JPH08295929A - 耐co2 腐食性および低温靱性の優れた耐サワーラインパイプ用鋼板の製造方法 - Google Patents

耐co2 腐食性および低温靱性の優れた耐サワーラインパイプ用鋼板の製造方法

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JPH08295929A
JPH08295929A JP10245795A JP10245795A JPH08295929A JP H08295929 A JPH08295929 A JP H08295929A JP 10245795 A JP10245795 A JP 10245795A JP 10245795 A JP10245795 A JP 10245795A JP H08295929 A JPH08295929 A JP H08295929A
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rolling
less
temperature
steel
cooling
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JP10245795A
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Hajime Ishikawa
肇 石川
Yoshio Terada
好男 寺田
Akihiko Kojima
明彦 児島
Hiroshi Tamehiro
博 為広
Hiroyuki Ogawa
洋之 小川
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 CO2 を含んだ石油、天然ガスに用いる耐C
2 腐食性および低温靱性の優れた耐サワーラインパイ
プ用鋼板の製造方法を提供する。 【構成】 C,Si,Mn,P,S,Nb,Cr,C
u,Ti,Al,Ca,NおよびOを特定した鋼を鋳造
後、冷片にすることなく、あるいは冷片を1100〜1
250℃の温度に加熱して抽出後、圧延を開始して表面
温度が900℃以上で圧延を一旦中断し、引続き5〜4
0℃/sの冷却速度で表面温度が700℃以下になるま
で水冷した後、表面温度がAc3 以下、板厚中心部温度
が950℃以下になるまで放冷し、しかる後に累積圧下
率が60%以上でかつ平均1パス当たりの圧延真歪が
0.2以下となる圧下を加え、板厚平均温度がAr3
上で圧延を終了し、直ちに5〜40℃/sの冷却速度で
板厚平均温度が350〜550℃となるまで冷却し、そ
の後空冷する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、CO2 、H2 Sを含ん
だ石油、天然ガスを用いる耐CO2 腐食性、耐サワー特
性に優れたラインパイプ用高張力鋼板(引張強さ:50
0MPa以上、板厚:40mm以下)の製造方法に関す
るものである。また、本発明鋼は低温靱性および現地溶
接性にも優れているので、寒冷地やオフショアに使用可
能である。
【0002】鉄鋼業においては厚板ミルに適用すること
が最も好ましいが、ホットコイルにも適用できる。ま
た、この方法で製造した鋼板は低温靱性、現地溶接性に
も優れているため寒冷地やオフショアにおける使用に最
も適する。
【0003】
【従来の技術】寒冷地やオフショアにおける石油、ガス
輸送用大径ラインパイプに対しては高強度とともに優れ
た低温靱性、現地溶接性が要求される。さらに、近年原
油の2次、3次回収におけるCO2 注入や深井戸化によ
るインヒビター効果の低下によって、CO2 ガスによる
ラインパイプの腐食が大きな問題となり、耐CO2 腐食
性が要求されるようになった。
【0004】一方で、硫化水素(H2 S)を含むサワー
オイル・サワーガスを輸送するラインパイプおよびその
付属設備、あるいはH2 Sを含む流体を扱う化学プラン
ト配管などの鋼管材に対しては、耐サワー性(耐HIC
性とともに耐SSC性)が要求される。この場合、通常
NACE TM−02−84に規定された人工海水+飽
和H2 S溶液(pH〜5.0)やNACE TM−01
−77に規定された5%NaCl+0.5%CH3 CO
OH+飽和H2 S溶液(pH〜3.5)が評価に使用さ
れる。低pH環境における耐サワー鋼材としては、極
低S化およびCa添加による介在物形態制御や、Mn
やPを低減することによる偏析部の硬さ制御による対策
がとられてきた。
【0005】しかし、現在はCr添加およびNb−Ti
の複合添加によって耐CO2 腐食性に優れた鋼材の低温
靱性を向上させているが、耐サワー性に適合した耐CO
2 腐食性低温用大径ラインパイプは開発されるに至って
いない。特開平3−211230号公報では、耐CO2
腐食性、低温靱性および現地溶接性に優れた低温用耐C
2 腐食性ラインパイプ用鋼が開示されているが、さら
に耐サワー性を具備した低温用耐CO2 腐食性ラインパ
イプ用鋼は存在しない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐CO2
食性および低温靱性の優れた耐サワーラインパイプ用鋼
板の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
とするところは下記のとおりでしる。 (1)重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.
