JPH05269482A - 生物濾過法による排水の処理方法及び汚水浄化槽 - Google Patents

生物濾過法による排水の処理方法及び汚水浄化槽

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JPH05269482A
JPH05269482A JP7177592A JP7177592A JPH05269482A JP H05269482 A JPH05269482 A JP H05269482A JP 7177592 A JP7177592 A JP 7177592A JP 7177592 A JP7177592 A JP 7177592A JP H05269482 A JPH05269482 A JP H05269482A
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biological filtration
water
zone
tank
air
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JP7177592A
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Nobuyoshi Katagai
信義 片貝
Katsuhide Fujita
克英 藤田
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Hitachi Chemical Co Ltd
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  • Treatment Of Biological Wastes In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 BODやSSの除去に優れた生物濾過法によ
る排水の処理方法及びその汚水浄化槽を提供する。 【構成】 被処理水を浸漬状態にある担体床に下向流で
通過させ、担体床下部より散気を行って気泡を上昇さ
せ、この過程で好気的生物分解と濾過作用を伴って浄化
を行う生物濾過法による排水の処理方法において、粒状
物を担体2とする生物濾過層となし、生物濾過層を上下
二つの区画(Rゾーン及びFゾーン)に分け、両区画の
境界部及び下区画の下側に空気を吐出する散気部材3及
び5を設け、通常の処理工程は被処理水9を上区画の上
側から流入させ、散気部材3から散気を行って、上区画
で主に有機物の分解と粒子の除去を行い、下区画で主に
粒子の除去を行って、下区画の下側から処理水10を排
出し、洗浄工程は散気部材5又は散気部材3からも散気
を行い、洗浄水11を下区画の下側から送入させ、上区
画の上側から洗浄排水12を排出するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は家庭等から排出される合
併排水を浄化する生物濾過法を用いた排水の処理方法及
び汚水浄化槽に関する。
【0002】
【従来の技術】浮上性担体を浸漬し、これに微生物を付
着させ、有機物の生物的分解と物理的吸着や濾過作用を
伴って排水の処理を行う浮上性担体を利用の生物濾過法
は、沈降性担体利用の生物濾過法に比較して担体が軽く
流動し易いため、生物濾過槽の担体充填層(生物濾過
層)の洗浄が容易で、かつそれに要する所要動力も少な
いことから注目され、多くの処理方式の提案がなされて
いる。浮上性担体を利用した生物濾過法による排水の処
理方法は、特公昭57−46884号公報、特公昭63
−1116号公報、特公昭57−59000号公報等そ
の他多くに見られ、それらに用いる浮上性担体には、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹
脂ペレット又はそれらの発泡成形物、或いはパーライ
ト、シラスバルーン等の無機粒状物などを挙げている。
従来の処理方法を見ると、前述の浮上性粒状担体を生物
濾過層に充填し、被処理水を生物濾過層の上部から入
れ、下向流で通過させ、生物濾過層の下部から空気を送
入して、両者を向流接触させつつ、生物濾過層に生息す
る好気的微生物によって有機物を分解する方法、或いは
被処理水と空気とを生物濾過層の下部から送入して、両
者を並流接触させつつ、前記同様に有機物を分解する方
法が主に採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の浮上性担体を用
いた生物濾過法による排水の処理方法は、該生物濾過層
の下部から送入空気泡によって担体が流動すること、ま
たある程度担体を密に充填しても、空気泡の通り道付近
の担体は同様に流動することなどから、捕捉した粒子や
増殖した微生物が剥離して、これらが該生物濾過層を通
過する流出水にリークするという問題点があった。即ち
生物濾過層で充分な粒子(これらの粒子をSSと略す)
の除去が出来ず、またSSに起因するBODも高まって
高度な処理水が得られなかった。SSの流出を防ぐため
に生物濾過層の上下に抑止体を設け、該生物濾過層を抑
えつけて処理を行う方法もあるが、この方法は該生物濾
過層の洗浄を行う際に濾過層を膨張させて緩めることが
出来ず、洗浄が良好に行えないこと、抑止体を機械的に
駆動させてもよいが、その設備にかかる経済的損失が大
きいことなどの問題点がある。更に別法として生物濾過
層の流出水を再度該生物濾過層へ戻す循環方法によっ
て、SSを除去する方法もあるが、循環によって生物濾
過層の濾過速度が高まるため、その効果は小さい。一
方、浮上性担体について見ると、従来例示の合成樹脂の
発泡成形物はその気泡が独立気泡であったり、また耐久
性に劣っているものもある。無機系の発泡粒状物(天然
物も含む)は特に機械的強度が弱いため、耐久性に問題
がある。また独立気泡体は微生物の付着がその外表面だ
けであることから、微生物保持量が少なく有機物分解能
が小さい、更に洗浄後の能力回復が遅いという問題があ
る。以上のように従来の方法は、BODやSSを充分に
除去出来ず、高度な処理水が得られなかった。本発明
は、BODやSSの除去に優れた生物濾過法による排水
の処理方法及び汚水浄化槽を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、被処理水を浸
漬状態にある担体床に下向流で通過させ、担体床下部よ
り散気を行って気泡を上昇させ、この過程で好気的生物
分解と濾過作用を伴って浄化を行う生物濾過法による排
水の処理方法において、ポリオレフィン系樹脂の連通気
泡体の粒状物を担体とする生物濾過層となし、該生物濾
過層を上下二つの区画に分け、両区画の境界部及び下区
画の下側に空気を吐出する散気部材を設け、通常の処理
工程は被処理水を上区画の上側から流入させ、両区画の
境界部の散気部材から散気を行って、上区画で主に有機
物の分解と粒子の除去を行い、下区画で主に粒子の除去
を行って、下区画の下側から処理水を排出し、洗浄工程
は下区画の下側の散気部材だけの散気、又はそれに加え
て両区画境界部の散気部材からも散気を行い、また洗浄
水を下区画の下側から送入させ、上区画の上側から洗浄
排水を排出するようにした生物濾過法による排水の処理
方法、並びに槽内を仕切壁で仕切り、複数の各種の処理
槽を設け、これらの処理槽に被処理水を順次移流して浄
化を行う汚水浄化槽において、該汚水浄化槽における嫌
気処理槽第2室の後段にポリオレフィン系樹脂の連通気
泡体の粒状物を収納した生物濾過層を有する生物濾過槽
を配設し、該生物濾過層を上下二つの区画に分け、両区
画の境界部及び下区画の下側に空気を吐出する散気部材
を設け、更に生物濾過層の下部には流入水を移送するた
めの移流管を配し、また、上部には洗浄水を排出するた
めの洗浄排出管を設け、生物濾過槽の後段には該生物濾
過槽の前記移流管と連通し、かつ該生物濾過槽を洗浄す
る洗浄ポンプを収納した処理水槽を備えた汚水浄化槽に
関する。
【0005】
【実施例】先ず請求項1の発明について説明する。本発
明で用いるポリオレフィン系樹脂の連通気泡体は、これ
まで例示されている浮上性のポリオレフィン系樹脂やポ
リスチレン等の独立気泡体と異なる。ポリオレフィン系
樹脂の連通気泡体は、概ね30〜1000μmの連通細
孔を有し、この細孔には液中の有機物や溶存酸素の拡
散、代謝物質の拡散が容易であるため、好気性微生物の
好適な住家を提供している。更に細孔容積が大きいた
め、微生物の増殖にも問題なく、多量の微生物を保持出
来、有機物即ちBODの分解能を高めることが出来る。
一方、処理工程において、ポリオレフィン系樹脂の連通
気泡体は、これを切断や打ち抜きによって粒状物とし、
充填して用いるが、この粒状物の担体同士の隙間に捕捉
された粒子又は微生物の凝集粒子は、ポリオレフィン表
面との結合性が弱いため、洗浄工程の際の剥離が容易で
あり、極めて洗浄し易い特長を持っている。
【0006】ポリオレフィン系樹脂には、ポリエチレン
やポリプロピレンがあり、これらの発泡成形物(独立気
泡体)を機械的加工によって連通気泡体に加工できる。
ポリエチレンは真比重が約0.94(見掛け比重は0.
