JPH05265215A - 平版印刷版 - Google Patents

平版印刷版

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JPH05265215A
JPH05265215A JP6249092A JP6249092A JPH05265215A JP H05265215 A JPH05265215 A JP H05265215A JP 6249092 A JP6249092 A JP 6249092A JP 6249092 A JP6249092 A JP 6249092A JP H05265215 A JPH05265215 A JP H05265215A
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Masahiko Saikawa
正彦 斎川
Keisuke Iguchi
恵介 井口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】銀錯塩拡散転写法において転写銀濃度が高く、
インキ乗りが速くまた、耐刷力の優れた感光性平版印刷
版を得ることである。 【構成】支持体として陽極酸化されたアルミニウムを用
い、その上に物理現像核層及び感光性ハロゲン化銀写真
乳剤層を有する平版印刷版において物理現像核を塗布す
る前に陽極酸化されたアルミニウム表面をアルカリ性水
溶液で処理したことを特徴とする平版印刷版。 【効果】転写銀濃度が高く、インキ乗りは良好でかつ極
めて高い耐刷性能を有する平版印刷版を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷性を改良した平版
印刷版に関するものである。
【従来の技術】銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた
平版印刷版については、フォーカル・プレス、ロンドン
・ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ・ロット及
びエディス・ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバ
ー・ハライド・ディヒュージョン・プロセーシズ」、第
101頁〜第130頁に幾つかの例が記載されている。
【0002】その中で述べられているように、DTR法
を用いた平版印刷版には、転写材料と受像材料を別々に
したツーシートタイプ、あるいはそれらを一枚の支持体
上に設けたモノシートタイプの二方式が知られている。
ツーシートタイプの平版印刷版については、特開昭57
−158844号明細書に詳しく記載されている。又、
モノシートタイプについては、特公昭48−30562
号、同51−15765号、特開昭51−111103
号、同52−150105号などの各明細書に詳しく記
載されている。
【0003】紙を支持体とした平版印刷版は、印刷中の
版伸びや水分のしみ込みなどのため耐刷性を含め高品質
の印刷は困難である。これらの問題点を改良し印刷性能
を向上する目的でフィルム支持体が用いられる。例え
ば、酢酸セルロースフィルム、ポリビニルアセタールフ
ィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィル
ム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、或はポリエ
ステル、ポリプロピレン、又はポリスチレンフィルムな
どをポリエチレンフィルムで被覆した複合フィルム等が
支持体として利用できる。
【0004】しかしながら、フィルムを支持体とした平
版印刷版は紙ベースの印刷版と比べ、版伸び性や水分の
しみ込みなどの点で改良されたものの、耐刷性、保水
性、更には印刷機への版掛け性等の点で問題を残してい
る。
【0005】そこで、上に述べた紙やフィルムを支持体
とした平版印刷版の種々の問題点を解決するために、金
属特にアルミニウムを支持体とした銀塩方式の平版印刷
版が知られており、特開昭57−118244号、同5
7−158844号、同63−260491号などの各
明細書に詳しく記載されている。
【0006】特開昭63−260491号明細書では、
アルミニウムを支持体とし、その上に物理現像核層を設
け、更にその上に感光性ハロゲン化銀乳剤層を設けたモ
ノシートタイプの、DTR法を利用した平版印刷版が詳
述されている。それによれば、上記平版印刷版を像露光
