JP2835113B2 - Fe基軟磁性合金とその製造方法およびそれを用いた磁性コア - Google Patents

Fe基軟磁性合金とその製造方法およびそれを用いた磁性コア

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、各種トランス、過飽和リアクトル、各種チ
ョークコイル、各種磁気ヘッド、各種センサなどに適し
たFe基軟磁性合金およびその製造方法に関する。
(従来の技術) 電源用各種磁性部品や磁気ヘッド用の軟磁性材料とし
ては、従来、パーマロイ、Fe−Al−Si−系合金、ケイ素
鋼、フェライトなどが用いられてきた。
ところで、近年、電子機器に対する小型軽量化、高性
能化などの要求が高まっており、このような要求を満足
するために、たとえば電源などの動作周波数は高周波化
されつつある。そこで、磁性部品を構成する軟磁性材料
には、高周波域における低損失化や飽和磁束密度の増大
などの特性向上が強く望まれている。
しかし、上述したような従来材では、これらの要求を
充分に満足することができないことから、高周波対応の
軟磁性材料としてアモルファス合金が最近注目を集めて
いる。
アモルファス合金は、高透磁率、低保磁力などの優れ
た軟磁気特性を示し、また高周波域で低鉄損、高角形比
が得られるなどの特性を有することから、スイッチング
電源用の磁気部品などとして一部実用化されている。た
とえばCo基アモルファス合金は可飽和リアクトルなどと
して、またFe基アモルファス合金はチョークイルなどと
して実用化されている。
しかし、これらアモルファス合金においても、解決し
なければならない課題も多い。たとえばCo基アモルファ
ス合金は、高周波域で低鉄損、高角形比が得られるな
ど、特性的には優れているものの、比較的高価で汎用性
に乏しいという難点がある。また、Fe基アモルファス合
金は、安価で汎用性には優れるものの、零時歪が得られ
ないため、樹脂モールドなどによる磁気特性の劣化が比
較的大きく、また磁歪振動によってノイズの発生が大き
いなどの難点がある。
一方、最近、Co基アモルファス合金とほぼ同等の軟磁
気特性を有する超微細な結晶粒を析出させたFe基軟磁性
合金が提案されている(特開昭63−320504号公報、同64
−79342号公報など参照)。このFe基超微細結晶合金
は、優れた軟磁気特性を有するとともに、低磁歪を満足
し、さらにFeを主としていることから比較的安価であ
り、Co基アモルファス合金に代る軟磁性材料として注目
されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上記Fe基超微細結晶合金の軟磁気特性
は、その製造過程における熱処理温度に対する依存性が
大きいという難点があった。
すなわち、上記Fe基超微細結晶合金は母合金を一旦ア
モルファス化し、その後結晶化温度近傍の温度域を熱処
理することによって、微細な結晶粒を析出させて優れた
軟磁気特性を付与している。しかし、上記熱処理の温度
範囲が比較的狭く、さらにアモルファス状態から結晶化
する際に放出されるエネルギー量が大きいため、熱処理
時に設定温度範囲を超える危険性が高く、これによって
軟磁気特性の劣化を招きやすいという難点があった。
本発明は、このような課題に対処するためになされた
もので、高周波域において低鉄損、高飽和磁束密度、低
磁歪を満足し、かつこれら特性が熱処理条件にあまり依
存することなく得られる安価で汎用性に優れたFe基軟磁
性合金とその製造方法、およびそれを用いた磁性コアを
提供することを目的とするものである。
[発明の構成] (課題を解決するための手段と作用) すなわち本発明のFe基軟磁性合金は、 一般式: Fe100-a-b-c-d-e-fXaMbM′cAdSieZf ……(I) (式中、Xは急冷体作製時に溶融可能なセラミックス材
料から選ばれた少なくとも1種の化合物を、MはTi、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWから選ばれた少な
