JPH05255820A - 恒透磁率性を有するFe基合金とその製造方法、およびそれを用いたFe基磁心 - Google Patents

恒透磁率性を有するFe基合金とその製造方法、およびそれを用いたFe基磁心

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JPH05255820A
JPH05255820A JP5001855A JP185593A JPH05255820A JP H05255820 A JPH05255820 A JP H05255820A JP 5001855 A JP5001855 A JP 5001855A JP 185593 A JP185593 A JP 185593A JP H05255820 A JPH05255820 A JP H05255820A
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alloy
magnetic
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crystal grains
temperature
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JP5001855A
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Takao Sawa
孝雄 沢
Takamichi Inaba
隆道 稲葉
Yumiko Takahashi
由美子 高橋
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高周波域において高飽和磁束密度および低損
失を示し、かつ優れた直流重畳特性が得られるFe基合金
およびその製造方法を提供する。 【構成】 一般式:(Fe1-x Mx a Xb M′c M″d
Xe Zf (式中、 XはCu、Au等、 MはCo、Ni等、 M′は
4A族元素、5A族元素、6A族元素、希土類元素等、M″はM
n、白金族元素等、 a+b+c+d+e+f=100、0.01≦ b≦ 8、
0.01≦ c≦10、0≦ d≦10、 0≦ e≦25、 3≦ f≦25、1
5≦ e+f≦30 (at%)、 0≦ x≦ 0.5)で組成が実質的に
表されるFe基合金である。その合金組織は、平均結晶粒
径が 5nm〜 100nmの範囲の微細結晶粒を有し、かつ微細
結晶粒の一部として FeB系化合物や FeP系化合物を含有
している。 FeB系化合物や FeP系化合物は、Fe基合金溶
湯をアモルファス化した後、その合金の第2結晶化温度
に対して-100℃〜 +50℃の温度で熱処理することにより
析出させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、恒透磁率性を有するFe
基合金とその製造方法、およびそれを用いた恒透磁率性
を有するFe基磁心に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スイッチングレギュレータ等の高
周波域で使用される磁心には、パーマロイ、フェライト
等の結晶質材料が主に用いられてきた。しかし、パーマ
ロイは比抵抗が小さいため、高周波域での鉄損が大きい
という欠点を有していた。また、フェライトは高周波域
での損失は小さいものの、磁束密度もせいぜい 5000Gと
小さいため、大きな動作磁束密度で使用すると飽和に近
くなり、その結果として鉄損が増大する。近時、スイッ
チングレギュレータに使用される電源トランス、平滑チ
ョークコイル、コモンモードチョークコイル等には、形
状の小形化が望まれているが、この場合、動作磁束密度
の増大が必要となるため、フェライトの損失増大は実用
上大きな問題となる。
【0003】そこで、結晶構造を持たないアモルファス
磁性合金が、高透磁率、低保磁力等の優れた軟磁気特性
を示すことから注目を集め、一部実用化されている。こ
のアモルファス磁性合金は、Fe、Co、Ni等を基本とし、
これに非晶質化元素として P、 B、Si、 C、Al、Ge等を
添加したものである。しかし、これらアモルファス磁性
合金の全てが高周波域で鉄損が小さいというわけではな
い。
【0004】例えば、Fe基アモルファス合金は、安価
で、50Hz〜60Hzの低周波域ではケイ素鋼の約 1/4という
非常に小さい鉄損を示すが、 10kHz〜 50kHzという高周
波域にあっては著しく大きな鉄損を示し、とてもスイッ
チングレギュレータ等の高周波域での使用に適合するも
のではない。これを改善するために、Feの一部をNb、M
o、Cr等の非磁性金属で置換することにより低磁歪化
し、低鉄損、高透磁率を図っているが十分とは言えず、
また例えば樹脂モールド時の樹脂の硬化収縮等による磁
気特性の劣化が比較的大きいため、高周波域で用いられ
る軟磁性材料として十分な特性を得られるには至ってい
