JPH053610Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案は屋根の棟において防水性を保持しなが
ら棟瓦を固定する構造の改良に関するものであ
る。

〔背景技術〕

従来の屋根の棟は、第１図に示すように屋根(イ)
の棟芯の両側の屋根材(ロ)上に相対向した受け桟(ハ)
が受け桟固定釘(ニ)にて固定され、棟芯の上方に並
べた棟瓦(ホ)の頂部から棟瓦固定釘(ヘ)を受け桟(ハ)に
打入して棟瓦(ホ)を固定していた。しかし棟瓦(ホ)の
頂部と受け桟(ハ)との間の長さが長くて長さの長い
棟瓦固定釘(ヘ)にて固定しなければならなく、棟瓦
固定釘(ヘ)の打入に大きな打撃力を要し、棟瓦(ホ)が
破損しやすいという欠点があつた。さらに、棟瓦
固定釘(ヘ)から雨水が侵入したりすると、受け桟(ハ)
を腐敗させたりしてしまうという欠点があつた。

この欠点をなくすため第２図に示すような棟瓦
(ホ)の固定方法が提案されている。これは上端にＵ
型枠(ト)を有する受け桟固定金具（チ）を棟芯に沿
つて一定間隔で固定し、これらの受け桟固定金具
（チ）のＵ型枠(ト)に受け桟（リ）を嵌め込み、各
受け桟固定金具（チ）のＵ型枠(ト)の側面から受け
桟固定釘（ヌ）を打ち込んで受け桟（リ）をＵ型
枠(ト)に固定し、次いで棟芯に沿つて受け桟固定金
具（チ）の上方に棟瓦(ホ)を並べ、棟瓦(ホ)の頂部か
ら受け桟（リ）に棟瓦固定釘（ル）を打入して棟
瓦(ホ)を固定している。このものにあつては棟芯の
充分高い位置に支持された受け桟（リ）に棟瓦(ホ)
の頂部より棟瓦固定釘（ル）を打入しており、棟
瓦固定釘（ル）に比較的長さの短いものを使用で
き、この棟瓦固定釘（ル）の打ち込みが比較的小
さな打撃力で可能であるから棟瓦(ホ)の損傷が防止
できる。しかしながら受け桟（リ）を受け桟固定
金具（チ）のＵ型枠(ト)に固定するのに横方向から
受け桟固定釘（ヌ）を打ち込む必要があり、この
受け桟固定釘（ヌ）の打ち込む際の作業性が極め
て悪く施工がしにくいという欠点があつた。又、
雨水が棟瓦(ホ)の棟瓦固定釘（ル）の部分が棟瓦(ホ)
下端と瓦(ホ)の上面との間から吹き込みやすいとい
う欠点があつた。

〔考案の目的〕 本考案は叙述の点に鑑みてなされたものであつ
て、本考案の目的とするところは短い棟瓦固定釘
にて棟瓦を固定できて棟瓦が破損する恐れがない
のは勿論、受け桟固定金具のＵ型枠に受け桟を簡
単に固定できて作業性が良くなるとともに防水性
に優れた屋根の棟構造を提供するにある。

〔考案の開示〕

以下本考案の一実施例に係る第３図乃至第５図
に基づいて説明する。

本考案屋根の棟構造は上端にＵ型枠１を有する
受け桟固定金具２が棟芯に棟長手方向に一定の間
隔で立設され、これらの受け桟固定金具２のＵ型
枠１に受け桟３が嵌め込まれると共にＵ型枠１の
両側片より延出した折曲自在の押さえ片４が折曲
されて押さえ片４にて受け桟３の上面が押圧固着
され且つ波形瓦や平板瓦の屋根材５上に固着され
た笠木６と受け桟固定金具２とを被装するように
防水シート７を固着せしめ、さらに棟芯に沿つて
受け桟固定金具２の上方に棟瓦８が並べられ、こ
れらの各棟瓦８の頂部から上記受け桟３に棟瓦固
定釘９が打入されて棟瓦８が固定されたものであ
つて、上述のように構成することにより従来例の
欠点を解決したものである。つまりＵ型枠１の両
側片より延出した押さえ片４が折曲されて押さえ
片４にて受け桟３の上面が押圧固着されるように
したことにより、従来のように作業性の悪い側面
からの受け桟固定釘の打入を要せず、押さえ片４
の折曲だけで受け桟３が固定できるようにして施
工がしやすいようにしたものである。又、防水シ
ート７を笠木６と受け桟固定金具２とを被装する
ようにしているから雨水が棟瓦８を固定している
棟瓦固定具２から伝つて受け桟３上に流れたり、
棟瓦下端と屋根材５の上面との間から吹き込んで
もこの防水シート７によつて雨水が防水シート７
内に侵入することもない。以下本考案を実施例に
より詳述する。

