JPH0531380Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、配管工事などの際、パイプ等を加熱
するために、通常、作業者が手に持つて使用する
配管工事用ガスバーナに関する。

＜従来の技術＞ この種の配管用ガスバーナは、一般に、略Ｔ字
形のバルブ部の下端にボンベ取付口を設け、バル
ブ部の前方にバーナ本体部を取付け、家庭用コン
ロ等に使用する小形のガスボンベをボンベ取付口
に接続して構成される。

＜考案が解決しようとする課題＞ ガスバーナの通常使用時、ガスボンベから気化
したガスがバルブ部を経てバーナ本体部に送ら
れ、そのノズルから噴出されたガスが燃焼空気と
混合されて燃焼するのであるが、この種のガスバ
ーナは作業者が手に持つて使用するため、ガスボ
ンベが倒立した反転状態で使用される場合があ
る。

従つて、通常の小形ガスボンベでは、反転する
と、充填されている液化ガスがそのまま流出し、
バルブ部を経てバーナ本体部に送られるため、ノ
ズルからその液化ガスがそのまま滴下し、バーナ
の火が不安定となり、消えやすくなる課題があつ
た。

本考案は、上記の課題を解決するためになされ
たもので、ガスボンベを倒立状態とするように反
転して使用された場合でも、安定した火炎を維持
することができる配管工事用ガスバーナを提供す
ることを目的とする。

＜課題を解決するための手段＞ 上記の目的を達成するために、本考案のガスバ
ーナは、バルブ部の一端にガスボンベの取付口が
形成され、そのバルブ部の先端側にバーナ本体部
が接続された配管工事用ガスバーナにおいて、バ
ーナ本体部にはバルブ部から供給された燃料を通
過させて加熱する燃料加熱器が火炎発生位置に配
設され、その燃料加熱器を経た燃料を噴出するノ
ズルがバーナ本体部に設けられ、バルブ部とバー
ナ本体部との間に、燃料供給路を燃料加熱器側と
ノズル側間で切換る切換弁を設けた燃料供給切換
部が配設され、燃料供給切換部には昇温時に燃料
加熱器に流れる燃料の供給路をノズル側の直接通
路に切換るように切換弁を付勢する形状記憶合金
製のコイルばねが設けられて構成される。

＜作用＞ バーナに着火する場合、バルブ部の流路を少し
開き、ガスボンベまたはバルブ部で気化したガス
をノズルから噴出させて着火する。

着火後、バルブ部の流路を開き、バーナ本体部
で発生する火炎を充分大きくしてパイプ等の加熱
作業が行われる。

この状態で、ガスボンベから供給されたガス
は、バルブ部からバーナ本体部の燃料加熱器に送
られ、ここで加熱された後、ノズルに送られて噴
出する。このため、例えば、ガスバーナがガスボ
ンベを倒立状態とするように反転して使用された
場合、ガスボンベから液化ガスがそのままバーナ
本体部に送られるが、その液化ガスが燃料加熱器
を通過する際、バーナの熱により加熱されるた
め、その熱により液化ガスが気化し、ガスとして
ノズルから噴出される。

従つて、このような場合においても、ノズルか
ら液化ガスがそのまま滴下するようなことはな
く、安定して火炎を維持することができる。

なお、バルブ部等で加熱されたガスがさらに燃
料加熱器に送られた場合、ガスの温度が過度に上
昇し、ガスが大きく膨張するため、空気と混合し
た際の空燃比が低下する。これを解消するため
に、バルブ部とバーナ本体部との間に、燃料供給
路を切換る切換弁を備えた燃料供給切換部を設置
し、燃料供給切換部の切換弁には、昇温時に燃料
加熱器に流れる燃料をノズル側の直接通路に送る
ように切換る形状記憶合金製のコイルばねを設け
る。これにより、燃料ガスの温度が過度に上昇し
た場合には、燃料加熱器に流れるガスを止めてノ
ズル側に直接流すようにし、ガスの過度の加熱を
防止する。

＜実施例＞ 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は配管工事用ガスバーナの断面図を、第
２図はそのバーナ本体部３の正面図を示してい
る。このガスバーナは、略Ｔ字形で下端部にガス
ボンベを取付けるための取付口を設けたバルブ部
１と、バルブ部１の送出側に連結され切換弁を有
する燃料供給切換部２と、燃料供給切換部２の送
出側に取り付けれたバーナ本体部３とから構成さ
れる。

