JPH07278659A - 耐co2腐食性、耐サワー特性および低温靭性に優れたラインパイプ用鋼板の製造方法 - Google Patents

耐co2腐食性、耐サワー特性および低温靭性に優れたラインパイプ用鋼板の製造方法

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JPH07278659A
JPH07278659A JP7349394A JP7349394A JPH07278659A JP H07278659 A JPH07278659 A JP H07278659A JP 7349394 A JP7349394 A JP 7349394A JP 7349394 A JP7349394 A JP 7349394A JP H07278659 A JPH07278659 A JP H07278659A
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rolling
less
resistance
steel
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JP7349394A
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Hajime Ishikawa
川 肇 石
Akihiko Kojima
島 明 彦 児
Rikio Chijiiwa
力 雄 千々岩
Hiroshi Tamehiro
広 博 為
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 CO,HSを含んだ石油、天然ガスに用
いる耐CO腐食性、耐サワー特性に優れたラインパイ
プ用高張力鋼板の製造方法を提供する。 【構成】 重量%でC:0.01〜0.07%、Cr:
0.5〜1.2%,Nb−Tiを含有する鋼を鋳造後、
1100〜1250℃の温度に加熱し、抽出後圧延を開
始して表面温度が900℃以上で圧延を一旦中断し、引
続き5〜40℃/sの冷却速度で表面温度が700℃以
下になるまで水冷した後、表面温度がAc以下、板厚
中心部温度が950℃以下になるまで放冷し、しかる後
に累積圧下率が60%以上でかつ平均1パス当りの圧延
真歪が0.2以下となる圧下を加え、板厚平均温度がA
以上で圧延を終了し、直ちに5〜40℃/sの冷却
速度で板厚平均温度が350〜500℃となるまで冷却
し、その後空冷することを特徴とする低温靭性、耐サワ
ー性および耐CO腐食性に優れた鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、CO、HSを含ん
でいる石油、天然ガスに用いる耐CO腐食性および耐
サワー特性に優れたラインパイプ用高張力鋼板(引張強
さ:500MPa以上、板厚40mm以下)の鋼板の製
造方法に関するものである。また、本発明の鋼は、低温
靭性及び現地溶接性にも優れているので、寒冷地やオフ
ショアに使用可能である。鉄鋼業においては、厚板ミル
に適用することが最も好ましいが、ホットコイルにも適
用できる。また、この方法で製造した鋼板は、低温靭
性、現地溶接性にも優れているため寒冷地やオフショア
における使用に最も適する。
【0002】
【従来の技術】寒冷地やオフショアにおける石油、ガス
輸送用大径ラインパイプに対しては高強度とともに優れ
た低温靭性、現地溶接性が要求される。さらに、近年、
原油の2次、3次回収におけるCO注入や深井戸化に
よるインヒビター効果の低下によって、COガスによ
るラインパイプの腐食が大きな問題となり、耐CO
食性が要求されるようになった。
【0003】一方、硫化水素(HS)を含むサワーオ
イル・サワーガスを輸送するラインパイプ及びその付属
設備あるいはHSを含む流体を扱う化学プラント配管
などの鋼管材に対しては、耐サワー性、すなわち、耐H
IC性と耐SSC性、が要求される。この場合、通常N
ACE TM−02−84に規定された人工海水+飽和
S溶液(pH〜5.0)、すなわち、耐HIC性、
やNACE TM−01−77に規定された5%NaC
l+0.5%CHCOOH+飽和HS溶液(pH〜
3.5)、すなわち、耐SSC性、が評価指標として使
用されている。低pH環境における耐サワー鋼材として
は、極低S化及びCa添加による介在物形態制御や
MnやPを低減することによる偏析部の硬さ制御による
対策が取られてきた。
【0004】しかし現在、Cr添加およびNb‐Tiの
複合添加により耐CO腐食性に優れた低温靭性を向上
させているが、耐サワー性に適合した耐CO腐食性低
温用大径ラインパイプは開発されるに至っていない。特
開平3−211230号公報では耐CO腐食性、低温
靭性および現地溶接性に優れた低温用耐CO腐食性ラ
インパイプ用鋼が開示されているが、さらに耐サワー性
を具備した低温用耐CO腐食性ラインパイプ用鋼はい
まだ存在しない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐CO
食性および低温靭性の優れたラインパイプ用鋼板の製造
方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の事項を
その要旨とするものである。 重量%で、C:0.01〜0.07%、Si:0.
