JPH05255364A - フェロセン化合物及びそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

フェロセン化合物及びそれを用いた電子写真感光体

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JPH05255364A
JPH05255364A JP8956892A JP8956892A JPH05255364A JP H05255364 A JPH05255364 A JP H05255364A JP 8956892 A JP8956892 A JP 8956892A JP 8956892 A JP8956892 A JP 8956892A JP H05255364 A JPH05255364 A JP H05255364A
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JP
Japan
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JP8956892A
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English (en)
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Hiroyasu Togashi
博靖 冨樫
Harumasa Yamazaki
晴正 山崎
Katsutoshi Aoki
克敏 青木
Tadashi Sakuma
正 佐久間
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】一般式(I)で示されるフェロセン化合物、並
びにこの化合物を電荷輸送材として感光層中に含む電子
写真感光体。 (式中、R,Rは同一又は相異なって、置換されて
いてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、複
素環基、又は窒素原子と共に環を形成する残基を、R
は水素原子、又は置換されていてもよいアルキル基もし
くはアリール基を、Rは水素原子、又は置換されてい
てもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラ
ルキル基、ジアルキルアミノ基もしくはジアリールアミ
ノ基を表す。) 【効果】この電子写真感光体は、初期電位が安定し、暗
減衰が小さく、感度が優れている。又、耐久性にも優
れ、電子写真感光体として充分実用化可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なフェロセン化合物
に関し、更には本発明のフェロセン化合物を電荷輸送材
として用いた高感度、高耐久性の電子写真感光体に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
電子写真方式を用いた複写機、プリンターの発展は目覚
ましく、用途に応じて様々な形態、種類、機能の機種が
開発され、それに対応してそれらに用いられる感光体も
多種多様のものが開発されつつある。従来、電子写真感
光体としては、その感度、耐久性の面から無機化合物が
主として用いられてきた。例えば、酸化亜鉛、硫化カド
ミウム、セレン等を挙げることができる。しかしなが
ら、これらは有害物質を使用している場合が多く、その
廃棄が問題となり、公害をもたらす原因となる。又、感
度が良好なセレンを用いる場合、蒸着法等により導電性
基体上に薄膜を形成する必要があり、生産性が劣り、コ
ストアップの原因となる。
【0003】近年、無公害性の無機物感光体としてアモ
ルファスシリコンが注目され、その研究開発が進められ
ている。しかしながら、これらも感度については優れて
いるが、薄膜形成時において、主にプラズマCVD法を
用いるため、その生産性は極めて劣っており、感光体コ
スト、ランニングコストとも大きなものとなっている。
【0004】一方、有機感光体は、焼却が可能であり、
無公害の利点を有し、更に多くのものは塗工により薄膜
形成が可能で大量生産が容易である。それ故にコストが
大幅に低減でき、又、用途に応じて様々な形状に加工す
ることができるという長所を有している。しかしなが
ら、有機感光体においては、その感度、耐久性に問題が
残されており、高感度、高耐久性の有機感光体の出現が
強く望まれている。有機感光体の感度向上の手段として
様々な方法が提案されているが、現在では電荷発生層と
電荷輸送層とに機能が分離した主に二層構造の機能分離
型感光体が主流となっている。例えば、露光により電荷
発生層で発生した電荷は、電荷輸送層に注入され、電荷
輸送層中を通って表面に輸送され、表面電荷を中和する
ことにより感光体表面に静電潜像が形成される。機能分
離型は単層型に比して発生した電荷が捕獲される可能性
が小さくなり、各層がそれぞれの機能を阻害されること
なく、効率よく電荷が感光体表面に輸送され得る(アメ
リカ特許第2803541 号) 。
【0005】電荷発生層に用いられる有機電荷発生材と
しては、照射される光のエネルギーを吸収し、効率よく
電荷を発生する化合物が選択使用されており、例えば、
アゾ顔料(特開昭54−14967 号公報)、無金属フタロシ
アニン顔料(特開昭60−19146 号公報)、金属フタロシ
アニン顔料(特開昭57−146255号公報)、スクエアリウ
ム塩(特開昭63−113462号公報)等を挙げることができ
る。電荷輸送層に用いられる電荷輸送材としては電荷発
生層からの電荷の注入効率が大きく、更に電荷輸送層内
での電荷の移動度が大である化合物を選定する必要があ
る。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さい化合
