JPH05301447A - 感熱記録材料 - Google Patents

感熱記録材料

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JPH05301447A
JPH05301447A JP3062684A JP6268491A JPH05301447A JP H05301447 A JPH05301447 A JP H05301447A JP 3062684 A JP3062684 A JP 3062684A JP 6268491 A JP6268491 A JP 6268491A JP H05301447 A JPH05301447 A JP H05301447A
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Noriyuki Hosoi
憲行 細井
Masao Yabe
雅夫 矢部
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 地肌が白色に近い上、赤外レーザービームに
よって非接触で、高速且つ高品質の感熱記録を行うこと
ができる感熱記録材料を提供すること。 【構成】 支持体上に、少なくとも塩基性染料前駆体を
含有するマイクロカプセル、並びに顕色剤及び赤外線吸
収色素を水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解せしめた後
乳化分散した乳化物を含有する塗布液を塗布して形成せ
しめた感熱層を有することを特徴とする赤外レーザー用
感熱記録材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感熱記録材料に関し、特
に赤外レーザービームを利用して記録する非接触の感熱
記録材料に関する。
【0002】
【従来技術】支持体上に感熱発色層を設けた感熱記録材
料の表面にサーマルヘッドを密着走査させ、熱エネルギ
ーを感熱発色層に直接若しくは保護層を通して伝えるこ
とによって発色画像を記録する感熱記録方式は広範囲に
知られており、ファクシミリやプリンターなどに適用さ
れている。
【0003】しかしながら、このような感熱記録方法に
おいては、サーマルヘッドを感熱記録材料に密着させて
走査させるために、サーマルヘッドが摩耗したり、サー
マルヘッド表面へ感熱記録材料の成分がカスとなって付
着することにより記録画像が正しく得られない場合が生
じ、又、サーマルヘッドが破壊されるという問題が生じ
やすい。
【0004】又、このようなサーマルヘッドを用いた感
熱記録方式には、サーマルヘッドの構造上の特質から発
熱素子の加熱冷却の高速制御や発熱素子密度を大きくす
る上で限界があるために、高速記録や高密度、高画質記
録には限度があるという欠点があった。
【0005】サーマルヘッドを用いる感熱記録方式の上
記の如き問題点を解決するために、レーザービームを用
い、感熱記録材料に対して非接触でかつ高速、高密度で
熱記録を行うことが提案されている(例えば、特開昭5
0−23617号、特開昭54−121140号、特開
昭57−11090号、特開昭57−14095号、特
開昭57−14096号、特開昭58−56890号、
特開昭58−94494号、特開昭58−134791
号、特開昭58−145493号、特開昭59−891
92号、特開昭60−205182号、特開昭62−5
6195号公報、特開昭62−158779号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなレーザービームを用いた記録方式においては、感熱
発色層は、一般に、可視及び近赤外領域の光を吸収しに
くいためにレーザーの出力を相当大きくしないと発色に
必要な熱エネルギーが得られず、小型で安価な装置をつ
くることが極めて困難であるという欠点があった。
【0007】又、感熱発色層に効率良くレーザーを吸収
させるための提案も多くされており、一般的には感熱発
色層の中にレーザービームの波長に合った光吸収物質を
添加することが行われている。この場合、添加する光吸
収物質が白色でないと、記録材料の地肌が着色してコン
トラストが低く、品位のない記録となってしまい好まし
くない。
【0008】一般に白色の光吸収物質は、無機化合物に
多いが、その殆どのものは光吸収効率が低い。従って、
光吸収物質を添加することによって光吸収効率自体を改
善しても、感熱発色層が不透明になる場合には、レーザ
ービームの一部が反射されるため感熱層に吸収されるレ
ーザービーム自体の量が少なくなり、画像を記録するこ
とができなくなる。
【0009】又、一般的に可視光領域の光を吸収する有
機化合物は着色しているため光吸収物質として感熱層に
添加することは前述のように困難であるので光吸収効率
の良い有機化合物で着色の少ない化合物が望まれてい
た。
【0010】ところで、近年における半導体レーザーの
進歩は著しく、小型で安価なものの入手が可能となった