ない。
【0005】一方、 Fe-Si-B系にCuをNb等と共に添加し
た合金溶湯を、超急冷して一旦アモルファス状態とした
後、その結晶化温度以上の温度で熱処理を施し、平均粒
径が10nm程度の微細な結晶粒を析出させることによっ
て、優れた軟磁気特性が得られることが知られている
(例えば EPO-0271657参照)。このような微細結晶粒を
有するFe基軟磁性合金の磁気特性は、例えば直流保磁力
5mOe 、非透磁率105 (1kHz) であり、また高周波域に
おいても低損失を示す。
【0006】上述した微細結晶粒を有するFe基軟磁性合
金は、高透磁率が必要とされるような用途には適するも
のの、優れた直流重畳特性が要求されるような用途、例
えばチョークコイルやトランス等として使用する場合に
は、低磁場で容易に飽和状態に達してしまうことから、
そのままでは使用することができない。このような場合
には、上記微細結晶粒を有するFe基軟磁性合金の薄帯を
巻回する等によって作製した磁心に、磁気的なギャップ
を形成する必要がある。このため、樹脂含浸、キュアお
よびギャップ形成のための切断等の工程が必要となるた
め、磁心の製造工程が非常に複雑となり、製造コストが
大幅に増大してしまうという問題があった。また、ギャ
ップを形成することによって、トランス等として使用す
る際の温度上昇が大きくなり、例えば電源効率を低下さ
せる等、特性上の劣化をも招いていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、Fe基
の軟磁性合金は、基本的にCo基に比べて安価であるとい
う特徴を有するものの、従来のFe基アモルファス合金は
高周波域での低損失化が十分に達成されていないという
問題を有していた。一方、微細結晶粒を有するFe基軟磁
性合金は、高周波域において低損失が得られているもの
の、チョークコイルやトランスのように、優れた直流重
畳特性が要求されるような用途には、直接的には適さな
いため、磁気的なギャップを形成することにより対応し
ていた。しかし、ギャップの形成は、製造コストの増大
を招くのみならず、温度上昇が起り易くなることから、
特性上の劣化をも招くという問題があった。
【0008】このようなことから、高周波域において高
飽和磁束密度および低損失が得られ、かつ切断によるギ
ャップ等を形成することなく、優れた直流重畳特性が得
られる、チョークコイルや高周波トランス等に適したFe
基軟磁性合金の出現が強く望まれていた。
【0009】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、高周波域において高飽和磁束密度お
よび低損失を示し、かつ優れた直流重畳特性が得られ
る、恒透磁率性を有するFe基合金およびその製造方法を
提供することを目的としており、また他の目的は、切断
等によりギャップを形成することなく、優れた直流重畳
特性が要求されるチョークコイルやトランス等として使
用することが可能な恒透磁率性を有するFe基磁心を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の恒透磁率
性を有するFe基合金は、 一般式:(Fe1-x Mx a Xb M′c M″d Xe Zf ……(1) (式中、 XはCuおよびAuから選ばれる少なくとも 1種の
元素を、 MはCoおよびNiから選ばれる少なくとも 1種の
元素を、 M′は周期律表4A族元素、5A族元素、6A族元素
および希土類元素から選ばれる少なくとも 1種の元素
を、 M″はMnおよび白金族元素から選ばれる少なくとも
1種の元素を、 XはSi、 C、 N、Ge、GaおよびAlから選
ばれる少なくとも 1種の元素を、 Zは Bおよび Pから選
ばれる少なくとも 1種の元素を示し、 a、 b、 c、 d、
eおよび fは a+b+c+d+e+f=100、0.01≦ b≦ 8、0.01≦
c≦10、 0≦ d≦10、 0≦ e≦25、 3≦ f≦25、15≦e+
f ≦30(at%)をそれぞれ満足する数を、かつ xは 0≦ x
≦ 0.5を満足する数を示す)で組成が実質的に表される
Fe基合金であって、その合金組織内に平均結晶粒径が 5
nm〜 100nmの範囲の微細結晶粒を有し、かつ前記微細結
晶粒の一部がFeと Bおよび/または Pとを主とする化合
物、すなわち FeB系化合物や FeP系化合物からなること
を特徴としている。
【0011】また、本発明の恒透磁率性を有するFe基合
金の製造方法は、上記一般式で表される組成を満足する
合金溶湯を超急冷してアモルファス化する工程と、この
アモルファス化した合金に、その合金の第2結晶化温度
に対して-100℃〜 +50℃の範囲の温度で熱処理を施し、
Feと Bおよび/または Pとを主とする化合物を含む微細
結晶粒を面積比で 50%以上析出させる工程とを有するこ
とを特徴としている。さらに、本発明の恒透磁率性を有
