JPH05281764A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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Publication number
JPH05281764A
JPH05281764A JP10594392A JP10594392A JPH05281764A JP H05281764 A JPH05281764 A JP H05281764A JP 10594392 A JP10594392 A JP 10594392A JP 10594392 A JP10594392 A JP 10594392A JP H05281764 A JPH05281764 A JP H05281764A
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JP
Japan
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group
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layer
charge transport
formula
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Application number
JP10594392A
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English (en)
Inventor
Hiroyasu Togashi
博靖 冨樫
Harumasa Yamazaki
晴正 山崎
Katsutoshi Aoki
克敏 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】導電性支持体とその上に形成された感光層を必
須の構成要素とする電子写真感光体において、一般式
(I)で示されるジスチリル化合物を電荷輸送材として
感光層中に含む。 (式中、R,Rは同一又は相異なって、水素原子、
又は置換されていてもよいアルキル基もしくはアルコキ
シ基を表す。Ar,Arは同一又は相異なって、置
換されていてもよいアリール基又は複素環基を表し、A
は置換されていてもよいアリーレン基又は複素環基
を表す。) 【効果】初期電位が安定し、暗減衰が小さく、感度が優
れており、又、繰り返し使用による劣化が少なく、耐久
性にも優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はジスチリル化合物を電荷
輸送材として用いた高感度、高耐久性の電子写真感光体
に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
電子写真方式を用いた複写機、プリンターの発展は目覚
ましく、用途に応じて様々な形態、種類、機能の機種が
開発され、それに対応してそれらに用いられる感光体も
多種多様のものが開発されつつある。従来、電子写真感
光体としては、その感度、耐久性の面から無機化合物が
主として用いられてきた。例えば、酸化亜鉛、硫化カド
ミウム、セレン等を挙げることができる。しかしなが
ら、これらは有害物質を使用している場合が多く、その
廃棄が問題となり、公害をもたらす原因となる。又、感
度が良好なセレンを用いる場合、蒸着法等により導電性
基体上に薄膜を形成する必要があり、生産性が劣り、コ
ストアップの原因となる。
【0003】近年、無公害性の無機物感光体としてアモ
ルファスシリコンが注目され、その研究開発が進められ
ている。しかしながら、これらも感度については優れて
いるが、薄膜形成時において、主にプラズマCVD法を
用いるため、その生産性は極めて劣っており、感光体コ
スト、ランニングコストとも大きなものとなっている。
【0004】一方、有機感光体は、焼却が可能であり、
無公害の利点を有し、更に多くのものは塗工により薄膜
形成が可能で大量生産が容易である。それ故にコストが
大幅に低減でき、又、用途に応じて様々な形状に加工す
ることができるという長所を有している。しかしなが
ら、有機感光体においては、その感度、耐久性に問題が
残されており、高感度、高耐久性の有機感光体の出現が
強く望まれている。有機感光体の感度向上の手段として
様々な方法が提案されているが、現在では電荷発生層と
電荷輸送層とに機能が分離した主に二層構造の機能分離
型感光体が主流となっている。例えば、露光により電荷
発生層で発生した電荷は、電荷輸送層に注入され、電荷
輸送層中を通って表面に輸送され、表面電荷を中和する
ことにより感光体表面に静電潜像が形成される。機能分
離型は単層型に比して発生した電荷が捕獲される可能性
