JPH05295434A - 耐水素誘起割れ性,耐硫化物応力腐食割れ性および低温靱性に優れた高張力鋼板の製造方法 - Google Patents

耐水素誘起割れ性,耐硫化物応力腐食割れ性および低温靱性に優れた高張力鋼板の製造方法

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JPH05295434A
JPH05295434A JP9958092A JP9958092A JPH05295434A JP H05295434 A JPH05295434 A JP H05295434A JP 9958092 A JP9958092 A JP 9958092A JP 9958092 A JP9958092 A JP 9958092A JP H05295434 A JPH05295434 A JP H05295434A
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toughness
steel
cooling
cracking resistance
resistance
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Hajime Ishikawa
肇 石川
Rikio Chijiiwa
力雄 千々岩
Hiroshi Tamehiro
博 為広
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は耐SSC性及び耐HIC性かつ低温
靱性に優れた高張力ラインパイプ用鋼板の製造方法を提
供するものである。 【構成】 低C−極低Sで、実質的にAlレスMo−T
i−Ca系の鋼を連続鋳造方法によってスラブとし、こ
れを1100〜1250℃の温度領域で再加熱後、適正
な温度領域及び条件で熱間圧延を終了し、適正な温度領
域及び条件で加速冷却をし、水冷停止後放冷することを
特徴とする耐水素誘起割れ性、耐硫化物応力腐食割れ性
及び低温靱性特に溶接部靱性に優れた高張力鋼の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、H2Sを含んだ石油、
天然ガスに用いるラインパイプ用として有用な、耐水素
誘起割れ性(以後耐HIC性)、耐硫化物応力腐食割れ
性(以後耐SSC性)に優れかつ、低温靱性に優れたこ
とを特徴とする鋼板の製造方法、特に小入熱溶接から大
入熱溶接に至るまで熱影響部(HAZ)の低温靱性が優
れた高張力鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】硫化水素(H2S)を含むサワーオイル
・サワーガスを輸送するラインパイプ及びその付属設備
あるいはH2Sを含む流体を扱う化学プラント配管など
の鋼管材に対しては耐HIC性と共に耐SSC性が要求
される。この場合、耐HIC性については通常NACE
TM−02−84に規定された人工海水+飽和H2
溶液(pH〜5.0)やNACE TM−01−77に
規定された5%NaCl+0.5%CH3COOH+飽
和H2S溶液(pH〜3.5)が評価に使用される。特
に後者のような低pH環境における耐HIC鋼材として
は、極低S化及びCa添加による介在物形態制御や
MnやPを低減することによる偏析部の硬さ制御による
対策が取られてきた。
【0003】しかし、鋼材が高強度化した場合、偏析部
への成分濃化が増し必ずしも低pH環境における耐HI
C性を満足しないこともあり、応力が付加した場合の耐
SSC性を、例えばNACE TM−01−77規格に
よる定荷重SSC試験(6.35mmφの丸棒試験片を
5%NaCl+0.5%CH3COOH+飽和H2S液内
である荷重で引張応力を付与し、種々の応力における破
断時間を求める試験)で評価した場合、上記従来鋼材は
破断の限界応力値(720hr破断しない最大応力)は
0.5〜0.8×降伏応力(σy )程度である。
【0004】これに対し、鋼材を低C化し、それによる
強度低下をMn,Nb等の合金添加によって補い、ミク
ロ組織を均一な低炭素ベイナイト組織にすることによ
り、通常C−低Mn系の鋼に比べて比較的高強度であっ
ても優れた耐HIC性が低pH環境でも得られる。ま
た、制御圧延(controlled rollin
g)だけでなく制御冷却(controlled co
oling)をも組み合わせることによって、微細で均
