JPH05310888A - 改良されたエポキシ樹脂用潜在性硬化剤及びその製造方法 - Google Patents

改良されたエポキシ樹脂用潜在性硬化剤及びその製造方法

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JPH05310888A
JPH05310888A JP4338239A JP33823992A JPH05310888A JP H05310888 A JPH05310888 A JP H05310888A JP 4338239 A JP4338239 A JP 4338239A JP 33823992 A JP33823992 A JP 33823992A JP H05310888 A JPH05310888 A JP H05310888A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低温速硬化性を有し、かつ室温での貯蔵安定
性、耐溶媒性及び硬化物性に優れたエポキシ樹脂用潜在
性硬化剤又は高温硬化型硬化剤用の潜在性硬化促進剤粒
子を提供する。 【構成】 本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、ア
ミン化合物とエポキシ化合物とを付加反応させて付加体
粒子を形成させるに際して更に過剰の多官能性エポキシ
化合物並びに多官能性イソシアネート化合物を作用させ
る方法において、多官能性イソシアネート化合物を作用
させる前の任意の時点において付加体にカルボン酸化合
物を作用させることによって製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】(産業上の利用分野)本発明は、改良され
たエポキシ樹脂用潜在性硬化剤微粉体及びその製造方法
に関するものである。更に詳しくは、本発明は、低温速
硬化性を有し、かつ室温での貯蔵安定性、耐溶媒性及び
硬化物性に優れたエポキシ樹脂用潜在性硬化剤又は高温
硬化型硬化剤用の潜在性硬化促進剤粒子及びその製造方
法に関するものである。
【0002】(従来の技術)エポキシ樹脂硬化物は、接
着性、機械的性質、熱的性質及び電気的性質に優れてい
ることから、塗料、接着剤、電気・電子用絶縁材料とし
て幅広く工業的に利用されている。これらの用途に用い
られるエポキシ樹脂配合物は、大きく1成分系と2成分
系とに分けられる。
【0003】もっとも一般的に使用されているエポキシ
樹脂配合物は2成分系のものである。2成分系配合物
は、エポキシ樹脂配合物と硬化剤又はその配合物とから
なり、それらは別々に保管されて、必要に応じて両者を
計量・混合して使用に供されるため、以下のような欠点
が指摘されている。(1) 計量ミスを避けて常に均質な硬
化組成物とすることは困難である。(2) 混合と脱泡の不
完全さに起因する性能のばらつきが発生しやすい。(3)
エポキシ樹脂と硬化剤との反応は混合と同時に始まり、
系の粘度は次第に上昇してゲル化を経て硬化に至る。配
合物の粘度は経時的に変化するため、自動化への適用は
不可能になる。(4) 配合物の可使時間はエポキシ樹脂と
硬化剤の化学構造及び配合によって定まる。一般に硬化
速度の速い系ほど可使時間は短くなる。硬化速度に主眼
をおけば室温あるいは低温硬化配合も可能であるが、必
然的に可使時間が短くなり、少量を頻繁に配合する必要
が生ずるなど作業効率の大幅な低下は免れ難い。
【0004】これに対して1成分系では、エポキシ樹脂
に予め硬化剤が配合されているので2成分系に付随する
問題は全て解消される。しかしながら、室温で貯蔵安定
性のよい1成分系エポキシ樹脂配合物を調製するために
は、硬化剤として潜在性硬化剤が必要である。この目的
に供される潜在性硬化剤としてこれまでいくつか提案さ
れている。もっとも単純な潜在性硬化剤としては、室温
では固体でエポキシ樹脂に溶解しないが、融点近傍まで
加熱すると溶解して急激に反応を開始する分散型潜在性
硬化剤、例えば、ジシアンジアミド、フェノールノボラ
ック、アジピン酸ジヒドラジド、ジアリルメラミン、ジ
アミノマレオニトリル、三フッ化ホウ素−アミン錯体、
アミン塩、イミダゾール誘導体などがある。これらは室
温における貯蔵安定性に優れているが、そのほとんどは
高温硬化型で、160℃以上の高温・長時間硬化を必要
とする欠点がある。また、これと類似して、酸無水物硬
化剤、例えば、室温で液状のメチルヘキサヒドロ無水フ
タル酸も高温硬化型硬化剤の一種であり、その硬化反応
機構を反映して、水酸基濃度の低い液状エポキシ樹脂と
の配合物は室温では比較的安定であるが、逆に反応速度
が極端に遅く、160℃程度に加熱しても反応はほとん
ど進行しない欠点がある。
【0005】これら高温硬化型硬化剤を使用する場合、
通常、硬化温度を下げる目的で、トリス(ジメチルアミ
ノメチル)フェノールを代表とする第3アミン類、2−
エチル−4−メチルイミダゾールを代表とするイミダゾ
ール化合物などの硬化促進剤を併用することが知られて
いる。しかし、硬化促進剤を添加すると硬化温度は12
0〜150℃に低下させることが可能であるが、その反
面、貯蔵安定性が著しく損なわれ、高温硬化型硬化剤の
潜在性の利点が発揮できなくなる。
【0006】他の潜在性硬化剤としては、例えば熱分解
により活性化されるアミンイミド化合物、水分との接触
により活性化されるケチミン化合物、光照射により活性
化される芳香族ジアゾニウム塩化合物、ジアリルヨード
ニウム塩化合物、トリアリルスルホニウム塩又はセレニ
ウム塩化合物、機械的圧力又は熱で破壊される材料でマ
イクロカプセル化された硬化剤などが挙げられる。中で
も最も研究が進んでいるのは、アミン化合物/エポキシ
化合物付加体固体粒子を液状エポキシ樹脂の共存下で多
官能性イソシアネート化合物で処理してその潜在性を大
幅に改良した硬化剤であり、特開昭64−70523号
公報及び特開平1−113480号公報においてこれら
の技術が開示されている。この場合、硬化剤粒子の表面
にカプセル化膜が形成されると推定されている。
【0007】アミン化合物/エポキシ化合物付加体は、
アミン化合物とエポキシ化合物を反応させて得られたも
ので、アミン化合物硬化剤の欠点、例えば取扱い上問題
となる揮発性、並びに硬化性に大きな影響を及ぼす吸湿
性やエポキシ樹脂との相溶性などが大幅に改良されるば
かりでなく、融点の制御も可能になる。性能面からは、
金属腐食の恐れのない3級アミン付加体のようなアニオ
ン重合触媒型硬化剤が好まれる。実用上特にこの目的に
適するのがイミダゾール化合物/エポキシ樹脂付加体で
あり、特開昭58−13623号公報及び特開昭61−
268721号公報に開示されている。
【0008】これら従来の方法によると、アミン化合物
/エポキシ化合物付加体は、有機溶媒中でアミン化合物
とエポキシ樹脂とを反応させた後、系から溶媒を除去し
て一先ず塊状として得られる。次いでこれを粉砕・分級
して目的とするサイズの硬化剤粒子が取り出される。こ
の場合、付加体硬化剤粒子のサイズが重要であり、それ
が小さくなるほど硬化速度は速くなるが貯蔵安定性が悪
くなる。逆に、粒子サイズが大きくなると貯蔵安定性は
改良されるが低温硬化性が損なわれる傾向にあり、硬化
性と貯蔵安定性の両面で十分に満足できる硬化剤が得ら
れ難い。
【0009】また、アミン化合物とエポキシ化合物とを
反応させる際に、エポキシ化合物として多官能性エポキ
シ化合物をアミン化合物に対して過剰量使用すると生成
する付加体の保存安定性が向上することが知られてい
る。これは、過剰の多官能性エポキシ化合物が重合反応
を起こし、付加体粒子中に重合エポキシ樹脂が混在し
て、付加体粒子表面上の反応性基の濃度が希釈されるた
めであると考えられている。しかしながらかかる方法に
よると、保存安定性が向上すると同時に付加体の融点も
上昇するため、低温硬化性は失われてしまう。また、保
存安定性は向上するが、反応性基と配合樹脂との直接の
接触が避けられないため、実用レベルまでには至ってい
ない。
【0010】更に、硬化速度が速いと思われる平均粒子
径の小さい粉砕・分級した付加体粒子に潜在性を付与す
るために、従来、これを液状エポキシ樹脂中に分散して
加熱状態で多官能性イソシアネート化合物を添加して反
応させることによって、目的とする硬化剤のマスターバ
ッチが製造されている。しかしながら、この状態では分
散媒エポキシ樹脂の重合などの副反応がどうしても起こ
ってしまうため、得られた硬化剤マスターバッチは往々
として非常に粘度の高いものとなり、取扱いにくく、ま
たエポキシ樹脂硬化組成物の配合設計の自由度を低下さ
せるので好ましくない。
【0011】また、最近、エポキシ樹脂に関する一部の
応用分野、例えば電子材料用ソルダーレジストインキ、
導電性塗料・接着剤、積層用プリプレグ及び金属防食プ
ライマーなどの分野においては、硬化組成物の低粘度化
を図るために、有機溶媒や反応性希釈剤を硬化組成物中
に配合するケースが多くなっている。この場合、貯蔵安
定性に優れた一成分系エポキシ樹脂硬化組成物を調製す
るためには、添加する潜在性硬化剤の耐溶媒性が重要と
なってくる。更に、電子材料の応用分野においては、省
エネルギー、ラインの生産性の向上及び電子部品の保護
などの理由から、低温速硬化性かつ貯蔵安定性に優れた
一成分系エポキシ樹脂硬化組成物が強く望まれている
が、現状においては上記すべての要望を満たすものはほ
とんど知られていない。
【0012】(発明が解決しようとする課題)上述した
ように、アミン化合物/エポキシ化合物付加体粒子は、
エポキシ樹脂用の硬化剤として優れた利点を有するにも
拘わらず、1成分系エポキシ樹脂硬化組成物においては
上記のいろいろな問題点があるために、それが十分に生
かされるには至っていない。
【0013】1成分系エポキシ樹脂硬化組成物の利点を
生かすために、製造工程が簡略化されて製造コストが安
く、しかも粒径を容易に制御することが可能で、耐溶媒
性が高く、また低温速硬化性と貯蔵安定性並びに得られ
る硬化物の物性などに優れた潜在性硬化剤微粉体が大い
に望まれている。
【0014】(課題を解決するための手段)本発明者ら
は、上記の視点の下に、従来技術におけるアミン化合物
/エポキシ化合物付加体粒子がもつ課題を克服し、1成
分系エポキシ樹脂硬化組成物の利点が十分に生かせる硬
化剤を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、アミン化合物
/エポキシ化合物付加体粒子にカルボン酸化合物を作用
させることによって該付加体粒子の硬化剤としての低温
速反応性を著しく高めることができることを見出し、か
かる技法と、多官能性エポキシ化合物を過剰に使用した
り、付加体粒子に多官能性イソシアネート化合物を作用
させることによって付加体粒子のエポキシ樹脂用潜在性
硬化剤としての潜在性を向上させる技法とを組み合わせ
ることによって、低温速硬化性、貯蔵安定性、耐溶媒性
等の全てを大きく改良できることを見出し、本発明を完
成するに至ったものである。
【0015】即ち、その一態様においては、本発明は、
アミン化合物とエポキシ化合物とを反応させて付加体粒
子を生成させるにあたって、エポキシ化合物として多官
能性エポキシ化合物をアミン化合物に対して過剰量使用
することによって、その中に多官能性エポキシ化合物に
よって形成される重合体部分が内在するアミン化合物/
エポキシ化合物付加体を生成させ、該付加体を粉砕して
アミン化合物/エポキシ化合物付加体粒子を形成させ、
その後該付加体粒子に更に多官能性イソシアネート化合
物を反応させる方法であって、アミン化合物/エポキシ
化合物付加体の生成前又は生成後であって該付加体の粉
砕前、あるいは、該付加体の粉砕後であって多官能性イ
ソシアネート化合物との反応前の任意の時点において、
カルボン酸化合物を反応させることを特徴とするエポキ
シ樹脂用の潜在性硬化剤粒子の製造方法に関するもので
ある。
【0016】また、他の態様においては、本発明は、ア
ミン化合物とエポキシ化合物とを反応させて付加体を形
成し、該付加体を粉砕して付加体粒子を形成した後、更
なる多官能性エポキシ化合物を更に反応させ、その後更
に多官能性イソシアネート化合物を反応させる方法であ
って、アミン化合物/エポキシ化合物付加体の生成前又
は生成後であって該付加体の粉砕前、あるいは該付加体
の粉砕後であって多官能性イソシアネート化合物との反
応前の任意の時点において、カルボン酸化合物を反応さ
せることを特徴とするエポキシ樹脂用の潜在性硬化剤粒
子の製造方法に関するものである。
【0017】また、本発明の思想を、本願出願人が先に
出願した、従来技術における有機溶媒中でのアミン化合
物とエポキシ化合物との付加反応に際して、有機溶媒と
して、アミン化合物とエポキシ化合物は溶解するが得ら
れる付加体は溶解しないものを選び、更に適当な分散安
定剤を共存させ、生成する付加体粒子を凝集させること
なく安定に分散させることによって、潜在性エポキシ樹
脂用硬化剤として極めて有用な粒子径が制御された球状
のアミン化合物/エポキシ化合物付加体粒子を一段で得
る方法(本願出願人の特願平2−138176号)に適
用して該方法を改良することもできる。この場合には、
上記の粉砕法に起因する欠点、即ち、粉砕には限度があ
り、ストークス径3μm以下の微細な粒子を製造するこ
とが工業的に極めて困難であること、溶媒の除去や微粉
砕・分級などに多大なエネルギーがかかり、製造工程が
長くて繁雑なために製造コストが非常に高くつくこと、
粉砕状の形態に起因してかさ高で包装及び輸送に不都合
であり、エポキシ樹脂硬化組成物の粘度に対する寄与が
大きいこと等の欠点が更に解消され、かつ、カルボン酸
化合物を反応させない場合に比べて、保存安定性、低温
速硬化性、硬化物性及び耐溶媒性をいずれも大きく改良
することができ、したがって、より一層工業的に価値の
