JP3095935B2 - 溶融Znメッキ方法 - Google Patents

溶融Znメッキ方法

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JP3095935B2
JP3095935B2 JP05216809A JP21680993A JP3095935B2 JP 3095935 B2 JP3095935 B2 JP 3095935B2 JP 05216809 A JP05216809 A JP 05216809A JP 21680993 A JP21680993 A JP 21680993A JP 3095935 B2 JP3095935 B2 JP 3095935B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車,家電,建材等に
使用される防錆用Znメッキ鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融Znメッキ鋼板の製造方法として
は、現在はゼンジマー方式が主流である。この方法で
は、高温下での水素気流により鋼板表面を還元・活性化
処理した後、鋼板を溶融したZn浴中を数10〜百数1
0m/毎分の速度で通過させ、鋼板を溶融Zn浴より引
き上げ、ガス流等によりメッキ付着量を調整することに
より溶融Znメッキ鋼板を製造する。この際、Fe−Z
nの合金層が厚く生成してメッキ層の密着性を劣化させ
ることがないように、溶融Zn浴中に、0.1〜0.2
重量%のAlを添加するのが通常である。添加されたA
lはZn浴中でZnよりも優先的に鋼板と反応し、Fe
−AlまたはFe−Zn−Alの合金層を生成すること
により、Fe−Znの合金化反応を抑制し、これによっ
て密着性の良好な溶融Znメッキ鋼板を製造することが
できる。
【0003】このゼンジマー方式の溶融Znメッキ製造
法における問題は生産性である。通常は、ガスワイピン
グによりメッキ付着量の調整を実施するが、通板速度が
180mpmを越える高速になるとガスにより払拭され
た溶融Znがスプラッシュを発生し、ノズル詰まり等を
生じるため操業が困難になる。このため、溶融メッキラ
インの通板速度は最高で180mpm程度に制限され、
単一設備としての生産性が限定されている。また、溶融
金属(Zn,Al等)を溶解したポットはその溶解量が
100TONにも及ぶため、メッキ種類の切り替えには
長時間が必要であり生産性を低下させる一因となってい
た。
【0004】これらの問題を改善する方法として、鋼板
に必要量のみのZnを付着させ凝固させる溶融Znメッ
キ方法が種々提案されている。例えば、特開平3−03
6252号公報は鋼板に近接したスリットノズルから溶
融金属を連続供給するものであり、特開平1−2014
56号公報は鋼板に微粒化した溶融金属を吹き付けて供
給するものである。これらの方法は高速化と品種切り替
えの容易さを同時に達成したものといえる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら発明者ら
の研究では、通常のZnメッキ鋼板(JIS規格の亜鉛
鉄板)を製造するために、0.2重量%のAlを含む溶
融Znを用いて上記の方法によりメッキを行ったとこ
ろ、通常のゼンジマー方式でメッキした場合と異なり、
密着性の良好な溶融Znメッキ鋼板を得ることができな
かった。メッキされた鋼板を調査したところ、メッキ層
と鋼板の界面に厚い合金層が生成しており、これがメッ
キ密着を低下させていることが判明した。この原因は以
下のように考えられる。
【0006】通常の溶融Znメッキ鋼板の製造では、鋼
板のZnメッキ浴への浸漬長は1〜3mに達する。鋼板
はこの溶融Zn浴中を数10mpm以上の速度で通過す
るため、鋼板近傍の溶融Znは激しく攪拌され、濃度的
には0.2重量%と極微量しか存在しないAlが、鋼板
表面に接触する機会が大きくなる。これによって、鋼板
に、Alと反応するかZnと反応するかを選択する余地
が生じる。その結果、鋼板は反応性が高いAlと優先的
に反応して表面にFe−Al(またはFe−Zn−A
l)合金の層を生成し、Fe−Znの合金層生成を抑制
すると考えられる。事実、0.1%程度の低Al濃度の
Zn浴で付着量60g/mの溶融Znメッキを行った
場合にも、鋼板に付着したメッキ中のAl濃度は0.3
%以上に達し、メッキ浴中のAl浴濃度よりもはるかに
大きいのが普通である。機器分析によれば、Alはメッ
キ層と鋼板の界面(とメッキの最表面)に高濃度で存在
し、上記のメカニズムによって鋼板表面に濃縮したこと
がわかる。
【0007】これに対し、上記の特開平3−03625
2号公報、特開平1−201456号公報に示されるよ
