JP3009569B2 - 低温靭性の優れた耐co2腐食性耐サワー鋼板の製造法 - Google Patents

低温靭性の優れた耐co2腐食性耐サワー鋼板の製造法

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JP3009569B2 JP5250840A JP25084093A JP3009569B2 JP 3009569 B2 JP3009569 B2 JP 3009569B2 JP 5250840 A JP5250840 A JP 5250840A JP 25084093 A JP25084093 A JP 25084093A JP 3009569 B2 JP3009569 B2 JP 3009569B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、CO2 およびH2 Sを
含んだ石油、天然ガスに用いる耐CO2 腐食性、耐HI
C性および耐SSC性に優れたラインパイプ用高張力鋼
板(X65クラス、板厚:40mm以下の鋼板)の製造方
法に関するものである。また、本発明は低温靭性および
現地溶接性にも優れ、寒冷地やオフショアに使用可能な
ラインパイプ用高張力鋼板の製造方法に関するものであ
る。本発明は厚板ミルに適用することが最も好ましい
が、ホットコイルにも適用できる。
【0002】
【従来の技術】寒冷地やオフショアにおける石油、天然
ガス輸送用大径ラインパイプに対しては高強度とともに
優れた低温靭性、現地溶接性が要求される。更に、近年
原油の2次,3次回収におけるCO2 注入や深井戸化に
よるインヒビター効果の低下によって、CO2 ガスによ
るラインパイプの腐食が大きな問題となり、耐CO2
食性が要求されるようになった。一方で、硫化水素(H
2 S)を含むサワーオイル・サワーガスを輸送するライ
ンパイプおよびその付属設備あるいはH2 Sを含む流体
を扱う化学プラント配管などの鋼管材に対しては耐サワ
ー性(耐HIC性とともに耐SSC性)が要求される。
【0003】耐CO2 腐食性および耐サワー性(耐HI
C性、耐SSC性)を満足するラインパイプ用鋼板の製
造方法として、特願平5−80968号(特開平6−2
93915号公報)がある。これは化学成分について低
C化、Cr量の適正化、低S化、TiおよびCa添加し
た鋼を制御圧延および制御冷却することにより、耐CO
2 腐食性、耐サワー性、低温靭性(シャルピー衝撃特
性)に優れた鋼板を製造する方法である。特に耐CO2
腐食性と耐サワー性の両立の観点から化学成分について
詳細に限定している。しかしながら、この従来技術で
は、年々厳格化の傾向にあるラインパイプの低温靭性
(特に脆性亀裂伝播停止特性)の要求(例えば板厚20
mmでBDWTT 85%、FATT<−30℃)を満足
することは困難であり、製造条件の更なる検討が必要で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は耐CO2 腐食
性、耐サワー性(耐HIC性、耐SSC性)および低温
靭性(特に脆性亀裂伝播停止特性)の優れたAPI規格
5L−X65級以上の強度を有するラインパイプ用鋼板
の製造法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
通りである。 (1)重量%で、 C :0.01〜0.07%、 Si:0.05〜0.5%、 Mn:0.7〜1.5%、 P :0.015%以下、 S :0.001%以下、 Nb:0.02〜0.06%、 Cr:0.4〜1.2%、 Ti:0.005〜0.025%、 Al:0.05%以下、 Ca:0.001〜0.005%、 N :0.001〜0.005%、O :0.001〜0.005% を含有し、かつ 0.5≦〔Ca〕(1−124〔O〕)/1.25〔S〕≦7.0 を満足する残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼
を、1100〜1280℃の温度範囲に加熱後、続く圧
延において鋼板温度が1000℃以下で累積圧下量が6
0%以上となる圧延に際して、1パス当り10%以上の
圧下回数の比率が80%以上であり、板厚がt2 〜t1
での鋼板温度が900〜1000℃、板厚がt3 〜t2
での鋼板温度が700〜900℃で、t1 ,t2 ,t3
の関係が t1 >1.3t2 ……………………(1) t2 >2.0t3 ……………………(2) を満足するように圧延を行った後、冷却速度5〜40℃
/秒で350〜550℃まで水冷、その後放冷すること
を特徴とする低温靭性の優れた耐CO2 腐食性耐サワー
鋼板の製造法。
【0006】ただし、 t1 :1000℃以下の圧延を開始する板厚 t2 :圧延途中での板厚 t3 :最終の板厚 であり、t1 >t2 >t3 である。
【0007】(2)重量%で、 C :0.01〜0.07%、 Si:0.05〜0.5%、 Mn:0.7〜1.5%、 P :0.015%以下、 S :0.001%以下、 Nb:0.02〜0.06%、 Cr:0.4〜1.2%、 Ti:0.005〜0.025%、 Al:0.05%以下、 Ca:0.001〜0.005%、 N :0.001〜0.005%、O:0.001〜0.005% を含有し、更に V :0.005〜0.060%、Ni:0.05〜1.0%、 Cu:0.05〜1.0%、 Mo:0.05〜0.30%、 Zr:0.005〜0.025%、REM:0.0005〜0.01% のうち1種以上を含有し、かつ 0.5≦〔Ca〕(1−124〔O〕)/1.25〔S〕≦7.0 を満足する残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼
を、1100〜1280℃の温度範囲に加熱後、続く圧
延において、鋼板温度が1000℃以下で累積圧下量が
60%以上となる圧延に際して、1パス当り10%以上
の圧下回数の比率が80%以上であり、板厚がt2 〜t
1 での鋼板温度が900〜1000℃、板厚がt3 〜t
2 での鋼板温度が700〜900℃で、t1 ,t2 ,t
3 の関係が t1 >1.3t2 ………………(1) t2 >2.0t3 ………………(2) を満足するように圧延を行った後、冷却速度5〜40℃
/秒で350〜550℃まで水冷、その後放冷すること
を特徴とする低温靭性の優れた耐CO2 腐食性耐サワー
鋼板の製造法。
【0008】ただし、 t1 :1000℃以下の圧延を開始する板厚 t2 :圧延途中での板厚 t3 :最終の板厚 であり、t1 >t2 >t3 である。
【0009】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず、化学成分について説明する。 C:C量の下限を0.01%としたのは、母材および溶
接部の強度の確保ならびにNb,Vなどの添加時に、こ
れらの効果を発揮させるための最小量であるからであ
る。しかし、Cが多すぎるとHAZ靭性に悪影響を及ぼ
すだけでなく、母材靭性、溶接性を劣化させるので、上
限を0.07%とした。C量が多いとマルテンサイトが
生成し、低温靭性を著しく劣化する。過量のC添加は炭
化物などのカソードサイトを生成するので、耐CO2
食性の観点からはC量は低い方が望ましい。また、耐サ
ワー性に関しても中心偏析部へのMn,Pの濃化を招
き、耐サワー性を劣化させるため低くする方が望まし
い。