くとも1種の元素を、M′はMn、白金族元素、Ag、Au、
Zn、Al、Ga、In、Sn、希土類元素から選ばれた少なくと
も1種の元素を、AはCoおよびNiから選ばれた少なくと
も1種の元素を、ZはB、C、PおよびGeから選ばれた
少なくとも1種の元素を表し、a、b、c、d、eおよ
びfは、下記の式を満足する数である。ただし、下記式
中の全ての数字はat%を示す。
0.1≦a≦ 5 0.1≦b≦10 0≦c≦10 0≦d≦40 5≦e≦25 2≦f≦20 12≦e+f≦30。以下に同じ。) で実質的に表される組成を有し、かつ面積比で組織の
50%以上が微細結晶粒により構成されていることを特徴
とするものである。
また、本発明のFe基軟磁性合金の製造方法は、溶融状
態のFe基合金およびセラミックス材料を含有する溶湯を
急冷する工程と、前記急冷工程で得た急冷体に、該急冷
体の結晶化温度付近あるいはそれ以上の温度で熱処理を
施し、組織内に微細結晶粒を析出させる工程とを有する
ことを特徴とするものである。
ここで、本発明のFe基軟磁性合金における組成限定理
由について説明する。
上記(I)式におけるXは、熱処理によって微細な結
晶粒を比較的定温で析出させるのに必須のものであり、
かつ結晶粒の粗大化を抑制するものである。これらによ
り、鉄損や透磁率などの軟磁気特性が改善され、また軟
磁気特性の熱処理温度依存性が低下し、軟磁気特性の再
現性が向上する。
このXとしては、少なくとも急冷体作製時に溶融可能
なセラミックス材料、すなわち無機化合物であればその
効果が得られるが、溶融のしやすさなどから融点1800℃
以下の化合物が好ましい。また、この溶融性を考慮する
と酸化物が好ましい。このような酸化物としては、Cu
O、Cu2O、SnO2、Bi2O3、WO3、Ta2 O5、Nb2O5、MoO3、Mn
O、GeO2、Ga2O3、CdOなどが例示され、特にCu2O、CuOが
好ましい。
これらXによる効果は、その含有量が0.1at%となる
あたりから得られるが、5at%を超えると脆くなって、
その製造工程における急冷時にたとえば長尺な薄帯を形
成することか困難となることから、Xの含有量は0.1at
%〜5at%の範囲とする。Xのより好ましい含有量は0.3
at%〜4at%の範囲である。
Mは、Xと同様に結晶粒の粗大化を抑制するととも
に、軟磁気特性を劣化させる化合物、たとえばZとして
Bを用いた場合のFe2BやFe23B6などの析出を抑制するも
のである。上記したM元素のうち、大気中で作製する場
合は、特にNb、Ta、Mo、W、Vが好ましい。
これらMによる効果は、その含有量が0.1at%となる
あたりから得られるが、10at%を超えるとアモルファス
化することが困難となるため、Mの含有量は0.1at%〜1
0at%の範囲とする。Mのより好ましい含有量は0.5at%
〜8at%の範囲である。
またM′は、微細結晶粒が析出した合金の軟磁気特性
をさらに改善するのに有効な元素である。ただし、M′
の含有量があまり多いと、飽和磁束密度の低下を招くた
め、10at%以下とする。上記したM′元素のうち、特に
白金族元素属は耐食性の改善に有効であり、またAl、Ga
は微細結晶粒の主相であるbcc−Feの固溶体の安定化に
有効である。
SiおよびZは、急冷時における溶融状態のセラミック
スを含む合金溶湯をアモルファス化するために必須の元
素であり、かつ微細結晶粒の析出を助成する元素であ
る。特にSiは、微細結晶粒の主成分であるFeに固溶し、
磁気異方性および磁歪の低減に寄与する。
Siの含有量は、5at%未満ではアモルファス化が困難
となり、また25at%を超えると超急冷効果が小さくな
り、比較的粗大な結晶粒が析出しやすくなるため、5at
%〜25at%の範囲とする。また、Siの含有量が12at%〜
20at%の範囲で磁歪が零となるため、特に好ましい。ま
た、Zの含有量が2at%未満ではアモルファス化が困難
となり、また20at%を超えると熱処理により結晶化した
際に磁気特性が劣化しやすくなるため、2at%〜20at%
