JPH0532780A - 芳香族スルフイド/ケトン重合体の製造法 - Google Patents

芳香族スルフイド/ケトン重合体の製造法

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JPH0532780A
JPH0532780A JP3193157A JP19315791A JPH0532780A JP H0532780 A JPH0532780 A JP H0532780A JP 3193157 A JP3193157 A JP 3193157A JP 19315791 A JP19315791 A JP 19315791A JP H0532780 A JPH0532780 A JP H0532780A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性に優れた芳香族スルフィド/ケトン重合
体について、品質の安定したものを経済的に生産する方
法を提供する。 【構成】有機溶媒中で、4,4’−ジハロベンゾフェノ
ン(A)とスルフィド化剤(B)、例えばNa2S・5
2Oを、該(B)中の硫黄1モル当たり(A)を0.
45〜0.53モルの範囲で反応させ、次いでこれに置
換基を有してもよいジハロベンゼンまたは同ジハロナフ
タリン(C)、例えばp−ジクロロベンゼンを加えて反
応させてなる、一般式 [−S−Ar−S−φ−CO−
φ−](但し、−Ar−は置換基を有してもよいフェニ
レン基またはナフタレン基を、−φ−はp−フェニレン
基を示す。)で示される繰り返し構造単位を90%以上
有する芳香族スルフィド/ケトン重合体の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一般式 [−S−Ar−
S−φ−CO−φ−] (但し、−Ar−は置換基を有
してもよいフェニレン基または同ナフタレン基を、−φ
−はp−フェニレン基を示す。)で示される繰り返し構
造単位を有する芳香族スルフィド/フェニレンスルフィ
ドケトン交互重合体(以下、芳香族スルフィド/ケトン
重合体と略す。)の製造法に関する。
【0002】本発明の方法で得られる芳香族スルフィド
/ケトン重合体は各種成形品やフィルム、繊維、電気・
電子部品等の材料として好適な、耐熱性、成形加工性、
寸法安定性等に優れたポリマーである。
【0003】
【従来の技術】近年、自動車・電子・電気産業におい
て、耐熱性があって溶融加工が容易な結晶性熱可塑性樹
脂が強く求められてきている。そしてポリフェニレンス
ルフィド(以後、PPSと略す)やポリフェニレンスル
フィドケトン(以後、PPSKと略す)などのエンジニ
アリングプラスチックが耐熱性に優れた熱可塑性樹脂と
して開発され、実用化が進められている。
【0004】しかし、例えば、耐半田性などを考えると
PPSでは融点がやや低く使用には耐えない。また、P
PSKは融点が約350℃と耐熱性は高いが、熱安定性
に欠け、溶融加工時に結晶性を失う(ゲル化)という欠
点を持っている。この欠点を克服するために種々の添加
物の検討が行われているが、まだ実用化の段階に至って
いない。
【0005】ところで前記した一般式 [−S−Ar−
S−φ−CO−φ−](−Ar−、−φ−は前記に同
じ。)に示される繰り返し構造単位を有する芳香族スル
フィド/ケトン重合体の1つであるポリ(チオ−1,4
−フェニレンチオ−1,4−フェニレンカルボニル−
1,4−フェニレン)は結晶性の高分子で融点こそ約3
05℃とPPSKには若干劣るものの、熱安定性につい
ては遥かに優れている。
【0006】かかるポリ(チオ−1,4−フェニレンチ
オ−1,4−フェニレンカルボニル−1,4−フェニレ
ン)の製造については、芳香族ジチオールとジハロゲノ
芳香族化合物との反応により合成した例が特開昭61−
200127号公報に記載されている。また、特開昭5
9−81335号公報には合成の実例はない芳香族ジチ
オールとジハロゲノ芳香族化合物との反応により、同様
の化合物が得られる可能性が示されている。しかし、こ
れらの方法では、純度の高いものを工業的に得ることが
極めて困難であって入手し難く、しかも例えばHS−φ
−S−S−φ−SH(但し、−φ−は前記に同じ。)の
ごときジスルフィドを形成し易くて安定性に欠ける芳香
族ジチオールを原料としているため、品質の安定したポ
リマーを経済的に生産することは極めて難しく、実質的
には、この製造法の実施は不可能であると思われる。
【0007】また特開昭60−104126号公報にも
同様の化合物の製造について、合成の実例は無いが示唆
がある。即ち芳香族チオエーテル化合物とホスゲンとの
反応によるとの記述であるが、この合成法では芳香族環
に対する結合位置などが特定できるものでは到底ない。
このため、結晶性、耐熱性などの特性が失われることが
予測される。また、高い靱性が求められる射出成形やフ
ィルム、繊維等の押出成形に用いうる粘度領域に入る高