05〜0.5%、Mn:0.7〜1.5%、P:0.0
15%以下、S:0.001%以下、Nb:0.01〜
0.06%、Cr:0.4〜1.2%、Cu:0.05
〜0.4%、Ti:0.005〜0.03%、Al:
0.05%以下、Ca:0.001〜0.005%、
N:0.001〜0.005%、O :0.001〜
0.005%を含有し、かつ下記の式 0.35≦C+Mn/6+(Cr+V)/5+(Cu+
Ni)/15≦0.50 を満たし、残部鉄および不可避不純物からなる鋼を鋳造
後、冷片にすることなく、あるいは冷片を1100〜1
250℃の温度に加熱し、抽出後圧延を開始して表面温
度が900℃以上で圧延を一旦中断し、引続き5〜40
℃/sの冷却速度で表面温度が700℃以下になるまで
水冷した後、表面温度がAc3 以下、板厚中心部温度が
950℃以下になるまで放冷し、しかる後に累積圧下率
が60%以上でかつ平均1パス当りの圧延真歪が0.2
以下となる圧下を加え、板厚平均温度がAr3 以上で圧
延を終了し、直ちに5〜40℃/sの冷却速度で板厚平
均温度が350〜550℃となるまで冷却し、その後空
冷することを特徴とする耐CO2 腐食性および低温靱性
の優れた耐サワーラインパイプ用鋼板の製造方法。
【0008】(2)重量%でC:0.01〜0.07
%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.7〜1.5
%、P:0.015%以下、S:0.001%以下、N
b:0.01〜0.06%、Cr:0.4〜1.2%、
Cu:0.05〜0.4%、Ti:0.005〜0.0
3%、Al:0.05%以下、Ca:0.001〜0.
005%、N:0.001〜0.005%、O :0.
001〜0.005%を含有し、さらにV:0.005
〜0.060%、Ni:0.05〜1.0%、Mo:
0.05〜0.30%、Zr:0.005〜0.025
%、REM:0.0005〜0.01%のうち1種類以
上含有し、かつ下記の式 0.35≦C+Mn/6+(Cr+V)/5+(Cu+
Ni)/15≦0.50 を満たし、残部鉄および不可避不純物からなる鋼を鋳造
後、冷片にすることなく、あるいは冷片を1100〜1
250℃の温度に加熱し、抽出後圧延を開始して表面温
度が900℃以上で圧延を一旦中断し、引続き5〜40
℃/sの冷却速度で表面温度が700℃以下になるまで
水冷した後、表面温度がAc3 以下、板厚中心部温度が
950℃以下になるまで放冷し、しかる後に累積圧下率
が60%以上でかつ平均1パス当りの圧延真歪が0.2
以下となる圧下を加え、板厚平均温度がAr3 以上で圧
延を終了し、直ちに5〜40℃/sの冷却速度で板厚平
均温度が350〜550℃となるまで冷却し、その後空
冷することを特徴とする耐CO2 腐食性および低温靱性
の優れた耐サワーラインパイプ用鋼板の製造方法。
【0009】本発明はCO2 による腐食を抑制する高靱
性ラインパイプ用鋼を製造することを目的とした発明で
ある。本発明者らが耐CO2 腐食性に及ぼす不均一腐食
の影響を主に化学成分、組織に関して詳しく検討した結
果、以下のような事実が判明した。 CrとCuの複合添加により、耐CO2 腐食性が向上
するとともに不均一な腐食を抑制する。しかし、過量の
Cr、Cu添加は低温靱性、現地溶接性を劣化させる。