物、カチオンラジカルが発生し易い化合物が選ばれ、例
えば、トリアリールアミン誘導体(特開昭58−123542号
公報)、ヒドラゾン誘導体(特開昭57−101844号公
報)、オキサジアゾール誘導体(特公昭34−5466号公
報)、ピラゾリン誘導体(特公昭52−4188号公報)、ス
チルベン誘導体(特開昭58−198043号公報)、トリフェ
ニルメタン誘導体(特公昭45−555 号公報)、1, 3−
ブタジエン誘導体(特開昭62−287257号公報)等が提案
されている。しかしながら、これらの電荷移動度は無機
物に比較すると小さいものであり、感度もまだまだ満足
できないものである。
【0006】一方、本発明に関連するものとして、特開
昭58−150956号公報には電荷輸送材としてのフ
ェロセン化合物が記載されている。これらはフェニル化
合物との共重合体からなる高分子フェロセン化合物であ
るが、電荷移動度が小さく、また得られる感光体の感度
は低く、残留電位も大きいという欠点を有する。
【0007】以上のように電子写真感光体として実用上
満足できる有機電荷輸送材は、未だ見い出されていない
のが実状である。本発明の目的は、かかる課題を解決す
べく、電荷移動度が大きく、かつ電場依存性の小さいフ
ェロセン化合物を提供し、更に該フェロセン化合物を電
荷輸送材として含む、高感度、高耐久性の電子写真感光
体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究の結果、本発明を完成するに至っ
た。即ち、本発明の要旨は一般式(I)で示されるフェ
ロセン化合物に関するものであり、更に導電性支持体と
その上に形成された感光層とを必須の構成要素とする電
子写真感光体において、前記一般式(I)で示されるフ
ェロセン化合物を電荷輸送材として感光層中に含むこと
を特徴とする電子写真感光体に関する。
【0009】
【化3】
【0010】(式中、R1 ,R2 は同一又は相異なっ
て、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基、複素環基、又は窒素原子と共に環を形成す
る残基を表す。R3 は水素原子、又は置換されていても
よいアルキル基もしくはアリール基を表し、R4 は水素
原子、又は置換されていてもよいアルキル基、アルコキ
シ基、アリール基、アラルキル基、ジアルキルアミノ基
もしくはジアリールアミノ基を表す。)
【0011】一般式(I)に関して、R1 ,R2 で表さ
れる置換されていてもよいアルキル基としては、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等、通常
炭素数1〜6のものが挙げられ、置換されている場合の
置換基としては通常、アルコキシ基等である。置換され
ていてもよいアリール基としては、フェニル基、ナフチ
ル基等が挙げられ、置換されている場合の置換基として
は通常、アルキル基、アルコキシ基等である。置換され
ていてもよいアラルキル基としては、ベンジル基等が挙
げられ、置換されている場合の置換基としては通常、ア
ルキル基、アルコキシ基等である。置換されていてもよ
い複素環基としては、ピリジル基等が挙げられ、置換さ
れている場合の置換基としては通常、アルキル基、アル
コキシ基等である。置換されていてもよい、窒素原子と
共に環を形成する残基としては、カルバゾリル基等が挙
げられ、置換されている場合の置換基としては通常、ア
ルキル基、アルコキシ基等である。R1 ,R2 は同一ま
たは相異なって、これらのいずれでもよく特に限定され
るものではないが、製造が容易な点から置換されていて
もよいアルキル基、アリール基が好ましい。
【0012】一般式(I)に関して、R3 で表される置
換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、n−ブチル基等、通常炭素数
1〜6のものが挙げられ、置換されている場合の置換基
としては通常、アリール基等である。置換されていても
よいアリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙
げられ、置換されている場合の置換基としては通常、ア
ルキル基、アルコキシ基等である。R3 は水素原子の
他、これらのいずれでもよく特に限定されるものではな
いが、製造が容易な点から水素原子、置換されていても
よいアルキル基が好ましい。
【0013】一般式(I)に関して、R4 で表される置
換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブ
チル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基等、通常
炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基が挙げら
れ、置換されている場合の置換基としては通常、アルコ
キシ基、アリール基等である。置換されていてもよいア
ルコキシ基等しては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げ
られ、置換されている場合の置換基としては通常、アリ
ール基等である。置換されていてもよいアリール基とし
ては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、置換され
ている場合の置換基としては通常、アルキル基、アルコ
キシ基等である。置換されていてもよいアラルキル基と
しては、ベンジル基等が挙げられ、置換されている場合
の置換基としては通常、アルキル基、アルコキシ基等で
ある。置換されていてもよいジアルキルアミノ基として