【0010】Si:Siは鋼の脱酸剤として、0.05
%以上必要であるが、多量に添加すると溶接性および溶
接部の靭性が劣化するので上限を0.5%とした。 Mn:Mnは強度、靭性を確保する上で不可欠な元素で
あり、その下限は0.7%である。HAZ靭性を改善す
るには、γ粒界に粗大な初析フェライトの生成を防止す
る必要があるが、Mn添加は、この初析フェライトの生
成を抑制する効果がある。しかし、Mnが多すぎると焼
入性が増加して、溶接性、HAZ靭性を劣化させるだけ
でなく、スラブのMnSなどの中心偏析を助長して耐H
IC性を劣化させるので、Mn添加の上限を1.5%と
した。
【0011】P:本発明においては不純物であるPを
0.015%以下とした。これは、母材、HAZの低温
靭性をより一層向上させ、スラブの中心偏析を軽減させ
るためである。P量の低減は、HAZにおける粒界破壊
傾向を減少させる。好ましくはP量は0.010%以下
とする。 S:S量が0.001%を超えると、Caによる形態制
御が不可能なMnSが生成し、HICの起点となる。従
って、本発明ではS量を0.001%以下とした。
【0012】Nb:Nbは本発明において重要な元素で
あり、高強度鋼においてはNbを添加することなく優れ
たHAZ靭性を得ることは困難である。Nbはγ粒界に
おけるフェライトの生成を抑制し、結晶粒を微細化して
鋼を高靭性化する。この効果を得るためには最低0.0
2%のNb量が必要である。しかしながら、Nb量が多
すぎると逆に微細組織の生成が妨げられるので、その上
限を0.06%とした。
【0013】Crは耐CO2 腐食性の観点から重要な元
素である。下限値0.4%は、耐CO2 腐食性の効果を
得る最小値である。しかし、多すぎると現地溶接性やH
AZ靭性を劣化させるので上限を1.2%とした。 Ti:Tiは本発明において重要な元素であり、TiN
を形成してHAZ組織を微細化し、HAZ靭性を向上さ
せる。下限の0.005%は、この効果を得るための最
小量であり、また0.025%はTiC形成によるHA
Z靭性劣化を防止するための上限である。
【0014】Al:Alは、一般に脱酸上鋼に含まれる
元素であるが、過量の添加は鋼清浄度が損なわれるた
め、その上限を0.05%とした。 Ca:Caは鋼中介在物であるMnSの形態を制御し、
耐HIC性を向上させるために、またHAZにおいて靭
性を向上するためのCaOを生成させるために0.00
1%以上を添加する。しかし、0.005%を超えると
Ca系の大型介在物やクラスターにより耐HIC性およ
び耐SSC性が劣化するので0.005%を上限とし
た。
【0015】N:NはTiNなどによるHAZ靭性を確
保するために0.001%以上必要である。また、0.
005%を超えると耐HIC性が劣化するので、上限を
0.005%とした。 O:HAZにおいて高靭性化に有効な酸化物を生成させ
るためには、O量が0.001%以上必要である。O量
の上限を0.005%としたのは、非金属介在物の生成
による鋼の清浄度、靭性劣化を防止するためである。
【0016】本発明においては、所望により更に強度調
整元素としてZr,V,Ni,Cu,Mo,REMのう
ち少なくとも1種を添加する。 Zr:ZrはほぼTiと同様の効果をもつ元素である。
その上下限は、それぞれ、0.005%,0.025%
である。 V:VはNbとほぼ同じ効果を持つ元素であるが、0.
005%未満では効果がなく、上限は0.060%まで
許容できる。 Ni:Niは0.05%以上の添加により、溶接性、H
AZ靭性に悪影響を及ぼすことなく、母材の強度、靭性
を向上させる。一方、1.0%を超えると耐SSC性が
劣化するので、上限を1.0%とした。
【0017】Cu:CuはNiとほぼ同様な効果が0.