するFe基磁心は、上記恒透磁率性を有するFe基合金から
なる薄帯の巻回体または積層体を具備することを特徴と
している。
【0012】本発明のFe基合金は、基本的に上記 (1)式
で表される組成を有するものである。以下に、組成限定
理由について説明する。X元素は、耐食性を高め、結晶
粒の粗大化を防ぐと共に、鉄損、透磁率等の軟磁気特性
を改善するのに有効な元素である。特に、 bcc相の低温
での早期析出に有効である。その量があまり少ないと添
加の効果が得られず、逆にあまり多いと飽和磁束密度が
低下するため、 X元素の添加量は 0.01at%〜8at%の範囲
とする。好ましくは0.1at%〜5at%の範囲である。特に、
優れた軟磁気特性を得る上では、Cuを用いることが好ま
しい。
【0013】また、 M元素は、飽和磁束密度の改善に有
効であり、これにより磁歪や軟磁気特性の改善等の効果
を有している。ただし、その添加量をあまり多くしすぎ
ると、逆に飽和磁束密度が低下するため、Feとの置換量
を示す xの値が 0.5以下となるように添加量を設定す
る。
【0014】M′元素は、結晶粒径の均一化に有効であ
ると共に、磁歪および磁気異方性を低減させ、軟磁気特
性の改善および温度変化に対する磁気特性の改善に有効
な元素である。特に、 bcc相を安定化させるのに有効で
あり、 X元素との複合添加により bcc相をより広い温度
範囲で安定化させることができる。このため、 FeB系化
合物や FeP系化合物の析出をコントロールするのに有効
である。その量があまり少ないと添加の効果が得られ
ず、逆にあまり多いと非結晶質化がなされず、さらに飽
和磁束密度が低くなるため、 M′元素の添加量は 0.01a
t%〜 10at%の範囲とする。好ましくは1at%〜8at%の範囲
である。
【0015】ここで、 M′元素としての各添加元素は、
上記した効果と共にさらにそれぞれ、4A族元素は最適磁
気特性を得るための熱処理条件の拡大、5A族元素は耐脆
化性の向上、6A族元素は耐食性および表面性の向上に有
効である。これらの中で、特にTa、Nb、 W、Moは高周波
鉄損の改善、 Vは耐脆化性と表面性の改善効果が顕著で
あり、好ましいものである。
【0016】また、 M″元素は、軟磁気特性の改善に有
効な元素である。ただし、その量があまり多いと飽和磁
束密度が低下するため、その添加量は 10at%以下とす
る。M″元素の中で、白金属元素は耐食性、耐摩耗性の
改善に有効な元素である。
【0017】Z元素(Bおよび Pの少なくとも一方)は、
薄帯製造時における合金の非晶質化に必須な元素である
と共に、微細結晶粒の一部となる FeB系化合物や FeP系
化合物の構成材料となる元素である。 Z元素の添加量が
3at%未満では、比較的粗大な結晶粒が析出し、良好な特
性が得られないと共に、 FeB系化合物粒子や FeP系化合
物粒子の析出量が不十分となり、直流重畳特性の向上効
果を十分に得ることができない。また、 25at%を超える
と、熱処理による磁気特性の制御が困難となる。 Z元素
のより好ましい添加範囲は5at%〜 20at%である。
【0018】また、 X元素は、薄帯製造時における合金
の非晶質化を助成する元素である。X元素の添加量が 25
at%を超えると超急冷効果が小さくなり、μm レベルの
比較的粗大な結晶粒が析出し易くなるため、良好な軟磁
気特性は得られない。また、X元素は Z元素との合計量
が 15at%〜 30at%の範囲となるように添加する。 X元素
と Z元素との合計量が 15at%未満であると、薄帯製造時
にアモルファス相中に一部結晶質が混在するため好まし
くなく、また 30at%を超えると、磁気特性の制御が困難
となる。 X元素のうち、特にSiは微細結晶粒の主成分で
あるFeに固溶し、磁歪や磁気異方性の低減に寄与する。
さらに、Siは規則格子を構成する元素であり、この規則
格子を出現させるためには、Si量を 10at%〜 22at%の範
囲とすることが好ましい。
【0019】そして、本発明のFe基合金は、上述した
(1)式の組成を基本的に満足する合金溶湯を超急冷し、
例えばアモルファス状態の長尺薄帯とした後、熱処理を
施して微細結晶粒を析出させる際に、bcc-Fe固溶体と共
に微細結晶粒の一部として、Feと Bおよび/または Pと
を主とする化合物、すなわち FeB系化合物や FeP系化合
物を析出させたものである。本発明のFe基合金の合金組
織は、微細結晶粒を主として構成するbcc-Fe固溶体とア
モルファス相以外に、微細結晶粒の一部として、FeB系
化合物や FeP系化合物を有している。 FeB系化合物とし
ては、例えば FeB、Fe2 B 、Fe23 B6 等が、また FeP系
化合物としては、例えば FeP、Fe2 P 、Fe3 P 等が挙げ
られる。ただし、これら化合物は、Feと Bおよび/また
は Pのみからなるものに限らず、一部 M′元素、 M″元