045)、ポリプロピレンは真比重が約0.9(見掛け
比重は0.04)であるが、これに微生物が生息を始め
ると徐々に比重が1に近づき、中には微小ながら1を上
回って沈降性を示すようになる。しかし、比重はそれ以
上に大きくならず、少量の空気や水の流速で容易に流動
し易い状態を保持している。従ってポリオレフィン系樹
脂の連通気泡体は、生物濾過槽に用いる担体として望ま
しい特性を有していることがわかった。
【0007】このポリオレフィン系樹脂の連通気泡体の
粒状物を本発明の生物濾過の処理法に適用するものであ
り、その生物濾過法による排水の処理方法を本発明の実
施例を示す図1により説明する。図1において、(a)は
生物濾過槽の通常の処理状態を示す図であり、(b)は生
物濾過槽の洗浄状態を示す図である。なお、図1は角形
槽について示しているが丸形槽であってもよい。(a)の
通常の処理方法について述べる。生物濾過槽1には、ポ
リオレフィン系樹脂の連通気泡体の粒状担体2を生物濾
過層として充填してあり、その生物濾過層を上下の2区
画に分け、上区画Rゾーンと下区画Fゾーンがあり、両
区画の境界部に散気部材3、また下区画の下側に粒状担
体2を通さない多口部材4、更にその下側に散気部材5
を設けてある。多口部材4の下側には更に通過水を移送
する移流管6がある。上区画の上側には、後述する洗浄
の際の洗浄排水排出管8が粒状担体2を通さない多口部
材7を介して通常の処理状態の水位より上側に設けてあ
る。多口部材7は洗浄排水排出管8と連結させなくても
よい。
【0008】以上のような構成で排水の処理方法は次の
ようにして行われる。被処理水9は生物濾過層の上区画
Rゾーンに入る。Rゾーンの粒状担体は散気部材3から
の空気泡によって流動する程度に充填してあり、散気に
よって溶存酸素がRゾーンの全域に拡散されることが望
ましい。Rゾーンに入った被処理水は粒状担体2に生息
した好気性微生物によって処理され、有機物即ちBOD
が分解される。また、粒状担体間にはSSを捕捉除去さ
れる。しかし、Rゾーンは前述したように空気泡によっ
てゆっくりと流動しているため、SSの捕捉が完全では
ない。SSを含んだ通過水は、Rゾーンを下向し、下区
画のFゾーンに達する。Fゾーンの粒状担体は、後述す
る洗浄時にだけ散気部材5から散気される空気泡や移流
管6から送入される洗浄水によって流動する程度に充填
することが必要である。
【0009】Fゾーンに達した通過水は、粒状担体が濾
過層として形成されているため、含まれるSSは粒状担
体間に捕捉除去される。Rゾーンに対してFゾーンは静
的状態にあることから、SSの除去効果は極めて高い。
またRゾーンから溶存酸素も持ち越されるため、好気性
微生物も生息し、Rゾーンで取り切れなかった残留BO
Dがある場合は、このFゾーンでも分解が出来る。この
ように被処理水9は上区画のRゾーンで主にBODが除
去され、下区画のFゾーンで主にSSが除去され、極め
て高度に浄化されて、移流管6から処理水10として排
出される。生物濾過槽1は処理を続けていくと、生物濾
過槽で捕捉したSSによって粒状担体間が徐々に詰まっ
て来るようになる。この傾向は下区画のFゾーンで著し
い。そのため、生物濾過槽1は洗浄が必要である。
【0010】そこで生物濾過槽1の洗浄方法を図1の
(b)を用いて説明する。通常の処理から洗浄に移る場合
は、上区画Rゾーンと下区画Fゾーンの境界部に散気部
材3の弁を閉じ、散気部材3からの散気を停止する。す
ると下区画Fゾーンの下側にある散気部材5から空気の
吐出が始まる。これによってFゾーンの粒状担体は流動
し、粒状担体間のSSは遊離するようになる。このと
き、Fゾーンの下側にある処理水の移流管6の処理水排
出管路側の弁を閉じ、洗浄水11を移流管6を介してF
ゾーンの下側へ送入する。すると洗浄水11はFゾーン
を上昇し、遊離したSSを伴って上区画のRゾーンを経
て更に上昇し、通常の設定水位より上側にある洗浄排水
排出管8より洗浄排水12として排水される。なおこの
とき、粒状担体2が流出しないように多口部材7を設け
る。この洗浄操作によって生物濾過槽1の詰まりを解消
することが出来る。
【0011】洗浄の終了は、洗浄水11の送入を停止す
ることで完了し、移流管6の処理水排出管路側の弁を開
けると、生物濾過槽1の水位は粒状担体2を伴って下降
し、通常の設定水位に戻る。またこのとき、Rゾーンと
Fゾーンとの境界部にある散気部材3の弁を開ければ、
Fゾーンの下側の散気部材5の散気は停止し、散気部材
3だけから空気が散気されて、通常の処理へ戻る。以上
の洗浄においても、生物濾過層がポリオレフィン系樹脂
の連通気泡体の粒状担体であるため、極めて少ない空気
量と極めて小さい洗浄水の通過速度でSSを洗い出すこ
とが出来、従って所要動力も小さくて済み、経済的であ
る。
【0012】次に請求項2の発明について述べる。ポリ
オレフィン系樹脂の連通気泡体の粒状物を生物濾過層と
して適用する場合、上区画のRゾーンと下区画のFゾー
ンとの境界付近の粒状担体2が洗浄操作によって上下へ
移動するため、各ゾーンの担体量が所定の量と変わって
くる場合がある。そこで各ゾーンの粒状担体の充填量を
一定にして安定化させることが望ましい。その方法とし
て、上区画Rゾーンと下区画Fゾーンの境界部にある散
気部材より下側に、流入水は通すが粒状担体は通さない
多口部材を設ける方法で達成できる。また通常の処理状
態において、粒状担体に微生物が付着してくると比重が
微小ながら高まり、沈降性を示すようになる。このよう
な状態でも前記したゾーン境界部に多口部材を設けれ
ば、各ゾーンの安定した担体の充填量を確保出来る。
【0013】但し、下区画Fゾーンでは担体が沈降性を
持つようになると、Fゾーンから粒状担体が流出するこ
とや、生物濾過層の緩みを生じて濾過性能が低下する場
合がある。そこでこれらを防ぐために、下区画Fゾーン
の下側に、流入水は通すが粒状担体は通さない多口部材
を設ける方法で達成できる。かつこの多口部材は洗浄時
に、下区画Fゾーンへ空気を吐出する散気部材より上側
に設けることが望ましい。
【0014】また生物濾過層の洗浄時には、下区画Fゾ
ーンの下側から送入する洗浄水によって水位が上がり、
上区画Rゾーンの上側に設けた洗浄排水排出管より洗浄
排水として排出される。このとき、Rゾーンの粒状担体
も流動するため、洗浄排水と一緒に流出する場合があ
る。そこでこれを防ぐために、上区画にある設定水位よ
り上側に流入水、洗浄排水は通すが、粒状担体は通さな
い多口部材を設ける。図2を用いて更に説明する。図2
は本発明の実施例になる排水の処理方法を示す断面図
で、(a)は生物濾過槽の通常の処理状態、(b)は生物濾
過槽の洗浄状態を示す。図2(a)において、生物濾過槽
1には粒状担体2を充填した生物濾過層があり、基本的
な構成は図1と全く同じであるので、ここでは請求項2
の発明の必要な部分だけを述べる。
【0015】上区画Rゾーンと下区画のFゾーンとの境
界部にある散気部材3の下側に多口部材13を設けてあ
り、RゾーンとFゾーンの粒状担体2が相対するゾーン
へ移動するのを防いでいる。これによって各ゾーンの粒
状担体2の充填量を一定に出来、処理性能を安定化出来
る。下区画Fゾーンの下側でかつ散気部材5より上側に
多口部材14を設けてあり、Fゾーンの粒状担体2の流
出を防いでいる。また特にFゾーンの粒状担体はその充
填量に注意を要する。FゾーンはSS除去を主目的にし
ており、SSの捕捉で粒状担体間が詰まることから、S
Sの剥離(遊離)追い出しが必要である。このSSを剥
