JPH05320204A - N−アセチルキトオリゴ糖の製造法 - Google Patents
N−アセチルキトオリゴ糖の製造法Info
- Publication number
- JPH05320204A JPH05320204A JP4135307A JP13530792A JPH05320204A JP H05320204 A JPH05320204 A JP H05320204A JP 4135307 A JP4135307 A JP 4135307A JP 13530792 A JP13530792 A JP 13530792A JP H05320204 A JPH05320204 A JP H05320204A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- chitosan
- chitosanase
- solution
- bacillus
- reaction
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Abstract
(57)【要約】
【構成】 アセチル化度が10〜30%であるキトサンをバ
チルスNo.7-M(FERM P-8139)により生産されるキトサナ
ーゼによって分解した後、N-アセチル化することを特徴
とする、N-アセチルキトオリゴ糖の製造法。 【効果】 産業上有用な重合度が5〜7のN-アセチルキ
トオリゴ糖を効率的に製造することができる。
チルスNo.7-M(FERM P-8139)により生産されるキトサナ
ーゼによって分解した後、N-アセチル化することを特徴
とする、N-アセチルキトオリゴ糖の製造法。 【効果】 産業上有用な重合度が5〜7のN-アセチルキ
トオリゴ糖を効率的に製造することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、N-アセチルキトオリゴ
糖、特に産業上有用である重合度が5 〜7 のN-アセチル
キトオリゴ糖を効率的に製造する方法に関する。
糖、特に産業上有用である重合度が5 〜7 のN-アセチル
キトオリゴ糖を効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】キチンはエビやカニ等の甲殻類の殻から
得られる多糖類であって、セルロースと極めてよく似た
化学構造を有しており、セルロースを構成するグルコー
スの2位の水酸基がアセトアミド基で置換された2-アセ
トアミド-2-デオキシ-D-グルコース(N-アセチル-D-グ
ルコサミン)がβ-1,4-結合した直鎖状の多糖類であ
る。
得られる多糖類であって、セルロースと極めてよく似た
化学構造を有しており、セルロースを構成するグルコー
スの2位の水酸基がアセトアミド基で置換された2-アセ
トアミド-2-デオキシ-D-グルコース(N-アセチル-D-グ
ルコサミン)がβ-1,4-結合した直鎖状の多糖類であ
る。
【0003】キチンを塩酸等で加水分解すると、単糖で
あるN-アセチル-D-グルコサミンのほか、N-アセチルキ
トビオース(GlcNAc)2 、N-アセチルキトトリオース(Glc
NAc) 3 、N-アセチルキトテトラオース(GlcNAc)4 、N-ア
セチルキトペンタオース(GlcNAc)5 、N-アセチルキトヘ
キサオース(GlcNAc)6 及びN-アセチルキトヘプタオース
(GlcNAc)7 等のN-アセチルキトオリゴ糖が生成する。
あるN-アセチル-D-グルコサミンのほか、N-アセチルキ
トビオース(GlcNAc)2 、N-アセチルキトトリオース(Glc
NAc) 3 、N-アセチルキトテトラオース(GlcNAc)4 、N-ア
セチルキトペンタオース(GlcNAc)5 、N-アセチルキトヘ
キサオース(GlcNAc)6 及びN-アセチルキトヘプタオース
(GlcNAc)7 等のN-アセチルキトオリゴ糖が生成する。
【0004】N-アセチルキトオリゴ糖は、以前から有用
な物質として知られていたが、最近、これらのオリゴ糖
のうち比較的重合度の大きいものについて新しい報告が
幾つかあり、その有用性について注目されている。例え
ば、N-アセチルキトヘキサオースについてはマウスのsa
rcoma-180,MM-46,Meth-A solid tumorらのガン細胞に対
する生育阻害作用を有するという報告(A.Tokoro,et a
l.,Chem.Pharm.Bull.,36,784(1988)及びK.Suzuki,et a
l.,Carbohydr.Res.,151 403(1986)) やメロンのキチナ
ーゼのエリシターとしての働きがあるという報告(D.Rob
y,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,143,885 (198
7))がある。また、N-アセチルテトラオースからN-アセ
チルヘプタオースのオリゴ糖については、好中球の免疫
活性を亢進するはたらきがあるという報告(S.Suzuki, e
t al.,"Chitin in Nature and Technology" ed by R.Mu
zzarelli,et al.,Plenum, New York, 1985,pp485-492)
がある。このように、N-アセチルキトオリゴ糖、特に重
合度の比較的大きいオリゴ糖は食品添加物、医薬品、生
化学材料等として、広範な用途に利用することができ、
このため、これらを経済的に製造する技術の開発が望ま
れていた。
な物質として知られていたが、最近、これらのオリゴ糖
のうち比較的重合度の大きいものについて新しい報告が
幾つかあり、その有用性について注目されている。例え
ば、N-アセチルキトヘキサオースについてはマウスのsa
rcoma-180,MM-46,Meth-A solid tumorらのガン細胞に対
する生育阻害作用を有するという報告(A.Tokoro,et a
l.,Chem.Pharm.Bull.,36,784(1988)及びK.Suzuki,et a
l.,Carbohydr.Res.,151 403(1986)) やメロンのキチナ
ーゼのエリシターとしての働きがあるという報告(D.Rob
y,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,143,885 (198
7))がある。また、N-アセチルテトラオースからN-アセ
チルヘプタオースのオリゴ糖については、好中球の免疫
活性を亢進するはたらきがあるという報告(S.Suzuki, e
t al.,"Chitin in Nature and Technology" ed by R.Mu
zzarelli,et al.,Plenum, New York, 1985,pp485-492)
がある。このように、N-アセチルキトオリゴ糖、特に重
合度の比較的大きいオリゴ糖は食品添加物、医薬品、生
化学材料等として、広範な用途に利用することができ、
このため、これらを経済的に製造する技術の開発が望ま
れていた。
【0005】これまで、N-アセチルキトオリゴ糖の製造
方法としては、主に塩酸等の酸を利用するものが多く、
例えば、キチンを塩酸で加水分解して、N-アセチルキト
オリゴ糖を得る方法(J.A.Rupley,Biochim.Biophys.Act
a.,83,245-255 (1964)およびM.A.Raftery,et al.,Anal.
Biochem.,30,427-435 (1969))、またキトサンを塩酸加
水分解後、N-アセチル化し、N-アセチルキトオリゴ糖を
得る方法(S.A.Berker,et al.,J.Chem.Soc.,1958,2218-2
227 (1958))、あるいはキチンをフッ化水素で加水分解
して、N-アセチルキトオリゴ糖を得る方法(C.Bosso,et
al.,Carbohydr.Res.,156,57-68 (1986))が知られてい
た。
方法としては、主に塩酸等の酸を利用するものが多く、
例えば、キチンを塩酸で加水分解して、N-アセチルキト
オリゴ糖を得る方法(J.A.Rupley,Biochim.Biophys.Act
a.,83,245-255 (1964)およびM.A.Raftery,et al.,Anal.
