JPH05333575A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH05333575A
JPH05333575A JP14027692A JP14027692A JPH05333575A JP H05333575 A JPH05333575 A JP H05333575A JP 14027692 A JP14027692 A JP 14027692A JP 14027692 A JP14027692 A JP 14027692A JP H05333575 A JPH05333575 A JP H05333575A
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JP14027692A
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Toshiro Saito
俊郎 斎藤
Shigeo Suzuki
重雄 鈴木
Toshiyuki Kobayashi
稔幸 小林
Akira Hosoya
明 細谷
Tsuneaki Kawanishi
恒明 川西
Kenji Murao
健二 村尾
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】フタロシアニン化合物とn型導電性顔料を硫酸
に溶かし、不溶性溶媒に析出させることにより、両材料
の緊密な混合物を作り、光電変換効率の高い複合電荷発
生材料を製造する。これを用いて、高感度電子写真感光
体を製造できる。 【効果】無添加の材料を電荷発生材料として用いた場合
に比べて、感度が2倍以上向上する。また、本発明によ
る材料は、光センサーや太陽電池等の光電変換材料一般
に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フタロシアニン化合物
とn型導電性顔料から得られる電荷発生材料を用いた、
感度の高い電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】フタロシアニン類は良好な光導電性を示
し、電子写真感光体の電荷発生材料などに使用されてい
る。該化合物は、中心金属の種類や結晶型により吸収ス
ペクトルや光導電性が異なる。例えば、オキシチタニウ
ムフタロシアニンには、種々の結晶型が存在し、電子写
真感光体に適用した場合には、帯電性,暗減衰,感度等
に大きな差がある。
【0003】感度の高い結晶型は準安定型である場合が
多く、感度と安定性を両立することは難しい。例えば、
α型チタニルフタロシアニンは高感度ではあるが、安定
性が悪く、安定なβ型チタニルフタロシアニンは感度は
劣るという欠点を有している。電荷発生層を塗布するた
めの分散液を調合する際には、電荷発生材料粒子の分散
性を良好にするため、適当な分散媒のもとで、ボールミ
ルやペイントシェーカー等により機械的な摩砕力を加え
る方法が用いられることが多いが、その際、準安定型の
フタロシアニンを電荷発生材料に用いると、他のより安
定な結晶型に変化しやすく、本来の優れた電荷発生特性
が損なわれてしまうという問題が生じることが多い。ま
た、結晶型を感度の高い準安定型に転移させるには、長
時間のミリングや種々の有機溶剤処理が必要であり、生
産性に問題がある。
【0004】一方、感度の低い安定型のフタロシアニン
と異種材料を組み合わせて感度の向上を試みた報告がい
くつか為されている。米国特許第3992205 号には、赤外
領域に吸収を持たないペリレン系顔料やキナクドリン顔
料と無金属フタロシアニン(重量比5%程度)を共蒸着
して電荷発生材料を作り、感度を長波長にのばすことが
開示されている。しかし、感度は長波長に伸びたものの
不十分であり、可視域の感度はほとんど向上していな
い。また、蒸着法であるため生産性に問題が残る。
【0005】特開昭63−271463号では、ポリカーボネー
ト中に、ペリレン系顔料と、銅と無金属フタロシアニン
との共沈物を重量比1:0.025 で加え、更にヒドラ
ゾン系電荷輸送剤を加えて単層の感光体を製造すること
が開示されている。ペリレン系顔料単独よりも長波長側
に感度の向上が認められるが、半導体レーザ用感光体と
しては不十分である。
【0006】また、特開昭60−254142号では、ペリレン
系顔料と正孔輸送材を適当な結合剤中に分散することに
より単層の感光体を製造することが開示されている。し
かし、波長700nmよりも長波長側には十分な感度を
有しない。
【0007】波長700nmよりも長波長に優れた感度
を持ち、結晶型が安定でなおかつ製造方法が簡便なフタ
ロシアニン化合物が望まれていた。
【0008】一方、古くから、光電変換材料にp−n接
合を利用してその光電変換効率を向上させようという試
みは為されてきた。有機物を用いた例としては、例え
