JPH05313099A - 回折格子型光学的ローパスフィルタ、パッケージ部材および固体撮像素子 - Google Patents

回折格子型光学的ローパスフィルタ、パッケージ部材および固体撮像素子

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JPH05313099A
JPH05313099A JP11773292A JP11773292A JPH05313099A JP H05313099 A JPH05313099 A JP H05313099A JP 11773292 A JP11773292 A JP 11773292A JP 11773292 A JP11773292 A JP 11773292A JP H05313099 A JPH05313099 A JP H05313099A
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JP
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pass filter
cyclic olefin
optical low
group
type optical
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JP11773292A
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English (en)
Inventor
Masaharu Shindo
雅春 進藤
Akira Eda
昭 江田
Junichi Yoshitake
順一 吉武
Masao Uchida
雅夫 内田
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 耐熱性、耐湿性、転写性、寸法安定性、光学
的均一性および透明性に優れた回折格子型光学的ローパ
スフィルタを得る。 【構成】 135℃デカリン中で測定した極限粘度が0.05
〜10dl/g、軟化温度が70℃以上の下式で表わされる環
状オレフィンとエチレンとの共重合体からなる非晶質ポ
リオレフィンから形成されたローパスフィルタ。 (nは0または1、mは0または整数、R1〜R18はH、
ハロゲンおよび炭化水素基から選ばれる基。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回折格子型光学的ロー
パスフィルタ、その機能を有するパッケージ部材および
それを備えた固体撮像素子に関し、さらに詳しくは耐熱
性、耐湿性、転写性、寸法安定性、光学的均一性および
透明性に優れた非晶質ポリオレフィン樹脂または樹脂組
成物からなる回折格子型光学的ローパスフィルタ、その
機能を有するパッケージ部材およびそれを備えた固体撮
像素子に関する。
【0002】
【従来の技術】CCD(Charge Coupled
Device)、MOS(Metal Oxide
Semiconductor)、CPD(Charge
Primming Device)等の固体撮像素子
を用いる固体撮像装置、あるいは単管式カラー撮像装置
は、色フィルタアレイによって色信号を得ているが、こ
の際、撮像する被写体に色フィルタのピッチ相当の周波
数成分が含まれていると、これが色信号として検出され
偽色信号を発生してしまうことが知られている。また、
単管式カラー撮像装置においても、画素が不連続に、し
かも規則正しく配置されているために、被写体に画素の
ピッチ以上の高周波成分が含まれていると、折り返しに
よる偽信号が発生してしまうことも良く知られている。
【0003】このような偽信号の発生を防止するため
に、固体撮像装置や単管式カラー撮像装置においては、
被写体の高周波成分を制限する目的で光学的ローパスフ
ィルタを使用することが行われている。ところで、従来
から光学的ローパスフィルタとして用いられている水晶
等の複屈折板は、高価で、しかも生産性に乏しいという
欠点があり、最近ではこれに代って、回折格子を用いた
プラスチック光学的ローパスフィルタが提案されている
(例えば特開平1−254912号)。
【0004】従来のプラスチック光学的ローパスフィル
タを形成するためのプラスチック材料としては、例えば
特開平4−9803号に示されているように、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ4−メチル
−1−ペンテン等が使用されている。しかし、ポリメチ
ルメタクリレートは、複屈折が小さく光学的に均一であ
り、透明性に優れているが、耐熱性、耐湿性が低いた
め、固体撮像素子をパッケージで封止する際、気密封止
用接着剤の硬化に耐え得ないという問題点がある。ポリ
カーボネートは、素材としての耐熱性は良好であるが、
複屈折が大きく、光学的均一性に乏しいため使用できな
い状況にある。またポリ4−メチル−1−ペンテンは、
耐熱性、耐湿性は良いが、結晶性のため成形収縮が大き
く精密成形が困難であり、光学的均一性に影響する形状
変化が生じるという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決するため、耐熱性、耐湿性、転写性、寸法
安定性、光学的均一性および透明性に優れた回折格子型
光学的ローパスフィルタを提供することである。本発明
の他の目的は、上記回折格子型光学的ローパスフィルタ
の特性を備えたパッケージ部材を提供することである。
本発明の別の目的は、回折格子型光学的ローパスフィル
タと固体撮像素子との相対位置精度を高めることができ
る固体撮像素子用光学的ローパスフィルタを提供するこ
とである。本発明のさらに別の目的は、上記光学的ロー
パスフィルタまたはパッケージ部材を備えた固体撮像素
子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は次の回折格子型
光学的ローパスフィルタ、パッケージ部材およびそれを
備えた固体撮像素子である。 (1)(a)135℃のデカリン中で測定した極限粘度
〔η〕が0.05〜10dl/g、軟化温度が70℃以
上である、下記一般式〔1〕で表わされる環状オレフィ
ンとエチレンとの共重合体からなる環状オレフィン系ラ
ンダム共重合体、または(b)135℃のデカリン中で
測定した極限粘度〔η〕が0.05〜10dl/gであ
る、下記一般式〔1〕で表わされる環状オレフィンの開
環重合体もしくはその水素添加物の非晶質ポリオレフィ
ン樹脂からなることを特徴とする回折格子型光学的ロー
パスフィルタ。
【化3】 (式中、nは0または1、mは0または正の整数、R1
〜R18はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子およ
び炭化水素基からなる群から選ばれる原子または基を示
す。またR15〜R18は互いに結合して単環または多環を
形成していてもよく、またR15とR16とで、またはR17
とR18とで2価の炭化水素基を形成していてもよい。R
15〜R18により形成される前記単環または多環は二重結
合を有していてもよい。) (2)一般式〔1〕で表わされる環状オレフィンがテト
ラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセ
ンである上記(1)記載の回折格子型光学的ローパスフ
ィルタ。 (3)上記(1)記載の(a)または(b)の非晶質ポ
リオレフィン樹脂に、(c)135℃のデカリン中で測
定した極限粘度〔η〕が0.01〜5dl/g、軟化温
度が70℃未満である、前記一般式〔1〕で表わされる
環状オレフィンとエチレンとの共重合体からなる環状オ
レフィン系ランダム共重合体を混合した非晶質ポリオレ
フィン樹脂組成物からなることを特徴とする回折格子型
光学的ローパスフィルタ。 (4)一般式〔1〕で表わされる環状オレフィンがテト
ラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセ
ンである上記(3)記載の回折格子型光学的ローパスフ
ィルタ。 (5)混合割合が、(a)または(b)成分100重量
部に対して(c)成分10重量部以下である上記(3)
または(4)記載の回折格子型光学的ローパスフィル
タ。 (6)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の回折
格子型光学的ローパスフィルタの周辺部に10〜500
μmの厚みのスペーサを形成したことを特徴とする固体
撮像素子用スペーサ一体型光学的ローパスフィルタ。 (7)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の回折
格子型光学的ローパスフィルタであって、固体撮像素子
パッケージを形成するリッドの一方の面に格子状の突起
を形成したものであるリッド兼用光学的ローパスフィル
タ。 (8)上記(7)記載のリッド一体型光学的ローパスフ
ィルタの周辺部に接着剤層を形成したことを特徴とする
パッケージ部材。 (9)上記(6)ないし(8)のいずれかに記載の光学
的ローパスフィルタまたはパッケージ部材を備えたこと
を特徴とする固体撮像素子。
【0007】本発明の回折格子型光学的ローパスフィル
タは、前記非晶質ポリオレフィン樹脂または樹脂組成物
からなるものである。回折格子型光学的ローパスフィル
タの一例が図1に示されている。図1はカラー撮像装置
の一例を示す構成図である。
【0008】図において、1はローパスフィルタであっ
て、片側の面に格子状に突起2を有し、撮像レンズ3
と、固体撮像素子4の間に配置されている。固体撮像素
子4は受光素子5および色フィルタアレイ6を内蔵する
パッケージ7の開口面を透光性のリッド(蓋)8が覆っ
て封止した構造となっている。
【0009】このカラー撮像装置においては、撮像レン
ズ3を通過した光がローパスフィルタ1、リッド8およ
び色フィルタアレイ6を通して受光素子5に結像し、受
光素子5から画像信号として取出される。ローパスフィ
ルタ1は、被写体の高周波成分を制限して偽信号や偽色
信号の発生を防止するために使用される。
【0010】本発明の回折格子型光学的ローパスフィル
タは、図1のローパスフィルタ1として用いられるもの
で、前記非晶質ポリオレフィン樹脂または樹脂組成物に
より形成される。ローパスフィルタ1の形状は従来のも
のと同様でよく、図1に示すように、平板の一方の面に
格子状に突起2を形成したものが一般的であるが、これ
に限定されない。
【0011】ローパスフィルタは図1に示すように独立
した部材として形成される場合は、そのまま撮像レンズ
3と固体撮像素子(または撮像管)4との間に配置して
用いられるが、固体撮像素子4のリッド8、封入部品等
の構成部品として用いる場合もある。これらの場合、赤
外線フィルタ、スペーサ等の他の部材との複合材として
用いる場合もある。図1において、色フィルタアレイ6
は、モノクロ撮像素子の場合は省略される。
【0012】本発明の回折格子型光学的ローパスフィル
タは、非晶質ポリオレフィン樹脂または樹脂成形物から
形成されるため耐熱性、耐湿性、転写性、寸法安定性、
光学的均一性および透明性に優れており、安定した光学
特性が得られる。この場合、耐熱性に優れるため、固体
撮像素子に実装する際、高熱にさらされても劣化、変形
などの障害は生じない。また耐湿性に優れるため、ロー
パスフィルタを固体撮像素子のリッドとして用いた場合
に、湿気の侵入を防止して、光学特性、電気特性を高く
維持する。
【0013】転写性は成形時の型面の転写性が高いこと
を示し、寸法安定性は経時的に形状が変化しないことを
示し、これにより光学的均一性が保証される。そして透
明性の高いことと組合されて、優れた光学特性が得られ
る。
【0014】本発明において回折格子型光学的ローパス
フィルタを形成する非晶質ポリオレフィンとしては、前
記環状オレフィン系ランダム共重合体(a)、環状オレ
フィンの開環重合体もしくはその水素添加物(以下、環
状オレフィン系開環重合体という)(b)、およびこの
ような非晶質ポリオレフィン樹脂に環状オレフィン系ラ
ンダム共重合体(c)を混合した非晶質ポリオレフィン
樹脂組成物がある。これらについて、以下詳細に説明す
る。
【0015】環状オレフィン系ランダム共重合体(a)
の一構成成分である環状オレフィンは、前記一般式
〔1〕で表わされる不飽和単量体からなる群から選ばれ
る少なくとも一種の環状オレフィンである。
【0016】環状オレフィン系ランダム共重合体(a)
および(c)中においては、前記一般式〔1〕で表わさ
れる環状オレフィンは、下記一般式〔1−a〕で表わさ
れる構造の繰り返し単位を主として形成している。
【化4】 (式中、m、nおよびR1〜R18は前記一般式〔1〕と
同じである。)
【0017】前記一般式〔1〕におけるR1〜R18はそ
れぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素
基からなる群から選ばれる原子または基である。R1
14の具体的なものとしては、例えばフッ素、塩素、臭
素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基等の低級アルキル基などを例示することが
でき、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に
異なっていてもよく、全部が同一であってもよい。
【0018】R15〜R18の具体的なものとしては、例え
ばフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エ
チル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソ
ブチル基、ヘキシル基、ステアリル基等のアルキル基;
シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、
トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル
基、ナフチル基、アントリル基等の置換または無置換の
芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他
アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基などを
例示することができ、これらはそれぞれ異なっていても
よく、全部が同一であってもよい。またR15〜R18は互
いに結合して環を形成していてもよく、またR15とR16
とで、またはR17とR18とで2価の炭化水素基を形成し
てもよい。
【0019】R15〜R18から形成される環は単環でも多
環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、
二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の
組合せからなる環であってもよい。2価の炭化水素基と
しては、例えばエチリデン基、プロピリデン基、イソプ
ロピリデン基等のアルキリデン基などをあげることがで
きる。
【0020】前記一般式〔1〕で表わされる環状オレフ
ィンはシクロペンタジエン類と、相応するオレフィン類
または環状オレフィン類とを、ディールス・アルダー反
応によって縮合させることにより、容易に製造すること
ができる。
【0021】前記一般式〔1〕で表わされる環状オレフ
ィンとしては、例えばビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−
2−エンまたはその誘導体、テトラシクロ〔4.4.