離するためには、空気泡や水流によって粒状担体層を砕
いて自由にする必要があり、そのための余分な容積即ち
膨張容積を設けている。図2で、下区画FゾーンのSが
それを示している。粒状担体2に微生物が付着していな
い初期には、Fゾーンの生物濾過層は浮上層をなしてお
り、膨張容積SはFゾーンの下側に形成されている(図
示しない)。
【0016】生物濾過槽の洗浄時には、図2(b)におけ
る洗浄水11の送入で槽内水位は上昇を始め、洗浄排水
排出管8より洗浄排水12として排出される。このと
き、多口部材7´によって上区画Rゾーンの粒状担体2
の流出を防止出来る。多口部材7´は槽内水平断面の全
体にわたるように設けているが、これに限定されるもの
ではなく、図1のように排出管8に連結した筒状の多口
部材7であってもよい。更に槽内壁全周又は一部分に堰
を設けて粒状担体の流出を防ぐ方法であってもよい(図
示しない)。
【0017】請求項3の発明について述べる。ポリオレ
フィン系樹脂の連通気泡体の粒状担体は、真比重が1よ
り小さいため運転開始後の初期に静的条件下では浮上す
る。この間の上区画Rゾーン、下区画のFゾーンの粒状
担体2は、各ゾーンの上部分が下部分より密になってい
る。これによってRゾーンでは、散気部材3からの空気
泡の吐出を行っても槽壁付近の担体は流動し難い点があ
る。またFゾーンでは浮上層となり、膨張層の容積Sは
浮上層の下側に形成され、洗浄時にこの浮上層を流動さ
せてSSの剥離を充分に行うためには、定常状態に達し
た時期の空気量より、多い目の空気を散気部材5より吐
出することが必要である。従って運転開始後、より早い
時期から性能を発揮させるためには、あらかじめ粒状担
体に微生物を付着させておけばよい。大きな水槽に粒状
担体を多量に入れて曝気を継続する。これに人工排水又
は実排水を加えて馴養すれば、数週間で微生物が多量に
付着増殖する。これによって粒状担体は沈降性を持つよ
うになる。
【0018】微生物が付着した前記担体を生物濾過槽に
収納すれば、直ちに処理性能が発揮される。しかし、微
生物付着担体は輸送してから現地で使用される場合が多
い。このようなときは、微生物付着担体の水を切り、自
然状態で乾燥して軽くすると扱い易い。微生物は担体の
細孔内に存在しているが、自然状態で乾燥した場合、胞
子を形成して生命の保存が容易である。この微生物付着
担体を生物濾過槽に収納して運転を開始すれば、担体細
孔の微生物は直ちに活性を示すようになると同時に沈降
性も有する。従って、本発明のようにあらかじめ微生物
を付着させた粒状担体を用いれば、早期に生物濾過槽の
性能を発揮させることが出来る。
【0019】請求項4の発明について述べる。ポリオレ
フィン系樹脂の連通気泡体は比重が1より小さい。前記
請求項3の発明で述べたように、運転開始後早い時期か
ら性能を発揮させるためにはその比重が1より微小なが
ら大きい方がより望ましい。その方法として、前記連通
気泡体に比重調整のためのエマルジョンペイントを含浸
し、乾燥することによって容易に得ることが出来る。エ
マルジョンペイントに水溶性塗料がある。水溶性塗料の
多くはアクリル樹脂、顔料を水に乳化させたものであ
り、比重が大きい。この水溶性塗料を連通気泡体に含浸
させ乾燥すると、それらの成分が付着して残留し、連通
気泡体は比重が大きくなる。しかし、水溶性塗料の成分
濃度が高いと、連通気泡体の細孔を埋めてしまったり、
連通性が低下したりすることから、水で適度な濃度に希
釈することが望ましい。市販の水溶性塗料では概ね重量
で塗料を2〜50%の濃度に希釈調整するとよい。この
濃度より高いと連通性が低下してしまう。
【0020】連通気泡体は通常シート状であり、このも
のを水溶性塗料を入れた平底容器に入れ、ローラで抑え
つけながら脱泡すれば容易に細孔へ含浸する。これを取
り出し、連通気泡体の軟化点以下で乾燥すれば、塗料成
分が連通気泡体に残留付着する。このものを大量に生産
するための機械化は容易であり、それらの生産方法は何
れの方法であってもよい。比重調整した連通気泡体のシ
ートは、切断や打ち抜き等によって粒状に加工すること
が出来る。なお、水溶性エマルジョンには、更に炭酸カ
ルシウム、硫酸バリウムその他無機系の比重の大きい粉
粒体を添加してもよい。
【0021】請求項5の発明は請求項1の生物濾過法を
汚水浄化槽に適用したものである。図3はその汚水浄化
槽の断面図で、汚水浄化槽15は仕切壁16、17、1
8、19で仕切られ、嫌気処理槽(第1室)20、嫌気
処理槽(第2室)21、生物濾過槽1、処理水槽22、
消毒槽23で構成されている。嫌気処理槽(第1室)2
0、嫌気処理槽(第2室)21には接触材24、25が
収納され、粗大固形物の除去と嫌気性微生物による有機
物の分解が行われる。生物濾過槽1は図1で述べた構成
を具備しており、ポリオレフィン系樹脂の連通気泡体の
粒状担体2が収納され、上区画Rゾーンと下区画Fゾー
ンとに機能分画されている。RゾーンとFゾーンの主な
作用は請求項1の発明と同じであるので省略する。散気
部材3は通常の処理状態で空気が送入され、散気部材5
は洗浄時だけ空気が送入される。処理水槽22には、生
物濾過槽1と連接する移流管6を介し、生物濾過槽1を
洗浄するための洗浄ポンプ26を収納している。この処
理水槽22は処理水を洗浄水として確保するために設け
ている。消毒槽23は処理水10を滅菌して放流するた
めに設けている。27は嫌気処理槽(第2室)21から
生物濾過槽1へ嫌気処理水9´を移送するエアーリフト
ポンプである。
【0022】ここで汚水浄化槽15の処理工程と作用に
ついて説明する。被処理水9は流入口から供給され、嫌
気処理槽(第1室)20に入り、粗大固形物が接触材2
4で除去されると同時に嫌気的分解も受け、移流管を通
り嫌気処理槽(第2室)21に移流する。ここでも接触
材25に付着した嫌気性微生物により嫌気的分解を受け
る。次に嫌気処理槽(第2室)21の底部からエアーリ
フトポンプ27により生物濾過槽1へ嫌気処理水9´と
して供給される。なお、嫌気処理槽20、21は接触材
24、25より上側で水位が変動し、かつその変動範囲
の容量は被処理水9の流量変動をピーク比3程度で吸収
できる流量調整機能を持たせている(図示しない)。生
物濾過槽1では上区画Rゾーンにおいて、散気部材3よ
り送入される空気によって粒状担体2に付着している好
気性微生物の作用により有機物が分解を受ける。また含
まれる粒子や増殖した微生物の凝集粒子(これらを総称
してSSと略す)も一部捕捉される。しかし、空気泡の
上昇によって粒状担体2は流動するため、SSの捕捉に
よる除去は充分ではない。
【0023】SSを微小ながら含んだ通過水は下区画の
Fゾーンを下向する。Fゾーンでは粒状担体2の層は静
止状態であるため、SSは十分に捕捉除去される。この
工程迄に被処理水9は溶解性BODが十分に分解され、
またSSも十分に除去されるため、透視度のよい高度な
処理水となる。該処理水は移流管6を通り、処理水槽2
2に入り、上部より越流して消毒槽23へ至り、処理水
10として系外に排出それる。
【0024】通常の処理が継続されると、生物濾過槽1
は生物濾過層特に下区画FゾーンでのSSの捕捉によっ
て徐々に濾過抵抗が増すため、洗浄が必要となる。この
洗浄の指令は生物濾過槽1の水位が所定水位まで上昇し
たら、又は又はタイマー設定で所要時間に達したら、そ
の信号によって洗浄を行うことが出来る。なお、この場
合、洗浄操作は嫌気処理槽20、21の水位が低水位の
とき行うことが望ましく、通常、被処理水9の流入がな