分子量のポリマーは到底得られないと考えられる。
【0008】さらにまた、多くのPPSKの特許では、
構成単位の一部が[−S−Ar−S−](−Ar−は前
記に同じ。)であることを許し、含めている。しかし、
なんの工夫もなくこれらの単位を含むモノマーを主モノ
マーであるジハロゲノベンゾフェノンと混合して用いた
ならば、モノマーの反応性の違いから、このような規則
正しい交互体とは到底なり得ない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の製造
法では、品質の良いものの製造が極めて困難で安定性に
も欠ける出発原料を用いる、結合位置などが特定できる
ない反応であるなどの課題があった。本発明の目的は、
耐熱性の高い、溶融加工が容易な熱可塑性樹脂である芳
香族スルフィド/ケトン重合体について、工業的に実施
可能な新規な製造方法を提供することにある。
【0010】更に詳しくは本発明の目的は、各種部品等
の射出成形やフィルム、繊維等の押出成形に用いうる、
品質の安定した芳香族スルフィド/ケトン重合体につい
て、比較的安価な原料を出発原料とし、かつ経済性にも
優れる容易なる手段で製造する方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究し
た結果、ジハロベンゾフェノンを出発原料とすること、
そしてこれに限られた量のスルフィド化剤を反応させ、
次いでジハロ芳香族化合物を反応させると前記課題が解
決でき、目的とする芳香族スルフィド/ケトン重合体が
得られることを見い出し、本発明を完成させるに至っ
た。本発明の要旨は、以下のとおりである。
【0012】即ち、有機溶媒中でジハロベンゾフェノン
(A)とスルフィド化剤(B)を、該スルフィド化剤
(B)の硫黄1モル当たり、ジハロベンゾフェノン
(A)を0.45〜0.53モルの範囲で反応させ、次
いでこれに置換基を有してもよいジハロベンゼンまたは
同ジハロナフタリンのジハロ芳香族化合物(C)を反応
させることを特徴とする 一般式 [−S−Ar−S−φ−CO−φ−] (但し、−Ar
−は置換基を有してもよいフェニレン基または同ナフタ
レン基を、−φ−はp−フェニレン基を示す。) )で示される繰り返し構造単位を有する芳香族スルフィ
ド/ケトン重合体の製造法にある。
【0013】かくして、本発明によれば、高い耐熱性を
有し、高い靱性が求められる射出成形やフィルム、繊維
等の押出成形に用いうる粘度領域に入る高分子量の芳香
族スルフィド/ケトン重合体を、比較的安価な原料を出
発原料としかつ経済性にも優れる比較的容易なる手段で
得ることができる。
【0014】以下、本発明の構成要素について詳述す
る。
【0015】
【構成】
(重合体の製造)
【0016】スルフィド化剤 本発明方法におけるジハロベンゾフェノンとスルフィド
化剤との反応(ジハロベンゾフェノンのジメルカプト化
反応)では、ジメルカプトベンゾフェノンのアルカリ金
属塩が形成されるものと考えられるが、この反応の硫黄
源及び脱ハロゲン化剤として機能するスルフィド化剤と
しては、アルカリ金属硫化物及び(または)水硫化アル
カリ金属化合物と水酸化アルカリ金属化合物との併用と
が挙げられる。
【0017】アルカリ金属硫化物としては、ナトリウ
ム、カリウムなどのアルカリ金属の硫化物が好ましい。
なかでも、ハンドリングのしやすさや安定性の点からナ
トリウムの硫化物が特に好ましい。
【0018】硫化ナトリウムの場合は結合水もしくは結
晶水を有しているものが一般的に入手しやすく、9水
塩、5水塩、3水塩などが安定で工業的に供給されてい
る。ジハロベンゾフェノンのジメルカプト化反応では系
内にある程度の水が必要であるので、これらの結合水も
しくは結晶水を有している硫化ナトリウムを用いること
ができる。純度の点からいえば9水塩が最も好ましい
が、次段の重合工程前の脱水工程の所要時間等を考える
と5水塩を用いることが好ましい。
【0019】無水の硫化ナトリウムを用いて水を加えて
反応を行うことも可能である。しかし本発明者らの知る
限りでは実質的に無水のアルカリ金属硫化物については
製造が難しく、過硫化物や酸化物等の不純物が多く含ま
れているものしか得られない。このためこれを用いる
と、系内の不純物量が多くなり、副反応等が進行するた
め、あまり好ましくない。
【0020】本発明のジハロベンゾフェノンのジメルカ
プト化反応(ジメルカプトベンゾフェノンのアルカリ金
属塩を形成すると考えられる)の硫黄源及び脱ハロゲン
化剤として機能するスルフィド化剤は、反応系内もしく
は系外での水硫化アルカリ金属化合物と水酸化アルカリ
金属化合物との反応によっても得ることができる。
【0021】その原料となるもののひとつとしては、ア
ルカリ金属から選ばれた金属の水硫化物が使用される。
ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の水硫化物が
好ましい。なかでも、ハンドリングのしやすさや安定性
