JPH05279212A - 芳香族チオシアン酸化合物から成る紙、段ボール用防虫薬剤 - Google Patents

芳香族チオシアン酸化合物から成る紙、段ボール用防虫薬剤

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JPH05279212A
JPH05279212A JP10930492A JP10930492A JPH05279212A JP H05279212 A JPH05279212 A JP H05279212A JP 10930492 A JP10930492 A JP 10930492A JP 10930492 A JP10930492 A JP 10930492A JP H05279212 A JPH05279212 A JP H05279212A
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Naoichi Sakota
直一 迫田
Takatoshi Koyakumaru
孝俊 小役丸
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】段ボールや紙及びその製品等に於いて有効な防
虫性を有する薬剤を開発する。 【構成】芳香核又は芳香核側鎖にチオシアン酸基或いは
イソチオシアン酸基を有する一般式1又は2の化合物の
単独或いは2種以上の混合物を主成分とする組成物を段
ボール、紙及び紙製品用防虫薬剤として使用する。 [nは0又は1以上の整数、aは0〜2の整数、mは1
〜2の整数、xは同一又は相異なるSCN又はNCSを
示す]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は防虫薬剤に関し、更に詳
しくは段ボール、紙及び紙製品用防虫薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】段ボールや紙及びその製品は、それらの
製造過程に於いて100℃以上のドライヤー表面と接触
する工程があり、一度加熱殺虫されているため、これら
段ボールや紙及びその製品から虫が発生することは殆ど
なく、物流中に害虫の侵入を受けることが多いものであ
る。
【0003】段ボールや紙及びその製品の素材は大部分
が天然木材パルプであり、段ボールについては一部に接
着剤として澱粉も使用されており、更に段ボールの段構
造が虫の恰好の隠れ家となるため、これら段ボールや紙
及びその製品が包装資材として用いられていると、その
間に害虫の侵入を非常に受け易い。特に包装すべき内容
品が清潔さを必要とする食品や薬品である場合には、害
虫の侵入は極めて大きな問題となる。
【0004】段ボールや紙及びその製品に侵入する害虫
としては、段ボールや紙及びその製品の含水率が10%
前後と少ないため、通常生植物に生育する作物害虫は少
なく、体形が小型で侵入が容易であること、水分の
要求量が少ないこと、光に対して負の走行性があるこ
と、分布が広く棲息環境が広いこと等の特性を持つ貯
蔵食品害虫が多いとされている。中でもコクヌストモド
キ、ゾウムシ等の甲虫類やチャタテムシ等が多いと言わ
れている。これらの害虫の侵入は流通過程中に起こるた
め、その防止が極めて困難であり、効果的な薬剤の開発
が強く要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記要望に応えうる薬剤を開発することで
あり、更に詳しくは、段ボールや紙及びその製品等に於
いて有効な防虫性を有する薬剤を開発することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は段ボールや紙
及びその製品への害虫の侵入防止は、害虫をこれら製品
から忌避させれば良いという点に着目し、色々な化合物
の害虫に対する忌避作用について検討を重ねてきた。そ
の結果、特にこれら段ボールや紙及びその製品等に侵入
し易い害虫に対し、優れた忌避作用を有する化合物を見
い出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】即ち、芳香核又は芳香核側鎖にチオシアン
酸基又はイソチオシアン酸基を有する化合物、就中前記
[化1]及び[化2]で表される化合物の少なくとも1
種が優れた防虫性を有することを見出したものである。
【0008】
【発明の作用及び構成】本発明に於いて使用される化合
物としては、前記[化1]及び[化2]の化合物を例示
