JPH05325901A - 低圧水銀蒸気放電ランプ - Google Patents

低圧水銀蒸気放電ランプ

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JPH05325901A
JPH05325901A JP3220637A JP22063791A JPH05325901A JP H05325901 A JPH05325901 A JP H05325901A JP 3220637 A JP3220637 A JP 3220637A JP 22063791 A JP22063791 A JP 22063791A JP H05325901 A JPH05325901 A JP H05325901A
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pressure mercury
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正昭 玉谷
Hidenori Ito
秀徳 伊藤
Akira Taya
明 田屋
Yoji Yuge
洋二 弓削
Kazuaki Nakagawa
和明 中川
Shigeru Ando
茂 安藤
Kenji Terajima
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 点灯動作に伴う蛍光体層の黒化現象を効果的
に抑制して、光束立上がりや光束減衰などを大幅に改善
した低圧水銀蛍光ランプの提供を目的とする。 【構成】 ガラス管内壁面に蛍光体層を形成し、かつ管
壁負荷が比較的高い低圧水銀蛍光ランプにおいて、前記
蛍光体層を構成する蛍光体粒子にたとえば金属酸化物を
付着させ、その帯電傾向が金属イオンの電気陰性度7.
0の金属酸化物より負の側にあり、金属イオンの電気陰
性度11.8の金属酸化物より正の側にあることを特徴
としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、点灯中に黒化が発生し
難く、光束の低下率の少ない働程特性にすぐれた低圧水
銀蒸気放電ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】低圧水銀蒸気放電ランプ(蛍光ランプ)
は、一般照明をはじめとして、最近ではOA機器用光
源、巨大画面用の画素光源、液晶ディスプレイのバック
ライトなどに広範囲に利用されている光源である。その
理由は、低圧水銀蒸気放電ランプは供給された電力を非
常に効率良く放射に変換するからである。
【0003】このような低圧水銀蒸気放電ランプは、内
壁面に蛍光層が設けられたガラス管内に、水銀および 1
種または 2種以上の希ガスを含む混合ガスが充填され、
この混合ガス中で陽光柱放電が生ずるように構成されて
いる。
【0004】上記放電は、通常、 2つの電極を経て電気
エネルギーを混合ガスに供給することによって保たれ
る。この放電によって、主に紫外線が発生し、その大半
は185nm と254nm の波長を有しており、185/254 の比率
は通常 0.2〜0.4 である。この紫外線は、ガラス管内壁
面に形成された蛍光層によって、長い波長の放射に変換
される。この波長は蛍光層に含まれる蛍光体粒子の種類
に依存し、近紫外〜可視〜近赤外までのものが得られて
いる。低圧水銀蒸気放電ランプの最も一般的な種類の 1
つは、全長が1200mm、ガラス管の内径が約37mm直管型の
40Wタイプのものである。このランプの管壁負荷は約 3
00W/m2 程度である。
【0005】また、上記ガラス管は、直管型のものに限
らず、円形状、U形状、くら形状などとすることがで
き、最近では小型化が進み、形状も複雑なものが多くな
ってきている。
【0006】一方、蛍光ランプの高演色性化などに伴
い、比較的狭帯域の発光スペクトル分布を有する青色、
緑色、赤色の発光を行う蛍光体を用いた三波長形蛍光ラ
ンプも知られている。この三波長形蛍光ランプの場合
は、その全光束(発光出力)に対して、緑色発光蛍光体
の占める割合が高いため、緑色発光蛍光体の特性が重視
される。このような蛍光体としては、たとえばセリウム
およびテルビュウムで付活された緑色発光形希土類アル
ミン酸・珪酸・燐酸塩蛍光体、希土類硼酸・珪酸・燐酸
塩蛍光体、希土類正燐酸塩蛍光体、希土類アルミン酸・
硼酸・燐酸塩蛍光体などが知られている。
【0007】ところで、上述したように低圧水銀蒸気放
電ランプの高管壁負荷化ないし小型化が進むにつれて、
管壁負荷はさらに高くなる傾向にある。かなり高い管壁
負荷の低圧水銀蒸気放電ランプとしては、たとえばドイ
ツ国公開公報 2109898号など、いくつかが開示されてい
る。しかし、これらの比較的高い管壁負荷を有するラン
プは、通常のものに比べてランプ効率が低く、また光束
の低下率が大きく、ランプが黒化する現象が早期に発生
し易いこと、および光束立上がりが遅いなどの欠点があ
った。
【0008】また、特開昭54-42874号公報には、光束の
低下率が小さい蛍光層を形成する蛍光体粒子として、蛍
光体粒子の陽イオンの結合が 1.4以下の電気陰性度を有
するものを用いたランプが開示されている。しかし、上
記公報に記載されているような一義的な条件では、実際
には光束の低下率を説明することはできない。
【0009】一方、低圧水銀蒸気放電ランプの点灯中の
管端黒化、斑点状黒化、全面黒化などの原因としては、
フィラメントやカソード物質、有機物バインダーの残留
物質などの影響も考えられるが、水銀やその化合物がガ
ラス管内壁面に塗布した蛍光体粒子(蛍光体層)が汚染
される可能性もある。
【0010】しかも、従来の高い管壁負荷を有する低圧
水銀蒸気放電ランプにおいては、ランプの製造プロセス
や構造が同じでも、蛍光体粒子(蛍光物質)の種類、さ
らには同種の蛍光体粒子であってもその製造ロットなど
によって、黒化の程度に差が生ずることがあるなど、品
質にバラツキが発生しやすいという欠点を有している。
特に、前記希土類緑色発色蛍光体の場合は、赤色発色蛍
光体などに較べて、水銀やその化合物による汚染に起因
する着色現象が発生し易く、この緑色発色蛍光体の状態
がその特性に大きく影響する三波長形蛍光ランプでは、
上記のような問題の発生が著しくなるという難点が認め
られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の高い管壁負荷を有する低圧水銀蒸気放電ランプ、すな
わち小型でコンパクトな低圧水銀蒸気放電ランプは、発
光効率が低い、黒化現象が早期に発生し易い、光束の低
下率が大きいこと、および光束の立上がりが遅いことな
どの欠点を有している。しかも、これら欠点の発生にバ
ラツキが生じ易く、品質面での再現性が乏しいという難
点を有していた。
【0012】上記光束の立上がりが遅い理由は、蛍光体
への水銀の吸着が考えられ、特に管壁負荷が高くなれ
ば、電流密度の増加に伴い水銀イオンが蛍光体粒子表面
で電子と再結合して水銀原子となる確率が高くなる。そ
して、前記水銀原子は、ランプ点灯中は勿論、消灯中も
蛍光体膜中に吸着され、再点灯すると先ずこの吸着され
ている水銀が放出され、次いでランプ最冷部に凝集して
いる水銀が徐々に放出され、管内の水銀蒸気圧に依存し
て光束が立上る。図19は光束比と点灯時間との関係を示
すもので、曲線(イ)はランプの管壁負荷が比較的低い
直管形40Wタイプの光束立上を、曲線(ロ)は三波長域
発光蛍光体を用いた管壁負荷 500W/m2以上の光束立
上をそれぞれ示したものである。なお、図19においてx
部分は蛍光体膜に吸着されていた水銀が放出されるとき
を、またy部分はランプ最冷部に凝集している水銀が徐
々に放出されるときをそれぞれ示す。
【0013】本発明は、上述した課題に対処するために
なされたものであり、高い管壁負荷の下で、黒化の発生
を抑制し、光束の低下率が小さい低圧水銀蒸気放電ラン
プの提供を目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の低圧水銀
蒸気放電ランプは、水銀および希ガスを含む封入ガスが
充填された光透過性ガラス管と、この光透過性ガラス管
内壁面に設けられた蛍光体粒子を含む蛍光層と、前記封
入ガス中で陽光柱放電を維持するための手段とを具備す
る低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、前記蛍光層を形成
する蛍光体粒子は、その帯電傾向が金属イオンの電気陰
性度7.0 の金属酸化物より負の側にあり、金属イオンの
電気陰性度11.8の金属酸化物より正の側にあることを特
徴とする。
【0015】さらに具体的には、蛍光層を形成する蛍光
体粒子は、粒径 200μm 〜 500μmのソーダ石灰ガラス
ビーズとの接触時に、1gあたり 3.0μC (マイクロクー
ロン)以下の正電荷を帯電するか、もしくは粒径44μm
〜74μm の還元鉄粉との接触時に、1gあたり-0.5μC
(マイクロクーロン)を超える電荷を帯電することを特
徴とし、要すればある種の所定量の酸化物で蛍光体粒子
面を被覆して、前記の帯電性の付与ないし保持せしめた
ものである。
【0016】なお本発明は、陽光柱放電の動作中に消費
される電力が 500W/m2 以上で、かつ蛍光層の放射密
度が 500〜2000W/m2 の範囲である高い管壁負荷型の
低圧水銀蒸気放電ランプに対して特に有効である。すな
わち、低圧水銀蒸気放電ランプ、特に高負荷型のものに
おいては、水銀吸着による黒化の発生の度合いが、蛍光
層を構成する蛍光体粒子(処理剤を含む)表面の帯電傾
向に相関のあることを見出だし、本発明はこのような知
見に基づいて成されたものである。
【0017】一般に、2種の物質が接触するとき、それ
ぞれの物質の表面に等量の正と負の電荷が生じる。ここ
で、正の電荷を生じる物質は正の帯電傾向があり、負の
電荷を生じる物質は負の帯電傾向にあるといわれる。そ
して、帯電傾向を調べ、どのような物質に対しても正に
帯電する物質を最上位に、逆にどのような物質に対して
も負に帯電する物質を最下位として順に並べた列を帯電
序列という。このような帯電序列は、天然物や有機物に
ついて幾つか知られており、序列中の任意の2種類の物
質を接触させたとき、序列が上の物質は正に、序列が下
の物質は負にそれぞれ帯電し、また序列が上の物質ほど
正に帯電する傾向が強いとされる。
【0018】たとえば、一般にマンガン付活ケイ酸亜鉛
蛍光体(Zn2 SiO4 :Mn)は黒化が生じ易いと言われてい
る。ランプ用蛍光体の中でも、Zn2 SiO4 :Mn は、特異
的に負帯電する傾向を示すことが分かった。一方、光透
過性ガラス管内に充填された水銀は、ランプ中の構成物
質から放出されるガス(CO2 など)や不純物と反応して
HgO となる。この水銀化合物である HgOは、Zn2 Si
O4 :Mn よりも強く正帯電する傾向を示すことが分かっ