0.12,5.17,10〕−3−ドデセンまたはその誘導
体、ヘキサシクロ〔6.6.1.13,6.110,13.0
2,7.09,14〕−4−ヘプタデセンまたはその誘導体、
オクタシクロ〔8.8.0.12,9.14,7.111,18
13,16.03,8.012, 17〕−5−ドコセンまたはその
誘導体、ペンタシクロ〔6.6.1.13,6.02,7.0
9,14〕−4−ヘキサデセンまたはその誘導体、ペンタシ
クロ〔6.5.1.13,6.02,7.09,13〕−4−ペン
タデセンまたはその誘導体、ヘプタシクロ〔8.7.
0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16〕−5−
エイコセンまたはその誘導体、ヘプタシクロ〔8.8.
0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17〕−5−
ヘンエイコセンまたはその誘導体、トリシクロ〔4.
3.0.12,5〕−3−デセンまたはその誘導体、トリ
シクロ〔4.4.0.12,5〕−3−ウンデセンまたは
その誘導体、ペンタシクロ〔6.5.1.13,6
2,7.09,13〕−4,10−ペンタデカジエンまたは
その誘導体、ペンタシクロ〔4.7.0.12,5.0
8,13.19,12〕−3−ペンタデセンまたはその誘導体、
ヘプタシクロ〔7.8.0.13,6.02,7.110,17
11,16.112,15〕−4−エイコセンまたはその誘導
体、ノナシクロ〔9.10.1.14,7.03,8
2,10.012,21.113,20.014 ,19.115,18〕−5−
ペンタコセンまたはその誘導体などをあげることができ
る。
【0022】さらに前記一般式〔1〕で表わされる環状
オレフィンとして、下記一般式〔2〕で表わされる化合
物が例示できる。
【化5】 (式中、pは0または1以上の整数、qおよびrは0、
1または2、R7〜R10およびR16〜R18は前記一般式
〔1〕と同じものを示し、R19〜R27はそれぞれ独立に
水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭
化水素基およびアルコキシ基からなる群から選ばれる原
子または基を示し、R16〜R18とR19〜R 27とは、直接
または炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合して環
を形成していてもよい。)
【0023】前記一般式〔2〕におけるR19〜R27の具
体的なものとしては、例えば水素原子;フッ素、塩素、
臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシ
ル基、ステアリル基等の脂肪族炭化水素基;シクロヘキ
シル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、
エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル
基、アントリル基等の置換または無置換の芳香族炭化水
素基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;メ
トキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基
などをあげることができ、これらはそれぞれ異なってい
てもよく、部分的に異なっていてもよく、全部が同一で
あってもよい。
【0024】前記一般式〔2〕で表わされる化合物とし
ては、pが0〜3のものが好ましい。前記一般式〔1〕
で表わされる化合物の具体的なものとしては、表1に記
載したものなどをあげることができる。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
【表6】
【0031】
【表7】
【0032】
【表8】
【0033】
【表9】
【0034】
【表10】
【0035】
【表11】
【0036】
【表12】
【0037】
【表13】
【0038】
【表14】
【0039】
【表15】
【0040】
【表16】
【0041】
【表17】
【0042】環状オレフィン系ランダム共重合体(a)
は、前記環状オレフィン成分およびエチレン成分を必須
成分とするものであるが、これらの必須の二成分の他に
本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共
重合可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。任
意に共重合されていてもよい不飽和単量体としては、例
えば炭素数3〜20のα−オレフィン、炭素と炭素の二
重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体、前
記一般式〔1〕で表わされる環状オレフィン以外の環状
オレフィンなどをあげることができる。
【0043】前記炭素数3〜20のα−オレフィンとし
ては、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペン
テン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1
−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセ
ン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコ
センなどをあげることができる。
【0044】前記炭素と炭素の二重結合を1分子内に2
個以上含む炭化水素系単量体としては、具体的には1,
4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル
−1,5−ヘキサジエン、4−メチル−1,5−ヘキサ
ジエン、5−メチル−1,5‐ヘキサジエン、6−メチ
ル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オク
タジエン等の鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、
ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、
5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−
ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−
イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチ
ル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、4,9,
5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,