出来、その代表例としては、たとえばチオシアン酸フェ
ニル、イソチオシアン酸フェニル、チオシアン酸ベンジ
ル、イソチオシアン酸ベンジル、1−イソチオシアン酸
ナフチル等を例示出来る。尚上記[化1]及び[化2]
に於いて、好ましいnの値は0または1〜8、特に好ま
しくは0、または1〜6である。
【0009】これらの化合物を使用するに際しては、こ
れら化合物をそのまま直接段ボールや紙及びその製品に
施用する方法ばかりでなく、適当な担体に担持させる方
法や、該化合物を溶剤で溶液化又は塗料化して施用する
等各種の方法が適宜に採用される。例えば担体に担持さ
せる方法としては、該化合物を無機或いは有機の粉体等
の適宜な担体に担持させ、これをそのまま、或いは更に
通気性の袋に入れて用いる方法や、その他不織布にはさ
んだシート状等でもかまわない。更には該化合物を担持
させた担体を塗料化してもかまわない。
【0010】また溶液化するに際しては適当な溶剤に該
化合物を溶解した溶液を塗布したり、或は更に適当なバ
インダー樹脂を更に混合して塗料化してもかまわない。
更にはまたエマルジョンとしても良い。この際使用され
る無機粉体としては例えば、ゼオライト、多孔性ガラ
ス、ケイソウ土、クレー、酸化チタン、炭酸カルシウ
ム、シリカゲル、活性炭等が好ましいものとして例示で
き、有機担体としてはイオン交換樹脂やキレート樹脂
等、その他発泡体も使用できる。
【0011】またこの際使用する溶剤としてはメチルア
ルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の
アルコール類、ジエチルエーテル等のエーテル類、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジク
ロルエタン等のハロゲン化炭化水素類、リグロイン等を
用いることが出来る。
【0012】また樹脂バインダーとしても各種の樹脂が
広く使用でき、好ましいものとして酢酸ビニル樹脂、エ
チレン酢酸ビニル共重合樹脂、エチレンビニルアルコー
ル共重合樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹
脂、アルキッド樹脂、硝化綿、酢酸セルロース樹脂、ハ
イドロキシエチル化セルロース樹脂等を例示できる。中
でもセルロース系樹脂は耐熱性が高く、特に段ボールの
製造過程に於いて、熱や摩擦を受ける段ボール原紙に加
工する際には特に好適である。
【0013】更に徐放性とするためには、樹脂との混合
や樹脂による塗工面のオーバーコート及びアンダーコー
トは効果的な手段となる。またシクロデキストリン等と
の包接等の技術も利用できる。
【0014】また必要に応じ段ボール製造に使用する接
着剤に含有させても良い。本発明に於いて本発明の化合
物の使用量は使用場所、使用方法、使用環境、使用期間
等により必ずしも一定しないが、通常塗布量としておお
よそ0.5g/m2以上好ましくは1〜5g/m2であれば充分な
る防虫効果を発揮する。本発明の対照となる紙及び紙製
品としては特に限定されず、樹脂フィルム等と重ね合わ
せたり、或は複合された紙袋等も包含される。また段ボ
ールとしても従来から知られている各種の段ボールが総
て包含される。
【0015】
【実施例】本発明の特徴をより明確にするために、以下
に実施例を挙げて説明する。
【0016】
【実施例1〜4】イソチオシアン酸フェニル、チオシア
ン酸ベンジル、イソチオシアン酸ベンジル及び1−イソ
チオシアン酸ナフチルの夫々の5〜15%(W/V)の
トルエン溶液を調製し、防虫薬剤を製造した。これを段
ボールシートのライナ原紙表面に所定量塗布した。
【0017】実験例 図1に示す30cm×10cmの底つきプラスチック製容器
の中央に隔壁(5)を設けて、未処理区(1)と処理区
(2)に別ける。但し隔壁(5)の下部には底より5cm
の隙間(4)を設けている。処理区(2)の底全面に所
定量のチオシアン酸化合物を塗布したライナ原紙を敷
き、アズキ(3)10粒を置く。また未処理区(1)に
も同様に未処理のライナ原紙を敷き、アズキ(3)10
粒を置く。
【0018】但し図1に於いてW1、W2は各々15cmで
あり、dは10cmであり、hは3cmである。両区にアズ
キゾウムシ10匹(雌雄各5匹)ずつを入れ、上蓋(通
気のため小孔を開けてある:図示せず)をして時間経過
に伴う処理区の虫数を数える。下式により忌避指数を計
算する。
【0019】
【化3】
【0020】ここで完全忌避は忌避指数が+100、忌
