JPH05293382A - ビスフェノール類の異性化触媒および異性化法 - Google Patents

ビスフェノール類の異性化触媒および異性化法

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JPH05293382A
JPH05293382A JP4122949A JP12294992A JPH05293382A JP H05293382 A JPH05293382 A JP H05293382A JP 4122949 A JP4122949 A JP 4122949A JP 12294992 A JP12294992 A JP 12294992A JP H05293382 A JPH05293382 A JP H05293382A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 目的とするビスフェノール類以外のビスフェ
ノール類の異性体を、円滑に効率よく異性化して目的と
するビスフェノール類に変換させる異性化触媒および異
性化方法を提供する。 【構成】 特定のメルカプト−チアジアゾール類、2−
メルカプト−ベンゾチアゾールまたは特定のメルカプト
−ベンゾチアゾリン類で酸性官能基が予め変性された強
酸性イオン交換樹脂であるビスフェノール類を異性化す
る触媒であり、この触媒を使用して目的とするビスフェ
ノール類以外のビスフェノール類の異性体を、異性化し
て目的とするビスフェノール類に変換させる異性化法で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビスフェノール類の製
造において副生された、目的とするビスフェノール類以
外のビスフェノール類の異性体を目的とするビスフェノ
ール類に接触的に変換させるための触媒およびこの触媒
を使用した副生ビスフェノール類の異性化法に関し、さ
らに詳細には、カルボニル化合物とフェノール類とを、
酸性イオン交換樹脂または塩酸などの酸性触媒の存在下
で、ビスフェノール類を製造する際に副生された、目的
とするビスフェノール類以外のビスフェノール類の異性
体を円滑に、かつ、効率よく目的とするビスフェノール
類に接触的に変換させて目的とするビスフェノール類の
収率を向上させる方法およびそのための触媒に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】ビスフェ
ノール類の中でも、特にパラ体のビスフェノールA、す
なわち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン(以下 p,p'−BPA と記す)は、ポリカー
ボネート樹脂およびエポキシ樹脂などの原料として有用
な物質であり、近年、その用途および需要が大きく伸び
ている。p,p'−BPAは、酸性イオン交換樹脂また
は塩酸もしくは硫酸などの酸性触媒の存在下で、たとえ
ば、アセトンのようなカルボニル化合物とフェノールで
代表されるフェノール類とを縮合させることにより製造
されているが、その際に、目的とするp,p'−BPA
の他に2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン(以下 o,p'−BPA
と記す)、トリスフェノール、IPPダイマー、クロ
マン類および未確認タール状物質などが多量に副生され
て目的とするp,p'−BPAの収率を著しく低下させ
ることになる。目的とするp,p'−BPAの収率を向
上させるためには、o,p'−BPAおよびトリスフェ
ノールなどの目的とするp,p'−BPAに比較的容易
に変換せしめられる副生物を、ビスフェノール合成にお
ける主反応と同様に酸性触媒の存在下で、目的とする
p,p'−BPAへ異性化させる必要がある。
【0003】この異性化反応の触媒として、無変性のス
ルホン酸型強酸性イオン交換樹脂および、たとえば、2
−アミノエタンチオールなどの低級アミノチオール類で