し、拡散転写現像した後、残留乳剤被膜を温水中で洗浄
して除去し印刷版を作製する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、上記特
許に記載されたアルミニウムを支持体とするモノシート
タイプでDTR方式の平版印刷版を種々検討し次の問題
点を見いだした。即ち、該平版印刷版を、特開昭57−
158844号や同63−260491号明細書の実施
例に記載されている方法に従って印刷版を作成したとこ
ろ、この印刷版は十分な転写銀濃度が得られず、インキ
乗りが遅く、十分な耐刷力が得られないということを見
いだした。
【0008】本発明の目的は、上記問題を解決し、転写
銀濃度、インキ乗り、耐刷力の改善された平版印刷版を
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、支
持体として陽極酸化されたアルミニウムを用い、その上
に物理現像核層及び感光性ハロゲン化銀写真乳剤層を有
する平版印刷版において、物理現像核を塗布する前に陽
極酸化されたアルミニウム表面をアルカリ性水溶液で処
理することによって達成された。
【0010】本発明の効果は、物理現像核を塗布する前
に陽極酸化されたアルミニウム表面をアルカリ性水溶液
で処理することにより、何らかの機構によりアルミニウ
ム陽極酸化層の表面改質が行なわた結果であると考えら
れる。例えば、この表面改変によって陽極酸化皮膜中の
物理現像核の分布状態が変化することによって核の物理
現像活性が高まり転写銀濃度が向上したり、あるいは、
この表面改変によって、物理現像核の陽極酸化皮膜との
接合性や、その後のハロゲン化銀乳剤層の陽極酸化皮膜
との接合性が改善された結果、インキ乗り、耐刷力が飛
躍的に向上したのではないかと推定される。
【0011】本発明の平版印刷版に用いられるアルミニ
ウム支持体は、その上に設けられる感光層との密着性を
向上し、且つ保水性を改善するため、その表面を粗面化
することが行われる。この粗面化処理(いわゆるグレイ
ニング)には、ボールグレイニング、ワイヤグレイニン
グ、ブラシグレイニング等の機械的粗面化処理、塩化
物、フッ化物等で化学的にアルミニウムを溶解すること
により行う化学的粗面化処理、及び電気化学的にアルミ
ニウムを溶解することにより行う電解粗面化処理があ
る。
【0012】粗面化処理を行なった後、陽極酸化処理を
行なう必要がある。陽極酸化処理は、従来よりよく知ら
れている方法を用いることが出来るが、硫酸が最も有用
な電解液として用いられる。それについで、リン酸、硝
酸なども有用な電解液である。さらに特開昭55−28
400号明細書に開示されている硫酸とリン酸の混合液
もまた有用である。
【0013】硫酸法は、通常直流電流で処理が行われる
が、交流を用いることも可能である。硫酸の濃度は5〜
30%で使用され、20〜60℃の温度範囲で5〜25
0秒間電解処理されて、表面に1〜10g/m2の酸化
被膜が設けられる。さらにこのときの電流密度は1〜2
0A/dm2が好ましい。リン酸法の場合には、5〜5
0%の濃度、30〜60℃の温度で、10〜300秒
間、1〜15A/dm2の電流密度で処理される。
【0014】尚、陽極酸化処理に先立ってデスマット処
理を施すことが好ましい。すなわち、粗面化処理したア
ルミニウム基板を、10〜50%の熱硫酸(40〜60
℃)や希薄なアルカリ(水酸化ナトリウム等)で処理す
ることにより表面に付着したスマットが除去される。
【0015】また、陽極酸化処理を行なった後、必要に
応じて後処理を行うことが出来る。例えば、英国特許第
1,230,447号に開示されたポリビニルホスホン
酸の水溶液中に浸漬処理する方法が用いられる。また、
必要に応じて、親水性高分子の下塗層を設けることも可
能であるが、その上に設ける感光層の性質により取捨選
択される。
【0016】本発明で物理現像核を塗布する前に行なわ
れる、アルカリ水溶液での処理に用いるアルカリ成分と
しては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、
ふっ化ナトリウム、あるいはアミン化合物、等を用いる
ことができる。
【0017】本発明で物理現像核を塗布する前に行なわ
れるアルカリ水溶液での処理に用いるアルカリ水溶液
は、pH9以上のものを用いることができるが、pHが11以
上のものを用いることが好ましい。pH9以下では本発明
の転写銀濃度、インキ乗り、耐刷力の改善効果が見られ
