JPH05311273A - 真空バルブ用接点合金の製造方法 - Google Patents

真空バルブ用接点合金の製造方法

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JPH05311273A
JPH05311273A JP4121867A JP12186792A JPH05311273A JP H05311273 A JPH05311273 A JP H05311273A JP 4121867 A JP4121867 A JP 4121867A JP 12186792 A JP12186792 A JP 12186792A JP H05311273 A JPH05311273 A JP H05311273A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 再点弧発生頻度を低減し、さらに遮断性能も
改善した真空バルブを得ることができる真空バルブ用接
点合金の製造方法を提供する。 【構成】 原料Cr粉、Cr成形体、CrとCuの混合
粉、CrとCuの成形体の表面の一部又は全部に、略8
00℃で2×10-7Torrよりも高い蒸気圧を有し、
厚さが0.05〜5μmの高蒸気圧材料を保護層として
形成し、この後、この高蒸気圧材料の量が0.25重量
%以下になるように蒸発量制御した方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、真空バルブ用接点合金
の製造方法に係り、特に再点弧発生頻度の軽減化および
遮断性能を改善できる真空バルブ用接点合金の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】真空バルブ用接点に要求される特性は、
耐溶着、耐電圧、高遮断性である。しかし、これら3要
件に対しては相反する物理的性質が要求されるので理想
的に両立させることは困難であり、適用する回路の優先
要件を第1にして、他の要件は若干犠牲にして対応する
のが現状である。
【0003】例えば従来、高耐圧、大容量真空遮断器に
おいては、溶着防止成分(Bi、Te、Pbなど)を5
重量%(以下、wt%と記す)以下含有するCu合金を
電極接点として具備したものが知られている(特公昭4
1−12131号公報)。
【0004】ところが、近年高電圧要求に対しては、耐
電圧の面で十分ではない。即ち、真空遮断器は小型軽
量、メンテナンスフリー環境調和など、他の遮断器に比
べ優れた特徴を有するために、年々、その適用範囲も拡
大され、従来一般的に使用されていた36KV以下の回
路から更に高電圧の回路への適用が行われると共に、特
殊回路例えばコンデンサ回路を開閉する需要も急増して
いるので、一層の耐高電圧化が必要となっている。その
達成を阻害している重要な要因の1つとして再点弧現
象、再発弧現象が挙げられる。
【0005】再点弧現象は、製品の信頼性向上の観点か
ら重要視されているにもかかわらず、未だ防止技術は勿
論のこと直接的な発生原因についても明らかになってい
ない。
【0006】上記高耐圧化に伴って、接点材料に対して
も、更に高耐圧でかつ再点弧現象の発生頻度の低い特性
を持つことが要求されている。接点材料の高耐圧化、無
再点弧化を図るには、耐圧的に欠陥となる脆弱な溶着防
止成分の量そのものを極力少なくしたり、過度に集中す
るのを避けることが、ガス不純物やピンホール等を極力
少なくすること、接点合金自体の強度を大きくすること
等々が望ましい。これらの観点からいえば、前述のCu
−Bi合金は満足できるものではない。
【0007】また従来使用されている他の接点材料であ
るCu−W接点またはCu−WC接点は耐電圧的にはか
なり優れているもののこの焼結系接点合金は、製造方法
的にいって気泡が残存し易く、また熱電子放出も盛んな
ため再点弧現象が発生し易いという欠点がある。
【0008】一方、高耐圧かつ大電流遮断を要求する分
野では、Cu−Cr合金の適用が行われている。Cu−
Cr合金は、他の接点材料ほどには、構成元素間の蒸気
圧差が少ないため均一な性能発揮を期待し得る利点があ
り、使い方によっては、その特徴は十分利用することの
出来る接点合金である。
【0009】このCu−Cr系接点合金は、概ね、次の
ように製造されている。例えば、特公昭59−3076
1号公報によれば、Cr粉末と少量のCu粉末を混合
し、この混合粉をダイ型に充填して小圧力をかけてプレ
ス成形し、この成形体をダイ型から取出したのち、これ
を真空焼結して、Crスケルトンを形成し最後にCuを
溶浸するという方法である。
【0010】また、最近では、型の中にCr粉末を注加
し、その上にCuペレットを載置し、全体を脱ガスした
のち減圧下で溶浸処理を行うという方法も開示されてい
る(特開昭59−25903号公報参照)。
【0011】更に、初めから最終目標値のCuとCrと
を混合し、これにより得た成形体をCuの溶融点又はそ
れ以下で固相焼結することによってCu−Cr合金を得
る方法も行われている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の合金は、上記のように一般に粉末治金手法によって製
作され、再点弧発生に関与するその原料粉末管理、焼結
技術、及び溶浸技術が十分に確立されていないために、
再点弧発生頻度の点及び遮断性能の点で未だ充分満足の
いくものではない。
【0013】そこで、この発明は、再点弧発生頻度を著
しく低減させかつ遮断性能を改善させることのできる真
空バルブ用接点合金の製造方法を提供することを目的と
する。
【0014】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者は、