部分的に変性された酸性イオン交換樹脂の使用が知られ
ている。しかしながら、この場合には、異性化反応の速
度が遅く、目的とするp,p'−BPAへの変換率が低
いとの欠点があった。
【0004】特開昭57-114540号公報には、メルカプト
アルキルピリジニウム塩で変性されたスルホン酸型陽イ
オン交換樹脂を用いた異性化方法が開示されている。ま
た、特開平1-135736号には1分子中に2個のメルカプト
基を有するアルキルメルカプトアミンで変性された陽イ
オン交換樹脂を使用した異性化方法が開示されている。
しかしながら、いずれも、変性剤が入手し難い物質であ
り、かつ、高価であるという欠点がある。これらの異性
化反応を実用に供するためには、容易に入手が可能で、
安価な変性剤を使用して、円滑に、かつ、効率よく反応
をすすめる必要がある。本発明の目的は、望ましくない
副生物を、目的とするビスフェノール類に効率よく円滑
に変換させる異性化方法およびこの異性化方法で好適に
使用される触媒を提供することにある。
【0005】
【問題を解決するするための手段、作用】本発明者ら
は、副生されたビスフェノール類の異性体の異性化法お
よびそのための触媒について、鋭意研鑽を重ねた結果、
入手が比較的容易で安価な、たとえば、メルカプト−チ
アジアゾール類のような変性剤によって部分的に変性さ
れた強酸性イオン交換樹脂を触媒として使用することに
よって、異性化反応が驚異的に、円滑に、かつ、効率よ
く進行せしめられるとともに、副生物の生成および着色
度が低く抑えられ、目的とするp,p'−BPAの収率
を大きく向上させ得ることを発見し、この発見に基づい
て、本発明に到達した。すなわち、本発明は、 式
(I)で表されるメルカプト−チアジアゾール類、2−
メルカプト−ベンゾチアゾールまたは式(II)で表わ
されるメルカプト−ベンゾチアゾリン類で酸性官能基が
予め変性された強酸性イオン交換樹脂であることを特徴
とするビスフェノール類の異性化触媒およびカルボニル
化合物とフェノール類とを縮合させてビスフェノール類
を製造する際に副生された目的のビスフェノール類以外
のビスフェノール類の異性体を触媒に接触させて該ビス
フェノール類の異性体を目的のビスフェノール類に変換
させる異性化法において、該触媒として式(I)で表さ
れるメルカプト−チアジアゾール類、2−メルカプト−
ベンゾチアゾールまたは式(II)で表わされるメルカ
プト−ベンゾチアゾリン類で酸性官能基が予め変性され
た強酸性イオン交換樹脂を使用することを特徴とするビ
スフェノール類の異性化法である。
【0006】
【化5】
【0007】
【化6】
【0008】本発明において目的とするビスフェノール
類には、特に制限はないが、通常は、たとえば、アセト
ン、メチルエチルケトン、アセトフェノンおよびクロロ
アセトンなどのカルボニル化合物と、たとえば、フェノ
ール、o−クレゾール、m−クレゾール、o−クロロフェ
ノール、o−フェニルフェノール、o-tert.−ブチルフェ
ノールおよび2,4−キシレノールなどのフェノール類
とを、たとえば、酸性イオン交換樹脂ならびに塩酸およ
び硫酸などの酸性触媒の存在下で、常法により縮合反応
させて得られるが、就中、フェノールとアセトンとから
得られるビスフェノールAが実用上好ましい。
【0009】本発明において、異性化触媒として強酸性
イオン交換樹脂の酸性官能基を変性(以下 変性 は、
酸性官能基の変性 を意味する)させて使用されるが、
この強酸性イオン交換樹脂は、所謂、強酸性イオン交換
樹脂であればよく、特に制限はない。イオン交換樹脂の
酸性の程度−イオン交換樹脂の酸性官能基の量と解離度
によって定まる−は、通常行われているように解離定数
(Ka)の逆数の対数、すなわち、pKaとして表示され
る。しかして、このpKaは、たとえば、濃度既知の苛性
ソーダ水溶液を使用する常法によって測定することがで
きる。本発明において使用される強酸性イオン交換樹脂