9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン等の環
状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノ
ルボルネン;2−エチリデン−3−イソプロピリデン−
5−ノルボルネン;2−プロペニル−2,2−ノルボル
ナジエンなどを例示することができる。これらのうちで
は、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、お
よび環状非共役ジエン、とりわけジシクロペンタジエ
ン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−
2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、
1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエンが好まし
い。
【0045】前記一般式〔1〕で表わされる環状オレフ
ィン以外の環状オレフィンとしては、具体的にはシクロ
ブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジ
メチルシクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、2
−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、2,
3,3a,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H
−インデン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,
7−メタノ−1H−インデンなどをあげることができ
る。
【0046】このような任意に共重合されてもよい不飽
和単量体は単独で、または組合せて使用することがで
き、通常環状オレフィン系ランダム共重合体(a)を1
00%とすれば50モル%未満の量で用いられる。環状
オレフィン系ランダム共重合体(a)において、エチレ
ン成分に由来する構造単位は40〜85モル%、好まし
くは50〜75モル%の範囲、環状オレフィン成分に由
来する構造単位は15〜60モル%、好ましくは25〜
50モル%の範囲が適当であり、エチレン成分に由来す
る構造単位および環状オレフィン成分に由来する構造単
位はランダムに配列した実質上線状の環状オレフィン系
ランダム共重合体を形成している。上記環状オレフィン
系ランダム共重合体(a)が実質上線状であり、ゲル状
架橋構造を有していないことは、この共重合体が135
℃のデカリン中に完全に溶解することによって確認でき
る。
【0047】環状オレフィン系ランダム共重合体(a)
の135℃のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕は
0.05〜10dl/g、好ましくは0.08〜5dl
/g、サーマル・メカニカル・アナライザーで測定した
軟化温度(TMA)は70℃以上、好ましくは90〜2
50℃、さらに好ましくは100〜200℃の範囲であ
る。なお軟化温度は、シート上に石英製針を載せ、荷重
49gをかけ、5℃/分で昇温させ、針が0.635m
m進入した温度である。
【0048】さらに環状オレフィン系ランダム共重合体
(a)としては、ヨウ素価(g−ヨウ素/100g共重
合体)が30以下、好ましくは25以下、ガラス転移温
度(Tg)が通常50〜230℃、好ましくは70〜2
10℃、X線回折法によって測定した結晶化度が0〜1
0%、好ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜5%の
範囲のものが望ましい。
【0049】上記環状オレフィン系ランダム共重合体
(a)としては、この共重合体(a)の変性物を用いる
こともできる。本発明で好ましく使用できる環状オレフ
ィン系ランダム共重合体(a)の変性物としては、不飽
和カルボン酸類などによるグラフト変性物があげられ
る。変性に用いられる不飽和カルボン酸類としては、不
飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カル
ボン酸アルキルエステルなどをあげることができる。
【0050】環状オレフィン系ランダム共重合体(a)
分子中で変性剤によって直接影響を受けて変性される被
変性基の割合は、直接は変性されない基との合計に対
し、通常10モル%以下が好ましい。本発明において
は、変性物と未変性物との混合物を使用することもで
き、この場合被変性基の割合が10モル%を超える高変
性率の変性物と未変性物との混合物で、混合物全体で見
かけ上被変性基の割合が10モル%以下のものも使用す
ることができる。
【0051】このような環状オレフィン系ランダム共重
合体(a)の変性物の135℃のデカリン中で測定した
極限粘度〔η〕および軟化温度は前記未変性物と同じ範
囲にあるものを使用し、またヨウ素価、ガラス転移温度
および結晶化度も前記未変性物と同じ範囲にあるものを
使用するのが好ましい。以下、環状オレフィン系ランダ
ム共重合体(a)という場合は、上記のような変性物も
含まれているものとする。
【0052】本発明では、上記環状オレフィン系ランダ
ム共重合体(a)を単独で使用することもできるし、こ
の共重合体(a)に、135℃のデカリン中で測定した
極限粘度〔η〕が0.01〜5dl/g、好ましくは
0.02〜3dl/gで、かつ軟化温度が70℃未満、
好ましくは−10〜+60℃、さらに好ましくは+10
〜+55℃の範囲にある環状オレフィン系ランダム共重
合体(c)を混合した非晶質ポリオレフィン樹脂組成物
(以下、樹脂組成物Aという場合がある)を使用するこ
とができる。
【0053】環状オレフィン系ランダム共重合体(c)
としては、上記物性値に加え、さらにガラス転移温度
(Tg)が通常−30〜+60℃、好ましくは−20〜
+50℃、X線回折法によって測定した結晶化度が0〜
10%、好ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜5%
の範囲にあるものを使用するのが望ましい。
【0054】環状オレフィン系ランダム共重合体(c)
としては、前記極限粘度、軟化温度等の物性値が前記環
状オレフィン系ランダム共重合体(a)と異なる以外は
環状オレフィン系ランダム共重合体(a)と同様のもの
が使用できる。例えば、エチレンおよび前記一般式
〔1〕で表わされる環状オレフィン以外の単量体が共重
合されているもの、または変性物などが使用できる。
【0055】樹脂組成物Aにおける環状オレフィン系ラ
ンダム共重合体(a)と環状オレフィン系ランダム共重
合体(c)との混合割合は、前記(a)100重量部に
対して前記(c)0.1〜10重量部、好ましくは0.