5%以下、Mn:0.7〜1.5%、P:0.015%
以下、S:0.001%以下、Nb:0.01〜0.0
6%、Cr:0.5〜1.2%、Ti:0.005〜
0.03%、Al:0.05%以下、Ca:0.001
〜0.005%、N:0.001〜0.005%、O:
0.001〜0.005%を含有し、残部Feおよび不
可避不純物からなる鋼、あるいは 前記の合金組成に、さらにV:0.005〜0.
060%、Ni:0.05〜1.0%、Cu:0.05
〜1.0%、Mo:0.05〜0.30%、Zr:0.
005〜0.025%、REM:0.0005〜0.0
1%のうち1種類以上含有し、残部Feおよび不可避不
純物からなる鋼を、鋳造後、冷片にすることなく或は、
冷片を1100〜1250℃の温度に加熱し、抽出後、
圧延を開始して表面温度が900℃以上で圧延を一旦中
断し、引続き5〜40℃/sの冷却速度で表面温度が7
00℃以下になるまで水冷した後、表面温度がAc
下、板厚中心部温度が950℃以下になるまで放冷し、
その後、累積圧下率が60%以上で、かつ平均1パス当
りの圧延真歪が0.2以下となる圧下を加え、板厚平均
温度がAr以上で圧延を終了し、直ちに5〜40℃/
sの冷却速度で板厚平均温度が350〜500℃となる
まで冷却し、その後空冷する、ことを特徴とする低温靭
性、耐サワー性および耐CO腐食性に優れた鋼板の製
造方法。
【0007】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
者らは、耐CO腐食性に及ぼす不均一腐食の影響を、
主に化学成分、組織に関して詳しく検討した結果、以下
のような事実が判明した。 Cr添加により耐CO腐食性が向上するととも
に、不均一な腐食を抑制する。しかし、過量のCr添加
は、低温靭性、現地溶接性を劣化させる。 板表面の組織が非常に微細なフェライトでかつCの
微細分散された組織では、従来の制御圧延+制御冷却の
表面組織(フェライトとベイナイト等のバンド組織にな
りやすい)と比較して浸漬電位で20mV程度上昇し、
耐CO腐食性は向上する。つまり、CO腐食に関し
てはCr添加が有効であるが、過量のCr添加は低温靭
性、現地溶接性の劣化を引き起こす。これに対し、Cr
量の上限値を規制し、さらに表面組織を非常に微細なフ
ェライトで、かつCの微細分散された組織にすると有効
カソードサイトが低減することにより耐CO性が向上
する。
【0008】さらに、本発明者らは、耐CO腐食性お
よび耐SSC性を、主に化学成分、組織に関して詳しく
検討した結果、次のような事実が判明した。 低C化によって硬さを250Hv以下とした微細で
かつ均一なベイナイト(第2相としてフェライトまたは
IGF(粒内フェライト))からなる組織は最も耐SS
C性および耐HIC性に優れている。 低S化のためのCa添加によって、耐HIC性およ
び低温靭性の両特性が向上する。また、Nb‐Tiの複
合添加によって、Cr添加による低温靭性の劣化が抑制
できる。 適正なCr添加であれば耐サワー性が確保できる。
【0009】つまり、圧延条件および冷却条件を適正に
選択することにより、パーライトの生成を抑え、ベーナ
イト変態を起こさせる。加えて、マルテンサイトの生成
を抑え、微細で均一なベイナイト組織により耐SSC性
および耐HIC性が向上する。さらに、低S化のために
Ca添加することにより、MnS等の介在物の形態制御
により、耐HIC性が向上する。
【0010】次に、Ar以上の高温圧延が低温靭性の
向上に有効であることについて述べる。一般に高温から
の冷却による降温過程で生じる変態温度域と、低温から
の加熱による昇温過程で生じる変態温度域との間には1
00〜200℃程度の温度差があり、昇温過程で生じる
変態温度域の方が高い。そのため、図1に示すように、
厚鋼板を適切な温度域まで一度冷却した後に復熱させる
過程においては、板厚表層部は昇温中にフェライトから
オーステナイトへ変態し、板厚中心部はいまだフェライ
ト変態が開始せずにオーステナイト単相の状態である。
【0011】復熱がある程度進行して両者の温度差が少
