JPH0618763B2 - 腹足類忌避剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は植物に被害を与えるナメクジ、カタツムリ、ウ
スカワマイマイなどの有害腹足類に対して優れた忌避効
果を呈する腹足類忌避剤に関する。

［従来の技術］ ナメクジなどの腹足類は昆虫類などに比べて薬剤に対す
る抵抗性が大きく、通常の殺虫剤などを用いて防除する
のは極めて困難である。

そこで近年、腹足類の駆除剤にはたとえばメタアルデヒ
ドなどを主成分とした薬剤を用いたものが開発され、実
用化がなされているが、これらの薬剤が有する駆除性能
は決して満足することができる程度のものではない。

［発明が解決しようとする問題点］ そこで本発明者らは、かかる問題点を解決しうる優れた
忌避効果を呈する腹足類忌避剤をうるべく鋭意研究を重
ねたところ、パラクロロメタキシレール、トリブロムフ
ェノール、3-メチル -4-クロロフェノール、オルトベン
ジルパラクロロフェノール、2-n-オクチル -4-イソチア
ゾリン -3-オンおよびラウリル硫酸ソーダからえらばれ
た１種以上の腹足類忌避剤として用いたばあい、優れた
忌避効果を呈することを見出し、本発明を完成するに至
った。

［問題を解決するための手段］ 本発明はパラクロロメタキシレノール、トリブロムフェ
ノール、3-メチル -4-クロロフェノール、オルトベンジ
ルパラクロロフェノール、2-n-オクチル、 -4-イソチア
ゾリン -3-オンおよびラウリル硫酸ソーダよりえらばれ
た少なくとも１種以上を有効成分として含有することを
特徴とする腹足類忌避剤に関する。

［作用および実施例］ 本発明に用いる腹足類忌避剤としてはパラクロロメタキ
シレノール、トリブロムフェノール、3-メチル -4-クロ
ロフェノール、オルトベンジルパラクロロフェノール、
2-n-オクチル -4-イソチアゾリン -3-オンおよびラウリ
ル硫酸ソーダよりえらばれた１種以上を有効成分として
使用する。

これらの有効成分は通常、所望の液体担体中に溶解また
は分解させたり、直接所望の固体担体と混合あるいは吸
着させ、さらに必要に応じて水和剤、乳剤、分散剤、油
剤、粉剤、粒剤、噴霧剤、エアゾール剤、塗布剤などを
適宜調製して用いてもよく、さらには樹脂、ゴム類に練
り込んだものを成形して用いてもよく、またシート、フ
ィルムあるいはテープ状に成形して用いてもよい。

前記液体担体としてはたとえばメチルアルコール、エチ
ルアルコールなどのアルコール類；ヘキサン、ケロシ
ン、パラフィンなどの脂肪族炭化水素類；ベンゼン、ト
ルエンなどの芳香族炭化水素類を使用しうる。

前記固体担体としてはたとえばカオリン、珪藻土、タル
ク、炭酸カルシウムなどの鉱物質粉末や木粉、大豆粉、
でん粉などの植物質粉末を使用しうる。

前記樹脂類としてはたとえばポリ塩化ビニル、ポリエチ
レン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミ
ド、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、フェノール樹
脂、尿素樹脂、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、
シリコーン樹脂などの合成樹脂；ロジン、グアヤク樹脂
などの天然樹脂を使用しうる。

前記ゴム類としてはたとえばポリブタジエン、ポリクロ
ロプレン、ポリイソブチレンなどの合成ゴムおよび天然
ゴムが使用できる。

また本発明の忌避剤を適当な剤型に調製するにあたり必
要に応じて通常使用されている種々の塗膜形成剤、乳化
剤、安定剤、色素などを添加あるいは配合してもよく、
またさらにはこれらに従来使用されている害虫忌避剤、
殺虫剤、殺虫共力剤、げっ歯動物駆除剤および忌避剤、
香料、殺菌剤、除草剤、肥料などを適宜配合してもよ
く、またこれらを併用してもよい。

前記害虫忌避剤としてはたとえばN,N-ジエチル-m- トル
アミドが、前記殺虫剤としてはたとえばDDVPなどの比較
的蒸気圧の高い有機リン剤が、前記げっ歯動物忌避剤と
してはたとえばシクロヘキシミドなどが、前記殺菌剤と
してはたとえばサリチル酸、2-(4′-チアゾイル)ベンズ
イミダゾールなどが、また前記香料としてはたとえばレ
モン系、ローズ系、グリーン系などの各種香料が使用し
うる。

本発明の腹足類忌避剤は、有害腹足類の忌避を必要とす
るたとえば植物自体、栽培されている畑や果樹園などの
棲息場所、侵入あるいは食害を受けた箇所、一般家庭の
食堂などの厨房、洗面所などに散布、噴霧あるいは塗布
などにより使用することができる。