3〜7重量部、特に好ましくは0.5〜5重量部、最も
好ましくは1.2重量部が望ましい。
【0056】未変性の環状オレフィン系ランダム共重合
体(a)は、エチレン成分、前記一般式〔1〕で表わさ
れる環状オレフィン成分および必要により共重合される
他のモノマー成分を、周知のチーグラー系触媒の存在下
に重合することにより製造することができる。
【0057】上記チーグラー系触媒としては、例えば
(ア)少なくともマグネシウム、チタンおよびハロゲン
を含有する複合体と有機アルミニウム化合物とからなる
触媒、(イ)バナジウム化合物と有機アルミニウム化合
物とからなる触媒などをあげることができる。これらの
中では後者(イ)の触媒が好ましく、特に可溶性バナジ
ウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が
好ましい。
【0058】未変性の環状オレフィン系ランダム共重合
体(c)も未変性の環状オレフィン系ランダム共重合体
(a)と同様にして製造することができる。また変性物
は、環状オレフィン系ランダム共重合体(a)もしくは
(c)と不飽和カルボン酸とを反応させることにより、
または環状オレフィン系ランダム共重合体(a)もしく
は(c)と不飽和カルボン酸類の誘導体とを反応させる
ことにより製造することができる。
【0059】環状オレフィン系ランダム共重合体(a)
の具体的な製造方法は、特開昭60−168708号公
報、特開昭60−95905号公報、特開昭60−95
906号公報、特開昭61−120816号公報、特開
昭61−115912号公報、特開昭61−11591
6号公報、特開昭61−271308号公報、特開昭6
1−272216号公報、特開昭62−252406号
公報、特開昭62−252407号公報などに開示され
ている。
【0060】本発明では、上記環状オレフィン系ランダ
ム共重合体(a)の代わりに環状オレフィン系開環重合
体(b)を用いてもよい。環状オレフィン系開環重合体
(b)を構成する環状オレフィンは、前記一般式〔1〕
で表わされる不飽和単量体からなる群から選ばれる少な
くとも1種の環状オレフィンである。
【0061】環状オレフィン系開環重合体の水素添加物
の水素添加を行う前の開環重合体中においては、前記一
般式〔1〕で表わされる環状オレフィン成分は下記一般
式〔1−b〕で表わされる構造の繰り返し単位を主とし
て形成し、水素添加後の開環重合体中においては、下記
一般式〔1−c〕で表わされる構造の繰り返し単位を主
として形成している。
【化6】 (式中、m、nおよびR1〜R18は前記一般式〔1〕と
同じである。)
【0062】環状オレフィン系開環重合体(b)は、前
記環状オレフィンを必須成分とするものであるが、本発
明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合
可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。任意に
共重合されていてもよい不飽和単量体としては、例えば
下記一般式〔3〕で表わされる環状オレフィンなどをあ
げることができる。
【化7】 (式中、R28、R29は水素原子、炭化水素基またはハロ
ゲン原子であって、それぞれ同一でも異なっていてもよ
い。tは2以上の整数であって、R28、R29が複数回繰
り返される場合には、これらはそれぞれ同一でも異なっ
ていてもよい。)
【0063】前記一般式〔3〕で示されるモノマー成分
としては、例えばシクロブテン、シクロペンテン、シク
ロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロ
ノネン、シクロデセン、メチルシクロペンテン、メチル
シクロヘキセン、メチルシクロヘプテン、メチルシクロ
オクテン、メチルシクロノネン、メチルシクロデセン、
エチルシクロペンテン、エチルシクロプテン、エチルシ
クロオクテン、ジメチルシクロペンテン、ジメチルシク
ロヘキセン、ジメチルシクロヘプテン、ジメチルシクロ
オクテン、トリメチルシクロデセン、2−(2−メチル
ブチル)−1−シクロヘキセンなどがあげられる。
【0064】前記一般式〔3〕以外に任意に共重合され
てもよい不飽和単量体としては、具体的には2,3,3
a,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−イン
デン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メ
タノ−1H−インデン等の環状オレフィンをあげること
ができる。このような任意に共重合されてもよい不飽和
単量体は単独で、または組合せて使用することができ、
通常環状オレフィン系開環重合体(b)を100%とす
れば50モル%未満の量で用いられる。
【0065】環状オレフィン系開環重合体(b)の13
5℃のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕は0.05
〜10dl/g、好ましくは0.08〜5dl/gであ
る。さらに、環状オレフィン系開環重合体(b)として
は、軟化温度(TMA)が70℃以上、好ましくは90
〜200℃、ヨウ素価が0〜200、好ましくは0〜6
0、X線回折法によって測定した結晶化度が0〜10
%、好ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜5%のも
のが好ましい。
【0066】上記環状オレフィン系開環重合体(b)と
しては、前記環状オレフィン系ランダム共重合体(a)
の変性物と同様の変性物を、同様にして使用することが
できる。以下、環状オレフィン系開環重合体(b)とい
う場合、このような変性物も含まれているものとする。
【0067】本発明では、上記環状オレフィン系開環重
合体(b)を単独で使用することもできるし、この重合
体(b)に前記環状オレフィン系ランダム共重合体
(c)を混合した非晶質ポリオレフィン樹脂組成物(以
下、樹脂組成物Bという場合がある)を使用することが
できる。両者の混合割合は樹脂組成物Aの場合と同様で