た。したがって、Zn2 SiO4 :Mn が気体分子状のHgO を
吸着した場合、Zn2 SiO4 :Mn と HgOとの接触表面にそ
れぞれ負と正の電荷が生じ、さらにこれに伴う静電引力
によって脱離しにくいため、蛍光層の黒化が生ずるもの
と考えられる。すなわち、 HgOに較べて帯電傾向の差が
大きいほど蛍光層の黒化が出易いと考えられる。こうし
たことは、付着物の分析結果などからも確認されてい
る。なお、Zn2 SiO4 :Mn におけるZnO と SiO2 の比率
は、化学量論組成で 2:1 であるが、通常のものではこ
の比率が正確に 2:1 のものは少なく、ZnO が SiO2
対して 1.5〜2.2 の値をとる場合が多い。
【0019】Zn2 SiO4 :Mn 蛍光体は、一般的には上記
した如く、強く負帯電する傾向にある、ZnO が SiO2
対して 2.0以下の値になると負帯電がさらに強くなる傾
向を示し、一方、ZnO が SiO2 に対して 2.0以上になる
と逆に負帯電が弱くなる傾向が現われる。このように、
蛍光体の一般的な化学式だけで、その物質の帯電特性を
判断することは難しいことも分った。また、このような
化学量論組成からのずれ以外にも、帯電特性の評価結果
にバラツキを与える要因が種々存在している。本発明の
低圧水銀蒸気放電ランプにおいては、蛍光層を形成する
蛍光体粒子(物質)は、その帯電傾向が金属イオンの電
気陰性度7.0 の金属酸化物より負の側にあり、金属イオ
ンの電気陰性度11.8の金属酸化物より正の側にある蛍光
体粒子(何等かの形で処理されているものを含む)であ
り、さらに具体的には、たとえばファラデーケージを用
いたブローオフ粉体帯電測定装置を用いた特定の測定方
法によって、粒径 200μm 〜 500μm のソーダ石灰ガラ
スビーズとの接触時に1gあたりの帯電量が 3.0μC 以下
と判定された蛍光体粒子、もしくは粒径44μm〜74μm
の還元鉄粉との接触時に1gあたりの帯電量が-0.5μC を
超えると判定された蛍光体粒子を使用することにより、
黒化の発生を確実に再現性よく抑制している。
【0020】本発明において、蛍光層を形成する蛍光体
粒子の帯電特性(帯電傾向)の測定方法は、以下の通り
である。
【0021】図1はブローオフ粉体帯電測定装置のファ
ラデーケージの構造を模式的に示す図である。ファラデ
ーケージ1の一端には、金網2が取付けられており、他
端にはノズル3が取付けられている。そして、金網2の
目開きよりも小さい粒径の試料粉体4と、目開きよりも
大きい粒径のキャリア粉体5とを混合してケージ1に入
れ、ノズル3から圧縮ガス(たとえば窒素ガス)を吹付
ける。試料粉体4のみが金網2を通過してケージ1外に
吹飛ばされる。このとき、ケージ1内に残ったキャリア
5には、試料粉体4が持ち去ったのと等量で、逆符号の
電荷Qが残るので、これをケージ1に接続したコンデン
サ6の容量Cと電圧V、およびQ=C・Vの関係から電
荷Q求める。吹飛ばした試料粉体4の重量mを用いれ
ば、単位重量あたりの粉体帯電量は、−Q/m(クーロ
ン/グラム)として得られる。
【0022】キャリア粉体5としては、通常、 400メッ
シュよりも粗い粉体を用いる。ここでは、 200メッシュ
を通過しない粒径のキャリア(ソーダ石灰ガラスビー
ズ)を用いた。また、試料粉体4としては、 400メッシ
ュよりも細かい螢光体粒子(粉体)を用いた。
【0023】ここで、測定用試料の作製方法について、
その一例を述べる。
【0024】キャリア粉体 20gと蛍光体粉体0.2gを化学
天秤にて正確に秤量し、メノウ乳鉢に移して、あまり力
を加えずに乳棒でよく混合する。次に、全量を 100 ml
のポリエチレン広口ビン移し、混合機(シェーカ)にて
5分間混合して試料を作製する。このキャリア粉体と試
料粉体との混合粉体を0.2g正確に秤量して、ブローオフ
粉体帯電量測定用の試料とする。図2(a),(b) にキャリ
ア粉体とブローオフ用測定試料(キャリアと混合後)の
モデルを示す。キャリア粉体5(図2(a) )と試料粉体
とを混合することにより、キャリア粉体5表面に試料粉
体4が担持されたブローオフ用測定試料(図2(b) )と
なる。
【0025】以下に、ブローオフ粉体帯電量測定装置に
よる各種試料の帯電特性の評価結果について説明する。
まず、初めに各種のキャリアを用いて、主要な蛍光体の
帯電の序列を求めた。その結果を図3に示す。この帯電
序列は、任意の2種類の物質を接触させたとき、上方の
物質は正に、下方の物質は負にそれぞれ帯電することを
意味する。図3において、 HgOに近い位置にあるほど螢
光体粒子(粉末)は、HgOの吸着が少なく、離れた位置
にあるほど螢光体粒子(粉末)は、 HgOの吸着が多いと
予測される。しかし、図3は単なる序列に過ぎず、実際
どの程度まで離れた場合に、黒化が生じるかの定量的な
帯電傾向の差が示されていないので、試行してみないと
分からない。
【0026】次に、キャリア粉体として上記粒径 200μ
m 〜 500μm のソーダ石灰ガラスビーズ(東芝バロディ
株式会社製、GBシリーズのガラスビーズ)を使用して、
主要な蛍光体の接触帯電量を測定したところ、大部分の
蛍光体は(+)に帯電し、かつ 0.1〜 3μC/gの電荷を
有することが分かった。一方、(−)に帯電するものは
比較的少ないことも分かった。しかしながら、この測定
において、蛍光体粒子の粒径がそれぞれ異なることや、
製造工程などの違いによるロット間の品質のバラツキ、
前述した化学量論組成からのズレなどに起因して、測定
値に誤差が生ずることが判明した。これらの要因の中で
は、試料粉体(蛍光体)の粒径のファクタが、表面積に
大きな差が出ることから一番大きく影響する。図4に帯
電量と粒径との関係の一例を示す。
【0027】そこで、本発明においては、蛍光体試料粉
体の粒径を規格化し、測定を実施することとする。具体
的には、本発明においては蛍光体の帯電量を測定するに
あたり、粒径は 5±2 μm に統一することとする。この
ような条件の下で測定した結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】図5は、上記ブローオフ粉体帯電測定装置
によって、 HgOを含む単純酸化物の帯電傾向の測定結果
を示したものである(ジャーナル・オブ・エレクトロケ
ミカル・ソシエティ、第 133巻,842 頁(1986)参照)。
ここでは、粒径の揃った微粒子酸化物の鉄粉に対する帯
電量と各酸化物の比重の積が縦軸にとられているので、
帯電量の値は大きく表示されている。
【0030】図5から明らかなように、上記測定による
帯電量は、酸化物を構成する金属イオンの電気陰性度
(xi =(1+2z) x0 … ( zは価数、 x0 はポーリングの
元素の電気陰性度を表す) )と非常に良い相関が見ら
れ、xi が小さいほど正帯電の傾向にあり、xi が大き
いほど負帯電の傾向にある。 HgOはY 2 O 3 や ZnOと同
程度の帯電傾向を有するので、Y 2 O 3 や ZnOを主成分
とする螢光体には吸着しにくく、 HgOから離れた帯電傾
向の螢光体粒子には吸着しにくいといえる。そして、具
体的にどの程度の帯電傾向の差間で許容されるか実験的
に確認したところ、上記測定方法にしたがって、帯電量
が 3μC/g 以下の蛍光体を使用することにより、黒化の
発生を抑制することが可能となった。帯電量が 3μC/g
を超えると、上述したようにHgO との帯電量の差が大き
くなりすぎて、黒化の発生度合いが高くなる。より好ま
しい帯電量は、 0.5μC/g 〜 2.5μC/g の範囲である。
【0031】なお、上記においてはキャリアとして、所
定粒径のガラスビーズを用いて各種の蛍光体の帯電量を
測定したが、粒径44μm 〜74μm の還元鉄粉をキャリア
として用いた場合も、同様な結果が認められた。ただ
し、この場合の帯電量は-0.5μC/g 〜2.5 μC/g 程度で
あり、前記図5は単純酸化物粒子の帯電傾向を示すもの
であるが、粒子でなく板状物質の帯電傾向位置を同じ図
に図示することができる。すなわち板状物質を傾斜さ
せ、この斜面を各種の酸化物粒子を転がし、受け皿でこ
れらの粒子の帯電符号を調べることにより、板状物質の
帯電傾向位置を知ることができる。このようにして求め
たニッケル,クロム,タンタルなどの金属板の帯電傾向
位置を図5に併せて示した。さらに、帯電傾向位置の分
かった金属板を傾斜させ、この傾斜面を蛍光体粒子を転
がし、受け皿でこれら蛍光体粒子の帯電符号を調べるこ
とにより、粒子径の異なる蛍光体粒子でもその帯電傾向
を、前記図5で比較できる。ブローオフ粉体帯電測定装
置において、所定粒径のガラスビーズをキャリアとし、
5±2μm の蛍光体粒子で得られた 0.5μC/g 〜 2.5μC
/g の帯電量は、図5において金属タンタルよりも正の
側でニッケルよりやや高い位置よりも負の側の帯電傾向
を意味した。そして、この値は図5の金属イオンの電気
陰性度の値で7.0 〜11.8の範囲に入る。
【0032】本発明に使用する蛍光体(螢光体粒子)の
具体例としては、BaMg2 Al16O 27Eu2+Sr10(PO4 6 Cl
2 :Eu2+、(Sr,Ca)10(PO4 6 Cl2 :Eu2+、(Sr,Ca,B
a)10(PO4 6 Cl2 :Eu2+、(Ba,Ca,Mg)10(PO4 6 Cl
2 :Eu2+などの 2価のユーロピウム付活青色蛍光体;La
2 O 3 ・0.2SiO2 ・0.9P2 O 5 :Ce,Tb 、LaPO4 :Ce,T
b、 Y2 SiO5 :Ce,Tb、CeMgAl11 O19:Tb 、Zn2 SiO4 :
Mn などの緑色蛍光体;Y2 O 3 :Eu3+、 YVO4 :Eu3+
Y(P,V)O4 :Eu3+、 Y2 O 2 S:Eu3+などの 3価のユーロ
ピウム付活赤色蛍光体、その他の希土類蛍光体などが例
示され、上記帯電特性を満足するものが使用される。ま
た、上記青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体を、
発光色の相関色温度が 2800K〜10000Kになるように混合
した物質を用いることも可能であり、この場合も上記帯
電特性を満足させたものとする。また、前記図5に示し
た無機化合物の帯電特性を考慮すると、HgO と帯電特性
(符号および帯電量)が近似した無機化合物、たとえば
Al2 O3 のような酸化物や、Ca2 P2 O7 、Sr2 P2 O
7 、Ba2 P2 O7 などのアルカリ土類金属化合物で螢光
体粒子表面を被覆することによって、帯電特性を本発明
の範囲内にコントロールすることも可能である。
【0033】このような表面を無機化合物で被覆した蛍
光体粒子を調製する際には、無機化合物が 0.01 〜 5.0
重量%の範囲、好ましくは 0.01 〜 3.0重量%の範囲と
なるように混合することが望ましい。表2に、上述した