高いエポキシ樹脂用潜在性硬化剤粒子が提供される。
【0018】即ち、他の態様においては、本発明は、ア
ミン化合物とエポキシ化合物とを、分散安定剤の存在下
において、そのアミン化合物及びエポキシ化合物を共に
溶解するが、両者から生成する付加体は溶解しない有機
溶媒中で反応させて形状が球状の付加体粒子を製造する
にあたって、更にアミン化合物とエポキシ化合物との反
応の過程中に更なる多官能性エポキシ化合物を存在させ
るか、あるいは該反応の終了後に更なる多官能性エポキ
シ化合物を添加して更に反応させて、その表面上に多官
能性エポキシ化合物により形成される被包層を有するア
ミン化合物/エポキシ化合物付加体球状粒子を生成させ
た後、得られた付加体球状粒子に更に多官能性のイソシ
アネート化合物を作用させることによって、アミン化合
物とエポキシ化合物から合成される形状が球状の付加体
の表面上に更にエポキシ樹脂により形成される被包層を
有し、更に該エポキシ被包層上に多官能性イソシアネー
ト化合物により形成される被包層、又は上記両者の混合
被包層を有する球状付加体粒子を製造する方法であっ
て、アミン化合物/エポキシ化合物球状付加体粒子の形
成前又は形成後あるいはその表面上に多官能性エポキシ
化合物により形成される被包層を有するアミン化合物/
エポキシ化合物球状付加体粒子の形成後であって多官能
性イソシアネート化合物を反応させる前の任意の時点
に、該付加体粒子にカルボン酸化合物を反応させること
を特徴とする方法に関するものである。
【0019】本発明のかかる態様によれば、上述の利点
に加えて、従来の粉砕・マスターバッチ方式による潜在
性硬化剤の調製方法に比べて、微粉砕、分級及び高粘度
の混練などの操作が不要となるため、製造工程がかなり
簡略化され、製造コストを大幅に低減することが可能と
なる。また、球状付加体粒子は粉砕粒子に比べてかさ密
度が高く、エポキシ樹脂配合物の粘度に対する寄与が小
さいなどの利点を有する。更に、本発明によって、アミ
ン化合物/エポキシ化合物付加体球状粒子のエポキシ樹
脂用潜在性硬化剤としての潜在性、低温速硬化性、及び
耐溶媒性のいずれもが、アミン化合物とエポキシ化合物
との反応の過程において上記に示す処理を用いることの
みによって、エポキシ樹脂配合物の硬化性能及び硬化物
性を損なうことなく大幅に改良される。
【0020】以下、本発明について更に詳細に説明す
る。
【0021】まず、本発明の潜在性硬化剤を構成する付
加体の原料となるアミン化合物とエポキシ化合物である
が、これらは硬化剤としての付加体の性質を考慮して選
択される。重要なのはアニオン重合硬化を推進する化学
構造、融点、溶融状態で硬化対象となる配合エポキシ樹
脂に対する優れた相溶性、速い硬化性及び添加効果(少
ない添加量での高い硬化反応性)である。
【0022】この目的に供されるアミン化合物としては
すべての種類が対象たりうるが、それに組み合わせるエ
ポキシ化合物の種類による制約を受ける。なぜならば、
純粋な付加体を合成するためには、重合を避けて付加反
応に止めなければならないからである。
【0023】1官能性エポキシ化合物に対しては、すべ
ての種類のアミン化合物を組み合わせることが可能であ
るが、多官能性エポキシ化合物に組み合わせうるのは、
エポキシ基との反応に寄与する活性水素を1個しか持た
ないアミン化合物だけとなる。いずれの場合において
も、活性水素を持たない3級アミノ基が含まれることは
望ましい。なぜならば、付加体の硬化反応に寄与するア
ミノ基濃度を高める、即ち硬化剤としての添加効果を高
めるうえにおいてその存在は好ましい。更に、この組合
せの条件を満たせば、1種類又は2種類以上のアミン化
合物を組合せて使用してもよい。
【0024】多官能性エポキシ化合物に組合せ得るアミ
ン化合物の具体例としては、2−メチルイミダゾールや
2,4−ジメチルイミダゾールを代表とするイミダゾー
ル化合物、イミダゾリンや2−メチルイミダゾリンを代
表とするイミダゾリン化合物、N−メチルピペラジンや
N−ヒドロキシエチルピペラジンを代表とするピペラジ
ン化合物、アナバシンを代表とするアナバシン化合物、
3,5−ジメチルピラゾールを代表とするピラゾール化
合物、テトラメチルグアニジンやプリンを代表とするプ
リン化合物、1,2,4−トリアゾールを代表とするト
リアゾール化合物などが挙げられる。
【0025】もう一方の原料であるエポキシ化合物とし
てもすべての種類が対象たりうる。例を挙げれば、1官
能性エポキシ化合物としては、n−ブチルグリシジルエ
ーテル、スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテ
ル、2官能性エポキシ化合物としては、ビスフェノール
Aジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジ
ルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、
フタル酸ジグリシジルエステル、3官能性エポキシ化合
物としては、トリグリシジルイソシアヌレート、トリグ
リシジルパラアミノフェノール、4官能性エポキシ化合
物としては、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、それ以上
の官能基を持つエポキシ化合物としては、クレゾールノ
ボラックポリグリシジルエーテル、フェノールノボラッ
クポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。但し、組
み合わせるアミン化合物の種類によって制約を受けるこ
とはアミン化合物について述べたと同様である。即ち、
活性水素を1個しか持たないアミン化合物についてはす
べての種類のエポキシ化合物と組み合わせることが可能
であるが、2個以上の活性水素を持つアミン化合物に組
合せうるのは1官能性のエポキシ化合物だけである。
【0026】エポキシ化合物は、生成する付加体の融点
と溶融状態においての硬化対象であるエポキシ樹脂との
相溶性を考慮して選ばれる。硬化対象となるエポキシ樹
脂としては圧倒的な量がビスフェノールAジグリシジル
エーテルで占められているから、付加体の原料であるエ
ポキシ化合物としては、それに対する相溶性に優れかつ
コスト的にも有利なこの化合物が一般的に用いられる。
エポキシ化合物において、エポキシ濃度はエポキシ当量
(1当量当たりのグラム数)の逆数で表される。エポキ
シ当量が低くなるほどエポキシ基濃度は高くなる。アミ
ンとの付加反応で形成した付加体に含まれる3級アミノ
基濃度をできるだけ高くして硬化剤としての添加効果を
高めるために高いエポキシ基濃度が望ましい。したがっ
て、エポキシ化合物のエポキシ当量としては、出来る限
り小さいことが望まれる。通常は1000以下、好まし
くは500以下のエポキシ化合物が用いられる。
【0027】アミン化合物/エポキシ化合物付加体の融
点は、用いた原料の化学構造、並びに付加の方式、付加
体の構造及びアミン化合物に対するエポキシ樹脂の付加
比率によって決定される。それらの適切な選択により、
目的に応じて低融点から高融点の付加体を合成すること
が可能となる。融点が高くなるほど取扱い易くなるが、
反対に配合物の硬化反応開始温度が高くなる。したがっ
て、硬化性から見れば融点は低いにこしたことはない
が、取り扱い性、特に夏季における取り扱いを考慮する
と最低50℃の融点を必要とする。
【0028】アミン化合物/エポキシ化合物付加体は、
通常、等当量又はアミン過剰の条件下で合成されるが、
1官能性エポキシ化合物を用いた場合、エポキシ過剰に
すると得られた付加体の融点が下がる。逆に多官能性エ
ポキシ化合物を用いた場合には、エポキシ過剰にすると
付加反応と重合反応が競争的に起こり、付加体の融点が
上昇する。本発明でアミン化合物/エポキシ化合物付加
体を製造する際のエポキシ化合物とアミン化合物との反
応当量比は、特に制限はないが化学量論量を基本とす
る。
【0029】本発明の一態様によって粉砕型の付加体粒
子を得る場合には、無溶媒又は溶媒中においてアミン化
合物とエポキシ化合物とを反応させるにあたって、上記
の量比に基づいて更なる過剰量の多官能性エポキシ化合
物を作用させて、その中に多官能性エポキシ化合物によ
って形成される重合エポキシ樹脂の部分が混在している
アミン化合物/エポキシ化合物付加体を生成させた後、
反応系から溶媒を除去し、得られた付加体を粉砕・分級
して目的とする付加体粒子を得る。また、他の態様によ
って粉砕型の付加体粒子を得る場合においては、アミン
化合物/エポキシ化合物付加体を生成させた後、反応系
から溶媒を除去して得られた付加体を粉砕・分級するこ
とによって付加体粒子を得、得られた粒子を更に溶媒に
再分散した後に更なる多官能性エポキシ化合物と反応さ
せて、付加体粒子の表面上に多官能性エポキシ化合物に
より形成される重合体の被包層を形成させる。
【0030】かかる更なる多官能性エポキシ化合物の添
加量は、最終的に形成させる付加体粒子の粒径等によっ
て変化するが、一般的には上記付加体100重量部に対
して1〜100重量部であり、5〜50重量部が好まし
い。かかる量が1重量部未満ではエポキシ樹脂用潜在性
硬化剤としての潜在性が十分でなく、かかる硬化剤を添
加した1液型エポキシ樹脂硬化性組成物の保存安定性が
十分でなくなる。また、100重量部を超えると、低温
硬化性が損なわれ、実用的でない。
【0031】重合エポキシ樹脂による混在部分又は被包
層を形成するかかる更なる多官能性エポキシ化合物は多
官能性のものであればよく、アミン化合物と反応して付
加体を形成するエポキシ化合物が多官能性エポキシ化合
物である場合には、付加体を形成するエポキシ化合物と
同じものであってもよく、異なる種類のものであっても
よい。かかる更なる多官能性エポキシ化合物を添加する
時期は、上記に示したように、付加体形成反応の開始前
(即ち反応原料の仕込み段階)、付加体形成反応中、付
加体形成反応終了後、溶媒を除去することによって生成
した付加体を取り出し、粉砕・分級して所望の粒径の粒
子を形成させた後のいずれであってもよい。
【0032】アミン化合物とエポキシ化合物との反応
は、無溶媒又は反応溶媒中において行う。しかし、反応
熱の除去や均一反応の観点から、溶媒中で行った法が望
ましい。かかる目的に用いられる溶媒は当該技術におい
て周知のものであり、アミン化合物とエポキシ化合物の
両方が溶ける単一又は混合溶媒であればよい。例えば、
エタノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラ
ン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、セロソルブ、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0033】付加体形成反応終了後にかかる反応溶媒を
除去することによって、生成した付加体をまず塊状の形
態で得る。溶媒の除去は、加熱下で減圧蒸発法によって
行われる。次に、得られた塊状の付加体を粉砕・分級す
ることによって所定の粒径を有する付加体粒子を得る。
付加体の粉砕は、まず、カッターミルやピンミルなどで
粗砕した後、次いでジェット粉砕機や遠心分級型ミルで
粒子径が数μmまで微粉砕する。また、付加体粒子の分
級は、ふるい分け機又はエアセパレーターやミクロンセ
パレーターなどの乾式遠心風力分級機によって行われ、
希望とする平均粒子径のものが取り出される。また、か
かる工程によって粉砕・分級した付加体粒子を更に溶媒
に再分散させる際に用いる溶媒は、付加体の生成反応に
おいて用いた溶媒と同一のものであっても異なるもので
あってもよい。かかる再分散用の溶媒としては付加体に
対して溶解性を示さない溶媒を用いる。例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テ
トラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキ
サンなどを用いることができる。また、付加体粒子を溶
媒中に、沈降・凝集を避けて安定に再分散させるため
に、機械的高速撹拌を施してもよく、また、後述の高分
子分散安定剤を適当に添加してもよい。
【0034】本発明の最も重要な特徴は、生成したアミ
ン化合物/エポキシ化合物付加体にカルボン酸化合物を
反応させることにある。かかるカルボン酸化合物を作用
させる時期は、後述する多官能性イソシアネートを付加
体粒子に反応させる前であれば、どの段階で作用させて
もよい。例えば、アミン化合物/エポキシ化合物の付加
体の形成後にカルボン酸化合物を作用させる場合には、
付加体形成反応終了後、該反応において用いた反応溶媒
を除去する前に、反応系中にカルボン酸化合物を添加し
て更に反応を行わせることができる。また、溶媒を除去
して該付加体を取り出して粉砕・分級した後、溶媒中に
再分散させてこれにカルボン酸化合物を加えることによ
って反応を行わせることもできる。更に、粉砕・分級し
た付加体粒子を溶媒中に再分散させて更なる多官能性エ
ポキシ化合物を反応させた後に、反応系中にカルボン酸
化合物を添加して反応を行わせることもできる。
【0035】かかる反応によって、得られる硬化剤粒子
の硬化反応開始温度を低下させ、低温速硬化性を与える
ことができる。この目的に供されるカルボン酸化合物と
しては、全ての種類が対象たりうる。1官能性カルボン
酸化合物と多官能性カルボン酸化合物のいずれを用いる
こともでき、また、脂肪族、脂環式及び芳香族カルボン
酸化合物のいずれを用いることもできる。具体例を挙げ
れば、1官能性の脂肪族カルボン酸化合物としては、酢
酸、トリメチル酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪
酸、2−メチル酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、3−メ
チル吉草酸、ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、オク
タン酸、n−デカン酸、ラウリン酸、2官能性の脂肪族
カルボン酸化合物としては、酒石酸、マロン酸、メチル
マロン酸、ジメチルマロン酸、琥珀酸、メチル琥珀酸、
2,2−ジメチル琥珀酸、2,3−ジメチル琥珀酸、グ
ルタル酸、2−メチルグルタル酸、アジピン酸、スベリ
ン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1官能性の脂環式カ
ルボン酸化合物としては、シクロプロパンカルボン酸、
1−メチルシクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカ
ルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサン
カルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、2官能性の脂
環式カルボン酸化合物としては、1,1−シクロブタン
ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロ−
4−メチルフタル酸、芳香族カルボン酸化合物として
は、安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、o−ベンゾイ
ル安息香酸、トルイル酸、フタル酸、イソフタル酸、サ
リチル酸、フェニル酢酸、ジフェニル酢酸、p−メトキ
シフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、プロトカテキュ酸、
ベンジル酸、無水トリメリット酸などである。これらの
1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することがで
きるが、添加する反応系において用いられている溶媒に
溶解するものを選択しなければならない。カルボン酸化
合物の付加体に対する添加量は、付加体及びカルボン酸
化合物の種類にもよるが、一般に1〜200重量%であ
り、5〜100重量%が好ましい。
【0036】上記までの処理を行うと、カルボン酸化合
物によって処理され、かつ、過剰量の多官能性エポキシ
化合物により形成される重合エポキシ樹脂部分又は重合
エポキシ樹脂被包層を有するアミン化合物/エポキシ化
合物付加体粒子が得られる。
【0037】かかる粒子が生成した後に、更に多官能性
イソシアネート化合物を反応させることによって、生成
した粒子の表面上に多官能性イソシアネート化合物によ
って被包層を形成させ、又は重合エポキシ樹脂との混合
被包層を形成させる。かかる被包層を形成させないと、
硬化剤粒子の潜在性が期待できない。
【0038】この目的に供される多官能性イソシアネー
ト化合物としては、トルエンジイソシアネート、メチレ
ンジフェニルジイソシアネートの1核体及び多核体、水
添メチレンジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフ
タレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テト
ラメチルキシレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキ
サメチレントリイソシアネート、リジンジイソシアネー
ト、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス
(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、ならび
にそれらと他の活性水素含有化合物との付加反応で生成
する多官能性イソシアネート化合物などが挙げられる。
かかるイソシアネート化合物は、付加体粒子を再分散さ
せる際に用いられる溶媒に溶解するものを選択し、1種
又は2種以上が組み合わせて使用される。付加体粒子に
対する添加量は、付加体粒子の粒径によって異なるが、
体積平均粒子径が0.05μm〜100μmの範囲の粒
子に対しては付加体粒子100重量部に対して0.1〜
100重量部、好ましくは1〜50重量部である。かか
る添加量が0.1重量部未満では十分な貯蔵安定性が得
られず、また100重量部を超えるとかなりの長時間の
反応を必要とし、また硬化反応性が低下する。
【0039】また、前述したように、他の態様において
は、本発明は、アミン化合物とエポキシ化合物とを、分
散安定剤の存在下において、そのアミン化合物及びエポ
キシ化合物を共に溶解するが、両者から生成する付加体
は溶解しない有機溶媒中で反応させて形状が球状の付加
体粒子を製造するにあたって、更にアミン化合物とエポ
キシ化合物との反応の過程中に更なる多官能性エポキシ
化合物を存在させるか、あるいは該反応の終了後に更な
る多官能性エポキシ化合物を添加して更に反応させて、
その表面上に多官能性エポキシ化合物により形成される
被包層を有するアミン化合物/エポキシ化合物付加体球
状粒子を生成させた後、得られた付加体球状粒子に更に
多官能性のイソシアネート化合物を作用させることによ
って、アミン化合物とエポキシ化合物から合成される形
状が球状の付加体の表面上に更にエポキシ樹脂により形
成される被包層を有し、更に該エポキシ被包層上に多官
能性イソシアネート化合物により形成される被包層、又
は上記両者の混合被包層を有する球状付加体粒子を製造
する方法であって、多官能性イソシアネート化合物を反
応させる前の任意の時点に、該付加体粒子にカルボン酸
化合物を反応させることを特徴とする方法に関するもの
である。
【0040】本発明のかかる態様において用いるアミン
化合物、エポキシ化合物、更なる多官能性エポキシ化合
物、多官能性イソシアネート化合物及びカルボン酸化合
物としては、前述の粉砕型付加体粒子の製造において用
いられるものを、粉砕型付加体粒子の製造の場合におい
て用いられる量と同等の量比で使用することができる。
【0041】本発明のかかる態様におけるアミン化合物
/エポキシ化合物球状付加体粒子の形成は、本発明者ら
が特願平2−138176号において提案している沈殿
又は分散付加反応によりはじめて実現できるものであ
る。即ち、本発明のかかる態様における球状付加体粒子
の形成は、アミン化合物とエポキシ化合物とを、有機溶
媒として、アミン化合物とエポキシ化合物は溶解するが
得られる付加体は溶解しないものを選び、更に適当な分
散安定剤を共存させ、生成する付加体粒子を凝集させる
ことなく安定に分散させることによって行い、かかる方
法によって粒子径が制御された球状のアミン化合物/エ
ポキシ化合物付加体粒子を一段で得ることができる。こ
の反応を行うに際して最も重要なのは反応に用いる溶媒
の選択である。基本的に付加体の原料としてのアミン化
合物とエポキシ化合物及び後述の分散安定剤を溶解し、
その付加生成物を溶解することなく粒子として析出させ
る溶媒を用いることが必要である。一般的にいえば、物
質はその極性が近似した溶媒に溶解する。溶媒の極性の
尺度として溶解度パラメーター(単位:[cal/cm3]1/2
がよく用いられる。この表示方法によれば、エポキシ化
合物、アミン化合物、アミン化合物/エポキシ化合物付
加体は、それぞれ、溶解度パラメーターが8〜11、8
以上及び11〜16の溶媒に溶解する。したがって、本
発明の沈殿又は分散付加反応を実施するためには、溶解
度パラメーターが8〜11の溶媒が適当である。
【0042】本発明のかかる態様における球状付加体粒
子の形成反応に用いられる溶媒としては、例えばメチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプ
ロピルケトン、アセトン、n−ブチルアセテート、イソ
ブチルアセテート、エチルアセテート、メチルアセテー
ト、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、セロソ
ルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールジメチルエーテル、アニソール、トルエ
ン、p−キシレン、ベンゼン、シクロヘキサン、塩化メ
チレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、クロロベ
ンゼン、ピリジンなどが挙げられる。これらは単独ある
いは2種以上の組み合わせで使用に供される。溶解度パ
ラメーターが8〜11の範囲外の溶媒であっても、2種
以上の組合せで特定した範囲内の溶解度パラメーターに
調節して使用に供することも可能である。但し、適合す
る溶媒は、当然にアミン化合物とエポキシ化合物の化学
構造によって多少異なるので、各々の場合に応じて厳密
に選択することが肝要である。
【0043】本発明のかかる態様における沈殿又は分散
付加反応において、析出する付加体粒子を溶媒中に安定
に分散させて球状粒子として得るためには、適切な分散
安定剤を共存させる必要がある。かかる分散安定剤が存
在しないと、生成した付加体粒子が反応中に互いに凝集
して相分離を起こし、目的とする球状粒子が得られなく
なる。この目的に供される分散安定剤としては、生成し
た付加体と有機溶媒の両方に対して共に高い親和力をも
つ両親媒性の高分子化合物が適している。また、最初は
両親媒性を示さなくても、官能基の変換反応により両親
媒性に変換し得る高分子化合物を用いてもよい。化学構
造的には、グラフト共重合体、ブロック共重合体、ラン
ダム共重合体及び他の重合体のいずれでもよい。
【0044】グラフト共重合体としては、例えばポリ
((メチルメタクリレート−co−メタクリル酸)−g
−スチレン)、ポリ((メチルメタクリレート−co−
2−ヒドロキシエチルメタクリレート)−g−スチレ
ン)、ポリ((メチルメタクリレート−co−グリシジ
ルメタクリレート)−g−スチレン)、ポリ((スチレ
ン−co−グリシジルメタクリレート)−g−スチレ
ン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート−g
−スチレン)、ポリ(2,3−ジヒドロキシプロピルメ
タクリレート−g−スチレン)、ポリ(アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸−g−スチレン)、ポ
リ(酢酸ビニル−g−スチレン)、ポリ(メタクリル酸
−g−スチレン)、ポリ(アクリルアミド−g−スチレ
ン)、ポリ(エチレンオキシド−g−スチレン)、ポリ
(4−ビニル−N−エチルピリジウムブロミド−g−ス
チレン)、ポリ((メチルメタクリレート−co−メタ
クリル酸)−g−メタクリル酸アルキル(R=C1〜C
12))、ポリ((メチルメタクリレート−co−フルオ
ロアルキルアクリレート)−g−メチルメタクリレー
ト)、ポリ((メチルメタクリレート−co−グリシジ
ルメタクリレート)−g−メチルメタクリレート)、ポ
リ((スチレン−co−グリシジルメタクリレート)−
g−メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール
−g−メチルメタクリレート)、ポリ((メチルメタク
リレート−co−グリシジルメタクリレート)−g−メ
タクリル酸)、ポリ(ブタジエン−g−メタクリル
酸)、ポリ(メチルメタクリレート−g−2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレー
ト−g−N−メチロールアクリルアミド)、ポリ(2−
ヒドロキシエチルメタクリレート−g−N−メチロール
アクリルアミド)、ポリ(メチルメタクリレート−g−
12−ヒドロキシステアリン酸)、ポリ((エチルアク
リレート−co−メタクリル酸)−g−12−ヒドロキ
システアリン酸)、ポリ((メチルアクリレート−co
−メタクリル酸)−g−12−ヒドロキシステアリン
酸)、ポリ((スチレン−co−メタクリル酸)−g−
12−ヒドロキシステアリン酸)、ポリ((エチルアク
リレート−co−メタクリル酸)−g−ラウリルメタク
リレート)、ポリ(酢酸ビニル−g−2−エチルヘキシ
ルアクリレート)、ポリ(クロロプレン−g−2−エチ
ルヘキシルアクリレート)などが挙げられる。
【0045】ブロック共重合体としては、例えばポリ
(酢酸ビニル−b−スチレン)、ポリ(スチレン−b−
ジメチルシロキサン)、ポリ(スチレン−b−メタクリ
ル酸)、ポリ(ラウリルメタクリレート−b−メタクリ
ル酸)、ポリ(エチレンオキシド−b−スチレン−b−
エチレンオキシド)、ポリ(12−ヒドロキシステアリ
ン酸−b−エチレンオキシド−b−12−ヒドロキシス
テアリン酸)などが挙げられる。
【0046】また、ランダム共重合体としては、例えば
ポリ(酢酸ビニル−co−ビニルアルコール)、ポリ
(N−ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)、ポリ
(N−ビニルピロリドン−co−メチルメタクリレー
ト)、ポリ(長鎖メタクリレート又はアクリレート−c
o−N−ビニルピロリドン)などが挙げられる。更に、
その他の重合体の例としては、カルボン酸変性ポリフタ
ル酸グリコールエステル、4級化アミン変性ポリエステ
ルなどが挙げられる。
【0047】本発明のかかる態様に用いる分散安定剤と
しては、上述のように構造的に多種類のものがあり、ま
た分子量的にも低分子量から高分子量まで種々あるが、
生成した付加体粒子に対する分散安定化効果は、当然、
アミン化合物/エポキシ化合物の化学構造及び溶媒の性
質によって異なる。実用的には試行錯誤的な選択を必要
とする。勿論、これらの分散安定剤は目的に応じて単独
