JPH0534398U - 低温タンクのメンブレン固定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 メンブレンの座屈変形の防止を図った。 【構成】 メンブレン２とコンクリート躯体１とを保冷
材３を介して固定するアンカー本体４を、メンブレン溶
接用の頭部５を有する円筒体６に形成し、その下端の取
付フランジ７に周方向に長い複数のボルト孔８を形成し
たことを特徴としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は低温の液体を貯蔵するタンクの内壁に貼られたメンブレンの固定装置 に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来技術の一例を図７に示す。コンクリート躯体１とメンブレン２の間に保冷 材３がある。メンブレン２は円板１５に溶接され、円板１５に連なる取付けボル ト１５によって躯体１に固着されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

例示した従来技術では、メンブレン重量によって生じる曲げ力に耐えるために アンカーボルトの径を大きくする必要がある。 一方、タンク内部の温度変動により、メンブレンの面内での回転が生じうるが 、この時、アンカーボルト径が大きすぎるとボルトが捩れ変形できにくくなるた め、メンブレンに過大な応力を生じ、座屈変形を発生させる。

【０００４】 本考案は、このような不具合に対処するため開発されたものであってメンブレ ンの座屈変形を防止することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するための本考案の構成を実施例に対応する図１乃至図６を 用いて説明すると本考案はメンブレン２とコンクリート躯体１とを保冷材３を介 して固定するアンカー本体４を、メンブレン溶接用の頭部５を有する円筒体６に 形成し、その下端の取付フランジ７に周方向に長い複数のボルト孔８を形成した ことを特徴とする。

【０００６】 更に本考案はメンブレン２とコンクリート躯体１とを保冷材３を介して固定す るアンカー本体４を、メンブレン溶接用の頭部５を有する開断面形状の型鋼１０ に形成したことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

そして本考案は上記の手段によりアンカー本体の取付けフランジに開けてある ボルト孔は、円周方向に長いのでメンブレンの熱収縮による面内回転が生じたと きもアンカー本体はメンブレンと共に回転出来メンブレンにねじれ応力を発生さ せることはない。

【０００８】 又開断面形状の型鋼は曲げ力に対しては強いがねじれに対する剛性は弱いので 、メンブレン自重による曲げ力を支持しながら、かつメンブレンの熱収縮による ねじれ変形には抵抗せずメンブレンに屈応力を発生させることはない。

【０００９】

【実施例】

本考案の第１実施例を図１及び図２に基づいて説明すると、１はコンクリート 躯体、２はメンブレン、３は保冷材を示し、メンブレン２にはひだ２ａに囲まれ た平板部中央に穴２ｂを穿設し、該穴２ｂの縁に沿ってアンカー本体４を溶接し 、該アンカー本体４は図２に示すように穴２ｂの縁に沿って溶接される頭部５を 有する円筒体６に形成しその下端の取付フランジ７に周方向に長い複数のボルト 孔８を形成し、該ボルト孔８に取付ボルト９を緩く締めることによりアンカー本 体４はボルト孔８の長さだけ可転可能とした。

【００１０】 次に本考案の第２実施例を図３及び図４に基づいて説明するとメンブレン２の ひだ２ａに囲まれた平板部中央に穿設された穴２ｂに沿って溶接されるアンカー 本体４は、これを図４に示すように穴２ｂの縁に沿って溶接される頭部５を有す る開断面形状のＩ型の型鋼１０に形成し、その下端の取付フランジ１１に複数の ボルト孔１２を形成し、該ボルト孔１２に挿入されるボルト１３によりコンクリ ート躯体１に固着させた。

【００１１】 なお開断面形状の型鋼１０は図５ａに示すようにＩ型鋼や図５ｂに示すＵ型鋼 や図５ｃに示すＣ型鋼などが用いられる。 かくて液化ガス等の低温液を貯槽内に入れると、図６に示すようにメンブレン ２は熱収縮を起こす。 その際、メンブレンひだ２ａは長手方向には収縮するが、直角方向には引張ら れて広がるという性質があるためひだ２ａに囲まれた平板部には図中に示すよう な回転変形が生じる。

【００１２】 しかし第１実施例のようにアンカー本体４をメンブレン２を溶接する頭部５を 有する円筒体６に形成しその下端の取付フランジ７のボルト孔８が円周方向に長 いため、アンカー本体４はメンブレン２の回転に伴って回転し、メンブレン２に 面内ねじれ応力を発生させることはない。 さらにアンカー本体４は径の大きな円筒で作られているため、メンブレン２自 重による曲げ力を十分支持できる。

【００１３】 又第２実施例のようにアンカー本体４をメンブレン２を溶接する頭部５を有す る開断面形状の型鋼１０はねじれ剛性が小さいためメンブレン２の回転変形に抵 抗せず、いっしょに回転し、メンブレン２に面内ねじれ応力を発生させることが ない。さらにアンカー本体４は曲げ剛性は大きいのでメンブレン２自重を支える 役割は十分に果たす。

【００１４】

【考案の効果】

本考案は上述のとおり構成されていので次に記載する効果を有する。請求項１ の装置においてはアンカー本体をメンブレンを溶接する頭部を有する円筒体に形 成し、その下端の取付フランジに周方向に長い複数のボルト孔を形成したから該 ボルト孔にボルトを介して緩く取付けられるアンカー本体はメンブレンの熱収縮 により回転変形が生じてもアンカー本体の取付部が回転自在であるためメンブレ ンに面内ねじれ応力が発生して座屈することがない。

【００１５】 又請求項２の装置においてはアンカー本体をメンブレンを溶接する頭部を有す る開断面形状の型鋼に形成したから該型鋼はねじれ剛性が弱く変形を防げないた めメンブレン面内ねじれ応力が発生して座屈することはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例を示すもので（ａ）は断面
図、（ｂ）は平面図である。

【図２】本考案の第１実施例を示すアンカー本体の斜視
図である。

【図３】本考案の第２実施例を示すもので（ａ）は断面
図、（ｂ）は平面図である。

【図４】本考案の第２実施例を示すアンカー本体の斜視
図である。

【図５】本考案の第２実施例を示すアンカー本体の断面
図である。

【図６】メンブレンの回転を示す説明図で（ａ）は平面
図、（ｂ）は断面図である。

【図７】従来例を示すもので（ａ）は断面図、（ｂ）は
平面図である。

【図８】従来型と本考案のアンカー本体の剛性を比較し
た図である。

【符号の説明】

１ コンクリート躯体 ２ メンブレン ３ 保冷材 ４ アンカー本体 ５ 頭部 ６ 円筒体 ７ 取付フランジ ８ ボルト孔 １０ 型鋼

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 メンブレンとコンクリート躯体とを保冷
   材を介して固定するアンカー本体を、メンブレン溶接用
   の頭部を有する円筒体に形成し、その下端の取付けフラ
   ンジに周方向に長い複数のボルト孔を形成したことを特
   徴とする低温タンクのメンブレン固定装置。
2. 【請求項２】 メンブレンとコンクリート躯体とを保冷
   材を介して固定するアンカー本体を、メンブレン溶接用
   の頭部を有する開断面形状の型鋼に形成したことを特徴
   とする低温タンクのメンブレン固定装置。