の点からナトリウムの水硫化物が特に好ましい。
【0022】水硫化ナトリウムの場合は結合水もしくは
結晶水を有しているものが一般的に入手しやすく、約
1.5水塩のものが工業的に供給されている。
【0023】該水硫化アルカリ金属化合物と反応して硫
化物を形成する原料となるものとしてはアルカリ金属か
ら選ばれた金属の水酸化物が使用される。ナトリウム、
カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物が好ましい。な
かでも、ハンドリングのしやすさや安定性の点からナト
リウムの水酸化物が特に好ましい。
【0024】水酸化ナトリウムの場合は高純度のものが
工業的に供給されている。
【0025】本反応で使用される水酸化アルカリ金属化
合物の使用量は、使用される水硫化アルカリ金属化合物
1モル当たり0.9〜1.6モルの範囲であることが望
ましい。0.9モル未満では過剰に残った水硫化アルカ
リ金属化合物による副反応が生じる。また、水硫化アル
カリ金属化合物1モルあたり1.6モルを越える量を使
用すると過剰に残った水酸化アルカリ金属化合物による
副反応等により、後述する重合反応が阻害される。
【0026】ジハロベンゾフェノン 本発明の1つのモノマーの原料となるジハロベンゾフェ
ノンにおいて、ベンゼン環に対するハロゲン原子の位置
はどこでも合成可能であるがポリマーの結晶性等を考え
るとカルボニル基とパラ位、つまり4,4’−ハロゲノ
体が好ましい。4,4’−ジハロベンゾフェノンの具体
例としては4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,
4’−ジフルオロベンゾフェノン、4−クロロ−4’−
フルオロベンゾフェノンなどが挙げられる。これらのジ
ハロベンゾフェノンは単独で用いてもよいし、2種以上
組み合わせて用いてもよい。
【0027】本反応で使用されるジハロベンゾフェノン
の量は、使用されるスルフィド化剤の硫黄1モルあたり
0.45から0.53モルの範囲で使用される。ジメル
カプト化反応の反応条件にもよるが、使用されるスルフ
ィド化剤の硫黄1モルあたり0.45モル未満であると
過剰に残ったスルフィド化剤が後の重合段階でもう1つ
のモノマーであるジハロ芳香族化合物同士間での脱ハロ
ゲン化/硫化反応を生じ、これらをスルフィド結合で結
合したユニットを多く含む、規則性の低下した重合体を
生成してしまうために好ましくない。また、使用される
スルフィド化剤の硫黄1モルあたり0.53モルを越え
ると、ジメルカプト化の段階でベンゾフェノンユニット
がスルフィド結合で結合した2量体、3量体が多く生
じ、これもまた規則性の低下した重合体を生成してしま
う原因となるため好ましくない。
【0028】ジハロ芳香族化合物 本発明の重合体の骨格を形成するもう一つの単量体に相
当するジハロ芳香族化合物は、芳香族核と該核上の2ケ
のハロゲン置換基とを有するものである限り、そしてジ
メルカプトベンゾフェノンのアルカリ金属塩との脱ハロ
ゲン化/硫化反応を介して重合体化しうるものである限
り、任意のものでありうる。従って、芳香族核は芳香族
炭化水素のみからなる場合の外に、この脱ハロゲン化/
硫化反応を阻害しない各種の置換基を有するものであり
うる。具体的には置換基を有してもよいジハロベンゼン
または同ジハロナフタリンのジハロ芳香族化合物であ
る。
【0029】より詳細には本発明において使用されるジ
ハロ芳香族化合物の例には下式で示される化合物が包含
される。
【0030】
【化1】
【0031】ここで上記X及びYの各置換基は、特に下
記の意味を更に持つ。 X:Cl、Br、IまたはF。特に、Cl及びBrより
成る群から選ばれたハロゲン。
【0032】Y:−R、−OR、−COOR、−COO
Na、−CN及び−NO2(Rは、H、アルキル、シク
ロアルキル、アリール及びアラルキルより成る群から選
ばれたもの)より成る群から選ばれたもの。ここで、ア
ルキル又はアルキル部分の炭素数は1〜18の範囲であ
り、アリールまたはアリール部分の炭素数は6〜18の
範囲である。
【0033】m及びn:それぞれ2の整数。 a及びb:それぞれ 0 ≦ a ≦ 4、0 ≦b ≦ 6
の整数である。
【0034】上記一般式のジハロゲン置換基芳香族化合
物の例として、次のようなものがある。
【0035】p−ジクロルベンゼン、m−ジクロルベン
ゼン、2,5−ジクロルトルエン、p−ジブロムベンゼ
ン、1,4−ジクロルナフタリン、1−メトキシ−2,
5−ジクロルベンゼン、3,5−ジクロル安息香酸、
2,4−ジクロル安息香酸、2,5−ジクロルニトロベ
ンゼン、2,4−ジクロルニトロベンゼン、2,4−ジ
クロルアニソール、など。なかでも、p−ジクロルベン
ゼン、m−ジクロルベンゼン、p−ジブロモベンゼン、
m−ジブロモベンゼンは特に好適に使用される。
【0036】ジハロ芳香族化合物の適当な選択組合せに
よって分枝をもった重合体や2種以上の異なる反応単位