一なベイナイト組織が得られ、優れた母材の耐HIC性
及び耐SSC性が得られる。一方、H2 Sガスを含む油
井等、最近益々その使用条件は過酷になり、一層の高靱
化が求められるようになってきた。
【0005】低合金鋼のHAZ靱性確保は結晶粒のサ
イズ、高炭素島状マルテンサイト(M* ) 、上部ベイ
ナイト(Bu)等の硬化組織の分散状態、粒界脆化の
有無、元素のミクロ偏析等の種々の冶金学的な要因に
支配される。この内、HAZの結晶粒内のサイズが低温
靱性に影響を与えることから、HAZ組織を微細化する
数多くの技術が開発実用化されている。TiN等の高温
でも比較的安定な窒化物を鋼中に微細分散させ、これに
よってHAZのオーステナイト(γ)粒の粗大化を抑制
する技術は特に有名である。さらに、HAZの1400
℃以上に加熱される領域では、TiNは粗大化もしくは
溶解し、γ粒の粗大化抑制能力は消失し、溶融線近傍で
の靱性劣化が大きくなるため、Ti酸化物(主としてT
2 3 ) を微細分散させた鋼(特開昭61−7974
5号公報)による溶融線近傍でのHAZ組織の細粒化に
よる低温靱性の優れた鋼が開発実用化されている。さら
に、特開平3−236420号公報によれば、Ti酸化
物によるHAZの低温靱性の向上とCaによる介在物制
御等によりHAZを含む全ての領域での低温靱性かつ耐
SSC性、耐HIC性の両特性に優れた鋼が可能となっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、耐サワ
ー性(耐SSC性および耐HIC性)を確保するために
低C−低Mn化が必須であり該公報においてはTSで4
9〜63kgf/mm2程度の強度レベルであり、高張
力化がはかれない。すなわち、従来技術では耐サワー
性、高HAZ靱性および高張力性の3特性を兼ね備える
ことはできない。従って、本発明の目的とするところ
は、耐SSC性および耐HIC性かつ低温靱性に優れた
高張力ラインパイプ用鋼板の製造方法を提供することで
ある。さらに、本発明の目的は、Alレス化および低C
化によるマルテンサイトの生成、ベイナイトの硬さの上
昇を阻止し、低C化に対するMo添加による焼入性の向
上による強度レベルのアップ、実質的にAlを含有せ
ず、低S化にTiおよびCa添加、制御圧延、制御冷却
による、低温靱性、かつ耐SSC性および耐HIC性に
優れた高張力鋼板の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は耐SSC性およ
び耐HIC性を損なうことなく、高靱性高張力ラインパ
イプ用鋼板を製造することを目的とした発明である。本
発明者らが制御圧延+加速冷却鋼の耐SSC性および耐
HIC性とHAZ靱性と強度とを、主に化学成分、組織
に関して詳しく検討した結果以下のような事実が判明し
た。 低S化にCa添加と共にAlを低減した場合、HAZ
におけるIFPの生成が多くなるとともに島状マルテン
サイトの生成が減少し、低温靱性が向上する。また、こ
の場合、耐SSC性および耐HIC性は劣化しない。 Alを低減しMoを添加した場合、HAZにおける島
状マルテンサイトの生成は抑えられ靱性は劣化しない。
一方、強度レベルは著しく向上する。 低C化により硬さを250Hv以下とした微細で均一
なベイナイト(第2相としてフェライトまたはIFP)
からなる組織が最も耐SSC性および耐HIC性に優れ
ている。 低S化にCa添加により、耐HIC性特性が向上す
る。
【0008】つまり、圧延条件および冷却条件を適正に
選択することにより、パーライトの生成を抑え、ベイナ
イト変態を起こさせる。加えて、マルテンサイトの生成
を抑え、微細で均一なベイナイト組織により耐SSC性
および耐HIC性は向上する。さらに低S化にCa添加
することにより、MnS等の介在物の形態制御により、
耐HIC性が向上する。また、高靱性を得るための最も
効果的な組織はIFPであるが、低S化TiおよびCa
添加およびAlの低減により、IFPの生成核(Ca酸
化物、Ti酸化物)が増加し高靱化がはかれる。さら
に、Alの低減は島状マルテンサイトの生成を抑えるた
め強化元素のMoの添加が容易となり、強度レベルが向
上しても靱性は劣化しない。本発明の重要性は耐SSC
性および耐HIC性と低温靱性と高張力とを向上すると
言う、耐サワーラインパイプとして3つの重要な特性を
確保した点にある。
