JPH0525888Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はグラビア印刷機において版胴にインキ
を供給するために使用するフアーニツシヤローラ
に関する。

〔従来の技術〕

従来より、グラビア印刷機の版胴にインキを供
給するため、版胴に適当な接圧で接触して回転す
るフアーニツシヤローラが使用されている。この
フアーニツシヤローラには版胴に対して適度の周
速比をもつて回転するよう、駆動装置が連結され
ている。また、版胴の版面がフアーニツシヤロー
ラに直接接触して損傷するのを防止するため、版
面とフアーニツシヤローラとの間に適当な間隙が
存するようフアーニツシヤローラの両端部に皮
革、硬質ゴムなどのリングを嵌合し、そのリング
を版胴に接触させてフアーニツシヤローラを摩擦
駆動することも公知（実公昭28−10408号公報）
である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述の駆動装置に連結される従
来のフアーニツシヤローラにあつては駆動装置と
その連結手段との関係で取付構造が複雑になる欠
点があつた。すなわち、フアーニツシヤローラは
版胴径に合わせて位置調整をする必要があるが、
駆動系に連結しているため、位置を変更しても駆
動系に対して常に連結関係を保つ機構が必要であ
り、この機構が複雑であつた。

また、フアーニツシヤローラは、通常その軸の
両端がアーム等に保持されて、インキパン上方か
らインキパン内に配置され且つ駆動のためのチエ
ーン、ベルト等がインキパン上方に延び出すた
め、インキパンの上方にカバーを取付けることが
難しく、インキパン上面は開放されている。その
ために、インキ中の溶剤分の蒸発量が多く、イン
キの粘度が大きく変化し印刷品質が安定化しない
だけでなく溶剤臭が拡散して環境汚染の問題もあ
つた。

それを解決するために、フアーニツシヤローラ
の駆動装置を省略し、フアーニツシヤローラを回
転自在としておき版胴によつて摩擦駆動すること
が考えられる。

しかし、版胴とフアーニツシヤローラとの間に
インキが介在するから、単に、フアーニツシヤロ
ーラを回転自在にし版胴に押し付けるだけでは、
両者間にすべりが生じて、フアーニツシヤローラ
の充分な回転が得られず、良好なインキ供給がで
きない。

さらに、上掲公知（実公昭28−10408号）の方
法は、フアーニツシヤローラの両端に嵌合したリ
ングを版胴に押し付け、リング面だけで摩擦駆動
するものであるから付着したインキの影響を受け
易く回転にムラが生じる虞がある。そして、フア
ーニツシヤローラと版面との間に間隙を設けるか
ら、版面のインキセル（孔）にインキを圧入的に
充填して、確実に供給するというフアーニツシヤ
ローラ本来の機能は著しく減殺されることにな
る。

本考案はかかる従来の問題に鑑みて為されたも
ので駆動装置を必要とせず、安定して回転しイン
キを確実に版面に供給することの可能なフアーニ
ツシヤローラを提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案者らは、かかる目的を達成すべく鋭意研
究の結果、フアーニツシヤローラの表面に溝を形
成すると版胴によつてフアーニツシヤローラが摩
擦駆動されることを見出した。そして、フアーニ
ツシヤローラ全面に溝を設けるとインキの供給は
不均一になるが、両端のみに溝を設けた場合には
インキを均一に供給しうることを見出した。

本考案はかかる知見に基づいて考案されたもの
で、回転自在に且つ版胴に押し付けるように軸支
持されたフアーニツシヤローラであつて、その両
端の円周面に複数の溝を形成したことを特徴とす
るフアーニツシヤローラを要旨とする。

〔作用〕

本考案のフアーニツシヤローラは、その円周面
全面に溝を設けることなく、版胴の版面の画像の
ない部分と接触する円周面の両端部のみに複数の
溝を穿設したから、フアーニツシヤローラ上のイ
ンキは、フアーニツシヤローラと版胴との接触部
分でインキセルに圧入充填されるので、インキ供
給が均一で確実である。