が、一般に、これらの半導体レーザーの発光波長は近赤
外部にありこれらの半導体レーザーで記録可能な感熱材
料の開発が望まれていた。
【0011】又、特公昭50−774号にはインクを封
入したマイクロカプセルを原紙に塗布し、強力な光を照
射してカプセル中のインクを噴出させ原紙に記録する方
法が提案されているが、感度が非常に低く未だ実現され
るに至っていない。
【0012】一方、可視光領域以外の波長のレーザービ
ームを吸収する有機化合物の場合には着色していない化
合物を選択することが可能であるため、それを感熱層に
添加した場合でも記録材料の地肌を白色とすることが可
能である。
【0013】本発明者等は、非接触で記録することがで
きる上地肌が白色に近く、高品位の感熱記録材料を得べ
く鋭意検討した結果、顕色剤及び赤外線吸収色素を水に
難溶又は不溶の有機溶剤に溶解せしめた後乳化分散した
乳化物を含有する塗布液を塗布して形成した感熱層は透
明性が良く、赤外線を散乱することなく効率良く吸収す
ることができるので赤外レーザービームによって良好な
画像を記録することができると共に感熱記録材料の地肌
を殆ど白色とすることができることを見出し本発明に到
達した。
【0014】従って、本発明の第1の目的は、レーザー
ビームによって良好な画像を高品位で記録することがで
きると共に、地肌が白色に近い感熱記録材料を提供する
ことにある。本発明の第2の目的は透明な赤外レーザー
記録用感熱記録材料を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は支
持体上に、少なくとも塩基性染料前駆体を含有するマイ
クロカプセル、並びに顕色剤及び赤外線吸収色素を水に
難溶又は不溶の有機溶剤に溶解せしめた後乳化分散した
乳化物を含有する塗布液を塗布して形成せしめた感熱層
を有することを特徴とする赤外線レーザー記録用感熱記
録材料によって達成された。
【0016】本発明で使用する塩基性染料前駆体は特に
限定されるものではないが、エレクトロンを供与して、
或いは酸等のプロトンを受容して発色する性質を有する
ものであって、通常略無色で、ラクトン、ラクタム、サ
ルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格
を有し、顕色剤と接触してこれらの部分骨格が開環若し
くは開裂する化合物が用いられる。具体的には、クリス
タルバイオレットラクトン、ベンゾイルロイコメチレン
ブルー、マラカイトグリーンラクトン、ローダミンBラ
クタム、1,3,3−トリメチル−6’−エチル−8’
−ブトキシインドリノベンゾスピロピラン等がある。
【0017】これらの発色剤に対する顕色剤としては、
フェノール化合物、有機酸若しくはその金属塩、オキシ
安息香酸エステル等の酸性物質が用いられる。顕色剤は
融点が50℃〜250℃のものが好ましく、特に融点が
60℃〜200℃の、水に難溶性のフェノール又は有機
酸が望ましい。
【0018】これらの顕色剤の具体例は、例えば特開昭
61−291183号に記載されている。本発明におい
て使用する赤外線吸収色素は、可視光領域における光の
吸収が少なく、赤外線領域の光の波長の吸収が特に高い
色素が好ましい。
【0019】上記色素としては、シアニン系色素、フタ
ロシアニン系色素、ピリリウム系・チオピリリウム系色
素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、N
i、Cr等の金属錯塩系色素、ナフトキノン系・アント
ラキノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニ
リン系色素、トリフェニルメタン色素、トリアリルメタ
ン系色素、アミニウム系・ジインモニウム系色素、ニト
ロソ化合物等を挙げることができる。これらの中でもと
くに近赤外光を発振する半導体レーザーが実用化されて
いる観点から、波長が700nm〜900nmの近赤外
領域の光の吸収率が高いものを使用することが好まし
い。これらの具体例としては下記の式で表される色素を
挙げることができる。
【0020】(1)シアニン系色素:(CH3 2 N−
(CH=CH)5 −CH=+ N(CH3 2 Cl
4 -
【化1】 (ただし、nは2又は3である)、
【0021】
【化2】 (ただし、Rは水素原子又はN(CH3 2 である)、 A─(CH=CH)n ─CH=B ただし、Aは下記の式で表される基であり、
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0022】
【化8】 又、Bは下記の式で表される基であり、
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0023】
【化14】 Rはアルキル基、Xは対イオンであり、場合によって、
ベンゼン環又はナフタリン環には塩素原子、アルキル
