JPH0538870Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、外殻体内に円筒体の外周に螺旋羽根
を巻回した揚穀螺旋体と、該揚穀螺旋体を同心に
内挿し、多数の小孔が設けられた選別網体とを収
納し、揚穀螺旋体の基部に未選別穀粒を供給して
揚穀しながら選別する縦型穀類選別機に関する。

「従来の技術」 従来の縦型穀類選別機では、第５図に示すよう
に縦長の外殻体１の内部に互いに反対方向に回転
する揚穀螺旋体２と選別網体３とを同心に立設
し、小穀粒が選別排除された良穀は上方に揚穀さ
れて、選別網体の上部の放出口４から外方に排出
され、該良穀は外殻体１の内壁から選別網体３を
囲繞して設けられた上部仕切板５上に一旦落下
し、しかる後選別網体３の上部外周に配設されて
いる上部掻出羽根６によつて掻き出されて貯留タ
ンク７に送出されていた。

「考案が解決しようとする課題」 しかしながら、このような従来の縦型穀類選別
機では、上部仕切板５と上部掻出羽根６との間に
は隙間をなくすることは出来ず、この隙間には穀
粒が残留して腐敗するという問題点があつた。

また、前記上部仕切板５上に落下した良穀が、
選別網体３の外周に添つて下方に、すなわち小穀
粒と混合して排出されないように、上部仕切板５
が選別網体３を囲繞する部分にはやや深い立ち上
がり部５ａが設けられており、このため、選別網
体３の選別有効領域が小さくなると言う問題点が
あつた。

本考案は、このような従来の問題点に着目して
なされたもので、良穀が放出口近傍に残留するこ
とがなく、また、選別網体のほぼ全長を選別領域
として利用できるような縦型穀類選別機を提供す
ることを目的としている。

「課題を解決するための手段」 かかる目的を達成するための本考案の要旨とす
るところは、 縦長の外殻体の前面頭部に精穀を一時貯留する
貯留タンクを、下部に小穀粒の排出管を備え、背
面には未選別穀粒を供給する供給ホツパを設け、
外殻体の内部の下部に設けられた基台板の上に、
前記供給ホツパからの未選別穀粒を受ける受粒筒
と、該受粒筒の内部に、周上に穀粒誘導羽根を巻
回し、有底筒状の穀粒誘導筒体と、該穀粒誘導筒
体の内部に同心に円筒体の外周に螺旋羽根を巻回
した揚穀螺旋体と、基台板下部に設けられ、同心
二重反転軸の一方を前記揚穀螺旋体に、他方を前
記穀粒誘導筒体の基部に結合した駆動モータと、
前記揚穀螺旋体を囲繞し、多数の小孔を有し、裾
部は前記穀粒誘導筒体の上端部を挿嵌して結合す
る選別網体と、外殻体の天井板に枢支され、揚穀
螺旋体と選別網体の上端を同心に枢支する上部枢
支軸とで構成するとともに、 前記選別網体の上部開口端近傍の外周に、面上
に複数個の放射状に配設された排出翼を有する良
穀排出円板を固設する一方、外殻体内壁から前記
選別網体を囲繞して水平に張り出された上部仕切
板の上面に、パツキンを介して前記良穀排出円板
を回転摺動可能に支承したことを特徴とする縦型
穀類選別機に存する。

「作用」 縦型穀類選別機を始動すると、揚穀螺旋体と、
揚穀螺旋体を駆動する駆動軸とは相反方向に回転
する他の駆動軸に結合する穀粒誘導筒体と、該穀
粒誘導筒体と結合する選別網体とが回転する。

受粒筒に供給された未選別穀粒は前記穀粒誘導
筒体を通り、揚穀螺旋体の基部に送入され、揚穀
螺旋体の螺旋羽根によつて揚穀されながら外方に
跳ねだされ、選別網体によつて選別作用を受け
る。そして、選別網体を通過した小穀粒は下方に
落下して外部に排出される。

選別網体を通過しない良穀は選別網体頭部から
放出される。

選別網体の上部開口端近傍の外周には、水平に
良穀排出円板が固設されており、しかもその面上
には放射状に複数個の排出翼が設けられているか
ら、良穀は前記良穀排出円板上において遠心力と
接線力とを受け、外殻体内壁を巡つて貯留タンク
に集積される。

前記良穀排出円板は、外殻体内壁から水平に張
り出された上部仕切板の上面に、パツキンを介し
て摺動回転可能に支承されているから、該摺動面
から良穀がバイパスして小穀粒と混流することが
なく、また上部は上部枢支軸に枢支され、裾部は
穀粒誘導筒体に結合して回転する選別網体の回転
が一層安定したものとなつている。