い夜間に設定することが良い。これは生物濾過槽1へ嫌
気処理水9´の流入がないときであり、かつ洗浄排水が
嫌気処理槽20へ返送されるためである。
【0025】洗浄は次のように行う。先ず散気部材3の
弁を閉じて空気の送入を停止する。また散気部材5の弁
を開け、空気の送入を槽底部から行い、生物濾過槽をバ
ブリングする。なお、ここでは汚水浄化槽の全システム
に必要な送気をブロワー1台で兼ねる方法で説明してい
るが、エアーリフトポンプ27用のブロワーと生物濾過
槽1用のブロワーを別々に設けてもよい。その場合、散
気部材3、5において散気部材3は5より上位にあるた
め、散気部材3だけに弁をつければ良く、散気部材3の
弁を閉じれば、散気部材5から空気の吐出が始まる。従
って本発明ではこれらの手段を規制するものではない。
【0026】生物濾過槽をバブリングしながら、Fゾー
ン下部へ処理水を洗浄ポンプ26を用いて移流管6から
送入する。これによってFゾーンとRゾーンの粒状担体
2は更に流動を始め、SSの剥離が促進される。洗浄水
の送入によって生物濾過槽1の水位は上昇し、通常の設
定水位より上側に設けた洗浄排水排出管8から多口部材
7を介して洗浄排水12として排出され、嫌気処理槽
(第1室)20へ移送される。なお、多口部材7は洗浄
排水排出管8と別々であっても差し支えない。洗浄の終
了は洗浄ポンプ26を停止し、散気部材5からの送入空
気を停止し、散気部材3から空気の送入を開始すれば完
了する。洗浄に必要な水量は、生物濾過層のRゾーンと
Fゾーンの容積と同等程度を供給すれば十分である。洗
浄終了後は、嫌気処理水9´の流入によって通常の処理
状態へ復帰する。以上の汚水処理槽によって汚水を高度
に処理することが出来る。
【0027】請求項6の発明について説明する。図4に
その実施例になる汚水処理槽の断面図を示す。汚水処理
槽の基本的構成は請求項5の発明と同じであるが、嫌気
処理槽(第2室)21の後段にポリオレフィン系樹脂の
連通気泡体の粒状担体2を収納してある生物濾過槽1を
設けている。その他各処理槽の構成は請求項5を示す図
3と同じであるため、その説明は省略する。生物濾過槽
1の機能について言及する。生物濾過槽1内には、粒状
担体2を充填した生物濾過層があり、これを上区画のR
ゾーンと下区画のFゾーンとに分けている。Rゾーンで
は主に有機物の分解を、Fゾーンでは主にSSの捕捉を
行うことを目的にしている。またRゾーンは、通常の処
理状態では散気部材3からの散気を受け、Fゾーンで
は、洗浄時だけ散気部材5からの散気を受け、SSの剥
離を目的としてバブリングされる。
【0028】通常の処理状態でのRゾーンの散気、洗浄
時のFゾーンでの散気によって、各ゾーンの粒状担体2
の量が所定の量と変わってしまう場合がある。各ゾーン
の機能を充分に発揮させるためには、これを一室にする
必要があり、その手段としてRゾーンとFゾーンとの境
界部でかつ散気部材3より下側に、多口部材13を設
け、粒状担体2の移動を防止している。下区画のFゾー
ンでは、粒状担体2が初期の間は浮上しているが、徐々
に微生物の付着により沈降性を持つようになるため、そ
の下方からの流出を防止すること、また定常状態になっ
てからの支持体とすることを目的とした多口部材14を
設けている。多口部材14は洗浄時にFゾーンへ空気を
吐出する散気部材5より上側に設けることが望ましい。
Fゾーンの粒状担体2の充填は、洗浄時にバブリングを
行ってSSを剥離する必要があり、そのための膨張容積
を考慮した充填量とする。図4においてFゾーンのS区
間の容積が該当する。以上の構成によって、SSの充分
な捕捉による除去とまた洗浄によるSSの剥離を容易に
行うことが出来る。
【0029】生物濾過槽1は下区画のFゾーンでSSの
除去によって粒状担体2間が詰まるため洗浄が必要であ
る。散気部材3からの空気の送入を停止し、散気部材5
から空気の送入を行ってFゾーンのバブリングを行う。
このとき、処理水槽22の処理水を洗浄水として用い、
洗浄ポンプ26を動かし、移流管6を介してFゾーンの
下側へ送入する。これによってFゾーンで剥離したSS
は上向流に乗ってRゾーンへ入り、更に設定水位を越え
て、上側にある洗浄排水排出管8を経て嫌気処理槽(第
1室)20へ洗浄排水12として排出される。このと
き、上向流に乗って上区画Rゾーンの粒状担体2も排出
されてしまうため、槽内の設定水位より上側でかつ洗浄
排水排出管8より下側に多口部材7´を設ける。多口部
材7´は槽内水平断面の全体にわたるように設けている
が、これに限定されるものではなく、図3のように排出
管8に連結した筒状の多口部材7であってもよい。従っ
て、被処理水や洗浄排水は通すが粒状担体は通さない構
造部材であればよい。
【0030】請求項7の発明について説明する。ポリオ
レフィン系樹脂の連通気包体は比重が1より小さいた
め、その粒状担体を生物濾過槽に充填すると、運転初期
には浮上性を持ち、微生物の付着と共に徐々に重くなり
沈降性を持つようになる。ポリオレフィン連通気包体を
用いて、微生物を付着させ、比重を測定した結果、概ね
1.003〜1.008であつた。この定常状態になる
までに数週間を要する。但し、微生物が付着すれば必ず
しも沈降性を持たなくても、汚水の浄化機能への影響は
実質的にない。
【0031】生物濾過槽の処理機能を早期に発揮させる
ためには、あらかじめ粒状担体に微生物を付着させてお
けばよい。微生物を付着した粒状担体は自然乾燥しても
胞子形成能を持っているから、使用に当たって問題なく
機能を発揮する。従ってこのような微生物付着担体を汚
水浄化槽の生物濾過槽へ充填すれば、早期に処理性能を
発揮させることが出来る。
【0032】請求項8の発明について説明する。ポリオ
レフィン系樹脂の連通気包体は比重が微小ながら1より
高まれば、生物濾過槽へ充填した場合、上区画Rゾーン
と下区画Fゾーンの粒状担体は、当初からそのゾーンで
の目的に合った挙動を示すことから、早期に処理性能を
発揮し易い。そこでポリオレフィン系樹脂の連通気包体
をあらかじめ比重調整を行うことで解決する。請求項4
の発明で述べたようにエマルジョンペイントである水溶
性塗料を前記連通気包体に含浸し、乾燥すると蒸発残量
物が付着するため、比重が大きくなる。更には、水溶性
エマルジョンに炭酸カルシウム、硫酸バリウム、その他
無機系の比重の大きい粉粒体を添加することが出来る。
市販の水溶性塗料を重量で10%になるように水で希釈
して、ポリオレフィン連通気包体に含浸した後、60℃
以下で乾燥した。その比重を測定した結果、約1.00
5〜1.010であった。以上のことから、比重調整を
行ったポリオレフィン系樹脂の連通気包体の粒状担体を
生物濾過槽へ充填すれば、早期に処理性能を発揮させる
ことが出来る。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂
の連通気包体の粒状担体を用いているため、その担体の
細孔内に多量の微生物を保持出来、排水中の有機物を充
分に分解できる。また生物濾過層の上部を有機物分解を
主とする好気反応ゾーン、その下部をSSの除去を主と
する濾過ゾーンに分画したため、低BOD、低SSでか
つ透明感のある高度な処理水を得ることが出来る。ま
た、この生物濾過方法を汚水浄化槽に組み込んで一体形
としたため、小形で高性能な汚水浄化槽を提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例になる生物濾過法による排水の
