JPH05279800A - 放電加工性および被切削性にすぐれた金型用鋼 - Google Patents
放電加工性および被切削性にすぐれた金型用鋼Info
- Publication number
- JPH05279800A JPH05279800A JP4238337A JP23833792A JPH05279800A JP H05279800 A JPH05279800 A JP H05279800A JP 4238337 A JP4238337 A JP 4238337A JP 23833792 A JP23833792 A JP 23833792A JP H05279800 A JPH05279800 A JP H05279800A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- machinability
- steel
- less
- present
- die steel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)
- Mounting, Exchange, And Manufacturing Of Dies (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 プレス型に要求される高い硬度を有し、しか
も放電加工性およひ被切削性にすぐれた金型用鋼を提供
することである。 【構成】 本発明は、重量%で、C 0.05〜0.45%、Si
2.0%以下、Mn 2.0%以下、Ni 0.5〜4.0%、Cr 10.0〜1
5.0%、WおよびMoの1種または2種を1/2W+Moで換
算して0.2〜1.0%、Al 0.5〜4.0%またはCu 0.5〜3.0
%、好ましくはさらにS 0.02〜0.20%を含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなることを特徴とする放電加
工性および被切削性にすぐれた金型用鋼である。
も放電加工性およひ被切削性にすぐれた金型用鋼を提供
することである。 【構成】 本発明は、重量%で、C 0.05〜0.45%、Si
2.0%以下、Mn 2.0%以下、Ni 0.5〜4.0%、Cr 10.0〜1
5.0%、WおよびMoの1種または2種を1/2W+Moで換
算して0.2〜1.0%、Al 0.5〜4.0%またはCu 0.5〜3.0
%、好ましくはさらにS 0.02〜0.20%を含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなることを特徴とする放電加
工性および被切削性にすぐれた金型用鋼である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高硬度を有しながら、
すぐれた放電加工性と被切削性を併せ持つ金型、特にプ
レス型用鋼に関するものである。
すぐれた放電加工性と被切削性を併せ持つ金型、特にプ
レス型用鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来プレス型としては、炭素工具鋼(J
IS規格SK)からJIS規格SKS、SKT,SKD
および最も高合金の高速度工具鋼まで種々の合金工具鋼
が使用されている。近年、プレス成形における製品の複
雑化に伴い、切削などの機械加工の容易な被切削性にす
ぐれた鋼が要求されるようになり、特開昭52−138
011号公報に記載されるような被切削性を向上する元
素としてSやCa等を添加した快削鋼が使用されるよう
になった。また、切削などの機械加工に加えて、特開昭
52−114418号公報に記載されるようなワイヤ放
電加工(ワイヤカットと称する)および電極による放電
加工もプレス型の加工に使用されるようになってきた。
IS規格SK)からJIS規格SKS、SKT,SKD
および最も高合金の高速度工具鋼まで種々の合金工具鋼
が使用されている。近年、プレス成形における製品の複
雑化に伴い、切削などの機械加工の容易な被切削性にす
ぐれた鋼が要求されるようになり、特開昭52−138
011号公報に記載されるような被切削性を向上する元
素としてSやCa等を添加した快削鋼が使用されるよう
になった。また、切削などの機械加工に加えて、特開昭
52−114418号公報に記載されるようなワイヤ放
電加工(ワイヤカットと称する)および電極による放電
加工もプレス型の加工に使用されるようになってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近、プレス型に用い
る鋼に対して、プレス型へ加工後、焼入れ焼もどしの熱
処理を行なう必要がない高硬度と被切削性を両立させた
いわゆるプリハードン鋼が要求されている。被切削性を