が小さくなり、各層がそれぞれの機能を阻害されること
なく、効率よく電荷が感光体表面に輸送され得る(アメ
リカ特許第2803541 号) 。
【0005】電荷発生層に用いられる有機電荷発生材と
しては、照射される光のエネルギーを吸収し、効率よく
電荷を発生する化合物が選択使用されており、例えば、
アゾ顔料(特開昭54−14967 号公報)、無金属フタロシ
アニン顔料(特開昭60−19146 号公報)、金属フタロシ
アニン顔料(特開昭57−146255号公報)、スクエアリウ
ム塩(特開昭63−113462号公報)等を挙げることができ
る。電荷輸送層に用いられる電荷輸送材としては電荷発
生層からの電荷の注入効率が大きく、更に電荷輸送層内
での電荷の移動度が大である化合物を選定する必要があ
る。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さい化合
物、カチオンラジカルが発生し易い化合物が選ばれ、例
えば、トリアリールアミン誘導体(特開昭58−123542号
公報)、ヒドラゾン誘導体(特開昭57−101844号公
報)、オキサジアゾール誘導体(特公昭34−5466号公
報)、ピラゾリン誘導体(特公昭52−4188号公報)、ス
チルベン誘導体(特開昭58−198043号公報)、トリフェ
ニルメタン誘導体(特公昭45−555 号公報)、1, 3−
ブタジエン誘導体(特開昭62−287257号公報)等が提案
されている。
【0006】しかしながら、これらの電荷輸送材の電荷
移動度は無機物に比較すると小さいものであり、感度も
まだまだ満足できないものである。このような背景にお
いて、上記の電荷輸送材のうちスチリル化合物、スチル
ベン化合物等については、合成が容易、電荷移動度が大
きい等の点から数多くの報告がなされている。例えば、
特開昭62−287257号公報には下記一般式で示さ
れるブタジエン化合物が記載されている。
【0007】
【化2】
【0008】(式中、R1 ,R2 は上記公報中に記載の
ものを表す。)特開昭63−30851号公報には下記
一般式で示されるスチリル化合物が記載されている。
【0009】
【化3】
【0010】(式中、R1 ,R2 ,Ar1 ,Ar2 ,A
3 は上記公報中に記載のものを表す。)特開昭63−
139354号公報には下記一般式で示されるスチルベ
ン化合物が記載されている。
【0011】
【化4】
【0012】(式中、R1 ,R2 ,X,nは上記公報中
に記載のものを表わす。)特開昭63−269158号
公報には下記一般式で示されるジスチリル化合物が記載
されている。
【0013】
【化5】
【0014】(式中、Ar1 ,Ar2 ,Ar3 ,A
4 ,Aは上記公報中に記載のものを表す。)しかしな
がら、これらの化合物も、電荷移動度が必ずしも満足で
きるものではないため、感光体の感度が低く、残留電位
も大きいという欠点を有する。このように電子写真感光
体の電荷輸送材として実用上満足できるものは、未だ見
い出されていないのが実状である。本発明の目的は、か
かる課題を解決すべく、電荷移動度が大きいジスチリル
化合物を電荷輸送材として用いることにより、高感度、
高耐久性の電子写真感光体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究の結果、本発明を完成するに至っ
た。
【0016】即ち、本発明の要旨は導電性支持体とその
上に形成された感光層とを必須の構成要素とする電子写
真感光体において、一般式(I)で示されるジスチリル
化合物を電荷輸送材として感光層中に含むことを特徴と
する電子写真感光体に関する。
【0017】
【化6】
【0018】(式中、R1 ,R2 は同一又は相異なっ
て、水素原子、又は置換されていてもよいアルキル基も
しくはアルコキシ基を表す。Ar1 ,Ar2 は同一又は
相異なって、置換されていてもよいアリール基又は複素
環基を表し、Ar3 は置換されていてもよいアリーレン
基又は複素環基を表す。)
【0019】一般式(I)に関してR1 ,R2 で表され
る置換されていてもよいアルキル基としては、メチル
基、エチル基、n−ブチル基等、通常炭素数1〜6のも
のが挙げられ、置換されている場合の置換基としては通
常、アルコキシ基、アリール基等である。置換されてい
てもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ
基等が挙げられ、置換されている場合の置換基としては
通常、フェニル基等である。R1 ,R2 は同一又は相異
なって、水素原子の他、これらのいずれでもよく特に限
定されるものではないが、製造が容易な点から水素原
子、置換されていてもよいアルキル基が好ましい。
【0020】一般式(I)に関して、Ar1 ,Ar2