の範囲とする。上記したZ元素のうち、特にBが薄帯作
製の容易さの観点から好ましい。なお、SiとZとの合計
量は12at%〜30at%の範囲が好ましく、またSi/Bの比を
1以上とすることが優れた軟磁気特性を得るために好ま
しい。
また、Feの一部をCoやNiで置換することも可能である
が、置換量があまり多いと逆に軟磁気特性の劣化を招く
ため、40at%以下とする。
なお、本発明のFe基軟磁性合金において、O、S、N
などの通常のFe系合金にも含まれているような不可避的
な不純物を微量含んでいても、本発明の効果を損うもの
ではない。
上記組成を有する本発明のFe基軟磁性合金は、面積比
で合金組織の50%以上が微細結晶粒により構成されてい
るものであり、上記微細結晶粒は合金組織中に均一に分
布して存在している。この微細結晶粒は、bcc−Fe固溶
体を主体とするものであり、特に少なくとも一部に規則
格子が存在する場合に、優れた軟磁気特性が得られる。
ここで、上記規則格子の存在は、X線回折によって規則
格子のピークが出現することによって確認される。
上記微細結晶粒による合金組織の構成比を面積比で50
%以上と規定したのは、微細結晶粒の存在が面積比で50
%未満となると、磁歪が大きくなり、また透磁率が低
く、鉄損が高くなり、目的とする軟磁気特性が得られな
いためである。より好ましい微細結晶粒による合金組織
の構成比は、面積比で60%〜100%の範囲である。な
お、ここで言う微細結晶粒の存在比は、合金組織を高倍
率で拡大(たとえば透過型電子顕微鏡により20万倍)し
て測定したものである。
本発明のFe基軟磁性合金中に存在する微細結晶粒は、
上記(I)式中のXで表される酸化物などのセラミック
ス材料の存在によって超微細化されたものであり、50nm
以下という極めて小さい平均粒径を有するものである。
この結晶粒の超微細化は、酸化物などのセラミックス材
料がFeとほとんど固溶しないことから、セラミックス材
料が析出により生成した結晶粒界、あるいは三重点に存
在し、これによって結晶粒の成長が抑制されるために起
こるものと考えられる。
なお、優れた軟磁気特性を得る温度以上で熱処理する
と、薄帯作製時に用いたセラミックスの回折線が見ら
れ、場合によって、溶融時に一部還元され、その金属の
回折線が見られる場合もある。たとえば、WO3、Ta2O5
CuO、Cu2Oなどのセラミックスがあるが、これらがW、T
a、Cuに還元されると、回折線2θ(deg)において、そ
れぞれ40.3、35.8、43.3でピークを示す。
そして、本発明のFe基軟磁性合金においては、上述し
たように合金組織中に存在する結晶粒を超微細化するこ
とによって、軟磁気特性が熱処理温度に依存することを
抑制し、優れた軟磁気特性の再現性を高めている。すな
わち結晶粒の粒径を超微細化することによって磁気異方
性がより小さくなり、これが熱処理温度条件を緩和す
る。
また、本質的には結晶粒の微細化が軟磁気特性を向上
させるものであり、平均結晶粒径が50nmを超えると初期
の磁気特性が得られなくなる。上記熱処理温度に対する
軟磁気特性の依存性を低減させる点からは、平均結晶粒
径が20nm以下とすることが好ましい。なお、上記平均結
晶粒径は各結晶粒の最大径を測定し、それを平均した値
である。
次に、本発明のFe基軟磁性合金の製造方法について説
明する。
まず、溶融状態のFe基合金およびセラミックス材料を
含有する溶湯を作製する。上述した本発明のFe基軟磁性
合金を作製するためには、この溶湯の組成を上記(I)
式の組成を満足させる。
このような溶湯は、 母合金を作製する段階で他の金属材料と同様にセラ
ミックス材料を配合し、上記(I)式の組成を満足させ
た母合金を作製し、この母合金の融点以上に加熱して溶
融する。
上記(I)式の組成からXを除いた母合金を作製
し、この母合金とセラミックス材料とを上記(I)式の
組成を満足するように混合し、この混合物を上記母合金
およびセラミックス材料の融点以上に加熱して溶融す
る。なお、上記母合金およびセラミックス材料いずれか
