JPH05320949A - 耐edブツ性に優れた2層合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

耐edブツ性に優れた2層合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH05320949A
JPH05320949A JP4158702A JP15870292A JPH05320949A JP H05320949 A JPH05320949 A JP H05320949A JP 4158702 A JP4158702 A JP 4158702A JP 15870292 A JP15870292 A JP 15870292A JP H05320949 A JPH05320949 A JP H05320949A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plating
bath
alloying
steel sheet
upper layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4158702A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2776150B2 (ja
Inventor
Yoichi Miyagawa
洋一 宮川
Takaharu Nagayama
隆治 永山
Akihiko Nakamura
秋彦 中村
Masahiro Iwabuchi
正洋 岩渕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP4158702A priority Critical patent/JP2776150B2/ja
Publication of JPH05320949A publication Critical patent/JPH05320949A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2776150B2 publication Critical patent/JP2776150B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/25Process efficiency

Landscapes

  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ED耐クレータリング性に優れ、且つEDブ
ツ発生に対しても有利な2層合金化溶融亜鉛めっき鋼板
を製造すること 【構成】 鋼板を溶融亜鉛めっき浴でめっきした後、非
酸化性雰囲気に保たれた高周波誘導加熱炉内で合金化処
理することにより、上層めっきの被覆性を害するめっき
表面酸化膜の生成を防止しつつ、均一な合金相からなる
合金化めっき皮膜を得、次いで、圧下力0.2Ton/
mm以上でスキンパスを施すことによりめっき皮膜の平
滑性をさらに向上させ、しかる後、合金化溶融亜鉛めっ
きの上層にFe系めっきを施し、少ない上層めっき付着
量で優れた被覆性が得られるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車の車体、足回
り部品等に用いられる2層合金化溶融亜鉛めっき鋼板、
特に、ED塗装適合性および耐EDブツ性に優れた合金
化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛めっき層の上層にFe系
めっき層を有する2層合金化溶融亜鉛めっき鋼板は優れ
た塗装後耐食性、塗装適合性を有するため、自動車用防
錆鋼板としてその需要が近年増加しており、特に最近で
は、耐食性を確保するため亜鉛めっき皮膜が厚目付化す
る傾向にある。
【0003】従来、溶融亜鉛めっき後の合金化処理には
ガス炉が広く用いられているが、このようにガス炉で合
金化処理されためっき皮膜は、以下のような理由により
上層のFe系めっきの被覆性が劣るという問題がある。 ガス炉を用いて合金化しためっき皮膜の表面には、