又は2種以上混合使用してもよい。
【0048】本発明のかかる態様においては、まず、ア
ミン化合物とエポキシ化合物との球状付加体粒子形成反
応において、更なる過剰の多官能性エポキシ化合物を存
在させることによって、その表面上に多官能性エポキシ
化合物によって生成する重合エポキシ樹脂による被包層
を有する、アミン化合物/エポキシ化合物球状付加体粒
子が得られる。
【0049】被包層を形成するかかる更なる多官能性エ
ポキシ化合物は多官能性のものであればよく、アミン化
合物と反応して付加体を形成するエポキシ化合物が多官
能性エポキシ化合物である場合には、付加体を形成する
エポキシ化合物と同じものであってもよく、異なる種類
のものであってもよい。かかる更なる多官能性エポキシ
化合物を添加する時期は、上記に示したように、球状付
加体粒子形成反応の開始前(即ち反応原料の仕込み段
階)、球状付加体粒子形成反応中、球状付加体粒子形成
反応終了後のいずれであってもよい。付加体形成用エポ
キシ化合物と被包形成用多官能性エポキシ化合物とが同
一の場合には、アミン化合物とエポキシ化合物との反応
に際して予めエポキシ化合物を過剰量用いることによっ
ても本発明の被包層を有する球状付加体粒子を製造する
ことができる。
【0050】生成したアミン化合物/エポキシ化合物球
状付加体粒子とカルボン酸化合物とを反応させる時期
は、多官能性イソシアネート化合物と球状付加体粒子と
の反応の前であれば、どの段階で作用させてもよい。例
えば、付加体を形成するためにアミン化合物と反応させ
るエポキシ化合物として、多官能性エポキシ化合物を過
剰量用いて反応を行わせて、その表面上に過剰の多官能
性エポキシ化合物によって形成される重合エポキシ樹脂
による被包層を有するアミン化合物/エポキシ化合物球
状付加体粒子を形成させる場合には、アミン化合物とエ
ポキシ化合物との反応の開始前又は反応が100%終了
した後にカルボン酸化合物を反応系に添加して反応させ
ることができる。また、アミン化合物とエポキシ化合物
とを反応させて球状付加体粒子を形成した後に更なる多
官能性エポキシ化合物を添加・反応させて該球状粒子上
に重合エポキシ樹脂による被包層を形成させる場合に
は、該粒子の形成後又は該被包層の形成後のいずれにお
いてカルボン酸化合物を添加・反応させてもよい。
【0051】かかる反応によって、得られる球状硬化剤
粒子の硬化反応開始温度を低下させ、低温速硬化性を与
えることができる。
【0052】本発明のかかる態様においても、上述の粉
砕型の付加体粒子を得る場合と同様、上記までの工程が
終了した後に、更に多官能性イソシアネート化合物を付
加体球状粒子と反応させることによって、生成した粒子
の表面上に多官能性イソシアネート化合物によって被包
層を形成させ、又は重合エポキシ樹脂との混合被包層を
形成させる。かかる被包層を形成させないと、硬化剤粒
子の潜在性が期待できない。
【0053】ここで用いる多官能性イソシアネート化合
物は、上述した粉砕型の付加体粒子を得る場合と同様の
ものを、同等の量比で用いることができる。
【0054】本発明のかかる態様による球状付加体及び
硬化剤粒子の生成反応において、適切な溶媒及び分散安
定剤を選択することによって、凝集物の生成を避けて付
加反応、カルボン酸化合物による修飾反応及び多官能性
エポキシ化合物又は多官能性イソシアネート化合物によ
る被包層形成反応を反応率100%まで円滑に進行させ
ることが可能であるが、凝集物が生成しない安定な反応
の進行と生成する付加体及び硬化剤粒子の粒子径の制御
は重要である。
【0055】まず安定な反応であるが、これを支配する
のは、原料濃度、分散安定剤濃度、反応温度、撹拌条件
及び反応率又は反応時間である。付加体粒子の生成反応
において、安定な分散液を生成させるためには、適切な
分散安定剤を添加する必要がある。分散安定剤の添加量
としては、通常、アミン化合物とエポキシ化合物の合計
に対して1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%を
用いる。十分な分散安定剤が存在していても、原料濃度
と反応温度が高くなると、付加反応の速度は速くなるが
凝集物が生成しやすくなり、系は不安定になる。したが
って、原料濃度としては、溶媒中で通常2〜40重量
%、好ましくは5〜30重量%を用い、これによって必
要量の前記記載の溶媒を加える。また、反応温度として
は、通常40〜90℃、好ましくは50〜70℃を用い
る。
【0056】反応系の安定性には、更に撹拌条件と反応
率とが関係する。適当な撹拌速度は、配合、反応条件及
び撹拌翼の形状によってそれぞれ異なるので、一概に述
べることはできないが、速すぎる撹拌は凝集物の生成を
促し、逆に遅すぎる撹拌は球状粒子を得るのに適しな
い。個々の系に対応して試行錯誤的な実験を必要とする
が、通常は50〜1000rpm、好ましくは100〜
500rpmを用いる。反応条件にもよるが、一般的
に、凝集物は反応率が高くなるにつれて生成しやすくな
る。傾向的には、先に述べたように、原料濃度と反応温
度が高くなるほど、分散安定剤濃度が低いほど、また生
成させる付加体粒子のサイズが小さいほど、低い反応率
で凝集物が生成し始める。条件を整えることによって1
00%の反応率に到達させることは可能である。
【0057】付加体粒子の生成を100%の収率で進行
させた後に、更なる多官能性エポキシ化合物又は多官能
性イソシアネート化合物による被包層形成反応及びカル
ボン酸化合物による修飾反応において、上記付加体の形
成反応に用いた反応条件(原料濃度、反応温度)と撹拌
条件を適用することができる。但し、多官能性イソシア
ネート化合物による被包層形成反応及びカルボン酸化合
物による修飾反応は低温でも起こるので、反応温度とし
ては、室温〜90℃、好ましくは50〜70℃を用い
る。被包層形成反応及びカルボン酸化合物による修飾反
応の反応時間は、用いた多官能性エポキシ化合物、多官
能性イソシアネート化合物及びカルボン酸化合物の添加
量及び反応温度によって異なり、一般に、回収された硬
化剤粒子の収率が100%になるための時間を反応の終
点とする。また、赤外スペクトル法で反応液を分析し、
未反応物の残存量を定量することによって反応の終点を
決定することもできる。これらの反応条件は、粉砕型付
加体粒子の場合にも適用することができる。
【0058】次に、生成する硬化剤粒子の粒子径である
が、これは用いた付加体粒子の粒子径及び多官能性エポ
キシ化合物又は多官能性イソシアネート化合物の添加量
によって支配される。
【0059】付加体粒子の粒子径は、原料と溶媒の種
類、反応条件並びに分散安定剤の化学構造、分子構造及
びその添加量によって支配される。これらの因子のう
ち、決定的なのは分散安定剤の化学構造と分子構造であ
る。例えば、2−メチルイミダゾールとビスフェノール
Aジグリシジルエーテルとのメチルイソブチルケトン中
での沈殿又は分散付加反応において、ポリ((メチルメ
タクリレート−co−メタクリル酸)−g−スチレン)
のグラフト共重合体を分散安定剤として用いる場合には
ミクロンサイズの粒子を与えるのに対して、4級化アミ
ン変性ポリエステル系の分散安定剤はサブミクロンサイ
ズの微粒子を与える。また、分散安定剤の化学構造にも
よるが、一般に分散安定剤の分子量が小さいほど、得ら
れる付加体粒子の粒子径は大きくなる。次に、粒子の生
成に大きな影響を及ぼすのは反応条件である。一般的に
いえば、分散安定剤濃度、反応温度及び撹拌速度が高く
なるほど、また原料濃度及び反応率が低くなるほど、生
成する粒子は小さくなる。これらの因子を適当に組み合
わせれば、生成する付加体粒子の体積平均粒子径を0.
05〜100μmまで制御することができる。
【0060】所望の粒子径の付加体粒子の生成後、更な
る多官能性エポキシ化合物と多官能性イソシアネート化
合物の添加によって、付加体粒子の表面上に被包層が形
成される。多官能性エポキシ化合物は、付加体の触媒作
用によって粒子の表面上に重合が起こり重合エポキシ樹
脂膜を形成する。また、多官能性イソシアネート化合物
は、付加体粒子の表面に存在する水酸基、吸着された水
分及び他の活性水素官能基と反応してポリウレタン、ポ
リユリアなどの重合体に転換し、カプセル化膜を形成す
ると考えられる。したがって、これらの被包層を形成す
ることにより、得られた潜在性硬化剤の体積平均粒子径
は、元の付加体粒子の体積平均粒子径よりも大きくな
る。
【0061】被包層の厚みは、反応前の付加体粒子の体
積平均粒子径及びその表面反応に用いた多官能性エポキ
シ化合物又は多官能性イソシアネート化合物の添加量に
よって決まるので、最終的に得られた硬化剤の体積平均
粒子径もこれらの因子によって制御される。前記の付加
体粒子の体積平均粒子径、多官能性エポキシ化合物の過
剰添加量及び多官能性イソシアネート化合物の添加量の
範囲に対して、得られた本発明の硬化剤の体積平均粒子
径は、0.1〜200μmとなる。
【0062】なお、ここでいう体積平均粒子径は、「粉
体、理論と応用」(丸善、1979年版)の第6・3・
4節及び第6・3・6節に示す重力又は遠心沈降法で求
めた粒子の体積基準平均ストークス径を指す(以下、単
に「体積平均粒子径」という)。
【0063】反応装置に所定量の溶媒を仕込み、それに
選択されたアミン化合物、エポキシ化合物及び分散安定
剤を溶解し、撹拌しながら所定温度まで昇温して加熱し
続けると、当初透明であった反応溶液は付加体粒子の生
成に伴って不透明になる。反応の進行に伴って系の不透
明度は次第に増し、分散液特有の乳白色を呈するように
なる。この段階において、アミン化合物とエポキシ化合
物との量比が等当量である場合にはアミン化合物/エポ
キシ化合物付加体球状粒子が形成されており、アミン化
合物に対して多官能性エポキシ化合物を用いておりかつ
該多官能性エポキシ化合物の当量が過剰量である場合に
はアミン化合物/エポキシ化合物付加体球状粒子の表面
上に更に多官能性エポキシ化合物により形成される被包
層を有する球状付加体粒子が形成される。前者の場合に
は、この時点で更なる多官能性エポキシ化合物を添加混
合して反応を継続させることによって、付加体粒子の表
面上に多官能性エポキシ化合物による被包層を形成させ
ることができる。更に、上記の付加体形成及び被包層形
成の後に多官能性イソシアネート化合物を添加して反応
を更に継続することによって、多官能性エポキシ化合物
による被包層の上に多官能性イソシアネート化合物によ
る被包層、又は上記両者の混合被包層を更に形成させる
ことができる。付加体粒子生成反応前又は反応後あるい
は多官能性イソシアネート化合物による被包層の形成反
応前の任意の段階でカルボン酸化合物を添加することに
よって、該カルボン酸化合物が付加体粒子の表面あるい
は多官能性エポキシ化合物による被包層の表面から、分
子レベル的に粒子の内部に侵入して付加体との修飾反応
(イオンコンプレックスの形成と考えられる)が起こ
り、硬化剤粒子の融点を低下させ、低温速硬化性を与え
ることができるものと考えられる。また、後の多官能性
イソシアネート化合物による被包層の形成反応にも寄与
し、より強い被包層を形成させ、硬化剤粒子の耐溶媒性
及び潜在性をより向上させることができる。
【0064】これらの反応が終了した後に、分散液を室
温に冷却して有機溶媒用のスプレードライヤーで噴霧乾
燥するか、強制沈降回収して乾燥すれば、目的とする球
状の硬化剤粒子の粉末が直ちに得られる。
【0065】スプレー乾燥法による硬化剤粒子の回収は
最も効率的である。スプレードライヤーに付属の冷却装
置によって、反応に用いた溶媒はほぼ100%回収で
き、次の反応にリサイクル的に利用することが可能であ
る。したがって、原料コストに使用する溶媒の分がほと
んどかからないことがこのプロセスの大きな特徴のひと
つである。スプレードライヤーを用いない場合には、硬
化剤粒子は溶媒中にかなり安定に分散されていて、また
粒子径も小さいため、通常の濾過法や自然沈降法による
粒子の回収はかなり難しい。この場合、分散系に対して
凝集作用を示す溶媒を添加し、分散粒子を凝集沈降させ
て濾過するかまたは遠心分離すれば、硬化剤粒子を溶媒
から分離することができる。更に所定温度で乾燥すると
粒子はほぼ100%回収できる。用いた溶媒は、分別蒸
留することによってスプレー乾燥法と同様に再利用する
ことができる。
【0066】以下、比較例及び実施例により本発明を更
に詳細に説明する。
【0067】なお、比較例および実施例に用いた硬化剤
粒子の微粉体は、以下に示す方法で調製した。得られた
硬化剤粒子をエポキシ樹脂硬化剤としての性質を調べる
ために、汎用エポキシ樹脂であるエピコート828にほ
ぼ同じアミン濃度となるように配合し、乳鉢で均一混練
して硬化組成物とした。また、高温硬化型硬化剤の硬化
促進剤としての性質を調べるために、エピコート828
に配合して硬化組成物を調製した。その際、高温硬化型
硬化剤として、ジシアンジアミド(Dicy)およびメ
チルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA)を用い、
添加量はそれぞれ8phrおよび85phrであった。
【0068】硬化組成物について、25℃の初期粘度、
各温度における硬化時間および40℃で1週間保存後の
粘度増加倍率を測定した。さらに、硬化組成物の一部を
100℃で1時間、次いで150℃で3時間加熱硬化し
て硬化体を作成し、そのガラス転移温度(Tg)および
沸騰水中における吸水率を測定した。また、一部の試料
を被着体アルミに塗布し、80℃で600分間硬化後の
引張剪断接着強度を測定した。
【0069】測定方法または使用装置は以下の通りであ
った。
【0070】粘度:B型粘度計(東京計器(株))。
【0071】硬化時間:アルミニウム板に試料を約0.