素、さらには M元素等を含む場合もあり、このような化
合物であっても本発明の効果を損なうものではない。な
お、合金組成により規則相が得られる場合があるが、規
則相の有無は本発明を制限するものではない。
【0020】すなわち、本発明の恒透磁率性を有するFe
基合金は、従来の微細結晶粒を有するFe基軟磁性合金に
おいては、軟磁気特性を低下させると考えられていた、
FeB系化合物や FeP系化合物を積極的に析出させること
により、他の磁気特性例えば鉄損をあまり劣化させるこ
となく、保磁力を適度に増大させ、これにより直流重畳
特性の向上を図ったものである。換言すれば、高周波域
における損失が少なく、かつ直流重畳特性に優れた、す
なわち恒透磁率性に優れたFe基合金となる。この優れた
直流重畳特性は、磁気ギャップを設けることなく得るこ
とができる。
【0021】なお、従来技術では第1結晶化温度以上で
の熱処理で、Fe(Si)固溶体からなる微細結晶粒が析出
し、一部アモルファス相が残っているが、本発明ではア
モルファス相の一部がより高温、長時間の熱処理を行う
ことで FeB系化合物や FeP系化合物として析出し、これ
により適度に磁気異方性が増大して、保磁力が増大する
ものと考えられる。このようにして得られるFe基合金の
保磁力は、直流重畳特性の観点から 0.5Oe 以上とする
ことが好ましく、さらに好ましくは10Oe 以上である。
【0022】上記したような FeB系化合物や FeP系化合
物は、そのFe基合金の第2結晶化温度に対して-100℃〜
+50℃の範囲の温度で熱処理を施すことにより、微細結
晶粒の一部として析出させることができる。ここで、上
記した合金の第2結晶化温度Tx2は、熱分析装置例えば
示差走査熱量計を用いて、10℃/分の割合で昇温して得
られる 2番目の発熱ピークに基く温度を示すものとす
る。具体的には、図1に示すDSC曲線を例として説明
すると、変化のない温度域から延長した線aと、第2の
発熱ピークの勾配の最も大きい温度点からの接線bとの
交点の温度を、第2結晶化温度Tx2と定義する。
【0023】上記した熱処理温度が(Tx2-100)℃より
低いと、 FeB系化合物や FeP系化合物の析出が不十分と
なり、結果として直流重畳特性が悪くなる。また、(T
x2 +50)℃より高いと、透磁率が低くなりすぎ、インダ
クタとしての機能が得られない。このような温度による
熱処理時間は、その温度に応じて、 1分〜 100時間の範
囲から適宜設定することが好ましい。また、これら熱処
理は、 FeB系化合物やFeP系化合物を含む微細結晶粒が
面積比で 50%以上析出するように設定する。微細結晶粒
が少ないと、すなわちアモルファス相が多すぎると、鉄
損と磁歪が大きくなり、磁心とした場合に不都合が生じ
る。また、この微細結晶粒の平均結晶粒径は 5nm〜 100
nmの範囲となるように、熱処理条件を設定する。平均結
晶粒径が5nm未満では直流重畳特性が劣化し、また 100n
mを超えると鉄損が大きくなりすぎる。微細結晶粒のよ
り好ましい平均結晶粒径は 6nm〜50nmの範囲であり、さ
らに好ましくは 8nm〜30nmの範囲である。
【0024】ここで、微細結晶粒の平均結晶粒径の測定
法について説明する。一般に、 1個の結晶は単結晶と見
なせる複数の結晶子からなる。しかし、本発明のFe基合
金における結晶粒のように、微細な結晶構造を有する場
合には、 1個の結晶が単結晶であると考えられるため、
結晶子の大きさがそのまま粒子径となる。結晶子の大き
さは、一般にX線回折法により測定される。しかし、結
晶子が微細になると、得られる回折プロファイルの幅が
拡がり、その幅の取扱いによっては測定誤差が増大する
おそれがある。一般に結晶子の大きさDと回折プロファ
イルの幅βとの関係は、下記のScherrerの式で与えられ
る。
【0025】D=(K・λ)/(β cosθ) ここで、λはX線の波長、θはBragg angle 、Kは比例
定数である。本発明における微細結晶粒の平均結晶粒径
は、上記のX線回折法により、同一試料について10回以
上測定して得た結晶子の大きさの測定値を、算術平均し
た値を指すものとする。
【0026】本発明のFe基磁心は、例えば以下のように
して製造される。すなわち、まず上記した組成に予め調
合した合金を溶融した後、高速移動する冷却体上に射出
して、アモルファス状態あるいは一部に結晶質を含む長
尺薄帯を作製する。この薄帯を所定の内径、外径および
高さとなるように、巻回または積層することによって磁
心を成形する。なお、成形前に薄帯表面に金属アルコキ
シド等による絶縁処理を施してもよい。また、磁心の端
末は、レーザー処理、溶接等の熱的付与により止めても
よいし、テープ接着により止めてもよい。この後、上述
した条件で熱処理を行い、所定の磁気特性を得る。この
際、熱処理の雰囲気は、窒素中やAr中等の不活性雰囲気
中、真空中、大気中のいずれでもよい。
【0027】本発明のFe基磁心は、高周波用途の磁心に