ような無機化合物で表面を被覆(混合)した蛍光体の帯
電特性の測定結果(上記したブローオフ粉体帯電測定装
置による測定)を示す。
【0034】
【表2】
【0035】なお、上記において蛍光体粒子( Y2 O
3 :Eu )に対し、0.1 〜0.5 重量%のMgOもしくは SiO
2 を、表面被覆(コーティング)して調製した試料につ
いて、前記ガラスビーズもしくは還元鉄粉をキャリヤと
してそれぞれ測定した場合の帯電量は、図6に示すよう
な関係が認められた。つまり、キャリアの相違によって
測定値にも相違がでる。
【0036】ここで、蛍光体粒子表面を被覆する無機化
合物としては、 MgO, CaO, SrO,BaOおよび ZnOの群
れから選ばれた金属酸化物がより好ましい。その理由は
金属イオンの電気陰性度が 7以下(正帯電)であり、表
面の帯電傾向が HgOより適度の範囲で正の方向にあるこ
とから、 HgOとの反応を防止することが可能で黒化をよ
り効果的に抑制し得る。また、前記被覆する無機化合物
は化学的安定性、紫外線や発光の吸収能など帯電傾向以
外の因子も考慮して選択されるが、一般にアルカリ土類
元素、イットリウムを含む希土類元素、アルミニウムや
ガリウムなど電気陰性度が11以下の金属酸化物は、鉄に
対して正に帯電させ得るし、チタン、タンタル、リンな
ど電気陰性度が11以上の金属酸化物は、鉄に対して負に
帯電させ得る。勿論これらを混合した形で用いることも
可能である。
【0037】そして、これら無機化合物の蛍光体粒子表
面に対する付着量は、蛍光体粒子に対し0.01〜 3.0重量
%の範囲で選ばれる。つまり、付着量が0.01重量%未満
では帯電傾向の制御効果が十分に得られず、 3.0重量%
を超えると蛍光体の発光効率が低下する傾向が認められ
るからである。 (以下余白) 表2から明らかなように、前記表1に示した蛍光体単独
の測定結果と比較して、その特性が異なっていることが
判る。
【0038】以上のように低圧水銀蒸気放電ランプ、特
に 500〜2000W/m2 の放射密度を有する高負荷型のラ
ンプにおいては、発光層を構成する蛍光物質の帯電特性
が、200〜 500μm のガラスビーズとの接触時に、1gあ
たり 3.0μC 以下の正電荷の帯電を有することによっ
て、水銀の吸着による黒化を確実にかつ再現性よく抑制
することが可能となる。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0040】実施例1 まず、前記表1に示した試料番号 1〜17の各蛍光体と、
表2に示した試料番号18〜27の蛍光体表面に無機化合物
を被覆した蛍光物質の中から選択して用い、これら粉体
をバインダを溶解した溶媒に分散させてスラリーを各々
作製した。
【0041】次に、図7に示すように、直管型のガラス
管11の内壁面に、上記蛍光物質を含むスラリーをそれ
ぞれ塗布し、乾燥後、バインダーを除去するベーキング
工程および排気工程を行った後、水銀と封入ガスを充填
して封止し、さらにエージング工程を経て、 700W/m
2 の放射密度を有する管径25mm、管長1200mm両端部に点
灯回路が内蔵された口金12を有する直管型低圧水銀蒸
気放電ランプ13をそれぞれ作製し、後述する特性評価
に供した。図7において14は蛍光体層を示す。 実施
例2 上記実施例1と同様な蛍光物質を用い、同様な工程によ
って、図8に示すように、U字形状のガラス管15を用
いた放射密度1000W/m2 、管長 410mm、管径20mmのU
字型低圧水銀蒸気放電ランプ16を作製し、後述する特
性評価に供した。 実施例3 上記実施例1と同様な蛍光物質を用い、同様な工程によ
って、図9に示すように、屈曲形状のガラス管17を用
いた放射密度1500W/m2 のコンパクト型低圧水銀蒸気
放電ランプ18を作製し、後述する特性評価に供した。
なお、図中、12aは電子点灯回路、12bは電源ケー
ス、12cは断熱基板である。
【0042】上記各実施例の低圧水銀蒸気放電ランプの
働程中におけるHgの吸着による黒化の発生を調べるため
に、通常のJIS に定められた寿命試験(JIS C 7601参
照)により、高負荷による、すなわち30秒のON-OFFサイ
クルによる強制点灯試験を行った。なお、この30秒のON
-OFFサイクルでの試験では、通常の1000時間〜2000時間
の点灯試験がおよそ10時間に促進できる。
【0043】水銀の吸着による黒化の程度の評価は、点
灯直後( 0時間)の黒化のないものを10点とし、所定時
間点灯したものについて、実用的な見地から10段階で点
数を付けた。なお、評価時間の 0時間において、黒化が
発生しているものとは、点灯前すなわちエージングの段
階において、すでに黒化が発生しているものをさす。以
下に、おおまかな基準を示す。
【0044】10〜 9点…問題なし。
【0045】8〜 7点…使用はできるが外観上問題あ
り。
【0046】6〜 5点…外観不良、光束も低下する。
【0047】4〜 3点…外観不良、点灯し難い。
【0048】2〜 1点…点灯しない、使用不可。
【0049】上記したような基準で黒化の程度を判定し
た結果を第3表〜第5表に示す。
【0050】なお、表中の各比較例は、表1に示した試
料番号 1〜13の各蛍光体および表2に示した試料番号16
〜25の各蛍光物質の中から、負帯電の蛍光物質やHgO と
の帯電序列の差の大きい蛍光物質を選択し、上記実施例
と同一条件で作製した低圧水銀蒸気放電ランプであり、
これらについても同様に黒化の程度を評価し、その結果
も表3、表4および表5に併せて示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】表3、表4および表5から明らかなよう
に、負帯電の蛍光物質やHgO との帯電序列の差の大きい
蛍光物質を使用した低圧水銀蒸気放電ランプは、黒化が
発生し易かったのに対し、蛍光物質の表面の帯電特性を
制御したもの、すなわち帯電特性を本発明の範囲内とし
た蛍光物質を使用した低圧水銀蒸気放電ランプは、長期
間にわたって黒化の発生が抑制され、かつその結果とし
て光束の低下率も少なくできることが判る。
【0055】実施例4 純水200 ccに硝酸マグネシウム[Mg(NO3 2 ] を1.10g
溶解する。次に、セリウムとテルビウムとで付活された
希土類アルミン酸・珪酸・燐酸塩緑色発光蛍光体[(La
0.06Ce0.25Tb0.152 O 3 ・ 0.003Al2 O 3 ・ 0.0005S
iO2 ・1.003P2 O5 ]を 100g添加し、充分に撹拌す
る。
【0056】撹拌しながら、アンモニア水 [NH4 OH] を
用いてpHをアルカリ領域に調整する。すると、水酸化マ
グネシウムのゲル状物質が生成する。この状態の下で、
撹拌をさらに十分に行った後、純水にて数回洗浄を行
い、その懸濁液を吸引濾過する。この後、得られた濾過
ケーキを 300℃〜 400℃で乾燥する。
【0057】こうして得られた蛍光体粒子は、その表面
が 0.3重量%の MgO微粒子層によって被覆されたもので
あった。
【0058】続いて、この緑色発光蛍光体を用い、常法
に従って、前記図7に示すような4Wの蛍光ランプ・FL
4 (15.5mm φ、管壁負荷:0.11W/m2 )を作製し、初
期発光出力、および1000時間点灯後の発光出力と蛍光層
の着色(薄茶褐色)状態を測定、評価した。蛍光ランプ
13は、ガラスバルブ11の内面に蛍光膜14が被着さ
れ、さらに所定圧の放電用ガス、すなわち水銀と、アル
ゴンのような希ガスとの混合ガスが封入されて構成され
ている。そして、ガラスバルブ11の両端部に図示され
ていない電極が取付けられ、この電極に口金12を介し
て所定電圧を印加することにより励起源によって蛍光膜
14が発光するように構成されてるいる。 一方、比較
試料として、上記実施例で使用したセリウムとテルビウ
ムとで付活された希土類アルミン酸・珪酸・燐酸塩緑色
発光蛍光体を金属酸化物で被覆することなく用い、同様
の蛍光ランプを作製し、実施例と同一条件で特性を測定
した。 なお測定結果は、初期発光出力および1000時間
点灯後の発光出力共に、比較試料の蛍光体の値を 100%
としたときの相対値で示した。また、蛍光ランプのバル
ブの着色の程度は10点を最高とし、着色の少ないものほ
ど高い点数で示した。
【0059】1000時間点灯後の発光出力は、比較試料の
蛍光体に対して、実施例の蛍光体は110%であり、蛍光
ランプのバルブの着色の度合いは、比較試料の蛍光体で
は 6.0であったのに対し、実施例の蛍光体は 9.0と高
く、品質の向上が達成された。また、初期発光出力にも
大きな低下は認められず、比較試料の蛍光体とほぼ同等
の値を維持していた。
【0060】実施例5 純水200cc に1.0gの酸化亜鉛[ZnO] 微粉末(粒径0.05μ
m 前後)を入れ十分に懸濁させる。次に、セリウムとテ
ルビウムとで付活された希土類珪酸・硼酸・燐酸塩緑色
発光蛍光体[(La0.04Ce0.45Tb0.152 O 3 ・0.001SiO2
・0.988P2 O 5・ 0.0005B2 O 5 ]を 100g添加し、充
分に撹拌する。その後、0.1gのアクリルエマルジョンと
0.05 gのポリアクリル酸アンモニウムを順次添加し、均
一に分散させた後、その懸濁液を吸引濾過し、得られた
濾過ケーキを 120℃前後で乾燥する。こうして得られた
蛍光体粒子は、その表面が 1.0重量%の ZnO微粒子層に
よって被覆されたものであった。
【0061】この緑色発光蛍光体を用いて実施例4の場
合と同様に蛍光ランプを作製し、同一条件で特性を測
定、評価した。その結果を表6に示す。
【0062】なお、表中の比較試料は、金属酸化物微粒
子の付着を行わない以外は、実施例と同一条件で作製し
た蛍光ランプの測定結果である。
【0063】
【表6】
【0064】実施例6〜16 表6に示すように、緑色発光蛍光体とこの表面を被覆す
る金属酸化物の種類および被覆濃度を変化させ、実施例
4の場合と同様に緑色発光蛍光体を調製した。また、得
られた緑色発光蛍光体を用いて蛍光ランプを作製し、同
様に特性評価を行った。これらの結果をまとめて表6に
示す。
【0065】比較例3、4 実施例4および実施例7で用いた蛍光体と同組成の蛍光
体をそれぞれ使用し、金属酸化物微粒子の付着量を本発
明の範囲外する以外は、実施例4の場合と同様に緑色発
光蛍光体を調製した。また、得られた緑色発光蛍光体を
用いて蛍光ランプを作製し、同様に特性評価を行った。
【0066】表6から明らかなように、各実施例による
蛍光体を用いた高負荷型蛍光ランプ(0.05W/cm2
上)によれば、初期発光出力を従来のものとほぼ同等に
維持しつつ、長時間点灯後の発光出力の低下を抑え、蛍
光ランプの着色現象を低減することができることが分
る。
【0067】実施例17 平均粒子径 4.2μm のランプ用赤色発光のユーロピウム