安定且つ不活性な酸化皮膜層が生成しており、このよう
な不活性なめっき皮膜上にFeリッチなFe−Zn合金
電気めっきを施した場合、電析の起点となる活性点が少
ないため、均一な上層めっき皮膜を得ることが難しい。 ガス加熱は鋼板各部に対する加熱が不均一となり易
いため、めっき皮膜自体の平滑性、均一性が劣り、上層
めっきの被覆性が悪い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、このよう
な合金化溶融亜鉛めっき皮膜の上層にFe系めっきを施
し、良好なED塗装適合性を確保しようとした場合、上
層めっきの被覆性を確保するためにめっき付着量を多く
せざるを得ない。しかしながら、上層めっきの付着量が
多くなると、上層めっき被膜中の水素がユーザー(自動
車メーカー等)での電着塗装時に口を開く、所謂EDブ
ツと呼ばれる欠陥の原因となり、したがって付着量をむ
やみに増加することができないという問題がある。
【0005】このように、ED耐クレータリング性に優
れ、しかもEDブツ発生に対しても有利な2層合金化溶
融亜鉛めっき鋼板を製造するためには、上層のFe系め
っきを少量の付着量でしかも均一な被覆状態に形成させ
る必要があるが、上述したような問題からこのようなめ
っき鋼板を得ることは困難であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従
来の問題に鑑み検討を重ねた結果なされたもので、 溶融亜鉛めっき後の合金化処理を誘導加熱方式の合
金化炉で行うことにより、均一な合金相が得られ、これ
が上層めっきの被覆性を向上させること 炉内の雰囲気を自由にコントロールできるという誘
導加熱方式の合金化炉の特徴を利用し、非酸化性雰囲気
に保たれた誘導加熱方式の合金化炉内で合金化処理する
ことにより、上層めっきの被覆性を害するめっき表面酸
化膜の生成を防止できること 合金化処理後、所定の条件でスキンパスを実施する
ことにより、合金化溶融亜鉛めっき皮膜の平滑性をさら
に向上させ、上層めっきの被覆性を高めることができる
こと という事実を見出しなされたものである。
【0007】すなわち、本発明は、鋼板を溶融亜鉛めっ
き浴でめっきした後、非酸化性雰囲気に保たれた高周波
誘導加熱炉内で合金化処理し、次いで、圧下力0.2T
on/mm以上でスキンパスを施し、しかる後、合金化
溶融亜鉛めっきの上層にFe系めっきを施すことを特徴
とする耐EDブツ性に優れた2層合金化溶融亜鉛めっき
鋼板の製造方法である。
【0008】
【作用】以下、本発明の詳細とその限定理由を説明す
る。図1は、本発明におけるめっきおよび合金化処理の
実施状況の一例を示すもので、以下これに基づき説明す
る。図において1はめっき浴、2はワイピングノズル、
3は高周波誘導加熱方式の合金化炉、4は保熱帯(例え
ば、伝熱リボンヒータによる保熱帯)、5は冷却帯であ
る。めっき浴1に浸漬されめっきされた鋼板Sは、シン
クロール6を経て浴外に導かれ、ワイピングノズル2に
より目付量調整がなされた後、合金化炉3に導入されて
合金化処理される。この合金化炉3内には雰囲気ガス導
入口7より還元性ガスまたは不活性ガス若しくはこれら
の混合ガス(H2,CO,CH4,N2,Al,He,N
e,Kr等またはこれらの混合ガス)が導入され、合金
化炉3内を正圧の非酸化性雰囲気に保つ。合金化炉3で
合金化処理された鋼板Sは保熱帯4を経由した後、冷却
帯5に導入され冷却される。この冷却帯5では、通常、
冷却用ガスとしてN2が用いられ、外気に触れてもめっ
き皮膜が酸化しない温度(300℃程度以下)まで冷却
する。
【0009】前記合金化炉3での鋼板板温は450〜6
00℃程度に、また保熱帯4での鋼板板温は350〜5
50℃程度とされ、合金化反応時の表面酸化を防止す
る。また、合金化炉3の入側と冷却帯5の出側には外気
の侵入を防止するためのシール装置8a、8bが、ま
た、保熱帯4と冷却帯5との間には、合金化炉・保熱帯
と冷却帯との雰囲気ガスが混合しないようにするための
シール装置8cがそれぞれ設けられている。
【0010】以上のようにして合金化処理されためっき
鋼板には、スキンパスが施される。このスキンパスは、
