JP3446060B2 - ビスフエノール類の製造法 - Google Patents

ビスフエノール類の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】本発明は、アルキル-SH基で改質したス
ルホン酸イオン交換樹脂の存在下、アセトンとフェノー
ル類から4,4-ジヒドロキシフェニールプロパンを製造
する方法において、反応に先立ち、アセトンとフェノー
ル類との遊離体混合物に0.6ないし5重量%の水を添
加することを特徴とする製造法に関する。 【0002】フェノール類とカルボニル化合物類とを触
媒、例えば塩酸[米国特許明細書(US-PS)第2,182,308号
および第2,191,831号]、三弗化ボロン[ケミカルアブス
トラクツ(CA) 58, 338C]、過塩素酸[ケミカルアブスト
ラクツ(CA) 60, 1626h]、ベンゼンスルホン酸[ケミカ
ルアブストラクツ(CA) 59, 511h]、及び各種のカチオン
交換樹脂[例えば英国特許(GB) 第842,209号、第849,565
号及び第883,391号]を使用して縮合反応させ、ビスフェ
ノール類が製造できることは公知である。更に含硫黄化
合物が助触媒として添加できることも公知である。チコ
ジグリコール酸および3-メルカプトプロピオン酸の使用
が例えば米国特許明細書(US-PS) 第2,468,982号および2
2,623,908号に記載されている。アルキルメルカプタン
類の添加が例えば、米国特許(US-PS)第2,775,620号に記
載され、一方硫化水素の添加が例えばケミカルアブスト
ラクツ(CA) 58, 1403eに記載されている。工業規模では
公知の含硫黄触媒が深刻な装置の腐食害を引き起こす。
この方法で製造したビスフェノール類は痕跡量の触媒が
混入し、高割合の二次製品、例えば目的のビスフェノー
ルの異性体縮合物を含んでいる。 【0003】対照的に、例えばドイツ国公告特許(DE-A)
第3 619 450号およびドイツ国公告特許(DE-A)第3 727 6
41号によるアルキル-SHで改質したイオン交換樹脂を
使用したビスフェノールの合成では、高純度ビスフェノ
ールの生成および単離が可能である。 【0004】しかし、モノフェノール類とカルボニル化
合物、例えばアルデヒドおよびケトン類とから、例えば
ドイツ国公告特許第3 619 450号およびドイツ国第3 727
641号によってからビスフェノール類を製造すると、製
造時間があまり経過しないうちに触媒の反応性および選
択性が大きく低下する。そうなれば、触媒は再生する
か、または完全に新しいものに変えなければならない。
その結果、製造は中止され、製造装置の保全作業が増加
し、容積/時間収率が全面的に低下する。 【0005】今、アセトンとフェノールとの遊離体混合
物に、同混合物基準で0.6ないし5重量%量の水を添
加すると、改質イオン交換樹脂が、はるかに長期間その
触媒活性を保持することが発見された。本発明の方法で
は、水を添加することによってビスフェノールが生成す
る反応の選択性が増加し、その結果ビスフェノールの純
度が向上する。 【0006】このことは、特にAegew. Chem. 75, 662
(1963) の記載から、イオン交換樹脂はビスフェノール
合成には乾燥状態で使用しなければならないということ
が知られていたので、予見できなかった。 【0007】例えば、ヨーロッパ特許(EP-A) 第319 327
号から、受容できる程度の高い変換率を達成し、そして
実質的に異性体を含まない生成物を得ようとすれば、イ
オン交換樹脂ははじめから乾燥状態にしておくか、また
は連続操作で、乾燥した遊離体混合物によって徐々に乾
燥状態にして行かなければならないことが知られてい
る。同じことがアルキル-SHで改質したイオン交換樹
脂についても知られている[例えばヨーロッパ公告特許
(EP-A)第319 327号、 ヨーロッパ公告特許(EP-A)第49 41
1号、 ヨーロッパ公告特許(EP-A)第268 318号]。 米国公
告特許(US-A)第3,634,341号から、アミノチオールまた