なくなった時点でも、板厚表層部ではフェライト主体の
金属組織を有し、板厚中心部ではオーステナイト主体の
金属組織を有するので、両者の間には大きな変形抵抗差
が生じ、板厚表層部の変形抵抗が極めて大きい。これ
は、図2に示すように、フェライト主体の金属組織とオ
ーステナイト主体の金属組織とではその応力−歪関係が
異なり、圧延真歪で0.2以下の範囲ではフェライト主
体の金属組織の方が同じ歪を与えた場合の変形抵抗が大
きいためである。
【0012】本発明は、板厚方向に故意に温度差をつけ
た状態で圧下を加え、板厚中心部より板厚表層部を硬化
させ、板厚方向の変形抵抗差を増加させることにより板
厚中心部を強圧下し、低温靭性の向上をはかるものであ
る。
【0013】本発明において化学成分を限定した理由
は、次の通りである。 C: C量の下限を0.01%としたのは、母材および
溶接部の強度の確保ならびにNb,V等の添加時に、こ
れらの効果を発揮させるための最小量であるからであ
る。しかし、Cが多すぎるとHAZ靭性に悪影響をおよ
ぼすだけでなく、母材靭性、溶接性を劣化させるので、
上限を0.07%とした。C量が多いとマルテンサイト
が生成し、低温靭性を著しく劣化させる。過量のC添加
は耐CO腐食の防止の観点からは炭化物などのカソー
ドサイトを生成するので、C量は低い方が望ましい。耐
サワー性に関しても中心偏析部へのMn,Pの濃化を招
き、耐サワー特性を劣化させるので低くする方が望まし
い。
【0014】Si: 脱酸のために、0.05%以上必
要であるが、多く添加すると溶接性および溶接部の靭性
が劣化するので上限を0.5%とした。 Mn: 強度、靭性を確保する上で不可欠な元素であ
り、その下限は0.7%である。HAZ靭性を改善する
には、γ粒界に生成する粗大な初析フェライトを防止す
る必要があるが、Mn添加は、これを抑制する効果があ
る。しかし、Mnが多すぎると焼入性が増加して、溶接
性、HAZ靭性を劣化させるだけでなく、スラブのMn
S等の中心偏析を助長して、耐HIC性を劣化させるの
で、Mn添加の上限を1.5%とした。
【0015】P: 本発明において不純物であるPを
0.015%以下とした。これは、母材、HAZの低温
靭性をより一層向上させ、スラブの中心偏析を軽減する
ためである。P量の低減は、HAZにおける粒界破壊を
減少させる傾向があり、好ましくは、P量は0.010
%以下である。 S: S量の上限を0.001%以上にすると、Caに
よる形態制御が不可能なMnSが生成し、HICを起点
となる。従って、本発明ではS量を0.001%以下と
した。 Nb: 高強度鋼においてはNbを添加することなく優
れたHAZ靭性を得ることは困難である。Nbはγ粒界
に生成するフェライトを抑制し、結晶粒を微細化して鋼
を高靭化する。この効果を得るためには最低0.02%
のNb量が必要である。しかしながら、Nb量が多すぎ
ると、逆に微細組織の生成が妨げられるので、その上限
を0.06%とした。
【0016】Cr: 耐CO腐食防止の観点から重要
な元素であり、下限値0.5%は耐CO腐食性の効果
を得る最小値である。しかし、多すぎると現地溶接性や
HAZ靭性を劣化させるので、上限を1.2%とした。 Ti: TiNを形成して、HAZ組織を微細化し、H
AZ靭性を向上させる。下限の0.005%は、この効
果を得るための最小量であり、また、上限の0.03%
はTiC形成によるHAZ靭性劣化を防止するためであ
る。 Al: 一般に脱酸上鋼に含まれる元素であるが、過量
の添加は鋼清浄度が損なわれるため、その上限を0.0
5%とした。
【0017】Ca: 鋼中介在物であるMnSの形態を
制御し耐HIC性を向上させるために、また、HAZに
おいて靭性を向上するためのCaOを生成するために、
0.001%以上を添加する。しかし、0.005%を
超えるとCa系の大型介在物やクラスターにより耐HI
C性および耐SSC性が劣化するので、0.005%を
上限とした。 N: TiN等によるHAZ靭性を確保するためには
0.001%以上必要である。また、0.005%を超