基、アルコキシ基又はアリール基が存在していても良
い。nは0〜3の整数である。
【0024】
【化15】 (ただし、Rはアルキル基であり、Xはハロゲン原子で
ある)、
【0025】
【化16】 (ただし、Rは置換又は未置換のアルキル基、アルコキ
シ基、アルケニル基であり、Xは水素原子又はハロゲン
原子であり、Yはハロゲン、パークロレート、置換また
は未置換のベンゼンスルホネート、パラトルエンスルホ
ネート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、ベ
ンゼンカルボキシレート、メチルカルボキシレート又は
トリフルオロメチルカルボキシレートであり、nは0〜
3の整数である)、
【0026】
【化17】 (ただし、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ置換又は未置
換のアルキル基であって、互いに同じであっても異なっ
ていてもよく、X- は過ハロゲン酸イオン、トルエンス
ルホン酸イオン又はアルキル硫酸イオンであり、nは0
〜3の整数である。インドレニン環の4位、5位、6位
及び7位のうち少なくとも一つにはハロゲン原子が存在
し、場合によっては他の位置に更にハロゲン原子が存在
しても良い。又、場合によりベンゼン環はアルキル基、
アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリル基又はアルカリカ
ルボニル基で置換されていてもよい)、
【0027】
【化18】 (ただし、A1 及びA2 はそれぞれ水素原子又は置換
基、Zは五員の複素環を形成するのに必要な原子団、R
1 〜R4 はそれぞれ水素原子又は置換基であり、R5
置換基であってもZと共に六員の複素環を形成してもよ
く、X- は陰イオンであり、nは0〜2の整数であ
る)、
【化19】
【0028】
【化20】 化学式 Φ−L=Ψ (X- m (ただし、Φ及びΨはそれぞれ芳香族環が縮合していて
もよいインドール環残基、チアゾール環残基、オキサゾ
ール環残基、セレナゾール環残基、イミダゾール環残基
又はピリジン環残基、Lはモノカルボシアニン、ジカル
ボシアニン、トリカルボシアニン又はテトラカルボシア
ニンを形成するための連結基であり、mは0又は1であ
る)。
【0029】(2)スクワリウム系色素:
【化21】
【化22】
【0030】(3)アズレニウム系色素:
【化23】 (ただし、R1 とR2 、R2 とR3 、R3 とR4 、R4
とR5 、R5 とR6 及びR6 とR7 の組み合わせのうち
少なくとも一つの組み合わせで置換若しくは未置換の複
素環又は脂肪族環による環を形成し、該環を形成しない
ときのR1 、R2、R3 、R4 、R5 、R6 及びR7
それぞれ水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機残基で
あり、R1 とR2 、R2 とR3 、R3 とR4 、R4 とR
5 、R5 とR6 及びR6 とR7 の組み合わせのうち少な
くとも一つの組み合わせで置換若しくは未置換の芳香族
環を形成してもよい。Aは二重結合によって結合した二
価の有機残基であり、Z- はアニオン残基である。な
お、アズレン環を構成する少なくとも一つの炭素原子が
窒素原子で置き換えられてアザアズレン環となってもよ
い)。
【0031】(4)インドフェノール系色素:
【化24】 (ただし、X及びYはそれぞれ水素原子、アルキル基、
アシルアミノ基、アルコキシ基又はハロゲン原子であ
り、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ水素原子、C1〜C
20の置換又は未置換のアルキル基、アリール基、複素環
又はシクロヘキシル基であり、Aは−NHCO−又は−
CONH−である)。
【0032】(5)金属錯塩系色素:
【化25】 (ただし、R1 〜R4 はそれぞれアルキル基又はアリー
ル基であり、Mは二価の遷移金属原子である)、
【0033】
【化26】 (ただし、R1 及びR2 はそれぞれアルキル基又はハロ
ゲン原子であり、Mは二価の遷移金属原子である)、
【0034】
【化27】 (ただし、R1 及びR2 はそれぞれ置換又は未置換のア
ルキル基又はアリール基であり、R3 はアルキル基、ハ
ロゲン原子又は−N(R4 )−R5 基(ここで、R4
びR5 はそれぞれ置換又は未置換のアルキル基又はアリ
ール基である)であり、Mは遷移金属原子、nは0〜3
の整数である)、
【0035】
【化28】 (ただし、[Cat]は錯塩を中性ならしめるために必
要な陽イオンであり、MはNi、Cu、Co、Pd又は
Ptであり、nは1又は2である)、
【0036】
【化29】 (ただし、[Cat]は錯塩を中性ならしめるために必
要な陽イオンであり、MはNi、Cu、Co、Pd又は
Ptであり、nは1又は2である)、
【0037】
【化30】 (ただし、Xは水素原子、臭素原子又はメチル基であ