【0010】本発明により得られた鋼板は、その表面
が非常に微細なフェライトでかつCが微細分散された組
織を有しているから、従来の制御圧延+制御冷却により
得られた鋼板の表面組織(フェライトとベイナイト等の
バンド組織になりやすい)と比較して浸漬電位で+20
mV程度貴となり、耐CO2 腐食性は向上する。つま
り、CO2 腐食に関しては、Cr添加が有効であるが、
過量のCr添加は低温靱性、現地溶接性の劣化を引き起
こす。これに対して、Cr量の上限値を規制した上で、
さらに表面組織を非常に微細なフェライトでかつCが微
細分散された組織とすることで、有効カソードサイトを
低減することによって耐CO2 性が向上する。また、C
r添加鋼にCuを添加することにより腐食生成物が安定
化し、耐食性がさらに向上する。
【0011】また、本発明においてAr3 以上の高温圧
延を採用したことが、低温靱性の向上をはかる上で有効
である点について以下に述べる。一般に高温からの冷却
による降温過程で生じる変態温度域と、低温からの加熱
による昇温過程で生じる変態温度域との間には100〜
200℃程度の温度差があり、昇温過程で生じる変態温
度域の方が高い。
【0012】そのため、本発明の場合のように、図1に
示すごとく厚鋼板を適切な温度域まで一度冷却した後に
復熱させる過程においては、板厚表層部は昇温中にフェ
ライトからオーステナイトへ変態し、板厚中心部はいま
だにフェライト変態が開始せずにオーステナイト単相の
状態である。そのため、復熱がある程度進行して両者の
温度差が少なくなった時点でも、板厚表層部ではフェラ
イト主体の金属組織を有し、板厚中心部ではオーステナ
イト主体の金属組織を有するため、両者の間には大きな
変形抵抗差が生じ、板厚表層部の変形抵抗が極めて大き
い。
【0013】これは、図2に示すように、フェライト主
体の金属組織とオーステナイト主体の金属組織とではそ
の応力−歪関係が異なり、圧延真歪で0.2以下の範囲
ではフェライト主体の金属組織の方が同じ歪を与えた場
合の変形抵抗が大きいためである。本発明では板厚方向
に故意に温度差をつけた状態で圧下を加え、板厚中心部
より板厚表層部を硬化させ、板厚方向の変形抵抗差を増
加させることにより板厚中心部を強圧下し、低温靱性の
向上をはかるものである。
【0014】
【作用】本発明において化学成分を上述のように限定し
た理由は次のとおりである。 C:C量の下限を0.01%としたのは、母材および溶
接部の強度の確保ならびにNb、V等の添加時に、これ
らの効果を発揮させるための最小量であるからである。
しかし、Cが多すぎるとHAZ靱性に悪影響を及ぼすだ
けでなく、母材靱性、溶接性を劣化させるので、上限を
0.07%とした。C量が多いとマルテンサイトが生成
し、低温靱性を著しく劣化させる。過量のC添加はCO
2 腐食の防止の観点からは炭化物などのカソードサイト
を生成させるので、C量は低い方が望ましい。また、耐
サワー性に関しても中心偏析部へのMn、Pの濃化を招
いて耐サワー性を劣化させるため、0.07%以下とす
る必要がある。以上のことからC量は0.01〜0.0
7%とした。
【0015】Si:Siは脱酸上、0.05%以上鋼に
必要であるが、多く添加すると溶接性および溶接部の靱
性が劣化するので、上限を0.5%とした。Mn:Mn
は強度、靱性を確保する上で不可欠な元素であり、その