有効であり、特に高周波トランス、コモンモードチョー
クコイル、ノーマルモードチョークコイル、平滑チョー
クコイル等に有効である。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0029】実施例1、比較例1〜5 Fe74Cu1 Nb3 Si14 B8 なる合金を溶融し、その溶湯を単
ロール法によって超急冷して、幅10mm、板厚16μm のア
モルファス薄帯とした。この実施例の合金の結晶化過程
を図1に示す。図1は、示差走査熱量計を用いて、10℃
/分の割合で昇温した際に得られたDSC曲線である。
同図から、通常言われている結晶化温度(Tx1)は 521
℃であり、第2結晶化温度Tx2は 666℃であることが分
かる。
【0030】次に、上記したアモルファス薄帯を巻回し
て、外径21mm、内径14mmの磁心形状に成形した後、 600
℃((Tx2 -66)℃)で 4時間、窒素雰囲気中で熱処理
を行った。なお、薄帯の終端はスポット溶接により端末
止めを行った。
【0031】また、本発明との比較として、上記アモル
ファス薄帯を実施例と同一形状に成形したものを、第1
結晶化温度Tx1以下の 460℃で 1時間(比較例1)、 5
50℃((Tx2-116)℃)で 1時間(比較例2)、および
薄帯幅方向に2kOe の直流磁場を印加しながら 550℃
((Tx2-116)℃)で 1時間(比較例3)熱処理し、そ
れぞれ磁心を作製した。いずれも熱処理後の冷却は 200
℃まで 5℃/分で降温している。さらには、上記比較例
1、2による磁心を、それぞれエポキシ樹脂で含浸し、
キュアした後、ダイアモンドカッタで磁心を切断し、μ
=300となるようにギャップ長を調整した磁心をそれぞれ
作製した(比較例4、5)。
【0032】上記実施例1および比較例2の磁心のX線
回折パターンを、図2および図3にそれぞれ示す。これ
らの図から明らかなように、第2結晶化温度Tx2に対し
て-100℃〜 +50℃の範囲の温度で熱処理した実施例1の
Fe基合金は、bcc-Fe固溶体のピークと共に FeB化合物の
ピークが出現しているのに対し、第2結晶化温度Tx2
対して-100℃より低い温度で熱処理した比較例2のFe基
合金では、bcc-Fe固溶体のみしか析出していないことが
分かる。
【0033】また、実施例1によるFe基合金中の微細結
晶粒の平均結晶粒径は25nmで、かつ微細結晶粒の面積比
は 90%であった。また、比較例2によるFe基合金中の微
細結晶粒の平均結晶粒径は10nmで、かつ微細結晶粒の面
積比は 80%であった。なお、上記平均結晶粒径は、いず
れも前述したX線回折法に基く方法によって求めた値で
ある。
【0034】次に、上記実施例および比較例による各磁
心の直流磁気特性を測定したところ、表1に示すよう
に、実施例1の磁心では保磁力が 2.8Oe であったのに
対し、比較例1、2、3ではそれぞれ0.01Oe 、 0.006
Oe 、0.02Oe と小さく、また樹脂含浸し切断した比較
例4、5の磁心は読み取れなかった。
【0035】また、LCRメータを用いて透磁率を測定
したところ、1kHz、2mOe の条件で、実施例1の磁心は
280であり、比較例1、2、3の磁心はそれぞれ8800、
93000、 32000であった。なお、磁気的なギャップを形
成した比較例4、5の磁心は、上記した通り 300となる
ようにしてある。さらに、高周波損失をU関数計を用い
て、100kHz、 2kGの条件で評価したところ、実施例1の
磁心は750mW/cc、比較例1の磁心は830mW/cc、比較例2
の磁心は380mW/cc、比較例3の磁心は 450mW/cc 、比較
例5の磁心は780mW/ccといずれも低損失が得られたが、
比較例4の磁心のみは 2400mW/ccと大きな値を示した。
【0036】
【表1】 これら各磁心の直流重畳特性を評価したところ、図4に
示すように、実施例1による磁心は、磁気的なギャップ
を形成した比較例4、5の磁心と同様に、良好な結果が
得られた。これらに対して、 FeB化合物を析出させず、
かつギャップを形成していない比較例1、2、3の各磁
心は、直流重畳特性に劣り、チョークコイルやトランス
等として使用し得るものではないことが明らかである。
【0037】これらのことから、本発明のFe基合金を用
いることにより、簡単なプロセスで(低コストで)、低
損失と優れた直流重畳特性が得られるFe基磁心を作製で
きることが明らかである。
【0038】実施例2 実施例1と同様に、表2および表3に組成を示した各合
金を、単ロール法によりそれぞれ幅10mm、板厚15μm の
アモルファス薄帯とした後、それぞれ実施例1と同一の
磁心形状に成形した。この後、表2および表3に示すよ
うに、それぞれの合金の第2結晶化温度に対する各温度
で、それぞれの設定時間により窒素雰囲気中で熱処理
し、それぞれFe基磁心を作製した。