改善したプリハードン鋼としては、プラスチック成形用
金型に用いる鋼として特公昭52−1372号公報に記
載の低C−Mn−低Cr−Mo−S−Fe系あるいは特公昭
56−21063号、特公昭57−11945号および
特公昭62−34828号公報に記載の低C−Mn−低
Cr−Mo−Cu−S−Fe系の被切削性にすぐれた鋼が知
られている。しかし、このようなプリハードン鋼は被切
削性をという点ではすぐれた材料であるが、プレス型に
要求される高い硬度やすぐれた放電加工性を有するもの
ではなかった。本発明の目的は、プレス型に要求される
高い硬度を有し、しかもすぐれた放電加工性および被切
削性にすぐれた金型用鋼を提供することである。
る鋼に対して、プレス型へ加工後、焼入れ焼もどしの熱
処理を行なう必要がない高硬度と被切削性を両立させた
いわゆるプリハードン鋼が要求されている。被切削性を
改善したプリハードン鋼としては、プラスチック成形用
金型に用いる鋼として特公昭52−1372号公報に記
載の低C−Mn−低Cr−Mo−S−Fe系あるいは特公昭
56−21063号、特公昭57−11945号および
特公昭62−34828号公報に記載の低C−Mn−低
Cr−Mo−Cu−S−Fe系の被切削性にすぐれた鋼が知
られている。しかし、このようなプリハードン鋼は被切
削性をという点ではすぐれた材料であるが、プレス型に
要求される高い硬度やすぐれた放電加工性を有するもの
ではなかった。本発明の目的は、プレス型に要求される
高い硬度を有し、しかもすぐれた放電加工性および被切
削性にすぐれた金型用鋼を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、基地中に
Crを多量(10.0〜15.0%)に含有させることにより、熱伝
導性を低下させ、熱の拡散を抑えてワイヤカット等の放
電加工等の処理速度を従来鋼よりも速めることが可能で
あることを見出した。また、AlまたはCuを添加して基
地中にNi−Al金属間化合物またはFe-Cu固溶体を析
出させることにより、良好な放電加工性を保ったままHR
C44以上の高硬度が得られ、さらにこれら上記Ni−Al
金属間化合物またはFe-Cu固溶体の析出により、基地
の延性を低めて被切削性を良好にすることを可能にでき
ることを見出した。
Crを多量(10.0〜15.0%)に含有させることにより、熱伝
導性を低下させ、熱の拡散を抑えてワイヤカット等の放
電加工等の処理速度を従来鋼よりも速めることが可能で
あることを見出した。また、AlまたはCuを添加して基
地中にNi−Al金属間化合物またはFe-Cu固溶体を析
出させることにより、良好な放電加工性を保ったままHR
C44以上の高硬度が得られ、さらにこれら上記Ni−Al
金属間化合物またはFe-Cu固溶体の析出により、基地
の延性を低めて被切削性を良好にすることを可能にでき
ることを見出した。
【0005】すなわち本発明は、重量%で、C 0.05〜
0.45%、Si 2.0%以下、Mn 2.0%以下、Ni 0.5〜4.0%、
Cr 10.0〜15.0%、WおよびMoの1種または2種を1/2
W+Moで換算して0.2〜1.0%、Al 0.5〜4.0%、残部Fe
および不可避的不純物からなることを特徴とする放電加
工性および被切削性にすぐれた金型用鋼である。本発明
において、Alは上述したようにNi−Al金属間化合物
を形成し、高硬度と基地の延性を低める元素であるが、
Alに変えてCuを0.5〜3.0%添加してもFe-Cu固溶体の
析出により高硬度と基地の延性を低めることができる。
また、Al 0.5〜4.0%およびCu 0.5〜3.0%を複合で添加
することにより、AlあるいはCuを単独で添加する場合
に比べ、さらに基地の延性を低下させることができ、被
切削性を向上させることができる。また、Sを0.02〜0.
20%添加することにより、MnSを基地中に分散させ、さ
らに被切削性を向上させることができる。
0.45%、Si 2.0%以下、Mn 2.0%以下、Ni 0.5〜4.0%、
Cr 10.0〜15.0%、WおよびMoの1種または2種を1/2
W+Moで換算して0.2〜1.0%、Al 0.5〜4.0%、残部Fe
および不可避的不純物からなることを特徴とする放電加
工性および被切削性にすぐれた金型用鋼である。本発明
において、Alは上述したようにNi−Al金属間化合物
を形成し、高硬度と基地の延性を低める元素であるが、
Alに変えてCuを0.5〜3.0%添加してもFe-Cu固溶体の
析出により高硬度と基地の延性を低めることができる。
また、Al 0.5〜4.0%およびCu 0.5〜3.0%を複合で添加
することにより、AlあるいはCuを単独で添加する場合
に比べ、さらに基地の延性を低下させることができ、被
切削性を向上させることができる。また、Sを0.02〜0.