Biochem.,30,427-435 (1969))、またキトサンを塩酸加
水分解後、N-アセチル化し、N-アセチルキトオリゴ糖を
得る方法(S.A.Berker,et al.,J.Chem.Soc.,1958,2218-2
227 (1958))、あるいはキチンをフッ化水素で加水分解
して、N-アセチルキトオリゴ糖を得る方法(C.Bosso,et
al.,Carbohydr.Res.,156,57-68 (1986))が知られてい
た。
【0006】しかし、これらの方法はいずれも、キチン
またはキトサンの大部分が単糖まで分解されてしまうた
め、産業上有用な重合度5 〜7 の高重合度N-アセチルキ
トオリゴ糖を効率良く調製することは困難であった。ま
た、このような酸の他、微生物の産生する酵素もキチ
ン、キトサンを分解することが知られている。例えばバ
チルス(Bacillus sp.)R-4 の生産するキトサナーゼ(Y.T
ominaga,Y.Tsujisaka,Biochimica et Biophysica Acta,
410,145-155 (1975)) 、ペニシリウム・イスランディク
ム(Penicillium islandicum)の生産するキトサナーゼ
(D.M.Fenton et al,Journal of General Microbiology,
126,151-165(1981))、バチルス(Bacillus sp.)99-5の生
産するキトサナーゼ(堀内、日本農芸化学会、昭和59年
度大会、講演要旨集、第550 頁)、ストレプトマイセス
(Streptomyces sp.)(J.S.Price,et al.,Journal of Bac
teriology,124,1574-1585 (1975)) およびストレプトマ
イセス・グリセウス(Streptomyces griseus)の生産する
キトサナーゼ(A.Ohtakara,"Chtin,Chitosan and Relate
d Enzymes",142-160(1984)Academic Press) と数多くの
報告例があるが、キトサンに作用させた後、N-アセチル
化することにより、N-アセチルキトオリゴ糖を著量に生
産するという報告は見当たらない。
またはキトサンの大部分が単糖まで分解されてしまうた
め、産業上有用な重合度5 〜7 の高重合度N-アセチルキ
トオリゴ糖を効率良く調製することは困難であった。ま
た、このような酸の他、微生物の産生する酵素もキチ
ン、キトサンを分解することが知られている。例えばバ
チルス(Bacillus sp.)R-4 の生産するキトサナーゼ(Y.T
ominaga,Y.Tsujisaka,Biochimica et Biophysica Acta,
410,145-155 (1975)) 、ペニシリウム・イスランディク
ム(Penicillium islandicum)の生産するキトサナーゼ
(D.M.Fenton et al,Journal of General Microbiology,
126,151-165(1981))、バチルス(Bacillus sp.)99-5の生
産するキトサナーゼ(堀内、日本農芸化学会、昭和59年
度大会、講演要旨集、第550 頁)、ストレプトマイセス
(Streptomyces sp.)(J.S.Price,et al.,Journal of Bac
teriology,124,1574-1585 (1975)) およびストレプトマ
イセス・グリセウス(Streptomyces griseus)の生産する
キトサナーゼ(A.Ohtakara,"Chtin,Chitosan and Relate
d Enzymes",142-160(1984)Academic Press) と数多くの
報告例があるが、キトサンに作用させた後、N-アセチル
化することにより、N-アセチルキトオリゴ糖を著量に生
産するという報告は見当たらない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、微生
物の産生する酵素を利用し、N-アセチルキトオリゴ糖、
特にN-アセチルキトペンタオース、N-アセチルキトヘキ
サオース、及びN-アセチルキトヘプタオースを高収率で
得ることができる製造方法を提供することにある。
物の産生する酵素を利用し、N-アセチルキトオリゴ糖、
特にN-アセチルキトペンタオース、N-アセチルキトヘキ
サオース、及びN-アセチルキトヘプタオースを高収率で
得ることができる製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、微生物の
産生する酵素を利用して、N-アセチルキトオリゴ糖の前
駆物質であるキトサンオリゴ糖を製造する方法について
鋭意研究を行った結果、バチルス属に属する微生物の生
産するキトサナーゼを用いることにより、キトサンから
比較的重合度の大きいオリゴ糖を高収率で得られること
を見出し、さらに酵素の基質として、アセチル化度が10
〜30%であるキトサンを用いることにより、更にその収
率が向上することを見出し、これらの知見に基づき本発
明を完成するに至った。
産生する酵素を利用して、N-アセチルキトオリゴ糖の前
駆物質であるキトサンオリゴ糖を製造する方法について
鋭意研究を行った結果、バチルス属に属する微生物の生
産するキトサナーゼを用いることにより、キトサンから
比較的重合度の大きいオリゴ糖を高収率で得られること
を見出し、さらに酵素の基質として、アセチル化度が10
〜30%であるキトサンを用いることにより、更にその収
率が向上することを見出し、これらの知見に基づき本発
明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明はキトサンをバチルス属
に属する微生物により生産されるキトサナーゼによって
分解した後、N-アセチル化することを特徴とする、N-ア
セチルキトオリゴ糖の製造法である。また、本発明は、
バチルス属に属する微生物がバチルスNo.7-Mであること
を特徴とする、前記記載のN-アセチルキトオリゴ糖の製
造法である。
に属する微生物により生産されるキトサナーゼによって
分解した後、N-アセチル化することを特徴とする、N-ア
セチルキトオリゴ糖の製造法である。また、本発明は、
バチルス属に属する微生物がバチルスNo.7-Mであること
を特徴とする、前記記載のN-アセチルキトオリゴ糖の製
造法である。
【0010】さらに、本発明はキトサンのアセチル化度
が10〜30%であることを特徴とする、前記記載のN-アセ
チルキトオリゴ糖の製造法である。以下、本発明を詳細
に説明する。最初に、バチルスNo.7-Mの菌学的性質及び
この菌株により生産されるキトサナーゼの酵素化学的性
質を示す。バチルスNo.7-Mの菌学的性質 A.細胞の形態 (1) 細胞の形および大きさ:短桿菌、(肉汁および肉汁
寒天斜面培地、37℃、24〜72時間の培養) (2) 細胞の多形成の有無:無し、 (3) 運動性の有無:有り、(肉汁寒天半流動高層穿刺培
養) (4) 胞子の有無:有り、内生胞子および裸の胞子、球
状、〔ドーナー(Dorner)の染色法およびウイッツ(Witz)
変法〕 (5) グラム染色性:陽性、〔肉汁寒天斜面培養、37℃、
18時間、ヒュッカー(Hucker)の変法により染色〕 B.各培地における生育状態 (1) 肉汁寒天平板培養(37℃、24〜168 時間):糸状の
周縁を有する円形で、隆起した乳白色のコロニーを形成
する。コロニーの表面は凹凸でやや光沢があり、半透明
である。時間の経過とともに盛り上がってくる。色素は
生産しない。 (2) 肉汁寒天斜面培養(37℃、24〜168 時間):拡布状
に盛り上がった乳白色のコロニーを形成する。コロニー
は凸円形の隆起があり、光沢がある。生育は良好で、時
間とともに拡がってくる。色素は生産しない。 (3) 肉汁液体培養(37℃、24〜168 時間):表面に膜を
形成しない。時間とともに全体的に濁ってくる。底部に
絮状(顆粒状)の沈澱が形成され、徐々に多くなってく
る。 (4) 肉汁ゼラチン穿刺培養(25℃、24〜168 時間):穿
刺線に沿って生育し、液化する。表面および内部は漏斗
状に生育し、液化する。液化部分は白濁する。 (5) リトマスミルク(37℃、24〜168 時間):2日後か
ら上部が少しずつ液化し、4日目には完全に変色し、酸
性となった。凝固はしない。時間の経過とともに、液化
は進み、半透明になった。 C.生理学的性質 (1) 硝酸塩の還元:− (硝酸塩肉汁培地、37℃、24〜120 時間) (2) 脱窒反応:− (駒形らの方法、発酵管を使用、37℃、24〜120 時間) (3) MRテスト:+ (37℃、24〜168 時間) (4) VPテスト(アセチルメチルカルビノール生成試