下限は0.7%である。HAZ靱性を改善するには、γ
粒界に生成する粗大な初析フェライトを防止する必要が
あるが、Mn添加は、これを抑制する効果がある。しか
し、Mnが多すぎると焼入れ性が増加して、溶接性、H
AZ靱性を劣化させるだけでなく、スラブのMnS等の
中心偏析を助長して、耐HIC性を劣化させるので、M
n添加の上限を1.5%とした。
【0016】P:本発明においては不純物であるPを
0.015%以下とした。これは、耐HIC性の向上を
はかるとともに、母材、HAZの低温靱性をより一層向
上させ、スラブの中心偏析を軽減するためである。P量
の低減は、HAZにおける粒界破壊傾向を減少させる傾
向がある。好ましくは、P量は0.01%以下がよい。
【0017】S:S量を上限を0.001%としたの
は、この量を超えて添加すると、HICの起点となるM
nSが多量に生成するためである。従って、本発明では
S量を0.001%以下とした。 Nb:高強度鋼においては、Nbを添加することなく優
れたHAZ靱性を得ることは困難である。Nbはγ粒界
に生成するフェライトを抑制し、結晶粒を微細化して鋼
を高靱化させる。この効果を得るためには最低0.01
%のNb量が必要である。しかしながら、Nb量が多す
ぎると、逆に微細組織の生成が妨げられるので、その上
限を0.06%とした。
【0018】Cr:CrはCO2 腐食防止の観点から重
要な元素である。下限値0.4%は耐CO 2 腐食性の効
果を得るための最小値である。しかし、多すぎると現地
溶接性やHAZ靱性を劣化させるので、上限を1.2%
とした。 Cu:CuはCr添加鋼の腐食生成物を安定化させるた
めには0.05%以上の添加が必要である。しかし、
0.4%を超えて添加すると熱間圧延時にCu−クラッ
クが発生し、製造困難となるため、Cuの上限を0.4
%とした。
【0019】Ti:TiはTiNを形成してHAZ組織
を微細化し、HAZ靱性を向上させる。下限の0.00
5%は、この効果を得るための最小量であり、また上限
を0.03%としたのはTiC形成によるHAZ靱性劣
化を防止するためである。 Al:Alは、一般に脱酸上鋼に含まれる元素である
が、過量の添加は鋼の清浄度を損なうため、その上限を
0.05%とした。
【0020】Ca:Caは硫化物(MnS)の形態を制
御し、耐HIC性を向上させるために、またHAZ靱性
を向上させるためのCaOを生成させるため、0.00
1%以上添加する。一方、0.005%を超えて添加す
るとCaO、CaSが多量に生成して大型介在物とな
り、鋼の清浄度を害するばかりでなく、靱性、現地溶接
性に悪影響を及ぼすため、Caの上限を0.005%と
した。
【0021】N:NはTiN等によるHAZ靱性を確保
するために、0.001%以上必要である。また、0.
005%を超えると耐HIC性が劣化するので、N量の
上限を0.005%とした。 O:HAZ靱性を向上させるための有効な酸化物を生成
させるためには、O量は0.001%以上が必要であ
る。Oの上限を0.005%としたのは、非金属介在物
の生成による鋼の清浄度、靱性劣化を防止するためであ
る。
【0022】本発明の出発鋼には、所望によりさらに強
度調整元素として、V,Ni,Mo,Zr,REMの少
なくとも1種類以上を添加する。 V:VはNbとほぼ同じ効果を持つ元素であるが、0.