20%添加することにより、MnSを基地中に分散させ、さ
らに被切削性を向上させることができる。
【0006】
【作用】次に本発明鋼の成分限定の理由について述べ
る。Cは、Cr,W,Moとともに炭化物を形成して、本発
明鋼の強度を付与する重要な元素である。添加し過ぎる
と大きな残留炭化物を形成して被切削性を悪くするので
0.45%以下とし、少なすぎると上記効果が得られないの
で0.05%以上とする。Siは、本発明鋼の脱酸剤として添
加され、多すぎると機械的性質が劣化するので2.0%以下
とする。MnもSi同様脱酸剤として添加されるが、多す
ぎると基地の粘性が増大し、被切削性が悪くなるので2.
0%以下とする。Niは、Alとともに金属間化合物を形成
して基地中に析出し、本発明鋼に高硬度を付与し、さら
に基地の延性を適度に減じ、良好な被切削性を与える極
めて重要な元素である。多すぎると基地の粘性が増大
し、被切削性が低下するので4.0%以下とし、少ないと上
記効果が得られないので0.5%以上とする。
る。Cは、Cr,W,Moとともに炭化物を形成して、本発
明鋼の強度を付与する重要な元素である。添加し過ぎる
と大きな残留炭化物を形成して被切削性を悪くするので
0.45%以下とし、少なすぎると上記効果が得られないの
で0.05%以上とする。Siは、本発明鋼の脱酸剤として添
加され、多すぎると機械的性質が劣化するので2.0%以下
とする。MnもSi同様脱酸剤として添加されるが、多す
ぎると基地の粘性が増大し、被切削性が悪くなるので2.
0%以下とする。Niは、Alとともに金属間化合物を形成
して基地中に析出し、本発明鋼に高硬度を付与し、さら
に基地の延性を適度に減じ、良好な被切削性を与える極
めて重要な元素である。多すぎると基地の粘性が増大
し、被切削性が低下するので4.0%以下とし、少ないと上
記効果が得られないので0.5%以上とする。
【0007】WおよびMoは、いずれも炭化物を形成し
て、本発明材に強度を与える点で同一の作用があり、単
独または複合で添加する元素である。添加し過ぎると被
切削性が悪くなるので、1/2W+Moで1.0%以下とし、少
ないと上記添加の効果がないので0.2%以上とする。S
は、MnSなどの硫化物を形成し、基地中に分散して、
機械加工の切削性を良好にする元素である。少なすぎる
と被切削性に影響を及ぼさないので0.02%以上とし、多
すぎると機械的性質が劣化するので0.20%以下が好まし
い。Alは、NiとともにNi−Alの金属間化合物を形成
し、基地中に析出することにより、高硬度を示すのに寄
与し、また基地の延性も低めるため、機械加工における
被切削性を良好にする元素である。少なすぎると添加の
効果が得られないので0.5%以上とし、多すぎると延性が
低下して靭性が不足するので4.0%以下とする。
て、本発明材に強度を与える点で同一の作用があり、単
独または複合で添加する元素である。添加し過ぎると被
切削性が悪くなるので、1/2W+Moで1.0%以下とし、少
ないと上記添加の効果がないので0.2%以上とする。S
は、MnSなどの硫化物を形成し、基地中に分散して、
機械加工の切削性を良好にする元素である。少なすぎる
と被切削性に影響を及ぼさないので0.02%以上とし、多
すぎると機械的性質が劣化するので0.20%以下が好まし
い。Alは、NiとともにNi−Alの金属間化合物を形成
し、基地中に析出することにより、高硬度を示すのに寄
与し、また基地の延性も低めるため、機械加工における
被切削性を良好にする元素である。少なすぎると添加の
効果が得られないので0.5%以上とし、多すぎると延性が
低下して靭性が不足するので4.0%以下とする。
【0008】Cuは、Fe-Cu固溶体を基地中に析出さ
せ、高硬度を示すのに寄与し、また基地の延性も低める
ため、機械加工における被切削性を良好にする元素であ
る。少なすぎると上記添加の効果がなく0.5%以上とし、
多すぎると熱間加工性が悪くなるので3.0%以下とする。
Crは、本発明鋼の放電加工性を良好にする極めて重要
な元素である。また、耐食性および耐発錆性を良好にす
る効果があり、少なすぎると上記添加の効果がなく、多
すぎると高硬度が得られなくなるので10.0〜15.0%とす
る。
せ、高硬度を示すのに寄与し、また基地の延性も低める
ため、機械加工における被切削性を良好にする元素であ
る。少なすぎると上記添加の効果がなく0.5%以上とし、
多すぎると熱間加工性が悪くなるので3.0%以下とする。
Crは、本発明鋼の放電加工性を良好にする極めて重要
な元素である。また、耐食性および耐発錆性を良好にす
る効果があり、少なすぎると上記添加の効果がなく、多