処理方法を説明する図であり、(a)は通常の処理状
態、(b)は洗浄状態を示す。
【図2】本発明の実施例になる生物濾過法による排水の
処理方法を説明する図であり、(a)は通常の処理状
態、(b)は洗浄状態を示す。
【図3】本発明の実施例になる汚水浄化槽の断面図であ
る。
【図4】本発明の実施例になる汚水浄化槽の断面図であ
る。
【符号の説明】
1…生物濾過槽、2…粒状担体、3…散気部材、4…多
口部材、5…散気部材、6…移流管、7…多口部材、8
…洗浄排水排出管、9…被処理水、10…処理水、11
…洗浄水、12…洗浄排水、13、14…多口部材、1
5…汚水浄化槽、16、17、18、19…仕切壁、2
0…嫌気処理槽(第1室)、21…嫌気処理槽(第2
室)、22…処理水槽、23…消毒槽、24、25…接
触材、26…洗浄ポンプ、27…エアーリフトポンプ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年5月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】生物濾過法による排水の処理方法及び汚
水浄化槽
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は家庭等から排出される合
併排水を浄化する生物濾過法を用いた排水の処理方法及
び汚水浄化槽に関する。
【0002】
【従来の技術】粒状担体として、浮上性担体を浸漬しこ
れに微生物を付着させ、有機物の生物的分解と物理的吸
着や濾過作用を伴って排水の処理を行う浮上性担体を利
用の生物濾過法は、沈降性担体利用の生物濾過法に比較
して担体が軽く流動し易いため、生物濾過槽の担体充填
層(生物濾過層)の洗浄が容易で、かつそれに要する所
要動力も少ないことから注目され、多くの処理方式の提
案がなされている。浮上性担体を利用した生物濾過法に
よる排水の処理方法は、特公昭57−46884号公
報、特公昭63−1116号公報、特公昭57−590
00号公報等その他多くに見られ、それらに用いる浮上
性担体には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン等の合成樹脂ペレット又はそれらの発泡成形物、或
いはパーライト、シラスバルーン等の無機粒状物などを
挙げている。従来の処理方法を見ると、前述の浮上性粒
状担体を生物濾過層に充填し、被処理水を生物濾過層の
上部から入れ、下向流で通過させ、生物濾過層の下部か
ら空気を送入して、両者を向流接触させつつ、生物濾過
層に生息する好気的微生物によって有機物を分解する方
法、或いは被処理水と空気とを生物濾過層の下部から送
入して、両者を並流接触させつつ、前記同様に有機物を
分解する方法が主に採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の浮上性担体を用
いた生物濾過法による排水の処理方法は、該生物濾過層
の下部から送入空気泡によって担体が流動すること、ま
たある程度担体を密に充填しても、空気泡の通り道付近
の担体は同様に流動することなどから、捕捉した粒子や
増殖した微生物が剥離して、これらが該生物濾過層を通
過する流出水にリークするという問題点があった。即ち
生物濾過層で充分な粒子(これらの粒子をSSと略す)
の除去が出来ず、またSSに起因するBODも高まって
高度な処理水が得られなかった。SSの流出を防ぐため
に生物濾過層の上下に抑止体を設け、該生物濾過層を抑
えつけて処理を行う方法もあるが、この方法は該生物濾
過層の洗浄を行う際に濾過層を膨張させて緩めることが
出来ず、洗浄が良好に行えないこと、抑止体を機械的に
駆動させてもよいが、その設備にかかる経済的損失が大
きいことなどの問題点がある。更に別法として生物濾過
層の流出水を再度該生物濾過層へ戻す循環方法によっ
て、SSを除去する方法もあるが、循環によって生物濾
過層の濾過速度が高まるため、その効果は小さい。
【0004】他方、沈降性担体を用いた従来の生物濾過
方法による処理方式は、洗浄時にかなりの流速を与える
必要があり、充分な流速がなければ担体に補足している
SSを洗い流せず、通常の処理に閉塞を起こし短絡など
の影響により充分な汚水処理が行なえなくなる。それに
加えて洗浄に用いる移送ポンプにかかる所要の動力が大
きいという課題がある。以上のように従来の方法は、B
ODやSSを充分に除去出来ず、高度な処理水が得られ
なかった。
【0005】本発明は、BODやSSの除去に優れた粒
状担体を用いた生物濾過方法及び汚水浄化槽を提供する
ことを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、被処理水を浸
漬状態にある担体床に下向流で通過させ、担体床下部よ
り散気を行って気泡を上昇させ、この過程で好気的生物
分解と濾過作用を伴って浄化を行う生物濾過法による排
水の処理方法において、粒状物を担体とする生物濾過層
となし、該生物濾過層を上下二つの区画に分け、両区画
の境界部及び下区画の下側に空気を吐出する散気部材を
設け、通常の処理工程は被処理水を上区画の上側から流
入させ、両区画の境界部の散気部材から散気を行って、
上区画で主に有機物の分解と粒子の除去を行い、下区画
で主に粒子の除去を行って、下区画の下側から処理水を
排出し、洗浄工程は下区画の下側の散気部材だけの散
気、又はそれに加えて両区画境界部の散気部材からも散
気を行い、また洗浄水を下区画の下側から送入させ、上
区画の上側から洗浄排水を排出するようにした生物濾過
法による排水の処理方法、並びに槽内を仕切壁で仕切
り、複数の各種の処理槽を設け、これらの処理槽に被処
理水を順次移流して浄化を行う汚水浄化槽において、該
汚水浄化槽における嫌気処理槽第2室の後段に粒状物を
収納した生物濾過層を有する生物濾過槽を配設し、該生
物濾過層を上下二つの区画に分け、両区画の境界部及び
下区画の下側に空気を吐出する散気部材を設け、更に生
物濾過層の下部には流入水を移送するための移流管を配
し、また、上部には洗浄水を排出するための洗浄排出管
を設け、生物濾過槽の後段には該生物濾過槽の前記移流
管と連通し、かつ該生物濾過槽を洗浄する洗浄ポンプを
収納した処理水槽を備えた汚水浄化槽に関する。
【0007】
【実施例】本発明の第1発明である粒状物を担体床とし
た生物濾過法による排水の処理方法を実施例を示す図1
により説明する。図1において、(a)は生物濾過槽の通
常の処理状態を示す図であり、(b)は生物濾過槽の洗浄
状態を示す図である。なお、図1は角形槽について示し
ているが丸形槽であってもよい。(a)の通常の処理方法
について述べる。生物濾過槽1には、粒状担体2を生物
濾過層として充填してあり、その生物濾過層を上下の2
区画に分け、上区画Rゾーンと下区画Fゾーンがあり、
両区画の境界部に散気部材3、また下区画の下側に粒状
担体2を通さない多口部材4、更にその下側に散気部材
5を設けてある。多口部材4の下側には更に通過水を移
送する移流管6がある。上区画の上側には、後述する洗
浄の際の洗浄排水排出管8が粒状担体2を通さない多口
部材7を介して通常の処理状態の水位より上側に設けて
ある。多口部材7は洗浄排水排出管8と連結させなくて
もよい。
【0008】以上のような構成で排水の処理方法は次の
ようにして行われる。被処理水9は生物濾過層の上区画
Rゾーンに入る。Rゾーンの粒状担体は散気部材3から
の空気泡によって流動する程度に充填してあり、散気に
よって溶存酸素がRゾーンの全域に拡散されることが望