はチアゾリジンで部分的に中和したイオン交換樹脂が水
に対して敏感であることが知られている。 【0008】かくして例えば、ヨーロッパ公告特許(EP-
A)第442 122号によれば、反応の間に生成した水は、浸
透揮発膜(pervaporation membrane)を使用して反応混合
物から速やかにそして効果的に除去し、それによって厄
介な二次反応および効果を避けることができる。 【0009】本発明の方法によって充分に満足できる変
換率が得られ、そして反応選択率は増加する。本発明の
方法は、p,p'-異性体に転位できない二次生成物、例え
ばクロマンおよびインダン類を殆ど生成させないので特
に好ましい。比較的純度の高いビスフェノール類の単離
が更に容易になる。 【0010】メルカプト基改質イオン交換樹脂に水分を
加えた場合のイオン交換樹脂の有効寿命は、乾燥遊離体
を使用した場合の数倍の長さに達する。かくして乾燥遊
離体を使用した場合は一般に僅か100時間の操業時間
で、触媒の損傷がはっきりと観察できる。この損傷は樹
脂中のメルカプト基が減少したことを反映したものであ
る。含水遊離体を使用した場合は、100時間程度経過
した後でもメルカプト基含量は最初と実質的に同じであ
ることが観察されている。これによって触媒の活性が均
一であることが確認できる。 【0011】従って、本発明はアルキル-SH基で改質
したスルホン酸イオン交換樹脂の存在下、アセトンとフ
ェノール類から4,4-ジヒドロキシフェニールプロパン
を製造する方法において、その合成反応に先立って、ア
セトンとフェノール類との遊離体混合物に、0.6ない
し5重量%の水を添加することを特徴とする製造法に関
する。 【0012】本発明の方法に適した出発物質は、フェノ
ール類、例えばo-クレゾール、2,6-ジメチルフェノー
ル、o-エチルフェノール、o-イソプロピルフェノール、
o-tert.-ブチルフェノール、o-フェニルフェノール、
特にフェノール、そしてケトン類、例えばアセトンであ
る。 【0013】適当なイオン交換樹脂はスルホン化された
架橋スチレンポリマーおよびフェノール樹脂である。好
ましいイオン交換樹脂はゲル型の、スチレン基準で2な
いし6重量%、好ましくは2ないし4重量%のジビニー
ルベンゼンで架橋したスルホン化スチレンポリマーであ
る。同ポリマーはスチレン中のベンゼン核1個当たり1
個以上のスルホン酸基を含むことができ、同スルホン酸
基の1ないし30%、好ましくは3ないし25%、そし
てより好ましくは3ないし15%が、例えばアミノアル
キルメルカプタン、チアゾリジン、またはアミノチオフ
ェノール類で中和されている[例えばドイツ国公告特許
(DE-A)第3 619 450号、第3 727 641号、ヨーロッパ特許
(EP-A)第319 327号、ヨーロッパ特許(EP-A)第268 318
号、ドイツ国公告特許(DE-A)第2 733 537号参照]。ア
ミノアルキルメルカプタンとチアゾリジンとが好まし
く、システアミンおよびジメチルチアゾリジンが特に好
ましい。スルホン酸の部分中和は公知の方法で実施され
る(例えばドイツ国公告特許(DE-A)第3 619 450号、ドイ
ツ国公告特許(DE-A)第3 727 641号、 米国公告特許第3,3
94,089号参照)。 (イオン結合または共有結合によって結合している)ア
ルキル-SH基を含むスルホン酸イオン交換樹脂の混合
物も使用することができる。 【0014】アセトンとフェノールとの縮合反応は、そ
れ自体公知の条件下に、50ないし100℃、好ましく
は55ないし90℃、そしてより好ましくは55ないし
85℃の温度で、イオン交換樹脂1kg当たり、1時間
に遊離体混合物0.05ないし2.0kgの触媒負荷で、
好ましくは0.10ないし1.0、より好ましくは0.1
ないし0.5kg/l/hで、フェノールに対するアセ
トンのモル比が1:25ないし1:4、好ましくは1:
22ないし1:6、より好ましくは1:20ないし1:
8で実施する。 【0015】遊離体混合物に添加する水の量は、アセト
ンおよびフェノールの遊離体混合物基準で0.6ないし
5重量%、好ましくは1.0ないし4.1重量%、そして