すぎると高硬度が得られなくなるので10.0〜15.0%とす
る。
【0009】
(実施例1)表1および表2に本発明鋼である試料No.1
〜27の化学組成を示す。また、比較例として低C−Mn
−低Cr−Mo−S−Fe系のNo.28と、低C−Mn−低C
r−Mo−Cu−S−Fe系のNo.29の化学組成も同時に表
2に示す。表1および表2に示す組成の本発明の鋼を10
00〜1050℃で焼入れし、500〜560℃の焼もどしを行な
い、HRC45を目標に調整した。なお、比較鋼である試料
No.28および29については、HRC45の値は熱処理条件を
変えても得られないため、最高硬さに調整した。実際に
得られた硬さを表1および表2に示す。放電加工の一例
として、ワイヤカットを施した時の処理速度を評価する
ために、表4に示す条件により、図4に示す寸法でφ20
mmの2穴の形状にカットした。得られたワイヤカットに
よる加工時間を表3に示す。Cr量を10〜15重量%含有し
た本発明の鋼である試料No.1〜27は、低Crの比較例の
試料No.28および試料No.29に比較して、ワイヤカット
時間が大幅に短縮されていることがわかる。次に本発明
鋼の被切削性を評価するためにφ10mm、2枚刃の高速度
工具鋼よりなるエンドミルで切込み深さ 10mm、幅 2mm
で切削試験を行なった。被切削性はエンドミルの刃先が
0.5mm摩耗した時を工具寿命として、工具寿命までの切
削長さを測定した。
〜27の化学組成を示す。また、比較例として低C−Mn
−低Cr−Mo−S−Fe系のNo.28と、低C−Mn−低C
r−Mo−Cu−S−Fe系のNo.29の化学組成も同時に表
2に示す。表1および表2に示す組成の本発明の鋼を10
00〜1050℃で焼入れし、500〜560℃の焼もどしを行な
い、HRC45を目標に調整した。なお、比較鋼である試料
No.28および29については、HRC45の値は熱処理条件を
変えても得られないため、最高硬さに調整した。実際に
得られた硬さを表1および表2に示す。放電加工の一例
として、ワイヤカットを施した時の処理速度を評価する
ために、表4に示す条件により、図4に示す寸法でφ20
mmの2穴の形状にカットした。得られたワイヤカットに
よる加工時間を表3に示す。Cr量を10〜15重量%含有し
た本発明の鋼である試料No.1〜27は、低Crの比較例の
試料No.28および試料No.29に比較して、ワイヤカット
時間が大幅に短縮されていることがわかる。次に本発明
鋼の被切削性を評価するためにφ10mm、2枚刃の高速度
工具鋼よりなるエンドミルで切込み深さ 10mm、幅 2mm
で切削試験を行なった。被切削性はエンドミルの刃先が
0.5mm摩耗した時を工具寿命として、工具寿命までの切
削長さを測定した。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】本発明鋼である試料No.1〜27および比較
例である試料No.29の被切削性を、比較例である試料N
o.28の工具寿命までの切削長さを100とした被切削性指
数を用いて評価した。結果を表3に示す。従来、高Cr
を含有したFe基合金は、被切削性が悪いとされていた
が、本発明の鋼の場合は、低C−高Cr−Feの基地にN
i−Al金属間化合物あるいはFe-Cu固溶体を析出さ
せ、基地の延性を適度に減じることにより、被切削性の
高い鋼とされる比較例である試料No.28,29と比べて
も、硬さがHRC45程度と高いにもかかわらず、同等の被
切削性を得ることができた。また、AlまたはCuを単独
で添加した本発明鋼である試料No.1ないし8に比較し
て、Al,Cuを複合で添加した試料No.9ないし12は良好
な被切削性を示している。さらに、Al,CuおよびSを
複合で添加した本発明例である試料No.21ないし27は、
Sを含まない本発明鋼である試料No.9ないし12よりも
被切削性がすぐれていることがわかる。したがって、N
i−Al金属間化合物およびFe-Cu固溶体の複合の析出
による基地の延性の低減、さらに基地中にMnSを分散
させることの組合せにより、被切削性が大幅に向上した
ことを示している。
例である試料No.29の被切削性を、比較例である試料N
o.28の工具寿命までの切削長さを100とした被切削性指
数を用いて評価した。結果を表3に示す。従来、高Cr
を含有したFe基合金は、被切削性が悪いとされていた
が、本発明の鋼の場合は、低C−高Cr−Feの基地にN
i−Al金属間化合物あるいはFe-Cu固溶体を析出さ
せ、基地の延性を適度に減じることにより、被切削性の
高い鋼とされる比較例である試料No.28,29と比べて
も、硬さがHRC45程度と高いにもかかわらず、同等の被