えると耐HIC性が劣化するので、上限を0.005%
とした。 O: HAZにおいて鋼靭化に有効な酸化物を生成する
ためには、O量が0.001%以上必要である。O量の
上限を0.005%としたのは、非金属介在物の生成に
よる鋼の清浄度、靭性劣化を防止するためである。耐サ
ワー性を特に向上させるためには、0.003%以下が
望ましい。
【0018】所望により、さらに強度調整元素として、
V,Ni,Cu,Mo,Zr,REMの少なくとも1種
類以上を添加する。 V: Nbとほぼ同じ効果を持つ元素であるが、0.0
05%以下では効果がなく、上限は0.060%まで許
容できる。 Ni: 0.05%以上の添加により、溶接性、HAZ
靭性に悪影響をおよぼすことなく、母材の強度、靭性を
向上させる。一方、1.0%を超えると経済性の点で好
ましくないため、その上限を1.0%とした。 Cu: Niとほぼ同様な効果が0.05%以上の添加
によって得られる。しかし、1.0%以上添加すると熱
間圧延時にCu‐クラックが発生し、製造困難となるの
で、上限を1.0%とした。
【0019】Mo: 0.05%以上の添加により、母
材の強度、靭性を向上させる元素であるが、多すぎると
母材、HAZ靭性、溶接性の劣化を招き好ましくない。
その上限は0.40%である。 Zr: ほぼTiと同様の効果を持つ元素である。その
上下限は、それぞれ、0.005%、0.01%であ
る。 REM: ほぼTiと同様の効果を持つ元素である。そ
の上下限は、それぞれ、0.005%、0.025%で
ある。
【0020】次に、本発明の製造条件について説明す
る。本発明において鋳造後のスラブ加熱温度は、110
0〜1250℃の範囲である。これは母材の強度、低温
靭性を確保するために必要である。加熱温度が1100
℃未満になるとNb,V,Ti等の固溶が不十分とな
り、良好な強度、靭性が得られない。しかし、再加熱温
度が1250℃を超えると、オーステナイト粒が粗大化
するため低温靭性が劣化する。なお、鋳造後、鋳片を冷
片にすることなく直接圧延してもよい。
【0021】また、加熱後、圧延を行い表面温度が90
0℃以上で圧延を一旦中断し、5〜40℃/sの冷却速
度で表面温度が700℃以下になるまで冷却する必要が
ある。粗圧延を必要とするのはオーステナイト再結晶域
での圧延によって、組織の微細化および均一化をはかる
ためである。スラブの表面温度が900℃未満から冷却
すると、鋼板中心部の温度も低下するので圧延終了時に
板厚平均温度をAr以上に確保することが困難とな
る。冷却による到達温度域を表面温度で700℃以下と
した理由は、700℃を超える温度では板厚中心部の温
度が復熱過程で未再結晶温度域まで下がらないためであ
る。
【0022】冷却速度が小さ過ぎると板厚表層部でのα
へ変態量が少なくなり、板厚中心部での強圧下ができな
くなるので5℃/sとした。冷却速度が大き過ぎると板
厚平均温度が低下して、圧延終了時に板厚平均温度をA
以上に確保できないため上限を40℃/sとした。
また、冷却後、表面温度がAc以下、板厚中心部温度
が950℃以下の温度域になるまで放置し、その後累積
圧下率60%以上で、かつ平均1パス当りの圧延真歪が
0.2以下となるように圧下を加える必要がある。
【0023】冷却後の圧延開始時の表面温度がAc
下である理由は、Acを超えてしまうと板厚表層部の
αがγへ逆変態してしまい、αとγとの変形抵抗差によ
る靭性改善が困難となるからである。冷却終了後の板厚
中心部の温度が950℃以下の温度域に低下するまで放
置するのは、板厚中心部の温度をオーステナイト未再結
晶温度域に低下させた後、圧下を加えるためである。
【0024】冷却後の圧延の累積圧下率が60%未満で
は、板厚表層部(α)と板厚中心部(γ)の変形抵抗差
による強圧下の効果は小さく、板厚中心部へ導入される
加工歪量が少なくなるので、累積圧下率を60%以上と
した。図2に示すように、平均1パス当りの圧延真歪が
0.2を超えると板厚中心部と板厚表層部の変形抵抗差
が逆転してしまうので、圧延真歪を0.2以下に制限し
