cm2 なる強度を
持った高圧水銀ランプの下、15cmなる位置を、50
m/分なる速度で通過せしめ、硬化するまでの回数を測
定した。
【0050】耐水性…………UV硬化後に、140℃な
る加熱炉中で、40分間、加熱硬化せしめた塗膜を、イ
オン交換水を浸したガーゼで、40回、擦ったのちの膜
厚の減少量を測定する。
【0051】◎:0〜5μm ○:5〜10μm △:10〜15μm ×:15μm以上 耐溶剤性………UV硬化後に、140℃なる加熱炉中
で、40分間、加熱硬化せしめた塗膜を、アセトンを浸
したガ−ゼで、40回、擦ったのちの膜厚の減少量を測
定する。
【0052】耐アルカリ性…10%水酸化ナトリウム水
溶液を浸したガ−ゼで、硬化塗膜を40回、擦ったのち
の膜厚の減少量を測定する。評価基準は、耐水性の場合
と同じ。
【0053】耐熱性…………塗布した塗膜を、80℃の
温風中で、15分間の乾燥を行ったのち、80W/cm
2 なる強度を持った高圧水銀ランプの下、15cmなる
位置を、50m/分なる速度で、10回、通過せしめ、
さらに、140℃なる加熱炉中で、40分間、加熱硬化
せしめ、次いで、かくして得られた硬化塗膜を、室温に
戻し、200℃の加熱炉中に、40秒間、置いてから直
ちに、塗膜面にガ−ゼを圧着させて、冷却後に、ガ−ゼ
を剥がして、塗膜の変化を目視により判定した。
【0054】◎:全く、変化が認められないもの。 ○:表面にガ−ゼの跡が、少々、つくもの。 ×:塗膜が溶融してしまい、ガ−ゼと共に剥がれるも
の。
【0055】第1表の結果からも明らかなように、本発
明のエネルギ−線硬化型樹脂組成物は、常温でも、加熱
下でも、自由に、エネルギ−線硬化させることが出来る
し、シクロカーボネート化合物に基ずく構造により、安
定性に優れた一液の樹脂組成物となっているものであ
り、しかも、エポキシ化合物と、シクロカーボネート化
合物との両の化合物に基ずく構造から、硬化性に優れる
ものであることは勿論、硬化塗膜が耐水、耐溶剤ならび
に耐薬品性などを有し、かつ、耐熱性に優れる、各種の
用途に、極めて有用なものである。
【0056】
【発明の効果】本発明のエネルギー線硬化型樹脂および
それを含んで成る樹脂組成物は、高感度のものであり、
一液で安定性に優れ、しかも、硬化塗膜は耐水性、耐溶
剤性、耐薬品性ならびに耐熱性などに優れている処か
ら、とりわけ、コーティング剤、印刷インキならびに接
着剤などとして、広範な用途において、極めて有用なも
のである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規にして有用なるエネ
ルギ−線硬化型樹脂組成物に関する。さらに詳細には、
本発明は有効成分として、それぞれ、カルボキシル基と
不飽和二重結合とを併せ有する化合物(A)と、シクロ
カーボネート基を有する化合物(B)とを、必須の成分
として含有することを特徴とする、エネルギー線硬化型
樹脂組成物であり、特にエポキシ基を有する化合物(以
下、エポキシ化合物ともいう。)と、このエポキシ基と
反応する官能基と反応性不飽和二重結合(以下、不飽和
二重結合と略記する。)を有する化合物と、酸無水基
有する化合物(以下、酸無水物と略記する。)との反
応生成物、ならびにシクロカーボネート基を有する化合
物を必須の成分として含んで成る、新規にして有用なる
エネルギ−線硬化型樹脂組成物に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】 そして、かかる本発明のエネルギ−線硬
化型樹脂組成物は、コ−ティング材、印刷インキ、接着
剤などの広範な用途に適した、極めて有用なる、紫外線
や電子線などの、いわゆるエネルギ−線により硬化可能
な樹脂組成物であり、特に、現像によるパターン形成工
程を経た後の耐久性を要求される用途に好適である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 特に近年、その用途
が広がるにつれ、パターン形成材料としての位置づけも
高くなり、アルカリ現像型のパターン形成材料にはカル
ボキシル基を有するものが一般に用いられている。しか
し最終用途において、特に電気材料関係では、これらの
基を有することは、耐水性、耐薬品性等が不良となる原
因でもあった為に、エポキシ化合物を併用して、ポスト
キュアーでカルボン酸を消費することにより、性能向上
を図ることが行われていた。しかしながら、エポキシ化
合物を併用した組成物は安定性が悪く、パターン現象性
を低下させる重大な問題点があった。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】 したがって、本発明が解決しようとする
課題は、とりわけ、耐水性、耐溶剤性、耐薬品性、耐熱
性ならびに硬化性などに優れ、かつ工程中での組成物の
安定性が極めて良く、極めて実用性の高いラジカル硬化
型樹脂を見い出すことである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合
わせて、鋭意、検討を重ねた結果、特定のエネルギ−線
硬化型樹脂、つまり、有効成分として、それぞれ、カル
ボキシル基と不飽和二重結合とを併せ有する化合物
(A)と、シクロカーボネート基を有する化合物(B)
とを、必須の成分として含有することを特徴とする、エ
ネルギー線硬化型樹脂組成物であり、特に多官能のエポ
キシ化合物と、エポキシ基と反応する反応性官能基と不
飽和二重結合とを併せ有する化合物と、酸無水物との反
応によって得られる、エネルギ−線硬化型の樹脂と、シ
クロカーボネート基含有化合物とを、必須成分として含
んで成る樹脂組成物が、一液で、極めて安定なるもので
あり、UV(紫外線)硬化およびポスト・キュアー後
は、上述したような諸塗膜性能を、悉く、満足させるこ
とが出来ることを知りに及んで、ここに、本発明を完成
するに到った。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】 すなわち、本発明は基本的には、有効成
