JPH0525918Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、昇華性染料もしくは熱熔融移行性染
料等の染料を転写層中に含む感熱転写記録体によ
り加熱転写記録が可能な受像層形成用の転写シー
トに関し、特に加熱転写記録が不可能な薄紙やフ
イルムでもその一部を転写することにより加熱転
写記録が可能な受像体とすることが可能な受像層
形成用転写シートに関する。

（従来の技術およびその問題点） 近年、ビデオ信号等から感熱転写記録方式によ
り、写真調の連続階調を有する転写物を得る方法
が普及しつつある。連続調の転写物を得るには、
支持体上の一方の面に昇華性染料や熱熔融移行性
染料を含有する転写層を設けて成る感熱転写記録
体がよく使用されている。この記録体からの転写
画像を記録するための感熱転写用受像体として
は、昇華性染料や熱熔融移行性染料に可染性の樹
脂から成るものや、白地の支持体上に予め可染樹
脂層を設けたものが使用されている。

このように、以上のような構成の記録体では基体
上に可染樹脂層が予め設けられた専用の受像体を
用意せねばならず、所望の用紙或いはシート等の
印字対象物に印字したいという最近の要求を満す
ことはできなかつた。

本考案は上記事情に鑑みなされたもので、昇華
性染料もしくは熱熔融移行性染料等の染料を転写
層中に含む感熱転写記録体では転写記録が本来不
可能な薄紙やフイルムでもその一部を薄紙やフイ
ルムに転写することにより加熱転写記録が可能な
受像体とすることが可能な受像層形成用転写シー
トの提供を目的とする。

（問題点を解決するための手段） 以上の目的を達成すべく成された本考案は、第
１図に示される如く、支持体１の片側に剥離層２
とポリエステル樹脂からなる染料可染樹脂層３と
ポリアミド樹脂、エチレン−酢ビ共重合体樹脂か
らなる群から選択される接着層４とがこの順序で
少なくとも積層されていることを特徴とする受像
層形成用転写シートである。

支持体１としては、耐熱処理を施したポリエチ
レンテレフタレートフイルム、ポリプロピレンフ
イルム、コンデンサーペーパー等が適用できる。

この支持体１上の剥離層２としては、更にこの
剥離層２上に設ける染料可染樹脂層３を容易に剥
離可能で、しかも支持体１との密着性が良好な層
であることが望まれる。このような要求から、後
述する染料可染樹脂層３を構成するポリエステル
樹脂との相容性の低い樹脂である必要があるの
で、この剥離層２はウレタン樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂、アクリル樹脂等で構成することが望まれ
る。

一方、染料可染樹脂層３は、昇華性染料や熱熔
融移行性染料に対して可染性の樹脂であり、かつ
染色後の染料の固着性の良い、ポリエステル樹脂
で構成され、上記染料による熱転写画像を得るた
めの層である。

また、接着層４は、本来感熱転写記録特性を持
たない薄紙やフイルム等の上に前記染料可染樹脂
層３を転写・固着化し、前記薄紙やフイルムに感
熱転写記録特性を付与するためのものであり、染
料可染樹脂層３と一体となつて受像層形成用シー
ト５側から剥離する。従つて、この接着層４を構
成する物質としては、被転写物に強固に接着し、
染料可染樹脂層３と相容性が高く、染料可染樹脂
層３を強固に保持する樹脂が適用できる。具体的
には、ポリアミド樹脂、エチレン−酢ビ共重合体
樹脂である。

これらの各層を設ける方法としては、フイルム
をラミネートする方法、または有機溶剤に樹脂を
溶解して得られる組成物をコーテイングする方
法、あるいはモノマー及びアリゴマーを塗工し、
活性光線で架橋硬化させる方法等が採用できる。

以上の構成の受像層形成用転写シート５は、感
熱転写特性を付与する紙やフイルム上にその接着
層４が接するように重ね合せ、サーマルプリンタ
ー、アイロン等で転写シート５の基材側から加圧
または加熱加圧すると、接着層がシートに溶融接
着あるいは加圧接着し、転写シートを剥そうとす
ると、剥離層２と染料可染樹脂層３との境界から
剥れ、所望の紙やフイルム上に接着層と染料可染
樹脂層３が転写され、感熱転写特性を付与された
受像体が得られる。これに昇華性染料あるいは熱
熔融移行性染料等を転写層に含む感熱転写記録体
を用いて印字すれば前記工程で得られた受像体に
階調転写像を得られる。

以下、図面を参照にして本考案を詳細に説明す
る。

（実施例） 表面に剥離層２としてのポリプロピレンフイル
ムがラミネートされたPPラミ紙上にポリエステ
ル樹脂２重量部、トルエン／メチルケトン＝1/1
から成る溶剤８重量部、硬化剤１重量部から成る
樹脂組成分を固形分４ｇ／m²となるように塗工
し、染料可染樹脂層３を形成した。

さらに、エチレン酢ビ共重合体２重量部、トル
エン／メチルエチルケトン＝1/1からなる溶剤８
重量部から成る樹脂組成物を固形分２ｇ／m²とな
るように塗工し、接着層４を形成した。

以上の様にして得られた受像層形成用転写シー
ト５に王子油化合成紙社製の合成紙（商品名 ユ
ポ、150μｍ）を重ねて受像層形成用転写シート
の支持体面から150℃、３秒間でアイロンプレス
を施し、PPラミ紙を剥した。

得られた受像体に日立製作所製のVY−50ビデ
オプリンターと昇華性染料を転写層中に有する感
熱転写記録体とを用いて階調画像を印画したとこ
ろ、従来の専用用紙と同等の印画物を得た。

（効果） 本考案は以上のような構成であるので、その接
着層面を印字対象物上に当接させて支持体側から
加熱加圧又は加圧することにより、印字対象物上
に接着層を介して染料可染樹脂層が転移でき、本
来感熱転写特性を持たない印字対象物に前記特性
を付与することが可能となり、種々の対象物に印
画ができるようになる。従つて、所謂昇華感熱転
写法の対応性を飛躍的に拡大できる。なお、染料
可染樹脂層は、ポリエステル樹脂で構成されるの
で、昇華性染料や熱熔融移行性染料に対して可染
性であり、かつ染色後の染料の固着性が良い。さ
らに接着層は、ポリアミド樹脂、エチレン−酢ビ
共重合体樹脂で構成されるので、染料可染樹脂層
と相容性が高く、染料可染樹脂層を強固に保持す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の概略構成説明図である。 １……支持体、２……剥離層、３……染料可染
樹脂層、４……接着層、５……受像体形成用転写
シート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 支持体の片側に剥離層とポリエステル樹脂か
   らなる染料可染樹脂層とポリアミド樹脂、エチ
   レン−酢ビ共重合体樹脂からなる群から選択さ
   れる接着層とがこの順序で少なくとも積層され
   ていることを特徴とする受像層形成用転写シー
   ト。 (2) 剥離層が、ウレタン樹脂、ポリプロピレン樹
   脂、アクリル樹脂からなる群から選択される樹
   脂からなることを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲１記載の受像層形成用転写シート。