またさらにシート、フィルム状の剤型の忌避剤を植物を
植えた植木鉢の下に、またテープ状の剤型の腹足類忌避
剤を植木鉢の側面や植木鉢用受皿の側面に、さらには植
木鉢の側面周囲にツバ様剤型の忌避剤を取り付け使用す
ることもできる。

本発明の腹足類忌避剤中の有効成分の添加量および該忌
避剤の適用量は、忌避剤の剤型や適用方法、適用場所な
どによって異なるが、通常有効成分は効力発現性および
担体の薬剤保持能の点から該忌避剤中に１〜80重量％な
かんづく５〜40重量％含有しているのが好ましい。

また前記の適用量は効力発現の点から通常適用場所 100
cm²あたり有効成分量が 0.01〜10ｇなかんづく 0.05〜
５ｇ程度となるように調製して用いるのが好ましい。も
ちろん、これらの添加量および適用量は、前記より多い
ばあいも当然有効であるが、実用時は薬剤保持担体を使
用することが多く、この値になったものである。

づきに本発明の腹足類忌避剤を実施例に基づいてさらに
詳しく説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定さ
れるものではない。

実施例１ 縦20cm、横20cm、高さ10cmのベニヤ板製箱内にナメクジ
10匹を放飼した。つぎにパラクロロメタキシレノールの
アセトン５％溶液１mlを滴下含浸させた後、アセトンを
風乾させた直径９cmの円形ろ紙および比較のためにアセ
トン１mlを上記で用いたものと同じろ紙に滴下含浸さ
せ、ついてアセトンを風乾させた円形ろ紙を作製した。

えられた２枚のろ紙を前記ベニヤ板製箱の底に並べて設
置し、ついでそれぞれのろ紙上に野菜屑を入れたプラス
チック製シャーレ（直径５cm、高さ１cm）を設置し、設
置後２日目の野菜屑上のナメクジの数を測定した。

その結果ナメクジはパラクロロメタキシレノールを含浸
させたろ紙上に設置した野菜屑の入ったシャーレには全
く近づかず、すべてアセトンのみを含浸させたろ紙上に
設置した野菜屑の入ったシャーレ内に存在しており、パ
ルクロロメタキシレノールを含浸しせしめたろ紙にナメ
クジ忌避効果を呈することがわかった。

実施例２ 直径９cmの円形ろ紙にオルトベンジルパラクロロフェノ
ールのアセトン５％溶液１mlを滴下含浸させた後、風乾
させたほかは実施例１と同様にして試験を行なったとこ
ろ、オルトベンジルパラクロロフェノールを含浸せしめ
たろ紙には、ナメクジが寄りつかず、ナメクジ忌避効果
を呈した。

実施例３ 直径９cmの円形ろ紙にパラクロロメタキシレール 2.5重
量％およびオルトベンジルパラクロロフェノール 2.5重
量％を混合したアセトン溶液１mlを滴下含浸させたの
ち、アセトンを風乾させて除去した円形ろ紙を作製した
ほかは実施例１と同様にして試験を行なったところ、パ
ラクロロメタキシレノールおよびオルトベンジルパラク
ロロフェノールを含浸せしめたろ紙にはナメクジが寄り
つかずナメクジ忌避効果を呈した。

実施例４ 縦１ｍ、横１ｍ、高さ30cmのプラスチック製バット中に
カタツムリ約10匹を放飼した。つぎに表面に孔を有する
直径20cmの中空のプラスチックボールの外面にラウリル
硫酸ソーダ10重量％、2-n-オクチル -4-イソチアゾリン
-3-オン10重量％、タルク30重量％、メチルセルロース
10重量％および水40重量％からなる忌避剤をプラスチッ
クボールの表面 100cm²につき１ｇの割合で塗布し、そ
のボールの中にキャベツを入れた。

また忌避剤を塗布していない同じプラスチックボール内
にキャベツを入れたものを作製した。

つぎに各ボールを前記カタツムリを放飼しているバット
中に並べて設置し、設置後２日目の各ボール内のキャベ
ツ上のカタツムりの数を測定した。

その結果、カタツムリは全て忌避剤を塗布していないボ
ール内のキャベツ上に移行したが、忌避剤を塗布したボ
ール内のキャベツ上には存在しておらず、本発明の忌避
剤のカタツムリに対する忌避効果が確認された。

実施例５ 縦50cm、横50cm、高さ20cmのプラスチック製バット中に
ナメクジ30匹を放飼した。つぎに3-メチル -4-クロロフ
ェノール10重量％、塩ビペーストレジン（鐘淵化学工業
(株)製PCM-12）60重量％およびフタル酸ジオクチル30重
量％からなる忌避剤を 150℃で10分間加熱硬化させて厚
さ２mmの塩ビシートをえた。えられた塩ビシートを直径
12cmとなるようにカットしてなるシートと3-メチル -4-
クロロ−フェノールを含有しない直径12cm塩ビシートを
前記バット中に並べて設置し、各シート上に播種後約90
日経過したキャベツを植えた５号鉢を載置し、試験開始
後２日目にキャベツ上のナメクジの数を測定した。

その結果、ナメクジは忌避剤を含浸させたシート上に設
置した植木鉢のキャベツの上には全く認められず、すべ
て忌避剤を含浸させていないシート上に設置した植木鉢
のキャベツ上に認められた。

実施例６ 第１表に示す組成のペースを 140℃で10分間加熱して厚
さ１mmの忌避剤含有シートをえた。えられた円形に成形
したシートを対照として有効成分を含まない厚さ１mm、
直径15cmの円形シートとともに縦30cm、横40cm、高さ20
cmのベニヤ板製箱内の底に並べて載置し、それぞれ円形
シート上に野菜屑に入れたプラスチック製シャーレ（直
径10cm、高さ1cm）を設置し、つきに箱内のナメクジ30
匹を放飼し、放飼後３日目の野菜屑を入れたプラスチッ
ク製シャーレ上のナメクジの数を測定した。その結果を
第２表に示す。

実施例７ パラクロロメタキシレノール10重量％、エチルアルコー
ル60重量％およびジメチルエーテル30重量％からなるエ
アゾール用腹足類忌避剤をえた。上記エアゾールを播種
後約90日を経過したキャベツを植えた５号鉢の側面全体
に約３分間均一に塗布し、ナメクジ30匹を放飼した縦30
cm、横60cm、高さ30cmのプラスチック製バット中にエア
ゾールを塗布しない播種後数90日を経過したキャベツを
植えた５号鉢と並べて設置し、３日後に鉢の上のナメク
ジの数を測定した。その結果、エアゾールを塗布してい
ない鉢の上にはナメクジが16匹認められたが、エアゾー
ルを塗布した鉢の上にはナメクジは全く認められなかっ
た。

実施例８ トリブロムフェノール20重量％、綿実油30重量およびア
セトン50の重量％からなる忌避剤成分を直径15cm、厚さ
1mmの厚紙に5ml滴下、含浸させた後風乾してシート状の
腹足類忌避剤をえた。

縦30cm、横60cm、高さ30cmのプラスチック製バット中に
ナメクジ30匹を放飼し、その底に上記薬剤処理した厚紙
を薬剤無処理の同じ形の厚紙を並置し、それらの上に播
種後約90日を経過したキャベツを植えた５号鉢をそれぞ
れ設置し、３日後に鉢の上のナメクジの数を測定した。
その結果、薬剤無処理の原紙の上に設置した鉢の上には
ナメクジ10匹が認められたが、薬剤処理した原紙の上に
設置した鉢の上にはナメクジは認められなかった。

実施例９ トリブロムフェノール10重量％、塩ビペーストレジン
（鐘淵化学工業(株)製PCM-12）60重量％DOP 30重量％か
らなる忌避剤を 150℃で10分間加熱硬化させて厚さ２m
m、幅３cmのテープ状忌避剤を作製し、さらにこれらの
忌避剤の両面に厚さ 0.1mmのカーボンブラックを10％添
加した塩ビ製フィルムを貼付したテープ状の忌避剤を作
製した。

上記テープ状忌避剤を播種後約90日を経過したキャベツ
を植えた５号鉢の周囲に巻き、ナメクジ30匹を放飼した
縦30cm、横60cm、高さ30cmのプラスチック製バット中に
播種後約90日を経過したキャベツを植えた５号鉢でテー
プを巻かないものと共に並置し、３日後に鉢の上のナメ
クジの数を測定した。その結果、テープを巻かない鉢の
上には15匹のナメクジが認められたが、テープを巻いた
鉢の上には全く認められなかった。

実施例10 オルトベンジルパラクロロフェノール10重量％、セライ
ト60重量％、ハイドロキシプロピルセルロース10重量％
および水20重量％からなる腹足類忌避剤を作製した。

上記忌避剤5gで播種後約90日を経過したキャベツを植え
た５号鉢の周囲に３cmの幅に塗布しナメクジ30匹を放飼
した縦30cm、横60cm、高さ30cmのプラスチック製バット
中に、播種後約90日を経過したキャベツを植えた５号鉢
で薬剤を塗布しないものと共に並置し３日後に鉢の上の
ナメクジの数を測定した。その結果、薬剤を塗布しない
鉢の上にはナメクジ12匹が認められたが薬剤を塗布した
鉢の上にはナメクジはまたっく認められなかった。

［発明の効果］ 本発明の腹足類忌避剤は農作物、果樹などに被害を与え
るナメクジ、カタツムリ、ウスカワマイマイなどの有害
腹足類に対してきわめて優れた忌避効果を呈するという
効果を奏する。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】パラクロロメタキシレノール、トリブロム
   フェノール、3-メチル -4-クロロフェノール、オルトベ
   ンジルパラクロロフェノール、2-n-オクチル -4-イソチ
   アゾリン -3-オンおよびラウリル硫酸ソーダよりえらば
   れた少なくとも１種以上を有効成分として含有すること
   を特徴とする腹足類忌避剤。