JPH05259554A

JPH05259554A - 高繰返しパルスレーザ電極

Info

Publication number: JPH05259554A
Application number: JP5083492A
Authority: JP
Inventors: Shigenori Fujiwara; 重徳藤原; Kiyoyuki Amemori; 清行雨森
Original assignee: Toshiba Corp; Toshiba FA Systems Engineering Corp
Current assignee: Toshiba Corp; Toshiba FA Systems Engineering Corp
Priority date: 1992-03-09
Filing date: 1992-03-09
Publication date: 1993-10-08

Abstract

(57)【要約】【目的】高繰返しパルスレーザ電極において、広範囲
にわたる均一な予備電離を可能とし、安定なグロー放電
を維持することができるようにする。【構成】主電極２の長手方向両側に配設された予備電
離電極対を構成する板状予備電離電極１０の上端部にお
いて、各ピン状予備電離電極３の先端部と対向する部分
に、半円状の切り欠き１０ａが形成されている。そし
て、ピン状予備電離電極３のピン状金属３ａの側面と、
板状予備電離電極１０の切り欠き１０ａとの間で予備電
離放電を行うことができるように構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、広範囲にわたる均一な
予備電離を可能とした高繰返しパルスレーザ電極に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、レーザ発振を得るためには、主
放電電極間においてレーザ媒質が空間的な均一なグロー
放電を発生させることを必要とするが、ＴＥＭＡーＣＯ
₂レーザやエキシマレーザ等の短パルスレーザ光を発生
される高繰返しパルスレーザ発振装置では、その動作圧
力が大気圧以上の高圧であるため、上記の放電は収束
し、アーク放電になりやすい。これを防止するために、
主放電空間の電界分布を調整したり、主放電に先立って
主放電空間の電子密度を予め高めるために予備電離を行
うのが普通である。

【０００３】図４は従来の高繰返しパルスレーザ電極の
一例を示すものである。即ち、レーザ媒質中に配置され
る第１の主電極１に対向する位置に第２の主電極２が配
設され、前記第２の主電極２の長手方向両側には、複数
個のピン状予備電離電極３が一定の間隔をおいて配設さ
れている。このピン状予備電離電極３は、ピン状金属３
ａとその両端以外の部分を覆う絶縁物３ｂとから構成さ
れている。

【０００４】また、前記ピン状予備電離電極３の外側、
即ち、ピン状予備電離電極３を中心にして第２の主電極
２と向かい合う位置に、２枚の板状予備電離電極４が第
２の主電極２と電気的に等電位となるように配設されて
いる。そして、前記ピン状予備電離電極３の各先端部と
板状予備電離電極４の上端部は１ｍｍ程度の距離を保っ
て配置されており、両者合わせて一組の予備電離電極対
が構成されている。

【０００５】なお、２つの主電極１，２はピーンキング
コンデンサ５を介して電気的に接続されている。また、
対向する２つの主電極１，２の間には、主放電空間のレ
ーザガスを速やかに交換するためのレーザガス流８が流
れている。

【０００６】この様に構成された従来の高繰返しパルス
レーザ電極においては、高圧パルス電源９から高繰返し
パルス電圧（ＨＶパルス）が印加されると、まず、ＨＶ
パルス→バラストインダクタンス６→ピン状予備電離電
極３→板状予備電離電極４→ピーキングコンデンサ５の
回路に電流が流れ、ピーキングコンデンサ５が充電され
る。この時、ピン状予備電離電極３と板状予備電離電極
４間の小ギャップで起こるスパーク放電によって紫外線
７が発生する。この紫外線により光電離されて電子が生
成し、これにより第１の主電極１と第２の主電極２との
間の空間が予備電離される。

【０００７】続いて、充電を続けるピーキングコンデン
サ５に加わる電圧が主電極１，２間の放電破壊電圧に達
すると、主放電が開始しレーザ光が発生する。この際、
予備電離は主放電をグロー状の均一な放電とするために
用いられる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た様な構成を有する従来の高繰返しパルスレーザ電極に
は、以下に述べる様な解決すべき課題があった。即ち、
図５に示した様に、２つの主電極１，２に挟まれた空間
において、ピン状予備電離電極３を覆うように２枚の板
状予備電離電極４が配設されているため、予備電離され
る領域が限定される。そのため、予備電離の放電エネル
ギーが板状予備電離電極４の局所に集中し、時間ととも
に板状予備電離電極４はスパッタリング等によってその
形状が変化し、対向するピン状予備電離電極３の先端部
とのギャップ長が変化する。

【０００９】その結果、放電によって発生する紫外線の
強度が一様でなくなることにより、予備電離電子密度に
粗密を生じ、放電が不安定になる一因となっていた。そ
のため、主放電を安定した状態に維持することができ
ず、効率の良い高出力のレーザを得ることができなかっ
た。

【００１０】また、紫外線に替えてＸ線を用いる予備電
離方法が考えられるが、高繰返し動作に適さず、装置が
大型化しコストが大幅に増大するという欠点があった。

【００１１】本発明は、上述した様な従来技術の欠点を
解決するために提案されたもので、その目的は、予備電
離電極の変形を抑制し、対向する２つの主電極空間を広
い範囲にわたって均一に予備電離し、安定なグロー放電
を維持することによって、高出力のレーザ光を得ること
ができる、高効率の高繰返しパルスレーザ電極を提供す
ることにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、第１の主電極
と、前記第１の主電極に対向して配設された第２の主電
極を設け、この両電極の間にレーザガスを循環させる手
段を備え、これら両主電極間に生じる主放電に先立って
主放電空間を予備電離させる、ピン状及び板状の予備電
離電極から成る予備電離電極対を備えた高繰返しパルス
レーザ電極において、前記板状の予備電離電極の上端部
の、前記ピン状予備電離電極の先端部と対向する部分に
切り欠きを形成したことを特徴とするものである。