ましい。Rゾーンに入った被処理水は粒状担体2に生息
した好気性微生物によって処理され、有機物即ちBOD
が分解される。また、粒状担体間にはSSを捕捉除去さ
れる。しかし、Rゾーンは前述したように空気泡によっ
てゆっくりと流動しているため、SSの捕捉が完全では
ない。SSを含んだ通過水は、Rゾーンを下向し、下区
画のFゾーンに達する。Fゾーンの粒状担体は、後述す
る洗浄時にだけ散気部材5から散気される空気泡や移流
管6から送入される洗浄水によって流動する程度に充填
することが必要である。
【0009】Fゾーンに達した通過水は、粒状担体が濾
過層として形成されているため、含まれるSSは粒状担
体間に捕捉除去される。Rゾーンに対してFゾーンは静
的状態にあることから、SSの除去効果は極めて高い。
またRゾーンから溶存酸素も持ち越されるため、好気性
微生物も生息し、Rゾーンで取り切れなかった残留BO
Dがある場合は、このFゾーンでも分解が出来る。この
ように被処理水9は上区画のRゾーンで主にBODが除
去され、下区画のFゾーンで主にSSが除去され、極め
て高度に浄化されて、移流管6から処理水10として排
出される。生物濾過槽1は処理を続けていくと、生物濾
過槽で捕捉したSSによって粒状担体間が徐々に詰まっ
て来るようになる。この傾向は下区画のFゾーンで著し
い。そのため、生物濾過槽1は洗浄が必要である。
【0010】そこで生物濾過槽1の洗浄方法を図1の
(b)を用いて説明する。通常の処理から洗浄に移る場合
は、上区画Rゾーンと下区画Fゾーンの境界部に散気部
材3の弁を閉じ、散気部材3からの散気を停止する。す
ると下区画Fゾーンの下側にある散気部材5から空気の
吐出が始まる。これによってFゾーンの粒状担体は流動
し、粒状担体間のSSは遊離するようになる。このと
き、Fゾーンの下側にある処理水の移流管6の処理水排
出管路側の弁を閉じ、洗浄水11を移流管6を介してF
ゾーンの下側へ送入する。すると洗浄水11はFゾーン
を上昇し、遊離したSSを伴って上区画のRゾーンを経
て更に上昇し、通常の設定水位より上側にある洗浄排水
排出管8より洗浄排水12として排水される。なおこの
とき、粒状担体2が流出しないように多口部材7を設け
る。この洗浄操作によって生物濾過槽1の詰まりを解消
することが出来る。
【0011】洗浄の終了は、洗浄水11の送入を停止す
ることで完了し、移流管6の処理水排出管路側の弁を開
けると、生物濾過槽1の水位は粒状担体2を伴って下降
し、通常の設定水位に戻る。またこのとき、Rゾーンと
Fゾーンとの境界部にある散気部材3の弁を開ければ、
Fゾーンの下側の散気部材5の散気は停止し、散気部材
3だけから空気が散気されて、通常の処理へ戻る。以上
の洗浄において、極めて少ない空気量と極めて小さい洗
浄水の通過速度でSSを洗い出すことが出来、従って所
要動力も小さくて済み経済的である。
【0012】次に請求項2の発明について述べる。粒状
物を生物濾過層として適用する場合、上区画のRゾーン
と下区画のFゾーンとの境界付近の粒状担体2が洗浄操
作によって上下へ移動するため、各ゾーンの担体量が所
定の量と変わってくる場合がある。そこで各ゾーンの粒
状担体の充填量を一定にして安定化させることが望まし
い。その方法として、上区画Rゾーンと下区画Fゾーン
の境界部にある散気部材より下側に、流入水は通すが粒
状担体は通さない多口部材を設ける方法で達成できる。
【0013】他方、Fゾーンから粒状担体が流出するこ
とや、生物濾過層の緩みを生じて濾過性能が低下する場
合がある。そこでこれらを防ぐために、下区画Fゾーン
の下側に、流入水は通すが粒状担体は通さない多口部材
を設ける方法で達成できる。かつこの多口部材は洗浄時
に、下区画Fゾーンへ空気を吐出する散気部材より上側
に設けることが望ましい。
【0014】また、生物濾過層の洗浄時には、下区画F
ゾーンの下側から送入する洗浄水によって水位が上が
り、上区画Rゾーンの上側に設けた洗浄排水排出管より
洗浄排水として排出される。このとき、Rゾーンの粒状
担体も流動するため、洗浄排水と一緒に流出する場合が
ある。そこでこれを防ぐために、上区画にある設定水位
より上側に流入水、洗浄排水は通すが、粒状担体は通さ
ない多口部材を設ける。図2を用いて更に説明する。図
2は本発明の実施例になる排水の処理方法を示す断面図
で、(a)は生物濾過槽の通常の処理状態、(b)は生物濾
過槽の洗浄状態を示す。図2(a)において、生物濾過槽
1には粒状担体2を充填した生物濾過層があり、基本的
な構成は図1と全く同じであるので、ここでは請求項2
の発明の必要な部分だけを述べる。
【0015】上区画Rゾーンと下区画のFゾーンとの境
界部にある散気部材3の下側に多口部材13を設けてあ
り、RゾーンとFゾーンの粒状担体2が相対するゾーン
へ移動するのを防いでいる。これによって各ゾーンの粒
状担体2の充填量を一定に出来、処理性能を安定化出来
る。下区画Fゾーンの下側でかつ散気部材5より上側に
多口部材14を設けてあり、Fゾーンの粒状担体2の流
出を防いでいる。また特にFゾーンの粒状担体はその充
填量に注意を要する。FゾーンはSS除去を主目的にし
ており、SSの捕捉で粒状担体間が詰まることから、S
Sの剥離(遊離)追い出しが必要である。このSSを剥
離するためには、空気泡や水流によって粒状担体層を砕
いて自由にする必要があり、そのための余分な容積即ち
膨張容積を設けている。図2で、下区画FゾーンのSが
それを示している。
【0016】生物濾過槽の洗浄時には、図2(b)におけ
る洗浄水11の送入で槽内水位は上昇を始め、洗浄排水
排出管8より洗浄排水12として排出される。このと
き、多口部材7´によって上区画Rゾーンの粒状担体2
の流出を防止出来る。多口部材7´は槽内水平断面の全
体にわたるように設けているが、これに限定されるもの
ではなく、図1のように排出管8に連結した筒状の多口
部材7であってもよい。更に槽内壁全周又は一部分に堰
を設けて粒状担体の流出を防ぐ方法であってもよい(図
示しない)。
【0017】請求項3の発明は請求項1の生物濾過法を
汚水浄化槽に適用したものである。図3はその汚水浄化
槽の断面図で、汚水浄化槽15は仕切壁16、17、1
8、19で仕切られ、嫌気処理槽(第1室)20、嫌気
処理槽(第2室)21、生物濾過槽1、処理水槽22、
消毒槽23で構成されている。嫌気処理槽(第1室)2
0、嫌気処理槽(第2室)21には接触材24、25が
収納され、粗大固形物の除去と嫌気性微生物による有機
物の分解が行われる。生物濾過槽1は図1で述べた構成
を具備しており、粒状担体2が収納され、上区画Rゾー
ンと下区画Fゾーンとに機能分画されている。Rゾーン
とFゾーンの主な作用は請求項1の発明と同じであるの
で省略する。散気部材3は通常の処理状態で空気が送入
され、散気部材5は洗浄時だけ空気が送入される。処理
水槽22には、生物濾過槽1と連接する移流管6を介
し、生物濾過槽1を洗浄するための洗浄ポンプ26を収
納している。この処理水槽22は処理水を洗浄水として
確保するために設けている。消毒槽23は処理水10を
滅菌して放流するために設けている。27は嫌気処理槽
(第2室)21から生物濾過槽1へ嫌気処理水9´を移
送するエアーリフトポンプである。
【0018】ここで汚水浄化槽15の処理工程と作用に
ついて説明する。被処理水9は流入口から供給され、嫌
気処理槽(第1室)20に入り、粗大固形物が接触材2
4で除去されると同時に嫌気的分解も受け、移流管を通
り嫌気処理槽(第2室)21に移流する。ここでも接触