切削性を得ることができた。また、AlまたはCuを単独
で添加した本発明鋼である試料No.1ないし8に比較し
て、Al,Cuを複合で添加した試料No.9ないし12は良好
な被切削性を示している。さらに、Al,CuおよびSを
複合で添加した本発明例である試料No.21ないし27は、
Sを含まない本発明鋼である試料No.9ないし12よりも
被切削性がすぐれていることがわかる。したがって、N
i−Al金属間化合物およびFe-Cu固溶体の複合の析出
による基地の延性の低減、さらに基地中にMnSを分散
させることの組合せにより、被切削性が大幅に向上した
ことを示している。
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】(実施例2)重量%でC 0.15%、Si 0.5
%、Mn 1.2%、Ni 3.0%、Mo 0.5%、Al 1.0%、Cu 2.0
%、Cr 2〜17%、残部Feよりなる化学組成の鋼を製造
し、実施例1と同様の熱処理によりHRC45を目標に硬さ
を調整した。これらの鋼を実施例1と同様にワイヤカッ
トを行ない、Cr量に対する放電加工性を評価した。結
果を図1に示す。図1に示すように、Cr量を10%以上に
することによりワイヤカットの時間が大幅に短縮できる
ことがわかった。なお、図1中のCrを17%含む試料は、
HRC43.7にしか調整できず、Cr量を添加しすぎて硬さが
不足し好ましくないものであった。
%、Mn 1.2%、Ni 3.0%、Mo 0.5%、Al 1.0%、Cu 2.0
%、Cr 2〜17%、残部Feよりなる化学組成の鋼を製造
し、実施例1と同様の熱処理によりHRC45を目標に硬さ
を調整した。これらの鋼を実施例1と同様にワイヤカッ
トを行ない、Cr量に対する放電加工性を評価した。結
果を図1に示す。図1に示すように、Cr量を10%以上に
することによりワイヤカットの時間が大幅に短縮できる
ことがわかった。なお、図1中のCrを17%含む試料は、
HRC43.7にしか調整できず、Cr量を添加しすぎて硬さが
不足し好ましくないものであった。
【0016】(実施例3)重量%でC 0.15%、Si 0.5
%、Mn 1.3%、Ni 3.0%、Mo 0.5%、Cr 13%、Cu1.0
%、Al 0〜4%、残部Feよりなる化学組成の鋼を製造
し、実施例1と同様の熱処理によりHRC45を目標に硬さ
を調整した。これらの鋼を実施例1と同様にエンドミル
による切削試験を行ない、被切削性指数を求めた。結果
を図2に示す。図2に示すように、Alの添加により被
切削性指数が著しく改善され、すぐれた被切削性が得ら
れることがわかる。なお、4.0%以上となると靭性が低下
し、プレス型として使用中に割れが発生し好ましくなか
った。
%、Mn 1.3%、Ni 3.0%、Mo 0.5%、Cr 13%、Cu1.0
%、Al 0〜4%、残部Feよりなる化学組成の鋼を製造
し、実施例1と同様の熱処理によりHRC45を目標に硬さ
を調整した。これらの鋼を実施例1と同様にエンドミル
による切削試験を行ない、被切削性指数を求めた。結果
を図2に示す。図2に示すように、Alの添加により被
切削性指数が著しく改善され、すぐれた被切削性が得ら
れることがわかる。なお、4.0%以上となると靭性が低下
し、プレス型として使用中に割れが発生し好ましくなか
った。
【0017】(実施例4)重量%でC 0.20%、Si 0.5
%、Mn 1.2%、Ni 1.0%、Mo 0.5%、Cr 13%、Cu0〜3
%、Al 0.5%、残部Feよりなる化学組成の鋼を製造し、
実施例1と同様の熱処理によりHRC45を目標に硬さを調
整した。これらの鋼を実施例1と同様にエンドミルによ
る切削試験を行ない、被切削性指数を求めた。結果を図
3に示す。図3に示すように、Cuの添加により被切削
性指数が著しく改善され、すぐれた被切削性が得られ
た。なお、Cuを3.0%を越えて含有させると、熱間加工
性が劣化してプレス型製造工程中に割れが発生しやすく
なり好ましくないものであった。
%、Mn 1.2%、Ni 1.0%、Mo 0.5%、Cr 13%、Cu0〜3
%、Al 0.5%、残部Feよりなる化学組成の鋼を製造し、
実施例1と同様の熱処理によりHRC45を目標に硬さを調
整した。これらの鋼を実施例1と同様にエンドミルによ
る切削試験を行ない、被切削性指数を求めた。結果を図
3に示す。図3に示すように、Cuの添加により被切削
性指数が著しく改善され、すぐれた被切削性が得られ
た。なお、Cuを3.0%を越えて含有させると、熱間加工
性が劣化してプレス型製造工程中に割れが発生しやすく
なり好ましくないものであった。
【0018】