真空バルブ用接点合金の再点弧発生頻度の軽減化及び遮
断特性の安定化のために、この製造方法の原料Crの選
択、焼結条件、溶浸条件等を検討し研究した結果、この
発明を完成するに至った。
【0015】本発明の真空バルブ用接点合金の製造方法
は、耐弧材料となる原料Cr粉、Cr成形体、Crと導
電材料となるCuとの混合粉、CrとCuとの成形体の
表面の一部又は全面に、略800℃で2×10-7Tor
rよりも高い蒸気圧を有する高蒸気圧材料を保護層とし
て厚さ0.05〜5μmだけ付着又は皮覆又は合金化さ
せた第1の工程と、前記高蒸気圧材料により加熱中の汚
染雰囲気から保護しながら、前記第1の工程により得ら
れる保護層付材料からCr焼結体、Cr−Cu焼結体を
得る第2の工程と、前記第2の工程の期間の一部又は総
てにおいてCr又は、Cr−Cuの焼結の進行と共に、
残存する高蒸気圧材料が0.25wt%以下になるよう
に、焼結の温度、時間、昇温降温の速度、雰囲気を蒸発
量制御しながらCrスケルトン、Cr−Cuスケルト
ン、Cr−Cu合金を得る第3の工程を備えたことによ
り、再点弧発生頻度の軽減化および遮断性能が改善され
る。次に、本発明の真空バルブ用接点合金の製造方法で
使用する原料Crの一例につき述べる。
【0016】現在、工業的に供給されている金属Crの
精練法は、FeCr2 4 、MgCr2 4 などのCr
鉱石をAl或いはSiなどの他の金属で還元し金属Cr
を得る方法(還元法)、及び前記Cr鉱石を溶解し未溶
解の非金属不純物の分離を行い、これを電解液として電
気分散し金属Crを得る方法(電解法)の両方法が主体
である。
【0017】しかし前者の還元法によって得られたCr
は、ガス量(酸素、窒素)が1000ppm程度、A
l、Si、Feなど不純物を数1000ppm〜100
00ppm程度含有している。一方、後者の電解法によ
るCrは、逆にガス量(酸素、窒素)が1000ppm
〜10000ppmと著しく多く、Alなどの不純物が
比較的少なく、例えば100ppm程度以下含有するの
が一般である。
【0018】本発明においては、前記還元法若しくは電
解法で得たCrを粉砕して得たCr粉に必要によりカー
ボン粉を添加したCr−C混合粉体を、例えば真空、水
素など非酸化性雰囲気で、特に800℃以上かつ140
0℃以下の温度で少なくとも1回、加熱処理を行なう。
これによって脱ガスCr粉を得ることができる。
【0019】800℃未満の温度では、Cr−C混合
体、成形体の脱ガス効率が劣り再点弧の軽減化に対して
効果が小さい。1400℃又はそれ以上では、その効果
が大であり、特に脱ガス効率に対しては有効であるが、
蒸発も激しくなるため材料の損失が大きくなると共に炉
の汚染も大となり得策でない。このように加熱処理を粉
末化工程の前に行うことで、Cr粉末になってから行う
より有利に再点弧の軽減化が得られる。真空バルブの一
層の高性能化のためには、前記金属Cr集合体に加工す
る前段階で行うのみでなく、必要により更にその後の段
階でも加熱処理を重畳させることは有効である。
【0020】脱ガスCr粉の調整に関しては、加熱処理
して得た脱ガスCr塊を粉砕して得た脱ガスCr粉を汚
さず、かつ所定の粒径を持つ脱ガスCr粉とする。脱ガ
スCr粉の粒径は、真空バルブとしての接点特性及び焼
結など接点製造技術上から制限を受ける。脱ガスCr粉
の平均粒径は、5〜250μmが好ましい。脱ガスCr
粉の平均粒径が5μm未満では、焼結又は/及ば溶浸後
のスケルトン又は/及び接点素材中に好ましくない気孔
が生じ易くなり、また、それに応じたガスも多く残存す
る傾向にあり、真空バルブとしての接点特性(例えば、
再点弧特性)に対して好ましくない状態となる。
【0021】また、250μmを超える脱ガスCr粉の
粒径では、耐溶着性、耐電圧特性、遮断特性の何れに対
しても著しいばらつきが見られる。接点素材にも偏析が
見られるようになり、真空バルブの信頼性の観点から好
ましくない。
【0022】一方、脱ガスCr粉中の酸素、窒素ガス
は、それぞれ200ppm以下に抑制した状態が望まし
い。これらのガスは、Cr中に含有されるガスと吸着し
ているガスとの総量で構成される。前者の含有している
ガスは、原料Crの加熱処理工程で極少化された状態と
なっているので、特に後者の工程での吸着ガスを少なく
することが肝要である。即ち、汚さずに粉砕することが
重要なポイントであり、での粉砕中の条件は、粉砕エネ
ルギーによってCr粉が過度に、発熱し酸化が進むこと
のないことが重要である。従って、大きな摩擦熱の発生
するような激しい粉砕は避けるべきである。また非酸化
性雰囲気中の粉砕も有効である。特にCr粒径が100
μm又はそれ以下になる場合は、このような点に十分配
慮する必要がある。
【0023】前記ガス量が200ppm以上の場合、こ
れにCr粉を使用してCu−Cr合金としても、同合金
中のガス量を好ましい低い水準(例えば200ppm以
下、望ましくは100ppm以下)に維持することは難
しい。即ち真空バルブ用接点を焼結又は/及び溶浸する
ときに選定する熱処理温度では、Crの精製を進行させ
るには、やや不足である。Cu−Cr合金中のガス量
(この場合、酸素)が200ppm以上のときには、再
点弧現象の発生が多発する場合がある。
【0024】成形に関しては、Cr−C混合粉体Cu−
Cr混合体などを8トン/cm2 以下の外部圧力もしく
は該Cr粉の自重の圧力で成形体を形成する。成形体を
得るときの成形圧力は、特に溶浸法による製造(第2の
発明の場合)においては、Cu−Cr合金中のCr量を
決定する要因であり重要である。そこで、ここでは溶浸
法による場合のプロセスを示す。
【0025】Cu(又は/及びAg)−Cr合金中の脱