分として、それぞれ、カルボキシル基と不飽和二重結合
とを併せ有する化合物(A)と、シクロカーボネート基
を有する化合物(B)とを、必須の成分として含有する
ことを特徴とする、エネルギー線硬化型樹脂組成物であ
り、特に多官能エポキシ化合物とエポキシ基と反応しう
る官能基と不飽和二重結合を樹脂骨格中に有する化合物
と酸無水物の反応によって得られる樹脂組成物とシクロ
カーボネート基を有する化合物から成るエネルギー線硬
化型樹脂組成物を提供するものであり、そして具体的に
は、多官能のエポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸と
酸無水物の反応によって得られる樹脂とシクロカーボネ
ート基を有する化合物を有効成分として含んで成る、エ
ネルギ−線硬化型樹脂組成物を提供するものである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】 カルボキシル基と不飽和二重結合とを併
せ有する化合物(A)とは、エポキシ基を有する化合物
と反応性不飽和二重結合とを併せ有する化合物と酸無水
基を有する化合物との反応生成物、もしくはエポキシ基
を有する化合物と不飽和モノカルボン酸と酸無水基を有
する化合物との反応生成物を指称し、以下、単に樹脂A
ともいう。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】 また、ノボラック樹脂にエピクロルヒド
リンを反応させて、グリシジルエーテル化せしめた形の
ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型
ポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹
などもまた、この多官能エポキシ化合物(a−1)と
して使用できる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】 また、前記した酸無水基を有する化合物
の特に代表的なものとしては、マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘ
ット酸、ハイミック酸、クロレンディック酸、ダイマ−
酸、アジピン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、セバ
チン酸、アゼライン酸、2,2,4−トリメチルアジピ
ン酸、テレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル
酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、イソフタル
酸、2−カリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウム
スルホイソフタル酸、
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】 さらに、前記のシクロカーボネート基を
有する化合物(B)として特に代表的なもののみを挙げ
るにとどめれば、前述した多官能エポキシ化合物(a−
1)をシクロカーボネート化せしめた形のものなどであ
り、具体的には、トリアジン環を骨格に有する3価のエ
ポキシ化合物たる、トリス(2、3−エポキシプロピ
ル)イソシアヌレート中のエポキシ基を、シクロカーボ
ネート化せしめた形の化合物などである。一般にエポキ
シ基をシクロカーボネート化した化合物は、エポキシ樹
脂をプロピレンカーボネートに溶解し、炭酸ガス(CO
2)を吹き込み、触媒としてジメチルブチルアミン等の
3級アミンを用いて、通常100〜120℃、3〜6時
間反応させることにより得ることができる。本発明のエ
ネルギー線硬化型樹脂組成物中のカルボキシル基と不飽
和二重結合とを併せ有する化合物(A)とシクロカーボ
ネート基を有する化合物(B)の比率は、化合物(A)
中のカルボキシル基当量に対し、化合物(B)中のシク
ロカーボネート基当量を20/80〜80/20(当量
比)で用いることができ、より好ましくは、25/75
〜55/45の範囲である。カルボキシル基当量/シク
ロカーボネート基当量が20/80より小さいときは、
耐熱性が低下し、80/20を超えると、耐水性、耐ア
ルカリ性が不十分となる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】◎:0〜5μm ○:5〜10μm △:10〜15μm ×:15μm以上 耐溶剤性………UV硬化後に、140℃なる加熱炉中
で、40分間、加熱硬化せしめた塗膜を、アセトンを浸
したガ−ゼで、40回、擦ったのちの膜厚の減少量を測
定する。評価基準は、耐水性の場合と同じ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボキシル基と不飽和二重結合とを併せ
    有する化合物(A)と、シクロカーボネート基を有する
    化合物(B)とを、必須の成分として含有することを特
    徴とする、エネルギー線樹脂組成物。
  2. 【請求項2】前記したカルボキシル基と不飽和二重結合
    とを併せ有する化合物(B)が、エポキシ基を有する化
    合物と、反応性不飽和二重結合とを併せ有する化合物
    と、酸無水基を有する化合物との反応生成物である、請
    求項1に記載のエネルギー線硬樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記したカルボキシル基と不飽和二重結合
    とを併せ有する化合物(B)が、エポキシ基を有する化
    合物と、不飽和モノカルボン酸と、酸無水基を有する化
    合物との反応生成物である、請求項1に記載のエネルギ
    ー線硬樹脂組成物。
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