JPH05278592A - アンチスキッド装置 - Google Patents

アンチスキッド装置

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JPH05278592A
JPH05278592A JP10927792A JP10927792A JPH05278592A JP H05278592 A JPH05278592 A JP H05278592A JP 10927792 A JP10927792 A JP 10927792A JP 10927792 A JP10927792 A JP 10927792A JP H05278592 A JPH05278592 A JP H05278592A
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wheel
state
control
wheels
slip
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JP10927792A
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Hideyuki Aizawa
英之 相沢
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 4つの車輪にそれぞれ設けられたブレーキの
ホイールシリンダの圧力を1個の液圧制御装置により一
斉に制御するアンチスキッド装置において、またぎ路走
行時に大きな左右制動力差が生じることを防止する。 【構成】 またぎ路走行時であり、2輪がロックしてお
り、かつ、車輪速度および車輪加速度がそれぞれVSH
V<VSN,G1 <G<G2 の範囲である状態が100m
s続けば(S14a〜S14c)減圧が行われ(S14
g)、低摩擦係数側の前輪および後輪のスリップが低減
されて摩擦力が増大させられる一方、高摩擦係数側の前
輪および後輪の摩擦力が減少させられる。またぎ路では
ない場合、およびまたぎ路であっても上記の条件を設定
時間以上満たさない場合には出力モード選択マップに従
って、制御基準輪のスリップ状態に基づいて減圧か増圧
かが選択される(S14i)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、4つの車輪にそれぞれ
設けられたブレーキのホイールシリンダ圧を一斉に制御
するアンチスキッド装置に関するものであり、特に、路
面の摩擦係数が左右で異なるまたぎ路走行時における車
両の走行安定性の向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、特願平3−302408号
において、4つの車輪にそれぞれ設けられたブレーキの
ホイールシリンダ圧を一斉に制御してアンチスキッド制
御を行う装置を出願した。このアンチスキッド装置は、
(a)制御状態が少なくとも減圧状態と増圧状態とに切
り換わり、4つの車輪にそれぞれ設けられたブレーキの
ホイールシリンダの圧力を一斉に制御する液圧制御装置
と、(b)摩擦係数が左右で異なるまたぎ路を検出する
またぎ路検出手段と、(c)4つの車輪のスリップ状態
が設定状態を超える順序の種類毎にそれら車輪のうちで
制御の基準となる制御基準輪が定められた選択マップに
従って制御基準輪を決定し、またぎ路検出手段によりま
たぎ路が検出された場合に4つの車輪のうちスリップ状
態が設定状態を超える順序が3番目である車輪を制御基
準輪に決定する制御基準輪決定手段と、(d)その制御
基準輪決定手段により決定された制御基準輪のスリップ
状態の各々に対して予め定められている規則に従って液
圧制御装置を制御することにより制御基準輪のスリップ
率を適正範囲に制御する制御手段とを含むように構成さ
れる。
【0003】スリップ状態は、スリップ量,スリップ
率,車輪の加減速度等の一つによりまたは複数の組合わ
せにより規定され、スリップ状態の各々に対応して予め
定められている規則は、上記明細書の実施例において
は、車輪速度と加速度とがそれぞれ3段階に分けられ、
それら3段階ずつの車輪速度と加速度との組合わせによ
って9個のスリップ状態が設定され、それらスリップ状
態の各々について液圧制御装置が減圧を行うか、増圧を
行うかを設定するものとされている。
【0004】上記のようにまたぎ路が検出されたとき、
スリップ状態が設定状態を超える順序が3番目の車輪を
制御基準輪とすれば、路面の摩擦係数が高い方の部分を
走行する車輪が制御基準輪となる。またぎ路において
は、路面の摩擦係数が低い方の部分を走行する前輪およ
び後輪の方が、摩擦係数が高い方の部分を走行する前輪
および後輪よりスリップが大きく、設定状態を超える順
序が1,2番目となるからであり、路面の摩擦係数が高
い方の部分を走行する車輪のスリップ率を適正範囲に制
御して、制動距離を短くすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、またぎ
路の場合にスリップ状態が設定状態を超える順序が3番
目の車輪を制御基準輪とすれば、制御基準輪のスリップ
状態が減圧が行われる状態にならなければ、スリップ状
態が設定状態を超える順序が1,2番目の車輪のホイー
ルシリンダ圧は減圧されず、路面の摩擦係数が低い方の
部分を走行する前輪および後輪のスリップが進行し、ブ
レーキの片効きが生じて車両の走行安定性が悪くなる。
【0006】特に、上記特願平3−302408号の明
細書に例示のアンチスキッド装置においては、車輪速度
3段階と車輪加速度3段階との組合わせから成る9個の
スリップ状態のうち、車輪速度および車輪加速度が共に
中間段階であるスリップ状態については、制動距離短縮
を重視して増圧が設定されている。そのため、車輪速度
と車輪加速度との両方が相当低下しても減圧が行われ
ず、スリップ状態が設定状態を超える1,2番目の車輪
のスリップが大きく進行し、走行安定性が悪くなり易
い。
【0007】なお、制御基準輪のスリップ状態の各々に
対して定められる規則は、上記のようにスリップ状態を
9個の状態に分け、各スリップ状態について増圧,減圧
を設定する態様に限らず、連続して変化するスリップ状
態の各々に対して、ホイールシリンダ圧が連続して変化
するように設定することもでき、また、液圧制御装置を
制御状態が増圧状態および減圧状態の他、保持状態を有
するものとし、スリップ状態に対して保持状態を設定す
ることもできるが、いずれにしてもまたぎ路の場合に設
定状態を超える順序が3番目の車輪を制御基準輪とする
場合、上記の問題は同様に生ずる。
【0008】本発明は、4つの車輪にそれぞれ設けられ