05%以上の添加によって得られる。しかし、1.0%
を超えて添加すると熱間圧延時にCu−クラックが発生
し、製造困難となる。このため上限を1.0%とした。 Mo:Moは0.05%以上の添加により、母材の強
度、靭性を向上させる元素であるが、多すぎると母材、
HAZ靭性、溶接性の劣化を招き、好ましくない。その
上限は0.30%である。 REM:REMはCaの場合と同様にMnSの形態制御
のために0.0005%以上添加するが、0.01%を
超えると鋼の清浄度が損なわれ、耐HIC性および耐S
SC性が劣化するので、その上限を0.01%とした。
【0018】上記のCr添加鋼において母材の低温靭性
(脆性亀裂伝播停止特性)を改善するために、発明では
製造条件について詳細に検討を行い、限定した。その理
由について説明する。まず、再加熱温度は上限を128
0℃とした。これは1280℃を超えるとγ粒が粗大化
し、靭性が劣化するためである。また、1100℃より
低くするとNb(CN)などの析出物が粗大化して、耐
HIC性を劣化させる。
【0019】続く圧延において、鋼板温度が1000℃
以下で累積圧下量が60%以上となる圧延に際して、1
パス当り10%以上の圧下回数の比率が80%以上であ
り、板厚がt2 〜t1 での鋼板温度が900〜1000
℃、板厚がt3 〜t2 での鋼板温度が700〜900℃
で、t1 ,t2 ,t3 の関係が t1 >1.3t2 ……………………(1) t2 >2.0t3 ……………………(2) を満足するように圧延を行わなければならない。ただ
し、 t1 :1000℃以下の圧延を開始する板厚 t2 :圧延途中での板厚 t3 :最終の板厚 であり、t1 >t2 >t3 である。
【0020】図1に本発明法の圧延における温度履歴模
式図を示す。鋼板温度が1000℃以下の累積圧下量6
0%以上とするのは、γ低温域圧延によってγ粒を十分
に微細化および延伸化することにより、微細なフェライ
ト粒を得るためである。1000℃以下の累積圧下量が
60%未満では、γ低温域圧延の効果が不十分となり、
微細なフェライト粒は得られない。
【0021】1パス当りの圧下率を大きく限定すること
は、γ未再結晶域での1パス当りの圧下率の増加によっ
て加工γ中の変形帯密度が増加することにより、フェラ
イト核生成サイトが増加し、フェライト粒が微細化す
る、という発明者らの新たな知見に基づくものである。
図2にフェライト粒径に及ぼすγ未再結晶域での1パス
当りの圧下率の影響を示す。一般にフェライト粒を微細
化することは鋼板の高靭性化を達成する最も有効な手段
である。1パス当り10%以上の圧下回数の比率が80
%未満の場合、γ粒内に導入・蓄積される変形帯密度が
不十分となり、微細なフェライト粒が得られない。
【0022】また、厚手材の場合、板厚方向の表面側に
比較して中心部は圧延の効果が減少するため、板厚中心
部のフェライト粒が混粒および粗大となって低温靭性の
劣化を招くことが知られている(特に板厚15mm以
上)。そこで、発明者らの鋭意研究の結果、板厚方向全
域にわたって微細なフェライト粒を得るためには、γ高
温域での再結晶域圧延に引続くγ低温域での圧延に際し
て、前述した各パス大圧下率圧延において、板厚表層
部よりも温度の高い板厚中心部については、圧延前段で
γ再結晶域圧延することによって均一で微細なγ粒とし
た後、圧延後段でγ未再結晶域圧延すること、板厚表
層部については圧延前段からγ未再結晶域圧延するこ
と、が効果的であることがわかった。これが本発明にお