表される置換されていてもよいアリール基としては、フ
ェニル基、ナフチル基等が挙げられ、置換されている場
合の置換基としては通常、アルキル基、アルコキシ基、
ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基等である。置
換されていてもよい複素環基としては、ピリジル基、カ
ルバゾリル基等が挙げられ、置換されている場合の置換
基としては通常、アルキル基、アルコキシ基、アリール
基等である。Ar1 ,Ar2 は同一又は相異なって、こ
れらのいずれでもよく特に限定されるものではないが、
製造が容易な点から置換されていてもよいアリール基が
好ましい。
【0021】一般式(I)に関して、Ar3 で表される
置換されていてもよいアリーレン基としては、フェニレ
ン基、ナフチレン基が挙げられ、置換されている場合の
置換基としては通常、アルキル基、アルコキシ基等であ
る。置換されていてもよい複素環基としては、チエニル
基、2価のカルバゾール環基等が挙げられ、置換されて
いる場合の置換基は、通常、アルキル基、アルコキシ
基、アリール基等である。Ar3 はこれらのいずれでも
よく特に限定されるものではないが、製造が容易な点か
ら置換されていてもよいアリーレン基が好ましい。
【0022】以上のように本発明に用いられる一般式
(I)で示されるジスチリル化合物は、前記従来技術の
ジスチリル化合物とは構造上全く異なるものである。以
下、一般式(I)で示されるジスチリル化合物を具体的
に例示するが(化合物(1)〜化合物(25))、本発
明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】
【化10】
【0027】
【化11】
【0028】
【化12】
【0029】
【化13】
【0030】本発明に用いられる一般式(I)で示され
るジスチリル化合物は公知の任意の方法で容易に合成す
ることができる。例えば一般式(II)
【0031】
【化14】
【0032】(式中、Ar1 ,Ar2 は一般式(I)と
同じ意味を表す。)で示されるエチレン化合物と一般式
(III)
【0033】
【化15】
【0034】(式中、R1 ,R2 ,Ar3 ,は一般式
(I)と同じ意味を表す。Xはハロゲン原子を表す。)
で示されるスチリル化合物とをVIII 族の遷移金属化合
物、トリアリールホスフィン及び塩基性化合物の存在下
で反応させることにより(特開昭58−65275号公
報、J.Org.Chem.,37,2320(197
2))、本発明のジスチリル化合物を得ることができ
る。このとき使用されるVIII 族の遷移金属化合物とし
ては、コバルト金属、ニッケル金属、パラジウム金属、
ロジウム金属等を挙げることができる。使用されるトリ
アリールホスフィンとしてはトリフェニルホスフィン、
トリ−o−トリルホスフィン、トリス(2−メチル−5
−t−ブチルフェニルホスフィン)、トリス(2,5−
ジイソプロピルフェニル)ホスフィン等を挙げることが
できる。使用される塩基性物質としては水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリ
ウム、アミン類等を挙げることができる。反応は無溶媒
もしくはジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、N−メチルピロリドン、ジオキサン、トルエン、キ
シレン等の溶媒中で行うことができる。反応温度は室温
から200℃の範囲で行われ、反応は通常0.5〜30
時間で終了する。
【0035】かくして製造される一般式(I)で示され
るジスチリル化合物は、分子の共役が広がり、従来より
知られているジスチリル化合物と比較して電荷移動度が
大きい。さらに熱安定性や耐久性も優れている。また、
これらの化合物は、多くの溶剤に可溶であり、例えば、
ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベ
ンゼン等の芳香族系溶剤;ジクロロメタン、クロロホル
ム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩
化炭素等のハロゲン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、
酢酸プロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系
溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶
剤;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコー
ル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキシド等に可溶である。