圧下力を0.2Ton/mm以上とする。0.2Ton
/mm未満の圧下力では、めっき皮膜の表面を十分に平
滑化することができない。なお、このスキンパスは表面
粗度がRa:0.4〜0.9μmのワークロールを用い
て行うことが好ましい。ワークロールの表面粗度がR
a:0.9μmを超えると、スキンパス後のめっき皮膜
の表面粗度を目標とするRa:1.0μm以下とするこ
とが難しく、一方、ロール表面粗度がRa:0.4μm
未満では、鋼板が平滑化し過ぎ、ブランキング時にスリ
ップが発生するという問題が生じる。また、ロール管理
上のコストも上昇するため好しくない。
【0011】以上のようなスキンパス後、塗装適合性を
改善するために、Fe系上層めっきが施される。合金化
溶融亜鉛めっき鋼板は電着塗装時にクレ−タリングと呼
ばれる欠陥が発生し易く、最終塗装後の外観に影響を与
える。上層めっきはこのような塗装欠陥の発生を防止
し、めっき鋼板の塗装適合性を高める。塗装適合性を向
上させるには上層めっきをα単相とすることが好まし
く、Fe系めっきではFe含有量がほぼ50%以上でα
単相となることから、上層めっきのFe含有量は50%
以上とすることが好ましい。
【0012】本発明では上層めっきの被覆性が向上する
ため、3g/m2以下の上層めっき付着量でも均一なめ
っきが可能となる。しかし、付着量が1g/m2未満で
は、本発明によっても上層めっきの被覆性が十分でなく
なる恐れがあり、このため付着量は1g/m2を下限と
することが好ましい。
【0013】次に、めっき皮膜の平滑性という観点から
言うと、合金化溶融亜鉛めっき層はδ1相主体の平滑な
塊状晶が鋼板面に均一に形成されたものであることが好
ましい。すなわち、このような合金化めっき層を、表面
酸化皮膜を生成させることなく鋼板面上に均一に形成さ
せ、これを所定の条件でスキンパス圧延することによ
り、合金化溶融亜鉛めっき層を極めて均一且つ平滑なも
のとすることができ、少ない付着量でもFe系上層めっ
きの被覆性を格段に向上させることができる。また、こ
のような合金化溶融亜鉛めっき層は、単に上層めっきの
被覆性を高めるだけでなく、優れた耐パウダリング性お
よびプレス成形性を付与する。以下、このような合金化
めっき皮膜を得るための好ましい条件について説明す
る。
【0014】本発明者らは、δ1相主体の平滑な塊状晶
が鋼板面に均一に形成された合金化溶融亜鉛めっき層を
形成させることにより、Fe系上層めっきの良好な被覆
性と優れた耐パウダリング性およびプレス成形性を安定
的に得ることができる方法について検討を行い、以下の
ような知見を得た。 めっき浴中で合金化反応(ζ相の生成)を抑制し、
しかもその後の合金化処理を高周波誘導加熱方式の加熱
炉を用いて行なうことにより、δ1相を主体とする合金
化相がストリップの幅方向、長手方向で均一に形成され
た皮膜が得られること また、このようにして得られる合金化めっき皮膜
は、上述したようなマクロ的な均一性のみならず、ミク
ロ的にも合金化反応が均一に起きるため、この面からも
優れた耐パウダリング性とプレス成形性が得られること
【0015】 浴条件と高周波誘導加熱方式の加熱炉
出側板温条件を規定することにより、厳密な皮膜の制御
が可能であること 具体的には、低Al浴で且つ浴中Al量との関係で規定
される低目の侵入板温でめっきを施すことにより、或い
は、高Al浴で且つ浴中Al量との関係で規定される高
目の侵入板温でめっきを施し、浴中で合金化抑制相であ
るFe2Al5を厚く生成させることにより、浴中での合
金化反応(ζ相の発生)を適切に抑えることが可能であ
り、さらに、このようなめっき鋼板に対する高周波誘導
加熱方式の加熱炉を用いた合金化処理を、加熱炉出側で
の板温を495℃超〜520℃に管理して行うことによ
り、上記、で述べたような皮膜が得られること、
【0016】そして、このような知見に基づき検討を加
えた結果、以下(1)または(2)の条件で溶融亜鉛め
っき処理および合金化処理することにより、上述のよう
な平滑且つ均一な合金化溶融亜鉛めっき層が得られるこ
とが判った。
【0017】(1)浴中Al量:0.05%以上、0.