【発明の効果】本発明は、HRC44以上の高硬度を有しな
がら、被切削性が良好であり、かつ放電加工性が良好で
あるため、特にプレス型に使用する鋼として極めて有用
である。本発明の鋼をプレス型に使用すれば、型加工の
所要時間の短縮が可能であり、また高硬度であることか
ら高寿命であることが期待できる。
がら、被切削性が良好であり、かつ放電加工性が良好で
あるため、特にプレス型に使用する鋼として極めて有用
である。本発明の鋼をプレス型に使用すれば、型加工の
所要時間の短縮が可能であり、また高硬度であることか
ら高寿命であることが期待できる。
【図1】本発明鋼のCr含有量と放電加工性の関係を示
す図である。
す図である。
【図2】本発明鋼のAl含有量と被切削性の関係を示す
図である。
図である。
【図3】本発明鋼のCu含有量と被切削性の関係を示す
図である。
図である。
【図4】本発明の放電加工性の評価に用いたワイヤカッ
トによる加工方法を示す図である。
トによる加工方法を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 重量%で、C 0.05〜0.45%、Si 2.0%以
下、Mn 2.0%以下、Ni 0.5〜4.0%、Cr 10.0〜15.0%、
WおよびMoの1種または2種を1/2W+Moで換算して
0.2〜1.0%、Al 0.5〜4.0%、残部Feおよび不可避的不
純物からなることを特徴とする放電加工性および被切削
性にすぐれた金型用鋼。 - 【請求項2】 重量%で、C 0.05〜0.45%、Si 2.0%以
下、Mn 2.0%以下、Ni 0.5〜4.0%、Cr 10.0〜15.0%、
WおよびMoの1種または2種を1/2W+Moで換算して
0.2〜1.0%、Cu 0.5〜3.0%、残部Feおよび不可避的不
純物からなることを特徴とする放電加工性および被切削
性にすぐれた金型用鋼。 - 【請求項3】 重量%で、C 0.05〜0.45%、Si 2.0%以
下、Mn 2.0%以下、Ni 0.5〜4.0%、Cr 10.0〜15.0%、
WおよびMoの1種または2種を1/2W+Moで換算して
0.2〜1.0%、Al 0.5〜4.0%、Cu 0.5〜3.0%、残部Feお
よび不可避的不純物からなることを特徴とする放電加工
性および被切削性にすぐれた金型用鋼。 - 【請求項4】 重量%で、C 0.05〜0.45%、Si 2.0%以
下、Mn 2.0%以下、Ni 0.5〜4.0%、Cr 10.0〜15.0%、
WおよびMoの1種または2種を1/2W+Moで換算して
0.2〜1.0%、S 0.02〜0.20%、Al 0.5〜4.0%、残部Fe
および不可避的不純物からなることを特徴とする放電加
工性および被切削性にすぐれた金型用鋼。 - 【請求項5】 重量%で、C 0.05〜0.45%、Si 2.0%以
下、Mn 2.0%以下、Ni 0.5〜4.0%、Cr 10.0〜15.0%、
WおよびMoの1種または2種を1/2W+Moで換算して
0.2〜1.0%、S 0.02〜0.20%、Cu 0.5〜3.0%、残部Fe
および不可避的不純物からなることを特徴とする放電加
工性および被切削性にすぐれた金型用鋼。 - 【請求項6】 重量%で、C 0.05〜0.45%、Si 2.0%以
下、Mn 2.0%以下、Ni 0.5〜4.0%、Cr 10.0〜15.0%、
WおよびMoの1種または2種を1/2W+Moで換算して
0.2〜1.0%、S 0.02〜0.20%、Al 0.5〜4.0%、Cu 0.5
〜3.0%、残部Feおよび不可避的不純物からなることを
特徴とする放電加工性および被切削性にすぐれた金型用
鋼。 - 【請求項7】 HRC44.0以上の硬さを有することを特徴
とする請求項1ないし6に記載の放電加工性および被切
削性にすぐれた金型用鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23833792A JP3228439B2 (ja) | 1992-02-07 | 1992-09-07 | 放電加工性および被切削性にすぐれた金型用鋼およびプレス型用鋼 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2150392 | 1992-02-07 | ||
JP4-21503 | 1992-02-07 | ||
JP23833792A JP3228439B2 (ja) | 1992-02-07 | 1992-09-07 | 放電加工性および被切削性にすぐれた金型用鋼およびプレス型用鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05279800A true JPH05279800A (ja) | 1993-10-26 |