バルブ部１は、略Ｔ字形の本体１０の内部にガ
スの流路１２を形成し、その下端部にガスボンベ
取付用の取付口１４が設けられる。取付口１４に
は小形のガスボンベを取付けるための公知のバル
ブパツキン、軸部、ロツクナツトが設けられてい
る。また本体１０内には、ニードルバルブ１１が
後方から挿入螺合され、本体１０から後方に突出
したニードルバルブ１１の末端にツマミ１３が固
定され、ツマミ１３によりニードルバルブ１１を
回して進退させることにより、流路１２の開度を
調整する。

燃料供給切換部２は、バルブ部１の先端側に螺
着される筒体２１の末端に、流通孔を持つストツ
パ２２を螺着し、筒体２１の内部に切換弁を２３
を摺動可能に挿入して構成される。また、筒体２
１内のストツパ２２と切換弁２３間にはこの弁を
図の左方向に付勢するためのコイルばね２４が介
在され、このコイルばね２４に付勢力により、切
換弁２３は、通常、筒体２１内の段部にそのフラ
ンジ部を当接させている。

さらに、筒体２１内には、切換弁２３を図の右
方向に付勢するための形状記憶合金製のコイルば
ね２５が配設される。このコイルばね２５は、予
め決められた加熱変態温度において伸長状態を記
憶し、その変態温度以上に加熱されると、記憶し
た伸長状態に変形し、反対側のコイルばね２４に
打ち勝つて切換弁２３を図の右方向に付勢するよ
うに構成される。

さらに、筒体２１には後述の燃料加熱用パイプ
３４の両端が接続される２つのポート２６，２７
が設けられる。ポート２６は、通常位置の切換弁
２３のフランジ部より右側に位置し、ポート２７
はそのフランジ部より左側に位置し、過度の加熱
時、形状記憶合金製のコイルばね２５が伸長した
際、切換弁２３が図の右側に押され、筒体２１内
の段部との隙間を開き、ノズル側の直接通路を開
くように動作する。

バーナ本体部３は、燃料供給切換部２の筒体２
１の先端部に固定される本体ブロツク３１の外周
部に、バーナ外筒３２を固定し、バーナ外筒３２
内の先端付近にバーナ内筒３３を取付け、さらに
外筒内の火炎発生位置に環状に曲折された燃料加
熱用パイプ３４を設けて構成される。また、この
バーナ本体部３の本体ブロツク３１内には、そこ
嵌挿された筒体２１の先端部に螺着するようにノ
ズル３５が配設され、さらに本体ブロツク３１に
は燃焼空気を吸引するための空気孔３６が設けら
れる。

従つて、通常時、バルブ部１から燃料供給切換
部２内に供給された燃料は、ポート２６から燃料
加熱用パイプ３４を通り、ポート２７を通つて切
換弁２３の先端側に流れ、ノズル３５へと送られ
る。

このように構成されたガスバーナは、そのバル
ブ部１の下端の取付口１４に、小形のガスボンベ
（家庭用コンロ等用のブタンガス等を充填したカ
セツト式ガスボンベ）を取付け、配管工事等にお
いて、パイプ等を加熱するために、使用される。

着火する場合、バルブ部１のツマミ１３を少し
回してニードルバルブ１１の流路１２を少し開
き、少量のガスを、燃料供給切換部２、燃料加熱
用パイプ３４を通してノズル３５に送り、噴出さ
せて着火を行う。

着火した状態で、バルブ部１のツマミ１３を回
し、ニードルバルブ１１流路１２を略全開に開く
と、ガスボンベからの充分な量のガスが、流路１
２を通り、燃料供給切換部２の筒体２１内に入
り、そこからポート２６を通つて、燃料加熱用パ
イプ３４を流通し、ポート２７を経てバーナ本体
部３のノズル３５に送られ、そこから噴出されて
燃焼する。

ガスバーナが、ガスボンベを倒立状態とするよ
うな反転状態で使用された場合、液化ガスが直
接、バルブ部１の流路１２から燃料供給切換部２
内に供給される。そして、液化ガスが燃料加熱用
パイプ３４に送られるが、火炎によりパイプ３４
が加熱されるため、液化ガスがここで気化され、
ガスとなつてノズル３５に供給され、燃焼する。
従つて、液化ガスが直接ノズルに供給されること
はなく、液化ガスの滴下による火の消失や不安定
さは生じない。