ガスCr粉の量は、20〜80wt%の範囲内で選択さ
れ得る。このための成形圧力は、8トン/cm2 以下、
好ましくは7.5トン/cm2 以下、より好ましくは7
トン/cm2 以下である。これは8トン/cm2 を超え
る圧力では溶浸後のCr量が80wt%を超えるため、
本発明における主旨を離脱するため除外する。80wt
%近傍の高Cr量を確保するには、スケルトンとして純
Crを使うことによって対処可能であるが20%近傍の
低Cr量の合金を確保するには、スケルトンとして純C
rの選択は不可能であり、 においてCr−C混合粉
体を得るときに、このCr、Cと共にCrに対してCu
を適量配合したCr+C+Cu混合粉を採用することで
達成される。この際の成形圧力は、混合するCr粉の量
によって8トン/cm2 以下の圧力が自由に選択され得
る。また、成形圧力が8トン/cm2 を超えると、加熱
時に成形体中に亀裂が生ずる場合があるため好ましくな
い。
【0026】焼結に関しては、固相焼結法による製造に
おいては、脱ガスCr粉と導電成分であるCu及び/又
はAgと最終成分に混合してあるので単純なプロセスで
ある。そこで、ここでも溶浸法の場合のプロセスを示
す。
【0027】前述のようにして得られた成形体を、焼結
用容器と共に加熱炉内に設置して焼結する。焼結雰囲気
は、非酸化性雰囲気であることが必要で、例えば真空又
は水素中である。これらの雰囲気のうち、充填したCr
粉末、プレスした成形体や容器などに吸蔵されている酸
素、窒素を除去するという点では、真空(1×10-5
orr以上)雰囲気が好適である。
【0028】適用する焼結温度、焼成時間は、焼結体で
あるスケルトンの密度、逆に言えばスケルトンの空隙率
に影響を与える。例えばCrスケルトンとその空隙内に
溶浸されるCu量との関係を、重量比で50:50に近
接させるためには、空隙率を40〜50%とするのがよ
く、そのためには、焼結温度800〜1050℃、好ま
しくは900〜950℃、焼結時間0.25〜2時間、
好ましくは0.1〜1時間の範囲が好ましい。上記条件
は、CrとCuとの比に応じて適宜選択される。
【0029】得られたスケルトンの上面又は/及び下面
に、溶浸材であるCu及び/又はAgを載置し全体を例
えば真空中(1×10-4〜1×10-6Torr)で加熱
してCu及び/又はAgをスケルトン空隙中に溶浸させ
る。
【0030】溶浸時の温度は、Cu及び/又はAgの溶
融点以上の温度である。Cuの場合1100〜1300
℃、Agの場合1000〜1100℃の範囲であること
が好適である。また溶浸時間は、スケルトン中の空隙
に、これら融液が完全に含浸されるに充分な時間を設定
する。
【0031】なお、上記溶浸工程においてはスケルトン
の表面の少なくとも一部に溶浸金属の層を温時に形成す
ることによって、得られる接点合金の銀ロウ接合性(導
電棒のロウ付けする際の)を優れたものとすることがで
きる。合金の組成比について述べると、最終的に得られ
る接点合金の各成分は、下記の範囲が好ましい(但し、
微量の溶着防止成分は略している)。 Cu及び/又はAg:80〜20重量% Cr :20〜80重量%
【0032】合金中のCr量が80%より大のときには
ジュール溶着の多発があり、再点弧に関係の深い表面荒
れに対しては好ましくないのみならず、電圧7.2KV
において40KAの遮断が困難になる。逆にCr量が2
0%未満のときには、例えば40KVを遮断したとき耐
アーク性が維持できず大きいアーク消耗を示し好ましく
ない。
【0033】また、上記組成範囲において、高導電性成
分であるCu及び/又はAg相中に固溶するCrの量は
0.01〜0.35wt%であることが、導電率特性を
安定化させる上で好ましい。
【0034】次いで、処理雰囲気について述べると、上
記各工程における処理は、非酸化性雰囲気中で行うこと
が好ましく、具体的には、アルゴンガス等の不活性ガ
ス、H2 ガス、N2 ガス中、もしくは真空中で行われ
る。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的実施態様に基
づいて説明する。まず、図1及び図2を用いて、この発
明の方法によって得られた合金に適用できる真空バルブ
(真空遮断器)の構成を説明する。
【0036】図1において、1は遮断室であり、この遮
断室1は絶縁材料によりほぼ円筒状に形成された絶縁容
器2と、この両端に封止金具3a、3bを介して設けた
金属性の蓋体4a、4bとで真空気密に構成されてい
る。遮断室1内には、導電棒5、6の対向する端部に取
付けられた1対の電極7、8が配設され、上部の電極7
を固定電極、下部の電極8を可動電極としている。ま
た、この可動電極8の電極棒6には、ベローズ9が取付
けられ遮断室1内を真空気密に保持しながら可動電極8
の軸方向の移動を可能にしている。このベローズ9上部
には金属性のアークシールド10が設けられ、ベローズ
9がアーク蒸気で覆われることを防止している。また、
11は、前記電極7、8を覆うようにして遮断室1内に
設けられた金属性のアークシールドであり、絶縁容器2
がアーク蒸気で覆われることを防止している。さらに、
電極8は、図2に拡大して示すように、導電棒6にロウ
付部12によって固定されるか、又は、かしめによって
圧着接続されている。接点13aは、電極8にロウ付け
14で固着されている。なお、図1における13bは固
定側接点である。本実施例で製造された接点合金は、上
記したような接点13a、13bの双方又は何れか一方
を構成するのに適したものである。次に、本発明の作用
を上記各工程に則して説明する。
【0037】Cr粉の不純物管理に関し、本発明者ら