付活酸化イットリウム蛍光体100gを純水中に懸濁させ、
これに 1重量%の酸化マグネシウム(バイコフスキー社
製、バイカロックス M120)を純水に懸濁させた液 1mlを
加え、30分以上撹拌した後に吸引濾過し、 125℃で乾燥
する。さらに、これを空気中にて 350℃、 5時間の条件
で仮焼する。
【0068】得られた蛍光体を走査型電子顕微鏡で観察
したところ、コロイド粒子が蛍光体粒子表面によく分散
して付着していることを確認した。
【0069】また、得られた蛍光体0.4gと粒子径74μm
〜44μm の還元鉄粉(日本鉄粉社製、TEFV)20g とを混
合し、ブローオフ装置により鉄粉に対する蛍光体1gあた
りの接触帯電量を求めたところ、 +0.90μC/g であっ
た。
【0070】一方、得られた蛍光体を、結着剤を含みニ
トロセルロースバインダを溶解した溶媒に分散させてス
ラリーを調合した。次に、内径10mmの直管型ガラス管の
内壁に、上記蛍光体を含むスラリーを一定の膜厚となる
ように塗布し、乾燥後バインダを除去するベイキング工
程を行い、次いで水銀と封入ガスを充填し、極間長300m
mの直管型低圧水銀蒸気放電ランプを作製した。なお、
点灯中の余剰の水銀は、全てランプの最冷部である細管
に凝集する構造とした。
【0071】上記ランプの光束は、点灯後30秒程度で定
常値に達した。また、点灯後 300時間の光束を初期値に
対して測定し、光束維持率を求めたところ、90%であっ
た。 実施例18 実施例17の酸化マグネシウムに代えて、 0.2モル/lの
アンモニウム水溶液と0.1モル/lの硫酸亜鉛水溶液とを
加えて生成せしめた0.2g水酸化亜鉛コロイドを、赤色発
光のユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体の粒子表
面に付着させた。実施例17の場合と同じ手順の乾燥に
よって、水酸化亜鉛コロイドは酸化亜鉛コロイドに変化
した。
【0072】この蛍光体の鉄粉に対する接触帯電量を実
施例17の場合と同様にして測定した後、実施例17と
同様の手順で蛍光ランプを作製し、実施例17と同様に
して評価した結果を表7に示す。
【0073】比較例5 粒子表面に金属酸化物を付着させないユーロピウム付活
酸化イットリウム蛍光体を用い、実施例17の場合と同
様の手順で蛍光ランプを作製した。蛍光体の鉄粉に対す
る接触帯電量は、 0.3μC/g であり、光束維持率は87%
であった。
【0074】比較例6、7 実施例17の酸化マグネシウムに代えて、シリカコロイ
ド(日本エアロジル社製、OX-50)をユーロピウム付活酸
化イットリウム蛍光体の粒子表面に付着させた試料につ
いて、実施例17の場合と同様の手順で蛍光ランプを作
製した。そして、実施例17の場合と同様にして蛍光体
の接触帯電量および蛍光ランプの特性を評価した。その
結果を表7に示す。
【0075】なお、これら比較例の蛍光ランプでは、点
灯後に光束が定常値に達するまでに5〜 6分要した。
【0076】実施例19〜21 平均粒子径 5.7μm のランプ用緑色発光のマンガン付活
珪酸亜鉛蛍光体粒子表面に、実施例17〜18の場合と
同様の手順で酸化マグネシウムあるいは酸化亜鉛を付着
させた。また、これらの蛍光体を用いて、実施例17の
場合と同様の手順で蛍光ランプを作製し、同様に蛍光体
の接触帯電量および蛍光ランプの特性を評価した。その
結果を表7に示す。
【0077】実施例22 ランプ用緑色発光のマンガン付活珪酸亜鉛蛍光体粒子表
面に、最初に酸化マグネシウムコロイドを 0.5重量%付
着させた試料を作製し、次いでこの試料に 0.2重量%の
シリカコロイドを付着させた。この蛍光体を用いて、実
施例17の場合と同様の手順で蛍光ランプを作製し、同
様に蛍光体の接触帯電量および蛍光ランプの特性を評価
した。その結果を表7に示す。
【0078】比較例8、9 ランプ用緑色発光のマンガン付活珪酸亜鉛蛍光体、およ
びその表面にシリカコロイドを付着させ、鉄に対する接
触帯電量を本発明の範囲外とした試料について、実施例
17の場合と同様の手順で蛍光ランプを作製した。そし
て、実施例17の場合と同様にして蛍光体の接触帯電量
および蛍光ランプの特性を評価した。その結果を表7に
示す。
【0079】
【表7】
【0080】表7から明らかなように、蛍光体粒子の表
面に金属酸化物微粒子を付着させ、粒子径44μm 〜74μ
m の還元鉄粉との接触帯電量が-0.5μC/g 〜 1.5μC/g
の範囲の電荷を帯電するように、蛍光体の帯電傾向を制
御すれば、高負荷ランプの黒化と光束低下を抑制するこ
とができることが分る。
【0081】なお、上記実施例および比較例においては
蛍光体として、鉄粉に対して正に帯電するユーロピウム
付活酸化イットリウムと、鉄粉に対して負に帯電するマ
ンガン付活珪酸亜鉛の例を挙げ、また表面付着金属酸化
物として、鉄粉に対して正に帯電する酸化マグネシウム
と、鉄粉に対して負に帯電する酸化珪素(シリカ)の例
を挙げた。これらの例から、それぞれの蛍光体の帯電傾
向が表面付着金属酸化物の方向に変えられること、すな
わち表面付着金属酸化物の種類と量とによって、蛍光体
の帯電傾向を制御することが可能であることが理解され
よう。
【0082】実施例23 先ず、希土類蛍光体として(La,Ce,Tb)( P,Si )O 4
とZn2 SiO4 :Mnとを選び、また正に帯電する金属酸化
物として MgOx ZnO 、負に帯電する金属酸化物として S
iO2 をそれぞれ選び、蛍光体の懸濁液に金属酸化物の懸
濁液を加え、攪拌した後、吸引濾過し 125℃以上の温度
で乾燥してから、 350℃焼成して 200メッシュ篩を通し
た。こうして得た蛍光体粒子について、前記のブローオ
フ帯電測定装置を用い、還元鉄粉をキャリヤとして帯電
量を測定した結果を図10および図11に示す。図10は(L
a,Ce,Tb)( P,Si )O 4 の場合を、図11はZn2 Si
O4 :Mnの場合である。各図から分かるように金属酸化
物の表面付着によって、蛍光体の帯電傾向をかなりの範
囲で制御し得る。
【0083】上記処理した蛍光体を用い、常套の手段に
より高付加形の蛍光ランプをそれぞれ作製し、 100時間
点灯してから 1昼夜消灯した後、ランプの光束立上がり
を測定した結果を図12および図13にそれぞれ示す。図12
は(La,Ce,Tb)( P,Si )O4 の場合を、図13はZn2 Si
O4 :Mnの場合である。
【0084】さらに、前記蛍光ランプについて、点灯 5
分後における光束比と帯電傾向の関係を測定したとこ
ろ、図14および図15にそれぞれ示すごとくであった。図
14は(La,Ce,Tb)( P,Si )O 4 の場合を、図15はZn2
SiO4 :Mnの場合である。
【0085】各図から分かるように、使用する蛍光体粒
子の帯電傾向で、光束立上がりのベストの条件が存在
し、この実施例の場合は還元鉄粉に対する帯電傾向が、
0〜+1μc /g のときベストの条件であった。
【0086】また、前記希土類蛍光体として Y2 O 3
Euを用いた他は同様にして構成した蛍光ランプについ
て、 300時間点灯後における光束比と点灯時間との関係
を評価したところ、図16に示すような傾向が認められ
た。すなわち、光束は最初A点立上がった後に一旦B点
まで低下し、次いで安定なC点に上昇する。A点からB
点までの低下が、蛍光体の帯電傾向に対する依存性が認
められる。図17は、蛍光体Y2 O 3 :Euの還元鉄粉に対
する帯電傾向を示す特性図であり、光束減衰率は、図16
に図示する特性曲線の(A−B)÷A× 100%で表され
る。
【0087】実施例24 緑色発光の蛍光体(La,Ce,Tb)( P,Si )O 4 粒子表面
を、 0.1重量%の MgOで被覆して所用の帯電制を付与し
た蛍光体粒子を用い、前記図9に図示した構成の管璧負
荷 750W/m2 の蛍光ランプを作製した。この蛍光ラン
プについて点灯試験を行ったところ、光束立上がり特性
など、従来の蛍光ランプに較べて大幅に改善された機能
を保持していた。
【0088】なお、上記において、 Y2 O 3 :Eu、緑色
発光の蛍光体(La,Ce,Tb)( P,Si)O 4 、青色発光の
蛍光体 BaMgO2 Al11 O27:Euの2種以上の混合系を用い
て構成した場合も、同様な結果が得られた。図18は3元
混合系の蛍光体を用いて構成した場合の光束減衰率と帯
電傾向の関係を示す特性図である。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように本発明の低圧水銀蒸
気放電ランプは、働程中の黒化の発生を確実に、再現性
よく抑制することができ、また光束立上がり特性の改善
を容易に、かつ再現性よく図り得るばかりでなく、光束
の低下率も低減し得る。このようなランプは、小型で高
負荷仕様のものに好適で、その工業的価値は極めて大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光物質の帯電量を測定するブローオ
フ粉体帯電量測定装置のファラデーケージの構造を模式
的に示す図。
【図2】(a)はキャリア粉体のモデル図、(b)はキ
ャリア粉体と測定用試料とを混合した状態のモデル図。
【図3】各種のキャリア粉体を用いた蛍光体の帯電序列
を示す図。
【図4】粒径と帯電量との相関関係の一例を示す特性
図。
【図5】ブローオフ帯電測定装置によって測定した無機
化合物の帯電量と電気陰性度との相関関係図。
【図6】ブローオフ法でキャリヤとしてガラスビーズも
しくは還元鉄粉を用いたときの帯電量値の関連性を例示
した対比図。
【図7】本発明に係る低圧水銀蒸気放電ランプの構造例
を示す図。
【図8】本発明に係る低圧水銀蒸気放電ランプの他の構
造例を示す図。
【図9】本発明に係る低圧水銀蒸気放電ランプの他の構
造例を示す図。
【図10】各試料をブローオフ法でキャリヤとして還元
鉄粉を用いたときの鉄粉に対する帯電量を示す説明図。
【図11】各試料をブローオフ法でキャリヤとして還元
鉄粉を用いたときの鉄粉に対する帯電量を示す説明図。
【図12】一昼夜点灯後における蛍光ランプの光束比と
点灯時間の関係を示す特性図。
【図13】一昼夜点灯後における蛍光ランプの光束比と
点灯時間の関係を示す特性図。
【図14】点灯 5分後における蛍光ランプの光束比と蛍
光体の帯電傾向との関係を示す特性図。
【図15】点灯 5分後における蛍光ランプの光束比と蛍
光体の帯電傾向との関係を示す特性図。
【図16】蛍光ランプの光束比と点灯時間の関係を示す
特性図。
【図17】蛍光ランプの光束減衰率と蛍光体の帯電傾向
との関係を示す特性図。
【図18】蛍光ランプの光束減衰率と蛍光体の帯電傾向
との関係を示す特性図。
【図19】従来の蛍光ランプの光束比と点灯時間の関係
を示す特性図。
【符号の説明】
1…ファラデーケージ 2…金網 3…ノズル
4…試料粉体 5…キャリア粉体 11、15、1