【００１３】

【作用】以上の様な構成を有する本発明の高繰返しパル
スレーザ電極によれば、対向配置されたピン状予備電離
電極の先端部と板状予備電離電極の切り欠きとの間で発
生する予備電離放電のエネルギーは、板状予備電離電極
の一部に集中することがないので、スパッタリングなど
によって板状予備電離電極が変形することを抑制するこ
とができる。また、これにより、安定且つ一様な予備電
離が可能となり、安定で励起強度の高いグロー放電を点
弧させることができる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１及び図２に基
づいて具体的に説明する。なお、図４及び図５に示した
従来型と同一の部材には同一の符号を付して、説明は省
略する。

【００１５】本実施例においては、図１及び図２に示し
た様に、主電極２の長手方向両側に配設された予備電離
電極対を構成する板状予備電離電極１０の上端部におい
て、各ピン状予備電離電極３の先端部と対向する部分
に、半円状の切り欠き１０ａが形成されている。そし
て、ピン状予備電離電極３のピン状金属３ａの側面と、
板状予備電離電極１０の切り欠き１０ａとの間で予備電
離放電を行うことができるように構成されている。

【００１６】なお、前記板状予備電離電極１０とピン状
予備電離電極３とのギャップは、１ｍｍ程度となるよう
に配設されている。また、その他の電気回路の構成は従
来例と同様であり、動作原理も同じである。

【００１７】この様な構成を有する本実施例の高繰返し
パルスレーザ電極における動作及び作用を以下に説明す
る。即ち、ピン状予備電離電極３に高繰返しパルス電圧
（ＨＶパルス）が印加されると、バラストインダクタン
ス６の作用で、各ピン状予備電離電極３に等しく電流が
分流される。この電流によりピン状予備電離電極３の先
端部側面と、そこから最も近い金属端であるところの、
対向配置された板状予備電離電極１０の切り欠き部１０
ａとの間の小ギャップにおいてスパーク放電が発生し、
これにより生じた紫外線７が主電極１，２間へ放出され
る。

【００１８】また、この電流は板状予備電離電極１０を
介して主電極２からピーキングコンデンサ５を充電しな
がら、主電極からアースに流れる。そして、ピーキング
コンデンサ５の電圧が上昇して、主電極１と主電極２の
間に充填されているレーザガスの放電破壊電圧に到達す
ると、両主電極間に主放電が点弧して、光共振器（図示
せず）の作用でレーザ光が発生する。

【００１９】この様に、本実施例の高繰返しパルスレー
ザ電極を用いると、予備電離放電は従来のピン状予備電
離電極３の先端部と板状予備電離電極４の上端面との間
の点状の放電ではなく、ピン状予備電離電極３の先端部
側面と板状予備電離電極１０の切り欠き部１０ａの側面
との間の放電となる。このため、放電エネルギーが一点
に集中することはなく、板状予備電離電極１０のスパッ
タリングなどによる変形は抑制され、安定且つ一様な予
備電離放電が得られるようになる。

【００２０】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではなく、板状予備電離電極の形状は、図３
（Ａ）〜（Ｃ）に示した様に、ピン状予備電離電極３の
先端部に対向する部分を切り欠いたものであれば、どの
ような形状でも良い。また、板状予備電離電極に対向し
て配設されるピン状予備電離電極もどのような形状でも
良く、角棒状あるいはバラストコイルの回路状に位置を
変更すれば、全部が一体化した板状のものでも良い。

【００２１】

【発明の効果】以上述べた様に、本発明によれば、予備
電離電極対を構成する板状の予備電離電極の上端部にお
いて、ピン状予備電離電極の先端部と対向する部分に切
り欠きを形成することにより、予備電離電極の変形を抑
制し、対向する２つの主電極空間を広い範囲にわたって
均一に予備電離し、安定なグロー放電を維持することに
よって、高出力のレーザ光を得ることができる、高効率
の高繰返しパルスレーザ電極を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の高繰返しパルスレーザ電極の一実施例
を示す斜視図

【図２】図１に示した実施例の断面図

【図３】（Ａ）〜（Ｃ）は、本発明の他の実施例を示す
側面図

【図４】従来の高繰返しパルスレーザ電極の一例を示す
斜視図

【図５】図４の断面図

【符号の説明】

１…第１の主電極２…第２の主電極３…ピン状予備電離電極３ａ…ピン状金属３ｂ…絶縁物４…板状予備電離電極５…ピーキングコンデンサ６…バラストインダクタンス７…紫外線８…レーザガス流９…高圧電源１０…板状予備電離電極１０ａ…切り欠き

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者雨森清行東京都府中市晴見町２丁目24番の１東芝エフエーシステムエンジニアリング株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】第１の主電極と、前記第１の主電極に対
向して配設された第２の主電極を設け、この両電極の間
にレーザガスを循環させる手段を備え、これら両主電極
間に生じる主放電に先立って主放電空間を予備電離させ
る、ピン状及び板状の予備電離電極から成る予備電離電
極対を備えた高繰返しパルスレーザ電極において、前記板状の予備電離電極の上端部において、前記ピン状
予備電離電極の先端部と対向する部分に切り欠きを形成
したことを特徴とする高繰返しパルスレーザ電極。