験):+ (37℃、24〜168 時間) (5) インドールの生成:− (37℃、24〜168 時間) (6) 硫化水素の生成:− (TSI 寒天法、37℃、24〜168 時間) (7) デン粉の加水分解:+ (37℃、24〜168 時間) (8) クエン酸の利用 (コーザーの培地、37℃、24〜168 時間):− (クリステンセン培地、37℃、24〜168 時間):+ (9) 無機窒素源の利用(37℃、24〜168 時間) 硝酸塩:未定、アンモニウム塩:未定 (10)色素の生成 (マンニット・酵母エキス寒天斜面培地):− 〔キング(King) A寒天斜面培地〕:− (11)蛍光の有無:無し (12)ウレアーゼ:+ (クリステンセン─ウレア寒天培地、37℃、24〜168 時
間) (13)オキシターゼ:+ (肉汁寒天培地、37℃、24〜48時間) (14)カタラーゼ:+ (肉汁寒天培地、37℃、24〜48時間) (15)生育の範囲:(肉汁寒天培地) 温度:未定、pH:5 〜10、添加食塩濃度:未定、 (16)酸素に対する態度:好気性 (1 %グルコース肉汁高層寒天培地、37℃、24〜72時
間) (17)O-F テスト〔ヒュー─ライフソン(Hugh-Leifson)
法、37℃、D-グルコース〕:発酵的に酸を生成する。
が10〜30%であることを特徴とする、前記記載のN-アセ
チルキトオリゴ糖の製造法である。以下、本発明を詳細
に説明する。最初に、バチルスNo.7-Mの菌学的性質及び
この菌株により生産されるキトサナーゼの酵素化学的性
質を示す。バチルスNo.7-Mの菌学的性質 A.細胞の形態 (1) 細胞の形および大きさ:短桿菌、(肉汁および肉汁
寒天斜面培地、37℃、24〜72時間の培養) (2) 細胞の多形成の有無:無し、 (3) 運動性の有無:有り、(肉汁寒天半流動高層穿刺培
養) (4) 胞子の有無:有り、内生胞子および裸の胞子、球
状、〔ドーナー(Dorner)の染色法およびウイッツ(Witz)
変法〕 (5) グラム染色性:陽性、〔肉汁寒天斜面培養、37℃、
18時間、ヒュッカー(Hucker)の変法により染色〕 B.各培地における生育状態 (1) 肉汁寒天平板培養(37℃、24〜168 時間):糸状の
周縁を有する円形で、隆起した乳白色のコロニーを形成
する。コロニーの表面は凹凸でやや光沢があり、半透明
である。時間の経過とともに盛り上がってくる。色素は
生産しない。 (2) 肉汁寒天斜面培養(37℃、24〜168 時間):拡布状
に盛り上がった乳白色のコロニーを形成する。コロニー
は凸円形の隆起があり、光沢がある。生育は良好で、時
間とともに拡がってくる。色素は生産しない。 (3) 肉汁液体培養(37℃、24〜168 時間):表面に膜を
形成しない。時間とともに全体的に濁ってくる。底部に
絮状(顆粒状)の沈澱が形成され、徐々に多くなってく
る。 (4) 肉汁ゼラチン穿刺培養(25℃、24〜168 時間):穿
刺線に沿って生育し、液化する。表面および内部は漏斗
状に生育し、液化する。液化部分は白濁する。 (5) リトマスミルク(37℃、24〜168 時間):2日後か
ら上部が少しずつ液化し、4日目には完全に変色し、酸
性となった。凝固はしない。時間の経過とともに、液化
は進み、半透明になった。 C.生理学的性質 (1) 硝酸塩の還元:− (硝酸塩肉汁培地、37℃、24〜120 時間) (2) 脱窒反応:− (駒形らの方法、発酵管を使用、37℃、24〜120 時間) (3) MRテスト:+ (37℃、24〜168 時間) (4) VPテスト(アセチルメチルカルビノール生成試
験):+ (37℃、24〜168 時間) (5) インドールの生成:− (37℃、24〜168 時間) (6) 硫化水素の生成:− (TSI 寒天法、37℃、24〜168 時間) (7) デン粉の加水分解:+ (37℃、24〜168 時間) (8) クエン酸の利用 (コーザーの培地、37℃、24〜168 時間):− (クリステンセン培地、37℃、24〜168 時間):+ (9) 無機窒素源の利用(37℃、24〜168 時間) 硝酸塩:未定、アンモニウム塩:未定 (10)色素の生成 (マンニット・酵母エキス寒天斜面培地):− 〔キング(King) A寒天斜面培地〕:− (11)蛍光の有無:無し (12)ウレアーゼ:+ (クリステンセン─ウレア寒天培地、37℃、24〜168 時
間) (13)オキシターゼ:+ (肉汁寒天培地、37℃、24〜48時間) (14)カタラーゼ:+ (肉汁寒天培地、37℃、24〜48時間) (15)生育の範囲:(肉汁寒天培地) 温度:未定、pH:5 〜10、添加食塩濃度:未定、 (16)酸素に対する態度:好気性 (1 %グルコース肉汁高層寒天培地、37℃、24〜72時
間) (17)O-F テスト〔ヒュー─ライフソン(Hugh-Leifson)
法、37℃、D-グルコース〕:発酵的に酸を生成する。
【0011】(fermentative) (18)糖類からの酸およびガスの生成の有無 (37℃、24〜168 時間) : 以上の菌学的性質については、バージエイス・マニュア
ル・オブ・デターミネイティブ・バクテリオロジー(Ber
gey's Manual Determinative Bacteriorogy)の第8 版(1
974 年) を検索したところ、No.7-M株はバチルス(Baci
llus) 属に属するのが相当であることがわかった。キトサナーゼの酵素化学的性質 (1) 作用 キトサンに作用し、分子の内部鎖から任意にβ-1,4結合
を分解して、主としてキトオリゴ糖(GlcN)n (n=2〜8)
(2 量体〜8 量体)を生成する。キトオリゴ糖は高速液
体クロマトグラフィーを用いてキトサン分解液から分離
することができる。この分解液におけるキトサンの分解
度は45%である。カルボキシメチルセルロース(CMC) に
も作用し、ある程度はこれらを分解するが、キチンには
全く作用しない。 (2) 作用温度範囲および最適作用温度:可溶性キトサン
を基質とした場合、80℃まで作用し、最適作用温度は50
℃である。
ル・オブ・デターミネイティブ・バクテリオロジー(Ber
gey's Manual Determinative Bacteriorogy)の第8 版(1
974 年) を検索したところ、No.7-M株はバチルス(Baci
llus) 属に属するのが相当であることがわかった。キトサナーゼの酵素化学的性質 (1) 作用 キトサンに作用し、分子の内部鎖から任意にβ-1,4結合
を分解して、主としてキトオリゴ糖(GlcN)n (n=2〜8)
(2 量体〜8 量体)を生成する。キトオリゴ糖は高速液
体クロマトグラフィーを用いてキトサン分解液から分離
することができる。この分解液におけるキトサンの分解
度は45%である。カルボキシメチルセルロース(CMC) に
も作用し、ある程度はこれらを分解するが、キチンには
全く作用しない。 (2) 作用温度範囲および最適作用温度:可溶性キトサン
を基質とした場合、80℃まで作用し、最適作用温度は50
℃である。
【0012】pH6.0 において10分間反応させた場合の温
度と比活性の関係を第1図に示す。 (3) 作用pH範囲および最適pH:pH3 〜9 の範囲において
作用し、最適pHはpH6 である。1 %可溶性キトサン1ml
に各pHの緩衝液2ml および酵素液1ml を加えた反応液を
37℃において10分間反応させた場合のpHと酵素の比活性
の関係を第2図に示す。 (4) 熱安定性:50℃における15分間の保温まで、ほぼ安
定で、60℃における15分間の加熱により、酵素の約40%
が失活し、70℃における15分間の加熱により、完全に失
活した。
度と比活性の関係を第1図に示す。 (3) 作用pH範囲および最適pH:pH3 〜9 の範囲において
作用し、最適pHはpH6 である。1 %可溶性キトサン1ml
に各pHの緩衝液2ml および酵素液1ml を加えた反応液を
37℃において10分間反応させた場合のpHと酵素の比活性
の関係を第2図に示す。 (4) 熱安定性:50℃における15分間の保温まで、ほぼ安
定で、60℃における15分間の加熱により、酵素の約40%
が失活し、70℃における15分間の加熱により、完全に失
活した。
【0013】温度と比活性の関係を第3図に示す。 (5) pH安定性:0.1M緩衝液中で30℃において2 時間放置
した後、残存する酵素活性を測定したが、pH5 〜11の範