は、接点材料を加熱する過程で放出されるガスの総量な
らびに放出の形態について詳細な観察を行ったところ、
これら要因と再点弧現象の発生には重要な相関があり、
特に接点材料を構成する原材料の個々について、これら
ガスの放出、なかでも融点近傍で突発的に発生するガス
の放出を制御することにより、再点弧現象を効果的に抑
制できることを見出した。即ち、接点材料を加熱してい
くと、吸着ガスの殆んどは溶融点以下で脱ガスされ、溶
融点近傍で固溶したガスが放出されるが、さらに溶融点
以上で加熱放置すると、極めて短時間(例えば数ミリ秒
程度)ではあるがパルス的な突発性ガスの放出(数回な
いし数百回突発する)が観察される。
【0038】これら突発性ガスにはC2 2 、CH4
が若干含まれるが、主体はCO、CO2 、O2 等の酸素
系であることから、これら突発性ガスは接点材料に含ま
れる酸化物の分解により放出されるものと考えられる。
【0039】本発明者らの研究によれば、再点弧現象の
多く発生する接点材料には、突発性ガスの放出も多い。
従って上述の知見よりすれば、接点材料をその融点以上
の温度で保持して、この突発性ガスを予め放出させてお
くことにより、再点弧現象の発生を軽減し得ることが考
えられる。
【0040】しかしながら、真空遮断器用接点材料はC
uを相当量含有し、これらの酸化物を分解して除くため
には、たとえば10-3〜10-4Torrの真空度におい
て約1200℃以上の温度が必要となるので、蒸気圧の
高いCu及びAgなどの高導電性材料やBi、Teなど
の溶着防止材料を含む接点材料について上記の様な熱処
理を与えることは成分の変動を招き接点特性の管理の面
で不都合を生ずることがある。
【0041】例えば、Cuを加熱して行くと、400〜
550℃近傍で極めて激しく複数種のガスを放出する。
このような放出ガスの一部は、昇温過程にあるCr等と
結合し、比較的安定な化合物を作り溶解作業中に一部は
分解するが、他の一部はなお残存し突発性ガスの一因と
なる。
【0042】このような突発性ガスの放出は、例えば純
度99.9999%のCuを原料として使用しても、酸
化あるいはガス吸着が進行する状態で放置しておく場合
にはなお認められる。
【0043】上述のような観察は、溶着防止材を含む接
点材料において、Cu等の高導電性材料とBi等の溶着
防止成分材とについて個別の熱処理により突発性ガスの
原因とする不純物を予め除いておくことの必要性を示唆
すると共に、接点合金の製造または熱処理過程において
一部または全体が液体状態にある接点合金の液相が直接
接するるつぼ、ボート、板などからの放出ガスにより接
点合金が受ける汚染も管理する必要性を示唆している。
【0044】前者の知見に対して本発明者らは、突発性
ガスの軽減に対し構成元素を個別に熱処理することは、
或る程度有効で、それに伴い再点弧発生確率も減少する
傾向にあることを認めている。
【0045】後者の知見に対して本発明者らは液相に接
するるつぼ等の材質及びその表面の物理的化学的状態が
突発性ガス放出形態に影響を与え、かつ再点弧確率にも
関連することを認めると共に特に前者の接点の構成元素
レベルでの管理による突発性ガス放出の軽減効果を後者
によって、確実かつ効率的に向上させるのに必須である
ことを認めた。
【0046】上記した再点弧に対する二三の知見は、そ
の軽減化に対して有効であるが、より一層の再点弧の軽
減化と大遮断容量化の要求に対しては、尚改善の必要性
を認めると共に上記知見技術効果を効率的に発揮させる
ための他の施策の開発が、望まれる。
【0047】例えば前記二、三の知見を重畳させてCu
−Cr合金を製作すると、単独のときより効果が大きく
相乗され、従って一連の工程を総合的に管理する必要性
を示唆している。特に原料技術及び冷却技術は、充分把
握する必要がある。即ち、先に示した突発性ガスの原因
の1つとして原料Cr、Cuなどの内容(不純物)、状
態(表面酸化、混在物の有無)が重要と考えられる。
【0048】初めから酸化物の形態を持ち、原料粉中に
単に混入している酸化物などの異物については、原料粉
との比重差を利用した沈降法による除去、或いは粒径の
違いを利用し、主として篩いわけで予め除去するか、ス
ケルトン中に高導電性材料を溶浸する際の溶浸工程を一
方向から行うことで前記酸化物などの異物を一カ所に集
めることが出来る。これらの作業を与えることによって
同じく再点弧現象の発生の軽減化に対して好結果を示し
た。
【0049】しかし問題は、原料中に固溶或いは析出し
て存在する不純物である。これらは篩いわけ、比重差或
いは溶浸工程では、除去することが出来ず潜在的な再点
弧の一要因を占めていることが考えられた。しかしそれ
でもその解決の一つの手段として原料粉(Cr粉)を十
分吟味し不純物のより少ない原料粉を選択することで再
点弧現象の発生は、より一層軽減化される傾向にあるこ
とを認めた。
【0050】このように、不純物(ここでは主として酸
化物)の少ない原料粉の選択は、再点弧現象の軽減に対
して効果は認めたものの厳密な実験を進めると未だ改善
の余地のあることを本発明者らは認めた。
【0051】即ち、Cr粉中の不純物が実質的に認めら
れないロットを選択し、これをCr原料とし、Cuにつ
いても同様に十分吟味したロットを原料として夫々を使
用してCu−Cr合金を製造したにもかかわらず、合金
中に析出物の存在を認めるものと析出物の存在のないも
のとが得られ、これらの再点弧発生頻度を比較したとこ
ろ前者析出物の存在する合金を使った真空バルブに、よ
り多く発生していることが判った。
【0052】このような析出物は、(イ)Cr粉中に初
めから固溶していた或る種の元素と、(ロ)焼結又は/
及び溶浸中の雰囲気との反応によってあとから生成した