1g垂らし、予め所定温度に調整した通風循環式のオー
ブン中に入れて加熱硬化させ、鉛筆硬度試験でH以上の
硬度を発現するための時間を測定した。
【0072】Tg:熱機械分析装置(TMA,セイコー
電子工業(株)製)を用い、ペネトレーション法にて測
定した。
【0073】沸騰吸水率:直径約40mm,厚さ約4m
mの試料を100℃の沸騰水中に1時間浸漬した後、そ
の重量増加率を測定した。
【0074】引張剪断接着強度:JIS−K6850に
準拠して測定した。
【0075】比較例1 温度計、還流冷却器、滴下漏斗および鋼製プロペラ型撹
拌装置を備えた内容積3,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、キシレン600gと2−メチルイミダゾール
(2MZ)300g(3.654当量)を仕込、撹拌し
ながら温度を120℃に上げて2MZを完全に溶解させ
た。次いで撹拌を続けながら300gのキシレンに68
0gのエポキシ当量186のビスフェノールAジグリシ
ジルエーテル型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ
(株)製、エピコート828、“EP828”と略す
る、3.656当量)を溶解した溶液を、温度120℃
に保ちながら90分間にわたって滴下漏斗より添加し
た。生成した付加体はキシレンに不溶のために、反応の
進行に伴って粘稠な飴状体として析出した。さらに2時
間にわたって反応を続け、反応率がほぼ98%以上に到
達した。次に内容物の温度を室温まで下げて撹拌を停止
し、上層のキシレンを傾斜法で除去してから、フラスコ
の内容物を140℃に加熱し、残留キシレンを10mm
Hgの減圧下で留去した。次いで溶融している付加体を
浅皿に流し込み、室温で冷却して赤褐色の付加体塊を得
た。これをハンマーで粗砕してからジェットミルで繰り
返し粉砕し、最後に分級して黄色の微粉体を得た。この
微粉体の体積平均粒子径を超遠心式自動粒度分布測定装
置(堀場製作所製、CAPA−700)により測定した
ところ、2.9μmであった。
【0076】比較例2 温度計、還流冷却器、滴下漏斗および鋼製プロペラ型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、メチルイソブチルケトン(MIBK)325g
と2−フェニルイミダゾール(2PZ)162.5g
(0.4514当量)を仕込、撹拌しながら温度を10
0℃に上げて2PZを完全に溶解させた。次いで撹拌を
続けながら195gのMIBKに195.2gのエポキ
シ当量173のビスフェノールAジグリシジルエーテル
(ダウ・ケミカル社製、DER332,0.4514当
量)を溶解した溶液を、温度を100℃に保ちながら6
0分間にわたって滴下漏斗より添加した。生成した付加
体はMIBKに不溶のために、反応の進行に伴って粘稠
な飴状体として析出した。さらに4時間にわたって反応
を続け、反応率がほぼ98%以上に到達した。次に内容
物の温度を室温まで下げて撹拌を停止し、上層のMIB
Kを傾斜法で除去してから、フラスコの内容物を100
℃〜140℃に加熱し、残留MIBKを10mmHgの
減圧下で留去した。次いで溶融している付加体を浅皿に
流し込み、室温で冷却して褐色の付加体塊を得た。これ
を比較例1と同じ方法で粉砕・分級して黄色の微粉体を
得、粒子の体積平均粒子径は4.5μmであった。
【0077】比較例3 温度計、バンドヒーターおよび鋼製プロペラ型撹拌装置
を備えた内容積500mlのビーカーに、276.8g
のDER332(1.60当量)を仕込、内容物を撹拌
しながらバンドヒーターで加熱した。内容物の温度が7
0〜75℃に達したら、加熱を止めて室温で液状の2−
エチル−4−メチルイミダゾール(EMI−24)17
6.3g(1.60当量)を一気に添加し、500rp
mで高速撹拌しながら内容物を均一混合させた。内容物
の温度は一度60℃位に下がったが、間もなくすると付
加反応による発熱が観察され、温度は急激に上昇し23
0℃位に到達した。内容物を撹拌しながら徐々に温度を
下げて140℃になった時点で生成した付加体は粘稠な
飴状となり、それを浅皿に流し込み、室温に冷却して赤
褐色の付加体塊を得た。これを比較例1同じ方法で粉砕
・分級して黄色の微粉体を得、粒子の体積平均粒子径は
4.3μmであった。
【0078】上記比較例1〜3の反応においては、アミ
ン化合物/エポキシ化合物付加体粒子は、溶媒中又は無
溶媒中において化学量論的に合成され、続いて溶媒除
去、粉砕、分級して得た破砕状のものであり、何の修飾
反応も行われていないものである。
【0079】比較例4 温度計、還流冷却器、滴下漏斗および鋼製プロペラ型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、MIBK275gと2−フェニルイミダゾール
137.5g(2PZ、0.382当量)を仕込、撹拌
しながら温度を100℃に上げて2PZを完全に溶解さ
せた。次いで撹拌を続けながら2−エチルヘキサン酸の
30%MIBK溶液137.5gを漏斗より滴下し、滴
下終了後、更に同温度で30分間撹拌した。これに、1
65gのMIBKに165.2gのDER332(0.
382当量)を溶解した溶液を、温度を100℃に保ち
ながら30分間にわたって滴下漏斗より添加した。生成
した付加体はMIBKに不溶のために、反応の進行に伴
って粘稠な飴状体として析出した。さらに4時間にわた
って反応を続け、反応率がほぼ98%以上に到達した。
次に内容物の温度を室温まで下げて撹拌を停止し、上層
のMIBKを傾斜法で除去してから、フラスコの内容物
を100℃〜140℃に加熱し、残留MIBKを10m
mHgの減圧下で留去した。次いで溶融している付加体
を浅皿に流し込み、室温で冷却して黄褐色の付加体塊を
得た。これを比較例1と同じ方法で粉砕・分級して黄色
の微粉体を得、粒子の体積平均粒子径は5.2μmであ
った。
【0080】この反応においては、2PZ/DER33
2付加体粒子は比較例2と同様の方法で溶媒中において
化学量論的に合成され、続いて溶媒除去、粉砕、分級し
て得たものである。但し、付加反応開始前にカルボン酸
化合物を付加体に対して14重量%添加して付加体の修
飾を行った。
【0081】比較例5 温度計、バンドヒーターおよび鋼製プロペラ型撹拌装置
を備えた内容積500mlのビーカーに、210.6g
のDER332(1.2173当量)を仕込、内容物を
撹拌しながらバンドヒーターで加熱した。内容物の温度
が70〜75℃に達したら、加熱を止めて89.4gの
EMI−24(0.8115当量)を一気に添加し、4
00rpmで高速撹拌しながら内容物を均一混合させ
た。内容物の温度は一度60℃位に下がったが、間もな
くすると付加反応による発熱が観察され、温度は急激に
上昇し240℃位に到達した。内容物を撹拌しながら徐
々に温度を下げて170℃になった時点で生成した付加
体は粘稠な飴状となり、それを浅皿に流し込み、室温に
冷却して黄褐色の付加体塊を得た。これを比較例1と同
じ方法で粉砕・分級して黄色の微粉体を得、粒子の体積
平均粒子径は5.4μmであった。
【0082】この反応においては、EMI−24/DE
R332付加体粒子は、比較例3と同様の方法で無溶媒
中において多官能性エポキシ化合物過剰(化学量論的な
付加体に対して31重量%)の条件下で合成され、続い
て粉砕、分級して得たものである。
【0083】比較例6 温度計、バンドヒーターおよび鋼製プロペラ型撹拌装置
を備えた内容積500mlのビーカーに、210.6g
のDER332(1.2173当量)を仕込、内容物を
撹拌しながらバンドヒーターで加熱した。内容物の温度
が70〜75℃に達したら、加熱を止めて2−エチル−
4−メチルイミダゾール(EMI−24)89.4g
(0.8115当量)を一気に添加し、400rpmで
高速撹拌しながら内容物を均一混合させた。内容物の温
度は一度60℃位に下がったが、間もなくすると付加反
応による発熱が観察され、温度は急激に上昇し240℃
位に到達した。内容物を撹拌しながら徐々に温度を下げ
て190℃になった時点で46.8gの2−エチルヘキ
サン酸をスポイトよりゆっくりと滴下し、140℃で付
加体は粘稠な飴状となり、それを浅皿に流し込み、室温
に冷却して黄褐色の付加体塊を得た。これを比較例1と
同じ方法で粉砕・分級して黄色の微粉体を得、粒子の体
積平均粒子径は5.8μmであった。
【0084】この反応においては、EMI−24/DE
R332付加体粒子は、比較例3と同様の方法で無溶媒
中において多官能性エポキシ化合物過剰(化学量論的な
付加体に対して31重量%)の条件下で合成され、更に
付加反応終了後にカルボン酸化合物を付加体に対して2
0重量%添加して付加体の修飾を行い、最後に粉砕、分
級して得たものである。
【0085】比較例7 温度計、還流冷却器及びテフロン製半月型撹拌装置を備
えた内容積1,000mlの三つ口丸底フラスコに、2
8.0gの2−メチルイミダゾール(2MZ、0.34
当量)及び分散安定剤としてポリ((スチレン−co−
グリシジルメタクリレート)−g−メチルメタクリレー
ト)のグラフト共重合体(東亜合成株式会社製、レゼダ
GP−300)4.54gを仕込み、これに542.5
3gのMIBKを加えてから、温度を70℃に上げて完
全に溶解した。次いでエピコート828の50%MIB
K溶液125.60g(0.34当量)を加え、内容物
を300rpmの速度で撹拌しながら70℃で9時間反
応させた。当初無色透明であった反応液は、反応時間が
経過するにつれて次第に乳白色・不透明な液に変化し、
反応終期においてはクリーム色を帯びた乳白色の分散液
となった。
【0086】70℃で9時間の反応で反応率100%に
達したら、室温に冷却し、有機溶剤系用スプレードライ
ヤー(ヤマト科学株式会社製、GS−31型)で噴霧乾
燥して、硬化剤粒子を回収した。噴霧乾燥の条件は次の
通りであった。
【0087】乾燥チャンバー入口温度:100℃ 乾燥チャンバー出口温度: 74℃ コンデンサー出口温度: 16℃ 噴霧ノズル径: 0.4mm 噴霧圧力: 1.2kg/cm2 熱風流量: 0.5m3/分 送液速度: 10g/分 この噴霧乾燥により、ほぼ理論量の硬化剤粒子が白色の
乾燥粉末として回収された。走査型電子顕微鏡による観
察では、硬化剤粒子はほぼ一次粒子のままで回収されて
いることがわかった。また、超遠心式自動粒度分布測定
装置(堀場製作所製、CAPA−700)による測定
で、得られた硬化剤粒子の体積平均粒子径は2.8μm
であった。また、溶媒としてMIBKの回収率は99.
2%であった。
【0088】比較例8 温度計、還流冷却器およびテフロン製半月型撹拌装置を
備えた内容積1,000mlの三つ口丸底フラスコに、
40.37gの2−フェニルイミダゾール(2PZ,
0.280当量)及び4.44gのレゼダGP−300
を仕込、これに543.6gのMIBKを加えてから、
温度を70℃に上げて完全に溶解した。次いでDER3
32の50%MIBK溶液96.88g(0.280当
量)を加え、内容物を300rpmの速度で撹拌しなが
ら70℃で15時間反応させた。当初無色透明の反応液
は、反応時間が経過するにつれて次第に乳白色・不透明
な液に変化し、反応終期においてはクリーム色の均一か
つ安定な分散液となった。こうして合成した硬化剤粒子
の分散液を2,000mlのビーカーに移し、内容物を
撹拌しながら約50mlのn−ヘキサンを徐々に加え、
分散粒子を凝集沈降させた。粒子をガラスフィルターで
濾別し、さらに50℃で2日間真空乾燥してクリーム色
を帯びた白色の粉体を95.5%の収率で得た。得られ
た硬化剤粒子の体積平均粒子径は3.8μmであった。
【0089】上記比較例7と8の反応においては、アミ
ン化合物/エポキシ化合物付加体粒子は、有機溶媒中に
おいて沈殿又は分散付加反応により化学量論的に合成さ
れた球状のものであり、何の修飾反応も行われていない
ものである。
【0090】比較例9 温度計、還流冷却器およびテフロン製半月型撹拌装置を
備えた内容積1,000mlの三つ口丸底フラスコに、
24.0gの2−メチルイミダゾール及び3.90gの
レゼダGP−300を仕込、これに465.03gのM
IBKを加えてから、温度を70℃に上げて完全に溶解
した。次いでエピコート828の50%MIBK溶液1
07.66gを加え、内容物を300rpmの速度で撹
拌しながら70℃で9時間反応させた。これにエピコー
ト828の50%MIBK溶液51.01g及び洗浄用
のMIBK21.43gを添加し、更に同温度で4時間
反応させて反応率をほぼ100%まで到達させた。反応
終期においては、外観上比較例7とほぼ変わらない均一
かつ安定な分散液となった。こうして合成した硬化剤粒
子の分散液を比較例7と同じ条件で噴霧乾燥し、乾燥し
た白色の粉末を定量的に得た。得られた硬化剤粒子の体
積平均粒子径は3.0μmであった。
【0091】この反応においては、硬化剤粒子は、比較
例7と同様の2MZ/EP828付加体粒子を100%
の収率で合成した後に、多官能性エポキシ化合物を付加
体に対して33重量%添加して2段法で合成したもので
ある。
【0092】比較例10 温度計、還流冷却器およびテフロン製半月型撹拌装置を
備えた内容積1,000mlの三つ口丸底フラスコに、
40.37gの2−フェニルイミダゾール(2PZ、
0.280当量)及び4.44gのレゼダGP−300
を仕込、これに543.6gのMIBKを加えてから、
温度を70℃に上げて完全に溶解した。次いでDER3
32の50%MIBK溶液96.88g(0.280当
量)を加え、内容物を300rpmの速度で撹拌しなが
ら70℃で18時間反応させた。当初無色透明の反応液
は、反応時間が経過するにつれて次第に乳白色・不透明
な液に変化し、クリーム色の均一かつ安定な分散液とな
った。これにエピコート828の50%MIBK溶液4
4.50g及び洗浄用のMIBK20.0gを2次添加
し、更に同温度で6時間反応させた。反応終期において
はクリーム色の均一かつ安定な分散液となった。こうし
て合成した硬化剤粒子の分散液を比較例8と同じ方法で
n−ヘキサンによる分散粒子の凝集沈降回収を行い、粒
子をガラスフィルターで濾別し、更に50℃で2日間真
空乾燥してクリーム色を帯びた白色の粉体をほぼ定量的
に得た。得られた硬化剤粒子の体積平均粒子径は4.0
μmであった。
【0093】この反応においては、硬化剤粒子は、比較
例8と同様の2PZ/DER332付加体粒子をほぼ1
00%の収率で合成した後に、多官能性エポキシ化合物
を付加体に対して25重量%添加して2段法で合成した
ものである。
【0094】比較例11 温度計、還流冷却器、滴下漏斗およびテフロン製半月型
撹拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フ
ラスコに、24.0gの2−メチルイミダゾール(2M
Z、0.29当量)及び3.90gのレゼダGP−30
0を仕込、これに465.03gのMIBKを加えてか
ら、温度を70℃に上げて完全に溶解した。次いでエピ
コート828の50%MIBK溶液107.66g
(0.29当量)を加え、内容物を300rpmの速度
で撹拌しながら70℃で9時間反応させた。これにエピ
コート828の50%MIBK溶液51.01g及び洗
浄用のMIBK21.43gを2次添加し、更に同温度
で4時間反応させ、反応率をほぼ100%まで到達させ
た。これに2−エチルヘキサン酸の30%MIBK溶液
35.77gを漏斗よりゆっくりと滴下し、滴下終了後
更に同温度で3時間反応させた。反応終期においては、
外観上比較例7に比べて白色度が増し、均一かつ安定な
分散液となった。こうして合成した硬化剤粒子の分散液
を比較例8と同じ方法でn−ヘキサンによる分散粒子の
凝集沈降回収を行い、粒子をガラスフィルターで濾別
し、更に40℃で2日間真空乾燥して白色の粉体を得
た。得られた硬化剤粒子の体積平均粒子径は3.0μm
であった。