を予め溶融し、その溶融物に他方を投入して溶融しても
同様である。
などの方法によって作製される。
次に、上記溶湯を単ロール法、双ロール法などの公知
の超急冷法によって急冷する。
ここで、本発明においては上記急冷工程によって、良
好なアモルファス状態を得ることが、超微細な結晶粒を
得る上で好ましい。また、急冷体の形状は、板状(帯
状)、線状、粉末状、薄片状など、用途に応じて各種形
状を選択することが可能である。なお、急冷体を板状と
する場合には板厚を3μm〜100μm、線状とする場合
には線径200μm以下、粉末状とする場合は200μm以下
とすることが好ましい。
この後、上記アモルファス状態の急冷体に、この急冷
体の結晶化温度付近あるいはそれ以上の温度による熱処
理を施し、bcc−Fe固溶体を主とする超微細結晶粒を析
出させる。
この熱処理工程は、たとえば巻回コアのように、所望
の線状を得るために変形を伴う加工を必要とする場合に
は、所望の形状に成形した後に行うことが好ましい。
上記熱処理は、急冷体の結晶化温度に対して、−50℃
〜+200℃の範囲内で行うことが可能である。熱処理温
度条件が結晶化温度に対して−50℃の温度より低いと微
細な結晶粒が析出しにくく、また結晶化温度に対して+
200℃の温度を超えるとbcc−Fe固溶体以外の相が析出し
やすくなるためである。
上記したような広い熱処理温度条件下で所望の軟磁気
特性を満足するFe基軟磁性合金が得られるのは、上述し
たように析出する結晶粒を超微細化させることが可能で
あるためであり、本発明の重要な特徴の一つである。こ
れによって優れた軟磁気特性を有するFe基軟磁性合金を
再現性よく得ることが可能となる。なお、実際の設定温
度は、熱処理時の温度上昇などの不確定要素を見込ん
で、急冷体の結晶化温度に対して−20℃〜+150℃の範
囲とすることが好ましい。
なお、本発明でいう結晶化温度は、昇温速度10deg/mi
nで測定した値を示す。
また、熱処理時間は、使用した合金組成や熱処理温度
によって適宜設定するものであるが、通常、2分〜24時
間の範囲が好ましい。熱処理時間が2分未満では結晶粒
の析出を充分に行うことが困難であり、また24時間を超
えるとbcc−Fe固溶体以外の相が析出しやすくなるため
である。より好ましい熱処理時間は、5分〜10時間の範
囲である。また、熱処理時の雰囲気としては、窒素中、
アルゴン中などの不活性雰囲気中、真空中、水素中など
の還元性雰囲気中、あるいは大気中など、各種雰囲気を
使用することが可能である。
なお、上記熱処理後の冷却は、急冷でも徐冷でもよ
く、特に制限はない。
また、上記熱処理後の冷却過程、あるいは一旦冷却し
た後に、微細結晶粒が析出したFe基軟磁性合金に対して
磁場を印加し(磁場熱処理を含む)、特性を変化させて
用途に合った磁気特性を付与することも可能である。こ
の際の磁場は、直流磁場、交流磁場のいずれでもよく、
また磁場の印加方向は、薄帯軸方向、幅方向、板厚方向
のいずれでもよく、さらに回転磁場でもよい。
本発明のFe基軟磁性合金は、高周波域での軟磁気特性
に優れているため、たとえば磁気ヘッド、薄膜ヘッド、
大電力用を含む高周波トランス、可飽和リアクトル、コ
モンモードチョークコイル、ノーマルモードチョークコ
イル、高電圧パルス用ノイズフィルタ、レーザ電源など
に用いられる磁気スイッチなど高周波で用いられる磁性
コア、電流センサー、方位センサー、セキュリティセン
サーなどの各種センサー用の磁性材料など、磁性部品用
の合金として優れた特性を有している。
本発明のFe基軟磁性合金を用いた磁性コアとしては、
超微細結晶粒を有するFe基軟磁性合金薄帯の巻回体や積
層体などが例示される。これら磁性コアは、必要に応じ
て薄帯の少なくとも片面に絶縁層を設けることによって
層間絶縁を行う。
この絶縁層は、たとえばMgO粉末やSiO2粉末を付着さ
せることによって形成したり、金属アルコキシド溶液の
塗布、焼成(結晶粒析出のための熱処理で可)によって
形成する。また、エポキシ系樹脂を含浸させることによ