た。
【0025】さらに、冷却後の圧延は、板厚平均温度が
Ar以上で終了し、その後直ちに5〜40℃/sの冷
却速度で板厚平均が350〜550℃となるまで加速冷
却し、その後空冷する。冷却後の圧延は、板厚平均温度
がAr未満で終了すると、MnS系介在物が残存し
た場合延伸化しやすい、またMn等の偏析により周囲
よりもArの低下している中心偏析部へγ‐α変態に
ともなうCの濃化が起こり中心偏析部にMA(高C島状
マルテンサイト)等の硬化組織が形成されるため耐サワ
ー性、低温靭性が低下する。
【0026】圧延終了後の加速度冷却+放冷は、良好な
強度、靭性を確保するために実施する。加速度冷却にお
いて、5℃/s以下の冷却速度または550℃を超える
冷却開始温度にするとγ‐α変態に伴うCの濃化が起こ
り、中心偏析部にMA等の硬化組織が形成されるため耐
サワー性、低温靭性が低下する。40℃/s以上の冷却
速度また、350℃未満の冷却開始温度では焼入れ性が
高いマルテンサイト等の硬化組織が形成され、耐サワー
性、低温靭性の確保が困難になる。加速冷却後の空冷
は、焼戻の効果があり、高強度化、高靭化がはかられ
る。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに説明
する。表1に示す化学成分の供試鋼を使い、CCスラブ
を、表2に示すような製造条件で再加熱、熱間圧延して
加速冷却を行った。それによって得られた鋼板の機械的
性質、耐CO腐食性、耐サワー性を、表3に示す。
【0028】試験片の採取状況の概略図を、図3に示
す。シャルピー試験片、SSC試験片は板厚1/2tよ
り採取した。また、耐CO腐食試験片は、表層部より
採取した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】表1〜表3から下記のことが分る。鋼11
〜24は、本発明の範囲外の適切な製造条件ではないの
で、低温靭性および耐CO腐食性が劣化している。鋼
15,17は、仕上終了板厚温度が低いため、鋼21,
22は、適切な冷却速度でないため、さらに鋼23,2
4は、適切な冷却停止板厚平均温度でないため、それぞ
れ耐サワー性が劣化している。
【0034】鋼25〜32は、本発明の範囲外の化学成
分であるので、適切な機械的性質が得られていない。鋼
25は、Mn量が超であるため溶接部の焼入性が増加し
て、靭性を低下させ、MnSにより耐サワー性も低下し
た。鋼26および27は、NbおよびTiがそれぞれ不
足しているため靭性が低下している。鋼28は、C量が
多いため靭性が低下するとともに、セメンタイト等のカ
ソードサイトが増加し、耐C2腐食性を劣化させてい
る。また、中心偏析部へのMn,Pの濃化を引き起こ
し、耐サワー特性が劣化している。鋼29は、Cr量が
低いのでCO腐食環境下でカソード反応を抑制でき
ず、耐CO腐食性が劣化した。鋼30は、Cr量が多
いので溶接部の靭性が低下した。鋼31は、Pが多いた
め靭性と耐サワー性が低下した。同様に鋼32は、Ca
量が少ないので、靭性と耐サワー性が低下した。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
CO,HSを含有した環境における耐CO腐食
性、耐サワー性を改善し、特に母材のみならず溶接部の
靭性を適切に改善して、ラインパイプ用鋼管材としての
特性を有効に高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における圧延、水冷パターンを示す説明
図である。
【図2】フェライトおよびオーステナイト主体組織での
圧延真歪と変形抵抗との関係を示すグラフである。
【図3】試験片の採取位置を示す概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 為 広 博 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.01〜0.07%、S
    i:0.5%以下、Mn:0.7〜1.5%、P:0.