を含む共重合体を得ることもできる。
【0037】本発明で使用するジハロ芳香族化合物の使
用量はジハロ芳香族化合物とジハロベンゾフェノンの合
計のモル数がスルフィド化剤の硫黄1モルあたり0.8
〜1.3モルの範囲が望ましく、特に0.9〜1.1モ
ルの範囲が高分子量のポリマーを得るのに好ましい。
【0038】なお、本発明方法によるスルフィド重合体
は上記ジハロ芳香族化合物とジメルカプトベンゾフェノ
ンの重合体であるが、生成重合体の末端を形成させるあ
るいは重合反応ないしは分子量を調節するためにモノハ
ロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を併
用することも、分岐または架橋重合体を形成させるため
にトリハロ以上のポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合
物でなくともよい)を併用することも可能である。これ
らのモノハロまたはポリハロ化合物が芳香族化合物であ
る場合の具体例は、上記具体例のモノハロまたはポリハ
ロ誘導体として当業者にとって自明であろう。具体的に
は、例えばジハロベンゼンに若干量のトリクロルベンゼ
ンを組み合わせて使用すれば、分岐を持った重合体を得
ることができる。
【0039】塩基 本発明の第2段目の重合反応工程で使用される塩基とし
てはアルカリ金属炭酸塩、水酸化化合物、重炭酸塩があ
げられる。これらとしては炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カ
リウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムが挙げ
られる。これらの塩は単独で用いてもよく、また2種以
上を混合して用いてもよい。これらの中で特に炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素
カリウムが好適である。
【0040】これらの使用量はジメルカプトベンゾフェ
ノンもしくはオリゴマー、ポリマーの反応末端である−
SH基(−SNa基)の反応性を保持する程度の量が望
ましい。
【0041】第1段目のジハロベンゾフェノンのジメル
カプト化反応で水酸化アルカリ金属化合物を過剰に使用
した場合は第2段目でこれらの塩基を加えなくてもよい
場合もある。
【0042】溶媒および水 本発明の反応に使用する溶媒は、ジハロベンゾフェノン
のジメルカプト反応下および次の重合反応下の反応条件
において分解して各反応を阻害する物質を生成するもの
以外であればどのような溶媒でも使用できる。このよう
な条件を満たす溶媒は一般的には活性水素を有しない有
機溶媒、すなわちアプロチック溶媒である。活性水素を
有する溶媒は、そのもの自身が重合反応を阻害したりあ
るいは活性水素が関与する反応によって生成したものが
二次的に有害反応をひき起したりするおそれが大きい。
【0043】この溶媒は、少なくとも原料であるジハロ
ベンゾフェノン、ジハロ芳香族化合物及び S2- を与え
るスルフィド化剤を、また、反応中間体であるジメルカ
プトベンゾフェノンのアルカリ金属塩を反応に必要な濃
度に溶解することができる程度の溶解能を持つものであ
るべきである。従って、この溶媒は、窒素原子、酸素原
子および(または)硫黄原子を有するもの、すなわち非
プロトン性極性溶媒であることが普通である。
【0044】この溶媒は原料であるジハロベンゾフェノ
ンやジハロ芳香族化合物と同様な脱ハロゲン化/硫化反
応に関与しうるものでないことが望ましく。従って例え
ばハロ芳香族炭化水素ではないことが望ましい。
【0045】本発明反応、特に、ジハロベンゾフェノン
のジメルカプト化反応では反応系内に水が存在すること
が望ましい。このため、使用する溶媒は、溶質としての
この水が溶媒和しうるものであることが望ましい。
【0046】このような溶媒の具体的例を挙げれば、 (1)有機アミド系溶媒、例えばヘキサメチルリン酸ト
リアミド(HMPA)、N−メチルピロリドン(NM
P)、N−シクロヘキシルピロリドン(NCP)、テト
ラメチル尿素(TMU)、ジメチルホルムアミド(DM
F)、ジメチルアセトアミド(DMA)など (2)エーテル化ポリエチレングリコール、例えばポリ
エチレングリコールアルキルエーテル(重合度は200
0程度まで、アルキル基はC1〜C20程度)など
(3)スルホキシド溶媒、例えばテトラメチレンスルホ
キシド、ジメチレンスルホキシド(DMSO)その他、
がある。
【0047】これらのうちでも、HMPAおよびNM
P、NCPは、化学的安定性が高いので、特に好まし
い。
【0048】使用するアプロチック溶媒の量は、重合に
用いるスルフィド化剤の硫黄1モル当り0.1〜10リ
ットルの範囲内が望ましい。これより溶媒が過少であれ
ば、反応系の粘度が高くなりすぎて均一な重合反応が阻
まれ易い。逆にこれより溶媒が過多であれば、得られた
重合体の量に比して使用する溶媒量が膨大になり、経済