ある。
【0068】前記一般式〔1〕で表わされる環状オレフ
ィン成分の開環重合体を製造するには、前記一般式
〔1〕から選ばれるモノマー成分を原料とし、通常の環
状オレフィンの開環重合法により開環重合させることが
できる。この場合、重合触媒としては、例えば、ルテニ
ウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウ
ム、白金、モリブデン、タングステン等のハロゲン化
物、硝酸塩もしくはアセチルアセトン化合物と有機スズ
化合物、アルコール等の還元剤からなる系、またはチタ
ン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブ
デン等のハロゲン化物もしくはアセチルアセトン化合物
と有機アルミニウム等とからなる系などを用いることが
できる。生成する開環重合体の分子量は、開環重合時に
オレフィンなどを添加して調節することができる。
【0069】上記により得られる開環重合体を水素添加
する場合、通常の水素添加方法を用いることができる。
水素添加触媒としては、オレフィン化合物の水素添加に
際して使用されているものが一般に使用可能である。具
体的には不均一系触媒としてはニッケル、パラジウム、
白金等、またはこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイ
ソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固
体触媒などがあり、例えばニッケル/シリカ、ニッケル
/ケイソウ土、パラジウム/カーボン、パラジウム/シ
リカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ
などがあげられる。また均一触媒としては、周期律表第
VIII族の金属を基体とするものがあり、例えばナフテン
酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバ
ルト/n−ブチルリチウム、ニッケルアセチルアセトネ
ート/トリエチルアルミニウムなどのNi、Co化合物
と周期律表第I〜III族金属の有機金属化合物からなる
もの、あるいはRh化合物などがあげられる。
【0070】前記開環重合体の水素添加は、触媒の種類
に応じて均一系または不均一系において、1〜150気
圧の水素圧下に、0〜180℃、好ましくは20〜10
0℃の温度範囲で行われる。水素添加率は、水素圧、反
応温度、反応時間、触媒濃度などにより調節できる。環
状オレフィン系開環重合体(b)の変性物は、環状オレ
フィン系ランダム共重合体(a)の変性物の製造方法と
同様にして製造することができる。
【0071】本発明では、前記環状オレフィン系ランダ
ム共重合体(a)、環状オレフィン系開環重合体(b)
または樹脂組成物(以下、これらを必須成分という)
に、本発明の目的を損わない範囲で、その他の成分とし
て衝撃強度を向上させるためのゴム成分を配合したり、
耐熱安定剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、滑
剤、特定波長の光だけを吸収する染料、顔料、天然油、
合成油、ワックスまたは可透光性の充填剤などを配合す
ることができる。
【0072】例えば、任意成分として配合される安定剤
として具体的には、テトラキス〔メチレン−3(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、
2,2'−オキサミドビス〔エチル−3(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)〕プロピオネー
ト等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ス
テアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸
カルシウム等の脂肪酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;
多価アルコールの脂肪酸エステルなどをあげることがで
きる。
【0073】これらは単独で配合してもよく、例えばテ
トラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンとス
テアリン酸亜鉛およびグリセリンモノステアレートとの
組合せなどを例示することができる。本発明では特に、
フェノール系酸化防止剤と多価アルコールの脂肪酸エス
テルとを組合せて用いることが好ましく、このような多
価アルコールの脂肪酸エステルとしては3価以上の多価
アルコールのアルコール性水酸基の一部がエステル化さ
れた多価アルコール脂肪酸エステルがあげられる。
【0074】このような多価アルコールの脂肪酸エステ
ルとしては、具体的にはグリセリンモノステアレート、
グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステー
ト、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジステア
レート、グリセリンジラウレート等のグリセリン脂肪酸
エステル;ペンタエリスリトールモノステアレート(p
entaerythritol mono stear
ate)、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペン
タエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトー
ルトリステアレート等のペンタエリスリトールの脂肪酸
エステルなどがあげられる。これらは単独で用いてもよ
く、相互間で組合せて用いてもよい。
【0075】フェノール系酸化防止剤は、必須成分の合
計100重量部に対して10重量部未満、好ましくは5
重量部未満、さらに好ましくは2重量部未満の割合で用
いるのが望ましい。また多価アルコールの脂肪酸エステ
ルは、必須成分の合計100重量部に対して10重量部