ば、タンによってp型の電気的性質を持つフタロシアニ
ン化合物とn型の性質を持つペリレン系顔料の蒸着膜を
積層にしてp−n接合を作り、太陽電池を作製した例が
報告されている(アプライド フィジックス レター
48巻183頁1986年)。この例のように、従来、
p−n接合を作り光電変換効率を向上させるためには、
二つの材料の薄膜を蒸着により積層することが不可欠で
あった。そのため、この方法を電子写真感光体に応用す
るには、二つの材料を蒸着により積層させる必要が生じ
るが、生産性の問題から適用は困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高安
定性と高感度の両立した電荷発生材料を用いて電子写真
感光体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、大部分のフタロシアニン化合物が示すp
型半導体としての性質に着目し、それと電気的性質が異
なるn型導電性顔料とを粒子の状態で密着させ、その界
面に電荷分離を促す接合面をつくりだすことにより、結
晶型によらずフタロシアニン化合物の光電変換効率を飛
躍的に向上させ、高安定性と高感度の両立した電荷発生
材料を用いて電子写真感光体を提供するものである。具
体的には、フタロシアニン化合物とn型導電性顔料を共
に同一の溶剤に溶解し、その溶液を両材料が不溶である
溶剤中に注ぐことにより共沈させて緊密な混合物である
複合電荷発生材料を製造し、それを結着樹脂中に分散し
てなる層を用いて高感度電子写真感光体を提供するもの
である。
【0011】上記目的を達成するため、発明者らは、外
因的電荷発生機構を詳細に調べた。フタロシアニン化合
物に種々の添加剤を加え複合化することを鋭意検討した
結果、フタロシアニンをアシッドペースト処理する際に
特定のn型顔料を加え、複合顔料とすることにより感度
が飛躍的に向上することを見出すに到った。この複合顔
料を適当な結着樹脂に分散して導電性基板に塗工するこ
とにより電荷発生層を形成し、その上に適当な電荷輸送
層を形成することにより、高感度で耐久性に優れた積層
型電子写真感光体を製造できる。あるいは、複合顔料と
適当な電荷輸送剤を同一の結着樹脂に分散し単層の高感
度感光体を製造することもできる。
【0012】
【作用】本発明は、フタロシアニン化合物のp型半導体
としての電気的な性質に着目し、これとn型半導体とし
て働く材料の緊密な混合物を作り、電気的性質の異なる
2つの材料を緊密に接触させることによりその接触界面
に内部電場を形成させて電荷分離を促進させ、高感度電
荷発生材料、すなわち高感度電子写真感光体を提供する
ものである。
【0013】以下本発明を詳細に説明する。
【0014】フタロシアニン化合物と特定のn型導電性
顔料とを重量比1:0.01 〜1:0.5 、好ましくは
1:0.15〜1:0.2の割合で共通溶剤に溶解させ
る。固形物と共通溶剤との割合は、重量比で1:10〜
1:30が望ましい。得られた顔料溶液を、十分にかく
はんした共通の不溶溶剤中に少しずつ滴下する。不溶溶
剤の量は、体積比で顔料溶液の10倍から20倍程度が
実用に適する。析出物を遠心分離や吸引濾過により集
め、上ずみのpHが5〜6になるまで十分に不溶溶剤で
洗浄をする。得られたペーストにメタノールを重量比で
1:2〜1:10加え十分洗浄した後乾燥し目的の電荷
発生物質を得る。図1に、得られた材料粉末の模式図を
示す。走査型電子顕微鏡で観測すると、用いる材料によ
り両粒子の大きさは変化するが、フタロシアニン粒子は
約2μm以下、n型導電性顔料粒子は約1μm以下で、
両粒子は分散付着していることが分った。
【0015】材料接触界面に内部電場を形成するために
は、用いるn型伝導性顔料のフェルミ準位がフタロシア
ニン化合物のそれよりも高いという条件を満たす組合わ
せを選ぶ必要がある。
【0016】フタロシアニン化合物としては、チタニル
フタロシアニン,無金属フタロシアニン,クロロインジ
ウムフタロシアニン,銅フタロシアニン,マグネシウム
フタロシアニン,すずフタロシアニン,マンガンフタロ
シアニン,鉄フタロシアニン,鉛フタロシアニン,コバ
ルトフタロシアニン,ニッケルフタロシアニン,亜鉛フ
タロシアニン,バナジルフタロシアニン等p型半導体の
性質を持つほとんどすべてのフタロシアニン化合物を使
用でき、またそれらの置換体及び誘導体も使用できる。
【0017】n型導電性顔料は、電子が主要キャリアと
して働き導電性を示す顔料であり、例えば、ペリレン−
テトラカルボン酸ジイミド及びその誘導体,トランス−
ペリノン系化合物,縮合キノン類,モノアゾ,ビスアゾ
等のアゾ顔料,テトラピリジルポルフィリン等のポルフ
ィリン化合物などが挙げられる。
【0018】フタロシアニン化合物とn型導電性顔料の
共通溶剤としては、硫酸,硝酸,王水,α−クロロナフ