囲において安定であった。pH10〜11において安定である
ことは、バチルスNo.7-Mにより生産されたキトサナーゼ
の大きな特徴の一つである。pHと比活性の関係第4図に
示す。 (6) 阻害剤 バチルスNo.7-Mにより生産されたキトサナーゼは1×10
-3M の終濃度のHgCl2、PbCl2 、AgNO3 、および 4×10
-3M 濃度のPCMBの存在によりほぼ100 %が阻害された。 (7) 基質特異性:種々の基質を使用し、基質の終濃度を
0.25%とした時に、酵素反応液4ml 当たり酵素蛋白質1m
g によって1 時間に遊離する全還元糖とヘキソサミンの
量(mg/mg 蛋白質/ 時 )を測定した。その結果が表1に
示される。
した後、残存する酵素活性を測定したが、pH5 〜11の範
囲において安定であった。pH10〜11において安定である
ことは、バチルスNo.7-Mにより生産されたキトサナーゼ
の大きな特徴の一つである。pHと比活性の関係第4図に
示す。 (6) 阻害剤 バチルスNo.7-Mにより生産されたキトサナーゼは1×10
-3M の終濃度のHgCl2、PbCl2 、AgNO3 、および 4×10
-3M 濃度のPCMBの存在によりほぼ100 %が阻害された。 (7) 基質特異性:種々の基質を使用し、基質の終濃度を
0.25%とした時に、酵素反応液4ml 当たり酵素蛋白質1m
g によって1 時間に遊離する全還元糖とヘキソサミンの
量(mg/mg 蛋白質/ 時 )を測定した。その結果が表1に
示される。
【0014】
【表1】
【0015】バチルスNo.7-Mにより生産されたキトサナ
ーゼは、コロイダルキトサン、可溶性キトサンおよびグ
ライコールキトサンをよく分解し、カルボキシメチルセ
ルロース(CMC) も若干分解したが、粉末キトサンには作
用しなかった。またコロイダルキチン、グライコールキ
チン、粉末キチンおよびメチルセルロースは全く分解し
なかった。 (8) 分子量 SDS-ポリアクリルアミド電気泳動法により分子量を測定
した結果を第5図に示す。第5図において(○)はバチ
ルスNo7.-Mにより生産されたキトサナーゼの分子量であ
って、約41,000である。
ーゼは、コロイダルキトサン、可溶性キトサンおよびグ
ライコールキトサンをよく分解し、カルボキシメチルセ
ルロース(CMC) も若干分解したが、粉末キトサンには作
用しなかった。またコロイダルキチン、グライコールキ
チン、粉末キチンおよびメチルセルロースは全く分解し
なかった。 (8) 分子量 SDS-ポリアクリルアミド電気泳動法により分子量を測定
した結果を第5図に示す。第5図において(○)はバチ
ルスNo7.-Mにより生産されたキトサナーゼの分子量であ
って、約41,000である。
【0016】セファデックスG-100 を用いたゲル濾過法
により分子量を測定した結果を第6図に示す。第6図に
おいて(○)はバチルスNo.7-Mにより生産されたキトサ
ナーゼの分子量であって、約30,000である。 (9) 酵素力価の測定法:1gの粉末キトサン(28メッシ
ュ)を50mlの0.1M酢酸水溶液に溶解し、0.1M酢酸ナトリ
ウム水溶液でpH6.0 に調製した後、0.1M酢酸緩衝液( p
H:6.0)を加えて、全容を100ml にして、基質の1 %可
溶性キトサン溶液に調製する。
により分子量を測定した結果を第6図に示す。第6図に
おいて(○)はバチルスNo.7-Mにより生産されたキトサ
ナーゼの分子量であって、約30,000である。 (9) 酵素力価の測定法:1gの粉末キトサン(28メッシ
ュ)を50mlの0.1M酢酸水溶液に溶解し、0.1M酢酸ナトリ
ウム水溶液でpH6.0 に調製した後、0.1M酢酸緩衝液( p
H:6.0)を加えて、全容を100ml にして、基質の1 %可
溶性キトサン溶液に調製する。
【0017】37℃において5 分間プレインキュベートし
た基質の1 %可溶性キトサン溶液1ml に、同様にプレイ
ンキュベートした酵素液1ml を加え、37℃において正確
に10分間酵素反応を行わせる。その後反応液を3 分間煮
沸して酵素反応を停止させ、反応液中に生成した還元糖
を定量する。この条件において1分間に1 μモルのグル
コサミンに相当する還元糖を遊離させる酵素量を、1 単
位(unit)のキトサナーゼ活性とする。
た基質の1 %可溶性キトサン溶液1ml に、同様にプレイ
ンキュベートした酵素液1ml を加え、37℃において正確
に10分間酵素反応を行わせる。その後反応液を3 分間煮
沸して酵素反応を停止させ、反応液中に生成した還元糖
を定量する。この条件において1分間に1 μモルのグル
コサミンに相当する還元糖を遊離させる酵素量を、1 単
位(unit)のキトサナーゼ活性とする。
【0018】次に本発明の構成について詳細に説明す
る。本発明に用いる微生物としては、バチルス属に属す
る微生物であって、キトサナーゼを産生するものであれ
ば、特に限定されないが、好ましい菌株としてはバチル
スNo.7-Mが挙げられる。バチルスNo.7-Mは、長崎県南高
来郡小浜町雲仙の原生沼の土壌よりキチンまたはキトサ
ンを唯一の炭素源とする培地に生育しうる細菌として分
類されたバチルス(Bacillus sp.)No.7株を親株として、
この親株をN-メチル-N'-ニトロソ-N-ニトロソグアニジ
ン(NTG) で処理して突然変異を誘発させ、得られたスト
レプトマイシン耐性の変異株の中から高活性のキトサナ
ーゼを生産しうるものとして分類された変異株である。
本菌株は、微工研菌寄第8139号(FERM P-8139) として通
商産業省微生物工業技術研究所に寄託されている。
る。本発明に用いる微生物としては、バチルス属に属す
る微生物であって、キトサナーゼを産生するものであれ
ば、特に限定されないが、好ましい菌株としてはバチル
スNo.7-Mが挙げられる。バチルスNo.7-Mは、長崎県南高
来郡小浜町雲仙の原生沼の土壌よりキチンまたはキトサ
ンを唯一の炭素源とする培地に生育しうる細菌として分
類されたバチルス(Bacillus sp.)No.7株を親株として、
この親株をN-メチル-N'-ニトロソ-N-ニトロソグアニジ
ン(NTG) で処理して突然変異を誘発させ、得られたスト
レプトマイシン耐性の変異株の中から高活性のキトサナ
ーゼを生産しうるものとして分類された変異株である。
本菌株は、微工研菌寄第8139号(FERM P-8139) として通
商産業省微生物工業技術研究所に寄託されている。
【0019】本発明の微生物を培養する培地には、炭素
源としては、コロイダルキトサン、キトサン等を、窒素
源としては、ペプトン、酵母エキス、肉エキス等を用い
ることができ、他に無機塩類、緩衝液等として、リン酸
塩、硫酸マグネシウム、硫酸第二鉄等を添加することも
できる。このような条件を満たす培地としては例えば、
ペプトン−酵母エキス培地、肉汁培地等が挙げられる。
また培地内のpHは5〜8、温度は20〜60℃であることが
好ましい。培養方法は好気性の微生物に用いられる培養
方法であればいずれも用いることができ、例えば、振盪
培養法、通気攪拌培養法等を用いることができる。培養
期間は、接種する種菌の量により異なるが、上記の培
地、培養条件で1〜7日間培養すればよい。
源としては、コロイダルキトサン、キトサン等を、窒素
源としては、ペプトン、酵母エキス、肉エキス等を用い
ることができ、他に無機塩類、緩衝液等として、リン酸
塩、硫酸マグネシウム、硫酸第二鉄等を添加することも
できる。このような条件を満たす培地としては例えば、
ペプトン−酵母エキス培地、肉汁培地等が挙げられる。
また培地内のpHは5〜8、温度は20〜60℃であることが
好ましい。培養方法は好気性の微生物に用いられる培養
方法であればいずれも用いることができ、例えば、振盪
培養法、通気攪拌培養法等を用いることができる。培養
期間は、接種する種菌の量により異なるが、上記の培
地、培養条件で1〜7日間培養すればよい。
【0020】微生物より酵素液を調製するには、特別な
方法を用いる必要はなく、公知の方法でよい、すなわ
ち、充分に微生物が増殖した培地中の培養液を遠心分離
または濾過により固形物を除去し、その上澄液を酵素液
とすればよく、また、得られた酵素液を硫安塩析、ゲル
濾過、イオン交換クロマトグラフィー等により不純物を
除去し、酵素の純度を高めることも可能である。
方法を用いる必要はなく、公知の方法でよい、すなわ
ち、充分に微生物が増殖した培地中の培養液を遠心分離
または濾過により固形物を除去し、その上澄液を酵素液
とすればよく、また、得られた酵素液を硫安塩析、ゲル
濾過、イオン交換クロマトグラフィー等により不純物を