り、nは1〜4の整数であり、Aは第四級アンモニウム
基である)、
【0038】
【化31】 (ただし、X1 及びX2 はそれぞれニトロ基及び/又は
ハロゲン原子であり、n1 及びn2 はそれぞれ1〜3の
整数、R1 及びR2 はそれぞれアミノ基、モノアルキル
アミノ基、ジアルキルアミノ基、アセチルアミノ基、ベ
ンゾイルアミノ基(置換ベンゾイルアミノ基を含む)で
あり、X1 とX2 、n1 とn2 及びR1 とR2 はそれぞ
れ互いに同じであっても異なっていてもよく、MはCr
又はCo原子であり、Yは水素、ナトリウム、カリウ
ム、アンモニウム、脂肪族アンモニウム(置換脂肪族ア
ンモニウムを含む)又は脂環族アンモニウムである)。
【0039】(6)ナフトキノン系、アントラキノン系
色素:
【化32】 (ただし、Rは水素原子、アルキル基、アリル基、アミ
ノ基又は置換アミノ基である)、
【0040】
【化33】 (ただし、Rは水素原子、アルキル基、アリル基、アミ
ノ基又は置換アミノ基である)、
【化34】 (ただし、Rは水素原子、アルキル基、アリル基又は置
換アミノ基である)、
【化35】 (ただし、Xはハロゲン原子であり、nは0〜10の整
数である)、
【化36】 (ただし、Xはハロゲン原子である)、
【0041】
【化37】 これらの色素のうち、本発明の感熱記録材料に特に好ま
しく使用できるのはシアニン系色素である。尚、これら
の色素は単独で使用しても二種以上を併用してもよい。
本発明において使用する発色剤は、感熱層の透明性向
上の観点、常温で発色剤と顕色剤の接触を防止するとい
った生保存性の観点(カブリ防止)、及び希望のレーザ
ーエネルギーで発色させるような発色感度の制御の観点
等から発色剤をカプセル化して用いる。
【0042】本発明で使用するマイクロカプセルの製造
には界面重合法、内部重合法、外部重合法の何れの方法
をも採用することができるが、特に、発色剤等を含有し
た芯物質を水溶性高分子を溶解した水溶液中で乳化した
後、その油滴の周囲に高分子物質の壁を形成させる乳化
重合法を採用することが好ましい。
【0043】高分子物質を形成するリアクタントは油滴
の内部及び/又は油滴の外部に添加される。高分子物質
の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリア
ミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルム
アルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレ
ンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共
重合体等が挙げられる。好ましい高分子物質はポリウレ
タン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカ
ーボネートであり、特に好ましくはポリウレタン及びポ
リウレアである。高分子物質は2種以上併用することも
できる。前記水溶性高分子の具体例としては、ゼラチ
ン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が
挙げられる。
【0044】例えばポリウレアをカプセル壁材として用
いる場合には、ジイソシアナート、トリイソシアナー
ト、テトライソシアナート、ポリイソシアナートプレポ
リマー等のポリイソシアナートと、ジアミン、トリアミ
ン、テトラアミン等のポリアミン、アミノ基を2個以上
含むプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又は
ポリオール等とを、水系溶媒中で界面重合法によって反
応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成さ
せることができる。
【0045】又、例えばポリウレアとポリアミドからな
る複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからなる複
合壁は、例えばポリイソシアナートと酸クロライド若し
くはポリアミンとポリオールを用い、反応液となる乳化
媒体のpHを調整した後加温することにより調製するこ
とができる。これらのポリウレアとポリアミドとからな
る複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58─6
6948号公報に記載されている。
【0046】本発明においては、、マイクロカプセル壁
をレーザービーム加熱時に膨潤させるため固体増感剤を
添加することもできる。固体増感剤はマイクロカプセル
壁として用いるポリマーの可塑剤と言われるものの中か
ら、融点が50℃以上、好ましくは120℃以下で常温
では固体であるものを選択して用いることができる。例
えば、壁材がポリウレア、ポリウレタンから成る場合に