未満、好ましくは5重量部未満の割合で用いるのが望ま
しい。
【0076】本発明の回折格子型光学的ローパスフィル
タは、前記の非晶質ポリオレフィン樹脂または樹脂組成
物を成形して得られる。成形方法は特に制限されず、射
出成形、プレス成形等の公知の方法を採用することがで
きる。
【0077】本発明の回折格子型光学的ローパスフィル
タには、必要に応じてハードコーティング、IRカット
コーティング、反射防止コーティング等が施されてもよ
い。ハードコーティング、反射防止コーティングの方法
としては、乾燥、硬化後に耐擦傷性あるいは反射防止性
を有する被膜が得られる溶液を塗布し、乾燥、硬化する
方法、または真空蒸着、スパッター法による被膜形成法
などが採用できる。
【0078】溶液の塗布方法は、スピンコート、浸漬法
などが例示されるが、他の方法でも本発明の目的を損な
わない限り、本発明を制限するものではない。また、塗
布溶液としては、アルコキシシラン、フッ素系樹脂、金
属酸化物、金属フッ化物溶液など、目的に合った性能を
有する溶液が使用できる。また、これらを複数の層に形
成しても差し支えない。
【0079】真空蒸着、スパッター法では、金属膜、金
属酸化物膜、金属窒素化物膜等を、単独または複数の層
に形成することができる。また、溶液系の被膜形成法と
複合してもよい。
【0080】固体撮像素子を形成するケーシングの開口
部に、本発明のリッド兼用光学的ローパスフィルタを接
合するには、ケーシングとリッド兼用光学的ローパスフ
ィルタを気密封止状に接着する接着剤が使用でき、例え
ば紫外線硬化型接着剤、ホットメルト型接着剤、シアノ
アクリレート系瞬間接着剤などが使用できるが、特にエ
ポキシ系の接着剤が好ましい。
【0081】接着剤層はケーシングの開口部に形成して
もよいが、本発明のパッケージ部材は、上記のようなリ
ッド兼用光学的ローパスフィルタに、ケーシングに接合
するための接着剤層を予め形成したものであり、ケーシ
ングと接合して気密封止型の固体撮像素子を形成する接
合部材である。接着剤層はケーシングとの接合面に形成
される。接合部材に形成する接着剤層としては、前記リ
ッド兼用光学的ローパスフィルタの接合に使用する接着
剤が使用できる。
【0082】
【実施例】以下、本発明を図面の実施例について説明す
る。図2は実施例の回折格子型光学的ローパスフィルタ
をリッドとして用いた固体撮像素子を示す断面図、図3
はそのパッケージ部材の断面図である。図2において、
固体撮像素子4は、中空箱型のケーシング11内に形成
されたダイパッド12に、受光素子5が接着剤13によ
り固着され、ボンディングワイヤ14によりリード15
に接続されている。ケーシング11の開口部は回折格子
型光学的ローパスフィルタ1がリッド(蓋)として接着
剤層16により接着(封着)され、封止空間17を有す
る気密封止パッケージ7が形成されている。ローパスフ
ィルタ1の受光素子5側の面に、格子状の突起2が形成
されている。
【0083】図3において、パッケージ部材20はリッ
ドとなるローパスフィルタ1の裏面の周辺部のケーシン
グ11との接合面の全域にわたって接着剤層16が形成
されている。ローパスフィルタ1およびこれに接着剤層
16を形成したパッケージ部材20は気密封止用のパッ
ケージ材料として利用される。
【0084】図2の固体撮像素子4において、接着剤層
16による接着は、固体撮像素子4のパッケージングに
際して、ケーシング11またはローパスフィルタ1に接
着剤を塗布して硬化させることにより行うことができ
る。また図3に示すように、予めローパスフィルタ1に
接着剤を塗布して乾燥し、接着剤層16を形成してパッ
ケージ部材20としておき、このパッケージ部材20を
ケーシング11に取付けて、加熱、加圧により接着剤層
16を硬化させて接着を行うこともできる。なお接着剤
としてエポキシ樹脂を使用した場合は、パッケージ部材
20の接着剤層16をB−ステージ状態としておき、ケ
ーシング11へ取付後の加熱、加圧により、接着剤層1
6を完全に硬化させるのが好ましい。
【0085】このようにして製造された固体撮像素子4
は、リッド兼用のローパスフィルタ1が耐熱性に優れて
いるため、実装が容易であり、実装に際して高熱がかか
っても光学特性は影響を受けない。また耐湿性に優れる
ため、封止後に湿気の侵入によって曇ったり、断線する
おそれはない。さらに光学的均一性および透明性に優れ
ているので、その光学的特性は高く維持される。
【0086】図4は他の実施例のスペーサ一体型光学的
ローパスフィルタを封入した固体撮像素子を示す断面図
である。図4において、21はスペーサ一体型光学的ロ
ーパスフィルタであって、回折格子型光学的ローパスフ
ィルタ1の周辺部にスペーサ22が形成され、ローパス
フィルタ1とスペーサ22とが一体化した構造となって
おり、スペーサ22が受光素子5に当接して所定の間隔
を保つように固体撮像素子4内に配置されている。固体
撮像素子4はケーシング11の開口部をリッド8で封止
した構造になっている。このような固体撮像素子におい
ては、固体撮像素子4との相対位置精度をスペーサ22
の厚みを変化させることにより高精度に制御することが
できる。
【0087】上記の各実施例は色フィルタアレイ6が介
在しないものを図示したが、カラー受像素子として用い
るときは、図1の場合と同様に、色フィルタアレイ6を
受光素子5に積層する。図4の場合は、スペーサ22は
色フィルタアレイ6に当接するように配置される。
【0088】実施例1 エチレンとテトラシクロ〔4.4.0.12,5
7,10〕−3−ドデセン(前記一般式〔1〕においてn
=0、m=1、R7〜R18がすべて水素原子、以下TC
D−3と略す)とのランダム共重合体を合成した。こ
の共重合体の13C−NMR分析で測定したエチレン成
分の含有率は59モル%、135℃のデカリン中で測定
した極限粘度〔η〕は0.42dl/g、ガラス転移温
度は136℃、軟化温度は154℃であった。 上記共重合体(環状オレフィン系ランダム共重合体
(a)に相当する)を、射出成形によって一方の面に回
折格子を形成する突起2を有する13.5mm×14.