除去し、酵素の純度を高めることも可能である。
【0021】キトサンはキチンをアルカリ処理し、脱ア
セチル化されて得られる多糖類であるが、本発明にはキ
トサンのアミノ基の一部がアセチル化されている部分N-
アセチルキトサンを使用することが好ましく、特にその
アセチル化度が10〜30%である部分N-アセチル化キトサ
ンを使用することが好ましい。この部分N-アセチルキト
サンの調製は、キチンをアルカリ処理し、脱アセチル化
することで行うこともできるが、予めほとんどアセチル
基の存在しないキトサンを調製しておき、これに無水酢
酸等のアセチル化剤を加えアセチル化して行うこともで
きる。
セチル化されて得られる多糖類であるが、本発明にはキ
トサンのアミノ基の一部がアセチル化されている部分N-
アセチルキトサンを使用することが好ましく、特にその
アセチル化度が10〜30%である部分N-アセチル化キトサ
ンを使用することが好ましい。この部分N-アセチルキト
サンの調製は、キチンをアルカリ処理し、脱アセチル化
することで行うこともできるが、予めほとんどアセチル
基の存在しないキトサンを調製しておき、これに無水酢
酸等のアセチル化剤を加えアセチル化して行うこともで
きる。
【0022】キトサナーゼによりキトサンを分解するた
めには、キトサンを酸によって溶解させる必要がある。
この際使用する酸としてはキトサンを溶解し得るもので
あれば、どのようなものでもよく、例えば塩酸または硝
酸の希薄溶液、ギ酸、酢酸、乳酸、グルタミン酸または
アスコルビン酸の希薄溶液を使用するができる。この分
解反応を効率的に進行させるためには、温度20〜50℃と
し、pHはギ酸緩衝液、酢酸緩衝液、乳酸緩衝液等により
3 〜9 付近に維持することが好ましい。反応に用いるキ
トサナーゼの量は反応時間、反応温度等の反応条件を考
慮して決めればよいが、キトサン1gに対し、10〜30un
it程度添加するのが好ましい。また、反応時間について
は、その時間の長短により生成するキトオリゴ糖の重合
度分布が変化するため、予備実験において反応時間と生
成するオリゴ糖の重合度分布との関係を調べておき、そ
の結果に応じて反応時間を決めるのが望ましい。
めには、キトサンを酸によって溶解させる必要がある。
この際使用する酸としてはキトサンを溶解し得るもので
あれば、どのようなものでもよく、例えば塩酸または硝
酸の希薄溶液、ギ酸、酢酸、乳酸、グルタミン酸または
アスコルビン酸の希薄溶液を使用するができる。この分
解反応を効率的に進行させるためには、温度20〜50℃と
し、pHはギ酸緩衝液、酢酸緩衝液、乳酸緩衝液等により
3 〜9 付近に維持することが好ましい。反応に用いるキ
トサナーゼの量は反応時間、反応温度等の反応条件を考
慮して決めればよいが、キトサン1gに対し、10〜30un
it程度添加するのが好ましい。また、反応時間について
は、その時間の長短により生成するキトオリゴ糖の重合
度分布が変化するため、予備実験において反応時間と生
成するオリゴ糖の重合度分布との関係を調べておき、そ
の結果に応じて反応時間を決めるのが望ましい。
【0023】反応液よりキトオリゴ糖を精製し、それを
重合度ごとに分離するためには、キトサナーゼを失活さ
せた後、反応液から遠心分離または濾過によって上澄液
を集め、これをゲル濾過、高速液体クロマトグラフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィー等の処理を行う。得
られたキトオリゴ糖をN-アセチル化するには無水酢酸、
塩化アセチル、等によりアセチル化すればよく、その
後、電気透析等により更に不純物を除去し、凍結乾燥等
を行なうことによりN-アセチルキトオリゴ糖の粉末を得
ることができる。
重合度ごとに分離するためには、キトサナーゼを失活さ
せた後、反応液から遠心分離または濾過によって上澄液
を集め、これをゲル濾過、高速液体クロマトグラフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィー等の処理を行う。得
られたキトオリゴ糖をN-アセチル化するには無水酢酸、
塩化アセチル、等によりアセチル化すればよく、その
後、電気透析等により更に不純物を除去し、凍結乾燥等
を行なうことによりN-アセチルキトオリゴ糖の粉末を得
ることができる。
【0024】以下、参考例及び実施例により本発明を具
体的に説明するが、本発明はこれによって何ら制限を受
けるものではない。
体的に説明するが、本発明はこれによって何ら制限を受
けるものではない。
【0025】
【参考例1】(種培養の調製)250ml 容三角フラスコ
に、酵母エキス0.8 %、ペプトン0.4 %、肉エキス0.2
%、コロイダルキトサン0.5 %を含む液体培地(pH:7.2)
50mlを入れ、常法により殺菌した後、これに予め液体培
養したバチルス(Bacillus sp.) No.7-M(FERM P-8139)を
接種し、30℃において、1 日間振とう培養した。
に、酵母エキス0.8 %、ペプトン0.4 %、肉エキス0.2
%、コロイダルキトサン0.5 %を含む液体培地(pH:7.2)
50mlを入れ、常法により殺菌した後、これに予め液体培
養したバチルス(Bacillus sp.) No.7-M(FERM P-8139)を
接種し、30℃において、1 日間振とう培養した。
【0026】(酵素生産用培養液の調製)5L容三角フラ
スコ2 本に、上記と同一の組成の液体培地をそれぞれ1L
ずつ入れ、常法により殺菌した後、これに上記で得られ
た種培養液40mlを接種し、30℃において、4 日間振とう
培養した。培養液を6000rpm において遠心分離して、固
体を除去し、得られた上澄液のキトサナーゼの活性を前
記の酵素力価の測定法によって測定した。上澄液1ml当
たり0.99単位であった。
スコ2 本に、上記と同一の組成の液体培地をそれぞれ1L
ずつ入れ、常法により殺菌した後、これに上記で得られ
た種培養液40mlを接種し、30℃において、4 日間振とう
培養した。培養液を6000rpm において遠心分離して、固
体を除去し、得られた上澄液のキトサナーゼの活性を前
記の酵素力価の測定法によって測定した。上澄液1ml当
たり0.99単位であった。
【0027】(酵素液の精製)上記で得られた上澄液を
混合し、得られた混合液1.81L に固体硫安1.015g( 硫安
80%飽和に相当する) を加え、濾過し、得られた沈澱物
を蒸留水に溶解し、177ml とした。この酵素液を蒸留
水、引き続いて、0.02M リン酸緩衝液(pH:6.0)に対して
透析した後、得られた酵素液を、予め0.02 Mリン酸緩衝
液で平衡化したCM- セファデックスC-50を充填したカラ
ム〔2.6cm(径)×45cm(長さ)〕に流してキトサナーゼ
を吸着させた。ほとんどの不純蛋白質は素通り区分に集
まっていた。このカラムを0.02M リン酸緩衝液350ml で
洗浄した後、0 〜0.5Mの塩化ナトリウムで直線的濃度勾
配により酵素蛋白質を溶出した。
混合し、得られた混合液1.81L に固体硫安1.015g( 硫安
80%飽和に相当する) を加え、濾過し、得られた沈澱物
を蒸留水に溶解し、177ml とした。この酵素液を蒸留
水、引き続いて、0.02M リン酸緩衝液(pH:6.0)に対して
透析した後、得られた酵素液を、予め0.02 Mリン酸緩衝
液で平衡化したCM- セファデックスC-50を充填したカラ
ム〔2.6cm(径)×45cm(長さ)〕に流してキトサナーゼ
を吸着させた。ほとんどの不純蛋白質は素通り区分に集
まっていた。このカラムを0.02M リン酸緩衝液350ml で
洗浄した後、0 〜0.5Mの塩化ナトリウムで直線的濃度勾
配により酵素蛋白質を溶出した。
【0028】次にキトサナーゼ活性を示した第218 〜24
0 のフラクションを合し、これをダイアフローメンブレ
ンフィルターPM−10(アミコン社製品)を用いた限外濾
過装置で17倍に濃縮し、この濃縮液に、セファデックス
G-100 を用いるゲル濾過を行った。このゲル濾過のキト
サナーゼ活性を示した第50〜63のフラクションを合し、
再びCM−セファデックスC−50によるカラムクロマトグ
ラフィーを行った。前回と同じ条件で酵素を吸着し、0
〜0.5Mの塩化ナトリウムで直線的濃度勾配により酵素蛋
白質を溶出した。
0 のフラクションを合し、これをダイアフローメンブレ
ンフィルターPM−10(アミコン社製品)を用いた限外濾
過装置で17倍に濃縮し、この濃縮液に、セファデックス
G-100 を用いるゲル濾過を行った。このゲル濾過のキト
サナーゼ活性を示した第50〜63のフラクションを合し、