は、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、
芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、
脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に
用いられる。
【0047】本発明においては、顕色剤及び赤外線吸収
色素を水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解せしめた
後、これを界面活性剤を含有し水溶性高分子を保護コロ
イドとして有する水相と混合し、乳化分散した分散物の
形で使用する。
【0048】この場合に使用される有機溶剤は、高沸点
オイルの中から適宜選択することができる。中でも好ま
しいオイルとしては、エステル類の他、ジメチルナフタ
レン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレ
ン、ジメチルビフェニル、ジエチルビフェニル、ジイソ
プロピルビフェニル、ジイソブチルビフェニル、1−メ
チル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、1
−エチル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタ
ン、1−プロピル−1−ジメチルフェニル−1−フェニ
ルメタン、トリアリルメタン(例えば、トリトルイルメ
タン、トルイルジフェニルメタン)、ターフェニル化合
物(例えば、ターフェニル)、アルキル化合物(例え
ば、ターフェニル)、アルキル化ジフェニルエーテル
(例えば、プロピルジフェニルエーテル)、水添ターフ
ェニル(例えば、ヘキサヒドロターフェニル)、ジフェ
ニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも特にエス
テル類を使用することが、乳化分散物の乳化安定性の観
点から好ましい。
【0049】エステル類としては、燐酸エステル類(例
えば、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ブチ
ル、燐酸オクチル、燐酸クレジルジフェニル)、フタル
酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸―2―エチル
ヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル
酸ブチルベンジル)テトラヒドロフタル酸ジオクチル、
安息香酸エステル(安息香酸エチル、安息香酸プロピ
ル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸
ベンジル)、アビエチン酸エステル(アビエチン酸エチ
ル、アビエチン酸ベンジル)、アジピン酸ジオクチル、
コハク酸イソデシル、アゼライン酸ジオクチル、シュウ
酸エステル(シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチ
ル)、マロン酸ジエチル、マレイン酸エステル(マレイ
ン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチ
ル)、クエン酸トリブチル、ソルビン酸エステル(ソル
ビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチ
ル)、セバシン酸エステル(セバシン酸ジブチル、セバ
シン酸ジオクチル)、エチレングリコールエステル類
(ギ酸モノエステル及びジエステル、酪酸モノエステル
及びジエステル、ラウリン酸モノエステル及びジエステ
ル、パルミチン酸モノエステル及びジエステル、ステア
リン酸モノエステル及びジエステル、オレイン酸モノエ
ステル及びジエステル)、トリアセチン、炭酸ジエチ
ル、炭酸ジフェニル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、
ホウ酸エステル(ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチ
ル)等が挙げられる。これらの中でも、燐酸トリクレジ
ルを単独又は混合して使用した場合には顕色剤の乳化分
散安定性が特に良好であり好ましい。上記のオイル同
志、又は他のオイルとの併用も可能である。
【0050】本発明においては、上記の有機溶剤に、更
に低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えることもでき
る。このような補助溶剤として、例えば酢酸エチル、酢
酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等
を特に好ましいものとして挙げることができる。
【0051】これ等の成分を含有する油相と混合する水
相に、保護コロイドとして含有せしめる水溶性高分子