は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルア
ミノ基等が挙げられ、置換されている場合の置換基とし
ては通常、アリール基等である。置換されていてもよい
ジアリールアミノ基としては、ジフェニルアミノ基等で
あり、置換されている場合の置換基としては通常、アル
キル基、アルコキシ等である。R4 は水素原子の他、こ
れらのいずれでもよく特に限定されるものではないが、
製造が容易な点から水素原子、置換されていてもよいア
ルキル基が好ましい。
【0014】以上のような本発明のフェロセン化合物
は、前記のような従来公知のフェロセン化合物とは構造
が異なる新規物質である。以下、一般式(I)で示され
るフェロセン化合物を具体的に例示するが(例示化合物
(1)〜例示化合物(60))、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】
【化10】
【0022】
【化11】
【0023】
【化12】
【0024】
【化13】
【0025】
【化14】
【0026】
【化15】
【0027】
【化16】
【0028】
【化17】
【0029】
【化18】
【0030】本発明の一般式(I)で示されるフェロセ
ン化合物は、公知の任意の方法で容易に合成することが
できる。例えば一般式(II)
【0031】
【化19】
【0032】(式中R1 ,R2 は一般式(I)と同じ意
味を表わす。)で示されるヒドラジン化合物と一般式
(III )
【0033】
【化20】
【0034】(式中、R3 ,R4 は一般式(I)と同じ
意味を表わす。)で示されるフェロセン化合物を反応さ
せることにより、本発明のフェロセン化合物を得ること
ができる。反応はメタノール、エタノール、ベンゼン、
トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン等の溶媒中、必
要に応じてp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸、塩酸、酢酸等の反応促進剤の存在下で行うことがで
きる。反応温度は室温から150℃の範囲で行われ、反
応は通常0.5〜30時間で終了する。
【0035】かくして製造される一般式(I)で示され
るフェロセン化合物は、分子の共役が広がり、従来より
知られているフェロセン化合物と比較して電荷移動度が
大きく、かつ電場の依存性が小さい。
【0036】また、これらの化合物は、多くの溶剤に可
溶であり、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、テ
トラリン、クロロベンゼン等の芳香族系溶剤;ジクロロ
メタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラク
ロロエチレン、四塩化炭素等のハロゲン系溶剤;酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸メチル、ギ酸エ
チル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、ジプロピルエ
ーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル
系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール等のアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等に可溶で
ある。
【0037】以上のような性能から、本発明の一般式
(I)で示されるフェロセン化合物を電荷輸送材として
用いることにより、有機感光体のかかえた前記種々の課
題が解決され、電子写真感光体の高感度化、高耐久性化
が可能となる。
【0038】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体
とその上に形成された感光層を必須の構成要素とする
が、このような感光体を作製するにあたっては、例え
ば、導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層を薄膜
上に形成せしめる。導電性支持体の基材としては、アル
ミニウム、ニッケル等の金属、金属蒸着高分子フィル
ム、金属ラミネート高分子フィルム等を用いることがで
き、ドラム状、シート状又はベルト状の形態で導電性支
持体を形成する。
【0039】電荷発生層は、電荷発生材及び必要に応じ
て結合剤、添加剤よりなり、蒸着法、プラズマCVD
法、塗工法等の方法で作製することができる。電荷発生
材としては、特に限定されることはなく照射される特定
の波長の光を吸収し、効率よく電荷を発生し得るものな
ら有機材料、無機材料のいずれも好適に使用することが
できる。
【0040】有機電荷発生材としては、例えば、ペリレ
ン顔料、多環キノン系顔料、無金属フタロシアニン顔
料、金属フタロシアニン顔料、ビスアゾ顔料、トリスア
ゾ顔料、チアピリリウム塩、スクエアリウム塩、アズレ
ニウム顔料等が挙げられ、これらは主として結合剤中に
分散せしめ、塗工により電荷発生層を形成することがで
きる。無機電荷発生材としては、セレン、セレン合金、
硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン、ア
モルファスシリコンカーバイド等が挙げられる。なかで
も半導体レーザー波長域では、特にチタニルフタロシア
ニン顔料が、可視光領域ではジブロモアントアントロン
顔料がその感度の点において最も優れている。形成され
た電荷発生層の膜厚は、 0.1〜2.0 μm が好ましく、更
に好ましくは0.1〜1.0 μm である。