【0009】よって、本発明の要旨とするところは、 (1)重量%で C :0.01〜0.07% Si:0.05〜
0.5% Mn:0.8〜1.5% P :0.015
%以下 S :0.0010%以下 Al:0.008
%以下 Mo:0.05〜0.30% Ca:0.001
〜0.005% Ti:0.005〜0.025% N :0.001
〜0.005% O :0.001〜0.005% を含有し、 2.0≦ESSP=[Ca]( 1−124[O])/
(1.25[S])≦7.0 を満足する残留不可避不純物および鉄からなる鋼を連続
鋳造方法によってスラブとし、これを1100〜125
0℃の温度領域で再加熱後、950℃以下の温度領域
で、少なくとも累積圧下量50%以上の熱間圧延を行
い、750℃以上で該熱間圧延を終了し、700℃以上
の温度領域から550℃以下、400℃以上の温度域ま
で冷却速度5〜40℃/sの範囲で加速冷却をし、水冷
停止後放冷することを特徴とする耐水素誘起割れ性、耐
硫化物応力腐食割れ性および低温靱性特に溶接部靱性に
優れた高張力鋼板の製造方法。
【0010】(2)重量%で C :0.01〜0.07% Si:0.05〜
0.5% Mn:0.8〜1.5% P :0.015
%以下 S :0.0010%以下 Al:0.008
%以下 Mo:0.05〜0.30% Ca:0.001
〜0.005% Ti:0.005〜0.025% N :0.001
〜0.005% O :0.001〜0.005% を含有し、 Nb:0.020〜0.060% Zr:0.005
〜0.025% V :0.005〜0.060% Ni:0.05〜
1.0% Cu:0.05〜1.0% Cr:0.05〜
1.0% REM:0.0005〜0.01% のうちの1種類以上、 2.0≦ESSP=[Ca]( 1−124[O])/
(1.25[S])≦7.0 を満足する残留不可避不純物および鉄からなる鋼を連続
鋳造方法によってスラブとし、これを1100〜125
0℃の温度領域で再加熱後、950℃以下の温度領域
で、少なくとも累積圧下量50%以上の熱間圧延を行
い、750℃以上で該熱間圧延を終了し、700℃以上
の温度領域から550℃以下、400℃以上の温度域ま
で冷却速度5〜40℃/sの範囲で加速冷却をし、水冷
停止後放冷することを特徴とする耐水素誘起割れ性、耐
硫化物応力腐食割れ性および低温靱性特に溶接部靱性に
優れた高張力鋼板の製造方法。
【0011】
【作用】本発明において化学成分を上述のように限定し
た理由は次の通りである。 C:C量の下限を0.01%としたのは、母材および溶
接部の強度の確保ならびにNb,V等の添加時に、これ
らの効果を発揮させるための最小量である。しかし、C
が多すぎるとHAZ靱性に悪影響をおよぼすだけでな
く、母材靱性、溶接性を劣化させるので、上限を0.0
7%とした。C量が多いとマルテンサイトが生成し、低
温靱性を著しく劣化する。 Si:Siは脱酸上、0.05%以上鋼に必要である
が、多く添加すると溶接性および溶接部の靱性が劣化す
るので上限を0.5%とした。
【0012】Mn:Mnは強度、靱性を確保する上で不
可欠な元素であり、その下限は0.8%である。HAZ
靱性を改善するには、γ粒界に生成する粗大な初析フェ
ライトを防止する必要があるが、Mn添加は、これを抑
制する効果がある。しかし、Mnが多すぎると焼入性が
増加して、溶接性、HAZ靱性を劣化させるだけでな
く、スラブのMnS等の中心偏析を助長して、耐HIC
性を劣化させるので、Mn添加の上限を1.5%とし
た。 P:本発明において不純物であるPを0.015%以下
とした。これは、母材、HAZの低温靱性をより一層向
上させ、スラブの中心偏析を軽減するためである。P量
の低減は、HAZにおける粒界破壊傾向を減少する傾向
がある。好ましくはP量は0.010%以下が望まし
い。 S:S量の上限を0.001%以上にすると、Caによ
る形態制御が不可能なMnSが生成し、HICが起点と
なる。従って、本発明ではS量を0.001%以下とし
た。
【0013】Al:Alは、一般に脱酸上鋼に含まれる
元素であるが、本発明では好ましくない元素であり、そ
の上限を0.008%とした。これは、Alが鋼中に含
まれているとOと結合して、Ti酸化物、Ca酸化物が
生成しないためである。また、Alの低減により島状マ
ルテンサイト生成を低減する。好ましくはAl量は0.