JP3228439B2 JP3228439B2 (ja) | 2001-11-12 |
Family
ID=26358576
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23833792A Expired - Fee Related JP3228439B2 (ja) | 1992-02-07 | 1992-09-07 | 放電加工性および被切削性にすぐれた金型用鋼およびプレス型用鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3228439B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0870849A2 (en) * | 1997-04-07 | 1998-10-14 | A. FINKL & SONS CO. | Tool for glass molding operations and method of manufacture thereof |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5376118A (en) * | 1976-12-17 | 1978-07-06 | Hitachi Metals Ltd | Prehardened metal mold steel for molding plastic |
JPS5773172A (en) * | 1980-10-24 | 1982-05-07 | Daido Steel Co Ltd | Tool steel |
JPS6353246A (ja) * | 1986-08-21 | 1988-03-07 | クル−シブル マテリアルス コ−ポレイシヨン | 時効硬化ステンレス鋼 |
JPS6425950A (en) * | 1987-07-18 | 1989-01-27 | Kanto Special Steel Works Ltd | Mold material for injection molding of plastics and its production |
JPH02175844A (ja) * | 1988-12-28 | 1990-07-09 | Kobe Steel Ltd | 耐食性に優れたプラスチック成形用金型用鋼 |
JPH02179849A (ja) * | 1988-12-29 | 1990-07-12 | Kobe Steel Ltd | 耐食性に優れたプラスチック成形用金型用鋼 |
JPH03501752A (ja) * | 1987-12-23 | 1991-04-18 | ウッディホルム トゥーリング アクツィエボラーグ | 成形用金型のための析出硬化型の金型用鋼と、その鋼で作られた成形用金型 |
JPH03236450A (ja) * | 1990-02-09 | 1991-10-22 | Nippon Metal Ind Co Ltd | プリント回路板のプレス成形に用いるキャリアプレート材とその製造方法 |
JPH0463261A (ja) * | 1990-07-02 | 1992-02-28 | Japan Casting & Forging Corp | 耐用性金型の製造方法 |
-
1992
- 1992-09-07 JP JP23833792A patent/JP3228439B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5376118A (en) * | 1976-12-17 | 1978-07-06 | Hitachi Metals Ltd | Prehardened metal mold steel for molding plastic |
JPS5773172A (en) * | 1980-10-24 | 1982-05-07 | Daido Steel Co Ltd | Tool steel |
JPS6353246A (ja) * | 1986-08-21 | 1988-03-07 | クル−シブル マテリアルス コ−ポレイシヨン | 時効硬化ステンレス鋼 |
JPS6425950A (en) * | 1987-07-18 | 1989-01-27 | Kanto Special Steel Works Ltd | Mold material for injection molding of plastics and its production |