【0039】これら各磁心の透磁率、保磁力、鉄損(100
kHz,2kG)および直流重畳特性を実施例1と同様な方法で
評価した。それらの結果を各磁心の平均結晶粒径と共
に、表2および表3に示す。本発明による各磁心は、い
ずれも低損失と優れた直流重畳特性を有することが分か
る。
【0040】なお、熱処理条件は、示差走査熱量計を用
いて、10℃/分の昇温温度で測定したそれぞれの第2結
晶化温度に対する温度で示している。また、直流重畳特
性は、直流磁場零の時の透磁率の値に対して半分になっ
た時の磁場の値を一例として示している。
【0041】
【表2】
【表3】 実施例3 実施例1と同様に、Fe74Cu1 Nb3 Si14 B8 なる合金を単
ロール法により、幅10mm、板厚16μm のアモルファス薄
帯とした後、外径21mm、内径14mmの磁心形状に成形し
た。この後、上記合金の第2結晶化温度Tx2に対して -
40℃の温度で、窒素と酸素との混合ガス(体積比で、 N
2 :O2 =9:1)中にて 3時間熱処理し、Fe基磁心を作製し
た。このFe基磁心の磁気特性を、実施例1と同様にして
評価したところ、直流保磁力は 2.4Oe 、透磁率(1kHz,
2mOe)は 290、鉄損(100kHz,2kG)は720mW/ccであった。
【0042】また、この磁心を図5に示すスイッチング
電源のトランスとして用い、温度上昇を測定した。また
比較例として、Fe77Si9 B14で組成が表されるアモルフ
ァス合金を用いて、同一磁心形状のカットコアを作製
し、このカットコアについて実施例と同様にして温度上
昇を測定した。その結果、上記実施例による磁心の温度
上昇は28℃であったのに対し、比較例によるカットコア
では78℃も上昇し、電源効率でも2.5%の差が生じた。
【0043】実施例4、比較例6 Fe73Cu1 Nb3 Si15 P8 なる合金を溶融し、その溶湯を単
ロール法によって超急冷して、幅10mm、板厚16μm のア
モルファス薄帯とした。この実施例の合金の結晶化温度
を、実施例1と同様にDSC曲線から求めたところ、第
1結晶化温度(Tx1)は 439℃であり、第2結晶化温度
x2は 639℃であった。
【0044】次に、上記したアモルファス薄帯を巻回し
て、外径21mm、内径14mmの磁心形状に成形した後、 589
℃((Tx2 -50)℃)で 3時間、窒素雰囲気中で熱処理
を行った。なお、薄帯の終端はスポット溶接により端末
止めを行った。
【0045】また、比較例6として、上記アモルファス
薄帯を実施例と同一形状に成形したものを 500℃((T
x2-139)℃)で 1時間熱処理し、磁心を作製した。
【0046】上記実施例4および比較例6の磁心のX線
回折パターンを、図6および図7にそれぞれ示す。これ
らの図から明らかなように、第2結晶化温度Tx2に対し
て-100℃〜 +50℃の範囲の温度で熱処理した実施例4の
Fe基合金は、bcc-Fe固溶体のピークと共に、 FeP化合物
のピークが出現しているのに対し、第2結晶化温度Tx2
に対して-100℃より低い温度で熱処理した比較例6のFe
基合金では、bcc-Fe固溶体のみしか析出していないこと
が分かる。
【0047】また、実施例4によるFe基合金中の微細結
晶粒の平均結晶粒径は21nmで、かつ微細結晶粒の面積比
は 85%であった。また、比較例6によるFe基合金中の微
細結晶粒の平均結晶粒径は18nmで、かつ微細結晶粒の面
積比は 80%であった。
【0048】次に、上記実施例4および比較例6による
各磁心の直流磁気特性を測定したところ、実施例4の磁
心は保磁力が 3.8Oe であったのに対して、比較例6で
は0.009Oe と小さかった。また、LCRメータを用い
て透磁率を測定したところ、1kHz、2mOe の条件で、実
施例4の磁心は 280であり、比較例6の磁心は72000で
あった。さらに、高周波損失をU関数計を用いて、100k
Hz、 2kGの条件で評価したところ、実施例4の磁心は 1
020mW/cc、比較例6の磁心は520mW/ccであつた。また、
直流重畳特性として、直流磁場零の時の透磁率の値に対
して半分になった時の磁場の値を測定したところ、実施
例4の磁心は67Oe で、比較例6の磁心は 0.015Oe で
あった。
【0049】実施例5 実施例4と同様に、表4に組成を示す各合金を、単ロー
ル法によりそれぞれ幅10mm、板厚15μm のアモルファス
薄帯とした後、それぞれ実施例4と同一の磁心形状に成
形した。この後、表4に示すように、それぞれの合金の
第2結晶化温度に対する各温度で、それぞれの設定時間
により窒素雰囲気中で熱処理し、それぞれFe基磁心を作
製した。
【0050】これら各磁心の透磁率、保磁力、鉄損(100
kHz,2kG)および直流重畳特性を実施例4と同様な方法で
評価した。それらの結果を各磁心の平均結晶粒径と共
に、表5に示す。本発明による各磁心は、いずれも低損
失と優れた直流重畳特性を有することが分かる。