うな方法で溶融メッキを行った場合、通常のゼンジマー
ラインのメッキ浴と同じ0.2重量%Al−Znを鋼板
に付着(または吹き付け)したのでは、 メッキ金属の攪拌効果がないため、鋼板が反応相手と
してAlを選択する余地がなく、溶融Zn中のAlが鋼
板表面に濃縮されにくい。 メッキされる溶融Zn中に含まれるAlの絶対量が少
ない。
【0008】このため、Fe−Zn合金の生成を抑制す
るために必要な量のFe−Al合金を層として生成でき
ない。この結果、メッキ層と鋼板の界面に厚いFe−Z
n合金層が生成し、これがメッキ密着性を低下させるも
のである。5重量%あるいは55重量%の高濃度のAl
を含む溶融Znを上記の方法でメッキした場合には、ゼ
ンジマー方式でメッキした場合と同等の品質・性能を有
するメッキ鋼板が得られることからもこのことは裏付け
られる。
【0009】従って、メッキ密着性良好なメッキ鋼板を
得るには、上述したようにZn中のAl濃度を高くする
ことが効果的であり、Al濃度としては1重量%以上が
一つの目安となるという実験結果が得られている。例え
ば2重量%Al−Zn合金をメッキした場合はメッキ密
着性は良好となる。しかし、この場合、従来の亜鉛鉄板
と比べ、メッキ層、あるいはメッキ最表面の構造・性質
が異なるメッキ鋼板が得られ、表面性状が異なる(Al
濃度が高い場合、耐食性への影響が大きいためPbは添
加できない)、メッキ表面の黒変現象が生じ易い、化成
処理の際にAlが処理浴に溶出するため浴管理が難し
い、等の問題が生じる。また、JIS規格の「重量百分
率で97%以上の亜鉛を含むメッキ浴(ただし通常アル
ミニウムを0.30%以下とする。)…」という基準に
も必ずしも適合しない製品となる。すなわち、上記の特
許の方法を単純に適用したのでは、通常の亜鉛鉄板を得
ることが困難であることがわかった。
【0010】本発明は、Fe−Zn合金の成長を抑制す
るために、鋼板にFe−Al合金を生成するのに必要な
組成の薄メッキを行った後、さらに1重量%以下の低A
l濃度のZnを溶融メッキすることによりこの問題を解
決し、従来以上の高速でのメッキ鋼板製造を可能とした
ものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、鋼板に
必要量のみのZnを付着させ凝固させる溶融Znメッキ
方法において、鋼板表面にあらかじめAlあるいは1重
量%以上のAlを含むAl−Zn合金をAl量として
0.3g/m2 以上付着させた後、1重量%以下のAl
を含む溶融Znを上層メッキとして付着させることを特
徴とする溶融Znメッキ鋼板の製造方法にある。
【0012】
【作用】溶融メッキラインの通常の処理工程によって焼
鈍・表面活性化処理した鋼板表面に、まずAlあるいは
Al濃度が1重量%以上のAl合金をメッキする。Al
合金としては、Al−Zn,Al−Si合金等が適用で
きる。この下層メッキの段階で合金化反応が進行し過ぎ
ないようにしなければならないため、Al−Zn合金の
場合にはAl濃度で1重量%以上が必要であり、2重量
%以上20重量%以下であることが望ましい。またAl
−Si合金の場合には、同様にAl濃度が70重量%以
上であることが望ましい。メッキ量は、合金層の成長を
抑制するためにはAlの絶対量として0.3g/m2
上が必要であり、0.5g/m2 以上が望ましい。上限
は、合金化反応抑制の観点からは特に制限はないため、
必要なメッキ付着量との兼ね合いから便宜決定するとよ
い。
【0013】なお、基本的にはメッキ方法は限定するも
のではないが、真空蒸着、あるいは特開平1−2014
56号公報に示されるような、微粒化した溶融Alを吹
き付ける等、非酸化雰囲気でかつ速度制限がない方法を
適用することが望ましい。上記の条件で、AlまたはA
l合金をメッキした鋼板は、次に上層メッキとして、1
重量%以下のAlを含む溶融Znを必要量付着させる。
Al濃度を1重量%以下に限定したのは、1重量%を越
えるAlを有する溶融Znの場合、本方法によらなくて
も密着性に優れた溶融亜鉛メッキ鋼板を得ることができ
るためである。
【0014】なお、溶融亜鉛メッキにおける合金化反応
は、当然のことながらメッキ時の板温,溶融亜鉛温度、
鋼板の成分・粗度、メッキ前後の熱履歴等によって異な
るものである。以上に述べた下層メッキのAl量として
の必要付着量(0.3g/m 2 以上)・Al濃度(1重
量%以上)、単一層のZnメッキで合金化反応を抑制す
るのに必要なAl濃度(1重量%以上)等の条件(数
字)は一つの目安であり、実際の製造にあたっては、上
記のさまざまな条件に応じて最適条件を設定する必要が
あることは言うまでもない。
【0015】上層メッキの成分としては、1重量%以下