13%未満、浴温度:470℃以下で、且つ、浴中Al
量と鋼板のめっき浴中への侵入板温とが、 437.5×〔Al%〕+428>T≧437.5×〔Al%〕+408 但し、〔Al%〕:浴中Al量(%) T :侵入板温(℃) を満足する条件で溶融亜鉛めっきを行うことにより、浴
中でFe−Zn合金化反応を抑制し、めっき後、高周波
誘導加熱炉で加熱炉出側の板温が495℃超〜520℃
となるように加熱する。
【0018】(2)浴中Al量:0.13%以上、浴温
度:470℃以下で、且つ、浴中Al量と鋼板のめっき
浴中への侵入板温とが、 571×〔Al%〕+416≧T≧571×〔Al%〕+396 但し、〔Al%〕:浴中Al量(%) T :侵入板温(℃) を満足する条件でめっきを行うことにより、浴中で合金
化抑制相であるFe2Al5を積極的に形成させてFe−
Zn合金化反応を抑制し、めっき後、高周波誘導加熱炉
で加熱炉出側の板温が495℃超〜520℃となるよう
に加熱する。
【0019】すなわち、浴中での合金化反応を極力抑制
し、且つこのように合金化が抑制されためっき皮膜に対
し、高周波誘導加熱による合金化処理を特定の条件で実
施することにより、Γ相が少なく、且つ鋼板各部におい
てδ1相を主体とする平滑な合金化相が均一に形成さ
れ、しかも皮膜構造のミクロ的な均一性によって全体と
して優れた耐パウダリング性を有し、さらにプレス成形
性にも優れためっき鋼板が得られるものである。したが
って、このような合金化溶融亜鉛めっき皮膜を形成させ
る際、本発明に従って非酸化性雰囲気の合金化炉内で合
金化処理することで酸化膜の生成を防止し、且つ所定の
条件でスキンパスを施すことにより、少ない付着量でも
格段に被覆性の優れた上層めっきが可能となる。
【0020】このようなめっき−合金化処理条件におい
て、上述のような優れた特性のめっき皮膜が得られるの
は、次のような理由によるものと推定される。まず、第
1に、合金化処理において高周波誘導加熱方式を用いる
ことにより、鋼板自体を直接加熱することができ、しか
も、めっき皮膜に接する界面が最も加熱されるため、雰
囲気加熱方式に較べ界面におけるFe−Zn反応が短時
間でしかもストリップ上の位置に無関係に均一に起き、
このため、鋼板上での部分的な過合金やζ相の残留がな
く、均一なδ1相が形成され、これにより皮膜の平滑性
および均一性と均一な耐パウダリング性およびプレス成
形性が得られるものと推定される。
【0021】第2に、高周波誘導加熱は上記のように鋼
板側からの加熱であるため、微視的にも均一な合金化反
応が生じることによるものと推定される。すなわち、従
来一般に行われているガス加熱による合金化処理では、
皮膜の外側から熱が加えられるため加熱が不均一となり
易く、このため合金化反応が微視的に不均一に生じ易
い。特に結晶粒界は反応性に富むため、所謂アウトバ−
スト反応が生じ易く、このようにアウトバ−スト組織が
発生すると、この部分からΓ相が成長し始め、このΓ相
の形成により耐パウダリング性が劣化する。これに対
し、高周波誘導加熱は鋼板側からの加熱であるため、上
記のような合金化の局部的なバラツキが少なく、また、
鋼板面の酸化物や浴中で生じた合金化抑制物質(Fe2
Al5)も容易に拡散するため、ミクロ的にも均一な合
金化皮膜が得られるものと思われる。
【0022】第3に、高周波誘導加熱はめっきを短時間
で合金化できることからΓ相の成長時間が短いことが挙
げられる。そして、本発明では浴中でのΓ相の発生も抑
えられるため、最終的なΓ相の形成量が少なく、このこ
とも耐パウダリング性の向上に大きく寄与しているもの
と考えられる。
【0023】第4に、高周波誘導加熱の利点として、鋼
板幅方向、長さ方向で均一な加熱が可能であるため、加
熱炉出側での厳密な板温管理が可能であり、また、ガス
炉等の雰囲気加熱方式とは異なり、加熱された雰囲気ガ
スの上昇(ドラフト効果)がないため、特殊な冷却をし
なくても過合金が起り難いことによるものと考えられ
る。
【0024】また、合金化抑制相であるFe2Al5を浴
中で形成させることによりFe−Zn反応を抑制し、続
く加熱処理においてδ1相を形成させる上記(2)の方
法では、上記のように高周波誘導加熱が鋼板側からの加
熱であるため、合金化時にFe2Al5が容易に拡散しδ
1相を形成する。つまり、Fe−Zn反応を適切に抑制
するためにFe2Al5を厚く形成させても、合金化時に
これを確実且つ均一に拡散することができる。この結
果、合金化がミクロ的にも均一化し、厚いFe2Al5
形成により浴中でのΓ相の発生が抑制されることと相俟
って、均一な合金相と優れた耐パウダリング性が得られ
るものと考えられる。
【0025】上記(1)および(2)方法では、めっき
浴中での合金化反応を極力抑制するため、めっき浴中の
Al量、めっき浴に侵入する際の鋼板の板温及び浴温度
が規定される。すなわち、めっき浴中での合金化反応を
抑制するため、(1)の方法では低Al浴で且つ浴中A