005%未満では効果がなく、上限は0.060%まで
許容できる。
【0023】Ni:Niは0.05%以上の添加によ
り、溶接性、HAZ靱性に悪影響を及ぼすことなく、母
材の強度、靱性を向上させる。一方、1.0%を超える
と経済性の点で好ましくないため、Niの上限を1.0
%とした。 Mo:Moは0.05%以上の添加により、母材の強
度、靱性を向上させる元素であるが、多すぎると母材、
HAZ靱性、溶接性の劣化を招き好ましくない。その上
限は0.30%である。
【0024】Zr:ZrはほぼTiと同様の効果を持つ
元素であり、その上下限は、それぞれ、0.005%、
0.025%である。 REM:REMはほぼTiと同様の効果を持つ元素であ
り、その上下限は、それぞれ、0.0005%、0.0
1%である。
【0025】なお、個々の化学成分を上記のとおりに限
定するだけでは不十分であり、下記の式 0.35≦C+Mn/6+(Cr+V)/5+(Cu+
Ni)/15≦0.50 を満たさなければならない。これは低温靱性や現地溶接
性がCrを含めた化学成分の全量で決まるからである。
下限の0.35%は必要な母材、溶接部の強度を得るた
めの最小量であり、0.50%は、優れた低温靱性、溶
接性を得るための上限である。
【0026】次に製造条件について説明する。本発明に
おいては、鋳造後のスラブ加熱温度は1100〜125
0℃の範囲とする。これは母材の強度、低温靱性を確保
するのに必要なためである。加熱温度が1100℃未満
になるとNb、V、Ti等の固溶が不十分となり、良好
な強度、靱性が得られない。しかし、再加熱温度が12
50℃を超えると、オーステナイト粒が粗大化するため
低温靱性が劣化する。なお、鋳造後、鋳片を冷片にする
ことなく直接圧延してもよい。
【0027】また、加熱後、圧延を行い、表面温度が9
00℃以上で圧延を一旦中断し、5〜40℃/sの冷却
速度で表面温度が700℃以下になるまで冷却する必要
がある。粗圧延を必要とするのは、オーステナイト再結
晶域での圧延によって、組織の微細化、均一化をはかる
ためである。スラブの表面温度が900℃未満から冷却
すると、鋼板中心部の温度も低下するため、圧延終了時
に板厚平均温度をAr3 以上に確保することが困難とな
る。
【0028】冷却による到達温度域を表面温度で700
℃以下とした理由は、700℃を超える温度では板厚中
心部の温度が復熱過程で未再結晶温度域まで下がらない
ためである。冷却速度は、小さ過ぎると板厚表層部での
αへの変態量が少なくなり、板厚中心部での強圧下がで
きなくなるため5℃/s以上とした。冷却速度が大き過
ぎると板厚平均温度が低下して、圧延終了時に板厚平均
温度をAr3 以上に確保できないため上限を40℃/s
とした。
【0029】また、冷却後、表面温度がAc3 以下、板
厚中心部温度が950℃以下の温度域になるまで放置
し、その後累積圧下率60%以上でかつ平均1パス当り
の圧延真歪が0.2以下となるように圧下を加える必要
がある。冷却後の圧延開始時の表面温度がAc3 以下で
ある理由は、Ac3 を超えてしまうと板厚表層部のαが
γへ逆変態してしまい、本発明においてαとγとの変形
抵抗差による靱性改善が困難となるからである。
【0030】冷却終了後の板厚中心部の温度が950℃
以下の温度域に低下するまで放置するのは、板厚中心部
の温度をオーステナイト未再結晶温度域に低下させた
後、圧下を加えるためである。冷却後の圧延の累積圧下
率が60%未満では、板厚表層部(α)と板厚中心部
(γ)の変形抵抗差による強圧下の効果は小さく、板厚
中心部へ導入される加工歪量が少ないため、累積圧下率
を60%以上とした。
【0031】平均1パス当りの圧延真歪が0.2を超え
ると板厚中心部と板厚表層部の変形抵抗差が逆転してし
まうため(図2に示す)、圧延真歪を0.2以下に制限
した。さらに、冷却後の圧延は、板厚平均温度がAr3
以上で終了し、その後直ちに5〜40℃/sの冷却速度
で板厚平均温度が350〜550℃となるまで加速冷却
し、その後空冷する。
【0032】冷却後の圧延は、板厚平均温度がAr3
満で終了すると、MnS系介在物が残存した場合延伸