タレン等を挙げることができるが、溶解度や生産性から
硫酸を用いるのが最も好ましい。溶解する際には、スタ
ーラー等により十分撹拌することが好ましい。
【0019】フタロシアニン化合物とn型導電性顔料の
共通の不溶溶剤としては、上記の共通溶剤以外の大部分
の有機溶剤を用いることができるが、メタノール,エタ
ノール等のアルコール類や水が好ましい。水を用いる際
には、脱イオン水を用いることが好ましい。
【0020】得られた電荷発生物質に適当な分散溶剤を
加え、ポールミル,ペイントシェカー等の通常の方法で
粉砕分散した後、適当な結着樹脂を加えて電荷発生層の
塗液を作る。結着樹脂にたいする電荷発生物質の割合は
好ましくは、10〜600重量%、更に好ましくは50
〜400重量%であり、分散溶剤には、テトラヒドロフ
ラン、1,2−ジクロロエタン,ジクロルメタン,クロ
ロホルム,ブチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド,アセトン,ジオキサン,酢酸エチル,エタノール,
イソプロパノール,ジメチルスルホキシド等を挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。結着
樹脂としては、任意のものを用いることができるが、特
に疎水性でかつ誘電率の高い電気絶縁性のフィルム形成
能を有する高分子重合体が好ましい。例えば、ポリビニ
ルブチラール,シリコーン樹脂,ポリエステル,メチク
リル樹脂,ポリビニルアセテート,ポリカーボネート,
アクリル樹脂,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル等が挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0021】導電性基板上に電荷発生層の塗液を、浸漬
法,スピンコート法など通常の方法で塗工し乾燥して電
荷発生層を形成する。導電性基板にはあらかじめ、下引
き層を形成していてもよい。膜厚は、0.01 〜20μ
mであることが好ましいが、更に好ましくは0.05 〜
5μmである。この電荷発生層の上に、電荷輸送物質を
樹脂中に分散した電荷輸送層を塗工形成し、積層感光体
を作製する。図2に積層感光体の構成を示す。電荷輸送
物質としては、オキサゾール系化合物,トリフェニルア
ミン系化合物,ヒドラゾン系化合物,ブタジェン系化合
物,ピラゾリン系化合物などが挙げられる。結着樹脂に
対する電荷輸送物質の割合は好ましくは10〜500重
量%であり、電荷輸送層の膜厚は5〜30μmである。
【0022】また、同一の結着樹脂に、電荷発生物質と
電荷輸送物質を分散することにより単層の感光体を作製
することもできる。
【0023】上記感光体を感光ドラムに用いた電子写真
装置の概略図を図3に示す。
【0024】まず、感光体を一様に帯電させた後画像情
報を持つレーザー光を照射し、感光体上に静電画像を形
成し、現像剤で現像した後それを紙,フィルムシート等
の支持体に転写して画像を得るものである。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。評
価は、光電変換効率の測定と、通常の積層感光体として
の電子写真特性の測定により行った。
【0026】〈実施例1〉特開昭62−256866号に記載さ
れている処方にしたがい、チタニルフタロシアニンを得
た。チタニルフタロシアニン10gとペリレン顔料
(N,N′−ジメチル−3,4,9,10−テトラカル
ボン酸ジイミド、BASF社製、商品名Paliogen Maroo
n L3885)lgを硫酸200gに溶解させた後、その溶液
を脱イオン水2000ml中に十分かくはんしながらゆ
っくり滴下した。析出物を脱イオン水で上ずみのpHが
5〜6になるまで洗浄し、得られたペーストを1,2−
ジクロロエタンを十分洗浄したあとメタノールで2回洗
浄して真空乾燥機で乾燥した。
【0027】得られた電荷発生物質0.2gにテトラヒ
ドロフラン14.5gを加えボールミルで5時間粉砕分
散処理をした後、シリコーン樹脂(信越化学製、KR−
5240)25.3g を加え、超音波で十分分散処理を行い
電荷発生層の塗液を作製した。NESAガラス(100
Ω/cm2)上にSiOx薄膜を1500〜2000Å形成
したものに上記塗液を浸漬法により塗工し、140℃で
1時間乾燥した後その上にアルミ対向電極を形成してサ
ンドイッチセルを作製した。試料の膜厚は、約5μmで
あった。このサンドイッチセルを用いて電荷発生材料の
光電変換効率を測定した。
【0028】また、得られた電荷発生物質2gにテトラ
ヒドロフラン70gを加えボールミルで5時間粉砕分散
処理をした後、シリコーン樹脂(信越化学製、KR−52
40)7.5g を加え、超音波で十分分散処理を行い電荷
発生層の塗液を作製した。電荷輸送物質A4.6gとポ