l量との関係で規定される低目の侵入板温とし、また、
(2)の方法では高Al浴で且つ浴中Al量との関係で
規定される高目の侵入板温とする。
【0026】以下、それぞれのめっき条件について、そ
の限定理由を説明する。上記(1)の条件では、めっき
浴中での合金化反応(ζ相の生成)を抑えるために、低
Al浴中において低い侵入板温でめっきを行うが、Al
量が0.05%未満では、Fe2Al5による合金化抑制
効果がないため、浴中でアウトバ−スト反応が生じ、耐
パウダリング性が劣化する。このため浴中のAl量は
0.05%以上とする。一方、Al量が0.13%以上
では、浴中でFe−Zn合金化反応が過度に抑制される
ため、後の合金化処理において急激な合金化反応を生じ
させる必要があり、このような急激な合金反応はめっき
皮膜の平滑性および均一性と耐パウダリング性を劣化さ
せる。このため浴中のAl量は0.13%未満とする。
【0027】侵入板温は浴中Al量との関係で下記関係
式の条件を満足する必要がある。 437.5×〔Al%〕+428>T≧437.5×〔Al%〕+408 但し、〔Al%〕:浴中Al量(%) T :侵入板温(℃) 侵入板温が浴中Al量との関係で上記上限を超えると、
浴中での合金化反応が生じてζ相が形成され、最終的に
目的とするδ1相を主体とした合金化相が得られない。
一方、侵入板温が上記下限を下回るとFe2Al5が不均
一に生成されるようになり、局部的な合金化反応を生じ
るためめっき皮膜の平滑性および均一性と耐パウダリン
グ性が劣化してしまう。めっき浴温度が高いと浴中にお
ける合金化反応が促進されるため、浴温度を470℃以
下とする。また、浴温度が高過ぎると浴中に浸漬された
構造物が侵食され、ドロスが発生するなどの問題を生じ
る。
【0028】次に、上記(2)の条件では、めっき浴中
のAlは浴侵入直後の鋼板表面にFe2Al5を形成し、
Fe−Zn合金の発生を抑制する。Al量が0.13%
未満ではこのような抑制効果が小さく、浴中でζ相が形
成され、最終的に目的とするδ1相を主体とした合金化
相が得られない。このため浴中Al量は0.13%以上
とする。
【0029】Al量を0.13%以上含む浴では侵入板
温を上昇させると鋼板侵入直後の反応温度が高くなり、
Fe2Al5が厚く形成されるようになる。この結果、浴
中でのFe−Zn合金反応が抑制される。但し、侵入板
温は浴中Al量との関係で下記関係式の条件を満足する
必要がある。 571×〔Al%〕+416≧T≧571×〔Al%〕+396 但し、〔Al%〕:浴中Al量(%) T :侵入板温(℃)
【0030】上述したように(2)の方法は高Al浴、
高侵入板温を基本とするものであるが、侵入板温が浴中
Al量との関係で上記上限を超えると、Feの拡散速度
が増すため、Fe2Al5による抑制効果が不十分とな
り、浴中で部分的にアウトバースト組織が生成するた
め、めっき皮膜の平滑性および均一性と耐パウダリング
性が劣化してしまう。一方、侵入板温が上記下限を下回
るとFe2Al5の形成量が十分でなく、浴中でのFe−
Zn合金反応の抑制作用が適切に得られない。
【0031】なお、侵入板温が520℃を超えると、F
2Al5が局部的に過剰に生成され易くなるため焼きム
ラが発生し、めっき皮膜の均一性と耐パウダリング性が
劣化してしまう。また、ポットへの入熱量増加により浴
温冷却手段等の付加的設備が必要になり、さらに、浴中
でのドロス発生量が増加し、表面欠陥が多発する等の問
題を生じる。このため侵入板温は、浴中Al量に関係な
く520℃以下とすることが好ましい。また、上記
(1)と同様、浴温度は470℃以下とする。
【0032】めっきされた鋼板は、高周波誘導加熱炉に
おいて合金化のために加熱処理される。従来一般に行わ
れているガス加熱では、目的とする合金化めっき皮膜は
全く得られない。この合金化処理では、炉出側の板温が
495℃超〜520℃となるように加熱し、所定時間保
持後冷却する。δ1相を形成させるためには495℃を
超える温度での加熱が必要であり、浴中での合金化が抑
制されためっきをここで合金化し、δ1相を主体とした
塊状晶の合金相を形成させる。しかし、520℃を超え
る加熱温度ではΓ相が形成され、耐パウダリング性が劣
化するため、加熱温度の上限は520℃とする。高周波
誘導加熱炉出側の板温を管理する理由は、その部分が合
金化熱サイクルでの最高板温となるためである。また、
合金相の成長速度はこの付近で最大となるため、出側板
温を管理することにより、その温度での合金化反応を起
すことが可能になる。このようにして得られる合金化め
っき皮膜は、表層に均一且つ平滑な塊状晶であるδ1
が存在し、その下層に極く薄いΓ相が存在するめっき構
造となる。
【0033】
【実施例】本発明の実施例を表1ないし表6に示す。こ
の実施例では、下記鋼種のAlキルド鋼、IF鋼から製
造された冷延鋼板を素材とし、表1ないし表4に示され
る条件で溶融亜鉛めっき、合金化加熱処理、スキンパス