っても、同様な効果が得られる。この樹脂含浸は、カッ
トコアなどを作製する際に有効である。さらに樹脂含浸
は、絶縁処理ばかりでなく、さび防止や耐環境性の向上
などにも寄与する。なお、耐環境性の向上は、磁性コア
をケースに収納したり、ボビンに巻くことなどによって
も達成される。
さらに、Fe基軟磁性合金薄帯を絶縁フィルムとともに
巻回し、層間絶縁を行ってもよい。この方法は、レーザ
ー電源用磁気圧縮回路に用いられる場合などに有効であ
る。ここで用いる絶縁フィルムとしては、ポリイミド
系、ポリエステル系、ガラス繊維系などが例示される
が、本発明で用いる薄帯は、通常、脆化した状態で優れ
た軟磁気特性が得られるため、ポリイミド系フィルムを
用いることが好ましい。
また、磁性コアを形成する場合に、特に巻回による場
合には、巻き始めおよび巻き終りに端末処理を施すこと
が好ましい。これによって、熱処理操作などにおける不
都合が防止される。端末処理としては、レーザー照射、
スポット溶接などによる局部的層間接着やポリイミド系
などの耐熱性フィルムによる接着などが用いられる。
(実施例) 以下に、本発明の実施例について説明する。
実施例1 式:Fe73(Cu2O)1Nb3Si14B9 で表される組成を有する母合金を1400℃に加熱して溶融
し、溶融状態のFe基合金およびセラミックス材料とを含
有うる溶湯を作製した。次いで、この溶湯を単ロール法
によって急冷してアモルファス化し、幅10mm×板厚18μ
mの長尺なアモルファス薄帯を得た。なお、このアモル
ファス薄帯の結晶化温度(昇温速度10deg/minで測定)
は、507℃であった。
次に、上記アモルファス薄帯を巻回し、外径18mm×内
径12mm×高さ5mmのトロイダルコアを複数成形した。こ
れら複数のトロイダルコアに対して、窒素雰囲気中にお
いて各種温度条件下で、1時間の熱処理を施し、超微細
結晶粒を析出させて磁性コアを作製した。
以下、上記実施例1における特性評価について述べ
る。
まず、各磁性コアの100kHz、2kGでの鉄損と1kHzでの
初透磁率を、U関数計およびLCRメーターを用いて測定
した。その結果を第1図に示す。
なお、本発明との比較のために、Fe73Cu1Nb3Si14B9
成を有するアモルファス薄帯を用いて、上記実施例と同
様に熱処理を行って微細結晶粒を析出させ、磁性コアを
作製した。この比較例による磁性コアについても同様に
100kHz、2kGでの鉄損と1kHzでの初透磁率を測定した。
その結果を同様に第1図に示す。
第1図から明らかなように、上記実施例による磁性コ
アにおいては、広い温度範囲で低鉄損および高透磁率が
得られているのに対し、比較例による磁性コアでは低鉄
損および高透磁率を得るための最適熱処理範囲が狭いこ
とが分る。なお、飽和磁束密度は13.2kGであった。
次に、上記実施例において、580℃で熱処理を行った
磁性コアの熱処理前(急冷後)の薄帯と熱処理を施して
磁性コアとして得た後の薄帯に対し、それぞれX線回折
を行った。それらのX線回折パターンを第2図(熱処理
前:第2図(a)、熱処理後:第2図(b))に示す。
また、650℃で熱処理を施した試料に対しても同様にX
線回折を行いパターンを第3図に示す。
第2図から明らかなように、熱処理以前にはアモルフ
ァス状態になっており、580℃による熱処理後にはbcc−
Fe固溶体のみの回折線が認められる。また、低角度側に
規則格子に基づく回折線も認められる。一方、650℃に
よる熱処理では、第3図に示すように、bcc相以外にFe2
B、Fe23B6、Cu2Oの回折線が見られ、上述した磁気特性
の劣化と一致している。
また、上記X線回折ピークの半値幅から、上記580℃
で熱処理を行った磁性コアにおける結晶粒径を求めたと
ころ、9.4nmであった。この値は透過型電子顕微鏡によ
って測定した値とほぼ一致した。また、透過型電子顕微
鏡による拡大像(20万倍)から合金組織中の微細結晶粒
が占める面積比を求めたところ、90%であった。
実施例2 第1表に示す各組成のアモルファス薄帯をそれぞれ実