リカーボネート(GE製、レキサン141)13.6g
を塩素系混合溶剤(塩化メチレン:1,2−ジクロエタ
ン=1:1)112gに溶かし、電荷輸送層の塗液を作
製した。アルミ基板に電荷発生層0.3μm を浸漬法に
より形成し、その上に電荷輸送層20μmを同じ方法で
形成して積層型感光体を作製した。
【0029】
【化1】
【0030】〈実施例2〉チタニルフタロシアニンの代
わりに無金属フタロシアニン(コダック社製)を用いた
以外は実施例1と同様に光電変換効率測定用のサンドイ
ッチセルと積層感光体試料を作製した。
【0031】〈実施例3〉特開昭59−44054 号に記載さ
れている処方にしたがいクロロインジウムフタロシアニ
ンを得た。チタニルフタロシアニンの代わりにクロロイ
ンジウムフタロシアニンを用いた以外は実施例1と同様
に光電変換効率測定用のサンドイッチセルと積層感光体
試料を作製した。
【0032】〈実施例4〉チタニルフタロシアニンの代
わりにマグネシウムフタロシアニン(コダック社製)を
用いた以外は実施例1と同様に光電変換効率測定用のサ
ンドイッチセルと積層感光体試料を作製した。
【0033】〈実施例5〉チタニルフタロシアニンの代
わり亜鉛フタロシアニン(コダック社製)を用いた以外
は実施例1と同様に光電変換効率測定用のサンドイッチ
セルと積層感光体試料を作製した。
【0034】〈比較例1〉ペリレン顔料を加えない以外
は実施例1と同様に光電変換効率測定用のサンドイッチ
セルと積層感光体試料を作製した。
【0035】〈比較例2〉実施例1と同じ配合割合でチ
タニルフタロシアニン0.18g とペリレン顔料(N,
N′−ジメチル−3,4,9,10−テトラカルボン酸
ジイミド)0.02gをテトラヒドロフラン14.5g に加
えボールミルで5時間粉砕分散処理をした後、シリコー
ン樹脂(信越化学製、KR−5240)25.3g を加
え、超音波で十分分散処理を行い電荷発生層の塗液を作
製した。それ以外は実施例1と同様に光電変換効率測定
用のサンドイッチセルを作製した。
【0036】また、実施例1と同じ配合割合でチタニル
フタロシアニン1.82g とペリレン顔料(N,N′−
ジメチル−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミ
ド)0.18g をテトラヒドロフラン70gに加えボー
ルミルで5時間粉砕分散処理をした後、シリコーン樹脂
(信越化学製、KR−5240)7.5g を加え、超音
波で十分分散処理を行い電荷発生層の塗液を作製した。
それ以外は実施例1と同様に積層感光体を作製した。
【0037】〈比較例3〉ペリレン顔料を加えない以外
は実施例2と同様に光電変換効率測定用のサンドイッチ
セルと積層感光体試料を作製した。
【0038】〈比較例4〉ペリレン顔料を加えない以外
は実施例3と同様に光電変換効率測定用のサンドインチ
セルと積層感光体試料を作製した。
【0039】〈比較例5〉ペリレン顔料を加えない以外
は実施例4と同様に光電変換効率測定用のサンドイッチ
セルと積層感光体試料を作製した。
【0040】〈比較例6〉ペリレン顔料を加えない以外
は実施例5と同様に光電変換効率測定用のサンドインチ
セルと積層感光体試料を作製した。
【0041】〈評価〉光電変換効率の評価は、次のよう
に行った。
【0042】β型銅フタロシアニンの光電変換効率は、
ポポビックによって、蛍光の電場消光効率と過渡光電流
強度の測定から、報告されている(ケミカルフィジック
ス86巻311−321頁1984年)。したがって、
β型銅フタロシアニンの過渡光電流強度と他材料のそれ
とを比較することにより、他材料の光電変換効率を求め
ることができる。過渡光電流測定法は次の通りである。
アルミ電極に正の電圧を印加し、NESA電極とグラン
ド間に100kΩの抵抗を挿入し、パルス光を照射する
ことにより抵抗の両端に生じる電位変化を測定した。こ
の電位変化は発生する電荷量に比例する。励起光源には
Xeフラッシュランプを用い、バンドパスフィルタで7
80nm付近の光だけを励起光とした。結果を表1に示
す。
【0043】
【表1】
【0044】表1から明らかなように、ペリレン顔料を
加えて硫酸処理した材料の光電変換効率は、無添加の場
合に比較して格段に向上していることが分かる。また、
本発明により、電場強度が1×105V/cmから5×1
5V/cmの電場を印加した場合において、光電変換効
率が30%以上の電荷発生材料を得られることが分か
る。
【0045】また、上記の方法で作製した感光体につい
ては、静電記録紙評価装置(川口電気社製SP−428
型)を用い、電子写真特性を測定した。測定は、−5k
Vのコロナ帯電を10秒間行い、この時の帯電電位V0
(−V)、帯電電位に対する暗所放置10秒後の電位
(V10)の割合(V10/V0)を暗減衰(%)とした。ま