避も誘引も無い場合は0、誘引は−で表示した。また、
実験中に死亡した頭数は放飼虫数から引いた。 尚、以
後表中の薬剤塗布量はチオシアン酸化合物のみの量を表
す。実施例1〜4の結果を表1〜4に示す。
【0021】
【表1】 (チオシアン酸ベンジル:実施例1)
【0022】
【表2】 (イソチオシアン酸ベンジル:実施例2)
【0023】
【表3】 (イソチオシアン酸フェニル:実施例3)
【0024】
【表4】 (1−イソチオシアン酸ナフチル:実施例4)
【0025】
【実施例5】チオシアン酸ベンジルをメタノールに溶解
した後、メチルセロソルブに溶解した硝化綿と混合し、
硝化綿濃度が15%(W/W)でチオシアン酸ベンジル
濃度が15%(W/W)の溶液に調製し、防虫薬剤を製
造した。
【0026】また別途、メチルセロソルブ、トルエン及
びメタノールに硝化綿を溶解した硝化綿濃度15%(W
/W)の溶液を製造した。
【0027】上記防虫薬剤を、段ボールライナ原紙に塗
布した後、更に上記15%(W/W)硝化綿溶液をオー
バーコートし、1.5g/m2の硝化綿をオーバーコート
したチオシアン酸ベンジル1.5g/m2を塗布したライ
ナ原紙を製造した。本ライナを前述の実験例と同様にし
て防虫試験を行った。この結果を表5に示す。
【0028】
【実施例6】段ボールライナ原紙に上記実施例6と同じ
硝化綿溶液を先に塗布して、1.0g/m2の硝化綿のア
ンダーコート層を形成した後、実施例5と同様にして、
その上に1.5g/m2の薬剤塗布層、更にその上に1.5
g/m2の硝化綿のオーバーコート層を形成した防虫加工
ライナ原紙を製造した。本ライナを前述の実験例と同様
にして防虫試験を行った。この結果も表5に示す。
【0029】
【表5】 (チオシアン酸ベンジル:実施例5及び6)
【0030】ここで※1は、1.5g/m2の硝化綿のみを
塗布したライナ原紙である。また、※2は、チオシアン
酸ベンジルをメタノール溶液にして塗布した1.5g/m
2チオシアン酸ベンジル塗布ライナ原紙である。
【0031】
【実施例7】実施例5,6と同様にして、チオシアン酸
ベンジルをメタノールに溶解した後、メチルセロソルブ
に溶解した硝化綿と混合し、硝化綿濃度が15%(W/
W)でチオシアン酸ベンジル濃度が15%(W/W)の
溶液を調製し、防虫薬剤を製造した。本防虫薬剤を坪量
70g/m2のクラフト紙に塗布して、1.5g/m2のチオ
シアン酸ベンジルを塗布した防虫クラフト袋を製造し
た。本クラフト袋を切り取り、先の実験例と同様に防虫
試験を行った。但し、試験は羽化して2日以内のコクゾ
ウムシを用いて行った。評価方法はアズキゾウムシの場
合と同様とした。この結果を表7に示す。
【0032】
【表6】 (チオシアン酸ベンジル:実施例7)
【0033】
【発明の効果】上記表1〜7から明らかな通り、本発明
の化合物はいずれも優れた防虫作用を有する。また、殺
虫作用も有することが判明した。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】
【0036】図1は本発明防虫剤の防虫効果を調べるた
めに使用した装置の概略図である。 1・・・・・未処理区 2・・・・・処理区 3・・・・・アズキ 4・・・・・隙間 5・・・・・隔壁

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香核又は芳香核側鎖にチオシアン酸基或
    いはイソチオシアン酸基を有する化合物の単独或いは2
    種以上の混合物を主成分とする段ボール、紙及び紙製品
    用防虫薬剤。
  2. 【請求項2】上記チオシアン酸基或いはイソチオシアン
    酸基を有する化合物が下記 【化1】 、又は 【化2】 [但しnは0又は1以上の整数、aは0〜2の整数、m
    は1〜2の整数を示し、またxは同一又は相異なるSC
    N又はNCSを示す]で表される化合物である請求項1
    に記載の防虫薬剤。
  3. 【請求項3】芳香核及び芳香核側鎖にチオシアン酸基或
    いはイソチオシアン酸基を有する化合物がチオシアン酸
    フェニル、イソチオシアン酸フェニル、チオシアン酸ベ
    ンジル、イソチオシアン酸ベンジル、及びイソチオシア
    ン酸ナフチルの群から選ばれた少なくとも1種である請
    求項1または2に記載の防虫薬剤。
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