005%以下が望ましい。 Mo:Moは本発明鋼において重要な元素であり、HA
Z靱性の優れた鋼においてはNbを添加することなく高
強度を得ることは困難である。Moは0.05%以上の
添加により、母材の強度を向上させる。しかし、多すぎ
ると母材、HAZ靱性、溶接性の靱性劣化を招き好まし
くない。その上限は0.30%である。
【0014】Ca:鋼中介在物であるMnSの形態を制
御し耐HIC性を向上させるために、また、HAZにお
いて靱性を向上するためのCaOを生成するために0.
001%以上を添加する。しかし、0.005%を超え
るとCa系の大型介在物やクラスターにより耐HIC性
および耐SSC性が劣化するので0.005%を上限と
した。 Ti:Tiを本発明鋼に添加するとTiOおよびTiN
を形成して、HAZ組織を微細化し、HAZ靱性を向上
させる。下限の0.005%は、この効果を得るための
最小量であり、また、上限の0.025%はTiC形成
によるHAZ靱性劣化を防止するためである。
【0015】N:TiN等によるHAZ靱性を確保する
ためには0.001%以上必要である。また、0.00
5%を超えると耐HIC性が劣化するので、上限を0.
005%とした。 O:HAZにおいてCaO,TiOを生成するために
は、O量が0.001%以上必要である。O量の上限を
0.005%としたのは、非金属介在物の生成による鋼
の清浄度、靱性劣化を防止するためである。
【0016】本発明にあたっては、所望によりさらに強
度調整元素として、Nb,Zr,V,Ni,Cu,RE
Mの少なくとも1種類以上を添加する。 Nb:Nbはγ粒界に生成するフェライトを抑制し、C
aOを核とする微細なIFPの生成を促進する働きがあ
る。この効果を得るためには最低0.020%のNb量
が必要である。しかしながら、Nb量が多すぎると、逆
に微細なIFPの生成が妨げられるので、その上限を
0.060%とした。 Zr:ZrはほぼTiと同様の効果を持つ元素である。
その上下限は、それぞれ、0.005%、0.025%
である。
【0017】V:VはNbとほぼ同じ効果を持つ元素で
あるが、0.005%以下では効果がなく、上限は0.