たブレーキのホイールシリンダの圧力が1個の液圧制御
装置によって一斉に制御されるとともに、またぎ路走行
時に制御基準輪のスリップ状態が通常であればアンチス
キッド制御が開始されない状態でもアンチスキッド制御
が開始される装置を提供することを課題として為された
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のアンチスキッド
装置は、上記の課題を解決するために、前記(a)液圧
制御装置,(b)またぎ路検出手段,(c)制御基準輪
決定手段および(d)制御手段を含むアンチスキッド装
置の制御手段に、またぎ路検出手段によってまたぎ路が
検出されるとともに、4つの車輪のうちの2輪のスリッ
プ状態が適正状態を超える事態が設定時間以上継続した
場合に、制御基準輪のスリップ状態の少なくとも一部に
関して、液圧制御装置の制御状態を、予め定められてい
る規則に従う場合より減圧側へ寄せるまたぎ路時制御状
態変更手段設けたことを要旨とするものである。
【0010】ここにおいて「減圧側へ寄せる」とは、液
圧制御装置の制御状態が減圧状態および増圧状態の2つ
のみの場合には、増圧状態から減圧状態にすることであ
り、液圧制御装置の制御状態が更に保持状態を有する場
合には、増圧状態から保持状態にすること、および保持
状態から減圧状態にすることをも含む。
【0011】
【作用】またぎ路走行時には、摩擦係数が低い方の路面
を走行する前輪および後輪のスリップの方が摩擦係数が
高い方の路面を走行する前輪および後輪のスリップより
大きく、スリップ状態が設定状態を超える順序が1,2
番目となり、「2輪のスリップ状態が適正状態を超える
事態が設定時間以上継続するとき」の2輪は、摩擦係数
が低い方の路面を走行する前輪および後輪である。した
がって、またぎ路が検出されるとともに、上記事態が設
定時間以上継続した場合に、液圧制御装置の制御状態を
制御基準輪のスリップ状態の各々に対して定められてい
る規則に従う場合より減圧側に寄せればホイールシリン
ダ圧は低く抑えられ、路面の摩擦係数が低い方の部分を
走行する2輪のスリップ状態が軽減されてブレーキの片
効きの発生が抑制される。
【0012】なお、液圧制御装置の制御状態の減圧側へ
の寄せは、制御基準輪のスリップ状態の全部に関して行
うようにしてもよく、一部に関してのみ行うようにして
もよい。前者の場合には減圧側への寄せが制御基準輪の
スリップ状態に関係なく行われ、後者の場合には、制御
基準輪のスリップ状態が予め定められた状態になったと
きのみに行われることとなる。
【0013】
【発明の効果】このように本発明によれば、またぎ路走
行時に路面の摩擦係数が高い方の部分を走行する前輪お
よび後輪と路面との摩擦力と、摩擦係数が低い方の部分
を走行する前輪および後輪と路面との摩擦力との差が大
きい状態が長時間続くことがなく、車両のスピン傾向が
強くなる恐れがなくなって走行安定性が向上する効果が
得られる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図2において10はブレーキ操作部材と
してのブレーキぺダルである。ブレーキぺダル10の踏
込み力はバキュームブースタ12により倍力され、マス
タシリンダ14に液圧を発生させる。図3に示すよう
に、マスタシリンダ14のハウジング16に形成された
シリンダボア18には第一加圧ピストン20および第二
加圧ピストン22が液密かつ摺動可能に嵌合され、第一
加圧室24,第二加圧室26が形成されている。第一加
圧ピストン20は、シリンダボア18の内周面に形成さ
れた内向きのフランジ部28との間に配設されたリター
ンスプリング30により、第一加圧室24の容積が増大
する向きに付勢されており、第二加圧ピストン22は第
一加圧ピストン20との間に配設されたリターンスプリ
ング32によって第二加圧室26の容積が増大する向き
に付勢されている。
【0015】第一,第二加圧ピストン20,22がそれ
ぞれ、リターンスプリング30,32の付勢力に抗して
前進させられるとき、第一,第二加圧室24,26がリ
ザーバ34から遮断された後、それらの内部に液圧が発
生させられる。第一加圧室24に発生させられた液圧は
ポート36,液通路38により、図2に示すように左前
輪40,右後輪42のブレーキのフロントホイールシリ
ンダ44,リヤホイールシリンダ46に供給され、第二
加圧室26に発生させられた液圧は図示しないポートお
よび図2に示す液通路50により右前輪52,左後輪5
4のフロントホイールシリンダ56,リヤホイールシリ
ンダ58に供給される。本液圧ブレーキ装置はクロス配
管式なのであり、リヤホイールシリンダ46,58には
それぞれプロポーショニングバルブ57,59を介して
液圧が供給される。
【0016】上記第二加圧ピストン22の後端部には、
図3に示すように、断面形状が円形を成し、第二加圧ピ
ストン22より大径の円形ブロック60が固定されると
ともに、シリンダボア18より大径の大径孔62に液密
かつ摺動可能に嵌合されている。大径孔62の前端部に
は環状の保持部材64が取り付けられて第二加圧ピスト
ン22を液密かつ摺動可能に保持しており、それら保持
部材64と円形ブロック60との間に環状の液室68が
形成されている。この液室68は、ポート70,液通路
72を介してリザーバ34に接続され、ブレーキ液が満
たされている。液室68は、液通路72に設けられた電
磁開閉弁74の開閉によりリザーバ34との連通を許
容,遮断される。電磁開閉弁74は通常は開かれてお
り、液室68はリザーバ34との連通を許容され、ブレ
ーキ液のリザーバ34への流出により円形ブロック60
の前進が許容される。また、電磁開閉弁74が閉じた作
用状態では、液室68からリザーバ34へのブレーキ液
の流出が阻止され、円形ブロック60の前進が阻止され
る。
【0017】上記円形ブロック60にはバキュームブー
スタ12の出力ロッド80が当接させられている。した
がって、電磁開閉弁74が開かれ、円形ブロック60の
前進が許容された状態では、ブレーキペダル10の踏込
みに伴って出力ロッド80が前進させられるとともに円
形ブロック60,第一,第二加圧ピストン20,22が
前進させられ、第一,第二加圧室24,26に液圧が発
生させられる。また、電磁開閉弁74が閉じられ、円形
ブロック60の前進が阻止された状態では、ブレーキペ
ダル10が踏み込まれても出力ロッド80は前進せず、
ブレーキペダル10の踏込みによる液圧の増大が阻止さ
れる。
【0018】マスタシリンダ14のハウジング16のバ
キュームブースタ12が取り付けられた側とは反対側の
端部には、大径の取付部86が設けられるとともに容器