および上層めっきを行った。また、上記合金化加熱処理
はガス加熱方式または高周波誘導加熱方式で行った。 鋼種A:0.03%C−0.02%Sol.Al(Al
キルド鋼) 鋼種B:0.0025%C−0.04%Sol.Al−
0.07%Ti(Ti添加IF鋼) 鋼種C :0.0024%C−0.06%Sol.Al
−0.06%Ti−0. 007%Nb(T
i、Nb添加IF鋼) 得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の特性を表5および
表6に示す。
【0034】本実施例において、鋼板のめっき浴中への
侵入温度は放射型温度計で測定した浸漬直前の鋼板の表
面温度である。また、加熱炉出側の板温は放射型温度計
で測定した鋼板の表面温度である。また、めっき浴中A
l量は下式に定義される有効Al濃度である。 〔有効Al濃度〕=〔浴中全Al濃度〕−〔浴中鉄濃
度〕+0.03
【0035】皮膜中Fe%は浴条件、加熱条件および冷
却条件に依存する。冷却条件は本発明の特徴の一つであ
る皮膜構造のマクロ或いはミクロな均一性にほとんど影
響を及ぼさないが、合金化度(皮膜中Fe%)を変化さ
せることにより特性に影響を及ぼす。したがって、本実
施例では冷却用のブロアの風量、ミストの量を調整し、
皮膜中のFe%を制御した。また、各特性に関する試
験、評価方法は以下の通りである。
【0036】○製品皮膜中ζ相の量:得られた皮膜をX
線回折し、ζ相についてはd=1.900のピ−ク強度
Iζ(421)を、またδ1相についてはd=1.990の
ピ−ク強度Iδ1249)をそれぞれ取り、下式で示すピ
−ク強度比をもって皮膜中のζ相の量を表した。なお、
Ibgはバックグランドであり、Z/Dが20以下なら
ば実質的にζ相は存在しない。 Z/D=(Iζ(421)−Ibg)/(Iδ1249)−
Ibg)×100
【0037】○耐パウダリング性:試験片に防錆油(パ
−カ−興産(株)製ノックスラスト530F)を1g/
2塗布した後、ビ−ド半径R:0.5mm、押し付け
荷重P:500kg、押し込み深さh:4mmでビ−ド
引き抜き試験を行い、テ−プ剥離後、成形前後の重量変
化から剥離量を算出した。なお、表中の数値は複数の測
定値(5×5=25個)の平均値である。
【0038】○耐パウダリング性の板幅方向最大偏差:
操業条件が安定した箇所で、コイル長さ方向5点、コイ
ル幅方向5点(両エッジ、1/4の位置およびセンタ−
部)で上記耐パウダリング性をそれぞれ測定し、最大値
と最小値の差をとった。
【0039】○摩擦係数:試験片に防錆油(パ−カ−興
産(株)製ノックスラスト530F)を1g/m2塗布
した後、工具鋼SKD11製の圧子を荷重400kgで
押し付け、1m/minの引き抜き速度で引き抜きを行
い、引き抜き荷重と押し付け荷重との比を摩擦係数とし
た。なお、表中の数値は複数の測定値(5×5=25
個)の平均値である。
【0040】○摩擦係数の板幅方向最大偏差:耐パウダ
リング性と同一箇所で摩擦係数をそれぞれ測定し、最大
値と最小値の差をとった。
【0041】○耐EDブツ性 本発明材および比較材の各々の表面に浸漬処理によって
リン酸塩皮膜を形成した後、下記条件によりカチオンタ
イプの電着塗装を施した。 電圧 : 300V 浴温 : 26.5℃ 供試体面積/陽極面積 : 1/1 塗膜の厚さ : 20μm 焼付温度 : 170℃ 焼付時間 : 20分 上記のようにして電着塗装を施した供試体の塗膜に生じ
たブツ状欠陥を、目視により調べ、48mmφ中の欠陥
発生個数から下記の評価を行った。 ○ : ブツ状欠陥 0 ○〜△ : ブツ状欠陥 2個未満 △ : ブツ状欠陥 2個以上 5個未満 × : ブツ状欠陥 5個以上
【0042】○耐クレータリング性 本発明材および比較材の各々の表面に、浸漬処理によっ
て燐酸塩皮膜を形成した後、下記条件によりカチオンタ
イプの電着塗装を施した。 電圧 : 300V 浴温 : 26.5℃ 供試体面積/陽極面積 : 1/1 塗膜の厚さ : 20μm 焼付温度 : 170℃ 焼付時間 : 20分 上記のようにして電着塗装を施した供試体の塗膜に生じ
たクレータ状欠陥を、目視により調べ、48mmφ中の
クレータ状欠陥発生個数から下記の評価を行った。 ○ : クレータ状欠陥 5個以下 △ : クレータ状欠陥 5個超〜20個以下 × : クレータ状欠陥 20個超え
【0043】○P比 めっき鋼板の外面適性(主としてFe系上層めっき被覆
性)の評価であり、浸漬処理によってリン酸塩皮膜を形
成し、この皮膜をX線回折により分析してフォスフォフ
ィライト結晶とホパイト結晶のピーク値を測定し、下記
式にてP比を定義した。 P比=(フォスフォフィライト結晶回折ピーク高さ)/
〔(フォスフォフィライト結晶回折ピーク高さ)+(ホパ
イト結晶回折ピーク高さ)〕 P比は下記によって評価した。 ○ : P比 0.8以上 ○〜△ : P比 0.7以上 0.8未満 △ : P比 0.5以上 0.7未満 × : P比 0.5未満