の変性前の酸性の程度は、通常はpKaとして約3未満、
好ましくは、1前後である。本発明で使用される強酸性
イオン交換樹脂の代表例として、スチレン−ジビニルベ
ンゼン系、架橋スチレン系、フェノール−ホルムアルデ
ヒド系、ベンゼン−アルデヒド系の樹脂を樹脂母体とす
るスルホン酸型強酸性イオン交換樹脂を挙げることがで
きる。また、強酸性イオン交換樹脂として、巨大網状
(MR型)樹脂および微小網状(Gel型)樹脂のいずれを
も使用することができる。就中、スルホン酸型スチレン
−ジビニルベンゼン系の陽イオン交換樹脂が好適に使用
される。また、スルホン酸型スチレン−ジビニルベンゼ
ン系の陽イオン交換樹脂の好適な代表例として、K1221
(バイエル社:Gel型)、MSC-1(ダウケミカル社:MR
型)およびアンバーリスト31(ロームアンドハース社:
Gel型)などを挙げることができる。これら代表例とし
て挙げられた陽イオン交換樹脂は、ほぼ、3.0〜6.0meq
/gの陽イオン交換能を有しているが、一般には、Na型
として市販されているので、本発明における触媒として
使用するためには、塩酸などの酸により、予め、H型に
変換しておく必要がある。
【0010】本発明において、強酸性イオン交換樹脂を
変性させるための変性剤は、式(I)で表わされるメル
カプト−チアジアゾール類、式(II )で表わされる
メルカプト−ベンゾチアゾリン類または式(III)で
表わされる2−メルカプト−ベンゾチアゾールが使用さ
れる。
【0011】
【化7】
【0012】
【化8】
【0013】
【化9】
【0014】これらの式で表わされる化合物の代表例は
次の如くである。すなわち、式(I)で表わされるメル
カプト−チアジアゾール類の代表例としては、2,5−
ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メル
カプト−1,3,4−チアジアゾール、2−ヒドロキシ
−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−
メルカプト−5−アミノ−1,3,4−チアジアゾー
ル、2−ニトロ−5−メルカプト−1,3,4−チアジ
アゾール、2−エトキシカルボニル−5−メルカプト−
1,3,4−チアジアゾール、2−カルボキシ−5−メ
ルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−アセチル
−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−
メルカプト−5−スルホ−1,3,4−チアジアゾー
ル、2−エチル−5−メルカプト−1,3,4−チアジ
アゾール、2−シクロヘキシル−5−メルカプト−1,
3,4−チアジアゾールおよび2−フェニル−5−メル
カプト−1,3,4−チアジアゾールなどが挙げられ
る。
【0015】また、式(II)で表わされるメルカプト
−ベンゾチアゾリン類の代表例としては、2−メルカプ
ト−ベンゾチアゾリン、3−メルカプト−ベンゾチアゾ
リン、2,3−ジメルカプト−ベンゾチアゾリン、2,
2−ジヒドロキシ−3−メルカプト−ベンゾチアゾリ
ン、2−アミノ−3−メルカプト−ベンゾチアゾリン、
2−アミノ−2−メルカプト−3−ニトロ−ベンゾチア
ゾリン、2−メルカプト−3−メトキシカルボニル−ベ
ンゾチアゾリン、2−カルボキシ−3−メルカプト−ベ
ンゾチアゾリン、2−メルカプト−3−アセチル−ベン
ゾチアゾリン、2−メルカプト−3−スルホ−ベンゾチ
アゾリン、2−プロピル−3−メルカプト−ベンゾチア
ゾリン、2−シクロペンチル−3−メルカプト−ベンゾ
チアゾリンおよび2−α−ナフチル−3−メルカプト−
ベンゾチアゾリンなどが挙げられる。これらのうち、比
較的安価であり、大量の入手が比較的容易であり、か
つ、変性が効率よく行われることから、2,5−ジメル
カプト−1,3,4−チアジアゾール、3−メルカプト