060%まで許容できる。 Ni:Niは0.05%以上の添加により、溶接性、H
AZ靱性に悪影響をおよぼすことなく、母材の強度、靱
性を向上させる。一方、1.0%を超えると耐SSC性
が劣化するので、上限を1.0%とした。 Cu:CuはNiとほぼ同様な効果が0.05%以上の
添加によって得られる。しかし、1.0%以上添加する
と熱間圧延時にCu−クラックが発生し製造困難とな
る。このため、上限を1.0%とした。
【0018】Cr:Crは0.05%以上の添加によ
り、母材、溶接部の強度を高めるが、多すぎると溶接性
やHAZ靱性を劣化させる。そのため、上限を1.0%
とした。 REM:Caの場合と同様にMnSの形態制御のために
0.0005%以上添加するが、0.01%を超えると
清浄度が損なわれ、耐HIC性および耐SSC性が劣化
するので、その上限を0.01%とした。 2.0≦ESSP=7.0 本発明において、鋼中にCaOを微細分散させ、CaS
を形成させるためには、特にCa,OおよびS量のバラ
ンスの適正化が必須である。そのためにCa:0.00
1〜0.005%、O:0.001〜0.005%、
S:0.0006%以下に限定し、かつ2.0≦ESS
P≦7.0とする必要がある。
【0019】このような組成のCCスラブを、熱間圧延
そして加速冷却するが、図1はこのときの水冷パターン
を示すものである。すなわち、1100〜1250℃の
温度領域1で再加熱後、950℃以下の温度領域で、少
なくとも累積圧下量50%以上の熱間圧延2を行い、7
50℃以上で該熱間圧延を終了し、700℃以上の温度
領域から550℃以下、400℃以上の温度域4まで冷
却速度5〜40℃/sの範囲で加速冷却3をし、水冷停
止後放冷5する。本発明においての再加熱条件、熱間圧
延条件および水冷条件を上述のように限定した理由は次
の通りである。
【0020】まず、再加熱温度は上限を1250℃とし
た。これはγ粒が粗大化し、靱性が劣化するためであ
る。また、1100℃低くするとNb(CN)等の析出
物が粗大化して、耐HIC性を劣化させる。熱間仕上温
度は、上限を950℃とするが、これを超えた温度で熱
間圧延を終了すると十分細粒化されず、高強度、高靱性
が得られない。また、750℃以下で終了すると、所定
の水冷開始温度が得られない。累積圧下量は、50%未
満ではオーステナイト粒が十分な細粒にならず、加速冷
却しても均一な細粒組織が得られない。それ以外の再加
熱−仕上温度の途中の圧延は任意である。
【0021】水冷開始温度は約680℃より低い温度か
ら初析フェライトの生成にともない、偏析部に合金元素
が濃化し、水冷時に低温変態組織が生成するので、耐H
IC性を劣化させるので700℃以上が望ましい。水冷
停止温度の上限を550℃としたのはこの温度を超える
と放冷時にパーライトが析出し、耐HIC性を劣化させ
るからである。また、400℃以上としたのは水冷時に
マルテンサイトを生成し、耐HIC性を劣化させるから
である。冷速の下限は5℃/sとした。これより低いと
初析フェライトが多量に生成し、微細で均一なベイナイ
ト組織が得られず、耐HIC性が劣化する。また、40
℃/sを超えると水冷停止温度の制御が困難となる。
【0022】
【実施例】表1に示す化学成分の供試鋼を使い、CCス
ラブを表2に示すような製造条件で再加熱、熱間圧延そ
して加速冷却を行った。それによって得られた鋼板の機
械的性質、耐HIC性および耐SSC性を表3に示す。
試験片は図2に示す位置から採取した。図において6は
熱影響部、7は試験片のノッチである。鋼13〜17は
適切な製造条件ではないので、耐HIC性および耐SS
C性が劣化している。まず、冷却条件であるが、鋼13
は空冷により冷速が低すぎる。鋼14は水冷停止温度が
低すぎ、鋼15は水冷停止温度が高すぎる。なお、鋼1
4に関してはマルテンサイトの生成が多く靱性も劣化し
ている。鋼16に関しては水冷開始温度が低くなってい
る。鋼17は再加熱温度が低い。
【0023】鋼18〜25は化学成分が適切でなく、機
械的性質が得られない。鋼18はC量が多く微細で均一
なベイナイト組織が得られないため、鋼19はMn量が
超で多量のMnSの析出のため、鋼20はS量が多くM
nSの形態制御が行えないため、耐HIC性および耐S
SC性が得られない。また、鋼21に関しては化学成分
の上下限は満足しているが、ESSPが0.5と低値で
あるため、また鋼22はESSPが8.6と高いため耐
HIC性および耐SSC性が向上しない例である。鋼2