不純物であるとされる。従って再点弧特性の一層の改善
には、(イ)原料に単に混入している酸化物などの不純
物以外に、(ロ)原料中に特に固溶している或種の元素
(固溶状態にあるため顕微鏡的には、一般に検出確認出
来ない)と、原料の内部又は雰囲気から供給される酸素
との反応により生成した酸化物の存在についても注目す
る必要性があることを示唆していると考察された。
【0053】このような知見のもとに本発明者らは、先
に、原料Crを粉末化する前に、その原料Crに特定の
処理、即ち予め原料Crを1300℃〜溶融点直下の温
度範囲で加熱処理した後、これを粉末化する技術を実用
化した。このようにして得たCr粉を用いたCr−Cu
接点は再点弧発生の抑制に貢献した。しかしこの技術は
再点弧発生の抑制には効果が大きいものの1300℃〜
溶融点直下という高温度の処理をCrに与えるため、C
rの著しい蒸発による材料損失が大きく、更には製造装
置系の汚染も大きいなど改良を必要としていた。
【0054】しかし上述した1300℃〜溶融点直下の
温度範囲の加熱処理によって大きな効果が得られている
事実は、前述した考察は材料面からの再点弧の抑制に対
し重要な指針であることには変りない。
【0055】また、他の技術として、所定の粒度に粉砕
したCr粉に対し同程度の粒径のカーボンを添加して得
たCr−C混合粉体を前記より低い温度、即ち800〜
1400℃の温度範囲での加熱範囲での加熱処理を与
え、これを所定の粒径に粉砕して得たCr粉を使ってC
r−Cu合金を製造すること、すなわち、カーボン粉を
添加するプロセスを追加することによって再点弧発生を
抑制するのに好ましいCr粉とする技術も開発された。
しかしこの技術も、再点弧の抑制には効果が大きいもの
の、必要とするC(カーボン)の量が粉砕したCrの汚
染の程度に依存するため、実際の工程では多目のCを添
加せざるを得なくなる。従って、抑制効果にばらつきが
見られると共に、必要以上のCの残存は、耐電圧特性の
著しい低下を呈するので好ましくない。
【0056】以上のように原料の検討によって、所定条
件を備えた原料を選択したとしても未だ充分な再点弧抑
制技術を得るには至っていないことは、一連の総ての工
程を通してCr中の不純物を管理する必要性を示唆して
いる。すなわち、所定条件を備えた選択されたCrを使
ったとしても次の工程である焼結又は/及び溶浸工程
で、Crの表面又は/及び内部が再点弧抑制に対して好
ましくない状態に変化していくことが示唆される。
【0057】そこで本発明では、上記のようにCrが好
ましくない状態に変化していくことを阻止又は遅延させ
る手段として、Crの表面に前記した条件を有する保護
層を第1の工程で作り、この保護層の作用によってCr
表面を焼結中の汚染雰囲気から保護している間にCr焼
結体、Cr−Cu焼結体を得る(第2の工程)ことと
し、焼結の進行と共に蒸発量制御しながら最終目標組成
を持つCr、Cr−Cu、スケルトン、Cr−Cu合金
を得る(第3の工程)ものである。
【0058】特に、本発明のポイントは、保護層がCr
表面、Cr−Cu表面に存在している間は、内部は保護
されるが、昇温によってこの保護層が蒸発飛散するよう
なことがあれば、表面は汚染雰囲気にさらされ保護層の
効果は半減する。しかし保護層が蒸発飛散の進行によっ
て、一方ではCr、Cr−Cuは或る程度焼結が始ま
り、汚染雰囲気との直接接触面積は減少し、焼結の一層
の進行によってこの面積は更に減少し、最後、保護層が
蒸発飛散が終了する頃には、直接接触する面積はなくな
り第1の工程でCr表面に付与した保護層の存在による
他の機能への影響は無視できる程度に低くなる。
【0059】第1の工程において、上記保護層として選
択する高蒸気圧材料は800℃において2×10-7To
rrよりも高い蒸気圧を持つ必要がある。その理由は、
この値より低い材料で保護層を形成すると所定の焼結又
は/溶浸加熱後でも、Crの表面に多量の保護層が残存
し、接触抵抗特性及び耐溶着特性に悪影響をもたらすこ
とになる。
【0060】但しその蒸気圧が800℃において1×1
2 Torrより更に高い蒸気圧を持つ材料であって
は、逆に焼結過程の極く初期の段階で保護層は蒸発飛散
し、実質的に保護層を必要とする時に、保護層がない状
態となり好ましくない。この場合には、Crは加熱中の
雰囲気からの汚染を受け再点弧現象の発生を招く。
【0061】更に、第1の工程において、Crの表面に
付与するべき保護層の厚さは0.05〜5μmの範囲に
あることが必要である。その理由は、0.05μmより
薄い場合には、加熱中の汚染雰囲気から、Crを充分保
護出来ず、結果的に再点弧抑制効果が少ない。これに対
しその厚さが5μmより厚いときには充分な保護は得ら
れるものの、高蒸気圧材料が処理中の炉内、炉壁その他
の部分へ付着する量が多く炉の故障が多くなるのみなら
ず所定の焼結又は/及び溶解工程期間中にCr表面から
完全には取除かれず、わずかに残存したこれら保護層が
耐電圧特性の低下となったり接触抵抗特性の低下の原因
となり好ましくない。
【0062】以上示したように本発明では、主としてC
rの上に保護層を所定条件付着又は皮覆又は合金化させ
るものであってCrは、Cr粉の状態であってもまた、
Cr成形体、CrとCuとの混合粉、CrとCuとの成
形体であっても、問題なく適用が出来るものである。ま
たCr上の保護層は保護作用を必要とする加熱処理初期
及び中期には充分存在し、焼結の進行と共に保護を必要
としなくなる加熱処理終期には蒸発飛散し0.25wt
%以下、更に好ましくは0.01wt%以下残存するよ
う加熱処理の温度、時間、雰囲気に応じて保護層材質
(高蒸気圧材料A)とその厚さを選定することを主旨と
する。