的な見地から好ましくなく、また、反応速度の低下も生
じる。
【0049】ジハロベンゾフェノンのジメルカプト化反
応に必要な水は、含水水硫化アルカリ金属化合物の結晶
水もしくは結合水、水硫化アルカリ金属化合物と水酸化
アルカリ金属化合物の反応で形成される水という形で反
応系内に供給される。一般に、反応系内の水が多量であ
ると反応系内圧力が上がって、特殊な装置等が必要とな
り、また、重合反応段階前の脱水工程が長時間化する。
他方、反応系が全く無水の状態である場合も、実質的無
水であるスルフィド化剤による溶媒の分解などの副反応
が若干併発するおそれがあり、また、ジハロベンゾフェ
ノンとスルフィド化剤との反応の際に生成すると考えら
れるジメルカプトベンゾフェノンのアルカリ金属塩の安
定化を考えても好ましくない。従って、この反応におい
て溶媒和水として存在すべき水分の量は、反応系に加え
られるスルフィド化剤の硫黄1モル当り1.0〜10モ
ルの水分量が特に好ましい。
【0050】(ジハロベンゾフェノンのジメルカプト化
反応)本発明の第1段目の反応であるジハロベンゾフェ
ノンのジメルカプト化反応では、ジメルカプトベンゾフ
ェノンのアルカリ金属塩が形成されるものと考えられ
る。かかる反応は、上記のジハロベンゾフェノン、スル
フィド化剤、水及び反応溶媒からなる反応混合物を15
0〜300℃の範囲の温度に加熱することによって進行
する。温度が150℃より低温でも反応は起こるが、ベ
ンゾフェノンユニットがスルフィド結合で結合した2量
体、3量体等のオリゴマーの生成が多くなる。逆に30
0℃より高温では異常反応が起こり、モノマーや溶媒の
分解が活発になるおそれがある。200〜270℃の範
囲が、目的のジメルカプトベンゾフェノンアルカリ金属
塩を多く得ることができるので好ましい。
【0051】反応機構については詳細な検討を加えてい
ないが、低温反応でオリゴマーの生成が優位であること
等を考慮すると、おそらく、最初にオリゴマーが生成
し、このスルフィド結合を形成している芳香族炭素をス
ルフィドアニオンが再度攻撃することによって目的のジ
メルカプトベンゾフェノンが生成していくものと考えら
れる。このスルフィドアニオンの再攻撃が比較的高温を
必要としていると考えられる。このため、この反応は最
初を低温で行わせ、段階的にまたは連続的に昇温しなが
ら行わせることもできる。
【0052】反応時間は低温でおこなう場合は長時間
で、高温でおこなう場合は短時間でおこなうとよい。2
00〜270℃の範囲でおこなう場合、1時間から10
時間の範囲の反応時間が好ましい。
【0053】この反応においては、(1)反応装置に溶
媒、ジハロベンゾフェノン、硫化アルカリ金属化合物ま
たは、水硫化アルカリ金属化合物と水酸化アルカリ金属
化合物を仕込み、反応装置中で充分に攪拌、混合し、そ
れから昇温して反応温度で反応させる方法、(2)反応
装置中に溶媒とジハロベンゾフェノンを仕込み、反応装
置中で充分に攪拌し、反応温度まで昇温した後、硫化ア
ルカリ金属化合物または、水硫化アルカリ金属化合物と
水酸化アルカリ金属化合物を固体もしくはスラリー(水
もしくは溶媒による)で加え、反応させる方法、(3)
反応装置中に溶媒、硫化アルカリ金属化合物または、水
硫化アルカリ金属化合物と水酸化アルカリ金属化合物を
仕込み、反応装置中で充分に攪拌、混合し、それから反
応温度まで昇温して、ジハロベンゾフェノンを固体もし
くはスラリーで加え、反応させる方法、また、(4)溶
媒の有無に関係なく水硫化アルカリ金属化合物と水酸化
アルカリ金属化合物を反応装置中で充分に攪拌、混合し
(場合によっては加熱しても良い)、溶媒を加え、さら
に充分に攪拌、混合しながら反応温度まで昇温した後に
ジハロベンゾフェノンを加えて反応させる方法や、
(5)反応装置中に溶媒と水硫化アルカリ金属化合物を
仕込み、攪拌、混合しながら、室温から150℃までの
いずれかの温度で水酸化アルカリ金属化合物を水溶液ま
たは固体で加え、さらに充分に攪拌、混合しながら反応
温度まで昇温した後にジハロベンゾフェノンを加えて反
応させる方法などがある。
【0054】反応の際における雰囲気は非酸化性雰囲気
であることが望ましく、反応のスタート時に窒素、アル
ゴンなどの不活性ガスで系内を置換して置くことが好ま
しい。
【0055】(重合反応)本発明の第2段目の反応であ
る重合反応は第1段目で得たジハロベンゾフェノンのジ
メルカプト化反応反応スラリーと第2のモノマーである
ジハロ芳香族化合物を150〜400℃の範囲の温度に
加熱することによって進行する。この反応は初期段階で
系内に水が存在すると反応が阻害されるため、第1段目
のジハロベンゾフェノンのジメルカプト化反応スラリー
から水を化学的もしくは物理的な手法により除去するこ
とが望ましい。また、適当量の塩基の存在は、この重合
反応の反応を促進する。
【0056】反応温度が150℃より低温でも重合は起
こるが、分子量が伸びるに従って末端の反応性が低下し