【0041】次に該電荷発生層の上部に前記の一般式
(I)で示されるフェロセン化合物を含む電荷輸送層を
薄膜状に形成せしめる。薄膜形成法としては、主に塗工
法が用いられ、一般式(I)で示されるフェロセン化合
物を必要に応じて結合剤と共に溶剤に溶解し、電荷発生
層上に塗工せしめ、その後乾燥させればよい。
【0042】このとき、本発明の一般式(I)で示され
るフェロセン化合物は、単独又は二種類以上を組み合わ
せて使用することができる。又、本発明においては、必
要に応じて前記したトリアリールアミン誘導体、ヒドラ
ゾン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導
体、スチルベン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、
1,3−ブタジエン誘導体のような公知の電荷輸送材を
一般式(I)で示されるフェロセン化合物と併用するこ
とも可能である。このように公知の電荷輸送材と併用す
る場合、一般式(I)で示されるフェロセン化合物の使
用量は、感光体の高感度化、高耐久性化の点から、電荷
輸送材の総使用量の50重量%以上が好ましい。また、
一般式(I)で示されるフェロセン化合物を含めた電荷
輸送材の総使用量は、下記の結合剤の使用量に対して通
常0.2〜10重量比であり、好ましくは0.5〜5重
量比である。電荷輸送材の総使用量が、0.2重量比よ
りも小であると、電荷輸送層における電荷輸送材濃度が
小さくなり、感度が悪くなる。また、10重量比より大
であると電荷輸送層の強度が小さくなり、実用上好まし
くない。
【0043】用いられる溶剤としては、上記フェロセン
化合物及び必要に応じて用いられる結合剤が溶解し、か
つ電荷発生層が溶解しない溶剤なら特に限定される事は
ない。必要に応じて用いられる結合剤は、絶縁性樹脂な
ら特に限定されることはなく、例えば、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド等の縮
合系重合体;ポリエチレン、ポリスチレン、スチレン−
アクリル共重合体、ポリアクリレート、ポリメタクリレ
ート、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、
ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、等の付加重合体;ポリスルホン、ポリエーテルス
ルホン、シリコン樹脂等が適宜用いられ、一種もしくは
二種以上のものを混合して用いることができる。
【0044】電荷輸送層の塗工手段は、特に限定される
ことはなく、例えば、ディップコーター、バーコータ
ー、カレンダーコーター、グラビアコーター、スピンコ
ーター等を適宜使用することができ、又、電着塗装する
ことも可能である。このようにして形成される電荷輸送
層の膜厚は、10〜50μm が好ましく、更に好ましくは10
〜30μm である。膜厚が50μm よりも大であると、電荷
の輸送により多くの時間を要するようになり、又、電荷
が捕獲される確率も大となり感度低下の原因となる。一
方、10μm より小であると、機械的強度が低下し、感光
体の寿命が短いものとなり好ましくない。
【0045】以上のごとく一般式(I)で示されるフェ
ロセン化合物を電荷輸送層に含む電子写真感光体を作製
する事ができるが、本発明では更に導電性支持体と電荷
発生層の間に必要に応じて、下引き層、接着層、バリヤ
ー層等を設ける事もでき、これらの層には例えばポリビ
ニルブチラール、フェノール樹脂、ポリアミド等が用い
られる。また感光体表面に表面保護層を設けることもで
きる。
【0046】こうして得られた本発明の電子写真感光体
の使用に際しては、まず感光体表面をコロナ帯電器等に
より負に帯電せしめる。帯電後、露光されることにより
電荷発生層内で電荷が発生し、正電荷が電荷輸送層内に
注入され、これが電荷輸送層中を通って表面にまで輸送
され、表面の負電荷が中和される。一方、露光されなか
った部分には負電荷が残ることになる。正規現像の場
合、正帯電トナーが用いられ、この負電荷が残った部分
にトナーが付着し現像されることになる。反転現像の場
合は、負帯電トナーが用いられ、電荷が中和された部分
にトナーが付着し、現像されることになる。本発明にお
ける電子写真感光体はいずれの現像方法においても使用
可能であり、高画質を与えることができる。
【0047】又、本発明においては、導電性支持体上に
まず電荷輸送層を設け、その上に電荷発生層を設けて電
子写真感光体を作製することもできる。この場合には、
まず感光体表面を正に帯電せしめ、露光後、発生した負
電荷は感光体の表面電荷を中和し、正電荷は電荷輸送層
を通って導電性支持体に輸送されることになる。又、本
発明においては、電荷発生材と電荷輸送材とを同一層に
含む単層型感光体とすることもでき、その場合には電荷
発生材と電荷輸送材とを結合剤とともに、溶解、分散せ
しめ、支持体上に10〜30μm の膜厚で塗工せしめればよ
い。これらのフェロセン化合物は単独又は二種類以上を
組み合わせて使用することができる。
【0048】
【実施例】以下、合成例、実施例および比較例により本
発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施
例等によりなんら限定されるものではない。
【0049】合成例1:例示化合物(1)の合成 攪拌装置、冷却管、滴下漏斗、温度計を備え付けた50
0ml−4つ口フラスコに、塩酸1,1−ジフェニルヒ
ドラジン44.1g(0.2mol)、ジメチルホルム
アミド200ml、1規定塩酸5mlを加えた。室温で
攪拌しながらジメチルホルムアミド100mlに溶解さ
せたフェロセンカルボキシアルデヒド42.8g(0.