【0051】
【表4】
【表5】 また、上記実施例5のNo1 による磁心と、前述した比較
例5によるカットコアとを、それぞれフォワード式スイ
ッチング電源(スイッチング周波数150kHz,出力50W)の
出力チョークコイルとして使用し、スペクトルアナライ
ザで出力ノイズの評価を行った。その結果、基本周波数
成分でのノイズにおいて、実施例5による磁心は、比較
例5によるカットコアに比べ、 3dB低減できていること
が確認できた。
【0052】実施例6、比較例7〜11 Fe74Cu1 Nb3 B22なる合金を溶融し、その溶湯を単ロー
ル法によって超急冷して、幅10mm、板厚16μm のアモル
ファス薄帯とした。この実施例の合金の結晶化過程を図
8に示す。図8は、示差走査熱量計を用いて、10℃/分
の割合で昇温した際に得られたDSC曲線である。同図
から、第1結晶化温度(Tx1)は 455℃であり、第2結
晶化温度Tx2は 602℃であることが分かる。
【0053】次に、上記したアモルファス薄帯を巻回し
て、外径21mm、内径14mmの磁心形状に成形した後、 550
℃((Tx2 -52)℃)で 4時間、窒素雰囲気中で熱処理
を行った。なお、薄帯の終端はスポット溶接により端末
止めを行った。
【0054】また、本発明との比較として、上記アモル
ファス薄帯を実施例と同一形状に成形したものを、第1
結晶化温度Tx1以下の 400℃で 1時間(比較例7)、 4
80℃((Tx2-122)℃)で 1時間(比較例8)、および
薄帯幅方向に2kOe の直流磁場を印加しながら 480℃
((Tx2-122)℃)で 1時間(比較例9)熱処理し、そ
れぞれ磁心を作製した。いずれも熱処理後の冷却は 200
℃まで 5℃/分で降温している。さらには、上記比較例
7、8による磁心を、それぞれエポキシ樹脂で含浸し、
キュアした後、ダイアモンドカッタで磁心を切断して、
μ=300となるようにギャップ長を調整した磁心をそれぞ
れ作製した(比較例10、11)。
【0055】上記実施例6および比較例8の磁心のX線
回折をそれぞれ行ったところ、第2結晶化温度Tx2に対
して-100℃〜 +50℃の範囲の温度で熱処理した実施例6
のFe基合金は、bcc-Fe固溶体のピークと共に FeB化合物
のピークが出現したのに対し、第2結晶化温度Tx2に対
して-100℃より低い温度で熱処理した比較例8のFe基合
金では、bcc-Fe固溶体のみしか析出していないことが確
認できた。
【0056】また、実施例6によるFe基合金中の微細結
晶粒の平均結晶粒径は25nmで、かつ微細結晶粒の面積比
は 90%であった。また、比較例8によるFe基合金中の微
細結晶粒の平均結晶粒径は10nmで、かつ微細結晶粒の面
積比は 80%であった。
【0057】次に、上記実施例6および比較例7〜11
による各磁心の透磁率、保磁力、鉄損(100kHz,2kG)を実
施例1と同様な方法で評価した。それらの結果を各磁心
の平均結晶粒径と共に表6に示す。
【0058】
【表6】 また、上記各磁心の直流重畳特性を評価したところ、図
9に示すように、実施例6による磁心は、磁気的なギャ
ップを形成した比較例10、11の磁心と同様に、良好
な結果が得られた。これらに対して、 FeB化合物を析出
させず、かつギャップを形成していない比較例7、8、
9の各磁心は、直流重畳特性に劣り、チョークコイルや
トランス等として使用し得るものではないことが明らか
である。これらのことから、本発明のFe基合金を用いる
ことにより、簡単なプロセスで(低コストで)、低損失
と優れた直流重畳特性が得られるFe基磁心を作製できる
ことが明らかである。
【0059】実施例7 実施例6と同様に、表7および表8に組成を示した各合
金を、単ロール法によりそれぞれ幅10mm、板厚15μm の
アモルファス薄帯とした後、それぞれ実施例6と同一の
磁心形状に成形した。この後、表7および表8に示すよ
うに、それぞれの合金の第2結晶化温度に対する各温度
で、それぞれの設定時間により窒素雰囲気中で熱処理
し、それぞれFe基磁心を作製した。
【0060】これら各磁心の透磁率、保磁力、鉄損(100
kHz,2kG)および直流重畳特性(直流磁場零の時の透磁率
の半分の値になった時の磁場)を実施例6と同様な方法
で評価した。それらの結果を各磁心の平均結晶粒径と共
に、表7および表8に示す。
【0061】
【表7】
【表8】 実施例8 実施例6と同組成(Fe74Cu1 Nb3 B22)の合金を単ロー
ル法により、幅10mm、板厚16μm のアモルファス薄帯と
した後、外径21mm、内径14mmの磁心形状に成形した。こ
の後、上記合金の第2結晶化温度Tx2に対して -40℃の
温度で、窒素と酸素との混合ガス(体積比で、 N2 :O2
=9:1)中にて 3時間熱処理し、Fe基磁心を作製した。こ
のFe基磁心の磁気特性を、実施例6と同様にして評価し
たところ、直流保磁力は 3.3Oe 、透磁率(1kHz,2mOe)