「実施例」 以下、図面に基づき本考案の一実施例を説明す
る。

縦型穀類選別機１０は、基台１１上に鉛直に立
設された外殻体１２の前面頭部には良穀を一時貯
留する貯留タンク１３が設けられ、その下方には
小穀粒排出管１５が、また背面には未選別穀粒を
受ける供給ホツパ１４が配設され、その下方には
残留穀粒排出管１６が設けられている。

一方内部には、円筒体３１の外周に螺旋羽根３
２を巻回して成る揚穀螺旋体３０と、該揚穀螺旋
体３０と同心に、その外方を囲繞し、多数の小孔
４１を有する選別網体４０を収納している。

揚穀螺旋体３０の上部端板３３と選別網体４０
の上部支持アーム４２とは、共通の上部枢支軸２
２によつて天井板１７に枢支されている。

外殻体１２の内部には上下に仕切る基台板１８
があり、該基台板１８の下面には駆動モータ１９
が配設されており、その一の出力軸２０は基台板
１８を上方に貫通して揚穀螺旋体３０の下部端板
３４に結合している。

基台板１８の上面には、円筒状を成し、底部は
截頭円錐形をなすテーパ部５１を有する受粒筒５
０が立設されており、その上部開口端は水平に開
いた周縁部５２と、続いて円筒状の周縁立面５２
ａを成している。そして供給ホツパ１４はこの受
粒筒５０のほぼ中央付近に開口部１４ａを有して
いる。

選別網体４０の裾部には、ほぼ同径の穀粒誘導
筒体６０が選別網体４０の裾部嵌合部４３とパツ
キン４９を介して嵌合している。

前記穀粒誘導筒体６０の上端部よりやや下方に
は、第４図に示すように水平に仕切円板６２が固
設されており、その上面に放射状に小穀粒掻出羽
根を兼ねる複数個の係止部材６３が配設されてい
る。

前記仕切円板６２は、円形外周を成し、第１図
に示すように受粒筒５０の水平に成された前記周
縁板５２上のパツキン５３に摺接して、しかも外
周は受粒筒５０の周縁立面５２ａの内周一杯にな
る大きさと成つている。

選別網体４０の裾部嵌合部４３には第４図に示
すように、前記仕切円板６２上に設けられた係止
部材６３に係合する係合切欠４６が穿設されてい
る。

穀粒誘導筒体６０の下端部には、第２図、第４
図に示されるように、複数個の穀粒誘導口６４が
穿設されている。これらの穀粒誘導口６４は、そ
の上縁線６４ａは供給ホツパ１４の受粒筒５０に
おける開口部１４ａの下縁よりもかなり下方に設
けられている。

そして、さらに各穀粒誘導口６４の上縁線６４
ａに近接して始端を有し、回転時下方に向う複数
枚の穀粒誘導羽根６５が設けられている。

なお、穀粒誘導筒体６０の底板６６は駆動モー
タ１９の前記一の出力軸２０と同心に、しかも相
反回転する他の出力軸２１に結合しており、該出
力軸２１からの回転力は穀粒誘導筒体６０の前記
係止部材６３から選別網体４０に伝達される。

受粒筒５０の底面と穀粒誘導筒体６０の底板６
６との間にはパツキン６７が配設されている。

選別網体４０の上部開口端外周には、第１図、
第２図に示すように、水平の良穀排出円板４７が
設けられており、該良穀排出円板４７の上面に
は、放射状に複数枚の排出翼４８が配設されてい
る。なお、良穀排出円板４７と選別網体４０は前
記した仕切円板６２と選別網体４０の係合と同様
に、第３図に示すように良穀排出円板４７の排出
翼４８と係合する係合切欠４９ａとの嵌合によつ
て両者は連結する。更に、良穀排出円板４７につ
いては、上部仕切板２３に兼用させて排出翼４８
のみとしてもよい。

一方、外殻体１２の内壁からは、水平の上部仕
切板２３が張り出され、パツキン２４を介して前
記良穀排出円板４７と摺接している。

外殻体１２内壁の上部仕切板２３から上は、前
記良穀排出円板４７を取り囲んで密閉空間を成し
ているが、貯留タンク１３側には良穀を送り出す
良穀放出口２５が開口している。

次に作用を説明する。

供給ホツパ１４に未選別穀粒を供給して縦型穀
類選別機１０を始動すると、穀粒誘導筒体６０は
選別網体４０とともにゆつくり回転して、穀粒誘
導羽根６５は供給ホツパ１４の受粒筒５０におけ
る開口部１４ａから送給される穀粒を下方に押し
やる。受粒筒５０のテーパ部５１に沿つて前記穀
粒は穀粒誘導口６４から穀粒誘導筒体６０の内部
に押し入れられる。