より好ましくは1.2ないし2.9重量%である。 【0016】 【実施例】 実施例1 2%のジビニルベンゼンで架橋したスルホン化スチレン
ポリマーの乾燥物(Lewatit SC 102)50mlをフェノ
ール中で膨潤させ、それにフェノールに溶解したシステ
アミン3.3gを、撹拌しながらフェノール懸濁液に滴
下し、24時間撹拌を続けた。得られた懸濁液を加熱可
能な管状反応器に導入し、それにフェノールと3.8重
量%のアセトンとの遊離体混合物を、65℃の温度でポ
ンプを使用して25g/hの割合で送液し、一方では a)200時間に亙る操作期間中、遊離体混合物に水を
加えず、他方では b)300時間に亙る操作期間中、遊離体混合物に1%
の水を加えた。 【0017】結果を表1に示す。 【0018】 【表1】表 1 アセトン変換率 p,p'-BPA選択率 転位不能2次製品選択率 a 98 - 99 % 94.2 % 0.27 % b 95 - 96 % 94.7 % 0.12 % 従って、実質的に同じアセトン変換率で、目的製品選択
率で0.5%の向上、そして使用できない、また異性化
できない(すなわち転位できない)2次製品の選択率で
50%以上の減少があった。 【0019】実施例2 実施例1と同じ触媒を使用し、同様な操作で、ただ温度
を70℃に上げて、そして a)250時間に亙って1%の水を添加し、そして b)250時間に亙って2%の水を添加し、そしてそれ
以外の条件は同じにして実施した。遊離体混合物への水
の添加を1%から2%に変えると、変換率が3ないし4
%と僅かながら低下したが、一方目的製品の選択率は
0.3%増加し、そして使用できない2次製品が約20
%減少した。 【0020】実施例3 水を加えた実施例1および実施例2の触媒活性は1,0
00時間操業した後でも低下しなかった。 【0021】1,000時間操業後、触媒をフェノール
で洗浄、固体NMRスペクトル法で分析した。未使用の
新触媒と比較して、SH基含量の低下は見られなかっ
た。 【0022】しかし、同じ触媒を乾燥した遊離体混合
物、即ち水分約0.1%の遊離体混合物に1,000時間
接触させると、その活性は低下し、アセトン変換率が7
0ないし75%と約25%落ち、1H-NMRで観察した
所、SH基が約60ないし70%と明確に減少してい
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アルフレート・アイテル ドイツ連邦共和国デー41539ドルマーゲ ン・バーンホーフシユトラーセ15 (72)発明者 ゲルハルト・フエンホフ ドイツ連邦共和国デー47877ビリツヒ・ ブツシユシユトラーセ25 (72)発明者 オツト・イメル ドイツ連邦共和国デー47803クレーフエ ルト・イメンホーフベーク26 (72)発明者 ラルフ・パクル ドイツ連邦共和国デー50765ケルン71・ アムブラウンスアツカー80 (72)発明者 ベルンハルト・ベールレ ドイツ連邦共和国デー40764ランゲンフ エルト・トロンペーターシユトラーセ43 (72)発明者 クラウス・ブルフ ドイツ連邦共和国デー47800クレーフエ ルト・リヒヤルト−シユトラウス−シユ トラーセ21 (56)参考文献 特開 昭54−19951(JP,A) 特開 平1−203342(JP,A) 特開 昭62−298454(JP,A) 特開 昭64−70151(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 37/20 C07C 39/16 C07B 61/00 300

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 アルキル-SH基で改質したスルホン酸
    イオン交換樹脂の存在下、アセトンとフェノール類から
    4,4-ジヒドロキシフェニールプロパンを製造する方法
    において、反応に先立ち、アセトンとフェノール類との
    遊離体混合物に、0.6ないし5重量%の水を添加する
    ことを特徴とする製造法。
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