ず、pHが9から11の範囲のpHでは転写銀濃度、インキ乗
り、耐刷力の改善効果が小さい。アルカリ水溶液による
処理時の温度は、用いられるアルカリ水溶液の成分、p
H、支持体アルミニウムの種類や表面処理条件等によ
り、様々に変化するが、通常4℃以上80℃以下の温度範
囲で処理される。処理時間も用いられるアルカリ水溶液
の成分、pH、支持体アルミニウムの種類や表面処理条
件、アルカリ処理時の温度等により、様々に変化する
が、均一な処理を行なうためには10秒以上の処理が好ま
しい。本発明で物理現像核を塗布する前に行なわれるア
ルカリ水溶液での処理を行なった後、直ちに清浄な水で
水洗し、残存するアルカリ成分を除去した後乾燥する必
要がある。
【0018】本発明で用いられる物理現像核層の物理現
像核としては、公知の銀錯塩拡散転写法に用いられるも
のでよく、例えば金、銀等のコロイド、パラジウム、亜
鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物などが使
用できる。これらの詳細及び製法については、例えば、
フォーカル・プレス、ロンドン・ニューヨーク(197
2年)発行、アンドレ・ロット及びエディス・ワイデ著、
「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュ
ージョン・プロセシズ」を参照し得る。
【0019】本発明の印刷版の感光性ハロゲン化銀乳剤
層には保護コロイドとして各種親水性コロイドを用いる
ことができる。即ち、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼ
ラチン、ゼラチン誘導体、グラフト化ゼラチン等各種ゼ
ラチンを用いることが出来る他、ポリビニルピロリド
ン、各種でんぷん、アルブミン、ポリビニルアルコー
ル、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、等の
親水性高分子化合物を含有させることが出来る。用いら
れる親水性コロイドとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導
体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が
挙げられるが、好ましくは、物理現像後の親水性コロイ
ド層の剥離性を容易にするために実質的に硬膜剤を含ま
ない親水性コロイド層を用いることが望ましい。
【0020】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀乳
剤の種類としては、一般に用いられる塩化銀、臭化銀、
ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭化銀等から
選択される。また乳剤のタイプとしてはネガ型、ポジ型
のいずれでもよく、また感光性ハロゲン化銀と難溶化し
た非感光性ハロゲン化銀を用いた特開昭54-48544号に記
載の特殊なタイプであってもよい。これらのハロゲン化
銀乳剤は必要に応じて化学増感あるいはスペクトル増感
することが出来る。
【0021】本発明に用いられる現像主薬としては、ポ
リヒドロキシベンゼン類、3-ピラゾリジノン類が好まし
く、これらの主薬は版材構成層中に含むいわゆる主薬内
蔵型の形態で用いられてもよい。
【0022】本発明で用いられる現像液には、アルカリ
性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水
酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはアミン化
合物、保恒剤 、例えば亜硫酸ナトリウム、粘稠剤、例
えばカルボキシメチルセスロース、カブリ防止剤、例え
ば臭化カリウム、色調剤、例えば1-フェニル-5-メルカ
プトテトラゾール、現像変成剤、例えばポリオキシアル
キレン化合物等の添加剤等を含ませることが出来る。
【0023】現像液のpHとして通常約10〜14、好ま
しくは約12〜14であるが、使用する平版印刷版のア
ルミニウム支持体の前処理(例えば陽極酸化)条件、写
真要素、所望の像、現像液中の各種化合物の種類及び
量、現像条件等によって異なる。
【0024】ゼラチン層を除去するためのウォッシュオ
フは、温度20〜30℃程度の流水で洗い流す事によって行
なうことが出来る。
【0025】
【実施例】
【0026】実施例1