【0063】第3の工程において、残存する高蒸気圧材
料Aを0.25wt%以下とする必要がある。その理由
は、この値より多いと残存する高蒸気圧材料Aの影響で
接触抵抗値にばらつきが出ると共に耐電圧特性も劣化す
る。再点弧特性を厳しく管理するには0.01wt%以
下に制限することが好ましい。次に、本実施例に係る接
点合金の製造方法を説明する。
【0064】高炭素フェロクロムを硫酸に溶解し、これ
を電解又は還元して得た金属Cr板をクラッシャーにて
大きさ約0.5〜2mmの粒に粉砕し粗大の粒状Crと
した。上記粗大な粒状Crを、更に粉砕機にて微粉化し
振動ふるいにて平均粒径1〜250μmのCr粉を採取
し原料Cr粉とした。この原料Cr粉とほぼ同粒径を持
つカーボン粉を、原料Cr粉量に対し50〜30000
ppmの量だけミキサーにて充分混合しCr−C混合粉
体を得た。次いで上記Cr−C混合粉体をブリケットマ
シンにて8トン/cm2 以下の成形圧力で固めCr−C
成形体を得た。更に、Cr−C成形体を真空中(必要に
より水素など非酸化性ガス中)で800℃以上(140
0℃以下)の温度で加熱し脱ガス処理を行い脱ガスCr
塊(脱ガスCrブリケット)を得た。そして、脱ガスC
r塊を再び粉砕機にて好ましくはN2 ガスなど必要によ
り非酸化性雰囲気中で微細化し平均粒径5〜250μm
の脱ガスCr粉とした。
【0065】このようにして得たCr粉の一部を一端を
閉にした石英管に所定量のCrを移し、同時に高蒸気圧
材料AとしてBiを選び、Cr量に対し0.5%のBi
を挿入した後、石英管の他端開口部より石英管の内部を
真空で排気しながら、該他端部を溶融し閉とした。
【0066】このようにしてCrとBiの所定量を真空
封入した石英容器全体を例えば少なくとも300〜10
00℃程度に加熱し、Cr表面に高蒸気圧材料Aを均一
に蒸発皮覆した(第1の工程)。
【0067】石英管を破壊し、取出したCr粉(Bi皮
覆)をそのままCr粉、Cr成形体の原料として使うか
(Cr試料1)、或いはこのCr粉(及び皮覆)に所定
量のCu又は/及びAgよりなる高導電材料を混合しC
rとCu(Cr試料2)、CrとAg(Cr試料3)混
合粉や成形体に原料として使う。
【0068】Cr表面への高蒸気圧材料Aの皮覆厚さの
制御は、例えば前記石英管中へ封入するCr量とBiの
量の比率を変えることによって容易に変えられる。また
選択した高蒸気圧材料AがBiより蒸気圧の高いGaに
おいては、先のBiの場合の300℃より低い200℃
でも充分皮覆が可能であり、200℃〜800℃が適し
た範囲であるように選択する材料と皮覆する厚さで処理
温度を変え得る。
【0069】一方、上述のように石英管中に封入してB
iを皮覆Cr粉を得る方法以外にも、Cr粉表面への保
護層の付着の方法には、例えば電気メッキ、無電解メッ
キ、イオンプレーティング、スパッタリング(Cr試料
4〜7)などによっても容易に得られる。 評価方法 (1)電流特性
【0070】大電流遮断性の優劣は、遮断成功したとき
の電流の大きさ、すなわちその電流の最大値により評価
することができ、この値が大きいほど大電流遮断性に優
れることとなる。接点表面をベーキング、電圧エージン
グ等によりクリーニングして条件を一定にした後、7.
2KV、50Hzで1KAずつ電流を増加しながら遮断
限界時における電流の最大値を測定し、所定の標準値に
対する倍率を遮断倍率として算出した。 (2)再点弧特性
【0071】径30mm、厚さ5mmの円板状接点片
を、ディマウンタブル形真空バルブに装着し、6KV×
500Aの回路を20,000回遮断した時の再点弧発
生頻度を測定し、2台の遮断器(バルブとして6本)の
ばらつき幅(最大および最小)で示した。接点の装着に
際しては、ベーキング加熱(450℃、30分)のみ行
い、ロウ材の使用ならびにこれに伴う加熱は行わなかっ
た。 (3)接触抵抗特性
【0072】接触抵抗特性は、表面荒さを5μmに仕上
げた直径50mmのフラット電極と同じ表面荒さを持つ
曲率半径100Rの凸状電極とを対向させ、両電極を開
閉機構を持つ真空度10-5Torr以下に排気した着脱
可能な真空容器内に取付け1.0kgの荷重及び通電電
流100Aを開閉する。そして両電極間に10Aの交流
を与えたときの電位降下から接触抵抗を求める。なお、
接触抵抗値は測定回路を構成する配線材、開閉器などの
抵抗又は接触抵抗を回路定数として含んだ値である。
【0073】また、接触抵抗の値は、着脱式真空開閉装
置自体の軸部の抵抗1.8〜2.5μΩ、磁界発生用コ
イル部の抵抗5.2〜6.0μΩを含むもので残部が接
点部(接点合金の抵抗、同接触抵抗)値である。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】 実施例1〜3、比較例1〜2
【0076】先に述べたような条件のCr粉(Cr試料
2)を用意した。(Cr試料2)は、Cr粉にあらかじ
めCr量に対し約10%程度のCuをCrと混ぜたもの
を石英管中に該(Cr+Cu)粉の量に対し約0.3%
のBiを一諸に封入(後のCu溶浸の工程でBiの量は
半分が蒸発する)し(Cr+Cu)表面にBiを付着さ
せ(Cr試料2)とした。
【0077】上記(Cr試料2)を真空中約1000℃
で1時間焼結し空隙率が約45〜50容積%のCrスケ
ルトンを作成し、このスケルトンの空隙中に1150℃
でCuを溶浸しCu−50%Cr合金(重量%)を作製
した。得られたCu−50%Cr合金中にはBiが約
0.1〜0.15%含有される。このBiの値を更に少
なくする必要性のあるときには、石英管中に(Cr+C
u)粉と同時に封入するBiの量を調節すれば容易に変
化させることが出来る。
【0078】Biを全然封入しなかった合金が比較例−