−ベンゾチアゾリンおよび2−メルカプト−ベンゾチア
ゾールが好ましく、就中、2−メルカプト−ベンゾチア
ゾールが最も好ましい。
【0016】本発明において、強酸性イオン交換樹脂の
変性率は、強酸性イオン交換樹脂中のスルホン酸基のよ
うな酸性官能基に対して、実用上、5%以上下、好まし
くは、10%乃至60%とされる。この変性率が低過ぎ
ると強酸性イオン交換樹脂は殆ど変性されないことにな
り、このような強酸性イオン交換樹脂を使用した場合に
は、異性化反応は円滑に進行しない。他方、この変性率
が60%越えても、異性化反応率、すなわち、p,p'
−BPAのような目的とするビスフェノール類の回収率
および収率は、増加させた変性率に見合った増加を示さ
ず、むしろ、副生物の生成量が増加する傾向がある。
【0017】この強酸性イオン交換樹脂の変性におい
て、たとえば、メルカプト−チアジアゾール類のような
変性剤は強酸性イオン交換樹脂の酸性官能基と定量的に
イオン結合するので、強酸性イオン交換樹脂を所望の変
性率に変性するための必要量は、変性される強酸性イオ
ン交換樹脂の樹脂量および酸性官能基の量−すなわち、
pKa−の両者から計算によって容易に求めることができ
る。
【0018】本発明における強酸性イオン交換樹脂の変
性は、強酸性イオン交換樹脂と変性剤とを接触させれば
よい。使用される変性剤が非水溶性の場合には、通常
は、変性させる強酸性イオン交換樹脂を風乾または加熱
乾燥した後、これをフェノール中に浸漬しつつ50〜1
00℃に維持して充分に膨潤させ、これに所定量の変性
剤を加えて、0.1〜5時間程度攪拌することにより行
われる。このようにして、変性化反応は短時間で完結せ
しめられるが、変性を強酸性イオン交換樹脂内に均一に
広がらせるための熟成期間が必要な場合もある。また、
使用される変性剤が水溶性である場合には、強酸性イオ
ン交換樹脂を乾燥させることなく、含水状態のままの強
酸性イオン交換樹脂を水に浸漬しつつ、これに変性剤を
添加して、50〜80℃に維持する以外は前記と同様に
して変性が行なわれる。
【0019】本発明における異性化は、目的とするビス
フェノール類以外の異性体と、触媒である変性された強
酸性イオン交換樹脂とを接触させればよく、異性体を含
有するビスフェノール類の合成反応生成液またはこの合
成反応生成液から分離された異性体と触媒とを混合すれ
ばよいが、前者が好ましい。本発明における異性化反応
は、通常、不活性ガス雰囲気中で常圧乃至5kg/cm2G程
度の加圧下で、40〜120℃程度、好ましくは、60
〜100℃程度の温度範囲で行われる。異性化反応にお
ける反応温度が低過ぎると触媒の活性が充分に発揮され
ず、反応速度が低下して長い反応時間が必要になる。他
方、反応温度が高過ぎると反応速度は充分に大きくなる
反面、副生物の生成量が多くなり、o,p'−BPA/
p,p' −BPAの比率が高くなる。しかしながら、前
記の反応条件の範囲以外とすることを妨げない。触媒の
使用量は、ビスフェノール類の種類、触媒の種類、変性
の程度ならびに反応圧力および反応温度などの反応条件
によって異なり、特定し得ないが、異性化されるべきビ
スフェノール類の異性体の重量に対して、通常は、0.5
〜10倍程度とされる。
【0020】異性化の所要時間は、強酸性イオン交換樹
脂の種類および量、変性剤の種類、変性率の大きさなら
びに反応圧力および反応温度などの反応条件などにより
適宜選択し得るが、回分反応の場合には、通常、0.1〜
20時間程度とされ、固定床を用いた連続反応の場合に
は、空間速度(SV)0.1〜20/hr程度とされる。
【0021】また、異性化時において、反応系内に少量
の水を存在させると、不純物の生成量を減少させること
ができる。その反面、水分量が異性化反応液に対して2
重量%以上になると異性化反応の反応速度が低下して、
長い反応時間が必要となる。従って、異性化反応液中の
水含有量を、通常は0.1〜1重量%程度、好ましくは0.