ける高靭性化の冶金的思想である。
【0023】圧延前段のt2 〜t1 での鋼板温度が90
℃以下では、板厚中心部が比較的低温でγ未再結晶域
圧延となるために、粗大な再結晶γ粒がそのまま延伸化
され、板厚中心部のフェライト粒が粗大かつ混粒とな
る。一方、t2 〜t1 での鋼板温度が1000℃以上で
は、板厚表層部がγ再結晶域圧延となるため、表層部の
フェライト粒が十分に微細化されない。従って、圧延前
段のt2 〜t1 においては、板厚中心部はγ再結晶域
で、板厚表層部はγ未再結晶域で圧延されなければなら
ない。
【0024】圧延後段のt3 〜t2 での鋼板温度が90
0℃以上では、板厚中心部が比較的高温でγ再結晶域圧
延となるため、板厚中心部のフェライト粒が十分に微細
化されない。一方、t3 〜t2 での鋼板温度が700℃
以下では、過度のγ/α(フェライト)二相域圧延とな
るため、粗大な再結晶フェライトが生成して低温靭性が
大幅に劣化し、更に圧延後の水冷開始温度が低すぎるた
めに、加速冷却による中心偏析部の組織制御が不十分と
なる。従って、圧延後段のt3 〜t2 においては板厚全
域にわたってγ未再結晶域、あるいは一部γ/α二相域
で圧延されなければならない。
【0025】次に、板厚t1 ,t2 ,t3 の関係につい
て説明する。本発明における最終の板厚t3 は主として
15〜40mmの範囲である。(1)式の関係をt1
1.3t2 とすると、圧延前段(t2 〜t1 )における
板厚中心部の累積圧下量が小さくなるため再結晶γ粒が
十分に微細化せず、板厚中心部のフェライト粒が混粒お
よび粗大となる。(2)式の関係をt2 ≦2.0t3
すると、圧延後段(t3〜t2 )における板厚中心部の
累積圧下量が小さくなるため、たとえ各パス大圧下率圧
延においても、γ粒の延伸化およびγ粒内の変形帯密度
が不十分となり、板厚中心部のフェライト粒が粗大化す
る。(1)式と(2)式からt1 >2.6t3 の関係が
得られる。
【0026】圧延後、鋼板を加速冷却することが必須で
ある。加速冷却は中心偏析帯を含めたミクロ組織の改善
に有効で、靭性を損なわずに強度の増加、耐HIC性の
向上を可能にする。加速冷却の条件として圧延後、ただ
ちに冷却速度5〜40℃/秒で350℃以上550℃以
下の温度まで冷却、その後空冷しなければならない。冷
却速度が遅すぎたり、冷却停止温度が高すぎると加速冷
却の効果が十分に得られず、適正なミクロ組織を得るこ
とができない。一方、冷却速度が大きすぎたり、停止温
度が低すぎると硬化組織が生成して低温靭性や耐HIC
性が大幅に劣化する。
【0027】なお、この鋼を製造後、焼戻、脱水素など
の目的でAc1 点以下の温度で再加熱処理しても本発明
の特徴を損なうものではない。また省エネルギーなどを
目的としてCCスラブを加熱炉にホットチャージ、圧延
してもよい。本発明は厚板ミルに適用することが最も好
ましいが、ホットコイルにも適用できる。
【0028】
【実施例】転炉−連続鋳造−厚板工程で、種々の鋼成分
の鋼板(厚み15〜38mm)を製造し、その強度、低温
靭性(BDWTT特性)、HAZ靭性、耐CO2 腐食性
および耐サワー性(耐HIC性、耐SSC性)を調査し
た。耐CO2 腐食試験は、10%NaCl+飽和CO2
溶液(pH5.0)にて80℃×96時間として実施し
た。耐HIC試験は、5%NaCl+0.5%CH3
OOH+飽和H2 S溶液(pH3.0)にて25℃×9
6時間として実施した。耐SSC試験は、5%NaCl
+0.5%CH3 COOH+飽和H2 S溶液(pH3.