【0036】以上のような性能から、本発明の電子写真
感光体において、一般式(I)で示されるジスチリル化
合物を電荷輸送材として用いることにより、電子写真感
光体の高感度化、高耐久性化が可能となる。
【0037】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体
とその上に形成された感光層を必須の構成要素とする
が、このような感光体を作製するにあたっては、例え
ば、導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層を薄膜
上に形成せしめる。導電性支持体の基材としては、アル
ミニウム、ニッケル等の金属、金属蒸着高分子フィル
ム、金属ラミネート高分子フィルム等を用いることがで
き、ドラム状、シート状又はベルト状の形態で導電性支
持体を形成する。
【0038】電荷発生層は、電荷発生材及び必要に応じ
て結合剤、添加剤よりなり、蒸着法、プラズマCVD
法、塗工法等の方法で作製することができる。電荷発生
材としては、特に限定されることはなく照射される特定
の波長の光を吸収し、効率よく電荷を発生し得るものな
ら有機材料、無機材料のいずれも好適に使用することが
できる。
【0039】有機電荷発生材としては、例えば、ペリレ
ン顔料、多環キノン系顔料、無金属フタロシアニン顔
料、金属フタロシアニン顔料、ビスアゾ顔料、トリスア
ゾ顔料、チアピリリウム塩、スクエアリウム塩、アズレ
ニウム顔料等が挙げられ、これらは主として結合剤中に
分散せしめ、塗工により電荷発生層を形成することがで
きる。無機電荷発生材としては、セレン、セレン合金、
硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン、ア
モルファスシリコンカーバイド等が挙げられる。なかで
も半導体レーザー波長域では、特にX型無金属フタロシ
アニン顔料及びオキソチタニルフタロシアニン顔料が、
可視光領域ではジブロモアントアントロン顔料がその感
度の点において最も優れている。形成された電荷発生層
の膜厚は、 0.1〜2.0 μm が好ましく、更に好ましくは
0.1〜1.0 μm である。
【0040】次に該電荷発生層の上部に前記の一般式
(I)で示されるジスチリル化合物を含む電荷輸送層を
薄膜状に形成せしめる。薄膜形成法としては、主に塗工
法が用いられ、一般式(I)で示されるジスチリル化合
物を必要に応じて結合剤と共に溶剤に溶解し、電荷発生
層上に塗工せしめ、その後乾燥させればよい。
【0041】このとき、一般式(I)で示されるジスチ
リル化合物は、単独又は二種類以上を組み合わせて使用
することができる。又、本発明においては、必要に応じ
て前記したトリアリールアミン誘導体、ヒドラゾン誘導
体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチ
ルベン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、1,3−ブ
タジエン誘導体のような公知の電荷輸送材を一般式
(I)で示されるジスチリル化合物と併用することも可
能である。このように公知の電荷輸送材と併用する場
合、一般式(I)で示されるジスチリル化合物の使用量
は、感光体の感度、耐久性の点から電荷輸送材の総使用
量の50重量%以上が好ましい。また、一般式(I)で
示されるジスチリル化合物を含めた電荷輸送材の総使用
量は、下記の結合剤の使用量に対して通常0.2〜10
重量比であり、好ましくは0.5〜5重量比である。電
荷輸送材の量が、この範囲よりも小であると、電荷輸送
層における電荷輸送材濃度が小さくなり、感度が悪くな
る。また、この範囲より大であると電荷輸送層の強度が
小さくなり、実用上好ましくない。
【0042】用いられる溶剤としては、上記ジスチリル
化合物及び必要に応じて用いられる結合剤が溶解し、か
つ電荷発生層が溶解しない溶剤なら特に限定される事は
ない。必要に応じて用いられる結合剤は、絶縁性樹脂な
ら特に限定されることはなく、例えば、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド等の縮
合系重合体;ポリエチレン、ポリスチレン、スチレン−
アクリル共重合体、ポリアクリレート、ポリメタクリレ
ート、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、
ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体等の付加重合体;ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、シリコン樹脂等が適宜用いられ、一種もしくは二