1〜0.7重量%程度に維持することが好ましい。異性化
反応液中の水含有量をこの範囲に維持するためには、通
常は、異性化反応液にこれに相当する水が添加される。
このように操作することによって、異性化反応は非常に
効率よく進行せしめられる。
【0022】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に説
明するが、本発明はその要旨を変えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。 実施例1 500ml丸底フラスコに、予め充分乾燥されたH型スル
ホン酸型スチレン−ジビニルベンゼン系の陽イオン交換
樹脂(バイエル社製 K1221:イオン交換能 5.2meq/g,
pKa1.0)30gとフェノール150gとを混合し、80
℃の水浴中で3時間攪拌しながら膨潤させた後、これに
2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
(純正化学製:M.W. 150.23)を2.3g添加し、この温
度を維持しながらさらに2時間変性を続けて変性化反応
生成液を得た。 この変性化反応生成液から、濾過によ
ってフェノールを除去して変性された強酸性イオン交換
樹脂30gを得た。このようにして変性された強酸性イ
オン交換樹脂の酸性官能基を、苛性ソーダ水溶液を使用
した滴定によって定量して、その変性率が10%である
ことを確認した。この変性された強酸性イオン交換樹脂
の全量を300ml丸底フラスコに入れ、表1に示された
組成を有する異性化反応液を120g仕込み、この液を
常圧下、80℃に保ち充分に攪拌して反応させた。反応
開始から6時間経過後に、攪拌を止めて、得られた反応
生成液から樹脂成分を濾過によって除去し、濾液中の
o,p'−BPAおよびp,p'−BPAの量を測定し
て、表1に示す結果を得た。
【0023】実施例2 2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールの
使用量を2.3gから11.5gに変更し、変性率約50%
に変性された強酸性イオン交換樹脂を使用した以外は、
実施例1と同様に行って、表1に示す結果を得た。
【0024】実施例3 2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
2.3gの代わりに2−メルカプト−ベンゾチアゾール
(純正化学製:M.W. 167.24)2.6gを使用して、変性
率約10%に変性された強酸性イオン交換樹脂を使用し
た以外は、実施例1と同様に行って、表1に示す結果を
得た。
【0025】実施例4 2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
2.3gの代わりに2−メルカプト−ベンゾチアゾール1
3.0gを使用して、変性率約50%に変性された強酸性
イオン交換樹脂を使用した以外は、実施例1と同様に行
って、表1に示す結果を得た。
【0026】実施例5 2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
2.3gの代わりに2−メルカプト−1,3,4−チアジ
アゾール(東洋化成工業製:M.W. 118.17)5.4gを使
用して、変性率約30%に変性された強酸性イオン交換
樹脂を使用した以外は、実施例1と同様に行って、表1
に示す結果を得た。
【0027】実施例6 2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
2.3gの代わりに2−メルカプト−ベンゾチアゾリン
(東洋化成工業製:M.W. 169.26)10.4gを使用し
て、変性率約40%に変性された強酸性イオン交換樹脂
を使用した以外は、実施例1と同様に行って、表1に示
す結果を得た。
【0028】比較例1 2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
2.3gの代わりに2−アミノ−エタンチオール(純正化
学製:M.W. 77.15)1.2gを使用して、変性率約10%
に変性された強酸性イオン交換樹脂を使用した以外は、
実施例1と同様に行って、表1に示す結果を得た。
【0029】比較例2 変性されない強酸性イオン交換樹脂を使用した以外は、
実施例1と同様に行って、表1に示す結果を得た。
【0030】
【表1】
【0031】これらの実施例を比較例と対比すると、変
性剤である特定のメルカプト−チアジアゾール類、2−
メルカプト−ベンゾチアゾールまたは特定のメルカプト
−ベンゾチアゾリン類で変性された強酸性イオン交換樹
脂を触媒として使用する本発明の異性化法においては、
これらの化合物以外の物質で変性された強酸性イオン交
換樹脂を触媒として使用して異性化した場合および変性