てくる。逆に 400 ℃より高温では異常反応が起こ
り、ポリマーや溶媒の分解が活発になるおそれがある。
180〜300 ℃の範囲が、高分子量の重合体を得る
ことができるので好ましい。この反応は最初を低温で行
わせ、段階的にまたは連続的に昇温しながら行わせるこ
ともできる。
【0057】反応時間は低温でおこなう場合は長時間
で、高温でおこなう場合は短時間でおこなう必要があ
る。180〜300℃の範囲でおこなう場合、1時間か
ら30時間の範囲の反応時間が好ましい。
【0058】この反応においては、第1段目の反応が終
了した後、冷却し、水酸化アルカリ金属化合物もしくは
アルカリ金属炭酸塩を固体もしくはスラリー(溶媒また
は水)で添加し(第1段目の反応で水酸化アルカリ金属
化合物を過剰に使用している場合は必要ない場合もあ
る)、攪拌、混合し、昇温して系内の水を除去した後
に、さらに反応温度まで昇温して、第2のモノマーであ
るジハロ芳香族化合物を固体もしくはスラリーで加えて
反応させる方法や、反応装置に溶媒、第2のモノマーで
あるジハロ芳香族化合物、水酸化アルカリ金属化合物も
しくはアルカリ金属炭酸塩(第1段目の反応で水酸化ア
ルカリ金属化合物を過剰に使用している場合は必要ない
場合もある)を入れ、攪拌、混合し、反応温度まで昇温
して、予め化学的もしくは物理的な方法で水を除去して
あった第1段目のスラリーを加えて反応させる方法など
がある。
【0059】この重合反応の際においても雰囲気は非酸
化性雰囲気であることが望ましく、反応のスタート時に
窒素、アルゴンなどの不活性ガスで系内を置換して置く
ことが好ましい。
【0060】重合反応は、適当な末端停止剤、例えば単
官能または多官能ハロゲン化物、具体的には塩化メチ
ル、ヨウ化メチル、tert−ブチルクロリド、4,
4’−ジクロロベンゾフェノン、p−ニトロクロロベン
ゼン、単量体である4,4’−ジハロジフェニルスルホ
ンなどを前記重合温度において反応系に添加することに
よって停止させることができる。これにより、末端に熱
的に安定なアルキル基や芳香族ハロゲン基、芳香族基を
有する重合体を得ることができる。
【0061】重合体の回収は、反応終了時にまず反応混
合物を減圧下または常圧下で加熱して溶媒だけを留去
し、ついで缶残固形物を水、アセトン、メチルエチルケ
トン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗
浄し、それから中和、水洗、濾別および乾燥をすること
によって行うことができる。また、別法としては、反応
終了後に反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケト
ン、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素、
芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(使用した
重合反応溶媒に可溶であり、かつ少なくとも生成重合体
に対しては非溶媒であるもの)を沈降剤として添加して
重合体を沈降させ、それを濾別、洗浄及び乾燥すること
によって行うこともできる。これらの場合の「洗浄」
は、抽出の形で実施することができる。また、反応終了
後、反応混合物に反応溶媒、もしくはそれと同等の低分
子量重合体を溶解する、例えば反応溶媒以外のスルホン
系あるいはアミド系溶媒を加えて攪拌した後、濾別して
低分子量重合体を除いた後、水、アセトン、メチルエチ
ルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以
上洗浄し、その後中和、水洗、濾別および乾燥をするこ
とによっても行うことができる。
【0062】(生成重合体)本発明の方法によって得ら
れる重合体(粉末で得られることがふつうである)は、
従来の極めて特殊な原料を用いる方法で得られる芳香族
スルフィド/ケトン重合体と同様な優れた耐熱性を示
す。
【0063】かかる重合体は、 一般式 [−S−Ar−S−φ−CO−φ−] (但し、−Ar
−は置換基を有してもよいフェニレン基または同ナフタ
レン基を、−φ−はp−フェニレン基を示す。) )で示される繰り返し構造単位を90%以上有する芳香
族スルフィド/ケトン重合体である。
【0064】より詳細には
【0065】
【化2】
【0066】式中、−Ar−は下記に示されるフェニレ
ン基またはナフタレン基である。
【0067】
【化3】
【0068】但し、 Y:−R、−OR、−COOR、−COONa、−CN
及び−NO2(Rは、H、アルキル、シクロアルキル、
アリール及びアラルキルより成る群から選ばれたもの)
より成る群から選ばれたもの。ここで、アルキル又はア
ルキル部分の炭素数は1〜18の範囲であり、アリール
またはアリール部分の炭素数は6〜18の範囲である。
【0069】m及びn:それぞれ2の整数。 a及びb:それぞれ 0 ≦ a ≦ 4、0 ≦b ≦ 6
の整数である。