状のケーシング88が固定されている。このケーシング
88内にはナット90が回転可能かつ軸方向に相対移動
不能に嵌合されるとともに、その軸方向の一端部に設け
られた大径ギヤ92は、駆動モータ94の出力軸96に
固定の駆動ギヤ98に噛み合わされており、駆動モータ
94により回転させられる。100はクラッチであり、
駆動モータ94の回転は駆動ギヤ98に伝達するが、駆
動ギヤ98側の回転は駆動モータ94に伝達しないよう
にされている。
【0019】上記ナット90にはボールねじ104が螺
合されている。ボールねじ104のマスタシリンダ14
側の端部にはピストン106が形成され、シリンダボア
18に液密かつ摺動可能に嵌合されて、シリンダボア1
8の内周面と共に第一加圧室24を構成している。ま
た、ボールねじ104のマスタシリンダ14とは反対側
の端部はナット90から突出させられるとともに、その
突出端部にはスプライン108が形成され、ケーシング
88の底部に形成されたスプライン穴110に嵌合さ
れ、相対回転を阻止されている。したがって、ナット9
0が回転させられることによりボールねじ104は軸方
向に移動し、ピストン106が移動させられて第一加圧
室24および第二加圧室26の容積が増減させられ、そ
の液圧が増減させられる。本実施例においては、第一,
第二加圧室24,26,ナット90,大径ギヤ92,駆
動モータ94,駆動ギヤ98,ボールねじ104,ピス
トン106等が液圧制御装置を構成しているのである。
【0020】さらに、ケーシング88には、容器状を成
す別のケーシング114が固定されるとともに、スプラ
イン108の先端に設けられたピストン116が液密か
つ摺動可能に嵌合され、作動液室118が形成されてい
る。
【0021】前記液室68とリザーバ34とは、電磁開
閉弁74をバイパスするバイパス通路124によって連
通させられている。このバイパス通路124には開閉弁
126が設けられ、液室68とリザーバ34との連通を
許容,遮断するようにされている。開閉弁126のハウ
ジング128内には大径のシリンダボア130,小径の
リザーバ室132,弁室134および両端がシリンダボ
ア130とリザーバ室132とに開口する貫通孔136
が同心状に設けられている。
【0022】リザーバ室132はポート140において
リザーバ34に連通させられ、弁室134はポート14
2において液室68に連通させられている。弁室134
内にはボール144が配設され、スプリング146によ
り、弁室134のリザーバ室132への開口端に設けら
れた弁座148に着座する向きに付勢されている。これ
らボール144,スプリング146および弁座148が
開閉弁126を構成しているのであり、開閉弁126が
閉じた状態でもリザーバ34から液室68へのブレーキ
液の流入は許容され、運転者はブレーキぺダル10の踏
込みを緩めることができる。開閉弁126がリザーバ3
4から液室68へのブレーキ液の流入を許容する逆止弁
を兼ねているのである。
【0023】シリンダボア130内には開閉ピストン1
52が液密かつ摺動可能に嵌合されており、その貫通孔
136側に形成された容積増減室154はポート15
6,液通路158によって前記作動液室118に連通さ
せられている。また、開閉ピストン152の他方の側に
は大気圧室160が設けられるとともにスプリング16
2が配設され、開閉ピストン152を容積増減室154
側に付勢している。開閉ピストン152の容積増減室1
54側の端面にはストッパ突起164が突設されてピス
トン152の前進端位置を規定するようにされるととも
に、ロッド166が突設されて貫通孔136に摺動可能
に嵌合されている。通常は作動液室118から容積増減
室154に作動液は供給されず、開閉ピストン152は
スプリング162により付勢されて前進端位置にあり、
ロッド166はボール144を弁座148から離間させ
て開閉弁126は開かれている。また、作動液室118
から容積増減室154に作動液が供給されれば開閉ピス
トン152が後退し、ロッド166がボール144から
離間し、ボール144が弁座148に着座して開閉弁1
26が閉じられる。
【0024】本ブレーキ装置のアンチスキッド制御は、
図2に示すアンチスキッド制御ユニット180により行
われる。アンチスキッド制御ユニット180は、CP
U,ROM,RAMおよびそれらを接続するバスを有す
るコンピュータを主体とするものである。アンチスキッ
ド制御ユニット180には、回転速度センサ182,1
86により検出される左右前輪40,52の回転速度お
よび回転速度センサ187,184により検出される左
右後輪54,42の回転速度が供給され、車輪速度,車
体速度やスリップ率等を演算し、電磁開閉弁74,駆動
モータ94を制御してアンチスキッド制御を行う。アン
チスキッド制御ユニット180にはまた、ブレーキスイ
ッチ188の信号が供給され、ブレーキぺダル10の踏
込みが検出されるようになっている。
【0025】さらに、コンピュータのRAMには、図4
に示すように、車輪速度順位メモリ190,制御基準輪
メモリ192,直進フラグ194,左旋回フラグ19
6,右旋回フラグ198,またぎ路フラグ200,アン
チスキッド制御開始フラグ202,出力モードフラグ2
04および第一,第二カウンタ206,208がワーキ
ングメモリと共に設けられている。出力モードフラグ2
04は、アンチスキッド制御を行うために増圧モードが
選択されているか、減圧モードが選択されているかを表
すフラグであり、増圧時にセットされ、減圧時にリセッ
トされる。また、ROMには図1にフローチャートで示
す出力モード選択ルーチン,図6にフローチャートで示
すメインルーチン,図7にフローチャートで示すまたぎ
路判定ルーチン,図8に示すアンチスキッド制御開始判
定ルーチン,図5に示す出力モード選択マップおよび表
1に示す制御基準輪選択マップ等が格納されている。
【表1】
【0026】この制御基準輪選択マップは、車輪速度落
ち込み順位、車両が直進しているか旋回しているか、な
らびに路面が左右で摩擦係数の異なるまたぎ路であるか
に基づいて制御基準輪を選択するように作られている。
具体的には、車両が直進しており、車輪速度の落ち込み
順位の1,2位の車輪(後述するように、制御基準輪を
決定する状態になったときの4輪の車輪速度のうち、低
いものから順に1番目および2番目の車輪)がいずれも
前輪であるか、あるいは後輪であるかの場合および車輪
速度の落ち込み順位の1,2位がいずれも左側の車輪で
あるか、あるいはいずれも右側の車輪である場合には、
落ち込み順位2位の車輪が制御基準輪とされ、車輪速度
の落ち込み順位の1,2位が左右の異なる前輪と後輪と
である場合には落ち込み順位3位の車輪が制御基準輪と
される。
【0027】このようにすれば左右前輪40,52の少
なくとも一方および左右後輪54,42の少なくとも一
方であって、左右の異なる車輪について過大なスリップ
が防止されるとともに、落ち込み順位1位の車輪を制御
基準輪とする場合に比較して、スリップが小さい車輪の
制動力の低下を小さく抑えることができ、車両全体の制
動力と走行安定性を確保することができる。
【0028】また、車両旋回時には、左右前輪40,5
2の少なくとも一方および左右後輪54,42の少なく
とも一方について過大スリップの発生が防止されるとと
もに、旋回外側の前輪のスリップが旋回内側の前輪のス
リップより大きい場合には左右前輪40,52の両方に
ついて過大スリップ発生防止を行い、逆の場合には、前
輪については旋回外側の前輪のみについて過大スリップ
発生防止が行われるようにマップが設定されている。
【0029】車両が旋回する場合、旋回半径を左右する
のは左右前輪40,52であり、特に、旋回外側の前輪
は荷重が大きくなるため重要である。したがって、通常
は旋回外側の前輪について過大スリップ発生防止を行え
ば車両は安定に旋回することができるのであるが、旋回
外側の前輪の方がスリップが大きい場合には、旋回外側
の前輪のスリップが過大となることを防止するのみでは
車両を安定に旋回させ難く、旋回内側の前輪について過
大スリップ発生防止を行うことにより左右前輪40,5
2共にスリップが過大となることを防止することが望ま
しいのである。
【0030】さらに、路面がまたぎ路の場合には、路面
の摩擦係数が高い方の部分を走行する車輪が制御基準輪
となるようにされている。路面の摩擦係数が低い方の部
分を走行する車輪を制御基準輪とすれば、滑っていない
方の車輪の制動力が低く抑えられ過ぎて制動力が大きく
犠牲にされるからである。なお、このようにすれば路面
の摩擦係数が低い方の部分を走行する車輪のスリップ低
減効果が少なくなるが、摩擦係数が低い路面を走行する
車輪のタイヤに作用する横力は元来小さく、走行安定
性,操縦性に与える影響は小さい。
【0031】また、出力モード選択マップは、図5から
明らかなように、車輪速度Vが制御基準速度VSN,VSH
より大きいか否か、車輪加速度Gが基準加速度G1 ,G
2 より大きいか否かにより減圧か増圧かを選択するマッ
プであり、制御基準速度VSHは制御基準速度VSNより低
い値に設定され、基準加速度G2 は正の値であり、本実
施例においては1.5 Gに設定されている。車輪速度Vお
よび車輪加速度Gがそれぞれ3段階に分けられ、それら
の組合わせにより合計9個のスリップ状態が設定される
とともに、それらスリップ状態の各々について減圧を行
うか増圧を行うかを定めた規則が設定されている。
【0032】次に作動を説明する。本液圧ブレーキ装置
において通常は、電磁開閉弁74が開かれていてブレー
キぺダル10の踏込みによる円形ブロック60の前進が
許容されており、ボールねじ104はピストン106が
フランジ部28に当接する後退端位置にある。そして、
ブレーキペダル10の踏込みに基づいて円形ブロック6
0,第一,第二加圧ピストン20,22が前進させられ
ることにより、第一,第二加圧室24,26に液圧が発
生させられ、車輪の回転が抑制される。
【0033】電源が投入されればコンピュータが作動を
開始し、メインルーチンのステップS1(以下、S1と
略称する。他のステップについても同じ。)が実行さ
れ、直進フラグ194,左旋回フラグ196,右旋回フ
ラグ198,またぎ路フラグ200,アンチスキッド制
御開始フラグ202,出力モードフラグ204および第
一,第二カウンタ206,208をリセットする等の初
期設定が行われた後、S2〜S19が5msのサイクル
タイムで繰り返し実行される。S2においては、回転速
度センサ182,184,186,187の検出結果に
基づいて車輪速度V,車輪加速度G,推定車体速度,車
輪速度順位決定,アンチスキッド制御開始の判定やアン
チスキッド制御時におけるモード選択の基準となる制御
基準速度VSN,VSHが算出される。
【0034】次いでS3が実行され、アンチスキッド制
御開始フラグ202がセットされているか否かにより、
アンチスキッド制御開始前であるか否かの判定が行われ
る。アンチスキッド制御開始フラグ202は初期設定に
おいてリセットされており、S3が1回目に行われると
き判定結果はYESとなってS4が実行され、ブレーキ
スイッチ188がONであるか否かによって制動中であ
るか否かの判定が行われる。制動中でなければ判定結果
はNOとなり、S5において車両が旋回中であるか否か
の判定が行われる。
【0035】旋回時には、旋回内側の車輪の速度が低下
するのに対し、旋回外側の車輪の速度が上昇して左右の
車輪に速度差が生ずるのが普通であり、ここでは左右後
輪54,42の速度差が設定値以上あるか否かにより判
定が行われる。また、左右後輪54,42のうち、どち
らの車輪速度が高いかによって旋回方向がわかり、左旋
回中の場合には左旋回フラグ196がセットされ、右旋
回中には右旋回フラグ198がセットされ、旋回中でな
い場合には直進フラグ194がセットされる。
【0036】ブレーキペダル10が踏み込まれ、制動が
開始されればS4の判定結果がYESとなり、S6,S
7の実行により、車両がアンチスキッド制御を行うため
の制御基準輪を決定する状態にあるか否かの判定が行わ
れる。この判定は、4輪のうち、1輪でもその車輪加速
度Gが基準加速度G0 を超えて低くなったか、あるいは
4輪の車輪速度Vのうち、最も低い車輪速度Vが制御基
準速度VSNを超えて低くなったか否かにより行われる。
制御基準速度VSNおよび基準加速度G0 が設定状態なの
であり、本実施例ではG0 は−0.8Gに設定されてい
る。車輪加速度Gおよび車輪速度Vのいずれもが基準値
より低くなければS6,S7の判定結果はいずれもNO
となってルーチンの実行はS2に戻る。
【0037】また、車輪加速度Gおよび車輪速度Vのい
ずれか一方が基準値より低ければS6,S7のいずれか
の判定結果がYESとなり、S8〜S10が実行されて
制御基準輪が決定される。車輪速度を例に取れば、図9
に示すように、制動時には4輪の車輪速度が低下する状
態はそれぞれ異なるが、左前輪40の車輪速度が制御基
準速度VSNより低くなったときS7の判定結果がYES
となるのである。
【0038】S8においてはS2において算出された車
輪速度Vに基づいて4輪の車輪速度の順位が決定され、
次いでS9において路面がまたぎ路であるか否かの判定
が行われる。この判定は図7に示すまたぎ路判定ルーチ
ンに従って行われ、車輪速度落ち込み順位の1,2位が
左の前後輪あるいは右の前後輪であり、かつ、左右前輪
の速度差の絶対値と左右後輪の速度差の絶対値とがそれ
ぞれ設定値以上のときにまたぎ路であると判定される。
このようにすれば、車輪速度の落ち込み順位および左右
前輪の速度差の絶対値のみでまたぎ路の判定を行う場合
に比較して、摩擦係数が一様な路面がまたぎ路と誤判定
される可能性が少なくなる。
【0039】車両が摩擦係数が一様な路面を走行中に左
の前輪と後輪とが車輪速度の落ち込み順位の1番目と2
番目とであるか、右の前輪と後輪とが1番目と2番目と
なることは、ブレーキパッドの摩擦係数のばらつきなど
偶発的な理由によるため、その確率はそれ程高くない。
しかし、四輪自動車においては前輪が後輪より前にロッ
クするように設定されることが多く、もしそのような事
態が生じた場合には、相当の確率で左右前輪の速度差の
絶対値が設定値以上という条件が満たされる。そのた
め、摩擦係数が一様な路面が誤ってまたぎ路とされる恐
れが相当あることになるのであるが、左右後輪の速度差
の絶対値が設定値を超えるという条件までが偶発的に満
たされる確率は遥かに低い。
【0040】例えば、左前輪のブレーキパッドの摩擦係
数を基準として、右前輪のブレーキパッドの摩擦係数が
小さく、左後輪のブレーキパッドの摩擦係数が大きい場
合には、摩擦係数の大きい車輪ほどブレーキが効くた
め、左前輪の速度が右前輪の速度より低く、かつ、左後
輪の速度も低くなって左の前輪と後輪との各車輪速度の
落ち込み順位が1番目と2番目となることがある。この
場合、左右前輪の速度差の絶対値が設定値以上となる可
能性が相当高いのであるが、更に左右後輪の速度差の絶
対値が設定値以上となるためには、右後輪のブレーキパ
ッドの摩擦係数が左後輪のブレーキパッドの摩擦係数よ
り相当小さいことが必要である。しかし、左右前後輪の
ブレーキパッドの摩擦係数についてこれらの条件がすべ
て偶発的に満たされる確率は低く、これをまたぎ路判定
と条件とすることにより、摩擦係数が一様な路面が誤っ
てまたぎ路と判定される確率は遥かに低くなるのであ
る。
【0041】そのため、S9aにおいて車輪速度の落ち
込み順位の1,2位が左の前,後輪40,54あるいは
右の前,後輪52,42であるか否かの判定が行われ、
S9bにおいて左右前輪40,52の速度差の絶対値が
15km/h以上あるか否かの判定が行われ、S9cにおい
て左右後輪42,54の速度差の絶対値が15km/h以上
あるか否かの判定が行われる。これらS9a,S9b,
S9cの判定結果がいずれもYESであれば路面がまた
ぎ路であると判定され、S9dにおいてまたぎ路フラグ
200がセットされる。また、いずれか一つでも判定結
果がNOであればまたぎ路ではないと判定され、S9e
が実行されてまたぎ路フラグ200がリセットされる。
【0042】なお、左右前輪40,52,左右後輪5
4,42の各速度差の絶対値がまたぎ路と判定するほど
の大きさであるか否かを判定する設定値は、本実施例で
は15km/hに設定されているが、この設定値は、検出し
たいまたぎ路の左右の摩擦係数差や、車輪速度の乱れ方
などを考慮して設定されるべきものであり、かつ、必ず
しも前輪と後輪とで同じである必要はない。
【0043】このようにまたぎ路の判定が行われた後、
S10において制御基準輪選択マップに基づいて制御基
準輪が決定され、制御基準輪メモリ192に格納され
る。この決定は、表1に示す制御基準輪選択マップに従
って行われる。例えば、NO.1に示すように、車輪速
度落ち込み順位の1,2位が左前輪40,右前輪52で
あり、車両が直進している場合には落ち込み順位2位の
車輪、すなわち右前輪52が制御基準輪とされる。ま
た、左旋回時には落ち込み順位2位の右前輪52が制御
基準輪とされ、右旋回時には落ち込み順位1位の左前輪
40が制御基準輪とされる。
【0044】なお、車両が旋回しているか否かは、前述
のように左右後輪54,42の速度差が設定値以上であ
るか否かにより判定されるため、またぎ路の場合、車両
が直進中であっても、左右後輪54,42にも設定値以
上の速度差が生ずれば車両が旋回中であると判定され
る。この場合には、制御基準輪は路面がまたぎ路である
ことを優先して決定することとする。そして、S11に
おいてアンチスキッド制御開始フラグ202がセットさ
れているか否かによってアンチスキッド制御開始前であ
るか否かの判定が行われる。S11が1回目に行われる
とき、アンチスキッド制御開始フラグ202はリセット
されており、その判定結果はYESとなってS12が実
行される。
【0045】S12においては、アンチスキッド制御を
開始するか否かの判定が行われる。この判定は、図8に
示すアンチスキッド制御開始判定ルーチンに従って行わ
れる。まず、S12aにおいて、S10において決定さ
れた制御基準輪の車輪加速度Gが基準値G1 (本実施例
においてはG1 =−1.8Gに設定されている)を超え
て低くなり、かつ、車輪速度Vが制御基準速度VSNを超
えて低くなったか否かにより、アンチスキッド制御を開
始するか否かの判定が行われる。これらの条件をいずれ
も満たしていればアンチスキッド制御を行うほどスリッ
プが進行していることを意味し、S12aの判定結果は
YESとなってS13〜S15が実行され、アンチスキ
ッド制御が行われる。
【0046】制御基準輪の車輪速度Vおよび車輪加速度
Gの少なくとも一方が制御基準速度VSNより高く、基準
値G1 より高ければS12aの判定結果はNOとなり、
S12bにおいて路面がまたぎ路であるか否かの判定が
行われる。またぎ路でなければS12bの判定結果はN
Oとなり、ルーチンの実行はS2に戻る。またぎ路であ
ればS12bの判定結果はYESとなり、S12c,S
12d,S12eにおいてまたぎ路走行時におけるアン
チスキッド制御開始の判定が行われる。
【0047】またぎ路時におけるアンチスキッド制御開
始条件は、車輪速度落ち込み順位1位の車輪がロックし
ており、かつ、制御基準輪の車輪速度Vが制御基準速度
SN以下であること、あるいは車輪速度落ち込み順位
1,2位の車輪のロックが設定時間(本実施例において
は50ms)以上継続したことである。ここにおいてロ
ックとは、車輪の回転が止まった状態のみならず、車輪
のスリップが適正範囲を大きく超えて回転が停止する状
態に近いほどスリップが進行した状態を意味する。
【0048】またぎ路判定時には、車輪速度落ち込み順
位3位の車輪が制御基準輪とされるが、3位の車輪は路
面の摩擦係数が高い側を走行する車輪であり、車輪速度
はブレーキシリンダ圧に応じて低下するものの、摩擦係
数が一様である路面上でアンチスキッド制御が必要な場
合のように急激には低下しないため、車輪加速度Gが基
準加速度G1 より低くなるというアンチスキッド開始条
件を満たし難い。そのためアンチスキッド制御の開始が
遅れ、あるいは開始されず、車両にスピン傾向が生ずる
ことがあるため、またぎ路用にアンチスキッド制御開始
条件を設定し、アンチスキッド制御が適宜の時期に開始
されるようにされているのである。
【0049】またぎ路において比較的強いブレーキ操作
が行われた場合には、車輪速度落ち込み順位1位の車輪
がロックし、かつ制御基準輪の車輪速度が制御基準速度
SNより低くなる事態が生じ易い。それに対して、緩や
かなブレーキ操作が行われた場合には、制御基準輪の速
度が制御基準速度VSNより高いが、車輪速度落ち込み順
位1,2位の車輪がロックする事態が生じ易い。
【0050】そのため、S12cにおいて車輪速度落ち
込み順位1位の車輪がロックしているか否かの判定が行
われ、S12dにおいて制御基準輪の速度が制御基準速
度VSN以下であるか否かの判定が行われ、S12eにお
いて車輪速度落ち込み順位2位の車輪のロック状態が5
0ms以上継続しているか否かの判定が行われる。車輪
速度落ち込み順位2位の車輪が設定時間以上継続してロ
ックしているか否かの判定は、S12cの判定結果がY
ESになった場合に行われ、結局、S12eでは車輪速
度落ち込み順位1,2位の車輪の両方のロック状態が設
定時間以上継続しているか否かが判定されるのである。
【0051】またぎ路走行時以外およびまたぎ路走行時
のいずれの場合にもアンチスキッド制御開始条件が満た
されていなければ、S12a,S12b,S12c,S
12eの判定結果がNOとなり、ルーチンの実行はS2
に戻る。また、アンチスキッド制御開始条件が満たさ
れ、S12aの判定結果がYES、あるいはS12d,
S12eの判定結果がYESになれば、S13において
アンチスキッド制御開始フラグ202がセットされた
後、S14において液圧制御装置に出力されるモードの
選択が行われる。
【0052】出力モードの選択は、図1に示すフローチ
ャートに従って行われ、またぎ路以外の路面の走行時に
は出力モード選択マップに従って出力モードが選択さ
れ、またぎ路走行時には、後述する3つの条件が満たさ
れる状態が設定時間以上継続する場合には減圧モードが
選択され、それ以外の場合には出力モード選択マップに
従って出力モードが選択されるようになっている。
【0053】まず、S14aにおいて路面がまたぎ路で
あるとともに、4輪のうちの2輪がロックしており、か
つ、制御基準輪の車輪速度Vおよび車輪加速度Gがそれ
ぞれVSH<V<VSN,G1 <G<G2 の範囲にあるか否
かの判定が行われる。これらの条件を一つでも満たして
いなければS14aの判定結果はNOとなる。
【0054】そして、S14dにおいて第一,第二カウ
ンタ206,208がリセットされた後、S14iが実
行され、出力モード選択マップに基づいて出力モードが
選択される。制御基準輪のスリップ状態、すなわち車輪
速度Vおよび車輪加速度Gの大きさによって減圧か増圧
かが決定されるのであり、増圧モードが選択されれば出
力モードフラグ204がセットされ、減圧モードが選択
されれば出力モードフラグ204がリセットされる。選
択されたモードはS15において出力され、液圧制御装
置が作動させられてホイールシリンダ圧が減少あるいは
増大させられる。
【0055】それに対し、上記3つの条件がいずれも満
たされていればS14aの判定結果がYESとなり、S
14bにおいて第一カウンタ206のカウント値C1
1増加させられる。第一カウンタ206は、S14aの
判定結果がNOからYESになるときには0とされてお
り、上記3つの条件を満たす時間を計測する。次いでS
14cにおいてカウント値C1 が設定値CA 以上か否か
の判定が行われる。設定値CA は、所定の時間(本実施
例においては100ms)をルーチンが実行されるサイ
クルタイムで除した値であり、S14cの判定結果は当
初はNOとなり、S14iが実行される。
【0056】S14aの3つの条件を満たす状態が10
0ms以上続けばS14cの判定結果がYESになり、
S14eにおいて第二カウンタ208のカウント値C2
が1増加させられる。第二カウンタ208のカウント値
2 もS14cの判定結果がNOからYESになった直
後に行われるとき0になっており、S14fにおいて設
定値CB 以上であるか否かの判定が行われるが、この判
定結果は当初はNOであり、S14gが実行されて減圧
モードが選択されるとともに、出力モードフラグ204
がリセットされ、S15において出力される。第二カウ
ンタ208はS14aの3つの条件が満たされる状態が
100ms続いたことにより行われる減圧の時間を計測
するのであり、本実施例において減圧は50ms行わ
れ、設定値CB はその50msに対応する値とされてい
る。
【0057】またぎ路の場合、車輪速度が設定状態を超
える順序の1,2番目の車輪は路面の摩擦係数が低い側
の部分を走行する前輪および後輪であり、これら前輪お
よび後輪がロックする2輪である。しかし、これら2輪
のロックは、制御基準輪のスリップ状態に基づいてアン
チスキッド制御が行われる場合には、制御基準輪のスリ
ップ状態が減圧モードが選択される状態にならなければ
解消されず、左右の制動力差が大きくなり、やがてはそ
の制動力差に抗して車両を所望の方向に走行させること
が難しくなるため、上記3つの条件を満たした場合に強
制的に減圧が行われるようにされているのである。
【0058】実験によれば、またぎ路上においてVSH
V<VSN,G1 <G<G2 の条件が満たされるスリップ
状態のときに特に大きな左右制動力差が生じ易いのであ
るが、上記増圧モードから減圧モードへの変更により、
路面の摩擦係数が低い側の部分を走行する前輪および後
輪と路面との摩擦力が大きくなる一方、摩擦係数が高い
側の部分を走行する前輪および後輪と路面との摩擦力が
小さくなり、左右の制動力差が小さくなって、走行安定
性が向上する。
【0059】減圧を行うための3つの条件を満たす設定
時間は、車両のヨーレイト(垂直軸線まわりの回転角速
度)が限界に達するまでの時間、すなわち車両の旋回が
ホイールシリンダ圧を減圧しても修正できなくなる大き
さに達する時間と関連を有する。この時間は、ホイール
シリンダ圧の上昇勾配,またぎ路の左右の摩擦係数の差
ならびに車両の構造等により変わるものであり、本実施
例においては100msに設定されているが、それより
短くあるいは長く設定してもよい。
【0060】また、減圧が最大50ms行われるのみで
あるのは、減圧が長く行われれば左右の制動力差は軽減
されるが、摩擦係数の高い部分側の車輪の制動力が不足
して制動距離が長くなるからであり、この減圧時間は、
液圧制御装置や車両の応答性等を考慮して決められる。
そのため、S14aの3つの条件が満たされたまま50
msが経過すればS14fの判定結果はYESとなり、
S14hにおいて第一,第二カウンタ206,208が
リセットされた後、S14iにおいて出力モード選択マ
ップに従って増圧か減圧かが選択される。
【0061】また、減圧が50ms行われる前にS14
aの3つの条件のうちの1つでも満たされなくなればS
14aの判定結果がNOになり、S14d,S14iが
実行され、制御基準輪のスリップ状態に基づいて減圧,
増圧が決定される状態に戻される。
【0062】上記のようにアンチスキッド制御の開始条
件が満たされ、出力モードが選択されればアンチスキッ
ド制御が開始される。アンチスキッド制御時にはアンチ
スキッド制御ユニット180は電磁開閉弁74を閉状態
に切り換え、円形ブロック60の前進を阻止した状態
で、出力モードに従って駆動モータ94を駆動し、第
一,第二加圧室24,26の容積を増減させる。この容
積の増減は、駆動モータ94によりボールねじ104を
移動させることにより行われる。
【0063】アンチスキッド制御時にはまず、ピストン
106が前進させられて第一加圧室24の容積が増大さ
せられ、減圧が行われる。このときボールねじ104の
前進によりピストン116が前進させられ、作動液室1
18内の作動液が容積増減室154に供給される。それ
により開閉ピストン152が後退させられて開閉弁12
6が閉じ、液室68とリザーバ34との連通が遮断され
る。
【0064】このように液室68とリザーバ34との連
通が完全に遮断された状態でピストン106が移動させ
られるとき、第一加圧ピストン20が、第一加圧室24
の液圧およびリターンスプリング30の付勢力と第二加
圧室26の液圧およびリターンスプリング32の付勢力
とが釣り合う位置に移動させられ、結局、ピストン10
6の前進に伴って第一,第二加圧室24,26の容積が
いずれも増大させられて発生液圧が低下させられ、ホイ
ールシリンダ圧が減圧される。
【0065】この減圧によりスリップ率が回復し始めて
出力モードが増圧モードになれば、ボールねじ104が
後退させられ、ピストン106が後退させられてホイー
ルシリンダ圧が増大させられ、このような減圧,増圧が
繰り返し行われて車輪のスリップが適正範囲に保たれる
のであり、出力モードの選択に従って制御が行われるこ
とにより、車輪速度Vおよび車輪加速度Gは図9に示す
ように変化する。
【0066】なお、アンチスキッド制御はホイールシリ
ンダ圧が相当量過大となった場合に開始され、まず、大
きく減圧された後、アンチスキッド制御の開始時より低
い液圧の範囲で増圧,減圧が繰り返されるのが普通であ
る。そのため、最初の減圧により作動液室118から排
除された作動液により開閉ピストン152が後退し、一
旦、開閉弁126が閉じた後は、次にホイールシリンダ
圧を増圧する必要が生じてボールねじ104およびピス
トン106が後退させられ、作動液室118の容積が増
大させられても、アンチスキッド制御開始前の状態まで
は増大させられず、容積増減室154の容積はアンチス
キッド制御開始前よりは大きい状態に保たれる。ロッド
166はボール144に当接しない範囲で移動させられ
るのであり、開閉弁126は開かれず、液室68はリザ
ーバ34との連通を遮断された状態に保たれる。したが
って、弁室134の容積、延いては液室68の容積が変
化することはなく、液室68の容積変化によるブレーキ
ぺダル10のキックバックの発生が回避される。
【0067】このように開閉弁126はアンチスキッド
制御が行われている間のみ閉じて液室68とリザーバ3
4との連通を遮断する。したがって、電磁開閉弁74が
異常に閉じたとき、すなわち電磁開閉弁74の構成要素
に異常が生じて開かなくなったとき、あるいはアンチス
キッド制御ユニット180の誤作動等により電磁開閉弁
74に正常に開信号が供給されなくなった場合等には、
液通路72における液室68とリザーバ34との連通が
遮断されたままの状態となるが、アンチスキッド制御時
以外には開閉弁126が開いており、液室68はバイパ
ス通路124によりリザーバ34に連通させられてい
る。そのため円形ブロック60は前進することができ、
ブレーキぺダル10の踏込みに応じて前進することがで
き、制動力が確保される。
【0068】上記のようにアンチスキッド制御が開始さ
れれば、次にS3が実行されるとき、その判定結果はN
Oとなり、S16が実行され、制動中であるか否かの判
定が行われる。制動中であればS17が実行され、増圧
中であるか否かの判定が行われる。この判定は出力モー
ドフラグ204がセットされているか否かにより行わ
れ、増圧中であればS17の判定結果はYESとなり、
S18において車輪速度順位がS8におけると同様に決
定され、車輪速度順位メモリ190に格納された後、S
9,S10が実行されて制御基準輪が決定される。
【0069】それに対し、減圧中であればS17の判定
結果はNOとなって車輪速度順位の決定は行われず、減
圧モードが選択される直前に決定された車輪速度順位が
維持され、制御基準輪が決定される。アンチスキッド制
御中は、増圧時のみに制御基準輪が決定されるのであ
る。減圧時には、車輪の回転速度が回復するが、車輪に
は慣性があり、この慣性は車輪自体の寸法形状は勿論、
ブレーキロータ,車軸,差動装置,ドライブシャフト
等、4輪にそれぞれ連結された部材の違いにより異なる
ため、車輪速度の落ち込み順に車輪速度が回復するとは
限らず、車輪速度順位が落ち込み順位とは異なる順位と
なり、制御基準輪が4輪のスリップ状態に適した制御を
行うことができる車輪ではない車輪に決定されることが
あるからである。
【0070】S10の実行により制御基準輪が決定され
た後、S11においてアンチスキッド制御開始前である
か否かの判定が行われるが、この判定結果はNOであ
り、S12,S13がスキップされ、S14,S15の
実行により出力モードが選択されて出力される。
【0071】アンチスキッド制御開始後にブレーキペダ
ル10の踏込みが解除されればS16の判定結果がNO
となり、S19においてフラグ190〜204がリセッ
トされた後、ルーチンの実行はS2に戻る。
【0072】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、コンピュータのROMのS9を記憶する部
分およびCPUのS9を実行する部分がまたぎ路判定手
段を構成し、ROMのS10を記憶する部分およびCP
UのS10を実行する部分が制御基準輪決定手段を構成
し、ROMのS14iおよびS15を記憶する部分およ
びCPUのそれらステップを実行する部分が制御手段を
構成し、ROMのS14a〜S14c,S14e〜S1
4gを記憶する部分およびCPUのそれらステップを実
行する部分がまたぎ路時制御状態変更手段を構成してい
るのである。
【0073】なお、上記実施例において、またぎ路走行
時に出力モード選択マップに基づく選択によらずに減圧
を行う場合、50ms減圧が行われる前にS14aの減
圧開始条件が1つでも満たされなくなれば減圧が終了す
るようにされていたが、一旦開始条件が満たされれば、
後に満たされなくなっても設定時間は必ず減圧が行われ
るようにしてもよい。
【0074】また、上記実施例においては、車輪速度の
落ち込み順位を、4輪のうち最も速度が低い車輪の速度
が基準値を超えて低くなったときの4輪の車輪速度の低
いものから数えており、この態様においては、特許請求
の範囲の「4つの車輪のスリップ状態が設定状態を超え
る順序」の「設定状態」が、「4輪のうち、最も速度が
低い車輪の速度が基準値を超えて低くなったときの4輪
の速度」であることになる。車輪速度は、4輪のうちの
最も速度が低い車輪の速度が基準値を超えて低くなった
ときの順序を保って低下するのが普通であり、4輪のう
ちの最も速度が低い車輪の速度が基準値を超えて低くな
ったときの順序を4輪のスリップ状態が設定状態を超え
る順序とすることができるのである。
【0075】さらに、「4輪以上の車輪のスリップ状態
が設定状態を超える順序」は、4輪がそれぞれ共通の設
定状態を超える順序とすることもできる。例えば、基準
速度を設定状態とし、4輪の各輪の速度がそれぞれ共通
の基準速度を超える順序を設定状態を超える順序とする
のである。
【0076】さらにまた、「設定状態」は車輪速度のみ
ではなく他の量、例えば車輪加速度も加味して設定して
もよい。
【0077】その他、特許請求の範囲を逸脱することな
く、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した
態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるアンチスキッド装置を
備えた液圧ブレーキ装置を制御するアンチスキッド制御
ユニットの主体を成すコンピュータのROMに格納され
た出力モード選択ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図2】上記液圧ブレーキ装置を示す系統図である。
【図3】上記液圧ブレーキ装置に設けられた液圧制御装
置を示す正面断面図である。
【図4】上記コンピュータのRAMのうち、本発明に関
連の深い部分を取り出して示す図である。
【図5】上記コンピュータのROMに格納された出力モ
ード選択マップを示す図である。
【図6】上記コンピュータのROMに格納されたメイン
ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】上記コンピュータのROMに格納されたまたぎ
路判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】上記コンピュータのROMに格納されたアンチ
スキッド制御開始判定ルーチンを示すフローチャートで
ある。
【図9】アンチスキッド制御が行われるときの車輪速度
と時間との関係を示すグラフである。
【図10】上記出力モード選択マップに基づいて選択さ
れたモードに従ってアンチスキッド制御を行った場合の
車輪速度および車輪加速度と時間との関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
24 第一加圧室 26 第二加圧室 40 左前輪 42 右後輪 44 フロントホイールシリンダ 46 リヤホイールシリンダ 52 右前輪 54 左後輪 56 フロントホイールシリンダ 58 リヤホイールシリンダ 90 ナット 92 大径ギヤ 94 駆動モータ 98 駆動ギヤ 104 ボールねじ 106 ピストン 180 アンチスキッド制御ユニット

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御状態が少なくとも減圧状態と増圧状
    態とに切り換わり、4つの車輪にそれぞれ設けられたブ
    レーキのホイールシリンダの圧力を一斉に制御する液圧
    制御装置と、 摩擦係数が左右で異なるまたぎ路を検出するまたぎ路検
    出手段と、 前記4つの車輪のスリップ状態が設定状態を超える順序
    の種類毎にそれら車輪のうちで制御の基準となる制御基
    準輪が定められた選択マップに従って制御基準輪を決定
    し、前記またぎ路検出手段によりまたぎ路が検出された
    場合に前記4つの車輪のうちスリップ状態が設定状態を
    超える順序が3番目である車輪を前記制御基準輪に決定
    する制御基準輪決定手段と、 その制御基準輪決定手段により決定された制御基準輪の
    スリップ状態の各々に対して予め定められている規則に
    従って前記液圧制御装置を制御することにより制御基準
    輪のスリップ率を適正範囲に制御する制御手段とを含む
    アンチスキッド装置において、 前記制御手段に、前記またぎ路検出手段によってまたぎ
    路が検出されるとともに、前記4つの車輪のうちの2輪
    のスリップ状態が適正状態を超える事態が設定時間以上
    継続した場合に、前記制御基準輪のスリップ状態の少な
    くとも一部に関して、前記液圧制御装置の制御状態を、
    前記予め定められている規則に従う場合より減圧側へ寄
    せるまたぎ路時制御状態変更手段を設けたことを特徴と
    するアンチスキッド装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8660769B2 (en) 2010-06-25 2014-02-25 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Vehicle motion control system
JP2017523937A (ja) * 2014-08-04 2017-08-24 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングRobert Bosch Gmbh 車両の動作のための方法及び装置

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