そして、余剰インキは、その近傍の溝内に流入
するので、余剰インキの排出が速やかになる。こ
のため、フアーニツシヤローラ外周面と版胴との
間に存在するインキ層はきわめて薄くなり、摩擦
力が増大するので回転自在に設けたフアーニツシ
ヤローラは摩擦回転することになる。そのフアー
ニツシヤローラの周速は、版胴との間に生じるス
リツプのため版胴の周速に比べ1/2〜1/10となり、
それによつて、インキ飛散のない好適な速度の選
択が可能である。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を説明する。

第１図及び第２図は本考案の実施例を示すもの
で、１は版胴、２はドクター、３はインキパンで
ある。

インキパン３内にはフアーニツシヤローラ４が
配置される。このフアーニツシヤローラ４はその
軸の両端を軸受５で回転可能に保持されており、
軸受５は適当なガイド〔図示せず〕により上下動
可能に案内され、且つ、ばね６により保持されて
いる。

フアーニツシヤローラ４の両端には、その円周
面に複数の溝７が端面まで穿設されている。溝７
は版胴１の版面の画像の無い位置に接触するよ
う、両端のみに設けられている。

フアーニツシヤローラ４には何等の駆動装置も
接続されていないから、フアーニツシヤローラか
らインキパン上方に延び出す部品は何等無い。

インキパン３のフアーニツシヤローラ上方の上
面にはその全域を覆うインキハネ防止カバー８が
取付けられる。

なお、図中、９はインキ投入部、１０はインキ
投入部蓋、１１はドレイン弁、１２はインキハネ
防止エプロンである。

上記構造において、インキパン３が版胴１に対
して適当な高さ位置に設定すると、フアーニツシ
ヤローラ４は版胴１に押付けられるように、ばね
６により附勢される。この状態で版胴１が回転す
ると、版胴１との摩擦によりフアーニツシヤロー
ラ５は矢印で示す方向に回転し、インキパン３内
のインキをすくい上げて、版胴１に供給する。

このため、フアーニツシヤローラ５に連結する
駆動装置がなくても、フアーニツシヤローラ５は
回転して版胴にインキを供給することができる。

〔考案の効果〕

以上に説明したように、本考案のフアーニツシ
ヤローラは、両端の円周面に溝を設けているの
で、版胴に押付けることにより好適な周速で摩擦
回転することが可能である。

この結果、従来のように、駆動装置を連結する
必要がないので装置を簡略化することができる。
しかも、図示実施例のように、フアーニツシヤロ
ーラをインキパン内に収納することができ、フア
ーニツシヤローラの保持機構を簡略化することが
できると共に、版胴径を替えた場合にもインキパ
ンを適当な高さに設定することにより、フアーニ
ツシヤローラが版胴にばねで押付けられることと
なり調整が容易となる。更に、図示実施例のよう
に、フアーニツシヤローラをインキパン内に完全
に収納すると、インキパン上面の全域を覆うイン
キハネ防止カバーを設けることが可能になるので
ゴミの侵入を防ぎ、インキ中の溶剤分の蒸発を防
止し得て、印刷品質の向上を図り、環境汚染を防
止することができる。

さらに、本考案のフアーニツシヤローラは、版
胴の版面の画像のない部分と接触する円周面の両
端部のみに複数の溝を穿設したから、フアーニツ
シヤローラ上のインキは、フアーニツシヤローラ
と版胴との接触部分でインキセルに圧入充填され
るので、インキ供給が均一で確実である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例のフアーニツシヤロ
ーラを備えたインキパンを示す概略斜視図、第２
図はそのインキパン及び版胴等を示す概略断面図
である。 １……版胴、２……ドクター、３……インキパ
ン、４……フアーニツシヤローラ、５……軸受、
６……ばね、７……溝、８……インキハネ防止カ
バー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 駆動装置に連結せずして、回転自在に軸支持５
   され且つ版胴１に押し付けるように附勢６された
   フアーニツシヤローラであつて、版面の画像の無
   い部分に接する両端の円周面に端面に通じる複数
   の溝７を穿設したことを特徴とするフアーニツシ
   ヤローラ。