【0095】この反応においては、硬化剤粒子は、比較
例9と同様、多官能性エポキシ化合物を2MZ/EP8
28付加体に対して33重量%添加して2段法で反応さ
せた後、カルボン酸化合物による付加体粒子の修飾反応
を行ったものである。カルボン酸化合物の添加量は、付
加体に対して14重量%であった。
【0096】比較例12 温度計、還流冷却器、滴下漏斗およびテフロン製半月型
撹拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フ
ラスコに、40.37gの2−フェニルイミダゾール
(2PZ、0.280当量)及び4.44gのレゼダG
P−300を仕込、これに543.6gのMIBKを加
えてから、温度を70℃に上げて完全に溶解した。次い
で撹拌を続けながら、イソ酪酸の30%MIBK溶液4
0.37gを漏斗より滴下し、滴下終了後更に同温度で
30分間撹拌した。これにDER332の50%MIB
K溶液96.88g(0.280当量)を加え、内容物
を300rpmの速度で撹拌しながら70℃で18時間
反応させた。当初無色透明の反応液は、反応時間が経過
するにつれて次第に乳白色・不透明な液に変化し、クリ
ーム色の均一かつ安定な分散液となった。これにエピコ
ート828の50%MIBK溶液44.50g及び洗浄
用のMIBK20.0gを2次添加し、更に同温度で5
時間反応させた。反応終期においてはクリーム色を帯び
た乳白色の均一かつ安定な分散液となった。こうして合
成した硬化剤粒子の分散液を比較例8と同じ方法でn−
ヘキサンによる分散粒子の凝集沈降回収を行い、粒子を
ガラスフィルターで濾別し、更に45℃で2日間真空乾
燥してクリーム色を帯びた白色の粉体をほぼ定量的に得
た。得られた硬化剤粒子の体積平均粒子径は4.2μm
であった。
【0097】この反応においては、硬化剤粒子は、比較
例10と同様、多官能性エポキシ化合物を2PZ/DE
R332付加体に対して25重量%添加して2段法で反
応させたものである。但し、付加体粒子を合成する前に
カルボン酸化合物を付加体に対して14重量%添加して
付加体の修飾を行った。
【0098】実施例1 温度計、還流冷却器、滴下漏斗及びテフロン製半月型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、比較例1で製造された平均粒子径2.9μmの
2MZ/EP828付加体粒子の微粉体80.0gを仕
込み、これに530.03gのシクロヘキサン及び分散
安定剤として6.0gのICI株式会社製ハイパーマー
LP8(4級化アミン変性ポリエステルの40%トルエ
ン溶液)を加えてから、内容物を400rpmの速度で
撹拌しながら温度を60℃に上げて完全に分散させた。
これにエピコート828の50%MIBK溶液52.5
0gを漏斗より60分間にわたって滴下し、滴下終了後
更に同温度で8時間反応させた。これに2−エチルヘキ
サン酸の30%シクロヘキサン溶液36.80gを漏斗
よりゆっくりと滴下し、滴下終了後、更に同温度で4時
間反応させた。最後に、メチレンジフェニルジイソシア
ネート(MDI、日本ポリウレタン工業株式会社製、ミ
リオネートMT)の10%シクロヘキサン溶液82.7
0gを漏斗より120分間かけて滴下し、滴下終了後、
更に同温度で20時間反応させ、反応率をほぼ100%
まで到達させた。反応終期においては、クリーム色を呈
する均一の分散液となった。こうして合成した硬化剤粒
子の分散液を2,000mlのビーカーに移し、一晩静
置沈降させ、粒子をガラスフィルターで濾別し、更に4
5℃で2日間真空乾燥して淡黄色の粉体を得た。得られ
た硬化剤粒子の体積平均粒子径は3.2μmであった。
【0099】本実施例においては、比較例1の溶液付加
反応、続いて溶媒除去、粉砕、分級して製造された化学
量論的な2MZ/EP828の破砕状付加体粒子を溶媒
中に再分散し、多官能性エポキシ化合物33重量%、カ
ルボン酸化合物14重量%及び多官能性イソシアネート
化合物10重量%を順に添加して更に反応を行った。 実施例2 温度計、還流冷却器、滴下漏斗及びテフロン製半月型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、比較例2で製造された平均粒子径4.5μmの
2PZ/DER332付加体粒子の微粉体80.0gを
仕込み、これに530.0gのシクロヘキサン及び分散
安定剤として6.0gのハイパーマーLP8を加えてか
ら、内容物を400rpmの速度で撹拌しながら温度を
50℃に上げて完全に分散させた。これに2−エチルヘ
キサン酸の30%シクロヘキサン溶液36.34gを漏
斗よりゆっくりと滴下し、滴下終了後、更に同温度で5
時間反応させた。これにエピコート828の50%MI
BK溶液40.0gを漏斗より60分間にわたって滴下
し、滴下終了後更に同温度で15時間反応させた。次
に、内容物の温度を60℃に上げてメチレンジフェニル
ジイソシアネート(MDI、ミリオネートMT)の10
%シクロヘキサン溶液88.0gを漏斗より120分間
かけて滴下し、滴下終了後更に同温度で20時間反応さ
せ、反応率をほぼ100%まで到達させた。反応終期に
おいては、淡黄褐色を呈する均一の分散液となった。こ
うして合成した硬化剤粒子の分散液を2,000mlの
ビーカーに移し、一晩静置沈降させ、粒子をガラスフィ
ルターで濾別し、更に45℃で2日間真空乾燥して淡黄
色の粉体を得た。得られた硬化剤粒子の体積平均粒子径
は4.9μmであった。
【0100】本実施例においては、比較例2の溶液付加
反応、続いて溶媒除去、粉砕、分級して製造された化学
量論的な2PZ/DER332の破砕状付加体粒子を溶
媒中に再分散し、カルボン酸化合物14重量%、多官能
性エポキシ化合物25重量%及び多官能性イソシアネー
ト化合物11重量%を順に添加して更に反応を行った。
【0101】実施例3 温度計、還流冷却器、滴下漏斗及びテフロン製半月型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、比較例4で製造された平均粒子径5.2μmの
2PZ/DER332/2−エチルヘキサン酸の付加体
粒子の微粉体90.9gを仕込み、これに600.0g
のシクロヘキサン及び分散安定剤として6.8gのハイ
パーマーLP8を加えてから、内容物を400rpmの
速度で撹拌しながら温度を50℃に上げて完全に分散さ
せた。これにエピコート828の50%MIBK溶液4
0.0gを漏斗より60分間にわたって滴下し、滴下終
了後、更に同温度で15時間反応させた。次に、内容物
の温度を60℃に上げてメチレンジフェニルジイソシア
ネート(MDI、ミリオネートMT)の10%シクロヘ
キサン溶液88.0gを漏斗より120分間かけて滴下
し、滴下終了後更に同温度で20時間反応させ、反応率
をほぼ100%まで到達させた。反応終期においては、
淡黄褐色を呈する均一の分散液となった。こうして合成
した硬化剤粒子の分散液を2,000mlのビーカーに
移し、一晩静置沈降させ、粒子をガラスフィルターで濾
別し、更に45℃で2日間真空乾燥して淡黄色の粉体を
得た。得られた硬化剤粒子の体積平均粒子径は5.4μ
mであった。
【0102】本実施例においては、硬化剤粒子は、溶媒
中における化学量論的な2PZ/DER332付加体の
合成前にカルボン酸化合物を14重量%添加し、付加反
応終了後に溶媒除去、粉砕、分級して製造された破砕状
の付加体粒子を溶媒中に再分散し、更に多官能性エポキ
シ化合物25重量%及び多官能性イソシアネート化合物
11重量%を順に加えて反応させることによって調製さ
れたものである。
【0103】実施例4 温度計、還流冷却器、滴下漏斗及び鋼製プロペラ型撹拌
装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラス
コに、MIBK275gと2−フェニルイミダゾール1
37.5g(2PZ、0.382当量)を仕込み、撹拌
しながら温度を100℃に上げて2PZを完全に溶解さ
せた。次いで、撹拌を続けながら、165gのMIBK
に165.2gのDER332(0.382当量)を溶
解した溶液を、温度を100℃に保ちながら30分間に
わたって滴下漏斗より添加した。生成した付加体はMI
BKに不溶のために、反応の進行に伴って粘稠な飴状体
として析出した。更に4時間にわたって反応を続け、反
応率がほぼ98%以上に到達した。これに、2−エチル
ヘキサン酸41.3gを漏斗より滴下し、滴下終了後更
に同温度で3時間撹拌した。次に、内容物の温度を室温
まで下げて撹拌を停止し、上層のMIBKを傾斜法で除
去してから、フラスコの内容物を100℃〜140℃に
加熱し、残留MIBKを10mmHgの減圧下で留去し
た。次いで、溶融している付加体を浅皿に流し込み、室
温に冷却して黄褐色の付加体塊を得た。これを比較例1
と同じ方法で粉砕・分級して黄色の微粉体を得、粒子の
体積平均粒子径は4.6μmであった。
【0104】上記で製造された付加体粒子の微粉体9
0.9gを、再び、温度計、還流冷却器、滴下漏斗及び
テフロン製半月型撹拌装置を備えた内容積1,000m
lの四つ口丸底フラスコに仕込み、これに600.0g
のシクロヘキサン及び分散安定剤として6.8gのハイ
パーマーLP8を加えてから、内容物を400rpmの
速度で撹拌しながら温度を50℃に上げて完全に分散さ
せた。これにエピコート828の50%MIBK溶液4
0.0gを漏斗より60分間にわたって滴下し、滴下終
了後、更に同温度で15時間反応させた。次に、内容物
の温度を60℃に上げてメチレンジフェニルジイソシア
ネート(MDI、ミリオネートMT)の10%シクロヘ
キサン溶液88.0gを漏斗より120分間かけて滴下
し、滴下終了後更に同温度で20時間反応させ、反応率
をほぼ100%まで到達させた。反応終期においては、
淡黄褐色を呈する均一の分散液となった。こうして合成
した硬化剤粒子の分散液を2,000mlのビーカーに
移し、一晩静置沈降させ、粒子をガラスフィルターで濾
別し、更に45℃で2日間真空乾燥して淡黄色の粉体を
得た。得られた硬化剤粒子の体積平均粒子径は4.8μ
mであった。
【0105】本実施例においては、硬化剤粒子は、溶媒
中における化学量論的な2PZ/DER332付加体の
合成後にカルボン酸化合物を14重量%添加して反応さ
せ、続いて溶媒除去、粉砕、分級して製造された破砕状
の付加体粒子を溶媒中に再分散し、更に多官能性エポキ
シ化合物25重量%及び多官能性イソシアネート化合物
11重量%を順に加えて反応させることによって調製さ
れたものである。
【0106】実施例5 温度計、還流冷却器、滴下漏斗及びテフロン製半月型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、比較例6で製造された平均粒子径5.2μmの
EMI−24/DER332/2−エチルヘキサン酸の
付加体粒子の微粉体100.0gを仕込み、これに65
0.0gのn−ヘキサンを加えてから、内容物を500
rpmの速度で高速撹拌しながら温度を40℃に上げて
完全に分散させた。これにメチレンジフェニルジイソシ
アネート(MDI、ミリオネートMT)の10%n−ヘ
キサン69.0gを漏斗より4時間かけてゆっくりと滴
下し、滴下終了後、更に同温度で24時間反応させ、反
応率をほぼ100%まで到達させた。反応終期において
は、淡黄褐色を呈する均一の分散液となった。こうして
合成した硬化剤粒子の分散液を2,000mlのビーカ
ーに移し、一晩静置沈降させ、粒子をガラスフィルター
で濾別し、更に45℃で2日間真空乾燥して淡黄色の粉
体を得た。得られた硬化剤粒子の体積平均粒子径は5.
5μmであった。
【0107】本実施例においては、硬化剤粒子は、無溶
媒中においてEMI−24/DER332付加体を合成
する際に、多官能性エポキシ化合物31重量%過剰の条
件を用い、更に付加体合成後にカルボン酸化合物を20
重量%添加して反応させ、続いて粉砕、分級して製造さ
れた破砕状の付加体粒子を溶媒中に再分散し、更に多官
能性イソシアネート化合物10重量%を加えて反応させ
ることによって調製されたものである。
【0108】実施例6 温度計、還流冷却器、滴下漏斗及びテフロン製半月型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、比較例5で製造された平均粒子径5.4μmの
EMI−24/DER332の付加体粒子の微粉体8
6.5gを仕込み、これに580.0gのn−ヘキサン
を加えてから、内容物を500rpmの速度で高速撹拌
しながら温度を40℃に上げて完全に分散させた。これ
に2−エチルヘキサン酸の30%n−ヘキサン45.0
gを漏斗よりゆっくりと滴下し、滴下終了後、更に同温
度で5時間反応させた。次に、メチレンジフェニルジイ
ソシアネート(MDI、ミリオネートMT)の10%n
−ヘキサン溶液69.0gを漏斗より4時間かけてゆっ
くり滴下し、滴下終了後更に同温度で24時間反応さ
せ、反応率をほぼ100%まで到達させた。反応終期に
おいては、淡黄褐色を呈する均一の分散液となった。こ
うして合成した硬化剤粒子の分散液を2,000mlの
ビーカーに移し、一晩静置沈降させ、粒子をガラスフィ
ルターで濾別し、更に45℃で2日間真空乾燥して淡黄
色の粉体を得た。得られた硬化剤粒子の体積平均粒子径
は5.8μmであった。
【0109】本実施例においては、硬化剤粒子は、無溶
媒中において多官能性エポキシ化合物31重量%過剰の
条件下でEMI−24/DER332付加体を合成し、
続いて粉砕、分級して製造された破砕状の付加体粒子を
溶媒中に再分散し、更にカルボン酸化合物20重量%及
び多官能性イソシアネート化合物10重量%を順に加え
て反応させることによって調製されたものである。
【0110】実施例7 温度計、還流冷却器、滴下漏斗及びテフロン製半月型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、24.0gの2−メチルイミダゾール(2M
Z、0.29当量)及び3.90gのレゼダGP−30
0を仕込み、これに465.03gのMIBKを加えて
から、温度を70℃に上げて完全に溶解した。次いでエ
ピコート828の50%MIBK溶液107.66g
(0.29当量)を加え、内容物を300rpmの速度
で撹拌しながら70℃で9時間反応させた。これにエピ
コート828の50%MIBK溶液51.01g及び洗
浄用のMIBK21.43gを2次添加し、更に同温度
で4時間反応させた。これに2−エチルヘキサン酸の3
0%MIBK溶液35.77gを漏斗よりゆっくりと滴
下し、滴下終了後、更に同温度で3時間反応させた。最
後に、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI、
ミリオネートMT)の10%MIBK溶液64.34g
を漏斗より40分間かけて滴下し、滴下終了後、更に同
温度で8時間反応させ、反応率をほぼ100%まで到達
させた。反応終期においては、若干クリーム色を帯びた
乳白色を呈する均一かつ安定な分散液となった。こうし
て合成した硬化剤粒子の分散液を比較例8と同じくn−
ヘキサンによる粒子の凝集沈降回収及び真空乾燥を行
い、乾燥した白色の粉末をほぼ定量的に得た。得られた
硬化剤粒子の体積平均粒子径は3.1μmであった。
【0111】この反応においては、硬化剤粒子は、比較
例11と同様、付加反応終了後に更に多官能性エポキシ
化合物を化学量論的な2MZ/EP828付加体の球状
粒子に対して33重量%添加して2段法で反応させた
後、カルボン酸化合物を14重量%加えて付加体粒子の
修飾反応を行ったものである。但し、最後に更に多官能
性イソシアネート化合物8重量%で処理反応を行った。
【0112】実施例8 温度計、還流冷却器、滴下漏斗及びテフロン製半月型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、24.0gの2−メチルイミダゾール及び3.