再びCM−セファデックスC−50によるカラムクロマトグ
ラフィーを行った。前回と同じ条件で酵素を吸着し、0
〜0.5Mの塩化ナトリウムで直線的濃度勾配により酵素蛋
白質を溶出した。
【0029】このカラムクロマトグラフィーにおいて2
〜42unit/ml のキトサナーゼ活性を示すフラクションが
得られた。
〜42unit/ml のキトサナーゼ活性を示すフラクションが
得られた。
【0030】
【参考例2】(均一反応系におけるキトサンの調製)キ
チン30g を42%NaOH300gに懸濁させ、1週間室温で放置
した。この懸濁液に砕氷2.90kgを加え、キチンを溶解
し、アルカリキチン溶液とした。このときの、NaOH濃度
は5 %であった。この溶液を50℃で168 時間加熱する
と、反応なかばより沈澱が生成した。この沈澱を濾別
後、メタノール、アセトンで洗浄した後、乾燥し、キト
サン23.1g を得た。コロイド滴定法により求めたキトサ
ンのアセチル化度は24%であった。 (100 %脱アセチル化キトサンからの部分N-アセチルキ
トサンの調製)100 %脱アセチル化キトサン5gを100ml
の2 %酢酸に溶解後、メタノール190ml を加え、攪拌し
た。この溶液に、キトサンのアミノ基当たり0.1 〜0.3
モル当量の無水酢酸を加え、室温で一晩攪拌した。生成
物を1N NaOH-MeOH(1:1)2L に滴下し、室温で一晩攪拌
し、ゲルを形成させた。このゲルを脱塩水で充分に洗浄
後、凍結乾燥し、部分N-アセチルキトサンを得た。元素
分析法により求めた部分N-アセチルキトサンと無水酢酸
添加量の関係を表2に示した。
チン30g を42%NaOH300gに懸濁させ、1週間室温で放置
した。この懸濁液に砕氷2.90kgを加え、キチンを溶解
し、アルカリキチン溶液とした。このときの、NaOH濃度
は5 %であった。この溶液を50℃で168 時間加熱する
と、反応なかばより沈澱が生成した。この沈澱を濾別
後、メタノール、アセトンで洗浄した後、乾燥し、キト
サン23.1g を得た。コロイド滴定法により求めたキトサ
ンのアセチル化度は24%であった。 (100 %脱アセチル化キトサンからの部分N-アセチルキ
トサンの調製)100 %脱アセチル化キトサン5gを100ml
の2 %酢酸に溶解後、メタノール190ml を加え、攪拌し
た。この溶液に、キトサンのアミノ基当たり0.1 〜0.3
モル当量の無水酢酸を加え、室温で一晩攪拌した。生成
物を1N NaOH-MeOH(1:1)2L に滴下し、室温で一晩攪拌
し、ゲルを形成させた。このゲルを脱塩水で充分に洗浄
後、凍結乾燥し、部分N-アセチルキトサンを得た。元素
分析法により求めた部分N-アセチルキトサンと無水酢酸
添加量の関係を表2に示した。
【0031】
【表2】
【0032】
【参考例3】(キトオリゴ糖の調製)参考例2で均一反
応系により調製したキトサン(アセチル化度24%)を用
いて、0.5 %キトサン溶液(pH6.0,0.1Mギ酸緩衝液)を
調製した。キトサン溶液100ml を37℃でプレインキュベ
ート後、 8.3単位のキトサナーゼを加え、37℃で24時間
インキュベートした。反応を4 分間煮沸することにより
停止させた後、冷却し、ロータリーエバポレーターを用
いて、1/20に濃縮した。濃縮した分解液4ml (キトサン
換算400mg )を予めギ酸緩衝液(pH4.2,I=0.2)で平衡化
したバイオゲルP-2 カラム(2.56 ×180cm)にアプライ
し、同緩衝液で溶出した。得られたクロマトグラムを図
7に示した。棒線で示したF-2 からF-8 画分を分取し、
エバポレーターで濃縮後、マイクロアシライザーG1(旭
化成製)で脱塩後、凍結乾燥後した。F-2,F-3,F-4 画分
は高速液体クロマトグラフィーで純度を確認したところ
ほぼ純品であったが、F-5 及びF-6 画分は、わずかに不
純物が混入していたので、再び先に述べたバイオゲルP-
2 カラムを用いて精製した。それぞれの画分の収量は、
F-2 45mg、F-3 101mg 、F-4 67mg、F-5 33mg、F-6 47m
g、F-7 44mg、F-8 198mg であった。
応系により調製したキトサン(アセチル化度24%)を用
いて、0.5 %キトサン溶液(pH6.0,0.1Mギ酸緩衝液)を
調製した。キトサン溶液100ml を37℃でプレインキュベ
ート後、 8.3単位のキトサナーゼを加え、37℃で24時間
インキュベートした。反応を4 分間煮沸することにより
停止させた後、冷却し、ロータリーエバポレーターを用
いて、1/20に濃縮した。濃縮した分解液4ml (キトサン
換算400mg )を予めギ酸緩衝液(pH4.2,I=0.2)で平衡化
したバイオゲルP-2 カラム(2.56 ×180cm)にアプライ
し、同緩衝液で溶出した。得られたクロマトグラムを図
7に示した。棒線で示したF-2 からF-8 画分を分取し、
エバポレーターで濃縮後、マイクロアシライザーG1(旭
化成製)で脱塩後、凍結乾燥後した。F-2,F-3,F-4 画分
は高速液体クロマトグラフィーで純度を確認したところ
ほぼ純品であったが、F-5 及びF-6 画分は、わずかに不
純物が混入していたので、再び先に述べたバイオゲルP-
2 カラムを用いて精製した。それぞれの画分の収量は、
F-2 45mg、F-3 101mg 、F-4 67mg、F-5 33mg、F-6 47m
g、F-7 44mg、F-8 198mg であった。
【0033】次に、これらのオリゴ糖の構造をFAB-マス
スペクトル、エキソ−β−グルコサミダーゼを用いた酵
素分解法及び1H-NMRにより同定した。それぞれの画分と
糖構造を表3に示した。
スペクトル、エキソ−β−グルコサミダーゼを用いた酵
素分解法及び1H-NMRにより同定した。それぞれの画分と
糖構造を表3に示した。
【0034】
【表3】
【0035】
【参考例4】種々のアセチル化度のキトサンに対するキ
トサナーゼの作用を調べた。参考例2で調製した部分N-
アセチルキトサン(アセチル化度、10% ,16%, 21%,
24% ,30%)を用い、0.5 %キトサン溶液(pH6.0, 0.1
M 酢酸緩衝液)を調製した。0.5 %キトサン溶液30mlに
キトサナーゼ90μl (2.5 単位)を加え、37℃で24時間
インキュベートした。分解物の組成を参考例3で用いた
高速液体クロマトグラフィーを用いて調べた。図8に示
すように、2糖、3糖、及び4糖はキトサンのアセチル
化度が上昇するにしたがって、減少した。一方、5糖は
アセチル化度10〜30%の範囲で高い値を維持し、10〜21
%で最高である。また6糖はアセチル化度10〜20%の範
囲で高い値を維持し、10〜16%で最高となった。そこ
で、必要とするN-アセチルキトオリゴ糖の重合度を変化
させるには、基質であるキトサンのアセチル化度を変化
させれば良いことがわかった。すなわちN-アセチルキト
オリゴ糖の2、3、4糖を必要とする場合には、アセチ
ル化度の低いキトサンを用いて分解した後アセチル化す
ることにより、製造することができ、N-アセチルキトオ
リゴ糖の5糖あるいは6糖を必要とする場合には、アセ
チル化度10〜30%程のキトサンを用いた後にアセチル化
して得ることができる。
トサナーゼの作用を調べた。参考例2で調製した部分N-
アセチルキトサン(アセチル化度、10% ,16%, 21%,
24% ,30%)を用い、0.5 %キトサン溶液(pH6.0, 0.1
M 酢酸緩衝液)を調製した。0.5 %キトサン溶液30mlに
キトサナーゼ90μl (2.5 単位)を加え、37℃で24時間
インキュベートした。分解物の組成を参考例3で用いた
高速液体クロマトグラフィーを用いて調べた。図8に示
すように、2糖、3糖、及び4糖はキトサンのアセチル
化度が上昇するにしたがって、減少した。一方、5糖は
アセチル化度10〜30%の範囲で高い値を維持し、10〜21
%で最高である。また6糖はアセチル化度10〜20%の範
囲で高い値を維持し、10〜16%で最高となった。そこ
で、必要とするN-アセチルキトオリゴ糖の重合度を変化
させるには、基質であるキトサンのアセチル化度を変化
させれば良いことがわかった。すなわちN-アセチルキト
オリゴ糖の2、3、4糖を必要とする場合には、アセチ
ル化度の低いキトサンを用いて分解した後アセチル化す
ることにより、製造することができ、N-アセチルキトオ
リゴ糖の5糖あるいは6糖を必要とする場合には、アセ
チル化度10〜30%程のキトサンを用いた後にアセチル化
して得ることができる。
【0036】
【実施例】参考例2で調製した部分N-アセチルキトサン