7…ガラス管 12…口金 12a…電子点灯回路
12b…電源ケース 12c…断熱基板 1
3、16、18…低圧水銀蒸気放電ランプ 14…蛍
光体層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年11月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 低圧水銀蒸気放電ランプ
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、点灯中に黒化が発生し
難く、光束の低下率の少ない働程特性にすぐれた低圧水
銀蒸気放電ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】低圧水銀蒸気放電ランプ(蛍光ランプ)
は、一般照明をはじめとして、最近ではOA機器用光
源、巨大画面用の画素光源、液晶ディスプレイのバック
ライトなどに広範囲に利用されている光源である。その
理由は、低圧水銀蒸気放電ランプは供給された電力を非
常に効率良く放射に変換するからである。
【0003】このような低圧水銀蒸気放電ランプは、内
壁面に蛍光層が設けられたガラス管内に、水銀および1
種または2種以上の希ガスを含む混合ガスが充填され、
この混合ガス中で陽光柱放電が生ずるように構成されて
いる。
【0004】上記放電は、通常、2つの電極を経て電気
エネルギーを混合ガスに供給することによって保たれ
る。この放電によって、主に紫外線が発生し、その大半
は185nmと254nmの波長を有しており、185
/254の紫外線強度比率は通常0.2〜0.4であ
る。この紫外線は、ガラス管内壁面に形成された蛍光層
によって、長い波長の放射に変換される。この波長は蛍
光層に含まれる蛍光体粒子の種類に依存し、近紫外〜可
視〜近赤外までのものが得られている。低圧水銀蒸気放
電ランプの最も一般的な種類の1つは、全長が1200
mm、ガラス管の内径が約37mm直管型40Wタイ
プのものである。このランプの管壁負荷は約300W/
程度である。
【0005】また、上記ガラス管は、直管型のものに限
らず、円形状、U形状、くら形状などとすることがで
き、最近では小型化が進み、形状も複雑なものが多くな
ってきている。
【0006】一方、蛍光ランプの高演色性化などに伴
い、比較的狭帯域の発光スペクトル分布を有する青色、
緑色、赤色の発光を示す蛍光体を用いた三波長形蛍光ラ
ンプも知られている。この三波長形蛍光ランプの場合
は、その全光束(発光出力)に対して、緑色成分光束
占める割合が高いため、緑色発光蛍光体の特性が重視さ
れる。このような蛍光体としては、たとえばセリウムお
よびテルビュウムで付活された緑色発光形希土類アルミ
ン酸・珪酸・燐酸塩蛍光体、希土類硼酸・珪酸・燐酸塩
蛍光体、希土類正燐酸塩蛍光体、希土類アルミン酸・硼
酸・燐酸塩蛍光体などが知られている。
【0007】ところで、上述したように低圧水銀蒸気放
電ランプの高管壁負荷化ないし小型化が進むにつれて、
管壁負荷はさらに高くなる傾向にある。かなり高い管壁
負荷の低圧水銀蒸気放電ランプとしては、たとえばドイ
ツ国公開公報2109898号など、いくつかが開示さ
れている。しかし、これらの比較的高い管壁負荷を有す
るランプは、通常のものに比べてランプ効率が低く、ま
た光束の低下率が大きく、ランプが黒化する現象が早期
に発生し易いこと、および点灯直後の光束立上がりが遅
いなどの欠点があった。
【0008】また、特開昭54−42874号公報に
は、光束の低下率が小さい蛍光層を形成する蛍光体粒子
として、蛍光体粒子の陽イオンの結合が1.4以下の電
気陰性度を有するものを用いたランプが開示されてい
る。しかし、上記公報に記載されているような一義的な
条件では、実際には光束の低下率を説明することはでき
ない。
【0009】一方、低圧水銀蒸気放電ランプの点灯中の
管端黒化、斑点状黒化、全面黒化などの原因としては、
フィラメントやカソード物質、有機物バインダーの残留
物質などの影響も考えられるが、水銀やその化合物がガ
ラス管内壁面に塗布した蛍光体粒子(蛍光体層)を汚染
する可能性もある。
【0010】しかも、従来の高い管壁負荷を有する低圧
水銀蒸気放電ランプにおいては、ランプの製造プロセス
や構造が同じでも、蛍光体粒子(蛍光物質)の種類、さ
らには同種の蛍光体粒子であってもその製造ロットなど
によって、黒化の程度に差が生ずることがあるなど、品
質にバラツキが発生しやすいという欠点を有している。
特に、前記希土類緑色発蛍光体の場合は、赤色発
光体などに較べて、水銀やその化合物による汚染に起因
する着色現象が発生し易く、この緑色発蛍光体の状態
がその特性に大きく影響する三波長形蛍光ランプでは、
上記のような問題の発生が著しくなるという難点が認め
られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の高い管壁負荷を有する低圧水銀蒸気放電ランプ、すな
わち小型でコンパクトな低圧水銀蒸気放電ランプは、発
光効率が低い、黒化現象が早期に発生し易い、光束の低
下率が大きいこと、および点灯直後の光束の立上がりが
遅いことなどの欠点を有している。しかも、これら欠点
の発生にバラツキが生じ易く、品質面での再現性が乏し
いという難点を有していた。
【0012】上記光束の立上がりが遅い理由は、蛍光体
ヘの水銀の吸着が考えられる。特に管壁負荷が高くなれ
ば、電流密度の増加に伴い水銀イオンが蛍光体粒子表面
で電子と再結合して水銀原子となる確率が高くなる。そ
して、前記水銀原子は、ランプ点灯中は勿論、消灯中も
蛍光体膜中に吸着され、再点灯すると先ずこの吸着され
ている水銀が放出され、次いでランプ最冷部に凝集して
いる水銀が徐々に放出され、管内の水銀蒸気圧に依存し
て光束が立上る。図19は光束比と点灯時間との関係を
示すもので、曲線(イ)はランプの管壁負荷が比較的低
い直管形40Wタイプの光束立上を、曲線(ロ)は三波
長域発光蛍光体を用いた管壁負荷500W/m以上の
光束立上をそれぞれ示したものである。なお、図19に
おいてx部分は蛍光体に吸着されていた水銀が放出さ
れるときを、またy部分はランプ最冷部に凝集している
水銀が徐々に放出されるときをそれぞれ示す。
【0013】本発明は、上述した課題に対処するために
なされたものであり、高い管壁負荷の下で、黒化の発生
を抑制し、光束の低下率が小さい低圧水銀蒸気放電ラン
プの提供を目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の低圧水銀
蒸気放電ランプは、水銀および希ガスを含む封入ガスが
充填された光透過性ガラス管と、この光透過性ガラス管
内壁面に設けられた蛍光体粒子を含む蛍光層と、前記封
入ガス中で陽光柱放電を維持するための手段とを具備す
る低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、前記蛍光層を形成
する蛍光体粒子は、その帯電傾向が金属イオンの電気陰
性度7.0の金属酸化物より負の側にあり、金属イオン
の電気陰性度11.8の金属酸化物より正の側にあるこ
とを特徴とする。
【0015】さらに具体的には、蛍光層を形成する蛍光
体粒子は、粒径200μm〜500μmのソーダ石灰ガ
ラスビーズとの接触時に、1gあたり3.0μC(マイ
クロクーロン)以下の正電荷を帯電するか、もしくは粒
径44μm〜74μmの還元鉄粉との接触時に、1gあ
たり−0.5μC(マイクロクーロン)を超える電荷を
帯電することを特徴とし、要すればある種の所定量の酸
化物で蛍光体粒子面を付着して、前記の帯電性付与な
いし保持せしめたものである。
【0016】なお本発明は、管壁負荷が500〜200
0W/mの範囲である負荷型の低圧水銀蒸気放電ラ
ンプに対して特に有効である。すなわち、低圧水銀蒸気
放電ランプ、特に高負荷型のものにおいては、水銀吸着
による黒化の発生の度合いが、蛍光層を構成する蛍光体
粒子(処理剤を含む)表面の帯電傾向に相関のあること
を見出だし、本発明はこのような知見に基づいて成され
たものである。
【0017】一般に、2種の物質が接触するとき、それ
ぞれの物質の表面に等量の正と負の電荷が生じる。ここ
で、正の電荷を生じる物質は正の帯電傾向があり、負の
電荷を生じる物質は負の帯電傾向にあるといわれる。そ
して、帯電傾向を調べ、どのような物質に対しても正に
帯電する物質を最上位に、逆にどのような物質に対して
も負に帯電する物質を最下位として順に並べた列を帯電
序列という。このような帯電序列は、天然物や有機物に
ついて幾つか知られており、序列中の任意の2種類の物
質を接触させたとき、序列が上の物質は正に、序列が下
の物質は負にそれぞれ帯電し、また序列が上の物質ほど
正に帯電する傾向が強いとされる。
【0018】たとえば、一般にマンガン付活ケイ酸亜鉛
蛍光体(ZnSiO:Mn)は黒化が生じ易いと言
われている。ランプ用蛍光体の中でも、ZnSi
:Mnは、特異的に負帯電する傾向の強いことが分
かった。一方、光透過性ガラス管内に充填された水銀
は、ランプ中の構成物質から放出されるガス(CO
ど)や不純物と反応してHgOとなる。この水銀化合物
であるHgOは、ZnSiO:Mnよりも強く正帯
電する傾向を示すことが分かった。したがって、Zn
SiO:MnがHgOを吸着した場合、ZnSiO
:MnとHgOとの接触表面にそれぞれ負と正の電荷
が生じ、さらにこれに伴う静電引力によって脱離しにく
いため、蛍光層の黒化が生ずるものと考えられる。すな
わち、HgOに較べて帯電傾向の差が大きいほど蛍光層
の黒化が出易いと考えられる。こうしたことは、付着物
の分析結果などからも確認されている。なお、Zn
iO:MnにおけるZnOとSiO組成比率は、
化学量論組成で2:1であるが、通常のものではこの比
率が正確に2:1のものは少なく、ZnOがSiO
対して1.5〜2.2の値をとる場合が多い。
【0019】ZnSiO:Mn蛍光体は、一般的に
は上記した如く、強く負帯電する傾向にある、ZnOが
SiOに対して2.0以下の組成比になると負帯電が
さらに強くなる傾向を示し、一方、ZnOがSiO
対して2.0以上になると逆に負帯電が弱くなる傾向が
現われる。このように、蛍光体の一般的な化学式だけ
で、その物質の帯電特性を判断することは難しいことも
分った。また、このような化学量論組成からのずれ以外
にも、帯電特性の評価結果にバラツキを与える要因が種
々存在している。本発明の低圧水銀蒸気放電ランプにお
いては、蛍光層を形成する蛍光体粒子(物質)は、その
帯電傾向が金属イオンの電気陰性度7.0の金属酸化物
より負の側にあり、金属イオンの電気陰性度11.8の
金属酸化物より正の側にある蛍光体粒子(何等かの形で
処理されているものを含む)であり、さらに具体的に
は、たとえばファラデーケージを用いたブローオフ粉体
帯電測定装置を用いた特定の測定方法によって、粒径2