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】備考 ※1 上層めっき被覆性に劣るため、耐EDクレータリ
ング性、P比が悪い。 ※2 従来技術での適正範囲(上層めっき3〜4g/m
2) ※3 従来技術での適正範囲(上層めっき3〜4g/m
2) ※4 上層めっき付着量が多いため、耐EDブツ性が悪
い。 ※5 部分的にΓ相が厚く形成されるため耐パウダリン
グ性が悪く、また炉内雰囲気温度調整が困難なため、上
層めっき被覆性にも劣る。 ※6 部分的にΓ相が厚く形成されるため耐パウダリン
グ性が悪く、また、炉内雰囲気温度調整が困難なため、
上層めっき被覆性にも劣る。 ※7 下層めっきが粗いため上層めっき被覆性に劣り、
また摩擦係数も大きい。
【0050】
【表6】
【0051】備考 ※8 上層めっき被覆性に劣るため、耐EDクレータリ
ング性、P比が悪い。 ※9 従来技術での適正範囲(上層めっき3〜4g/m
2) ※10 従来技術での適正範囲(上層めっき3〜4g/m
2) ※11 上層めっき付着量が多いため、耐EDブツ性が悪
い。 ※12 スキンパス圧下力不足のため、表面が粗く上層被
覆性が悪い。 ※13 焼きムラのため不均一
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるめっき−合金化処理の実施状況
の一例を示す説明図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩渕 正洋 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板を溶融亜鉛めっき浴でめっきした
    後、非酸化性雰囲気に保たれた高周波誘導加熱炉内で合
    金化処理し、次いで、圧下力0.2Ton/mm以上で
    スキンパスを施し、しかる後、合金化溶融亜鉛めっき層
    の上層にFe系めっきを施すことを特徴とする耐EDブ
    ツ性に優れた2層合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
    法。
JP4158702A 1992-05-26 1992-05-26 耐edブツ性に優れた2層合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JP2776150B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4158702A JP2776150B2 (ja) 1992-05-26 1992-05-26 耐edブツ性に優れた2層合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4158702A JP2776150B2 (ja) 1992-05-26 1992-05-26 耐edブツ性に優れた2層合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05320949A true JPH05320949A (ja) 1993-12-07
JP2776150B2 JP2776150B2 (ja) 1998-07-16

Family

ID=15677496

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4158702A Expired - Lifetime JP2776150B2 (ja) 1992-05-26 1992-05-26 耐edブツ性に優れた2層合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2776150B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5248342B2 (ja) * 1972-06-09 1977-12-09
JPS60224791A (ja) * 1984-04-23 1985-11-09 Nippon Steel Corp 亜鉛系複層メツキ鋼板の製造設備
JPS61207561A (ja) * 1985-03-11 1986-09-13 Sumitomo Metal Ind Ltd 合金化亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH01177353A (ja) * 1988-01-05 1989-07-13 Kawasaki Steel Corp 合金化亜鉛めっき鋼板の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5248342B2 (ja) * 1972-06-09 1977-12-09
JPS60224791A (ja) * 1984-04-23 1985-11-09 Nippon Steel Corp 亜鉛系複層メツキ鋼板の製造設備