(アセチル化度10%)を用いて、0.5 %キトサン溶液(
pH6.0, 0.1M 酢酸緩衝液)を調製した。キトサン溶液10
0ml にキトサナーゼ167 μl(8.3 単位) を加え、37℃で
24時間インキュベートした。反応後4 分間煮沸して反応
を停止させた。得られた分解液をロータリーエバポレー
ターを用いて、1/20に濃縮した。この濃縮液全量をあら
かじめギ酸緩衝液(pH4.2 ,I=0.2)で平衡化したバイオ
ゲルP-4 カラム(2.65 ×175cm)およびバイオゲルP-2 カ
ラム(2.65 ×165cm)にアプライし、同緩衝液で溶出し
た。得られたクロマトグラムを図9に示した。棒線で示
したA,B,C,D,E,F 画分を分取し、ロータリーエバポレー
ターで濃縮後、マイクロアシライザーG1を用いて、脱塩
し、凍結乾燥した。得られた画分を、糖濃度0.5 %とな
るように0.04M Na2CO3水溶液に溶解し、メタノール及び
無水酢酸をそれぞれ最終濃度44%及び1.1 %になるよう
に加えた。室温で一晩攪拌後、ロータリーエバポレター
を用いて濃縮乾固し、さらに糖濃度0.5 %となるように
0.1N NaOH を加え、室温で30分間放置した。反応後、1N
HClを用いて、pH6.0 に調製した後、再びマイクロアシ
ライザーG1を用いて脱塩し、凍結乾燥した。N-アセチル
化して得られた画分の同定を高速液体クロマトグラフィ
ー、FAB-マススペクトルを用いて行った。図10に高速
液体クロマトグラフィーの結果を示した。図中のSは標
準(GlcNAc)n (n=1〜6)を示し、数字1〜6はそれぞれ(G
lcNAc)1 、(GlcNAc)2 、(GlcNAc)3 、(GlcNAc)4 、(Glc
NAc)5および(GlcNAc)6 の各ピークを示す。また図中のA
〜F は前記のゲル濾過による画分A〜F を示す。高速液
体クロマトグラフィーはカラムとして、ラジアルパッ
ク、μボンダパックカラム(8.0 ×100mm 、ウォーター
ズ製) を用い、溶離液は、アセトニトリル−水混合液
(70:30)、検出はUV検出器を用い、210nm の吸光度を
測定した。A,B,C,D,E 画分はそれぞれ、標準(GlcNAc)n
の(GlcNAc)2 、(GlcNAc)3 、(GlcNAc)4 、(GlcNAc)5 お
よび(GlcNAc)6 と同じリテンションタイムに溶出した。
またF 画分は標準の(GlcNAc)6 よりも遅れて溶出した。
一方、ピーク面積から求めたA,B,C,D,E,F 画分の純度は
A,80%以上、B,C,D,E;95%以上、F;90%以上であった。
さらに、N-アセチル化して得られた画分の同定をFAB-マ
ススペクトルを用いて行い、A,B,C,D,E,F 画分をN-アセ
チル化して得られた糖はそれぞれ、(GlcNAc)2 、(GlcNA
c)3 、(GlcNAc)4 、(GlcNAc)5 、(GlcNAc)6 、(GlcNAc)
7 であることが明らかになった。収量はそれぞれ26mg、
117mg 、70mg、41mg、60mg、および45mgであった。
(アセチル化度10%)を用いて、0.5 %キトサン溶液(
pH6.0, 0.1M 酢酸緩衝液)を調製した。キトサン溶液10
0ml にキトサナーゼ167 μl(8.3 単位) を加え、37℃で
24時間インキュベートした。反応後4 分間煮沸して反応
を停止させた。得られた分解液をロータリーエバポレー
ターを用いて、1/20に濃縮した。この濃縮液全量をあら
かじめギ酸緩衝液(pH4.2 ,I=0.2)で平衡化したバイオ
ゲルP-4 カラム(2.65 ×175cm)およびバイオゲルP-2 カ
ラム(2.65 ×165cm)にアプライし、同緩衝液で溶出し
た。得られたクロマトグラムを図9に示した。棒線で示
したA,B,C,D,E,F 画分を分取し、ロータリーエバポレー
ターで濃縮後、マイクロアシライザーG1を用いて、脱塩
し、凍結乾燥した。得られた画分を、糖濃度0.5 %とな
るように0.04M Na2CO3水溶液に溶解し、メタノール及び
無水酢酸をそれぞれ最終濃度44%及び1.1 %になるよう
に加えた。室温で一晩攪拌後、ロータリーエバポレター
を用いて濃縮乾固し、さらに糖濃度0.5 %となるように
0.1N NaOH を加え、室温で30分間放置した。反応後、1N
HClを用いて、pH6.0 に調製した後、再びマイクロアシ
ライザーG1を用いて脱塩し、凍結乾燥した。N-アセチル
化して得られた画分の同定を高速液体クロマトグラフィ
ー、FAB-マススペクトルを用いて行った。図10に高速
液体クロマトグラフィーの結果を示した。図中のSは標
準(GlcNAc)n (n=1〜6)を示し、数字1〜6はそれぞれ(G
lcNAc)1 、(GlcNAc)2 、(GlcNAc)3 、(GlcNAc)4 、(Glc
NAc)5および(GlcNAc)6 の各ピークを示す。また図中のA
〜F は前記のゲル濾過による画分A〜F を示す。高速液
体クロマトグラフィーはカラムとして、ラジアルパッ
ク、μボンダパックカラム(8.0 ×100mm 、ウォーター
ズ製) を用い、溶離液は、アセトニトリル−水混合液
(70:30)、検出はUV検出器を用い、210nm の吸光度を
測定した。A,B,C,D,E 画分はそれぞれ、標準(GlcNAc)n
の(GlcNAc)2 、(GlcNAc)3 、(GlcNAc)4 、(GlcNAc)5 お
よび(GlcNAc)6 と同じリテンションタイムに溶出した。
またF 画分は標準の(GlcNAc)6 よりも遅れて溶出した。
一方、ピーク面積から求めたA,B,C,D,E,F 画分の純度は
A,80%以上、B,C,D,E;95%以上、F;90%以上であった。
さらに、N-アセチル化して得られた画分の同定をFAB-マ
ススペクトルを用いて行い、A,B,C,D,E,F 画分をN-アセ
チル化して得られた糖はそれぞれ、(GlcNAc)2 、(GlcNA
c)3 、(GlcNAc)4 、(GlcNAc)5 、(GlcNAc)6 、(GlcNAc)
7 であることが明らかになった。収量はそれぞれ26mg、
117mg 、70mg、41mg、60mg、および45mgであった。
【0037】
【発明の効果】バチルス属に属する微生物の生産する酵
素は、単糖類を産生することなくキトサンを比較的重合
度の大きいオリゴ糖に分解することができる。またその
際、用いるキトサンのアセチル化度を限定することによ
り、高重合度のオリゴ糖をより高収率で得ることができ
る。このため本発明は、従来その調製が困難とされてき
た重合度5 〜7 程度のN-アセチルキトオリゴ糖の製造を
容易にし、食品、医療等の広い分野に大きく貢献するも
のである。
素は、単糖類を産生することなくキトサンを比較的重合
度の大きいオリゴ糖に分解することができる。またその
際、用いるキトサンのアセチル化度を限定することによ
り、高重合度のオリゴ糖をより高収率で得ることができ
る。このため本発明は、従来その調製が困難とされてき
た重合度5 〜7 程度のN-アセチルキトオリゴ糖の製造を
容易にし、食品、医療等の広い分野に大きく貢献するも
のである。
【図1】キトサナーゼの作用温度範囲における温度と比
活性の関係を示す図。
活性の関係を示す図。
【図2】キトサナーゼの作用pH範囲におけるpHと比活性
の関係を示す図。
の関係を示す図。
【図3】キトサナーゼの熱安定性における温度と比活性
の関係を示す図。
の関係を示す図。
【図4】キトサナーゼのpH安定性におけるpHと比活性の
関係を示す図。
関係を示す図。
【図5】キトサナーゼの分子量測定の結果を示す図。
【図6】キトサナーゼの分子量測定の結果を示す図。
【図7】キトサン加水分解物のゲル濾過のクロマトグラ
ムを示す図。
ムを示す図。
【図8】キトサンのアセチル化度と分解後の糖の組成を
示す図。
示す図。
【図9】キトサン加水分解物のゲル濾過のクロマトグラ
ムを示す図。
ムを示す図。
【図10】N-アセチル化した画分の高速液体クロマトグ
ラフィーの結果を示す図。
ラフィーの結果を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:07) 7804−4B (72)発明者 永江 信一 茨城県土浦市大字常名字向荒久5508番地 片倉チッカリン株式会社筑波総合研究所R &Dセンター内
Claims (3)
- 【請求項1】 キトサンをバチルス属に属する微生物に
より生産されるキトサナーゼによって分解した後、N-ア
セチル化することを特徴とする、N-アセチルキトオリゴ
糖の製造法。 - 【請求項2】 バチルス属に属する微生物がバチルスN