1であり、多量に封入したのが後述する比較例−4であ
る。尚、このように多量のBi含有合金は、石英管中に
Biを封入する方法でBiを供給する以外に、溶浸する
ときの溶浸材を純CuでなくCu−Bi合金とするなど
両方からBiを供給することも行なわれる。すなわち本
実施例1〜3及び比較例−2では、石英中に(Cr+C
u)と一諸に封入するBiの量を少しずつ変化させかつ
処理温度を約300℃より適宜選択し、Cr表面上のB
iの厚さを16μm〜0.05μmの間の値に調節し
(比較例−2、実施例1〜3)保護層とし、これを用い
て前述したように1000℃でスケルトンを作製後、1
150℃でCuを溶浸し接点としたものである。該Cr
−Cu合金中に含有残存するBiは、いずれも0.06
〜0.2wt%の間にあり、保護層の厚さと対応してい
た。
【0079】保護層の全く存在しない比較例−1では、
スケルトン作製時の昇温過程での雰囲気中の微量ガス成
分(多くは酸素)の影響を著しく受け、接触抵抗値の増
大とばらつきが大きく、表面分析によっても主としてC
2 3 の存在が見られた。これに応じて再点弧発生頻
度が高くかつサンプル間のバラツキ幅も大であった。こ
の抑止は、保護層の厚さが4〜5μm(実施例−1)か
ら0.05〜0.1μm(実施例−3)の試料まで見ら
れた。しかし保護層の厚さが13〜μmの場合(比較例
−2)では、むしろ保護層成分(この場合Bi)の選択
的、集中的な蒸発による再点弧発生の促進の様子が見ら
れ逆に再点弧は多発の傾向にあり好ましくない。その結
果、保護層の厚さは再点弧頻度及び接触抵抗特性の両観
点から5μm〜0.05μmの範囲が好ましく、0.0
5μmより薄いときには制御が難かしくばらつきの原因
となるので下限の制御量は0.05μmとした。 実施例4〜7
【0080】前記実施例1〜3、比較例2では接点製造
に使う原料Crとしては、Crに対し少量のCuをあら
かじめ混合しておいた(Cr+Cu)粉をCr試料−2
として用いたが、原料Crとしては、これに限ることな
く用いることが出来る。
【0081】すなわち、(Cr試料−1)のようにCr
のみ用いたもの(実施例−6)、Crのみを成形したも
の(実施例−5)でも更には(Cr試料−3)のように
Crに対し少量のCuをあらかじめ混合するのでなくA
gを混合したもの(実施例−7)でも、再点弧発生頻度
及び接触抵抗特性の両者が好ましい値を示した。従って
原料Crは、CrとCuとが混合されたもののみではな
く、成形されたものでもよく、また、Crのみであって
も差しつかえない。 実施例8〜15、比較例3〜4
【0082】前記実施例1〜7、及び比較例−2では、
総て保護層として用いた高蒸気圧元素はBiの例を示し
たが、本発明の効果は保護層としてBiに限定するもの
ではなく、他の類似の蒸気圧を有する元素がその効果を
発揮した。
【0083】すなわち、先に使用した(Cr試料2)を
Cr原料粉として採用し、その(Cr+Cu)表面にN
i、Sn、Ag、In、Ga、Mn、Pb、Sb、Z
n、Seの各材料を皮覆した後、同様にこれらを皮覆し
た(Cr+Cu)粉のスケルトンを作製後、Cuを溶浸
しCr−Cu合金を得た。
【0084】同様の評価を実施したところ、前記したS
n〜Znの各元素を皮覆層として有する接点において
は、いずれもが再点弧発生頻度及び接触抵抗特性とも好
ましい範囲にあった(実施例8〜15)。
【0085】これに対し保護層としてNiを選んだ接点
では、(Cr+Cu)粉でスケルトンを作製後も、また
溶浸後においても、保護層のNiが全面又は一部の表面
に残存する傾向が見られその結果、一部に接触抵抗が著
しく高い領域が見られた(比較例−3)。
【0086】一方、保護層としてSeを選択した接点で
は、(Cr+Cu)粉でスケルトンを作製する際の、加
熱過程のかなり初期の段階でSeが蒸発除去される結
果、加熱雰囲気からの汚染保護の役目をはたすことが出
来ず、表面の一部又は全面が汚染を受ける信号、良質の
スケルトンを得ることが出来ないのみならず、Cuの溶
浸工程においては、Cr−Cu合金中に空孔を生ずる結
果となった。この接点では再点弧の発生が多く全く保護
層が初めから存在しない比較例−1と大差のない値を示
した(比較例−4)。同じ理由で接触抵抗特性も好まし
くない。
【0087】従ってこれらの傾向から保護層として適す
る材料は、Snの蒸気圧(800℃において5×10-6
Torr)からZnの蒸気圧の間の材料であるのが好ま
しいことになる。 実施例−16
【0088】前記した実施例1〜15、比較例1〜4の
全てはその接点の製造方法が、Crスレルトンを作製し
た後Cuの溶融点以上にCuを加熱溶融し、Crスケル
トン空隙中にCuを溶浸する方法で作製した例について
示したが、本発明の保護層の効果は、この溶浸法に限る
ことなく、固相焼結法で接点を作製する場合の原料Cr
粉としても適用出来る。
【0089】すなわち実施例−16では、(Cr試料
2)とほぼ等量のCu粉とを混合後、4トン/cm2
成形し、−70℃以下の露点の水素中で、1030℃×
3時間の焼結、再加圧成形し、これを必要回数繰返し接
点とした。その結果は、表に示すように他の実施例と同
等の効果が得られている。 実施例17〜20
【0090】前記した実施例1〜16、比較例1〜4に
ついては、使用した原料Cr粉は石英管中にCrとBi
を封入し蒸気圧差を利用してCrの表面にBiを付着さ
せたもので述べた(Cr試料1、2、3)。
【0091】しかし原料Cr粉は、これに限ることな
く、Cr表面への保護層の付与は電気メッキ、無電解メ
ッキ、イオンプレーティング、スパッタリング法(Cr
試料4〜7)で行ったものでも同様に使用することが出