種以上のものを混合して用いることができる。
【0043】電荷輸送層の塗工手段は、特に限定される
ことはなく、例えば、ディップコーター、バーコータ
ー、カレンダーコーター、グラビアコーター、スピンコ
ーター、等を適宜使用することができ、又、電着塗装す
ることも可能である。このようにして形成される電荷輸
送層の膜厚は、10〜50μm が好ましく、更に好ましくは
10〜30μm である。膜厚が50μm よりも大であると、電
荷の輸送により多くの時間を要するようになり、又、電
荷が捕獲される確率も大となり感度低下の原因となる。
一方、10μm より小であると、機械的強度が低下し、感
光体の寿命が短いものとなり好ましくない。
【0044】以上のごとく一般式(I)で示されるジス
チリル化合物を電荷輸送層に含む電子写真感光体を作製
する事ができるが、本発明では更に導電性支持体と電荷
発生層の間に必要に応じて、下引き層、接着層、バリヤ
ー層等を設ける事もでき、これらの層には例えばポリビ
ニルブチラール、フェノール樹脂、ポリアミド等が用い
られる。また感光体表面に表面保護層を設けることもで
きる。
【0045】こうして得られた本発明の電子写真感光体
の使用に際しては、まず感光体表面をコロナ帯電器等に
より負に帯電せしめる。帯電後、露光されることにより
電荷発生層内で電荷が発生し、正電荷が電荷輸送層内に
注入され、これが電荷輸送層中を通って表面にまで輸送
され、表面の負電荷が中和される。一方、露光されなか
った部分には負電荷が残ることになる。正規現像の場
合、正帯電トナーが用いられ、この負電荷が残った部分
にトナーが付着し現像されることになる。反転現像の場
合は、負帯電トナーが用いられ、電荷が中和された部分
にトナーが付着し、現像されることになる。本発明にお
ける電子写真感光体はいずれの現像方法においても使用
可能であり、高画質を与えることができる。
【0046】又、本発明においては、導電性支持体上に
まず電荷輸送層を設け、その上に電荷発生層を設けて電
子写真感光体を作製することもできる。この場合には、
まず感光体表面を正に帯電せしめ、露光後、発生した負
電荷は感光体の表面電荷を中和し、正電荷は電荷輸送層
を通って導電性支持体に輸送されることになる。又、本
発明においては、電荷発生材と電荷輸送材とを同一層に
含む単層型感光体とすることもでき、その場合には電荷
発生材と電荷輸送材とを結合剤とともに、溶解、分散せ
しめ、支持体上に10〜30μmの膜厚で塗工せしめればよ
い。
【0047】
【実施例】以下、合成例、実施例及び比較例により本発
明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0048】合成例1:化合物(16)の合成 攪拌装置、冷却管、窒素導入管、温度計を備え付けた3
00ml−4つ口フラスコに、9−(4−ブロモベンジ
リデン)フルオレン6.66g(0.02mol)、
1,1−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)エチレン
6.44g(0.02mol)、トリ−o−トリルホス
フィン0.12g、酢酸パラジウム0.045g、トリ
ブチルアミン3.71g、ジメチルホルムアミド40g
を加えて窒素ガスを吹き込み、攪拌しながら140℃ま
で加熱し、15時間反応させた。反応液を室温まで冷却
し、酢酸エチル50mlを加えた。その後、水50ml
を加えてよく混合し、酢酸エチル層を分取した。この溶
液を3回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、酢
酸エチルを留去した。得られた黄色固体をヘキサン/酢
酸エチルで再結晶し、化合物(16)8.22g(収率
72%)を得た。
【0049】合成例2:化合物(22)の合成 攪拌装置、冷却管、窒素導入管、温度計を備え付けた3
00ml−4つ口フラスコに、9−(2−ブロモベンジ
リデン)フルオレン6.66g(0.02mol)、
1,1−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)エチレン
6.44g(0.02mol)、トリ−o−トリルホス
フィン0.12g、酢酸パラジウム0.045g、トリ
ブチルアミン3.71g、ジメチルホルムアミド40g
を加えて窒素ガスを吹き込み、攪拌しながら150℃ま
で加熱し、20時間反応させた。反応液を室温まで冷却
し、酢酸エチル50mlを加えた。その後、水50ml
を加えてよく混合し、酢酸エチル層を分取した。この酢
酸エチル溶液を3回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥
した後、酢酸エチルを留去した。得られた黄色固体をヘ