【0070】で示される繰り返し構造単位を90%以上
有する芳香族スルフィド/ケトン重合体である。
【0071】本発明の芳香族スルフィド/ケトン重合体
は酸素存在下で加熱することにより熱架橋をおこす。こ
の性質を利用し、低分子量重合体を合成し、熱架橋して
分子量をあげて使用することもできる。また、高分子量
重合体を使用する場合にこの熱架橋が妨げになるような
らば、亜鉛の酸化物、炭酸塩、水酸化化合物、元素周期
律IIA族の水酸化化合物、酸化物、炭酸塩、芳香族カ
ルボン酸塩などの熱安定性改良剤を加えて使用すること
もできる。
【0072】本発明の芳香族スルフィド/ケトン重合体
は熱可塑性重合体の範躊に入るものであるから、熱可塑
性重合体の適用可能な各種の改変が可能である。従っ
て、たとえば、この芳香族スルフィド/ケトン重合体は
カーボンブラック、炭酸カルシウム粉末、シリカ粉末、
酸化チタン粉末等の粉末状充填材、または炭素繊維、ガ
ラス繊維、アスベスト、ポリアラミド繊維などの繊維状
充填材を充填して使用することができる。この芳香族ス
ルフィド/ケトン重合体はまた、ポリアリーレンスルフ
ィド、ポリアリーレンスルフィドケトン、ポリフェニレ
ンフルフィドスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニ
レンオキシド、ポリスルフォン、ポリアリーレン、ポリ
アセタール、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、
ポリスチレン、ABSなどの合成樹脂の一種以上を混合
して使用することもできる。
【0073】本発明の方法により得られる芳香族スルフ
ィド/ケトン重合体は耐熱性、難燃性、機械的特性に優
れた樹脂である。そのため、この樹脂は、射出成形、圧
縮成形、押出成形などの成形法により各種形状の成形品
を与えることができ、電気・電子部品、自動車部品、あ
るいは建築、土木分野、航空、宇宙、海洋分野などの各
種部品、スポーツ用具や雑貨等あるいは塗装、塗料用と
して好適に利用される。
【0074】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明を更に説明す
るが、本発明はこれらの例によってなんら制限されるも
のではない。
【0075】〈分析法〉重合体の元素分析はヘランス社
製CHNOラピッド(炭素、水素、酸素)と三菱化成製
TSX−10(硫黄)を用いて測定した。
【0076】赤外吸収スペクトル(FT−IR)は日本
分光製FT−IR 5Mを用いて拡散反射法(KBr+
試料粉末)で測定した。シングルビームで測定している
ため空気中の二酸化炭素に由来する2350cm-1のピー
クが現れている。
【0077】X線回折はRigaku製RAD−IIA
を用いて測定した。
【0078】〈特性評価〉得られた重合体の溶融粘度
は、ポリマー粉約2gを直径1.12cmの円筒状のタブ
レットにプレスし、島津製高化式フローテスターを用
い、直径0.5mm、長さ2.5mmのノズルを使用して測
定した(270℃、10kg荷重)。
【0079】融点(Tm)、ガラス転移点(Tg)はセ
イコー電子製DSC200を用い、試料量約5mg、昇温
速度10℃/分という条件で測定した。
【0080】還元粘度はポリマー100mgを98%硫酸
に溶解させ、20ミリリットルに希釈後、ウベローデ型
粘度計で30℃の粘度を測定し、次式により還元粘度を
計算した。 還元粘度 =([溶液粘度]÷[溶媒粘度]−1)/
[濃度]
【0081】〈使用原料〉 1.スルフィド化剤の硫黄源 水硫化ナトリウム(以下NaSH)は三協化成(株)製
品(NaSH 70.0%, Na2S 3.4% 含有)を
使用。硫化ナトリウム(以下 Na2S)は和光純薬製の
特級の9水塩(Na2S・9H2O)、三協化成製の5水
塩(Na2S・5H2O)を使用した。
【0082】2.水酸化ナトリウム 水酸化ナトリウム(以下 NaOH )は日本曹達(株)
製品 (純度99.5%以上)を使用。
【0083】3.溶媒 N−メチルピロリドン(以下 NMP)は三菱化成
(株)製品を使用。
【0084】4.ジハロベンゾフェノン 4,4’−ジクロロベンゾフェノン(以下 DCBP)
は東京化成製を使用した。
【0085】5.塩基 炭酸ナトリウム(以下 Na2CO3)は和光純薬製を使
用した。
【0086】6.ジハロ芳香族化合物 p−ジクロルベンゼン(以下 p−DCB)は住友化学
(株)製品を使用した。p−ジブロモベンゼン(以下
p−DBB)は和光純薬製品を使用した。
【0087】7.水 水道水を蒸留した後イオン交換を施したものを使用し
た。
【0088】(合成例1)攪拌翼付き2リットルチタン
ライニングオートクレーブにNa2S・9H2O240.
2g、DCBP 125.6g、NMP 750gを仕込
み、攪拌しながら系内を窒素で充分置換した後に昇温
し、250℃で3時間反応させた。その後、120℃ま
で冷却し、系を開放し、窒素雰囲気下、NaOH 4.