来る(実施例17〜20)。 実施例21〜24、比較例5
【0092】各原料Cr粉の表面に付与した保護層は、
接点製造時の焼結又は溶浸過程で受ける加熱工程で蒸発
飛散することによって合金中に最終的に残存する保護層
成分の量が決定される。残存するその量は、また接点特
性に影響を及ぼす。例えば焼結又は溶浸終了後、合金中
に残存する。
【0093】保護層成分の量が、7.2wt%の場合の
接点では再点弧が多発すると共に、接触抵抗値もばらつ
きを示した(比較例−5)。再点弧特性及び接触抵抗特
性を配慮すると、残存する保護層成分の量は、0.25
wt%以下(実施例21、22)なら問題がない。従っ
て本発明が対象とする合金は、焼結又は溶浸後の合金中
の保護層成分の量が0.25wt%以下残存するものが
好ましい。また、原料CrがCr−Ti合金、Cr−Z
r合金に対しても同様の効果が得られる(実施例23〜
24) なお本発明は、上記実施例に限定されるものではない。
【0094】以上の実施例、比較例に供試したCrはい
ずれもあらかじめ、第1の工程でその表面に蒸着法、メ
ッキ法、スパッタ法などで付着させたが、このように別
工程であらかじめ付着させるのでなく、焼結工程でCr
粉の近傍に保護層となる材料を配置しておくならば、そ
の焼結中の加熱過程で、あたかも前記したあらかじめ付
与させておくのと同じことが行われる。この挙動も本発
明で述べる第1の工程の定義のなかに入る。すなわち焼
結中に保護層の形成と焼結の進行が行われる。このよう
にしても第2、第3の工程は同様に必須な工程である。
【0095】本実施例で得られる真空バルブ用合金で
は、接触抵抗特性を安定に維持した上で再点弧の発生率
の低減のみならず各真空バルブ毎の発生率のばらつきも
縮小できた。なお、本発明技術はCu−Cr二元合金の
みならず他の耐弧材料等の第3成分を添加したCu−C
r系合金においても同様な効果を示すことは明白であ
る。
【0096】
【発明の効果】上記実施例の結果からも理解されるよう
に、本発明に係る真空バルブ用接点合金の製造方法は、
得られる接点合金の接触抵抗特性が安定しかつ再点弧発
生頻度が著しく低減する点および遮断性能が向上する点
で極めて優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空バルブ用接点合金の製造方法
の実施例で製造された接点合金が適用される真空バルブ
の一例を示す断面図。
【図2】図1における接点部の拡大断面図である。
【符号の説明】
13a…可動側接点、13b…固定側接点。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関口 薫旦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 馬島 淑子 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐弧材料となる原料Cr粉、Cr成形
    体、Crと導電材料となるCuとの混合粉、CrとCu
    との成形体の表面の一部又は全面に、略800℃で2×
    10-7Torrよりも高い蒸気圧を有する高蒸気圧材料
    を保護層として厚さ0.05〜5μmだけ付着、皮覆又
    は合金化させた第1の工程と、前記高蒸気圧材料により
    加熱中の汚染雰囲気から保護しながら、前記第1の工程
    により得られる保護層付材料からCr焼結体、Cr−C
    u焼結体を得る第2の工程と、前記第2の工程の期間の
    一部又は総てにおいてCr又はCr−Cuの焼結の進行
    と共に、残存する前記高蒸気圧材料が0.25重量%以
    下になるように焼結の温度、時間、昇温降温の速度、雰
    囲気を蒸発量制御しながらCrスケルトン、Cr−Cu
    スケルトン、Cr−Cu合金を得る第3の工程を備えた
    ことを特徴とする真空バルブ用接点合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第3の工程において、残存する高蒸
    気圧材料の量が0.01重量%以下となるように蒸発量
    制御をしながらCr、Cr−Cuスケルトン、Cr−C
    u合金を得ることを特徴とする請求項1記載の真空バル
    ブ用接点合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第3の工程の後に、前記Crスケル
    トン又は、Cr−Cuスケルトン中の残存空隙中にCu
    を溶浸させてCr−Cu合金を得ることを特徴とする請
    求項1または請求項2記載の真空バルブ用接点合金の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 Cuよりなる導電材料の一部又は総てが
    Agであることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載
    のいずれかの真空バルブ用接点合金の製造方法。
  5. 【請求項5】 Crよりなる耐弧材料の一部又は総てが
    Ti、Zrの1つであることを特徴とする請求項1乃至
    請求項4記載のいずれかの真空バルブ用接点合金の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記高蒸気圧材料は、Ga、Ag、I
    n、Bi、Cu、Pb、Sb、Te、Znの群から選ば
    れた元素であることを特徴とする請求項1乃至請求項5
    記載のいずれかの真空バルブ用接点合金の製造方法。
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