JPS61207561A (ja) * 1985-03-11 1986-09-13 Sumitomo Metal Ind Ltd 合金化亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH01177353A (ja) * 1988-01-05 1989-07-13 Kawasaki Steel Corp 合金化亜鉛めっき鋼板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2776150B2 (ja) 1998-07-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS5891162A (ja) 溶融亜鉛めつき鋼板の製造方法
JP2792346B2 (ja) 塗装後鮮映性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH0688187A (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2658580B2 (ja) プレス成形性および耐パウダリング性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2770824B2 (ja) プレス成形性および耐パウダリング性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2792343B2 (ja) 溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
US5518769A (en) Process for manufacturing galvannealed steel sheet having excellent anti-powdering property
JP2776150B2 (ja) 耐edブツ性に優れた2層合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2776151B2 (ja) 2層合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH0748662A (ja) めっき密着性、外観性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造法
JPH10226862A (ja) プレス成形性及びめっき皮膜の平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板
JP5533730B2 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3016122B2 (ja) 塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製法
JP2658608B2 (ja) プレス成形性および耐パウダリング性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2576329B2 (ja) 皮膜の均一性および耐パウダリング性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3082438B2 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面粗さの調整方法
JP2709194B2 (ja) 耐パウダリング性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2770825B2 (ja) プレス成形性および耐パウダリング性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH0978214A (ja) 皮膜密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JP2709174B2 (ja) 耐パウダリング性、摺動特性及び耐クレータリング性に優れた複層合金化溶融亜鉛めっき鋼板
JPH0816261B2 (ja) プレス成形性および耐パウダリング性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH0816260B2 (ja) プレス成形性および耐パウダリング性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH0741923A (ja) めっき密着性、外観性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造法
JP3095935B2 (ja) 溶融Znメッキ方法
KR20010056280A (ko) 크레이터 결함을 감소시키는 합금화 용융아연 도금방법