材25に付着した嫌気性微生物により嫌気的分解を受け
る。次に嫌気処理槽(第2室)21の底部からエアーリ
フトポンプ27により生物濾過槽1へ嫌気処理水9´と
して供給される。なお、嫌気処理槽20、21は接触材
24、25より上側で水位が変動し、かつその変動範囲
の容量は被処理水9の流量変動をピーク比3程度で吸収
できる流量調整機能を持たせている(図示しない)。生
物濾過槽1では上区画Rゾーンにおいて、散気部材3よ
り送入される空気によって粒状担体2に付着している好
気性微生物の作用により有機物が分解を受ける。また含
まれる粒子や増殖した微生物の凝集粒子(これらを総称
してSSと略す)も一部捕捉される。しかし、空気泡の
上昇によって粒状担体2は流動するため、SSの捕捉に
よる除去は充分ではない。
【0019】SSを微小ながら含んだ通過水は下区画の
Fゾーンを下向する。Fゾーンでは粒状担体2の層は静
止状態であるため、SSは十分に捕捉除去される。この
工程迄に被処理水9は溶解性BODが十分に分解され、
またSSも十分に除去されるため、透視度のよい高度な
処理水となる。該処理水は移流管6を通り、処理水槽2
2に入り、上部より越流して消毒槽23へ至り、処理水
10として系外に排出それる。
【0020】通常の処理が継続されると、生物濾過槽1
は生物濾過層特に下区画FゾーンでのSSの捕捉によっ
て徐々に濾過抵抗が増すため、洗浄が必要となる。この
洗浄の指令は生物濾過槽1の水位が所定水位まで上昇し
たら、又は又はタイマー設定で所要時間に達したら、そ
の信号によって洗浄を行うことが出来る。なお、この場
合、洗浄操作は嫌気処理槽20、21の水位が低水位の
とき行うことが望ましく、通常、被処理水9の流入がな
い夜間に設定することが良い。これは生物濾過槽1へ嫌
気処理水9´の流入がないときであり、かつ洗浄排水が
嫌気処理槽20へ返送されるためである。
【0021】洗浄は次のように行う。先ず散気部材3の
弁を閉じて空気の送入を停止する。また散気部材5の弁
を開け、空気の送入を槽底部から行い、生物濾過槽をバ
ブリングする。なお、ここでは汚水浄化槽の全システム
に必要な送気をブロワー1台で兼ねる方法で説明してい
るが、エアーリフトポンプ27用のブロワーと生物濾過
槽1用のブロワーを別々に設けてもよい。その場合、散
気部材3、5において散気部材3は5より上位にあるた
め、散気部材3だけに弁をつければ良く、散気部材3の
弁を閉じれば、散気部材5から空気の吐出が始まる。従
って本発明ではこれらの手段を規制するものではない。
【0022】生物濾過槽をバブリングしながら、Fゾー
ン下部へ処理水を洗浄ポンプ26を用いて移流管6から
送入する。これによってFゾーンとRゾーンの粒状担体
2は更に流動を始め、SSの剥離が促進される。洗浄水
の送入によって生物濾過槽1の水位は上昇し、通常の設
定水位より上側に設けた洗浄排水排出管8から多口部材
7を介して洗浄排水12として排出され、嫌気処理槽
(第1室)20へ移送される。なお、多口部材7は洗浄
排水排出管8と別々であっても差し支えない。洗浄の終
了は洗浄ポンプ26を停止し、散気部材5からの送入空
気を停止し、散気部材3から空気の送入を開始すれば完
了する。洗浄に必要な水量は、生物濾過層のRゾーンと
Fゾーンの容積と同等程度を供給すれば十分である。洗
浄終了後は、嫌気処理水9´の流入によって通常の処理
状態へ復帰する。以上の汚水処理槽によって汚水を高度
に処理することが出来る。
【0023】請求項4の発明について説明する。図4に
その実施例になる汚水処理槽の断面図を示す。汚水処理
槽の基本的構成は請求項5の発明と同じであるが、嫌気
処理槽(第2室)21の後段に粒状担体2を収納してあ
る生物濾過槽1を設けている。その他各処理槽の構成は
請求項5を示す図3と同じであるため、その説明は省略
する。生物濾過槽1の機能について言及する。生物濾過
槽1内には、粒状担体2を充填した生物濾過層があり、
これを上区画のRゾーンと下区画のFゾーンとに分けて
いる。Rゾーンでは主に有機物の分解を、Fゾーンでは
主にSSの捕捉を行うことを目的にしている。またRゾ
ーンは、通常の処理状態では散気部材3からの散気を受
け、Fゾーンでは、洗浄時だけ散気部材5からの散気を
受け、SSの剥離を目的としてバブリングされる。
【0024】通常の処理状態でのRゾーンの散気、洗浄
時のFゾーンでの散気によって、各ゾーンの粒状担体2
の量が所定の量と変わってしまう場合がある。各ゾーン
の機能を充分に発揮させるためには、これを一室にする
必要があり、その手段としてRゾーンとFゾーンとの境
界部でかつ散気部材3より下側に、多口部材13を設
け、粒状担体2の移動を防止している。下区画のFゾー
ンでは、粒状担体2がその下方からの流出を防止するこ
と、また定常状態になってからの支持体とすることを目
的とした多口部材14を設けている。多口部材14は洗
浄時にFゾーンへ空気を吐出する散気部材5より上側に
設けることが望ましい。Fゾーンの粒状担体2の充填
は、洗浄時にバブリングを行ってSSを剥離する必要が
あり、そのための膨張容積を考慮した充填量とする。図
4においてFゾーンのS区間の容積が該当する。以上の
構成によって、SSの充分な捕捉による除去とまた洗浄
によるSSの剥離を容易に行うことが出来る。
【0025】生物濾過槽1は下区画のFゾーンでSSの
除去によって粒状担体2間が詰まるため洗浄が必要であ
る。散気部材3からの空気の送入を停止し、散気部材5
から空気の送入を行ってFゾーンのバブリングを行う。
このとき、処理水槽22の処理水を洗浄水として用い、
洗浄ポンプ26を動かし、移流管6を介してFゾーンの
下側へ送入する。これによってFゾーンで剥離したSS
は上向流に乗ってRゾーンへ入り、更に設定水位を越え
て、上側にある洗浄排水排出管8を経て嫌気処理槽(第
1室)20へ洗浄排水12として排出される。このと
き、上向流に乗って上区画Rゾーンの粒状担体2も排出
されてしまうため、槽内の設定水位より上側でかつ洗浄
排水排出管8より下側に多口部材7´を設ける。多口部
材7´は槽内水平断面の全体にわたるように設けている
が、これに限定されるものではなく、図3のように排出
管8に連結した筒状の多口部材7であってもよい。従っ
て、被処理水や洗浄排水は通すが粒状担体は通さない構
造部材であればよい。
【0026】次に、生物濾過槽に充填する粒状物の担体
について述べる。担体に必要な特性は、微生物の付着量
(保持量)が大きく、また洗浄が容易に行なえること、
物理化学的、機械的耐久性があることである。生物濾過
槽では、処理効率を高めるためには、担体への微生物の
付着量(保持量)が大きいことがよく、そのような担体
としてはその内部に細孔を持ち、且つ細孔が連通してい
る粒状物が望ましい。あるいは、繊維間のような空隙を
持つ繊維塊が望ましい。このようなものに無機系担体と
してはパーライト、シラスバルーン、発泡コンクリー
ト、活性炭、多孔質セラミックス、多孔質ガラス等があ
る。合成樹脂系担体にはポリエチレン、ポリ塩化ビニー
ル、ポリウレタン、ポリビニルアルコールアセタール化
合物などの発泡成形物、繊維を不規則に絡めた繊維塊、
繊維を不規則に積層した不織布、繊維を結束した繊維塊
などがある。
【0027】しかし、生物濾過槽の洗浄においては、担
体がバブリングや水流によって、付着した過剰の微生物
や担体間に捕捉したSSが容易に剥離することが必要で
ある。これには担体の比重が大きく影響する。従って、
担体はその比重が大きすぎたり、小さすぎたりしても好