は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性
高分子の中から適宜選択することができるが、ポリビニ
ルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等が好まし
い。
【0052】又水相に含有せしめる界面活性剤は、アニ
オン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護
コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜
選択して使用することができる。好ましい界面活性剤と
しては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル
硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム
塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができ
る。
【0053】本発明における乳化分散物は、上記成分を
含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する
水相を、高速撹拌、超音波分散等、通常の微粒子乳化に
用いられる手段を使用して混合分散せしめ容易に得るこ
とができる。
【0054】又、油相の水相に対する比の値(油相重量
/水相重量)は、0.02〜0.6が好ましく、特に
0.1〜0.4であることが好ましい。0.02以下で
は水相が多すぎて希薄となり十分な発色性が得られず、
0.6以上では逆に液の粘度が高くなり、取り扱いの不
便さや塗液安定性の低下をもたらす。
【0055】上記のようにして調製した感熱層液を支持
体上に塗布するに際しては、公知の水系又は有機溶剤系
の塗液を用いる塗布手段が用いられる。この場合、感熱
層液を安全且つ均一に塗布すると共に塗膜の強度を保持
するために、本発明においては、メチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、デンプン類、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カ
ルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミ
ド、ポリスチレン及びその共重合体、ポリエステル及び
その共重合体、ポリエチレン及びその共重合体、エポキ
シ樹脂、アクリレート及びメタアクリレート系樹脂及び
その共重合体、ポリウレタン樹脂並びにポリアミド樹脂
等をマイクロカプセルと共に併用することもできる。
【0056】本発明で用いる支持体は透明であっても不
透明であっても良い。透明な支持体は、透明性が高く且
つ照射レーザービーム波長に吸収を示さないこと、レー
ザー照射時の発熱に対しても変形せず寸度安定性を有す
ることが好ましい。支持体の厚みとしては、10μm〜
200μmのものが用いられる。
【0057】このような透明な支持体としては例えば、
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレ
ート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィ
ルム等のセルロース誘導体フィルム、ポリスチレンフィ
ルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム
等のポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム、ポ
リ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、
ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム等が
挙げられ、これらを単独或いは貼り合わせて用いること
ができる。
【0058】一方、記録材料の不透明な支持体としては
紙、合成紙、アルミ蒸着ベース、前記透明な支持体に顔
料等をコートしたもの等が挙げられる。この場合には、
感熱層側からレーザービームが照射されて効率良く感熱
層に吸収されるようにする為に、記録材料の不透明な支
持体として、レーザービームの反射性が高いものを使用
することが好ましい。
【0059】本発明に用いる支持体としては、特にポリ
エステルフィルムに耐熱処理、帯電防止処理を施したも
のが好ましい。本発明においては、支持体から感熱層全
体が剥がれることを防ぐ目的で、マイクロカプセルなど
を含有する感熱層を支持体上に塗布する前に、支持体上
に下塗り層を設けることが望ましい。
【0060】下塗り層としては、アクリル酸エステル共
重合体、ポリ塩化ビニリデン、SBR、水性ポリエステ
ル等を用いることができ、膜厚としては、0.1〜0.