施例1と同様にして作製し、これら各薄帯に各アモルフ
ァス薄帯の結晶化温度に対して、+50℃の温度で1.5時
間の熱処理を行った。
このようにして得た各Fe基軟磁性合金薄帯の特性を実
施例1と同様にして求めた。それらの測定結果を同様に
急冷したセンダスト薄帯の測定結果と併せて第1表に示
す。
第1表の測定結果から明らかなように、実施例2によ
るFe基軟磁性合金薄帯は、極めて微細な結晶粒を有し、
低鉄損、低磁歪が得られていることが分る。
実施例3 第2表に示す各組成のアモルファス薄帯をそれぞれ実
施例1と同様にして作製し、これら各薄帯に各アモルフ
ァス薄帯の結晶化温度に対して+80℃の温度で1時間の
熱処理を行った。
このようにして得た各Fe基軟磁性合金薄帯の特性を実
施例1と同様にして求めた。それらの測定結果を同様に
急冷したセグメント薄帯の測定結果と併せて第2表に示
す。
第2表の測定結果から明らかなように、実施例3によ
るFe基軟磁性合金薄帯は、極めて微細な結晶粒を有し、
低鉄損、低磁歪が得られていることが分る。
実施例4 第3表に示す各組成のアモルファス薄帯をそれぞれ実
施例1と同様にして作製し、これら各薄帯に各アモルフ
ァス薄帯の結晶化温度に対して+60℃の温度で2時間の
熱処理を行った。
このようにして得た各Fe基軟磁性合金薄帯の特性を実
施例1と同様にして求めた。それらの測定結果を同様に
急冷したセンダスト薄対の測定結果と併せて第3表に示
す。
第3表の測定結果から明らかなように、実施例4によ
るFe基軟磁性合金薄帯は、極めて微細な結晶粒を有し、
低鉄損、低磁歪が得られていることが分る。
[発明の効果] 以上説明したように本発明によれば、高周波域におい
て低鉄損、高飽和磁束密度、低磁歪を満足し、かつ安価
で汎用性に優れたFe基軟磁性合金を提供することが可能
となる。そして、本発明のFe基軟磁性合金は、その軟磁
気特性が広範囲な熱処理条件下で得られるため、安定供
給が可能となり、トロイダル状あるいは各種スイッチン
グ電源用磁性部品、パルス圧縮回路用可飽和コア、磁気
ヘッド、各種センサー、磁気シールドなどに有効であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例および比較例による磁性コア
の熱処理温度と磁気特性との関係を示すグラフ、第2図
は本発明に用いた合金薄帯のX線回折パターンを示す図
であって、(a)は熱処理前のX線回折パターンンを、
(b)は最適熱処理を施した時のX線回折パターンを示
す図、、第3図は本発明に用いた合金薄帯を650℃で熱
処理した時のX線回折パターンを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 45/02 C22C 38/00 303 C21D 6/00 H01F 1/14

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式: Fe100-a-b-c-d-e-fXaMbM′cAdSieZf(式中、Xは急冷体
    作製時に溶融可能なセラミックス材料から選ばれた少な
    くとも1種の化合物を、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
    Cr、MoおよびWから選ばれた少なくとも1種の元素を、
    M′はMn、白金族元素、Ag、Au、Zn、Al、Ga、In、Sn、
    希土類元素から選ばれた少なくとも1種の元素を、Aは
    CoおよびNiから選ばれた少なくとも1種の元素を、Zは
    B、C、PおよびGeから選ばれた少なくとも1種の元素
    を表し、a、b、c、d、eおよびfは、下記の式を満
    足する数である。ただし、下記式中の全ての数字はat%
    を示す。 0.1≦a≦5 0.1≦b≦10 0≦c≦10 0≦d≦40 5≦e≦25 2≦f≦20 12≦e+f≦30。) で実質的に表される組成を有し、かつ面積比で組織の50
    %以上が微細結晶粒により構成されていることを特徴と