は 290、鉄損(100kHz,2kG)は900mW/ccであった。
【0062】また、この磁心を図5に示したスイッチン
グ電源のトランスとして用い、温度上昇を測定した。ま
た比較例として、Fe77Si9 B14で組成が表されるアモル
ファス合金を用いて、同一磁心形状のカットコアを作製
し、このカットコアについて実施例と同様にして温度上
昇を測定した。その結果、上記実施例による磁心の温度
上昇は33℃であったのに対し、比較例によるカットコア
では78℃も上昇し、電源効率でも2.3%の差が生じた。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のFe基合金
によれば、高周波域において高飽和磁束密度および低損
失が得られると共に、優れた直流重畳特性が再現性よく
得られる。よって、このようなFe基合金を用いることに
より、切断等により磁気的なギャップを形成することな
く、高周波用のチョークコイルやトランス等に適した、
安価なFe基磁心を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるFe基合金の示差走査熱
量計(10℃/分で昇温)による結晶化過程を示す図であ
る。
【図2】本発明の一実施例によるFe基合金のX線回折パ
ターンを示す図である。
【図3】本発明との比較として示したFe基合金のX線回
折パターンを示す図である。
【図4】本発明の実施例および比較例によるFe基磁心の
直流重畳特性の測定結果を示す図である。
【図5】本発明の実施例で評価用に用いたスイッチング
電源を示す回路図である。
【図6】本発明の他の実施例によるFe基合金のX線回折
パターンを示す図である。
【図7】本発明との比較として示したFe基合金のX線回
折パターンを示す図である。
【図8】本発明のさらに他の実施例によるFe基合金の示
差走査熱量計(10℃/分で昇温)による結晶化過程を示
す図である。
【図9】本発明の他の実施例および比較例によるFe基磁
心の直流重畳特性の測定結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 27/24

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:(Fe1-x Mx a Xb M′c
    M″d Xe Zf (式中、 XはCuおよびAuから選ばれる少なくとも 1種の
    元素を、 MはCoおよびNiから選ばれる少なくとも 1種の
    元素を、 M′は周期律表4A族元素、5A族元素、6A族元素
    および希土類元素から選ばれる少なくとも 1種の元素
    を、 M″はMnおよび白金族元素から選ばれる少なくとも
    1種の元素を、 XはSi、 C、 N、Ge、GaおよびAlから選
    ばれる少なくとも 1種の元素を、 Zは Bおよび Pから選
    ばれる少なくとも 1種の元素を示し、 a、 b、 c、 d、
    eおよび fは a+b+c+d+e+f=100、0.01≦ b≦ 8、0.01≦
    c≦10、 0≦ d≦10、 0≦ e≦25、 3≦ f≦25、15≦e+
    f ≦30(at%)をそれぞれ満足する数を、かつ xは 0≦ x
    ≦ 0.5を満足する数を示す)で組成が実質的に表される
    Fe基合金であって、その合金組織内に平均結晶粒径が 5
    nm〜 100nmの範囲の微細結晶粒を有し、かつ前記微細結
    晶粒の一部がFeと Bおよび/または Pとを主とする化合
    物からなることを特徴とする恒透磁率性を有するFe基合
    金。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の恒透磁率性を有するFe基
    合金の製造方法であって、 前記一般式で表される組成を満足する合金溶湯を超急冷
    してアモルファス化する工程と、 このアモルファス化した合金に、その合金の第2結晶化
    温度に対して-100℃〜+50℃の範囲の温度で熱処理を施
    し、Feと Bおよび/または Pとを主とする化合物を含む
    微細結晶粒を面積比で 50%以上析出させる工程とを有す
    ることを特徴とする恒透磁率性を有するFe基合金の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の恒透磁率性を有するFe基
    合金からなる薄帯の巻回体または積層体を具備すること
    を特徴とする恒透磁率性を有するFe基磁心。
JP5001855A 1992-01-09 1993-01-08 恒透磁率性を有するFe基合金とその製造方法、およびそれを用いたFe基磁心 Withdrawn JPH05255820A (ja)

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