90gのレゼダGP−300を仕込み、これに465.
03gのMIBKを加えてから、温度を70℃に上げて
完全に溶解した。次いでエピコート828の50%MI
BK溶液107.66gを加え、内容物を300rpm
の速度で撹拌しながら70℃で9時間反応させた。これ
にエピコート828の50%MIBK溶液51.01g
及び洗浄用のMIBK21.43gを2次添加し、更に
同温度で4時間反応させた。これに2−エチルヘキサン
酸の30%MIBK溶液71.50gを漏斗よりゆっく
りと滴下し、滴下終了後、更に同温度で3時間反応させ
た。最後に、メチレンジフェニルジイソシアネート(M
DI、ミリオネートMT)の10%MIBK溶液85.
80gを漏斗より60分間かけて滴下し、滴下終了後、
更に同温度で9時間反応させ、反応率をほぼ100%ま
で到達させた。反応終期においては、外観上実施例7と
ほぼ変わらない均一かつ安定な分散液となった。こうし
て合成した硬化剤粒子の分散液を比較例8と同様に、n
−ヘキサンによる粒子の凝集沈降回収及び真空乾燥を行
い、乾燥した白色の粉末をほぼ定量的に得た。得られた
硬化剤粒子の体積平均粒子径は3.2μmであった。
【0113】この反応においては、化学量論的な2MZ
/EP828付加体の球状粒子を合成した後に、更に付
加体に対して多官能性エポキシ化合物を33重量%添加
して2段法で反応させた後に、カルボン酸化合物を28
重量%加えて反応させ、更に多官能性イソシアネート化
合物11重量%で処理反応を行った。
【0114】実施例9 温度計、還流冷却器、滴下漏斗及びテフロン製半月型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、24.0gの2−メチルイミダゾール(0.2
92当量)及び3.90gのレゼダGP−300を仕込
み、これに528.52gのMIBKを加えてから、温
度を70℃に上げて完全に溶解した。次いでエピコート
828の50%MIBK溶液158.67g(0.42
7当量)を加え、内容物を300rpmの速度で撹拌し
ながら70℃で10時間反応させた。これに2−エチル
ヘキサン酸の30%MIBK溶液71.50gを漏斗よ
りゆっくりと滴下し、滴下終了後、更に同温度で3時間
反応させた。最後に、メチレンジフェニルジイソシアネ
ート(MDI、ミリオネートMT)の10%MIBK溶
液85.80gを漏斗より60分間かけて滴下し、滴下
終了後、更に同温度で9時間反応させ、反応率をほぼ1
00%まで到達させた。反応終期においては、外観上実
施例8とほぼ変わらない均一かつ安定な分散液となっ
た。こうして合成した硬化剤粒子の分散液を比較例8と
同様に、n−ヘキサンによる粒子の凝集沈降回収及び真
空乾燥を行い、乾燥した白色の粉末をほぼ定量的に得
た。得られた硬化剤粒子の体積平均粒子径は3.2μm
であった。
【0115】この反応においては、2MZ/EP828
付加体の球状粒子を合成する際に、化学量論的な付加体
に対して多官能性エポキシ化合物を33重量%添加して
1段法で反応させた後に、更にカルボン酸化合物を28
重量%加えて反応させ、最後に多官能性イソシアネート
化合物11重量%で処理反応を行った。
【0116】実施例10 温度計、還流冷却器、滴下漏斗及びテフロン製半月型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、24.0gの2−メチルイミダゾール及び3.
90gのレゼダGP−300を仕込み、これに465.
03gのMIBKを加えてから、温度を70℃に上げて
完全に溶解した。次いでエピコート828の50%MI
BK溶液107.66gを加え、内容物を300rpm
の速度で撹拌しながら70℃で9時間反応させた。これ
にエピコート828の50%MIBK溶液51.01g
及び洗浄用のMIBK21.43gを2次添加し、更に
同温度で4時間反応させた。これに2−エチルヘキサン
酸の30%MIBK溶液142.97gを漏斗よりゆっ
くりと滴下し、滴下終了後、更に同温度で3時間反応さ
せた。最後に、メチレンジフェニルジイソシアネートの
ホルマリン縮合体(p−MDI、日本ポリウレタン工業
株式会社製、ミリオネートMR−300)の10%MI
BK溶液107.20gを漏斗より2時間かけて滴下
し、滴下終了後、更に同温度で10時間反応させ、反応
率をほぼ100%まで到達させた。反応終期において
は、外観上実施例7とほぼ変わらない均一かつ安定な分
散液となった。こうして合成した硬化剤粒子の分散液を
比較例8と同様に、n−ヘキサンによる粒子の凝集沈降
回収及び真空乾燥を行い、乾燥した白色の粉末を得た。
得られた硬化剤粒子の体積平均粒子径は3.3μmであ
った。
【0117】この反応においては、化学量論的な2MZ
/EP828付加体の球状粒子を合成した後に、更に付
加体に対して多官能性エポキシ化合物を33重量%添加
して2段法で反応させた後に、カルボン酸化合物を55
重量%加えて反応させ、最後に多官能性イソシアネート
化合物14重量%で処理反応を行った。
【0118】実施例11 温度計、還流冷却器、滴下漏斗及びテフロン製半月型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、40.37gの2−フェニルイミダゾール(2
PZ、0.280当量)及び4.44gのレゼダGP−
300を仕込み、これに543.6gのMIBKを加え
てから、温度を70℃に上げて完全に溶解した。次いで
撹拌を続けながら、イソ酪酸の30%MIBK溶液4
0.37gを漏斗より滴下し、滴下終了後更に同温度で
30分間撹拌した。これにDER332の50%MIB
K溶液96.88g(0.280当量)を加え、内容物
を300rpmの速度で撹拌しながら70℃で18時間
反応させた。これにエピコート828の50%MIBK
溶液44.50g及び洗浄用のMIBK20.0gを2
次添加し、更に同温度で5時間反応させた。最後にトリ
レンジイソシアネート(TDJ、日本ポリウレタン工業
株式会社製、コロネートT−100)の10%MIBK
溶液88.81gを漏斗より60分間かけて滴下し、滴
下終了後、更に同温度で10時間反応させ、反応率をほ
ぼ100%まで到達させた。反応終期においては、クリ
ーム色を帯びた乳白色の均一かつ安定な分散液となっ
た。こうして合成した硬化剤粒子の分散液を比較例8と
同じ方法でn−ヘキサンによる分散粒子の凝集沈降回収
を行い、粒子をガラスフィルターで濾別し、更に45℃
で2日間真空乾燥してクリーム色を帯びた白色の粉体を
ほぼ定量的に得た。得られた硬化剤粒子の体積平均粒子
径は4.3μmであった。
【0119】この反応においては、化学量論的な2PZ
/DER332付加体の球状粒子を合成する際に、付加
反応開始前にカルボン酸化合物を付加体に対して14重
量%添加し、付加反応終了後に更に多官能性エポキシ化
合物を25重量%加えて反応させ、最後に多官能性イソ
シアネート化合物10重量%で処理反応を行った。
【0120】実施例12 温度計、還流冷却器、滴下漏斗及びテフロン製半月型撹
拌装置を備えた内容積1,000mlの四つ口丸底フラ
スコに、40.37gの2−フェニルイミダゾール(2
PZ、0.280当量)及び4.44gのレゼダGP−
300を仕込み、これに543.6gのMIBKを加え
てから、温度を70℃に上げて完全に溶解した。次いで
撹拌を続けながら、DER332の50%MIBK溶液
96.88g(0.280当量)を加え、内容物を30
0rpmの速度で撹拌しながら70℃で18時間反応さ
せた。次に、イソ酪酸の30%MIBK溶液40.37
gを漏斗よりゆっくり滴下し、滴下終了後更に同温度で
3時間反応させた。これにエピコート828の50%M
IBK溶液44.50g及び洗浄用のMIBK20.0
gを2次添加し、更に同温度で5時間反応させた。最後
にトリレンジイソシアネート(TDJ、コロネートT−
100)の10%MIBK溶液88.81gを漏斗より
60分間かけて滴下し、滴下終了後、更に同温度で10
時間反応させ、反応率をほぼ100%まで到達させた。
反応終期においては、外観上実施例11とほぼ変わらな
い均一かつ安定な分散液となった。こうして合成した硬
化剤粒子の分散液を比較例8と同じ方法でn−ヘキサン
による分散粒子の凝集沈降回収を行い、粒子をガラスフ
ィルターで濾別し、更に45℃で2日間真空乾燥してク
リーム色を帯びた白色の粉体をほぼ定量的に得た。得ら
れた硬化剤粒子の体積平均粒子径は4.3μmであっ
た。
【0121】この反応においては、2PZ/DER33
2付加体の球状粒子を化学量論的に合成し、付加反応終
了後にカルボン酸化合物を付加体に対して14重量%添
加し、反応終了後に更に多官能性エポキシ化合物を25
重量%加えて反応させ、最後に多官能性イソシアネート
化合物10重量%で処理反応を行った。
【0122】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】 本発明のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、アミン化合物
/エポキシ化合物付加体を合成する際に、反応の過程に
おいて過剰の多官能性エポキシ化合物並びに多官能性イ
ソシアネート化合物で作用させる方法において、多官能
性イソシアネート化合物の添加前の任意の時点におい
て、カルボン酸化合物を反応系に加えて反応させること
を特徴とするが、その効果は表1〜8に示されている。
【0123】表1と表2には、それぞれ従来の溶液付加
反応(溶媒中で合成、実施例1〜4)とバルク付加反応
(無溶媒で合成、実施例5及び6)で合成した粉砕型硬
化剤粒子及び本願出願人が提案した有機溶媒中における
沈殿又は分散付加反応(実施例7〜12)によって合成
された球状の硬化剤粒子の調製条件と結果、及び硬化剤
としての性質が比較例と一緒に示されている。また、ジ
シアンジアミド(Dicy)と酸無水物(MHHPA)
の硬化促進剤としての性質が、それぞれ表3、表4及び
表5、表6に示されている。
【0124】表1から明らかなように、従来の溶液付加
反応(比較例1及び2)とバルク付加反応(比較例
3)、続いて溶媒除去、粉砕、分級の方法(「粉砕法」
と称する)によって化学量論的に合成され、何の処理も
していないアミン化合物/エポキシ化合物付加体の破砕
状の硬化剤粒子から調製したエポキシ樹脂硬化組成物
は、低温(80〜100℃)における硬化性が良好であ
るが、貯蔵安定性は極めて悪い欠点がある。また、表2
に示すように、有機溶媒中における沈殿又は分散付加反
応(「沈殿法」と称する)で合成した球状の硬化剤粒子
の場合(比較例7及び8)は、貯蔵安定性が若干よくな
っているが十分ではない。更に、反応の過程中に多官能
性エポキシ化合物を過剰添加して反応させたもの(比較
例9及び10)は、潜在性がかなり改良されたが、80
℃の低温における硬化性は損なわれる。
【0125】本発明者らは、アミン化合物/エポキシ化
合物付加体にカルボン酸化合物を作用させると付加体の
低温における反応性を著しく高めることが可能であるこ
とを見出した。この硬化反応の促進効果は、カルボン酸
化合物が付加体の3級アミノ基とイオンコンプレックス
を形成して反応性を増大させることが原因として考えら
れるが、付加体の融点の低下をもたらすことも原因であ
ると考えられる。例えば、化学量論的に合成された比較
例2の2−フェニルイミダゾール(2PZ)/ビスフェ
ノールAジグリシジルエーテル(DER332)付加体
のDSC(示差走査熱量計法)による融点は約82℃で
あるが、2−エチルヘキサン酸を14%添加して反応さ
せて得られた生成物(比較例4)の融点は55℃位に低
下する。また、この効果は他のアミン化合物/エポキシ
化合物付加体及び他のカルボン酸化合物を用いても観察
される。したがって、この効果を前記の系に適用し、カ
ルボン酸化合物を添加して更に反応させた場合(表1の
比較例6及び表2の比較例11及び12)は、低温にお
ける速硬化性は問題がなくなるが、反応性は高すぎるた
めに潜在性が失われる。
【0126】このように、アミン化合物/エポキシ化合
物付加体を化学量論的に反応させた場合、又はかかる反
応によって得られた付加体粒子に更なる多官能性エポキ
シ化合物のみを反応させた場合、あるいは該付加体を多
官能性エポキシ化合物過剰の条件下で反応させた場合、
あるいは更なる多官能性エポキシ化合物及びカルボン酸
化合物の2成分を反応させた場合には、低温硬化性及び
潜在性を共に満足する硬化剤粒子を得ることができなか
った。これに対して、表1の実施例1〜6と表2の実施
例7〜12に示すように、本発明において、付加体粒子
の調製方式に関係なく、更なる多官能性エポキシ化合
物、カルボン酸化合物及び多官能性イソシアネート化合
物の3成分を必須成分として作用させることによって、
得られた硬化剤粒子の低温硬化性を保持したまま、その
潜在性を大幅に改良することができた。本発明によって
製造された硬化剤粒子を添加したエポキシ樹脂硬化組成
物は、40℃で1週間保存してもほとんど増粘せず、貯
蔵安定性がかなり優れていることが観察された。更に、
用いた更なる多官能性エポキシ化合物、カルボン酸化合
物及び多官能性イソシアネート化合物の添加量を調節す
ることによって、貯蔵安定性及び低温速硬化性がより向