2mol)を滴下した。滴下終了後、60℃で3時間反
応させた。反応液に酢酸エチル200mlを加えた後、
水200mlを加えてよく混合し、酢酸エチル層を分取
した。この溶液を3回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾
燥した後、酢酸エチルを留去した。得られた赤色固体を
エタノールで再結晶し、例示化合物(1)65.5g
(収率:86%,mp.:115〜116℃)を得た。
得られた例示化合物(1)のNMRスペクトル(CDC
3 )を図1に示す。また、元素分析の結果を以下に示
す。 計算値 C H N Fe (%) 72.64 5.30 7.37 14.69 実測値 (%) 72.58 5.46 7.35 14.61
【0050】合成例2:例示化合物(2)の合成 攪拌装置、冷却管、滴下漏斗、温度計を備え付けた50
0ml−4つ口フラスコに、1−メチル−1−フェニル
ヒドラジン24.4g(0.2mol)、ジメチルホル
ムアミド200ml、酢酸2gを加えた。室温で攪拌し
ながらジメチルホルムアミド100mlに溶解させたフ
ェロセンカルボキシアルデヒド42.8g(0.2mo
l)を滴下した。滴下終了後、50℃で1時間反応させ
た。反応液に酢酸エチル200mlを加えた後、水20
0mlを加えてよく混合し、酢酸エチル層を分取した。
この溶液を3回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した
後、酢酸エチルを留去した。得られた赤色固体をエタノ
ールで再結晶し、例示化合物(2)57.7g(収率:
91%,mp.:119〜120℃)を得た。得られた
例示化合物(2)のNMRスペクトル(CDCl3 )を
図2に示す。また、元素分析の結果を以下に示す。 計算値 C H N Fe (%) 67.94 5.70 8.81 17.55 実測値 (%) 67.98 5.74 8.77 17.51
【0051】実施例1 電荷発生材としてチタニルフタロシアニン5g、ブチラ
ール樹脂(エスレックBM−2、積水化学株式会社製)
5gをシクロヘキサノン90mlに溶解し、ボールミル
中で24時間混練した。得られた分散液をアルミ板上に
バーコーターにて乾燥膜厚が0.2μmになるよう塗布
して乾燥させ、電荷発生層を形成した。次に、電荷輸送
材として合成例1で得られた例示化合物(1)5g、ポ
リカーボネート樹脂(レキサン141−111、エンジ
ニアリングプラスチックス株式会社製)5gをジオキサ
ン90mlに溶解し、これを先に形成した電荷発生層上
にブレードコーターにて乾燥膜厚が25μmになるよう
に塗布して乾燥させ、電荷輸送層を形成した。
【0052】このようにして作製した電子写真感光体を
株式会社川口電機製作所製,静電複写紙試験装置EPA
−8100を用いて、−6.0kVのコロナ電圧で帯電
させたところ、初期表面電位V0 は−790Vであっ
た。暗所にて5秒放置後の表面電位V5 は−740Vと
なった。次いで790nmの単色光を照射し、半減露光
量E1/2 を求めたところ、0.30μJ/cm2 であ
り、残留電位VR は−2Vであった。次に上記の操作を
1万回繰り返した後、V0 、V5 、E1/2 、VR を測定
したところ、それぞれ−790V、−740V、0.3
2μJ/cm2 、−5Vであり、感光体の性能は殆ど衰
えていなかった。このように本発明による電子写真感光
体は、初回、1万回後ともに感度が優れ、耐久性の点で
も非常に優れていることがわかった。
【0053】実施例2〜10 電荷輸送材として、合成例1と同様にして合成した表1
に示した例示化合物を用いる以外は実施例1と同様にし
て電子写真感光体を作製し、性能評価を行った。その結
果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】このように本発明による電子写真感光体
は、実施例1と同様に初回、1万回後ともに感度が優
れ、耐久性の点でも非常に優れていることがわかった。
【0056】比較例1 電荷輸送材として、例示化合物(1)の代わりに化合物
(CT-1)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写
真感光体を作製し、性能評価を行った。
【0057】
【化21】
【0058】その結果V0 、V5 、E1/2 、VR はそれ
ぞれ−780V、−660V、0.53μJ/cm2
−38Vであった。次に上記の操作を1万回繰り返した
後、V0 、V5 、E1/2 、VR を測定したところ、それ