ましくなく、概ね比重0.9〜1.1を持つものが望ま
しい。無機系担体は、この点比重の大きすぎるものが多
い。ただし、空孔率の増大やそのほかの方法によつて比
重調整を行なうことで使用することも可能である。一
方、合成樹脂系担体では、ポリ塩化ビニール、ポリウレ
タン、ポリビニルアルコールアセタール化合物、前述し
た繊維でポリエステル、ナイロンなどの各種繊維塊は適
度な比重を有している。ポリエチレンはその点、僅かな
がら比重が小さい。但し、ポリエチレン(ここでは連通
気泡体を指す)は微生物が付着すると比重が高まり、
1.003〜1.008程度の適度な状態になる。従っ
て、ポリエチレン連通気泡体は予め微生物を付着させた
ものを使用することもできる。あるいは、別の比重調整
方法も可能である。エマルジョンペイントを連通気泡体
にに含浸させ乾燥する方法、あるいは担体の発泡成形時
に炭酸カルシウムや硫酸バリウムその他比重調整剤を添
加する方法、さらには担体の発泡成形時にポリエチレン
グリコール系エステルやグリセリン脂肪酸エステルなど
の親水性物質を添加する方法などである。以上のよう
に、担体内に連通気泡や繊維間の空隙を持つ発泡成形物
や繊維塊不織布等で且つ概ね比重が0.9〜1.1を持
つ粒状の担体を用いるものである。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、連通気泡体、繊維塊、
不織布などの多孔質からなる粒状担体を用いているた
め、その担体の細孔内に多量の微生物を保持出来、排水
中の有機物を充分除去でき、硝化も効率的行なわれる。
また生物濾過層の上部を有機物分解を主とする好気反応
ゾーン、その下部をSSの除去を主とする濾過ゾーンに
分画したため、低BOD、効率的な硝化、低SSで透明
感のある高度な処理水を安定して得ることが出来る。ま
た、洗浄排水量も少量に抑えることができる。さらに、
この生物濾過方法を汚水浄化槽に組み込んで一体形とし
たため、小形で高性能な汚水浄化槽を提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例になる生物濾過法による排水の
処理方法を説明する図であり、(a)は通常の処理状
態、(b)は洗浄状態を示す。
【図2】本発明の実施例になる生物濾過法による排水の
処理方法を説明する図であり、(a)は通常の処理状
態、(b)は洗浄状態を示す。
【図3】本発明の実施例になる汚水浄化槽の断面図であ
る。
【図4】本発明の実施例になる汚水浄化槽の断面図であ
る。
【符号の説明】 1…生物濾過槽、2…粒状担体、3…散気部材、4…多
口部材、5…散気部材、6…移流管、7…多口部材、8
…洗浄排水排出管、9…被処理水、10…処理水、11
…洗浄水、12…洗浄排水、13、14…多口部材、1
5…汚水浄化槽、16、17、18、19…仕切壁、2
0…嫌気処理槽(第1室)、21…嫌気処理槽(第2
室)、22…処理水槽、23…消毒槽、24、25…接
触材、26…洗浄ポンプ、27…エアーリフトポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 3/00 B 8515−4D E 8515−4D 3/08 B 3/10 A 9/00 A 8515−4D

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理水を浸漬状態にある担体床に下向
    流で通過させ、担体床下部より散気を行って気泡を上昇
    させ、この過程で好気的生物分解と濾過作用を伴って浄
    化を行う生物濾過法による排水の処理方法において、ポ
    リオレフィン系樹脂の連通気泡体の粒状物を担体とする
    生物濾過層となし、該生物濾過層を上下二つの区画に分
    け、両区画の境界部及び下区画の下側に空気を吐出する
    散気部材を設け、通常の処理工程は被処理水を上区画の
    上側から流入させ、両区画の境界部の散気部材から散気
    を行って、上区画で主に有機物の分解と粒子の除去を行
    い、下区画で主に粒子の除去を行って、下区画の下側か
    ら処理水を排出し、洗浄工程は下区画の下側の散気部材
    だけの散気、又はそれに加えて両区画境界部の散気部材
    からも散気を行い、また洗浄水を下区画の下側から送入
    させ、上区画の上側から洗浄排水を排出するようにした
    生物濾過法による排水の処理方法。
  2. 【請求項2】 上区画にある設定水位より上側に、流入
    水は通すが上区画の粒状物は通さない多口部材、上区画
    と下区画の境界部にある散気部材より下側に流入水は通
    すが両区画の粒状物は通さない多口部材、下区画の下側
    でかつ下区画下側の散気部材より上側に位置し、流入水
    は通すが下区画の粒状物は通さない多口部材を各々配設
    してある請求項1記載の生物濾過法による排水の処理方
    法。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン系樹脂の連通気泡体に、
    あらかじめ微生物を付着させた請求項1又は2記載の生
    物濾過法による排水の処理方法。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィン系樹脂の連通気泡体に、
    水溶性エマルジョンを含浸し乾燥して得られる蒸発残留
    物を付着させた請求項1又は2記載の生物濾過法による
    排水の処理方法。
  5. 【請求項5】 槽内を仕切壁で仕切り、複数の各種の処
    理槽を設け、これらの処理槽に被処理水を順次移流して
    浄化を行う汚水浄化槽において、該汚水浄化槽における
    嫌気処理槽第2室の後段にポリオレフィン系樹脂の連通
    気泡体の粒状物を収納した生物濾過層を有する生物濾過
    槽を配設し、該生物濾過層を上下二つの区画に分け、両
    区画の境界部及び下区画の下側に空気を吐出する散気部
    材を設け、更に生物濾過層の下部には流入水を移送する
    ための移流管を配し、また上部には洗浄水を排出するた
    めの洗浄排出管を設け、生物濾過槽の後段には該生物濾
    過槽の前記移流管と連通し、かつ該生物濾過槽を洗浄す
    る洗浄ポンプを収納した処理水槽を備えた汚水浄化槽。
  6. 【請求項6】 生物濾過槽が上区画にある設定水位より
    上側に、流入水は通すが上区画の粒状物は通さない多口
    部材、上区画と下区画の境界部にある散気部材より下側
    に流入水は通すが両区画の粒状物は通さない多口部材、
    下区画の下側でかつ下区画下側の散気部材より上側に位
    置し、流入水は通すが下区画の粒状物は通さない多口部
    材を各々配設してある請求項5記載の汚水浄化槽。
  7. 【請求項7】 生物濾過槽のポリオレフィン系樹脂の連
    通気泡体の粒状物にあらかじめ微生物を付着させた請求
    項5又は6記載の汚水浄化槽。
  8. 【請求項8】 生物濾過槽のポリオレフィン系樹脂の連
    通気泡体の粒状物に水溶性エマルジョンを含浸し乾燥し
    て得られる蒸発残留物を付着させた請求項5又は6記載
    の汚水浄化槽。
JP7177592A 1992-03-30 1992-03-30 生物濾過法による排水の処理方法及び汚水浄化槽 Pending JPH05269482A (ja)

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