2はAlが多すぎるため、Ca酸化物の生成が阻害され
靱性が劣化している。また、鋼23はO量が多く、清浄
度が損なわれ、靱性が劣化した例である。鋼24はMo
量が少ないため強度が不足しており、鋼25ではMo量
が多いため靱性が劣化した例である。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【発明の効果】以上、説明したような本発明によりH2
Sを含有した約pH3のような低pH環境における耐水
素誘起割れ性および耐硫化物応力腐食割れ性を改善し、
特に母材のみならず溶接部の靱性を適切に改善して高張
力耐サワーラインパイプ用鋼管材としての特性を有効に
高められる。工業的にその効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法の圧延、水冷パターンを示す線図
【図2】各試験片の採取位置概略図である。
【符号の説明】
1 再加熱温度域 2 熱間圧延域 3 加速冷却域 4 水冷停止温度域 5 放冷域 6 熱影響部 7 ノッチ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C :0.01〜0.07% Si:0.05〜0.5% Mn:0.8〜1.5% P :0.015%以下 S :0.0010%以下 Al:0.008%以下 Mo:0.05〜0.30% Ca:0.001〜0.005% Ti:0.005〜0.025% N :0.001〜0.005% O :0.001〜0.005% を含有し、 2.0≦ESSP=[Ca]( 1−124[O])/
    (1.25[S])≦7.0 を満足する残留不可避不純物および鉄からなる鋼を連続
    鋳造方法によってスラブとし、これを1100〜125
    0℃の温度領域で再加熱後、950℃以下の温度領域
    で、少なくとも累積圧下量50%以上の熱間圧延を行
    い、750℃以上で該熱間圧延を終了し、700℃以上
    の温度領域から550℃以下、400℃以上の温度域ま
    で冷却速度5〜40℃/sの範囲で加速冷却をし、水冷
    停止後放冷することを特徴とする耐水素誘起割れ性、耐
    硫化物応力腐食割れ性および低温靱性特に溶接部靱性に
    優れた高張力鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で C :0.01〜0.07% Si:0.05〜0.5% Mn:0.8〜1.5% P :0.015%以下 S :0.0010%以下 Al:0.008%以下 Mo:0.05〜0.30% Ca:0.001〜0.005% Ti:0.005〜0.025% N :0.001〜0.005% O :0.001〜0.005% を含有し、 Nb:0.020〜0.060% Zr:0.005〜0.025% V :0.005〜0.060% Ni:0.05〜1.0% Cu:0.05〜1.0% Cr:0.05〜1.0% REM:0.0005〜0.01% のうちの1種類以上、 2.0≦ESSP=[Ca]( 1−124[O])/
    (1.25[S])≦7.0 を満足する残留不可避不純物および鉄からなる鋼を連続
    鋳造方法によってスラブとし、これを1100〜125
    0℃の温度領域で再加熱後、950℃以下の温度領域
    で、少なくとも累積圧下量50%以上の熱間圧延を行
    い、750℃以上で該熱間圧延を終了し、700℃以上
    の温度領域から550℃以下、400℃以上の温度域ま
    で冷却速度5〜40℃/sの範囲で加速冷却をし、水冷
    停止後放冷することを特徴とする耐水素誘起割れ性、耐
    硫化物応力腐食割れ性および低温靱性特に溶接部靱性に
    優れた高張力鋼板の製造方法。
JP9958092A 1992-04-20 1992-04-20 耐水素誘起割れ性,耐硫化物応力腐食割れ性および低温靱性に優れた高張力鋼板の製造方法 Pending JPH05295434A (ja)

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JP9958092A Pending JPH05295434A (ja) 1992-04-20 1992-04-20 耐水素誘起割れ性,耐硫化物応力腐食割れ性および低温靱性に優れた高張力鋼板の製造方法

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