00μm〜500μmのソーダ石灰ガラスビーズとの接
触時に1gあたりの帯電量が3.0μC以下と判定され
た蛍光体粒子、もしくは粒径44μm〜74μmの還元
鉄粉との接触時に1gあたりの帯電量が−0.5μCを
超えると判定された蛍光体粒子を使用することにより、
黒化の発生を確実に再現性よく抑制している。
【0020】本発明において、蛍光層を形成する蛍光体
粒子の帯電特性(帯電傾向)の測定方法は、以下の通り
である。
【0021】図1はブローオフ粉体帯電測定装置のファ
ラデーケージの構造を模式的に示す図である。ファラデ
ーケージ1の一端には、金網2が取付けられており、他
端にはノズル3が取付けられている。そして、金網2の
目開きよりも小さい粒径の試料粉体4と、目開きよりも
大きい粒径のキャリア粉体5とを混合してケージ1に入
れ、ノズル3から圧縮ガス(たとえば窒素ガス)を吹付
ける。試料粉体4のみが金網2を通過してケージ1外に
吹飛ばされる。このとき、ケージ1内に残ったキャリア
5には、試料粉体4が持ち去ったのと等量で、逆符号の
電荷Qが残るので、これをケージ1に接続したコンデン
サ6の容量Cと電圧V、およびQ=C・Vの関係から
めることができる。吹飛ばした試料粉体4の重量mを用
いれば、単位重量あたりの粉体帯電量は、−Q/m(ク
ーロン/グラム)として得られる。
【0022】キャリア粉体5としては、通常、400メ
ッシュよりも粗い粉体を用いる。ここでは、200メッ
シュを通過しない粒径のキャリア(ソーダ石灰ガラスビ
ーズ)を用いた。また、試料粉体4としては、400メ
ッシュよりも細かい蛍光体粒子(粉体)を用いた。
【0023】ここで、測定用試料の作製方法について、
その一例を述べる。
【0024】キャリア粉体20gと蛍光体粉体0.2g
を化学天秤にて正確に秤量し、メノウ乳鉢に移して、あ
まり力を加えずに乳棒でよく混合する。次に、全量を1
00mlのポリエチレン広口ビン移し、混合機(シェ
ーカ)にて5分間混合して試料を作製する。このキャリ
ア粉体と蛍光体粉体との混合粉体を0.2g正確に秤量
して、ブローオフ粉体帯電量測定用の試料とする。図2
(a),(b)にキャリア粉体とブローオフ用測定試料
(キャリアと混合後)のモデルを示す。キャリア粉体5
(図2(a))と蛍光体粉体とを混合することにより、
キャリア粉体5表面に蛍光体粉体4が担持されたブロー
オフ用測定試料(図2(b))となる。
【0025】以下に、ブローオフ粉体帯電量測定装置に
よる各種蛍光体の帯電特性の評価結果について説明す
る。まず、初めに各種のキャリアを用いて、主要な蛍光
体の帯電の序列を求めた。その結果を図3に示す。この
帯電序列は、任意の2種類の物質を接触させたとき、上
方の物質は正に、下方の物質は負にそれぞれ帯電するこ
とを意味する。図3において、HgOに近い位置にある
ほど蛍光体粒子(粉末)は、HgOの吸着が少なく、離
れた位置にあるほど蛍光体粒子(粉末)は、HgOの吸
着が多いと予測される。しかし、図3は単なる序列に過
ぎず、実際どの程度まで離れた場合に、黒化が生じるか
の定量的な帯電傾向の差が示されていないので、試行し
てみないと分からない。
【0026】次に、キャリア粉体として上記粒径200
μm〜500μmのソーダ石灰ガラスビーズ(東芝バロ
ディーニ株式会社製、GBシリーズのガラスビーズ)を
使用して、主要な蛍光体の接触帯電量を測定したとこ
ろ、大部分の蛍光体は(+)に帯電し、かつ0.1〜3
μc/gの電荷を有することが分かった。一方、(−)
に帯電するものは比較的少ないことも分かった。しかし
ながら、この測定において、蛍光体粒子の粒径がそれぞ
れ異なることや、製造工程などの違いによるロット間の
品質のバラツキ、前述した化学量論組成からのズレなど
に起因して、測定値にバラツキが生ずることが判明し
た。これらの要因の中では、試料粉体(蛍光体)の粒径
のファクタが、表面積に大きな差が出ることから、一番
大きく影響する。図4に帯電量と粒径との関係の一例を
示す。
【0027】そこで、本発明においては、蛍光体試料粉
体の粒径を規格化し、測定を実施することとする。具体
的には、本発明においては蛍光体の帯電量を測定するに
あたり、粒径は5±2μmに統一することとする。この
ような条件の下で測定した結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】図5は、上記ブローオフ粉体帯電測定装置
によって、HgOを含む単純酸化物の帯電傾向の測定結
果を示したものである(ジャーナル・オブ・エレクトロ
ケミカル・ソシエティ、第133巻,842頁(198
6)参照)。ここでは、粒径の揃った微粒子酸化物の鉄
粉に対する帯電量と各酸化物の比重の積が縦軸にとられ
ているので、帯電量の値は大きく表示されている。
【0030】図5から明らかなように、上記測定による
帯電量は、酸化物を構成する金属イオンの電気陰性度
(x=(1+2z)x…(zは価数、xはポーリ
ングの元素の電気陰性度を表す))と非常に良い相関が
見られ、xが小さいほど正帯電の傾向にあり、x
大きいほど負帯電の傾向にある。HgOはYと同
程度の帯電傾向を有するので、Yを主成分とする
蛍光体には吸着しにくく、HgOから離れた帯電傾向の
蛍光体粒子には吸着しにくいといえる。そして、具体的
にどの程度の帯電傾向の差間で許容されるか実験的に確
認したところ、上記測定方法にしたがって、帯電量が3
μC/g以下の蛍光体を使用することにより、黒化の発
生を抑制することが可能となった。帯電量が3μC/g
を超えると、上述したようにHgOとの帯電量の差が大
きくなりすぎて、黒化の発生度合いが高くなる。より好
ましい帯電量は、0.5μC/g〜2.5μC/gの範
囲である。
【0031】なお、上記においてはキャリアとして、所
定粒径のガラスビーズを用いて各種の蛍光体の帯電量を
測定したが、粒径44μm〜74μmの還元鉄粉をキャ
リアとして用いた場合も、同様な結果が認められた。た
だし、この場合の好ましい帯電量は−0.5μC/g〜
2.5μC/g程度であった
【0032】前記図5は単純酸化物粒子の帯電傾向を示
すものであるが、粒子でなく板状物質の帯電傾向位置を
同じ図に図示することができる。すなわち板状物質を傾
斜させ、この斜面を各種の酸化物粒子を転がし、受け皿
でこれらの粒子の帯電符号を調べることにより、板状物
質の帯電傾向位置を知ることができる。このようにして
求めたニッケル,クロム,タンタルなどの金属板の帯電
傾向位置を図5に併せて示した。さらに、帯電傾向位置
の分かった金属板を傾斜させ、この傾斜面蛍光体粒子
を転がし、受け皿でこれら蛍光体粒子の帯電符号を調べ
ることにより、粒子径の異なる蛍光体粒子でもその帯電
傾向を、前記図5で比較できる。ブローオフ粉体帯電測
定装置において、所定粒径のガラスビーズをキャリアと
し、5±2μmの蛍光体粒子で得られた0.5μC/g
〜2.5μC/gの帯電量は、図5において金属タンタ
ルよりも正の側でニッケルよりやや高い位置よりも負の
側の帯電傾向を意味した。そして、この値は図5の金属
イオンの電気陰性度の値で7.0〜11.8の範囲に入
る。
【0033】本発明に使用する蛍光体、蛍光体粒子)の
具体例としては、BaMgAl1627:E
2+、Sr10(POCl:Eu2+、(S
r,Ca)10(POCl:Eu2+、(S
r,Ca,Ba)10(POCl:Eu2+
(Ba,Ca,Mg)10(POCl:Eu
2+などの2価のユーロピウム付活青色蛍光体;La
・0.2SiO・0.9P:Ce,Tb、
LaPO:Ce,Tb、YSiO:Ce,Tb、
CeMgAl1119:Tb、ZnSiO:Mn
などの緑色蛍光体;Y:Eu3+、YVO:E
3+、Y(P,V)O:Eu3+、YS:E
3+などの3価のユーロピウム付活赤色蛍光体、その
他の希土類蛍光体などが例示され、上記帯電特性を満足
するものが使用される。また、上記青色蛍光体、緑色蛍
光体および赤色蛍光体を、発光色の色温度が2800K
〜10000Kになるように混合した物質を用いること
も可能であり、この場合も上記帯電特性を満足させたも
のとする。また、前記図5に示した無機化合物の帯電特
性を考慮すると、HgOと帯電特性(符号および帯電
量)が近似した無機化合物、たとえばAlのよう
な酸化物や、Ca、Sr、Ba
などのアルカリ土類金属化合物蛍光体粒子表
に付着することによって、帯電特性を本発明の範囲内
にコントロールすることも可能である。
【0034】このような表面無機化合物を付着した蛍
光体粒子を調製する際には、無機化合物が0.01〜
5.0重量%の範囲、好ましくは0.01〜3.0重量
%の範囲となるように混合することが望ましい。表2
に、上述したような無機化合物表面に付着(混合)し
た蛍光体の帯電特性の測定結果(上記したブローオフ粉
体帯電測定装置による測定)を示す。表2では、たとえ
ば試料17は試料7を、試料18は試料6をそれぞれ表
面処理したものであるが、表2から明らかなように、前
記表1に示した蛍光体単独の測定結果と比較して、表面
処理された蛍光体はその特性の異なっていることが分か
る。
【0035】
【表2】
【0036】なお、上記において蛍光体粒子(Y
:Eu)に対し、0.1〜0.5重量%のMgO
もしくはSiOを、表面付着(コーティング)して調
製した試料について、前記ガラスビーズもしくは還元鉄
粉をキャリヤとしてそれぞれ測定した場合の帯電量は、
図6に示すような関係が認められた。つまり、キャリア
の相違によっても測定値に相違がでる。
【0037】ここで、蛍光体粒子表面に付着する無機化
合物としては、MgO,CaO,SrO,BaOおよび
ZnOの群れから選ばれた金属酸化物がより好ましい。
その理由は金属イオンの電気陰性度が7以下(正帯電)
であり、表面の帯電傾向がHgOより適度の範囲で正の
方向にあることから、少量の付着量で蛍光体表面の帯電
傾向を正の方向に移動でき、これによりHgOとの反応
を防止することが可能で黒化をより効果的に抑制し得
る。また、前記付着する無機化合物は化学的安定性、紫
外線や発光の吸収能など帯電傾向以外の因子も考慮して
選択されるが、一般にアルカリ土類元素、イットリウム
を含む希土類元素、アルミニウムやガリウムなど電気陰
性度が11以下の金属酸化物は、還元鉄粉を用いた帯電
傾向もしくは帯電量の測定時においてこれらの金属酸化
物を付着することにより蛍光体を正の方向にシフトさせ
得るし、またチタン、タンタル、リンなど電気陰性度が
11以上の金属酸化物は、帯電還元鉄粉を用いた帯電傾
向もしくは帯電量の測定時においてこれらの金属酸化物
を付着することにより蛍光体を負の方向にシフトさせ得
る。換言すると、金属酸化物を付着させて蛍光体の帯電
傾向もしくは帯電量を上記のような所定範囲に制御する
ことが可能である。勿論これらを混合した形で用いるこ
とも可能である。
【0038】そして、これら無機化合物の蛍光体粒子表
面に対する付着量は、蛍光体粒子に対し0.01〜3.