8mm×0.75mmのローパスフィルタ1を成形し
た。射出成形は、住友重機械工業(株)製 SG75を
使用し、溶融樹脂温度280℃、射出圧力50kg/c
2とした。金型温度は130℃とした。上記リッド兼
用ローパスフィルタ1にエポキシ系接着剤を外周部に塗
布し、110℃で2時間加熱乾燥し、半硬化状態にし
た。このようにして得たパッケージ部材20をケーシン
グ11に接着して図2の気密封止パッケージ7を得た。
接着は、120℃、5時間の硬化を2点固定のクリップ
を用いて行った。また接着圧力は4kg/cm2とし
た。
【0089】実施例2 実施例1において、共重合体の代わりに、共重合体
と下記共重合体(環状オレフィン系ランダム共重合体
(c)に相当)との混合物を用いた以外は実施例1と同
様に行った。 共重合体: エチレンとTCD−3とのランダム共重合体 エチレン成分の含有率;85モル% 135℃のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕;0.
44dl/g 軟化温度;39℃ なお、両者の混合率は共重合体100重量部に対して
共重合体1.2重量部とした。
【0090】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、固体撮
像素子を構成する素材として特定の非晶質ポリオレフィ
ン樹脂または樹脂組成物を使用するようにしたので、耐
熱性、耐湿性、転写性、寸法安定性に優れ、しかも光学
的均一性、透明性に優れた回折格子型光学的ローパスフ
ィルタ、パッケージ部材およびそれを備えた固体撮像素
子が得られる。
【0091】また本発明の回折格子型光学的ローパスフ
ィルタは、射出成形、プレス成形により成形することが
できるので、高精度で、かつ高い生産性で製造すること
ができる。さらに本発明の回折格子型光学的ローパスフ
ィルタは軽量であるため、固体撮像装置の軽量化を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラー撮像装置の例を示す構成図。
【図2】実施例の固体撮像素子を示す断面図。
【図3】実施例のパッケージ部材を示す断面図。
【図4】他の実施例の固体撮像素子を示す断面図。
【符号の説明】
1 ローパスフィルタ 2 突起 3 撮像レンズ 4 固体撮像素子 5 受光素子 6 色フィルタアレイ 7 パッケージ 8 リッド 11 ケーシング 12 ダイパッド 13 接着剤 14 ボンディングワイヤ 15 リード 16 接着剤層 17 封止空間 20 パッケージ部材 21 スペーサ一体型光学的ローパスフィルタ 22 スペーサ
フロントページの続き (72)発明者 内田 雅夫 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)135℃のデカリン中で測定した
    極限粘度〔η〕が0.05〜10dl/g、軟化温度が
    70℃以上である、下記一般式〔1〕で表わされる環状
    オレフィンとエチレンとの共重合体からなる環状オレフ
    ィン系ランダム共重合体、または (b)135℃のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕
    が0.05〜10dl/gである、下記一般式〔1〕で
    表わされる環状オレフィンの開環重合体もしくはその水
    素添加物の非晶質ポリオレフィン樹脂からなることを特
    徴とする回折格子型光学的ローパスフィルタ。 【化1】 (式中、nは0または1、mは0または正の整数、R1
    〜R18はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子およ
    び炭化水素基からなる群から選ばれる原子または基を示
    す。またR15〜R18は互いに結合して単環または多環を
    形成していてもよく、またR15とR16とで、またはR17
    とR18とで2価の炭化水素基を形成していてもよい。R
    15〜R18により形成される前記単環または多環は二重結
    合を有していてもよい。)
  2. 【請求項2】 一般式〔1〕で表わされる環状オレフィ
    ンがテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3
    −ドデセンである請求項1記載の回折格子型光学的ロー
    パスフィルタ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の(a)または(b)の非
    晶質ポリオレフィン樹脂に、 (c)135℃のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕
    が0.01〜5dl/g、軟化温度が70℃未満であ
    る、下記一般式〔1〕で表わされる環状オレフィンとエ
    チレンとの共重合体からなる環状オレフィン系ランダム
    共重合体を混合した非晶質ポリオレフィン樹脂組成物か
    らなることを特徴とする回折格子型光学的ローパスフィ
    ルタ。 【化2】 (式中、nは0または1、mは0または正の整数、R1
    〜R18はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子およ
    び炭化水素基からなる群から選ばれる原子または基を示
    す。またR15〜R18は互いに結合して単環または多環を
    形成していてもよく、またR15とR16とで、またはR17
    とR18とで2価の炭化水素基を形成していてもよい。R
    15〜R18により形成される前記単環または多環は二重結
    合を有していてもよい。)
  4. 【請求項4】 一般式〔1〕で表わされる環状オレフィ
    ンがテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3
    −ドデセンである請求項3記載の回折格子型光学的ロー
    パスフィルタ。
  5. 【請求項5】 混合割合が、(a)または(b)成分1
    00重量部に対して(c)成分10重量部以下である請
    求項3または4記載の回折格子型光学的ローパスフィル
    タ。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の回
    折格子型光学的ローパスフィルタの周辺部に10〜50
    0μmの厚みのスペーサを形成したことを特徴とする固
    体撮像素子用スペーサ一体型光学的ローパスフィルタ。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれかに記載の回
    折格子型光学的ローパスフィルタであって、固体撮像素
    子パッケージを形成するリッドの一方の面に格子状の突
    起を形成したものであるリッド兼用光学的ローパスフィ
    ルタ。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のリッド一体型光学的ロー
    パスフィルタの周辺部に接着剤層を形成したことを特徴
    とするパッケージ部材。
  9. 【請求項9】 請求項6ないし8のいずれかに記載の光
    学的ローパスフィルタまたはパッケージ部材を備えたこ
    とを特徴とする固体撮像素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1998020560A1 (fr) * 1996-11-05 1998-05-14 Kureha Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Materiau plastique pour fermer un boitier d'element de prise de vue a semi-conducteur, et procede de fabrication associe
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