されない強酸性イオン交換樹脂を触媒として使用して異
性化した場合のそれぞれに比して異性化が円滑に、効率
よく進行していることが判る。
【0032】
【発明の効果】カルボニル化合物とフェノール類とを縮
合させてビスフェノール類を製造する際に副生される目
的のビスフェノール類以外の異性体を、本発明の異性化
触媒を使用する事により、効率よく、円滑に異性化させ
て目的のビスフェノール類に変換させ、以て目的のビス
フェノール類の収率を向上させることができる。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I)で表されるメルカプト−チアジ
    アゾール類で酸性官能基が予め変性された強酸性イオン
    交換樹脂であることを特徴とするビスフェノール類の異
    性化触媒。 【化1】
  2. 【請求項2】 2−メルカプト−ベンゾチアゾールで酸
    性官能基が予め変性された強酸性イオン交換樹脂である
    ことを特徴とするビスフェノール類の異性化触媒。
  3. 【請求項3】 式(II)で表されるメルカプト−ベン
    ゾチアゾリン類で酸性官能基が予め変性された強酸性イ
    オン交換樹脂であることを特徴とするビスフェノール類
    の異性化触媒。 【化2】
  4. 【請求項4】 強酸性イオン交換樹脂がスルホン酸型陽
    イオン交換樹脂である請求項1乃至3のいずれか1項に
    記載のビスフェノール類の異性化触媒。
  5. 【請求項5】 強酸性イオン交換樹脂が巨大網状樹脂で
    ある請求項1乃至4のいずれか1項に記載のビスフェノ
    ール類の異性化触媒。
  6. 【請求項6】 強酸性イオン交換樹脂が微小網状樹脂で
    ある請求項1乃至4のいずれか1項に記載のビスフェノ
    ール類の異性化触媒。
  7. 【請求項7】 酸性官能基の変性率が5%以上である請
    求項1乃至6のいずれか1項に記載のビスフェノール類
    の異性化触媒。
  8. 【請求項8】 メルカプト−チアジアゾール類が2,5
    −ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールである請
    求項1または4乃至7のいずれか1項に記載のビスフェ
    ノール類の異性化触媒。
  9. 【請求項9】 メルカプト−ベンゾチアゾリン類が3−
    メルカプト−ベンゾチアゾリンである請求項3乃至7の
    いずれか1項に記載のビスフェノール類の異性化触媒。
  10. 【請求項10】 カルボニル化合物とフェノール類とを
    縮合させてビスフェノール類を製造する際に副生された
    目的のビスフェノール類以外のビスフェノール類の異性
    体を触媒に接触させて該ビスフェノール類の異性体を目
    的のビスフェノール類に変換させる異性化法において、
    該触媒として式(I)で示されるメルカプトチアジアゾ
    ール類、2−メルカプト−ベンゾチアゾールまたは式
    (II)で表されるメルカプト−ベンゾチアゾリン類で
    酸性官能基が予め変性された強酸性イオン交換樹脂を使
    用することを特徴とするビスフェノール類の異性化法。 【化3】 【化4】
  11. 【請求項11】 目的のビスフェノール類がビスフェノ
    ールAである請求項10に記載のビスフェノール類の異
    性化法。
  12. 【請求項12】 強酸性イオン交換樹脂がスルホン酸型
    陽イオン交換樹脂である請求項10または請求項11に
    記載のビスフェノール類の異性化法。
  13. 【請求項13】 強酸性イオン交換樹脂が巨大網状樹脂
    である請求項10乃至12のいずれか1項に記載のビス
    フェノール類の異性化法。
  14. 【請求項14】 強酸性イオン交換樹脂が微小網状樹脂
    である請求項10乃至12のいずれか1項に記載のビス
    フェノール類の異性化法。
  15. 【請求項15】 触媒が、酸性官能基の変性率が5%以
    上で変性された強酸性イオン交換樹脂である請求項10
    乃至14のいずれか1項に記載のビスフェノール類の異
    性化法。
  16. 【請求項16】 メルカプト−チアジアゾール類が2,
    5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールである
    請求項10乃至15のいずれか1項に記載のビスフェノ
    ール類の異性化法。
  17. 【請求項17】 メルカプト−ベンゾチアゾリン類が3
    −メルカプト−ベンゾチアゾリンである請求項10乃至
    15のいずれか1項に記載のビスフェノール類の異性化
    法。
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