た、感度は暗所に10秒後放置後、照度21uxの白色
光(タングステンランプ)で露光し、露光前の電位が半
分になるまでに要する時間を求めて感度(照度と時間の
積で表示)とした。結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】表2から明らかなように、ペリレン顔料を
加えて硫酸処理をしたものを電荷発生材料に用いた感光
体は、無添加の物を用いた場合(比較例1)やフタロシ
アニン化合物とペリレン顔料とを同じバインダポリマー
に分散しただけの電荷発生層を用いた場合(比較例2)
に比べて感度が非常に優れていることがわかる。フタロ
シアニン化合物とペリレン顔料の仕事関数,吸収スペク
トルから見積もったエネルギーギャップからバンドモデ
ルをもとに考えると、両者の間でp−n接合が形成され
ており、それが電荷分離を促進したためにペリレン顔料
添加により感度が向上したものと理解される。暗減衰に
は、大きな変化は見られない。したがって、フタロシア
ニン化合物とペリレン顔料とを共に硫酸処理をして製造
した材料は、電子写真感光体の電荷発生材料として優れ
ていることが分かる。
【0048】また、2つの材料を単に同じバインダポリ
マーに分散しただけでは光電変換特性の向上は認められ
ないことから電子のやり取りを伴った接触界面の形成は
不十分であると推測される。それに対して、共に硫酸処
理をすると、材料間の緊密な接触を十分に形成でき、そ
のため光電変換特性が格段に向上したものと推測でき
る。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、フタロシアニン化合物
とn型顔料とを複合化することにより高感度でかつ分散
条件によらず感度特性の安定な電荷発生材料を製造でき
る。
【0050】また、本発明による材料は、光センサーや
太陽電池等の光電変換材料一般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合電荷発生材料粉末の模式図を示したもので
ある。
【図2】積層感光体の構成を示したものである。
【図3】電子写真装置の概略図を示したものである。
【符号の説明】
1…フタロシアニン化合物粒子、2…n型導電性顔料粒
子、11…導電性基板、12…電荷発生層、13…電荷
輸送層、20…感光ドラム、21…現像剤、22…トナ
ー、23…現像器、24…レーザー光、25…帯電器、
26…クリーナー、27…転写器、28…支持体、29
…定着器、30…加熱ロール、31…支持ロール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細谷 明 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 川西 恒明 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 村尾 健二 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基板,電荷発生材料,電荷輸送材料
    からなる電子写真感光体において、電荷発生材料がフタ
    ロシアニン化合物とn型導電性顔料を共に同一の溶剤に
    溶解し、その溶液を両材料が不溶である溶剤中に注ぐこ
    とにより共沈させてつくる緊密な混合物を、結着樹脂中
    に分散してなる層であることを特徴とする電子写真感光
    体。
  2. 【請求項2】導電性基板,電荷発生材料,電荷輸送材料
    からなる電子写真感光体において、電荷発生材料がフタ
    ロシアニン化合物粒子とn型導電性顔料粒子とがいずれ
    かの表面に付着した状態であることを特徴とした電子写
    真感光体。
  3. 【請求項3】フタロシアニン化合物粒子の粒径が0.0
    5 〜2μm、n型導電性顔料粒子の粒径が0.01 〜
    1μmであることを特徴とする請求項2記載の電子写真
    感光体。
  4. 【請求項4】導電性基板,電荷発生材料,渉荷輸送材料
    からなる電子写真感光体において、フタロシアニン化合
    物とn型導電性顔料を共に同一の溶剤に溶解し、その溶
    液を両材料が不溶である溶剤中に注ぐことにより共沈さ
    せてつくる緊密な混合物を結着樹脂中に分散してなる層
    を有する電子写真感光体を用いた電子写真装置。
JP14027692A 1992-06-01 1992-06-01 電子写真感光体 Pending JPH05333575A (ja)

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Cited By (8)

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