0重量%の範囲で選ばれる。つまり、付着量が0.01
重量%未満では帯電傾向の制御効果が十分に得られず、
3.0重量%を超えると蛍光体の発光効率が低下する傾
向が認められるからである。
【0039】以上のように低圧水銀蒸気放電ランプ、特
に500〜2000W/m管壁負荷を有する高負荷
型のランプにおいては、発光層を構成する蛍光物質の帯
電特性が、200〜500μmのガラスビーズとの接触
時に、1gあたり3.0μC以下の正電荷の帯電を有す
ることによって、水銀の吸着による黒化を確実にかつ再
現性よく抑制することが可能となる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0041】実施例1 まず、前記表1に示した試料番号1〜15の各蛍光体
と、表2に示した試料番号16〜25の蛍光体表面に無
機化合物を付着した蛍光物質の中から選択した蛍光体
体を、バインダを溶解した溶媒に分散させてスラリーを
各々作製した。
【0042】次に、図7に示すように、直管型のガラス
管11の内壁面に、上記蛍光物質を含むスラリーをそれ
ぞれ塗布し、乾燥後、バインダーを除去するベーキング
工程および排気工程を行った後、水銀と封入ガスを充填
して封止し、さらにエージング工程を経て、700W/
管壁負荷を有する管径25mm、管長1200m
m、両端部に点灯回路が内蔵された口金12を有する直
管型低圧水銀蒸気放電ランプ13をそれぞれ作製し、後
述する特性評価に供した。図7において14は蛍光体層
を示す。
【0043】実施例2 上記実施例1と同様な蛍光物質を用い、同様な工程によ
って、図8に示すように、U字形状のガラス管15を用
いた管壁負荷1000W/m、管長410mm、管径
20mmのU字型低圧水銀蒸気放電ランプ16を作製
し、後述する特性評価に供した。
【0044】実施例3 上記実施例1と同様な蛍光物質を用い、同様な工程によ
って、図9に示すように、屈曲形状のガラス管17を用
いた管壁負荷1500W/mのコンパクト型低圧水銀
蒸気放電ランプ18を作製し、後述する特性評価に供し
た。なお、図中、12aは電子点灯回路、12bは電源
ケース、12cは断熱基板である。
【0045】上記各実施例の低圧水銀蒸気放電ランプの
働程中におけるHgの吸着による黒化の発生を調べるた
めに、JISに定められた寿命試験(JIS C 76
01参照)により、高負荷による、すなわち30秒のO
N−OFFサイクルによる強制点灯試験を行った。な
お、この30秒のON−OFFサイクルでの試験では、
通常の1000時間〜2000時間の点灯試験がおよそ
10時間に促進できる。
【0046】水銀の吸着による黒化の程度の評価は、点
灯直後(0時間)の黒化のないものを10点とし、所定
時間点灯したものについて、実用的な見地から10段階
で点数を付けた。なお、評価時間の0時間において、黒
化が発生しているものとは、点灯前すなわちエージング
の段階において、すでに黒化が発生しているものをさ
す。以下に、おおまかな基準を示す。
【0047】10〜9点…問題なし。
【0048】8〜7点…使用はできるが外観上問題あ
り。
【0049】6〜5点…外観不良、光束も低下する。
【0050】4〜3点…外観不良、点灯し難い。
【0051】2〜1点…点灯しない、使用不可。
【0052】上記したような基準で黒化の程度を判定し
た結果を第3表〜第5表に示す。
【0053】なお、表中の各比較例は、表1に示した試
料番号1〜15の各蛍光体および表2に示した試料番号
16〜25の各蛍光物質の中から、負帯電傾向の蛍光物
質やHgOとの帯電序列の差の大きい蛍光物質を選択
し、上記実施例と同一条件で作製した低圧水銀蒸気放電
ランプであり、これらについても同様に黒化の程度を評
価し、その結果も表3、表4および表5に併せて示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】表3、表4および表5から明らかなよう
に、負帯電傾向の蛍光物質やHgOとの帯電序列の差の
大きい蛍光物質を使用した低圧水銀蒸気放電ランプは、
黒化が発生し易かったのに対し、蛍光物質の表面の帯電
特性を制御したもの、すなわち帯電特性を本発明の範囲
内とした蛍光物質を使用した低圧水銀蒸気放電ランプ
は、長期間にわたって黒化の発生が抑制され、かつその
結果として光束の低下率も少なくできることが判る。
【0058】実施例4 純水200ccに硝酸マグネシウム[Mg(N
]を1.10g溶解する。次に、セリウムとテ
ルビウムとで付活された希土類アルミン酸・珪酸・燐酸
塩緑色発光蛍光体[(La0.06Ce0.25Tb
0.15・0.003Al・0.000
5SiO・1.003P]を100g添加し、
充分に撹拌する。
【0059】撹拌しながら、アンモニア水[NH
H]を用いてpHをアルカリ領域に調整する。すると、
水酸化マグネシウムのゲル状物質が生成する。この状態
の下で、撹拌をさらに十分に行った後、純水にて数回洗
浄を行い、その懸濁液を吸引▲ろ▼過する。この後、得
られた▲ろ▼過ケーキを300℃〜400℃で乾燥す
る。
【0060】こうして得られた蛍光体粒子は、その表面
が0.3重量%のMgO微粒子によって付着されたもの
であった。
【0061】続いて、この緑色発光蛍光体を用い、常法
に従って、前記図7に示すような4Wの蛍光ランプ・F
L4(15.5mmφ、管壁負荷:1100W/m
を作製し、初期発光出力、および1000時間点灯後の
発光出力と蛍光層の着色(薄茶褐色)状態を測定、評価
した。蛍光ランプ13は、ガラスバルブ11の内面に蛍
光膜14が付着され、さらに所定圧の放電用ガス、すな
わち水銀と、アルゴンのような希ガスとの混合ガスが封
入されて構成されている。そして、ガラスバルブ11の
両端部に図示されていない電極が取付けられ、この電極
に口金12を介して所定電圧を印加することにより励起
源によって蛍光膜14が発光するように構成されてるい
る。
【0062】一方、比較試料として、上記実施例で使用
したセリウムとテルビウムとで付活された希土類アルミ
ン酸・珪酸・燐酸塩緑色発光蛍光体を金属酸化物を付着
させることなく用い、同様の蛍光ランプを作製し、実施
例と同一条件で特性を測定した。 なお測定結果は、初
期発光出力および1000時間点灯後の発光出力共に、
比較試料の蛍光体の値を100%としたときの相対値で
示した。また、蛍光ランプのバルブの着色の程度は10
点を最高とし、着色の少ないものほど高い点数で示し
た。
【0063】1000時間点灯後の発光出力は、比較試
料の蛍光体に対して、実施例の蛍光体は110%であ
り、蛍光ランプのバルブの着色の度合いは、比較試料の
蛍光体では6.0であったのに対し、実施例の蛍光体は
9.0と高く、品質の向上が達成された。また、初期発
光出力にも大きな低下は認められず、比較試料の蛍光体
とほぼ同等の値を維持していた。
【0064】実施例5 純水200ccに1.0gの酸化亜鉛[ZnO]微粉末
(粒径0.05μm前後)を入れ十分に懸濁させる。次
に、セリウムとテルビウムとで付活された希土類珪酸・
硼酸・燐酸塩緑色発光蛍光体[(La0.04Ce
0.45Tb0.15・0001SiO
0.988P・0.0005B]を100
g添加し、充分に撹拌する。その後、0.1gのアクリ
ルエマルジョンと0.05gのポリアクリル酸アンモニ
ウムを順次添加し、均一に分散させた後、その懸濁液を
吸引▲ろ▼過し、得られた▲ろ▼過ケーキを120℃前
後で乾燥する。こうして得られた蛍光体粒子は、その表
面が1.0重量%のZnO微粒子層によって被覆された
ものであった。
【0065】この緑色発光蛍光体を用いて実施例4の場
合と同様に蛍光ランプを作製し、同一条件で特性を測
定、評価した。その結果を表6に示す。
【0066】なお、表中の比較試料は、金属酸化物微粒
子の付着を行わない以外は、実施例と同一条件で作製し
た蛍光ランプの測定結果である。
【0067】
【表6】
【0068】実施例6〜15 表6に示すように、緑色発光蛍光体とこの表面に付着
る金属酸化物の種類および付着量を変化させ、実施例4
の場合と同様に緑色発光蛍光体を調製した。また、得ら
れた緑色発光蛍光体を用いて蛍光ランプを作製し、同様
に特性評価を行った。これらの結果をまとめて表6に示
す。
【0069】比較例4、5 実施例4および実施例7で用いた蛍光体と同組成の蛍光
体をそれぞれ使用し、金属酸化物微粒子の付着量を本発
明の範囲外する以外は、実施例4の場合と同様に緑色
発光蛍光体を調製した。また、得られた緑色発光蛍光体
を用いて蛍光ランプを作製し、同様に特性評価を行っ
た。
【0070】表6から明らかなように、各実施例による
蛍光体を用いた高負荷型蛍光ランプ(500W/m
上)によれば、初期発光出力を従来のものとほぼ同等に
維持しつつ、長時間点灯後の発光出力の低下を抑え、蛍
光ランプの着色現象を低減することができることが分
る。
【0071】実施例16 平均粒子径4.2μmのランプ用赤色発光のユーロピウ
ム付活酸化イットリウム蛍光体100gを純水中に懸濁
させ、これに1重量%の酸化マグネシウム(バイコフス
キー社製、バイカロックスM120)を純水に懸濁させ
た液1mlを加え、30分以上撹拌した後に吸引▲ろ▼
過し、125℃で乾燥する。さらに、これを空気中にて
350℃、5時間の条件で仮焼する。
【0072】得られた蛍光体を走査型電子顕微鏡で観察
したところ、コロイド粒子が蛍光体粒子表面によく分散
して付着していることを確認した。
【0073】また、得られた蛍光体0.4gと粒子径7
4μm〜44μmの還元鉄粉(日本鉄粉社製、TEF
V)20gとを混合し、ブローオフ装置により鉄粉に対
する蛍光体1gあたりの接触帯電量を求めたところ、+
090μC/gであった。
【0074】一方、得られた蛍光体を、結着剤を含みニ
トロセルロースバインダを溶解した溶媒に分散させてス
ラリーを調合した。次に、内径10mmの直管型ガラス
管の内壁に、上記蛍光体を含むスラリーを一定の膜厚と
なるように塗布し、乾燥後バインダを除去するベイキン
グ工程を行い、次いで水銀と封入ガスを充填し、極間長
300mmの直管型低圧水銀蒸気放電ランプを作製し
た。なお、点灯中の余剰の水銀は、全てランプの最冷部
である細管に凝集する構造とした。
【0075】上記ランプの光束は、点灯後30秒程度で
定常値に達した。また、点灯後300時間の光束を初期
値に対して測定し、光束維持率を求めたところ、90%
であった。
【0076】実施例17 実施例16の酸化マグネシウムに代えて、0.2モル/
lのアンモニウム水溶液と0.1モル/lの硫酸亜鉛水
溶液とを加えて生成せしめた0.2g水酸化亜鉛コロ
イドを、赤色発光のユーロピウム付活酸化イットリウム
蛍光体の粒子表面に付着させた。実施例16の場合と同
じ手順の乾燥によって、水酸化亜鉛コロイドは酸化亜鉛
コロイドに変化した。
【0077】この蛍光体の鉄粉に対する接触帯電量を実
施例16の場合と同様にして測定した後、実施例16
同様の手順で蛍光ランプを作製し、実施例16と同様に
して評価した結果を表7に示す。
【0078】比較例 粒子表面に金属酸化物を付着させないユーロピウム付活
酸化イットリウム蛍光体を用い、実施例16の場合と同
様の手順で蛍光ランプを作製した。蛍光体の鉄粉に対す
る接触帯電量は、0.3μC/gであり、光束維持率は
87%であった。
【0079】比較例7、8 実施例16の酸化マグネシウムに代えて、シリカコロイ
ド(日本エアロジル社製、OX−50)をユーロピウム
付活酸化イットリウム蛍光体の粒子表面に付着させた試
料について、実施例16の場合と同様の手順で蛍光ラン
プを作製した。そして、実施例16の場合と同様にして
蛍光体の接触帯電量および蛍光ランプの特性を評価し
た。その結果を表7に示す。
【0080】なお、これら比較例の蛍光ランプでは、点
灯後に光束が定常値に達するまでに5〜6分要した。
【0081】実施例18〜20 平均粒子径5.7μmのランプ用緑色発光のマンガン付
活珪酸亜鉛蛍光体粒子表面に、実施例16〜17の場合
と同様の手順で酸化マグネシウムあるいは酸化亜鉛を付
着させた。また、これらの蛍光体を用いて、実施例16
の場合と同様の手順で蛍光ランプを作製し、同様に蛍光
体の接触帯電量および蛍光ランプの特性を評価した。そ
の結果を表7に示す。
【0082】実施例21 ランプ用緑色発光のマンガン付活珪酸亜鉛蛍光体粒子表
面に、最初に酸化マグネシウムコロイドを0.5重量%
付着させた試料を作製し、次いでこの試料に0.2重量
%のシリカコロイドを付着させた。この蛍光体を用い
て、実施例16の場合と同様の手順で蛍光ランプを作製