上したもの(実施例2、3、8、9、10及び12)を
得ることも可能であった。これらの硬化剤は、80℃に
おいて約30分間程度でエポキシ樹脂硬化組成物を硬化
させることができ、元の付加体(比較例2、7及び8)
よりも優れた硬化性能と潜在性を示した。
【0127】また、表1と表2には、各硬化組成物から
調製した硬化体の硬化物性が示されている。沸騰吸水率
については、各実施例及び比較例ともほとんど差がな
く、共に低水準にある。一方、ガラス転移温度(Tg)
については、比較例に比べて本発明の実施例はより高い
Tgを示し、耐熱性が優れていることが分かる。更に、
接着強度については、表に示されるように本発明の実施
例は比較例と同等又はそれ以上の性能を示し、80℃の
低温で60分間加熱しただけでかなり高いレベルの引張
剪断接着強度を発現することができた。
【0128】硬化剤粒子の調製方式について、実施例1
と7及び実施例4と12との比較から分かるように、粉
砕法で得られた破砕状の付加体粒子を用いた場合に比べ
て、沈殿法で得られた球状の付加体粒子を用いた場合に
は、エポキシ樹脂硬化組成物の粘度が低く、また、低温
速硬化性と貯蔵安定性がより優れたものを得ることがで
きる。
【0129】各成分の添加時期について、更なる多官能
性エポキシ化合物の添加時期は、アミン化合物/エポキ
シ化合物付加体を合成する際に、反応開始時において過
剰量添加する1段法、あるいは反応途中又は付加体形成
反応の終了後に過剰量を加える2段法のいずれでもよい
が、実施例8と9の比較から、1段法に比べて2段法の
方が低温における反応性が高く、また、貯蔵安定性も優
れていることが分かる。カルボン酸化合物の添加時期
は、付加体の形成反応前又は反応後、あるいは更なる多
官能性エポキシ化合物による処理後のいずれの段階であ
っても、多官能性イソシアネート化合物による処理の前
であればよい。粉砕型硬化剤粒子の場合は、同じアミン
系付加体で同じ添加量で比較すると、付加体形成反応終
了後、続いて粉砕分級して溶媒に再分散後に添加する場
合(例えば実施例2)に比べて、付加体形成反応後にす
ぐに添加する場合(例えば実施例4)は、得られた硬化
剤の反応性が更に高くなる。この傾向は、他のアミン系
(実施例5及び6)及び球状粒子の場合(実施例11及
び12)においても見られる。硬化剤の反応性が高くな
ると、しばしば潜在性に悪い影響を与えるので、第3成
分である多官能性イソシアネート化合物の添加量を適切
に調節する必要がある。
【0130】表3、表5及び表4、表6に、それぞれ実
施例で得られた粉砕型及び球状の硬化剤粒子を高温硬化
型硬化剤の硬化促進剤として用いた場合の性質を比較例
と比較して示す。表より、本発明で調製した硬化剤粒子
は、ジシアンジアミド(Dicy)及び酸無水物(MH
HPA)の硬化促進剤として用いると、120℃以上で
は勿論のこと、硬化温度を更に100℃まで下げること
ができた。100℃において、いずれも比較例と同等又
はそれ以上の硬化性能を示し、15分間程度の短時間で
エポキシ樹脂を硬化させることが可能であった。また、
調製したエポキシ樹脂配合物は40℃で1時間保存して
もほとんど増粘することなく、保存安定性がかなり優れ
ていることが分かった。更に、比較例に比べて本発明に
よって得られた硬化促進剤は、かなり良好な硬化物性を
与えることが示される。
【0131】表7と表8には、それぞれ本発明で調製し
た粉砕型硬化剤粒子(実施例1、2、5)及び球状の硬
化剤粒子(実施例7、8、9、10、11、12)の種
々の溶媒中における溶解性を元の付加体粒子(比較例
1、2、3と比較例7、8)と比較して示す。表に示す
ように、アミン化合物/エポキシ化合物付加体粒子は極
性が高いため疎水性の溶媒には溶解しないが、アルコー
ル性のような極性溶媒には可溶性を示す。また、沈殿又
は分散付加反応によって合成した球状の付加体粒子は、
多くの汎用有機溶媒に不溶性を示すのに対して、溶液及
びバルク付加反応、続いて粉砕、分級して得られた破砕
状の付加体粒子は、アミンの種類によって異なるが、ほ
とんどの有機溶媒に潤滑性を示す。前者の球状粒子の場
合には、おそらく反応に用いた高分子の分散安定剤が粒
子の表面上に固定されて一種のカプセル化膜を形成し、
溶媒の侵入を防ぐ働きをしていると考えられる。何れの
場合においても、本発明によって調製した硬化剤粒子
は、耐溶媒性がかなり改良されていることが示される。
特に多官能性イソシアネート化合物を多く添加した場合
(実施例10)には、すべての汎用溶媒に溶解しなくな
り、耐溶媒性が極めて優れていることが理解できる。こ
の性質は、有機溶媒や反応性希釈剤を配合成分とするイ
ンキ、塗料や接着剤用一液型エポキシ樹脂硬化組成物に
おいて用いる場合に、極めて有利であると考えられる。
【0132】(発明の効果)以上のように、アミン化合
物/エポキシ化合物付加体粒子を合成する際に、(a) 過
剰の多官能性エポキシ化合物、(b) カルボン酸化合物及
び(c) 多官能性イソシアネート化合物の3成分を上述し
たような方法で作用させることによって、得られる付加
体粒子の耐溶媒性、潜在性、低温速硬化性等を、いずれ
の性質を損なうこともなく全て改良することができる。
したがって、本発明方法によって得られた付加体粒子
は、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤として極めて有用であ
り、また、かかる硬化剤を用いることによって、貯蔵安
定性、低温速硬化性及び硬化物性に優れたエポキシ樹脂
硬化組成物を調製することができる。更に、該付加体粒
子を、高温硬化型硬化剤、例えばジシアンジアミドや酸
無水物の硬化促進剤として併用した場合には、低温速硬
化性、貯蔵安定性及び硬化物性に優れたエポキシ樹脂組
成物を与えることも可能である。本発明のかかる効果
は、カルボン酸化合物がアミン化合物/エポキシ化合物
付加体に作用してイオンコンプレックスを形成すること
によって付加体の融点を低下させてその低温速硬化性を
向上せしめると共に、過剰の多官能性エポキシ化合物に
より付加体粒子中にエポキシ樹脂重合体部分が混在する
か又は付加体粒子の表面上にエポキシ樹脂重合体の被包
層が形成され、かつこの上に更に多官能性イソシアネー
ト化合物によってポリウレタンやポリユリア等の被包層
が形成され、又は上記両者の混合被包層が形成されるこ
とによって付加体粒子の潜在性及び耐溶媒性を向上せし
め、この両方の効果が相乗的に組合わさることによって
達成されるものであると考えられる。
【0133】また、かかる技法を本願出願人の特願平2
−138176号に記載のアミン化合物/エポキシ化合
物付加体球状粒子の製造方法に適用することによって、
更に製造コストが安く、かつ優れた性質を有するエポキ
シ樹脂用硬化剤を製造することができる。かかる方法に
よって得られる硬化剤粒子は球状の微粉体であるため、
上記の有利性に加えて、更に、(1) かさ密度が高く、包
装と輸送コストの低減に寄与する;(2) エポキシ樹脂に
対する分散性がよく、より均質な硬化構造を与える;
(3) 配合物の粘度上昇が小さく、配合設計の自由度を高
めることができる;(4) 硬化剤そのものは微粉体である
ので室温において経年貯蔵しても変質しない;等の利点
を有する。したがって、1成分系エポキシ樹脂硬化組成
物の利点を十分に生かせるものと考えられる。
【0134】この特性を生かして、本発明方法によって
得られた潜在性硬化剤は、広い分野への1成分系エポキ
シ樹脂硬化組成物の提供を可能にする。期待される提供
分野としては、構造接着剤分野、例えば車両組み立て用
接着剤、光学機械組み立て用接着剤、電子・電気機器組
み立て用接着剤など;塗料分野、例えば粉体塗料、焼き
付け塗料など;電子分野、例えばプリント配線基板ガラ
スクロス含浸材、ICチップ封止材、導電性塗料、ソル
ダーレジストインキ、ダイボンディング用接着剤、プリ
ント基板接着剤、導電性接着剤など;電気分野、例えば
電気絶縁材料、コイル含浸材、バッテリーケース接着
剤、テープヘッド接着剤などが挙げられる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミン化合物と該アミン化合物に対して
    過剰量の多官能性エポキシ化合物とを無溶媒又は溶媒中
    において反応させて付加体を生成させた後、得られた付
    加体を粉砕して所定の粒径の付加体粒子を得、該粒子を
    溶媒中に再分散させて多官能性イソシアネート化合物を
    更に反応させることによる、その表面上に多官能性イソ
    シアネート化合物により形成される被包層を有するアミ
    ン化合物/エポキシ化合物付加体粒子の製造において、
    多官能性イソシアネート化合物と付加体粒子との反応の
    開始前の任意の時点においてカルボン酸化合物を反応系
    に加えて付加体と反応させることを特徴とする、低温速
    硬化性を有し、かつ室温での貯蔵安定性、耐溶媒性及び
    硬化物性に優れたエポキシ樹脂用潜在性硬化剤粒子の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 アミン化合物とエポキシ化合物とを無溶
    媒又は溶媒中において反応させてアミン化合物/エポキ
    シ化合物付加体を形成させ、得られた付加体を粉砕して
    所定の粒径を有する付加体粒子を得、該粒子を溶媒中に
    再分散させて更なる多官能性エポキシ化合物を反応させ
    た後、更に多官能性イソシアネート化合物を反応させる
    ことによる、その表面上に多官能性エポキシ化合物によ
    り形成される被包層及びその上に多官能性イソシアネー
    ト化合物により形成される被包層、又は上記両者の混合
    被包層を有するアミン化合物/エポキシ化合物付加体粒
    子の製造において、多官能性イソシアネート化合物と付
    加体粒子との反応の開始前の任意の時点においてカルボ
    ン酸化合物を反応系に加えて付加体と反応させることを
    特徴とする、低温速硬化性を有し、かつ室温での貯蔵安
    定性、耐溶媒性及び硬化物性に優れたエポキシ樹脂用潜
    在性硬化剤粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 アミン化合物と該アミン化合物に対して
    過剰量の多官能性エポキシ化合物とを分散安定剤の存在
    下において、そのアミン化合物及びエポキシ化合物を共
    に溶解するが、両者から生成する付加体は溶解しない有
    機溶媒中で反応させた後、多官能性のイソシアネート化
    合物を添加して更に反応を行わせることによる、その表
    面上に多官能性エポキシ樹脂により形成される被包層を
    有し、更に該エポキシ被包層上に多官能性イソシアネー
    ト化合物により形成される被包層、又は両者の混合被包
    層を有するアミン化合物/エポキシ化合物付加体球状粒
    子の製造において、多官能性イソシアネート化合物の添
    加前の任意の時点において、カルボン酸化合物を反応系
    に加えて反応させることを特徴とする、低温速硬化性を
    有し、かつ室温での貯蔵安定性、耐溶媒性及び硬化物性
    に優れたエポキシ樹脂用潜在性硬化剤球状粒子の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 アミン化合物とエポキシ化合物とを分散
    安定剤の存在下において、そのアミン化合物及びエポキ
    シ化合物を共に溶解するが、両者から生成する付加体は
    溶解しない有機溶媒中で反応させ、該反応中又は該反応
    の終了後に更なる多官能性エポキシ化合物を添加して更
    に反応を行わせた後、更に多官能性イソシアネート化合
    物を添加して更に反応を行わせることによる、その表面
    上に多官能性エポキシ樹脂により形成される被包層を有
    し、更に該エポキシ被包層上に多官能性イソシアネート
    化合物により形成される被包層、又は両者の混合被包層
    を有するアミン化合物/エポキシ化合物付加体球状粒子
    の製造において、多官能性イソシアネート化合物の添加
    前の任意の時点において、カルボン酸化合物を反応系に
    加えて反応させることを特徴とする、低温速硬化性を有
    し、かつ室温での貯蔵安定性、耐溶媒性及び硬化物性に
    優れたエポキシ樹脂用潜在性硬化剤球状粒子の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの方法によって
    製造されるエポキシ樹脂用潜在性硬化剤粒子。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のエポキシ樹脂用潜在性硬
    化剤粒子とエポキシ樹脂を主たる構成成分とする一液型
    熱硬化性組成物。
  7. 【請求項7】 エポキシ樹脂と高温硬化型硬化剤を主た
    る構成成分とし、これに請求項5記載のエポキシ樹脂用
    潜在性硬化剤粒子を硬化促進剤として加えてなる一液型
    熱硬化性組成物。
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