JPH03501752A (ja) * | 1987-12-23 | 1991-04-18 | ウッディホルム トゥーリング アクツィエボラーグ | 成形用金型のための析出硬化型の金型用鋼と、その鋼で作られた成形用金型 |
JPH02175844A (ja) * | 1988-12-28 | 1990-07-09 | Kobe Steel Ltd | 耐食性に優れたプラスチック成形用金型用鋼 |
JPH02179849A (ja) * | 1988-12-29 | 1990-07-12 | Kobe Steel Ltd | 耐食性に優れたプラスチック成形用金型用鋼 |
JPH03236450A (ja) * | 1990-02-09 | 1991-10-22 | Nippon Metal Ind Co Ltd | プリント回路板のプレス成形に用いるキャリアプレート材とその製造方法 |
JPH0463261A (ja) * | 1990-07-02 | 1992-02-28 | Japan Casting & Forging Corp | 耐用性金型の製造方法 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0870849A2 (en) * | 1997-04-07 | 1998-10-14 | A. FINKL & SONS CO. | Tool for glass molding operations and method of manufacture thereof |
EP0870849A3 (en) * | 1997-04-07 | 1999-10-13 | A. FINKL & SONS CO. | Tool for glass molding operations and method of manufacture thereof |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3228439B2 (ja) | 2001-11-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN100540712C (zh) | 析出硬化马氏体不锈钢 | |
CN106480370A (zh) | 模具用钢和模具 | |
WO2008032816A1 (fr) | Acier à outils pour formage à chaud présentant d'excellentes qualités de rigidité et de résistance à des températures élevées, et son procédé de production | |
CN104451421A (zh) | 一种高强韧性双金属带锯条背材用钢及其制备方法 | |
JP3965779B2 (ja) | プラスチック成形金型用鋼 | |
JP4258772B2 (ja) | 変寸抑制特性に優れた冷間ダイス鋼 | |
JPS61213349A (ja) | 合金工具鋼 | |
JP2636816B2 (ja) | 合金工具鋼 | |
JP5351528B2 (ja) | 冷間金型用鋼および金型 | |
JP6156670B2 (ja) | 熱間工具およびその製造方法 | |
JP2007224418A (ja) | 靭性に優れた熱間工具鋼 | |
JPWO2002077309A1 (ja) | 鋳鋼および鋳造金型 | |
JP2952245B2 (ja) | 熱間加工用工具鋼 | |
JP3581028B2 (ja) | 熱間工具鋼及びその熱間工具鋼からなる高温用部材 | |
JP3228439B2 (ja) | 放電加工性および被切削性にすぐれた金型用鋼およびプレス型用鋼 | |
JP2008095181A (ja) | 靭性および高温強度に優れた熱間工具鋼 | |
JP2004219323A (ja) | 鉄基材料の評価方法 | |
JP2014208869A (ja) | 析出強化型マルテンサイト鋼 | |
JP3791664B2 (ja) | オーステナイト系Ca添加快削ステンレス鋼 | |
JP2879930B2 (ja) | 耐発錆性の優れた快削性ステンレス系金型用鋼 | |
JP2018131654A (ja) | 優れた靱性および軟化抵抗性を有する熱間工具鋼 | |
JP2003313635A (ja) | 高靱性の熱間工具鋼 | |
TWI844281B (zh) | 模具用鋼及模具 | |
JPS62250154A (ja) | 合金工具鋼 | |
JP3507879B2 (ja) | 冷間工具鋼 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |