JP3726505B2 - 車両の制動力制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動時のアンチロックブレーキ制御と、非制動時の車両挙動制御との双方で制動力を制御する車両の制動力制御装置に関し、マスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段の異常を正確に検出するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用の制動制御装置としては、例えば特開平9−286261号公報に記載されたものがある。
【0003】
この従来例では、駆動輪にスリップが生じたときに、先ずアクセルペダルの踏込みに応じて開閉されるメインスロットルバルブと直列に配設された電動モータによって開閉駆動されるサブスロットルバルブのスロットル開度を小さくすることにより、エンジン出力を低下させ、このエンジン出力制御状態でも駆動輪スリップを抑制できないときには駆動輪に対して制動力を作用させて駆動輪スリップを抑制するようにした駆動力制御と、マスタシリンダから出力されるマスタシリンダ圧を制御するアンチロックブレーキ制御とで共通の制動用アクチュエータを使用して制動力制御を行うようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の制動力制御装置にあっては、アンチロックブレーキ制御で、マスタシリンダ圧検出手段でマスタシリンダ圧を検出し、検出されたマスタシリンダ圧に基づいて制動圧を制御する場合に、ファイルセーフ機能として、マスタシリンダ圧検出手段が正常であるか否かを検出し、マスタシリンダ圧検出手段が異常であるときに、アンチロックブレーキ制御を禁止する必要があり、このマスタシリンダ圧検出手段の異常を検出するために、非制動時における駆動力制御用の制動圧発生手段の制動圧をマスタシリンダ圧検出手段に供給することにより、このときに検出されたマスタシリンダ圧が、制動圧に応じた値となるか否かによって正常であるか異常であるかを判断するようにしている。
【0005】
この場合、制動圧発生手段が正常であることが前提であり、この制動圧発生手段が異常である場合には、マスタシリンダ圧検出手段の異常検出を行うことができなくなるため、たとえマスタシリンダ圧検出手段が正常であってアンチロックブレーキ制御が有効であっても安全を考えてアンチロックブレーキ制御そのものを禁止せざるを得ないという未解決の課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、マスタシリンダ圧検出手段の異常を検出するための制動圧発生手段が異常状態であってもマスタシリンダ圧検出手段の異常判断を正確に行うことができる車両の制動力制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る車両の制動力制御装置は、レーキペダルの踏込みに応動してマスタシリンダ圧を発生するマスタシリンダと、該マスタシリンダと並列に配設されて制動圧を発生する制動圧発生手段と、前記マスタシリンダ圧と前記制動圧とを選択して制動用アクチュエータに供給する制動圧選択バルブと、該制動圧選択バルブの出力ポート側の圧力を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、該マスタシリンダ圧検出手段で検出した圧力に基づいて前記制動用アクチュエータでホイールシリンダ圧を調整してアンチロックブレーキ制御を行うアンチロックブレーキ制御手段とを備えた車両の制動力制御装置において、前記制動圧発生手段で発生された制動圧に基づいて前記マスタシリンダ圧検出手段が異常であるか否かを判断する第1の異常検出手段と、前記車両に生じる減速度を検出する減速度検出手段と、前記ブレーキペダルを踏込んだ制動時に前記減速度検出手段の減速度に基づいて推定マスタシリンダ圧を算出するマスタシリンダ圧推定手段と、前記制動圧発生手段が異常となって前記第1の異常検出手段で異常判断を行えない場合に、前記マスタシリンダ圧推定手段で推定した推定マスタシリンダ圧と前記マスタシリンダ圧検出手段で検出したマスタシリンダ圧とを比較することにより、マスタシリンダ圧検出手段が異常であるか否かを判断する第2の異常検出手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】
この請求項1に係る発明においては、制動圧発生手段が正常であるときには、第1の異常検出手段で、制動圧発生手段で発生した制動圧をマスタシリンダ圧検出手段で検出することにより、その検出値からマスタシリンダ圧検出手段の異常を検出するが、制動圧発生手段に異常が検出されたときには、制動時の減速度からマスタシリンダ圧を推定し、この推定マスタシリンダ圧とマスタシリンダ圧検出手段で検出したマスタシリンダ圧とを比較することにより、マスタシリンダ圧検出手段の異常を検出する。
【0011】
さらに、請求項2に係る車両の制動力制御装置は、請求項1に係る発明において、前記第1の異常検出手段で前記制動圧発生手段が異常と判断し、且つ第2の異常検出手段でマスタシリンダ圧検出手段が異常であると判断したときに前記アンチロックブレーキ制御を禁止するようにしたことを特徴としている。
【0012】
この請求項2に係る発明においては、制動圧発生手段が異常と判断し、第2の異常検出手段でマスタシリンダ圧検出手段が異常であると判断したときに初めてアンチロックブレーキ制御の実行を禁止する。
【0013】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、第1の異常検出手段で制動圧発生手段で発生された制動圧に基づいてマスタシリンダ圧検出手段の異常を判断し、この第1の異常検出手段で異常判断を行えない場合即ち制動圧発生手段が異常であるときに、第2の異常検出手段でマスタシリンダ圧推定手段で推定した推定マスタシリンダ圧とマスタシリンダ圧検出手段で検出したマスタシリンダ圧とを比較することにより、マスタシリンダ圧検出手段が異常であることを検出するので、マスタシリンダ圧検出手段の異常を正確に検出することができるという効果が得られる。
【0015】
さらに、請求項2に係る発明によれば、制動圧発生手段が異常と判断し、且つ第2の異常検出手段でマスタシリンダ圧検出手段が異常であると判断したときに、アンチロックブレーキ制御を禁止するので、アンチロックブレーキ制御が有効となる範囲を広く設定することができるという効果が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を後輪駆動車に適用した場合の第1の実施形態を示す概略構成図であり、図中、1FL,1FRは従動輪としての前輪、1RL,1RRは駆動輪としての後輪であって、後輪1RL,1RRは、エンジン2の駆動力が自動変速機3、プロペラシャフト4、最終減速装置5及び車軸6を介して伝達されて回転駆動される。
【0017】
前輪1FL,1FR及び後輪1RL,1RRには、夫々制動力を発生するディスクブレーキ7FL,7FR及び7RL,7RRが設けられていると共に、これらディスクブレーキ7FL〜7RRの制動油圧が制動制御装置8によって制御される。
【0018】
ここで、制動制御装置8は、図2に示すように、ブレーキペダル9の踏込み力が電動モータで駆動される油圧ポンプを内蔵して所定圧に保持された油圧ブースタHBで倍力されて伝達されるマスタシリンダ10で発生される2系統のマスタシリンダ圧と電動モータ11aによって駆動されるプリチャージポンプ11で発生される制動圧とが制動圧選択バルブ12を介して前後の制動用アクチュエータ13F及び13Rに供給され、これら制動用アクチュエータ13F及び13Rで調整されたホイールシリンダ圧が各ディスクブレーキ7FL〜7RRのホイールシリンダWCFL〜WCRRに供給される。
【0019】
制動圧選択バルブ12は、円筒状のバルブボディ12a内の中央部に油圧ポンプ11に接続された入力ポートP1 を挟んで配設された摺動可能な一対のピストン部12b及び12cと、これらピストン部12b及び12cを中央側に付勢するリターンスプリング12d及び12eとを有する。
【0020】
ピストン部12b及び12cには、外周縁から中心部を通って外側端部に連通する連通路12fが穿設され、入力ポートP1 に制動圧が供給されていない状態で、マスタシリンダ10からマスタシリンダ圧が供給される入力ポートPF 及びPR が連通路12fに連通し、入力ポートP1 に制動圧が制動圧が供給されたときにリターンスプリング12d及び12eに抗して外方に摺動したときに入力ポートP1 と連通路12fとが遮断されると共に、連通路12fの外側端部がリターンスプリング12g及び12hで付勢された閉止弁部12i及び12jによって閉塞される。
【0021】
前輪側の制動用アクチュエータ13Fは、制動圧選択バルブ12の出力ポートPOFが切換バルブ14Fを介してインレットソレノイド15FL及び15FRの入力ポートに接続され、これらの出力ポートが各ホイールシリンダWCFL及びWCFRに接続されていると共に、インレットソレノイドバルブ15FL及び15FRとホイールシリンダWCFL及びWCFRとの中間点が夫々アウトレットソレノイドバルブ16FL及び16FRを介して電動モータで駆動されるピストンポンプ17のインレットバルブ18Fに接続され、このピストンポンプ17のアウトレットバルブ19Fがダンパー室20F及び絞り21Fを介して前記切換バルブ14Fとインレットソレノイドバルブ15FL及び15FRとの中間点に接続され、さらにアウトレットバルブ16FL及び16FRとインレットバルブ18Fとの間にリザーバ22Fが接続されて、このリザーバ22Fとインレットバルブ18Fとの中間点と切換バルブ14Fの入力ポートとの間に切換バルブ23Fが介挿されている。
【0022】
同様に、後輪側の制動用アクチュエータ13Rも前輪側の制動用アクチュエータ13Fと同様の構成を有し、前輪側の制動用アクチュエータ13Fとの対応部分には前輪側を表す符号Fを後輪側を表す符号Rに置換した符号を付して詳細説明はこれを省略する。
【0023】
また、エンジン2には、その出力を制御するエンジン出力制御装置25が設けられている。このエンジン出力制御装置25は、エンジン出力の制御方法として、スロットルバルブの開度を調整してエンジン回転数を制御する方法と、アイドルコントロールバルブの開度を調整してエンジン2のアイドル回転数を制御する方法とが考えられるが、本実施形態では、スロットルバルブの開度を調整する方法が採用されている。
【0024】
一方、車両には、前輪1FL,1FR及び後輪1RL,1RRの車輪速度を検出する車輪速度センサ31FL,31FR及び31RL,31RRが配設されていると共に、制動圧選択バルブ12の出力ポートPF にマスタシリンダ圧PMを検出するマスタシリンダ圧検出手段としてのマスタシリンダ圧センサ32が配設され、且つ制動圧を発生するプリジャージポンプ11の電動モータ11aの通電電流を検出する電流センサ33が配設され、さらにブレーキペダル9の踏込みに応動するブレーキランプスイッチ35が配設されている。
【0025】
そして、車輪速度センサ31FL〜31RR、マスタシリンダ圧センサ32、電流センサ33、及びブレーキランプスイッチ35の各出力信号が制動力制御用コントローラ40に入力され、この制動力制御用コントローラ40で各車輪速度センサ31FL〜31RRで検出した車輪速度VwFL〜VwRRに基づいて推定車体速度VC を算出すると共に、各車輪速度VwFL〜VwRRを微分した車輪加減速度VwFL′〜VwRR′を算出し、これらに基づいてアンチロックブレーキ制御処理を実行し、このアンチロックブレーキ制御処理を実行していないときに駆動輪のスリップを防止する駆動力制御処理を実行する。
【0026】
次に、上記第1の実施形態の動作を制動力制御用コントローラ40で実行する図3に示す制動力制御処理手順を伴って説明する。
図3に示す走行制御処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行され、電源投入時の初期化によってマスタシリンダ圧センサ31が正常であるか否かを表すセンサ状態フラグFSが“1”にセットされる。
【0027】
そして、先ず、ステップS1で、車輪速度センサ31FL〜31RR、マスタシリンダ圧センサ32、電流センサ33及びブレーキランプスイッチ35の各出力信号を読込み、次いでステップS2に移行して、マスタシリンダ圧センサ32の状態を表すセンサ状態フラグFSが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“0”にリセットされているときにはマスタシリンダ圧センサ32が異常状態であると判断してそのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、“1”にセットされているときにはマスタシリンダ圧センサ32が正常であると判断してステップS3に移行する。
【0028】
このステップS3では、後述する第1の異常検出処理におけるプリチャージポンプの自己診断処理結果が正常であるか否かを判定し、正常であるときにはステップS4に移行して、マスタシリンダ圧センサ32の異常を検出する第1の異常検出処理を実行してからステップS5に移行して、アンチロックブレーキ制御及び駆動力制御を行ってからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0029】
一方、ステップS3の判定結果が、プリチャージポンプ11が異常状態であるときには、ステップS6に移行して、駆動力制御処理の作動を禁止し、次いでステップS7に移行して、マスタシリンダ圧センサ32の異常を検出する第2の異常検出処理を実行してから前記ステップS5に移行する。
【0030】
第1の異常検処理は、図4に示すように、先ず、ステップS21で、ストップランプスイッチ35のスイッチ信号がオン状態であるか否かを判定し、これがオン状態であるときには制動状態であると判断して、前記ステップS5に移行して、アンチロックブレーキ制御処理を実行してからタイマ割込処理を終了し、オフ状態であるときにはステップS22に移行して、アンチロックブレーキ制御フラグASが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“1”にセットされているときには、アンチロックブレーキ制御中であると判断して前記ステップS5に移行し、“0”にリセットされているときはステップS23に移行する。
【0031】
このステップS23では、駆動力制御フラグTSが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“1”にセットされているときには前記ステップS5に移行して、駆動輪のホイールスピンを抑制する駆動力制御処理を実行してからタイマ割込処理を終了し、“0”にリセットされているときにはステップS24に移行する。
【0032】
このステップS24では、プリチャージポンプ11を駆動開始してからステップS25に移行して、マスタシリンダ圧センサ32で検出したマスタシリンダ圧PMを読込み、次いでステップS26に移行して、マスタシリンダ圧PMが予め設定された圧力正常下限値PL 及び圧力正常上限値PH の範囲内であるか否かを判定し、PL <PM<PH であるときにはマスタシリンダ圧センサ32が正常であるものと判断してステップS27に移行する。
【0033】
このステップS27では、センサ状態フラグFSを“1”にセットし、次いでステップS28に移行して電流センサ33で検出したモータ電流IM に基づいてプリチャージポンプ11が正常であるか否かの自己診断を行ってからステップS29に移行して、プリチャージポンプ11の駆動を停止させてから前記ステップS5に移行する。
【0034】
一方、ステップS26の判定結果が、PM≦PL 又はPM≧PH であるときには、マスタシリンダ圧センサ32が異常であると判断してステップS30に移行して、センサ状態フラグFSを“0”にリセットし、次いでステップS31に移行して、プリチャージポンプ11を駆動停止させてからステップS32に移行してマスタシリンダ圧センサ32が異常であることを表す警告灯41を点灯してからステップS5に移行することなくタイマ割込処理を終了して、所定のメインプログラムに復帰する。
【0035】
また、第2の異常検出処理は、図5に示すように、先ず、ステップS41でストップランプスイッチ35がオン状態であるか否かを判定し、これがオフ状態であるときには前記ステップS5に移行し、オン状態であるときにはステップS42に移行して、アンチロックブレーキ制御フラグASが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“1”にセットされているときには前ステップS5に移行し、“0”にリセットされているときにはステップS43に移行する。
【0036】
このステップS43では、非駆動輪となる前輪1FL,1FRの何れか一方例えば車輪速VwFLの現在値VwFL(n) と前回値VwFL(n-1) とから下記(1)式に従って減速度XG を演算する。
【0037】
XG =(VwFL(n) −VwFL(n-1) )/ΔT …………(1)
ここで、ΔTはタイマ割込処理における割込周期である。
次いで、ステップS44に移行して、車体重量Wに減速度XG を乗算して制動力F(=W×XG )を算出し、次いでステップS45に移行して、制動力Fをもとに予め記憶された図6に示す推定マスタシリンダ圧算出マップを参照して推定マスタシリンダ圧PM* を算出する。
【0038】
ここで、推定マスタシリンダ圧算出マップは、図6に示すように、制動力Fが“0”から増加するとこれに比例して推定マスタシリンダ圧PM* が比較的緩やかな勾配で増加し、所定制動力FS 以上となると後輪側に配設されるプロポーショナルパルブの特性を考慮して制動力の増加に応じて比較的急な勾配で増加するように折れ線特性に設定されている。
【0039】
次いで、ステップS46に移行して、マスタシリンダ圧センサ32で検出したマスタシリンダ圧PMを読込み、次いでステップS47に移行して、マスタシリンダ圧PMが推定マスタシリンダ圧PM* から下限許容値αを減算した値(PM* −α)と推定マスタシリンダ圧PM* に上限許容値βを加算した値(PM* +β)の範囲内であるか否かを判定し、PM* −α<PM<PM* −βであるときにはマスタシリンダ圧センサ32が正常であると判断してステップS48に移行し、センサ状態フラグFSを“1”にセットしてから前記ステップS5に移行し、PM≦PM* −α又はPM≧PM* −βであるときにはマスタシリンダ圧センサ32が異常であると判断してステップS49に移行して、センサ状態フラグFSを“0”にリセットしてからステップS50に移行して警告灯41を点灯してからステップS5に移行することなくタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0040】
さらに、図3におけるステップS5で実行するアンチロックブレーキ制御処理は、例えば特開平10−114264号公報に記載されているように、マスタシリンタ圧センサ32のマスタシリンダ圧PMと各車輪速センサ31FL〜31RRの車輪速VwFL〜VwRRとを読込み、車輪速VwFL〜VwRRに基づいて車体速度勾配XVK及び推定車体速度VX を算出すると共に、各ホイールシリンダWCFL〜WCRRのホイールシリンダ圧推定値を算出し、さらに各ホイールシリンダ圧の目標増減圧量ΔPを算出し、この目標増減圧量に基づいて制動制御装置8のインレットソレノイドバルブ15FL〜15RRとアウトレットソレノイドバルブ16FL〜16RRとを制御することにより、車輪速VwFL〜VwRRが目標車輪速に一致するように制御する。
【0041】
また、駆動力制御処理は、例えば特開平9−286261号公報に記載されているように、ブレーキ制御用スリップ量及びスロットル制御用スリップ量を算出し、ブレーキ制御用スリップ量が所定閾値以上であるときにブレーキ制御モードを設定して制動力制御装置8における切換バルブ14F,14R及び23F,23Rをオフセット位置に切換えると共に、プリチャージポンプ11を駆動して制動圧選択バルブ12のピストン部12b,12cを外方に摺動させてリターンスプリング12d,12eが介挿された圧力室内の圧力油を押し出すことにより制動力制御を行い、スロットル制御用スリップ量が所定閾値以上であるときにエンジン出力制御装置25に対して車輪スリップを抑制するスロットル開度指令値を出力して、駆動輪となる後輪1RL及び1RRのホイールスピンを抑制する。
【0042】
ここで、図3のステップS5の処理におけるアンチロックブレーキ制御処理がアンチロックブレーキ処理手段に対応し、図4の処理が第1の異常検出手段に対応し、図5の処理が第2の異常検出手段に対応し、図5のステップS43の処理が減速度検出手段に対応している。
【0043】
したがって、プリチャージポンプ11が正常状態であるときには、図4の第1の異常検出処理を実行することにより、非制動状態で且つ駆動力制御が非作動状態であるときに、プリチャージポンプ11の吐出圧を制動圧選択バルブ12の入力ポートP1 に供給することにより、ピストン部12b,12cをリターンスプリング12d,12eに抗して外方に摺動させることにより、リターンスプリング12d,12eが収納されている圧力室内の圧力油が押し出されてマスタシリンダ圧センサ32に供給される。
【0044】
そして、このマスタシリンダ圧センサ32で検出されたマスタシリンダ圧PMが予め設定された許容範囲内であるときには、マスタシリンダ圧センサ32が正常であるものと判断して、センサ状態フラグFSを“1”にセットしてからアンチロックブレーキ制御又は駆動力制御を実行する。
【0045】
一方、マスタシリンダ圧センサ32で検出されたマスタシリンダ圧PMが許容範囲外でるあときには、マスタシリンダ圧センサ32が異常状態であるものと判断して、センサ状態フラグFSを“0”にリセットしてから警告灯41を点灯することになり、アンチロックブレーキ制御処理及び駆動力制御処理が禁止される。
【0046】
また、プリチャージポンプ11が異常であるときには、駆動力制御が禁止されると共に、図5の第2の異常検出処理が実行され、ブレーキペダル9を踏込むことにより、ブレーキランプスイッチ35がオン状態となって、算出される目標増減圧量が増圧状態から保持状態を経て減圧状態に移行してアンチロックブレーキ制御処理が開始される前の制動初期において、そのときの減速度XG を算出し、これに基づいて制動力Fを算出し、この制動力Fをもとに図6の推定マスタシリンダ圧算出マップを参照して推定マスタシリンダ圧PM* を算出し、この推定マスタシリンダ圧PM* から下限許容値αを減算した下限値と推定マスタシリンダ圧PM* から上下許容値βを加算した上限値の範囲内にマスタシリンダ圧センサ32で検出したマスタシリンダ圧PMが収まるときにはマスタシリンダ圧センサ32が正常であると判断してアンチロックブレーキ制御処理を実行する。
【0047】
一方、マスタシリンダ圧センサ32で検出したマスタシリンダ圧PMが、PM* −α以下であるか又はPM* +β以上であるときには、マスタシリンダ圧センサ32が異常であるものと判断してアンチロックブレーキ制御処理の実行を禁止する。
【0048】
このように、上記実施形態によると、プリチャージポンプ11が異常状態となって第1の異常検出処理ではマスタシリンダ圧センサ32の異常検出を行えないときに、第2の異常検出処理によって制動初期に減速度に基づいて推定マスタシリンダ圧PM* を算出し、この推定マスタシリンダ圧PM* に基づいて異常判定用許容範囲を設定し、この異常判定用許容範囲内にマスタシリンダ圧センサ32で検出したマスタシリンダ圧PMが収まらないときに異常と判断するようにしているので、第1の異常検出処理が行えない状態でもマスタシリンダ圧センサ32の異常判断を正確に行うことができ、第1の異常検出処理が行えないときにアンチロックブレーキ制御処理を禁止する場合に比較して、アンチロックブレーキ制御処理を有効に作動させることができる。
【0049】
なお、上記実施形態においては、減速度を(1)式に従って算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車両に生じる前後方向の加速度を検出する前後方向加速度センサを設け、この加速度センサの検出値を使用するようにしてもよい。このように、前後方向加速度センサを設ける場合には、車輪速から減速度を算出する上記実施形態のようにアンチロックブレーキ制御による制動圧変化に影響されることがないので、アンチロックブレーキ制御中であってもマスタシリンダ圧センサ32の異常を検出することができる。
【0050】
また、上記実施形態においては、アンチロックブレーキ制御処理と駆動力制御処理とを行う場合について説明したが、駆動制御処理に代えて又は加えて制動力を調整することによりヨーモーメントを制動するヨーモーメント制御処理を行うようにしてもよい。
【0051】
さらに、駆動力制御処理としては、エンジン出力制御と制動力制御との双方を行う場合に限らず、制動力制御のみを行うようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、アンチロックブレーキ御処理においてディスクブレーキ7FL〜7RRのホイールシリンダ圧を推定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ホイールシリンダ圧を直接圧力センサで検出するようにしてもよい。
【0052】
なおさらに、上記実施形態においては、制動力発生装置としてプリチャージポンプ11を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、油圧シリンダのようにストローク変化によって圧力を発生させるようにしてせよい。
【0053】
また、上記実施形態においては、後輪駆動車に本発明を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前輪駆動車又は四輪駆動車にも本発明を適用し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】制動制御装置の具体的構成を示す構成図である。
【図3】制動力制御コントローラで実行する制動力制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】第1の異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】第2の異常検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】推定マスタシリンダ圧算出マップを示す特性線図である。
【符号の説明】
1FL,1FR 前輪
1RL,1RR 後輪(駆動輪)
2 エンジン
3 自動変速機
7FL〜7RR ディスクブレーキ
8 制動制御装置
9 ブレーキペダル
10 マスタシリンダ
11 プリチャージポンプ
12 制動圧選択バルブ
13F,13R 制動用アクチュエータ
31F〜31RR 車輪速センサ
32 マスタシリンダ圧センサ
40 制動力制御用コントローラ
41 警告灯
Claims (2)
- ブレーキペダルの踏込みに応動してマスタシリンダ圧を発生するマスタシリンダと、該マスタシリンダと並列に配設されて制動圧を発生する制動圧発生手段と、前記マスタシリンダ圧と前記制動圧とを選択して制動用アクチュエータに供給する制動圧選択バルブと、該制動圧選択バルブの出力ポート側の圧力を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、該マスタシリンダ圧検出手段で検出した圧力に基づいて前記制動用アクチュエータでホイールシリンダ圧を調整してアンチロックブレーキ制御を行うアンチロックブレーキ制御手段とを備えた車両の制動力制御装置において、
前記制動圧発生手段で発生された制動圧に基づいて前記マスタシリンダ圧検出手段が異常であるか否かを判断する第1の異常検出手段と、前記車両に生じる減速度を検出する減速度検出手段と、前記ブレーキペダルを踏込んだ制動時に前記減速度検出手段の減速度に基づいて推定マスタシリンダ圧を算出するマスタシリンダ圧推定手段と、前記制動圧発生手段が異常となって前記第1の異常検出手段で異常判断を行えない場合に、前記マスタシリンダ圧推定手段で推定した推定マスタシリンダ圧と前記マスタシリンダ圧検出手段で検出したマスタシリンダ圧とを比較することにより、マスタシリンダ圧検出手段が異常であるか否かを判断する第2の異常検出手段とを備えたことを特徴とする車両の制動力制御装置。 - 前記制動圧発生手段が異常と判断し、且つ第2の異常検出手段でマスタシリンダ圧検出手段が異常であると判断したときに前記アンチロックブレーキ制御を禁止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両の制動力制御装置。
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