化しやすい、Mn等の偏析により周囲よりもAr3
低下している中心偏析部へγ−α変態にともなうCの濃
化が起こり、中心偏析部にMA等の硬化組織が形成され
るため低温靱性が低下する。圧延終了後の加速冷却+放
冷は良好な強度、靱性を確保するために実施する。加速
冷却において、5℃/s未満の冷却速度または550℃
を超える冷却停止温度にするとγ−α変態にともなうC
の濃化が起こり、中心偏析部にMA等の硬化組織が形成
されるため低温靱性が低下する。一方、40℃/sを超
える冷却速度または350℃未満の冷却停止温度にする
と焼入れ性が高いマルテンサイト等の硬化組織が形成さ
れ、低温靱性の確保が困難になる。加速冷却後の空冷は
焼戻の効果があり、高強度化、高靱化がはかれる。
【0033】
【実施例】表1、表2(表1のつづき)に示す化学成分
の供試鋼を使い、CCスラブを表3、表4(表3のつづ
き−1)、表5(表3のつづき−2)に示すような製造
条件で再加熱、熱間圧延そして加速冷却を行った。これ
によって得られた鋼板の機械的性質、耐CO2 腐食性を
表6、表7(表6のつづき)に示す。なお、試験片の採
取状況の概略図を図3に示す。引張試験は全厚引張と
し、シャルピー試験片、SSC試験片は板厚中心部よ
り、腐食試験片は表層の微細なフェライト組織よりそれ
ぞれ採取した。
【0034】なお、表2において、Pcは下記式の値を
示す。 Pc=C+Mn/6+(Cr+V)/5+(Cu+N
i)/15
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】鋼11〜24は適切な製造条件ではないの
で、低温靱性、耐CO2 腐食性または耐サワー性が劣化
している。鋼25〜32は化学成分が適切ではなく、機
械的性質が得られていない。鋼25はMn量が本発明範
囲を超えるため溶接部の焼入れ性が増加して靱性が低下
した例である。
【0043】鋼26、鋼27は、それぞれNb、Tiが
不足しているために靱性が低下した例である。鋼28は
C量が多いために靱性が低下するとともに、セメンタイ
ト等のカソードサイトが増加して耐CO2 腐食性を劣化
させた例である。鋼29はCr量が低く、CO2 腐食環
境下でカソード反応を抑制できず、耐CO2 腐食性が劣
化した例である。
【0044】鋼30はCr量が多く、溶接部の靱性が低
下した例である。鋼31はCuが少ないため耐食性が確
保できなかった例、また鋼32はCu量が多いためHA
Z靱性が劣化した例である。鋼33はCaが少ないた
め、また鋼34はP、Sが多いために耐サワー性が劣化
した例である。
【0045】
【発明の効果】以上説明したような本発明により得られ
た鋼板は、CO2 を含有した環境における耐CO2 腐食
性に優れ、しかも特に母材のみならず溶接部の靱性にお
いても優れているので、耐サワーラインパイプ用鋼管材
としての用途への適用性を有効に高めることができ、本
発明の産業に及ぼす効果は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧延、水冷パターンを示す線図であ
る。
【図2】フェライトおよびオーステナイト主体組織での
圧延真歪と変形抵抗との関係を示す図である。
【図3】試験片の採取位置概略図である。
【符号の説明】
1 板厚 2 表層部 3 中心部
フロントページの続き (72)発明者 為広 博 君津市君津1番地 新日本製鐵株式会社君 津製鐵所内 (72)発明者 小川 洋之 君津市君津1番地 新日本製鐵株式会社君 津製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.01〜0.07%、 Si:0.05〜0.5%、 Mn:0.7〜1.5%、 P:0.015%以下、 S:0.001%以下、 Nb:0.01〜0.06%、 Cr:0.4〜1.2%、 Cu:0.05〜0.4%、 Ti:0.005〜0.03%、 Al:0.05%以下、 Ca:0.001〜0.005%、 N:0.001〜0.005%、 O :0.001〜0.005%を含有し、かつ下記の
    式 0.35≦C+Mn/6+(Cr+V)/5+(Cu+