し、同様に蛍光体の接触帯電量および蛍光ランプの特性
を評価した。その結果を表7に示す。
【0083】比較例9、10 ランプ用緑色発光のマンガン付活珪酸亜鉛蛍光体、およ
びその表面にシリカコロイドを付着させ、鉄に対する接
触帯電量を本発明の範囲外とした試料について、実施例
16の場合と同様の手順で蛍光ランプを作製した。そし
て、実施例16の場合と同様にして蛍光体の接触帯電量
および蛍光ランプの特性を評価した。その結果を表7に
示す。
【0084】
【表7】
【0085】表7から明らかなように、蛍光体粒子の表
面に金属酸化物微粒子を付着させ、粒子径44μm〜7
4μmの還元鉄粉との接触帯電量が−0.5μC/g〜
1.5μC/gの範囲の電荷を帯電するように、蛍光体
の帯電傾向を制御すれば、高負荷ランプの黒化と光束低
下を抑制することができることが分る。
【0086】なお、上記実施例および比較例においては
蛍光体として、鉄粉に対して正に帯電するユーロピウム
付活酸化イットリウムと、鉄粉に対して負に帯電するマ
ンガン付活珪酸亜鉛の例を挙げ、また表面付着金属酸化
物として、鉄粉に対して正に帯電する酸化マグネシウム
と、鉄粉に対して負に帯電する酸化珪素(シリカ)の例
を挙げた。これらの例から、それぞれの蛍光体の帯電傾
向が表面付着金属酸化物の方向に変えられること、すな
わち表面付着金属酸化物の種類と量とによって、蛍光体
の帯電傾向を制御することが可能であることが理解され
よう。
【0087】実施例22 先ず、希土類蛍光体として(La,Ce,Tb)(P,
Si)OとZnSiO:Mnとを選び、また正に
帯電する金属酸化物としてMgOZnO、負に帯電す
る金属酸化物としてSiOをそれぞれ選び、蛍光体の
懸濁液に金属酸化物の懸濁液を加え、攪拌した後、吸引
▲ろ▼過し125℃以上の温度で乾燥してから、350
焼成して200メッシュ篩を通した。こうして得た
蛍光体粒子について、前記のブローオフ帯電測定装置を
用い、還元鉄粉をキャリヤとして帯電量を測定した結果
を図10および図11に示す。図10は(La,Ce,
Tb)(P,Si)Oの場合を、図11はZnSi
:Mnの場合である。各図から分かるように金属酸
化物の表面付着によって、蛍光体の帯電傾向をかなりの
範囲で制御し得る。
【0088】上記処理した蛍光体を用い、常套の手段に
より高付加形の蛍光ランプをそれぞれ作製し、100時
間点灯してから1昼夜消灯した後、ランプの光束立上が
りを測定した結果を図12および図13にそれぞれ示
す。図12は(La,Ce,Tb)(P,Si)O
場合を、図13はZnSiO:Mnの場合である。
【0089】さらに、前記蛍光ランプについて、点灯5
分後における光束比と帯電傾向の関係を測定したとこ
ろ、図14および図15にそれぞれ示すごとくであっ
た。図14は(La,Ce,Tb)(P,Si)O
場合を、図15はZnSiO:Mnの場合である。
【0090】各図から分かるように、使用する蛍光体粒
子の帯電傾向で、光束立上がりのベストの条件が存在
し、この実施例の場合は還元鉄粉に対する帯電傾向が、
0〜+1μC/gのときベストの条件であった。
【0091】また、前記希土類蛍光体としてY
Euを用いた他は同様にして構成した蛍光ランプについ
て、300時間点灯後における光束比と点灯時間との関
係を評価したところ、図16に示すような傾向が認めら
れた。すなわち、光束は最初A点まで立上がった後に一
旦B点まで低下し、次いで安定なC点に上昇する。A点
からB点までの低下率に、蛍光体の帯電傾向に対する依
存性が認められる。図17は、蛍光体Y:Euの
還元鉄粉に対する帯電傾向と光束減衰率の関係を示す特
性図であり、光束減衰率は、図16に図示する特性曲線
の(A−B)÷A×100%で表される。ここで、A,
Bは図16のA点とB点の光束比を示す
【0092】実施例23 緑色発光の蛍光体(La,Ce,Tb)(P,Si)O
粒子表面を、0.1重量%のMgOを付着して所要の
帯電特性を付与した蛍光体粒子を用い、前記図9に図示
した構成の管壁負荷750W/mの蛍光ランプを作製
した。この蛍光ランプについて点灯試験を行ったとこ
ろ、光束立上がり特性など、従来の蛍光ランプに較べて
大幅に改善された機能を保持していた。
【0093】なお、上記において、赤色発光の蛍光体
:Eu、緑色発光の蛍光体(La,Ce,Tb)
(P,Si)O、青色発光の蛍光体BaMgOAl
1127:Euの2種以上の混合系を用いて構成した
場合も、同様な結果が得られた。図18は3元混合系の
蛍光体を用いて構成した場合の光束減衰率と帯電傾向の
関係を示す特性図である。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように本発明の低圧水銀蒸
気放電ランプは、働程中の黒化の発生を確実に、再現性
よく抑制することができ、長時間点灯中の光束の低下率
も低減し得る。また点灯後の光束立上がり特性の改善を
容易に、かつ再現性よく図り得る。このようなランプ
は、小型で高負荷仕様のものに好適で、その工業的価値
は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光物質の帯電量を測定するブローオ
フ粉体帯電量測定装置のファラデーケージの構造を模式
的に示す図。
【図2】(a)はキャリア粉体のモデル図、(b)はキ
ャリア粉体と測定用試料とを混合した状態のモデル図。
【図3】各種のキャリア粉体を用いた蛍光体の帯電序列
を示す図。
【図4】粒径と帯電量との相関関係の一例を示す特性
図。
【図5】ブローオフ帯電測定装置によって測定した無機
化合物の帯電量と電気陰性度との相関関係図。
【図6】ブローオフ法でキャリヤとしてガラスビーズも
しくは還元鉄粉を用いたときの帯電量値の関連性を例示
した対比図。
【図7】本発明に係る低圧水銀蒸気放電ランプの構造例
を示す図。
【図8】本発明に係る低圧水銀蒸気放電ランプの他の構
造例を示す図。
【図9】本発明に係る低圧水銀蒸気放電ランプの他の構
造例を示す図。
【図10】各試料をブローオフ法でキャリヤとして還元
鉄粉を用いたときの鉄粉に対する帯電量を示す説明図。
【図11】各試料をブローオフ法でキャリヤとして還元
鉄粉を用いたときの鉄粉に対する帯電量を示す説明図。
【図12】一昼夜点灯後における蛍光ランプの光束比と
点灯時間の関係を示す特性図。
【図13】一昼夜点灯後における蛍光ランプの光束比と
点灯時間の関係を示す特性図。
【図14】点灯5分後における蛍光ランプの光束比と蛍
光体の帯電傾向との関係を示す特性図。
【図15】点灯5分後における蛍光ランプの光束比と蛍
光体の帯電傾向との関係を示す特性図。
【図16】蛍光ランプの光束比と点灯時間の関係を示す
特性図。
【図17】蛍光ランプの光束減衰率と蛍光体の帯電傾向
との関係を示す特性図。
【図18】蛍光ランプの光束減衰率と蛍光体の帯電傾向
との関係を示す特性図。
【図19】従来の蛍光ランプの光束比と点灯時間の関係
を示す特性図。
【符号の説明】 1…ファラデーケージ 2…金網 3…ノズル
4…試料粉体 5…キャリア粉体 11、15、1
7…ガラス管 12…口金 12a…電子点灯回路
12b…電源ケース 12c…断熱基板 1
3、16、18…低圧水銀蒸気放電ランプ 14…蛍
光体層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平3−65739 (32)優先日 平3(1991)1月10日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−94453 (32)優先日 平3(1991)4月24日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 田屋 明 東京都港区三田1丁目4番28号 東芝ライ テック株式会社内 (72)発明者 弓削 洋二 東京都港区三田1丁目4番28号 東芝ライ テック株式会社内 (72)発明者 中川 和明 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝総合研究所内 (72)発明者 安藤 茂 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝総合研究所内 (72)発明者 寺島 賢二 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地 株式会 社東芝堀川町工場内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水銀および希ガスを含む封入ガスが充填
    された光透過性ガラス管と、この光透過性ガラス管内壁
    面に設けられた蛍光体粒子を含む蛍光層と、前記封入ガ
    ス中で陽光柱放電を維持するための手段とを具備する低
    圧水銀蒸気放電ランプにおいて、 前記蛍光層を形成する蛍光体粒子は、その帯電傾向が金
    属イオンの電気陰性度7.0 の金属酸化物より負の側にあ
    り、金属イオンの電気陰性度11.8の金属酸化物より正の
    側にあることを特徴とする低圧水銀蒸気放電ランプ。
  2. 【請求項2】 水銀および希ガスを含む封入ガスが充填
    された光透過性ガラス管と、この光透過性ガラス管内壁
    面に設けられた蛍光体粒子を含む蛍光層と、前記封入ガ
    ス中で陽光柱放電を維持するための手段とを具備する低
    圧水銀蒸気放電ランプにおいて、 前記蛍光層を形成する蛍光体粒子は、粒径 200μm 〜 5
    00μm のソーダ石灰ガラスガラスビーズとの接触時に、
    1gあたり 3.0μC 以下の正電荷を帯電することを特徴と
    する低圧水銀蒸気放電ランプ。
  3. 【請求項3】 水銀および希ガスを含む封入ガスが充填
    された光透過性ガラス管と、この光透過性ガラス管内壁
    面に設けられた蛍光体粒子を含む蛍光層と、前記封入ガ
    ス中で陽光柱放電を維持するための手段とを具備する低
    圧水銀蒸気放電ランプにおいて、 前記蛍光層を形成する蛍光体粒子は、粒径44μm 〜74μ
    m の還元鉄粉との接触時に、1gあたり-0.5μC を超えた
    正側の電荷を帯電することを特徴とする低圧水銀蒸気放
    電ランプ。
  4. 【請求項4】 請求項1、2もしくは3記載の低圧水銀
    蒸気放電ランプにおいて、 前記蛍光層を形成する蛍光体粒子は、金属酸化物(無機
    化合物)の少なくとも1種で被覆されていることを特徴
    とする低圧水銀蒸気放電ランプ。
  5. 【請求項5】 請求項1、2もしくは3記載の低圧水銀
    蒸気放電ランプにおいて、 前記陽光柱放電の動作中に消費される電力が 500W/m
    2 以上で、かつ前記蛍光層の放射密度が 500〜2000W/
    2 の範囲であることを特徴とする低圧水銀蒸気放電ラ
    ンプ。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の低圧水銀蒸気放電ランプ
    において、 前記蛍光層を形成する蛍光体粒子は、MO膜(MはMg,C
    a,Sr,Ba,Znの中から選ばれた少なくとも1種)で被覆さ
    れていることを特徴とする低圧水銀蒸気放電ランプ。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の低圧水銀蒸気放電ランプ
    において、 前記蛍光体粒子は、重量比で0.01〜3.0 %のMO膜(M
    はMg,Ca,Sr,Ba,Znの中から選ばれた少なくとも一種)で
    被覆されていることを特徴とする低圧水銀蒸気放電ラン
    プ。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の低圧水銀蒸気放電ランプ
    において、 MO膜で被覆されている蛍光体粒子は、セリウムおよび
    テルビュウムで付活された緑色発光形希土類アルミン酸
    ・珪酸・燐酸塩蛍光体、希土類硼酸・珪酸・燐酸塩蛍光
    体、希土類正燐酸塩蛍光体、希土類アルミン酸・硼酸・
    燐酸塩蛍光体であることを特徴とする低圧水銀蒸気放電
    ランプ。
  9. 【請求項9】 請求項6記載の低圧水銀蒸気放電ランプ
    において、 MO膜で被覆されている蛍光体粒子は、三波長域発光希
    土類混合蛍光体であることを特徴とする低圧水銀蒸気放
    電ランプ。
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