    するFe基軟磁性合金。
  2. 【請求項2】請求項1記載のFe基軟磁性合金において、
    前記微細結晶粒の平均粒径が50nm以下であることを特徴
    とするFe基軟磁性合金。
  3. 【請求項3】請求項1記載のFe基軟磁性合金において、
    前記微細結晶粒は、主としてbcc−Fe固溶体からなり、
    かつその少なくとも一部が規則相であることを特徴とす
    るFe基軟磁性合金。
  4. 【請求項4】請求項1記載のFe基軟磁性合金において、
    前記Xは、CuO、Cu2O、SnO2、Bi2O3、WO3、Ta2O5、Nb2O
    5、MoO3、MnO、GeO2、Ga2 O 3およびCdOから選ばれた少
    なくとも1種の酸化物であることを特徴とするFe基軟磁
    性合金。
  5. 【請求項5】溶融状態のFe基合金およびセラミックス材
    料とを含有する溶湯を急冷する工程と、 前記急冷工程で得た急冷体に、該急冷体の結晶化温度付
    近あるいはそれ以上の温度で熱処理を施し、組織内に微
    細結晶粒を析出させる工程と を有することを特徴とするFe基軟磁性合金の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項5記載のFe基軟磁性合金の製造方法
    において、 前記溶湯の組成が、 一般式: Fe100-a-b-c-d-e-fXaMbM′cAdSieZf(式中、Xは急冷体
    作製時に溶融可能なセラミックス材料から選ばれた少な
    くとも1種の化合物を、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
    Cr、MoおよびWから選ばれた少なくとも1種の元素を、
    M′はMn、白金族元素、Ag、Au、Zn、Al、Ga、In、Sn、
    希土類元素から選ばれた少なくとも1種の元素を、Aは
    CoおよびNiから選ばれた少なくとも1種の元素を、Zは
    B、C、PおよびGeから選ばれた少なくとも1種の元素
    を表し、a、b、c、d、eおよびfは、下記の式を満
    足する数である。ただし、下記式中の全ての数字はat%
    を示す。 0.1≦a≦5 0.1≦b≦10 0≦c≦10 0≦d≦40 5≦e≦25 2≦f≦20 12≦e+f≦30。) で実質的に表されることを特徴とするFe基軟磁性合金の
    製造方法。
  7. 【請求項7】請求項5記載のFe基軟磁性合金の製造方法
    において、 前記熱処理は、前記急冷体の昇温速度10deg/minで測定
    した結晶化温度に対し、−50℃〜+200℃の範囲の温度
    で行うことを特徴とするFe基軟磁性合金の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項5記載のFe基軟磁性合金の製造方法
    において、 前記熱処理によって、平均粒径50nm以下の微細結晶粒を
    面積比で組織の50%以上となるように析出させることを
    特徴とするFe基軟磁性合金の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1記載のFe基軟磁性合金を巻回ある
    いは積層してなることを特徴とする磁性コア。
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DE69018422T DE69018422T2 (de) 1989-12-28 1990-12-27 Auf Eisen basierende weichmagnetische Legierung, ihr Herstellungsverfahren und Magnetkern daraus.
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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