のAlを含むZnだけでなく、Al以外にSb,Pb,
Cd,Mgのうち1種以上を0.01〜3重量%添加し
てもよい。これらの元素の添加は、スパングルの生成ま
たは耐食性の向上に効果的である。ただし、耐食性の点
からは、Al濃度が高い場合にはPbの添加は好ましく
ないことは前述した通りである。以上の方法により、鋼
板に必要量のみのZnを付着させ凝固させる溶融Znメ
ッキ方法においても密着性の良好な溶融Znメッキ鋼板
(亜鉛鉄板)を製造することが可能となる。
【0016】
【実施例】
実施例1 板厚0.4mm,板巾914mmのAlキルド鋼板を7
50℃で焼鈍・表面活性化処理した後、流体微粒化ノズ
ルを用いて表1に示す条件でAl−Zn合金を吹き付
け、さらに下層と上層の合計メッキ付着量が110〜1
20g/m2 になるように0.15重量%Pb−0.1
重量%Al−Zn合金を吹き付けた。以上の処理はすべ
て10体積%H2 −N2 雰囲気下で行ない、また吹き付
け時のAl−Zn合金温度、板温は、下層メッキ時はい
ずれもAl−Zn合金の融点+30℃,上層メッキ時は
いずれも450℃とした。この鋼板をさらに450℃に
10秒間保定してメッキ層をリフローした後、鋼板を冷
却して溶融Znメッキ鋼板を製造した。比較例として、
Al濃度または付着したAlの絶対量が条件から外れた
場合(比較例1〜4)と、下層メッキなしで5重量%A
l−Znを吹き付けた例(実施例5)を示した。このよ
うにして得られた亜鉛メッキ鋼板のメッキ外観及びボー
ルインパクト→テーピング試験による密着性を評価し
た。メッキ外観の評価は通常の亜鉛鉄板と同等のものを
良好、密着性の評価はメッキ剥離が全くないものを良好
とした。評価結果は、表1に示すように、本発明例のメ
ッキ外観は亜鉛鉄板と同等のスパングルがあって良好で
あり、またメッキ密着性もすべて良好であった。
【0017】
【表1】
【0018】実施例2 板厚0.6mmt,板巾914mmのAlキルド鋼板を
10%H2 −N2 雰囲気下で750℃に加熱し焼鈍・表
面活性化処理を行った後、真空蒸着により表2に示す条
件でAlメッキ層を形成し、さらに下層メッキと上層メ
ッキの合計でのメッキ付着量を60〜70g/m2 にな
るように、近接されたスリットノズルを用いて0.1重
量%Al−Zn合金をコーティングした。以上の処理は
Alの真空蒸着時をのぞき、すべて10体積%H2 −N
2 雰囲気下で行ない、また0.1重量%Al−Zn合金
のコーティング時の板温、Al−Zn合金の温度はいず
れも450℃とした。この鋼板を450℃に5秒間保定
してメッキ層をリフローした後、鋼板を冷却して溶融Z
nメッキ鋼板を製造した。比較例として、Al付着量が
条件から外れた場合(比較例1〜4)を示した。このよ
うにして得られた亜鉛メッキ鋼板のメッキ密着性をボー
ルインパクト→テーピング試験により評価し、メッキ剥
離が全くないものを良好とした。評価結果を表2に示
す。本発明例のものはメッキ密着性はすべて良好であっ
た。
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】本発明によって、鋼板に必要量のみのZ
nを付着させ凝固させる各種の溶融メッキ方法におい
て、従来法と全く同等の品質を有する溶融亜鉛メッキ鋼
板を従来よりも高速通板で製造することが可能となり、
溶融メッキの生産性を大幅に向上することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/06 C23C 2/14 C23C 28/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板に必要量のみのZnを付着させ凝固
    させる溶融Znメッキ方法において、鋼板表面にあらか
    じめAlあるいは1重量%以上のAlを含むAl合金を
    Al量として0.3g/m2 以上付着させた後、1重量
    %以下のAlを含む溶融Znを上層めっきとして付着さ
    せることを特徴とする溶融Znメッキ鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 上層メッキとして付着させる溶融Zn
    に、Sb,Pb,Cd,Mgのうち1種以上を0.01
    〜3重量%添加することを特徴とする請求項1記載の溶
    融Znメッキ鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03130525U (ja) * 1990-04-13 1991-12-27

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