キサン/酢酸エチルで再結晶し、化合物(22)9.1
0g(収率79%)を得た。
【0050】実施例1 電荷発生材としてオキソチタニルフタロシアニン5g、
ブチラール樹脂(エスレックBM−2、積水化学株式会
社製)5gをシクロヘキサノン90mlに溶解し、ボー
ルミル中で24時間混練した。得られた分散液をアルミ
板上にバーコーターにて乾燥膜厚が0.2μmになるよ
うに塗布して乾燥させ、電荷発生層を形成した。次に、
電荷輸送材として合成例1で得られたジスチリル化合物
(化合物(16))5g、ポリカーボネート樹脂(レキ
サン141−111、エンジニアリングプラスチックス
株式会社製)5gをジオキサン90mlに溶解し、これ
を先に形成した電荷発生層上にブレードコーターにて乾
燥膜厚が25μmになるように塗布して乾燥させ、電荷
輸送層を形成した。
【0051】このようにして作製した本発明の電子写真
感光体を株式会社川口電機製作所製,静電複写紙試験装
置EPA−8100を用いて、−6.0kVのコロナ電
圧で帯電させたところ、初期表面電位V0 は−805V
であった。暗所にて5秒放置後の表面電位V5 は−72
5Vとなった。次いで790nmの単色光を照射し、半
減露光量E1/2 を求めたところ、0.35μJ/cm2
であり、残留電位VRは−11Vであった。次に1万回
繰り返した後、V0 、V5 、E1/2 、VR を測定したと
ころ、それぞれ−805V、−720V、0.36μJ
/cm2 、−13Vであり、高感度を維持したまま、感
光体の性能は殆ど衰えていなかった。
【0052】実施例2〜6 電荷輸送材として、合成例1と同様にして得られた表1
に示した化合物を用いる以外は実施例1と同様にして本
発明の電子写真感光体を作製し、性能評価を行なった。
その結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】このように本発明の電子写真感光体は、初
回、1万回後ともに感度、耐久性の点でも非常に優れて
いることがわかった。
【0055】比較例1 電荷輸送材として、化合物(16)の代わりに化合物
(CT-1)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写
真感光体を作製し、性能評価を行なった。
【0056】
【化16】
【0057】その結果V0 、V5 、E1/2 、VR はそれ
ぞれ−710V、−565V、0.67μJ/cm2
−38Vであった。次に1万回繰り返した後、V0 、V
5 、E1/2 、VR を測定したところ、それぞれ−670
V、−520V、0.81μJ/cm2 、−74Vであ
り、帯電性、感度ともに劣る結果であった。
【0058】比較例2 電荷輸送材として、化合物(16)の代わりに化合物
(CT-2)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写
真感光体を作製し、性能評価を行なった。
【0059】
【化17】
【0060】その結果V0 、V5 、E1/2 、VR はそれ
ぞれ−695V、−590V、0.59μJ/cm2
−51Vであった。次に1万回繰り返した後、V0 、V
5 、E1/2 、VR を測定したところ、それぞれ−680
V、−550V、0.72μJ/cm2 、−68Vであ
り、帯電性、感度ともに劣る結果であった。
【0061】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、電荷移動度
が大きいジスチリル化合物を電荷輸送材として感光層中
に含むため、従来の感光体と異なり、初期電位が安定
し、暗減衰が小さく、感度が優れているものである。
又、繰り返し使用による劣化が少なく、耐久性にも優れ
たものであり、電子写真感光体として充分実用化可能で
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体とその上に形成された感光
    層を必須の構成要素とする電子写真感光体において、一
    般式(I)で示されるジスチリル化合物を電荷輸送材と
    して感光層中に含むことを特徴とする電子写真感光体。 【化1】 (式中、R1 ,R2 は同一又は相異なって、水素原子、
    又は置換されていてもよいアルキル基もしくはアルコキ
    シ基を表す。Ar1 ,Ar2 は同一又は相異なって、置
    換されていてもよいアリール基又は複素環基を表し、A
    3 は置換されていてもよいアリーレン基又は複素環基
    を表す。)
JP10594392A 1992-03-30 1992-03-30 電子写真感光体 Pending JPH05281764A (ja)

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