5μmが望ましい。
【0061】これらの組成物からなる下塗層は、ブレー
ド塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロール
コーテイング塗布法、スプレー塗布法、デイップ塗布
法、バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布される。
塗布量は1〜20g/m2 が好ましく、特に3〜10g
/m2 とすることが好ましい。
【0062】又、感熱層には、必要に応じて、顔料、ワ
ックス、硬膜剤等を添加しても良い。 感熱層は塩基性
染料前駆体、顕色剤及び赤外線吸収色素が0.1〜10
gになるように塗布されること及び該層の厚みが、1〜
10μmとなるように塗布されることが望ましい。更
に、感熱層との接着により物理的に染料が転写するのを
防ぐために、ワックス等のすべり剤を塗工する事もでき
る。又同様の目的で保護層を設ける事もできる。
【0063】本発明で用いられるレーザービームは、赤
外領域にその波長をもつものが使用される。その具体例
としては、ヘリウム−ネオンレーザー、アルゴンレーザ
ー、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザ
ー等が挙げられる。
【0064】本発明の記録材料の感熱層は顕色剤及び赤
外線吸収色素を乳化物として含有した塗布液を塗布して
形成されたものであるために透明性が高く、レーザービ
ームを反射することが少ない。又、可視光領域の光吸収
が少ない反面、赤外線を特に良く吸収する赤外線吸収色
素を含有しているので記録材料の地肌の着色が少ない上
赤外レーザーの吸収効率が高い。従ってレーザーを照射
された感熱層の部分のレーザービームは効率良く吸収さ
れるので、感熱層に含有されているマイクロカプセルに
内包されている塩基性染料前駆体がマイクロカプセル外
の顕色剤と発色反応して良好な画像を形成する。
【0065】
【発明の効果】本発明の記録材料は、感熱層の透明性が
高くレーザービームを反射することが少ない。又、感熱
層に赤外線を特に良く吸収する赤外線吸収色素を含有し
ているため、記録材料の地肌の着色が無いにもかかわら
ず、赤外レーザーの吸収効率が高く、従って、非接触
で、高速且つ高画質の感熱記録を行うことができる。
【0066】
【実施例】以下本発明を実施例により更に詳述するが、
本発明はこれによって限定されるものではない。
【0067】(実施例1)カプセル液の調製 クリスタルバイオレットラクトン(ロイコ染料)14
g、タケネートD−110N(武田薬品工業株式会社製
カプセル壁材の商品名))60g及びスミソープ20
0(住友化学株式会社製 紫外線吸収剤の商品名)2g
を、1−フェニル−1−キシリルエタン55gとメチレ
ンクロライド55gの混合溶媒に添加して溶解した。
【0068】得られた溶液を8重量%のポリビニールア
ルコール水溶液100gと水40g及び2重量%のスル
ホコハク酸ジオクチルのナトリウム塩(分散剤)1.4
gの水溶液に混合した後、エースホモジナイザー(日本
精機株式会社製)を用いて10,000rpmで5分間
乳化を行った。得られた乳化液に更に水150gを加え
た後、40℃で3時間カプセル化反応を行って平均粒径
0.7μmのカプセル液を調製した。
【0069】顕色剤乳化分散液の調製 下記構造式で表される顕色剤(a)8g、
【化38】 下記構造式で表される顕色剤(b)4g、
【化39】 下記構造式で表される顕色剤(c)30g、
【化40】 及び下記構造式で表される赤外線吸収色素4g
【化41】
【0070】を1−フェニル−1−キシリルエタン8.
0gと酢酸エチル30gの混合液に溶解した。得られた
溶液を8重量%のポリビニルアルコール水溶液100g
と水150g及びドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ
0.5gの水溶液に混合した後、エースホモジナイザー
(日本精機株式会社製)を用いて、10,000rpm
で、常温で平均粒径が0.5μmになるように5分間乳
化を行って乳化分散液を得た。
【0071】感熱記録材料の作製 前記カプセル液5.0g、上記顕色剤乳化分散液10.