o.7-Mであることを特徴とする、請求項1記載のN-アセ
チルキトオリゴ糖の製造法。 - 【請求項3】 キトサンのアセチル化度が10〜30%であ
ることを特徴とする、請求項1または請求項2記載のN-
アセチルキトオリゴ糖の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4135307A JPH05320204A (ja) | 1992-05-27 | 1992-05-27 | N−アセチルキトオリゴ糖の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4135307A JPH05320204A (ja) | 1992-05-27 | 1992-05-27 | N−アセチルキトオリゴ糖の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05320204A true JPH05320204A (ja) | 1993-12-03 |
Family
ID=15148666
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4135307A Pending JPH05320204A (ja) | 1992-05-27 | 1992-05-27 | N−アセチルキトオリゴ糖の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05320204A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20030045315A (ko) * | 2001-12-03 | 2003-06-11 | 김광 | 천연소재 항암제 엔-아세틸-디-키토올리고 6당 및 7당,그리고 그 제조방법 |
JP2010178642A (ja) * | 2009-02-04 | 2010-08-19 | Yaizu Suisankagaku Industry Co Ltd | 高級n−アセチルキトオリゴ糖の製造方法 |
JP2012031107A (ja) * | 2010-07-30 | 2012-02-16 | Koyo Chemical Kk | ヘテロ二糖、キトビオース、及びジ‐n‐アセチルキトビオースの製造方法、並びにそれらの用途 |
CN102993332A (zh) * | 2011-12-09 | 2013-03-27 | 中国科学院大连化学物理研究所 | 一种制备几丁寡糖的方法 |
WO2013086282A1 (en) * | 2011-12-07 | 2013-06-13 | Saudi Arabian Oil Company | Two-stage filter cake removal composition for drilling fluids and method of use thereof |
CN112679630A (zh) * | 2020-12-28 | 2021-04-20 | 青岛博智汇力生物科技有限公司 | 一种特定聚合度壳寡糖的制备方法及其在缓蚀剂中的应用 |
CN114544789A (zh) * | 2020-11-25 | 2022-05-27 | 中国科学院大连化学物理研究所 | 一种不同乙酰化程度壳寡糖的色谱分离方法 |
-
1992
- 1992-05-27 JP JP4135307A patent/JPH05320204A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20030045315A (ko) * | 2001-12-03 | 2003-06-11 | 김광 | 천연소재 항암제 엔-아세틸-디-키토올리고 6당 및 7당,그리고 그 제조방법 |
JP2010178642A (ja) * | 2009-02-04 | 2010-08-19 | Yaizu Suisankagaku Industry Co Ltd | 高級n−アセチルキトオリゴ糖の製造方法 |
JP2012031107A (ja) * | 2010-07-30 | 2012-02-16 | Koyo Chemical Kk | ヘテロ二糖、キトビオース、及びジ‐n‐アセチルキトビオースの製造方法、並びにそれらの用途 |
WO2013086282A1 (en) * | 2011-12-07 | 2013-06-13 | Saudi Arabian Oil Company | Two-stage filter cake removal composition for drilling fluids and method of use thereof |
US10125305B2 (en) | 2011-12-07 | 2018-11-13 | Saudi Arabian Oil Company | Filter cake removal composition for drilling fluids and method of use thereof |
CN102993332A (zh) * | 2011-12-09 | 2013-03-27 | 中国科学院大连化学物理研究所 | 一种制备几丁寡糖的方法 |
CN114544789A (zh) * | 2020-11-25 | 2022-05-27 | 中国科学院大连化学物理研究所 | 一种不同乙酰化程度壳寡糖的色谱分离方法 |
CN114544789B (zh) * | 2020-11-25 | 2023-04-07 | 中国科学院大连化学物理研究所 | 一种不同乙酰化程度壳寡糖的色谱分离方法 |
CN112679630A (zh) * | 2020-12-28 | 2021-04-20 | 青岛博智汇力生物科技有限公司 | 一种特定聚合度壳寡糖的制备方法及其在缓蚀剂中的应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3605414B2 (ja) | 糖化合物 | |
JP2000513925A (ja) | N―アセチル―d―グルコサミンの生産方法 | |
US5405759A (en) | Heparitinase, process for producing the same and bacteria producing the same | |
JP3181337B2 (ja) | キトサンオリゴ糖混合物の製造方法、及びキチンオリゴ糖混合物の製造方法 | |
JPH05320204A (ja) | N−アセチルキトオリゴ糖の製造法 | |
JPH0691819B2 (ja) | デアセチラーゼの製造方法 | |
JPS6312293A (ja) | ヒアルロン酸の精製法 | |
JP3865801B2 (ja) | 新規なβ−アガラーゼ,その製造方法及びその用途 | |
MOU et al. | Structural analysis of kappa‐carrageenan oligosaccharides released by carrageenase from marine cytophaga MCA‐2 | |
JPH0313878B2 (ja) | ||
JP3252927B2 (ja) | レバンサッカラーゼ酵素、その製造方法、それを産生する微生物およびそれを含む組成物 | |
JPH06261754A (ja) | N−アセチル−d−グルコサミンデアセチラーゼ | |
JPS61236790A (ja) | ガラクトオリゴ糖の製造法 | |
JP2797081B2 (ja) | アスペルギルスフミガーツス突然変異菌及び当該菌または菌の生産酵素を利用したキトサン−オリゴ糖の製造方法 | |
JPH0229311B2 (ja) | ||
JPH0265788A (ja) | 寒天オリゴ糖の製造法 | |
JP2000125857A (ja) | α−L−フコシダーゼ、その製造方法、菌株および用途 | |
JP2001069975A (ja) | キトサナーゼ | |
JPH0219393A (ja) | N‐アセチルガラクトサミノオリゴ糖及びその製造方法 | |
JPH0124121B2 (ja) | ||
US6083927A (en) | Hepatic disturbance improver | |
JPH0474358B2 (ja) | ||
JPH02163082A (ja) | キトサナーゼの製造方法 | |
JP2001120266A (ja) | キチナーゼ及びその製造法 | |
JPH04237491A (ja) | 新規なキチナーゼとその製造法 |