    Ni)/15≦0.50 を満たし、残部鉄および不可避不純物からなる鋼を鋳造
    後、冷片にすることなく、あるいは冷片を1100〜1
    250℃の温度に加熱し、抽出後圧延を開始して表面温
    度が900℃以上で圧延を一旦中断し、引続き5〜40
    ℃/sの冷却速度で表面温度が700℃以下になるまで
    水冷した後、表面温度がAc3 以下、板厚中心部温度が
    950℃以下になるまで放冷し、しかる後に累積圧下率
    が60%以上でかつ平均1パス当りの圧延真歪が0.2
    以下となる圧下を加え、板厚平均温度がAr3 以上で圧
    延を終了し、直ちに5〜40℃/sの冷却速度で板厚平
    均温度が350〜550℃となるまで冷却し、その後空
    冷することを特徴とする耐CO2 腐食性および低温靱性
    の優れた耐サワーラインパイプ用鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で C:0.01〜0.07%、 Si:0.05〜0.5%、 Mn:0.7〜1.5%、 P:0.015%以下、 S:0.001%以下、 Nb:0.01〜0.06%、 Cr:0.4〜1.2%、 Cu:0.05〜0.4%、 Ti:0.005〜0.03%、 Al:0.05%以下、 Ca:0.001〜0.005%、 N:0.001〜0.005%、 O :0.001〜0.005% を含有し、さらに V:0.005〜0.060%、 Ni:0.05〜1.0%、 Mo:0.05〜0.30%、 Zr:0.005〜0.025%、 REM:0.0005〜0.01%のうち1種類以上含
    有し、かつ下記の式 0.35≦C+Mn/6+(Cr+V)/5+(Cu+
    Ni)/15≦0.50 を満たし、残部鉄および不可避不純物からなる鋼を鋳造
    後、冷片にすることなく、あるいは冷片を1100〜1
    250℃の温度に加熱し、抽出後圧延を開始して表面温
    度が900℃以上で圧延を一旦中断し、引続き5〜40
    ℃/sの冷却速度で表面温度が700℃以下になるまで
    水冷した後、表面温度がAc3 以下、板厚中心部温度が
    950℃以下になるまで放冷し、しかる後に累積圧下率
    が60%以上でかつ平均1パス当りの圧延真歪が0.2
    以下となる圧下を加え、板厚平均温度がAr3 以上で圧
    延を終了し、直ちに5〜40℃/sの冷却速度で板厚平
    均温度が350〜550℃となるまで冷却し、その後空
    冷することを特徴とする耐CO2 腐食性および低温靱性
    の優れた耐サワーラインパイプ用鋼板の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100564324B1 (ko) * 2001-12-21 2006-03-29 주식회사 포스코 내 이산화탄소 부식성이 우수한 저합금 열연강재
JP2008169467A (ja) * 2006-12-14 2008-07-24 Nippon Steel Corp 脆性き裂伝播停止性能に優れた高強度厚鋼板及びその製造方法
JP2010100872A (ja) * 2008-10-21 2010-05-06 Kobe Steel Ltd 鉱物を収容する容器に用いられる鋼材
CN105483521A (zh) * 2015-12-21 2016-04-13 中国石油天然气集团公司 一种高铬耐腐蚀高强度管线钢及其制造方法
EP2380997A4 (en) * 2009-01-15 2016-12-28 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp STEEL FOR WELDING CONSTRUCTION WITH EXCELLENT HIGH AND LOW TEMPERATURE STRENGTH AND METHOD OF PRODUCTION THEREOF

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