受け桟固定金具２は２枚の鋼板を上下端部を除
いて背中合わせに溶接して形成され、上部にＵ字
状のＵ型枠１が折曲加工により設けてある。Ｕ型
枠１の両側片の上端より上方に押さえ片４を延出
してある。受け桟固定金具２の下部には二股状に
なつた固定片１０を設けてあり、固定片１０に釘
孔１１を形成してある。屋根１２は野地板１３の
上に波状瓦、平板瓦等の窯業系材料の屋根材５を
葺いて形成されている。上記受け桟固定金具２は
上記屋根１２の棟芯に棟の長手方向に一定の間隔
を隔てて立設されている。つまり棟部で受け桟固
定金具２の固定片１０を野地板１３に載置し、釘
孔１１から固定釘１４を野地板１３に打入して固
定し、その上に屋根材５を載置してある。さら
に、この屋根材５上に笠木６が釘１５で固着され
る。木質材にて形成せる角材状の受け桟３は棟芯
の長手方向に沿つて配置され、受け桟３が上記受
け桟固定金具２のＵ型枠１に嵌め込まれている。
受け桟３をＵ型枠１に嵌め込んだ後押さえ片４が
内方に折曲され、押さえ片４にて受け桟３の上面
を押圧し釘１６で固着してＵ型枠１内に受け桟３
が保持されている。棟瓦８は窯業系材料にて略半
円筒状に形成され、棟瓦８は棟芯に沿つて受け桟
固定金具２の上方に並べられて棟部が覆われてい
る。さらに、笠木６と受け桟固定金具２を被装す
るようにしてアスフアルトフエルトやポリエチレ
ンシートなどの防水シート７をガンタツカーで留
めつける。この棟瓦５の頂部より棟瓦固定釘９が
受け桟３に打入されて棟瓦８が固定されている。
尚、１７は棟面戸である。

〔考案の効果〕

本考案は叙述のように上端にＵ型枠を有する受
け桟固定金具が棟芯に棟長手方向に一定の間隔で
立設され、これらの受け桟固定金具のＵ型枠に受
け桟が嵌め込まれて取り付けられ、さらに笠木と
受け桟固定金具とを被装するように防水シートを
固着し、その後で棟芯に沿つて受け桟固定金具の
上方に棟瓦が並べられ、これらの各棟瓦の頂部か
ら上記受け桟に棟瓦固定釘が打入されて棟瓦が固
定されているので、棟芯の上方に位置する受け桟
に短い棟瓦固定釘にて棟瓦を固定できて棟瓦が破
損したりしないように棟瓦を取り付けることがで
きるのは勿論、Ｕ型枠の両側片より延出した押さ
え片が折曲されて押さえ片にて受け桟の上面が押
圧支持されるので、押さえ片を折曲するだけでＵ
型枠内に受け桟を保持できて従来のように側面か
ら受け桟固定釘を打入するのに比べて作業性良く
受け桟をＵ型枠内に保持できて従来に比べて施工
がしやすいものである。さらに、防水シートを棟
瓦内部に配設した笠木と受け桟固定金具とを被装
するようにしているから雨水が棟瓦を固定してい
る棟瓦固定具から伝つて受け桟上に流れたり、棟
瓦下端と屋根材の上面との間から吹き込んでもこ
の防水シートによつて小屋裏内に侵入することも
ない。そのために、笠木や受け桟などの木質部材
を腐敗させることもないので実用的である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来の屋根の棟構造を示す
妻側から見た要部の縦断面図、第３図は本考案の
一実施例に係る妻側から見た要部の縦断面図、第
４図は本考案の受け桟固定具を受け桟を介して折
曲している状態を示す要部の斜視図、第５図は本
考案の受け桟固定具を示す斜視図である。 １……Ｕ型枠、２……受け桟固定金具、３……
受け桟、４……押さえ片、５……屋根材、６……
笠木、７……防水シート、８……棟瓦、９……棟
瓦固定釘。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上端にＵ型枠を有する受け桟固定金具が棟芯に
   棟長手方向に一定の間隔で立設され、これらの受
   け桟固定金具のＵ型枠に受け桟が嵌め込まれると
   共にＵ型枠の両側片より延出した押さえ片が折曲
   されて押さえ片にて受け桟の上面が押圧固着され
   且つ屋根材上に固着された笠木と受け桟固定金具
   とを被嵌するように防水シートを固着せしめ、さ
   らに棟芯に沿つて受け桟固定金具の上方に棟瓦が
   並べられ、これらの各棟瓦の頂部から上記受け桟
   に棟瓦固定釘が打入されて棟瓦が固定されたこと
   を特徴とする屋根の棟構造。