    015%以下、S:0.001%以下、Nb:0.01
    〜0.06%、Cr:0.5〜1.2%、Ti:0.0
    05〜0.03%、Al:0.05%以下、Ca:0.
    001〜0.005%、N:0.001〜0.005
    %、O:0.001〜0.005%を含有し、残部Fe
    および不可避不純物からなる鋼を、 鋳造後、冷片にすることなく或は、冷片を1100〜1
    250℃の温度に加熱し、抽出後、圧延を開始して表面
    温度が900℃以上で圧延を一旦中断し、引続き5〜4
    0℃/sの冷却速度で表面温度が700℃以下になるま
    で水冷した後、表面温度がAc以下、板厚中心部温度
    が950℃以下になるまで放冷し、その後累積圧下率が
    60%以上で、かつ平均1パス当りの圧延真歪が0.2
    以下となる圧下を加え、板厚平均温度がAr以上で圧
    延を終了し、直ちに5〜40℃/sの冷却速度で板厚平
    均温度が350〜500℃となるまで冷却し、その後空
    冷する、 ことを特徴とする耐CO腐食性、耐サワー性および低
    温靭性に優れた鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】重量%で、C:0.01〜0.07%、S
    i:0.5%以下、Mn:0.7〜1.5%、P:0.
    015%以下、S:0.001%以下、Nb:0.01
    〜0.06%、Cr:0.5〜1.2%、Ti:0.0
    05〜0.03%、Al:0.05%以下、Ca:0.
    001〜0.005%、N:0.001〜0.005
    %、O:0.001〜0.005%を含有し、更にV:
    0.005〜0.060%、Ni:0.05〜1.0
    %、Cu:0.05〜1.0%、Mo:0.05〜0.
    30%、Zr:0.005〜0.025%、REM:
    0.0005〜0.01%のうち1種類以上含有し、残
    部Feおよび不可避不純物からなる鋼を、 鋳造後、冷片にすることなく或は、冷片を1100〜1
    250℃の温度に加熱し、抽出後、圧延を開始して表面
    温度が900℃以上で圧延を一旦中断し、引続き5〜4
    0℃/sの冷却速度で表面温度が700℃以下になるま
    で水冷した後、表面温度がAc以下、板厚中心部温度
    が950℃以下になるまで放冷し、その後累積圧下率が
    60%以上で、かつ平均1パス当りの圧延真歪が0.2
    以下となる圧下を加え、板厚平均温度がAr以上で圧
    延を終了し、直ちに5〜40℃/sの冷却速度で板厚平
    均温度が350〜500℃となるまで冷却し、その後空
    冷する、 ことを特徴とする耐CO腐食性、耐サワー性および低
    温靭性に優れた鋼板の製造方法。
JP7349394A 1994-04-12 1994-04-12 耐co2腐食性、耐サワー特性および低温靭性に優れたラインパイプ用鋼板の製造方法 Withdrawn JPH07278659A (ja)

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