穀粒誘導筒体６０の内側では揚穀螺旋体３０が
反対方向に高速に回転して穀粒を掻き揚げてお
り、選別網体４０の小孔４１によつて選別してい
る。すなわち、前記小孔４１を通過した小穀粒は
選別網体４０の外周と外殻体１２の内壁の空間を
落下して、穀粒誘導筒体６０の外周に設けられて
いる仕切円板６２の面上に堆積しようとする。し
かるに、該仕切円板６２は選別網体４０とともに
回転しているから、小穀粒は外方に跳ねだされ、
しかも前記係止部材６３は小穀粒掻出羽根を兼ね
ているから、掻き出されて小穀粒排出管１５から
外部に排出される。

一方選別網体４０の小孔４１を通過出来ないよ
うな良穀は、一部落下を繰り返しながらも上方に
揚穀され、上部開口端から放出され、回転してい
る良穀排出円板４７上に押し出され、遠心力と接
線力とを受けて外方に跳ねだされる。外殻体１２
の内壁は密閉空間と成つているからこれら良穀は
やがて良穀放出口２５から貯留タンク１３に放出
され一時貯留される。

上部仕切板２３はパツキン２４を介して前記良
穀排出円板４７を支承しているから、選別網体４
０の安定した回転確保に寄与している。また、パ
ツキン２４は良穀がバイパスして小穀粒に混流す
るのを防止している。

「考案の効果」 本考案に係る縦型穀類選別機によれば、螺旋網
体の上部開口端近傍の外周に、面上に複数枚の放
射状に配設された排出翼を有する良穀排出円板を
固設する一方、外殻体内壁から前記選別網体を囲
繞して水平に設けられた上部仕切板の上面に、パ
ツキンを介して前記良穀排出円板を回転摺動可能
に支承したから、良穀は遠心力と接線力とによつ
て貯留タンクに放出され、良穀排出円板や上部仕
切板上に残留することがなく、醗酵や腐敗の原因
となることがない。

また、前記良穀排出円板は選別網体の上部開口
端近傍に設けられ、かつ、上部仕切板は水平に取
付けられているのみで、垂直方向の立ち上がり部
分がないから、選別網体のほぼ全長を有効に選別
領域に利用可能としている。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案の一実施例を示してお
り、第１図は縦型穀類選別機の縦断面図、第２図
は良穀排出円板近傍の構成を示す斜視図、第３図
は選別網体の上部と良穀排出円板との係合関係を
示す斜視図、第４図は選別網体の基部と穀粒誘導
筒体との係合関係を示す斜視図、第５図は従来の
縦型穀類選別機の縦断面図である。 １０……縦型穀類選別機、１２……外殻体、１
３……貯留タンク、１４……供給ホツパ、１５…
…小穀粒排出管、１７……天井板、１８……基台
板、１９……駆動モータ、２０……一の出力軸、
２１……他の出力軸、２２……上部枢支軸、２３
……上部仕切板、２４……パツキン、３０……揚
穀螺旋体、３１……円筒体、３２……螺旋羽根、
４０……選別網体、４１……小孔、４７……良穀
排出円板、４８……排出翼、５０……受穀筒、６
０……穀粒誘導筒体、６５……穀粒誘導羽根。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 縦長の外殻体の前面頭部に精穀を一時貯留する
   貯留タンクを、下部に小穀粒の排出管を備え、背
   面には未選別穀粒を供給する供給ホツパを設け、
   外殻体の内部の下部に設けられた基台板の上に、
   前記供給ホツパからの未選別穀粒を受ける受粒筒
   と、該受粒筒の内部に、周上に穀粒誘導羽根を巻
   回し、有底筒状の穀粒誘導筒体と、該穀粒誘導筒
   体の内部に同心に円筒体の外周に螺旋羽根を巻回
   した揚穀螺旋体と、基台板下部に設けられ、同心
   二重反転軸の一方を前記揚穀螺旋体に、他方を前
   記穀粒誘導筒体の基部に結合した駆動モータと、
   前記揚穀螺旋体を囲繞し、多数の小孔を有し、裾
   部は前記穀粒誘導筒体の上端部を挿嵌して結合す
   る選別網体と、外殻体の天井板に枢支され、揚穀
   螺旋体と選別網体の上端を同心に枢支する上部枢
   支軸とで構成するとともに、 前記選別網体の上部開口端近傍の外周に、面上
   に複数個の放射状に配設された排出翼を有する良
   穀排出円板を固設する一方、外殻体内壁から前記
   選別網体を囲繞して水平に張り出された上部仕切
   板の上面に、パツキンを介して前記良穀排出円板
   を回転摺動可能に支承したことを特徴とする縦型
   穀類選別機。