ぞれ−750V、−600V、1.12μJ/cm2
−97Vであり、帯電性、感度ともに劣る結果であっ
た。
【0059】比較例2 電荷輸送材として、例示化合物(1)の代わりに化合物
(CT-2)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写
真感光体を作製し、性能評価を行った。
【0060】
【化22】
【0061】その結果V0 、V5 、E1/2 、VR はそれ
ぞれ−790V、−680V、0.77μJ/cm2
−51Vであった。次に上記の操作を1万回繰り返した
後、V0 、V5 、E1/2 、VR を測定したところ、それ
ぞれ−760V、−645V、0.93μJ/cm2
−86Vであり、帯電性、感度ともに劣る結果であっ
た。
【0062】比較例3 電荷輸送材として、例示化合物(1)の代わりに特開昭
58−150956号公報の実施例2に記載されている
フェロセンを含む共重合体を用いて電荷輸送層を形成し
た以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製
し、性能評価を行った。その結果V0 、V5 、E1/2
R はそれぞれ−800V、−710V、5.20μJ
/cm2 、−183Vであった。次に上記の操作を1万
回繰り返した後、V0 、V5 、E1/2 、VR を測定した
ところ、それぞれ−780V、−680V、6.22μ
J/cm2 、−250Vであり、帯電性、感度ともに劣
る結果であった。
【0063】
【発明の効果】本発明のフェロセン化合物は、電荷移動
度が大きく、この化合物を電荷輸送材として感光層中に
含む電子写真感光体は、従来のものと異なり、初期電位
が安定し、暗減衰が小さく、感度が優れているものであ
る。又、繰り返し操作による劣化が少なく、耐久性にも
優れたものであり、電子写真感光体として充分実用化可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は合成例1で得られた例示化合物(1)の
NMRスペクトル(CDCl3)図である。
【図2】図2は合成例2で得られた例示化合物(2)の
NMRスペクトル(CDCl3)図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で示されるフェロセン化合
    物。 【化1】 (式中、R1 ,R2 は同一又は相異なって、置換されて
    いてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、複
    素環基、又は窒素原子と共に環を形成する残基を表す。
    3 は水素原子、又は置換されていてもよいアルキル基
    もしくはアリール基を表し、R4 は水素原子、又は置換
    されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール
    基、アラルキル基、ジアルキルアミノ基もしくはジアリ
    ールアミノ基を表す。)
  2. 【請求項2】 導電性支持体とその上に形成された感光
    層とを必須の構成要素とする電子写真感光体において、
    一般式(I)で示されるフェロセン化合物を電荷輸送材
    として感光層中に含むことを特徴とする電子写真感光
    体。 【化2】 (式中、R1 ,R2 は同一又は相異なって、置換されて
    いてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基、複
    素環基、又は窒素原子と共に環を形成する残基を表す。
    3 は水素原子、又は置換されていてもよいアルキル基
    もしくはアリール基を表し、R4 は水素原子、又は置換
    されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール
    基、アラルキル基、ジアルキルアミノ基もしくはジアリ
    ールアミノ基を表す。)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08245671A (ja) * 1995-03-10 1996-09-24 Tosoh Corp 光学活性1,1’−ビス(1−ヒドロキシアルキル)メタロセンの製造方法
CN103172678A (zh) * 2013-03-04 2013-06-26 中国科学院长春光学精密机械与物理研究所 二茂铁醛-苯腙结构的化合物及其制备方法与应用

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