長時間使用などにより、燃料供給切換部２やバ
ーナ本体部３が過度の加熱状態となると、形状記
憶合金製のコイルばね２５がその変態温度以上に
加熱され、予め記憶した伸長状態となり、コイル
ばね２４を圧縮する方向に切換弁２３を押して移
動させる。この時、切換弁２３は第３図に示すよ
うに、そのフランジ部が段部から離れ、ノズル側
への直接通路が形成された状態となる。このた
め、燃料ガスは、切換弁２３の周囲を通つて直接
ノズル側に流れるようになり、ポート２６とポー
ト２７の圧力が略同一となるため、燃料加熱用パ
イプ３４には燃料ガスが流れなくなる。

従つて、燃料ガスが燃料加熱用パイプ３４によ
り過度に加熱されることはなくなり、良好な火炎
が維持される。

なお、この状態でガスボンベを倒立状態とする
ように使用された場合、ガスボンベから液化ガス
がバルブ部１に供給されるが、バルブ部１や燃料
供給切換部２が加熱状態にあるため、液化ガスが
この部分の熱により気化し、ガス化されてノズル
３５に供給されるため、液化ガスがそのままノズ
ルに送られることはない。

そして、ガスが直接ノズルに供給される状態が
続くと、ガスの温度が低いため、燃料供給切換部
２が徐々に冷されてくる。すると、形状記憶合金
製のコイルばね２５がその変態温度以下に下が
り、第１図のように、コイルばね２５が元の収縮
状態に戻ると共に、コイルばね２４が伸長して切
換弁２３を左側に移動させ、ノズルへの直接通路
を閉鎖する。従つて、ガスは再びポート２６から
燃料加熱用パイプ３４を通つてノズル３５に供給
されるようになり、ガスの加熱が再開される。

なお、燃料加熱用パイプは必ずしもパイプでな
くてもよく、燃料ガスを流すことができる通路を
有し加熱可能な構造であればよい。

＜考案の効果＞ 以上説明したように、本考案の配管工事用ガス
バーナによれば、バルブ部の一端にガスボンベの
取付口が形成され、そのバルブ部の先端側にバー
ナ本体部が接続された配管工事用ガスバーナにお
いて、バーナ本体部にはバルブ部から供給された
燃料を通過させて加熱する燃料加熱器が火炎発生
位置に配設され、その燃料加熱器を経た燃料を噴
出するノズルをバーナ本体部に設けたから、ガス
バーナがガスボンベを倒立状態とするように反転
して使用され、ガスボンベから液化ガスがそのま
まバーナ本体部に送られても、その液化ガスが燃
料加熱器を通過する際、バーナの熱により加熱さ
れるため、その熱により液化ガスが気化し、ガス
としてノズルから噴出され、このような場合にお
いても、ノズルから液化ガスがそのまま滴下する
ようなことはなく、安定して火炎を維持すること
ができる。

また、バルブ部とバーナ本体部との間に、燃料
供給を切換る切換弁を備えた燃料供給切換部を配
置し、燃料供給切換部の切換弁には、過度の昇温
時に燃料加熱器に流れる燃料ガスをノズル側に直
接流すように切換る形状記憶合金製のコイルばね
を設けたから、燃料ガスの温度が過度に上昇した
場合、形状記憶合金製コイルばねの変態温度での
変形により、切換弁が切換り、燃料加熱器に流れ
るガスを止め、直接ノズル側に流すようにして、
ガスの過度の加熱を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示し、第１図はガスバ
ーナの断面図、第２図はそのバーナ本体部の正面
図、第３図はその燃料供給切換部の拡大断面図で
ある。 １……バルブ部、２……燃料供給切換部、３…
…バーナ本体部、２３……切換弁、２５……コイ
ルばね、３４……燃料加熱用バルブ、３５……ノ
ズル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バルブ部の一端にガスボンベの取付口が形成さ
   れ、該バルブ部の送出側にバーナ本体部が接続さ
   れた配管工事用ガスバーナにおいて、該バーナ本
   体部には前記バルブ部から供給された燃料を通過
   させて加熱するための燃料加熱器が火炎発生位置
   に配設され、該燃料加熱器を経た燃料を噴出する
   ノズルが該バーナ本体部に設けられ、該バルブ部
   とバーナ本体部との間に、燃料供給路を該燃料加
   熱器側と該ノズル側間で切換る切換弁を設けた燃
   料供給切換部が配設され、該燃料供給切換部には
   昇温時に燃料加熱器に流れる燃料の供給路をノズ
   ル側の直接通路に切換るように該切換弁を付勢す
   る形状記憶合金製のコイルばねが設けられたこと
   を特徴とする配管工事用ガスバーナ。