【0027】厚さ0.30mmのアルミニウム板を、4%の水
酸化ナトリウム水溶液で脱脂処理した後、約1%の塩酸
溶液中で10Vの交流を約20分間流した後、直ちに20
重量%の硫酸で1A/dm2の電流密度で5分間陽極酸化を行
ない、さらに水洗乾燥し、表面の陽極酸化されたアルミ
ニウム板を調整した。このアルミニウム板を水酸化ナト
リウムを加えてpHをそれぞれ8、9、10、11、12、13、14
に調整したアルカリ水溶液に、20℃、30秒間浸漬した
後、直ちに水洗、乾燥を行なった。この支持体上に下記
の物理現像核液を銀重量で10 mg/m2の塗布量となるよう
に塗布した。物理現像核はカレー・レー(Carey Lea)
法により作成された銀ゾルにゼラチン溶液を加えて、銀
とゼラチンの重量比が1となるように調整した。 塗布
量は50mg/m2
【0028】さらに乾燥後下記の構成の感光性ハロゲン
化銀乳剤層を塗布乾燥し感光性平版印刷版を作成した。
オルソ増感された塩化銀乳剤(ヨウ化銀を1モル%含
む。平均粒子サイズ0.3μ)で、硝酸銀で表したハロゲン
化銀被覆量2g/m2、ゼラチン塗布量0.4g/m2
【0029】このようにして得られた平版印刷板を、ネ
ガフィルムから密着露光計を用いて像露光を行った後、
表1に示すような現像液で20℃10秒間現像を行なった
後、直ちに流水で30秒間水洗してゼラチン層を洗い流し
(ウォッシュオフ)した。この様にして得られた感光性印
刷版の画像部の濃度を反射濃度計を用いて測定した。
【0030】
【表1】
【0031】表2から分かるように、本発明の物理現像
核を塗布する前にpH9以上、好ましくはpH11以上のアル
カリ性水溶液で処理を行なった印刷版を用いることによ
り、高い転写銀濃度を有する平版印刷版が得られること
が分かる。
【0032】
【表2】
【0033】実施例2
【0034】実施例1の方法で現像した本発明の平版印
刷版をウォッシュオフ処理した後、版面が乾かないうち
に下記の表3の版面保護液を脱脂綿等で塗布し乾燥させ
る。この様にして作成した平版印刷板を、印刷機エー・
ビー・ディック350CD(A.B.Dick社製オフセット印刷機の
商標)にかけ、インキ受理性及び耐刷力を次の方法で評
価した結果を表2に示す。
【0035】
【表3】
【0036】インキ受理性は版面にインキローラを接触
させながら同時に紙送りを始め、良好な画像濃度の印刷
物が得られるまでの印刷枚数で評価した。耐刷力は画像
部のインキ乗りの不良、あるいは線飛びが生じる時のい
ずれかにより印刷が不可能となったときの印刷枚数で評
価した。
【0037】
【発明の効果】表2の結果から分かるように、本発明の
物理現像核を塗布する前にpH9以上、好ましくはpH11以
上のアルカリ性水溶液で処理を行なった平版印刷版はイ
ンキ乗りは良好でかつ極めて高い耐刷性能を有している
のに対し、このようなアルカリ性水溶液による処理を行
なわなかった平版印刷版はインキ乗り低く、また耐刷力
も低いことが分かる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体として陽極酸化されたアルミニウ
    ムを用い、その上に物理現像核層及び感光性ハロゲン化
    銀写真乳剤層を有する平版印刷版において、物理現像核
    を塗布する前に陽極酸化されたアルミニウム表面をアル
    カリ性水溶液で処理したことを特徴とする銀錯塩拡散転
    写方式を用いる平版印刷版。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5731124A (en) * 1992-04-22 1998-03-24 Agfa-Gevaert, N.V. Method for preparing an aluminum foil for use as a support in lithographic printing plates

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5731124A (en) * 1992-04-22 1998-03-24 Agfa-Gevaert, N.V. Method for preparing an aluminum foil for use as a support in lithographic printing plates

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