0)にて25℃×0.75MYS(Specified Minimum
Yield Strength)×720時間として実施した。
【0029】表1に鋼の化学成分を示す。表2の鋼板に
製造条件、母材の機械的性質、HAZ靭性、耐CO2
食性および耐サワー性を示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】本発明法に従って製造した鋼板(本発明
鋼)はすべて良好な特性を有する。これに対して本発明
によらない比較鋼は、強度、低温靭性、HAZ靭性、耐
CO2腐食性、耐サワー性のいずれかが劣る。比較鋼1
1はCr量が少ないために、耐CO2 腐食性が劣る。鋼
12はCr量が多すぎるために、HAZ靭性が劣る。鋼
13はC量が多すぎるために、HAZ靭性、耐CO2
食性および耐サワー性が劣る。鋼14はMn量が多すぎ
るために、HAZ靭性および耐サワー性が劣る。鋼15
はNbが添加されていないために、強度、低温靭性が劣
る。鋼16はTiが添加されていないために、低温靭
性、HAZ靭性が劣る。鋼17はP,S量が多すぎるた
めに、耐サワー性が劣る。鋼18はCa量が少なすぎる
(ESSPが小さすぎる)ために、耐サワー性が劣る。
鋼19は再加熱温度が低すぎるために、強度、耐サワー
性が劣る。
【0037】鋼20,21は1パス当り10%以上の圧
下回数の比率が小さいため、フェライト粒の微細化が不
十分となり低温靭性が劣る。鋼22は圧延後段における
2での温度が高すぎるため、板厚中心部が再結晶域圧
延となり、フェライト粒が粗大化して低温靭性が劣る。
鋼23はt3 での温度が低すぎるため、粗大再結晶フェ
ライト粒が生成して低温靭性が劣化し、更に圧延後の水
冷開始温度が低すぎるため加速冷却による中心偏析部の
組織制御が不十分となり、耐サワー性が劣る。鋼24,
25はt1 ,t2 ,t3 の関係が不適切であるため、フ
ェライト粒が微細化されず、低温靭性が劣る。鋼26,
27はそれぞれ圧延後の冷却が空冷(冷却速度が遅すぎ
る)ため、水冷停止温度が高すぎるため、ともに中心偏
析部の組織制御が不十分となり、耐サワー性が劣る。
【0038】
【発明の効果】本発明により、低温靭性の優れた耐CO
2 腐食性耐サワー鋼板を大量生産することが可能となっ
た。その結果、寒冷な腐食環境(CO2 腐食環境あるい
はサワー環境)下でのパイプラインの安全性が著しく向
上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧延における温度履歴模式図。
【図2】フェライト粒径に及ぼすγ未再結晶域での1パ
ス当りの圧下率の影響を示す図表。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−9575(JP,A) 特開 平4−358021(JP,A) 特開 平5−9573(JP,A) 特開 平1−136929(JP,A) 特開 平7−109519(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/02 - 8/04 B21B 1/00 - 3/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.01〜0.07%、 Si:0.05〜0.5%、 Mn:0.7〜1.5%、 P :0.015%以下、 S :0.001%以下、 Nb:0.02〜0.06%、 Cr:0.4〜1.2%、 Ti:0.005〜0.025%、 Al:0.05%以下、 Ca:0.001〜0.005%、 N :0.001〜0.005%、O :0.001〜0.005%、 かつ 0.5≦〔Ca〕(1−124〔O〕)/1.25〔S〕≦7.0 を満足する残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼
    を、1100〜1280℃の温度範囲に加熱後、続く圧
    延において、鋼板温度が1000℃以下で累積圧下量が
    60%以上となる圧延に際して、1パス当り10%以上
    の圧下回数の比率が80%以上であり、板厚がt2 〜t
    1 での鋼板温度が900〜1000℃、板厚がt3 〜t
    2 での鋼板温度が700〜900℃で、t1 ,t2 ,t
    3 の関係が t1 >1.3t2 ………………………(1) t2 >2.0t3 ………………………(2) を満足するように圧延を行った後、冷却速度5〜40℃
    /秒で350〜550℃まで水冷、その後放冷すること
    を特徴とする低温靭性の優れた耐CO2 腐食性耐サワー
    鋼板の製造法。ただし、 t1 :1000℃以下の圧延を開始する板厚 t2 :圧延途中での板厚 t3 :最終の板厚 であり、t1 >t2 >t3 である。
  2. 【請求項2】 重量%でさらに、 V :0.005〜0.060%、Ni:0.05〜1.0%、 Cu:0.05〜1.0%、 Mo:0.05〜0.30%、 Zr:0.005〜0.025%、REM:0.0005〜0.01%、 のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1記
    載の低温靭性の優れた耐CO2 腐食性耐サワー鋼板の製
    造法。
JP5250840A 1993-10-06 1993-10-06 低温靭性の優れた耐co2腐食性耐サワー鋼板の製造法 Expired - Fee Related JP3009569B2 (ja)

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