0g及び水5.0gを攪拌・混合した液を、厚さ70μ
mの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)支持
体上に固形分で15g/m2 になるように塗布して乾燥
した後、上記のようにして形成された感熱層の上に下記
表1で表される組成の保護層液を乾燥後の厚さが2μm
となるように塗布・乾燥して本発明に係る透明な感熱記
録材料を作製した。
【0072】
【表1】 ──────────────────────────────────── 保護層液の組成 10重量%ポリビニルアルコール 20g 水 30g 2重量%スルホコハクサンジオクチルのナトリウム塩 0.3g ポリビニルアルコール3g、水100g及びカオリン35gをボールミルで分散 したカオリン分散物 3g ハイドリンZ−7(中京油脂株式会社製) 0.5g ────────────────────────────────────
【0073】上記の様にして作製した感熱記録材料の感
熱層側から波長780nmの半導体レーザービーム(G
aAs接合レーザー)を画像様に照射して青色の記録画
像を得た。レーザーの出力は、感熱層の表面で、1ミリ
秒間で40mJ/mm2 のエネルギーとなるように調節
した。得られた画像の発色部分の反射濃度をマクベス濃
度計を用いて測定したところ1.45であった。
【0074】(実施例2)実施例1で使用したクリスタ
ルバイオレットラクトンの代わりに、2−アニリノ−3
−メチル−6−N−エチル−N−ブチルアミノフルオラ
ンを使用した他は実施例1と全く同様にして感熱記録材
料を作製し画像を記録して透明な黒色画像を得た。得ら
れた画像の発色部分の透過濃度をマクベス濃度計を用い
て測定したところ1.63であった。
【0075】(実施例3)実施例1で使用した顕色剤
(a)、(b)及び(c)のうち(a)及び(b)を使
用せず又顕色剤(c)の量を25gに変えると共にスミ
ライザーWX−R(住友化学株式会社製 商品名)10
gを添加した他は実施例1と全く同様にして感熱記録材
料を作製し、画像を記録して透明なブルー画像を得た。
得られた画像の発色部分の透過濃度をマクベス濃度計を
用いて測定したところ1.42であった。
【0076】(実施例4)実施例1で使用した8重量%
のポリビニルアルコール水溶液100gの代わりに10
重量%のゼラチン100gを使用した他は実施例1と全
く同様にして感熱記録材料を作製し、画像を記録して透
明なブルー画像を得た。得られた画像の発色部分の透過
濃度をマクベス濃度計を用いて測定したところ1.45
であった。
【0077】(実施例5)実施例2で使用した赤外線吸
収色素の代わりに下記構造式の赤外線吸収色素
【化42】 を用いた他は実施例2と全く同様にして感熱記録材料を
作製し画像を記録して透明な黒色画像を得た。得られた
画像の発色部分の透過濃度をマクベス濃度計を用いて測
定したところ1.60であった。
【0078】(実施例6)実施例2で使用した赤外線吸
収色素の代わりに下記構造式の赤外線吸収色素
【化43】 を用いた他は実施例2と全く同様にして感熱記録材料を
作製し画像を記録して透明な黒色画像を得た。得られた
画像の発色部分の透過濃度をマクベス濃度計を用いて測
定したところ1.57であった。
【0079】(比較例1)実施例1で使用した赤外線吸
収色素を使用しない他は実施例1と全く同様にして記録
材料を作製し画像を記録したところ、全く画像を記録す
ることができなかった。
【0080】(比較例2)実施例1で使用した顕色剤の
乳化分散液の代わりに、下記表2の組成物を平均粒子径
が2μmになるように分散して分散液を調製した。
【0081】
【表2】 ──────────────────────── ポリビニルアルコール 5g 下記構造式の顕色剤(a) 4g
【化44】 下記構造式の顕色剤(b) 2g
【化45】 下記構造式の顕色剤(c) 15g
【化46】 水 100g ────────────────────────
【0082】次いで、実施例1で使用したカプセル液5
g、上記分散液9g及び水5gを混合して塗布液を調製
した。得られた塗布液を厚さ70μmの透明なポリエチ
レンテレフタレート(PET)上に、固形分で15g/
2 となるように塗布・乾燥し、次いで実施例1と全く
同様にして保護層を設けて感熱記録材料を作製した。上
記の様にして作製した感熱記録材料を使用して実施例1
と全く同様にして画像を記録したところ、得られた画像
は濃度が低く実用に耐えないものであった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、少なくとも塩基性染料前駆
    体を含有するマイクロカプセル、並びに顕色剤及び赤外
    線吸収色素を水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解せしめ
    た後乳化分散した乳化物を含有する塗布液を塗布して形
    成せしめた感熱層を有することを特徴とする赤外レーザ
    ー記録用感熱記録材料。
  2. 【請求項2】 支持体が透明フィルムである請求項1に
    記載の感熱記録材料。
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