0gを40%水溶液として加え、加熱、昇温し、系内の
水を留去した。200℃で系を再び閉じて、これにp−
DBB 118.0gを150gのNMP に溶かした溶液
を約20分かけて滴下した。200℃で2時間反応させ
た後、さらに昇温し、240℃で5時間反応させた。最
後に240℃で塩化メチルを30分間吹き込み、反応を
終了した。反応混合物を冷却した後、沈澱物を濾過し
た。得られたケーキを5リットルの水で1時間攪拌し、
水洗した。これを繰り返し、最後に5リットルのアセト
ンで2回洗って、真空乾燥機で80℃で一晩乾燥させ
た。
【0089】収量152g(約 95%)。Tm:30
4.5℃、Tg:133.0℃。還元粘度は0.62。
元素分析値は C:71.0%、H:3.8%、O:
4.8%、S:20.3%( 計算値:C1912OS2
してC:71.22%、H:3.77%、O:4.9
9%、S:20.01%)であった。得られた化合物の
赤外吸収スペクトルを図1に、X線回折の結果を図2に
示す。
【0090】(合成例2)合成例1において、スルフィ
ド化剤としてNa2S・9H2Oの代わりにNa2S・5
2O 172.2gを用いた以外は、合成例1と同様に
して重合体を得た。 収率は93%。Tm:303.5
℃、Tg:132.0℃。還元粘度は0.59であっ
た。
【0091】(合成例3)合成例1において、スルフィ
ド化剤としてNa2S・9H2Oの代わりにNaSH 7
7.3gと35.3%NaOH水溶液 109.4g(N
aOH 38.6g)を用いた以外は、合成例1と同様
にして重合体を得た。
【0092】収率は92%。Tm:303.0℃、T
g:132.0℃。還元粘度は0.56であった。
【0093】(合成例4)合成例1において、ジハロ芳
香族化合物としてp−DBBの代わりにp−DCB 7
3.5gを用い、反応条件を200℃で2時間、250
℃で8時間とした以外は、合成例1と同様にして重合体
を得た。
【0094】収率は97%。Tm:305.5℃、T
g:134.0℃。還元粘度は0.80であった。
【0095】
【発明の効果】本発明方法によれば、比較的安価な原料
を出発原料とすることができ、かつ経済性に優れる比較
的容易なる手段で、耐熱性に優れる芳香族スルフィド/
フェニレンスルフィドケトン交互重合体を製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1で得たポリ(チオ−1,4−フェニレ
ンチオ−1,4−フェニレンカルボニル−1,4−フェ
ニレン)の赤外吸収スペクトルを示す。
【図2】合成例1で得たポリ(チオ−1,4−フェニレ
ンチオ−1,4−フェニレンカルボニル−1,4−フェ
ニレン)のX線回折の結果を示す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機溶媒中でジハロベンゾフェノン(A)
    とスルフィド化剤(B)を、該スルフィド化剤(B)の
    硫黄1モル当たり、ジハロベンゾフェノン(A)を0.
    45〜0.53モルの範囲で反応させ、次いでこれに置
    換基を有してもよいジハロベンゼンまたは同ジハロナフ
    タリンのジハロ芳香族化合物(C)を反応させることを
    特徴とする 一般式 [−S−Ar−S−φ−CO−φ−] (但し、−Ar
    −は置換基を有してもよいフェニレン基または同ナフタ
    レン基を、−φ−はp−フェニレン基を示す。) )で示される繰り返し構造単位を有する芳香族スルフィ
    ド/ケトン重合体の製造法。
  2. 【請求項2】スルフィド化剤(B)が、硫化アルカリ金
    属化合物および(又は)水硫化アルカリ金属化合物と水
    酸化アルカリ金属化合物との併用である請求項1記載の
    芳香族スルフィド/ケトン重合体の製造法。
  3. 【請求項3】スルフィド化剤(B)の硫黄1モル当た
    り、ジハロベンゾフェノン(A)とジハロ芳香族化合物
    (C)の合計量を0.9〜1.1モルの範囲とする請求
    項1記載の芳香族スルフィド/ケトン重合体の製造法。
  4. 【請求項4】前記有機溶媒が非プロトン性極性溶媒であ
    る請求項1記載の芳香族スルフィド/ケトン重合体の製
    造法。
  5. 【請求項5】ジハロベンゾフェノン(A)とスルフィド
    化剤(B)との反応を反応系内の水分量がスルフィド化
    剤(B)の硫黄1モルに対して2〜10モルの範囲にて
    行い、系内の水を除いた後にジハロ芳香族化合物(C)
    との反応を行う請求項1記載の芳香族スルフィド/ケト
    ン重合体の製造法。
  6. 【請求項6】前記ジハロベンゾフェノン(A)が4,
    4’−ジクロロベンゾフェノンである請求項1記載の芳
    香族スルフィド/ケトン重合体の製造法。
  7. 【請求項7】前記ジハロ芳香族化合物(C)がp−ジク
    ロロベンゼンである請求項1記載の芳香族スルフィド/
    ケトン重合体の製造法。
  8. 【請求項8】前記ジハロ芳香族化合物(C)がp−ジブ
    ロモベンゼンである請求項1記載の芳香族スルフィド/
    ケトン重合体の製造法。
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