JPH0525221Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、内燃機関用点火装置に用いる点火コ
イルに関するものである。

［従来の技術］ 内燃機関用点火装置に用いる点火コイルは、鉄
心と該鉄心を囲むように設けられた１次及び２次
コイルとを有し、両コイルは多くの場合絶縁材料
からなるケース内に収納される。

第５図は従来のこの種の点火コイルを示したも
ので、同図において１は鉄心、２及び３はそれぞ
れ１次コイル及び２次コイルであり、１次コイル
２及び２次コイル３は合成樹脂の成形品からなる
ケース４内に収納されている。ケース４には高圧
コード６を受け入れて保持する筒状の高圧コード
保持部４ａが一体に設けられている。高圧コード
保持部４ａの底部に木ネジ状の高圧コード接続用
端子金具５が固定され、該端子金具５に２次コイ
ル３の巻き終り端部３ａが巻きつけられて半田付
けされている。２次コイル３の巻き始め端部は１
次コイル２の巻き終り端部とともに外部導出リー
ド線７に接続され、１次コイル２の巻き始め端部
は外部導出リード線８に接続されている。ケース
４内には絶縁樹脂９が注型され、該絶縁樹脂によ
り１次コイル及び２次コイルが絶縁されている。

［考案が解決しようとする問題点］ 従来の点火コイルでは、２次コイル３の巻き終
り端部を高圧コード接続用端子金具５または該端
子金具５につながる別の端子金具に半田付けして
いたため、点火コイルの組立作業の工数が多くな
り、製造が面倒になるのを避けられなかつた。

上記の点火コイルを組立てる場合、端子金具５
をケースに固定しておいて、ケース内の端子金具
５と２次コイルの巻き終り端部３ａとを半田付け
した後に２次コイルをケース内に挿入する方法を
とると、２次コイルの巻き終り端末部を相当に長
くしておく必要があるため、２次コイル３をケー
ス内に挿入した際に２次コイルの巻き終り端末部
がたるみ、ケース内に樹脂を注型した際に２次コ
イルの巻き終り端末部が他の部分に接触して絶縁
の弱点になるおそれがあつた。

また先に端子金具５を２次コイル３の端末部に
半田付けしておき、後から端子金具５を高圧コー
ド保持部の孔に挿入するとともに、２次コイルを
ケース内に挿入する方法をとることも考えられる
が、この場合には、２次コイルを構成する導体
（一般に非常に細い線からなる。）が断線するおそ
れがあるため、作業に細心の注意が必要になり、
作業能率が低下するという問題があつた。

本考案の目的は、１次コイル及び２次コイルを
ケース内に収納して、ケースに固定した高圧コー
ド接続用端子金具に２次コイルの巻き終り端部を
電気的に接続してなる点火コイルにおいて、２次
コイルの巻き終り端部と高圧コード接続用端子金
具との接続を、絶縁の弱点を生じさせることなく
簡単に行い得るようにすることにある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案においては、２次コイルの外周面に導電
板を固定して該導電板に２次コイルの巻き終り端
部を半田付けする。またケース内には高圧コード
接続用端子金具につながる接触子を固定してお
く。該接触子及び導電板は２次コイルがケース内
に挿入された状態で互いに接触する位置に設けて
おく。

［考案の作用］ 上記のように構成すると、２次コイルをケース
内に挿入した際に、接触子を導電板に接触させ
て、２次コイルの巻き終り端部と高圧コード接続
用端子金具との電気的接続を自動的に行うことが
できるため、コイルをケース内に挿入する作業を
簡単に行うことができ、点火コイルの製造を容易
にすることができる。

また上記のように構成すると、２次コイルの端
末部にたるみが生じるのを防ぐことができ、２次
コイルの端末部のたるみが他の部分に接触して絶
縁の弱点が生じるおそれを無くすことができる。

［実施例］ 以下第１図ないし第４図を参照して本考案の実
施例を説明する。

これらの図において１０は絶縁樹脂の成形品か
らなるケースで、このケースはほぼ円筒状に形成
され、その一端は底部１０ａにより閉じられてい
る。ケース１０の外周部の一部には膨出部１０ｂ
が形成され、該膨出部１０ｂの内側に筒状の高圧
コード保持部１０ｃが形成されている。ケース１
０の中央部には底部１０ａから起立して該ケース
の軸線方向に伸びる鉄心嵌合用筒部１０ｄが形成
され、該鉄心嵌合用筒部１０ｄ内に鋼板の積層体
からなる鉄心１１が嵌合されるようになつてい
る。ケース１０にはまた底部１０ａから立上がつ
て鉄心嵌合用筒部と平行に伸びるアース隔離板１
０ｅが設けられ、該アース隔離板１０ｅと鉄心嵌
合用筒部１０ｄとの間に、ボビンにコイル導体を
巻回して形成した１次コイル１２が嵌装されてい
る。この１次コイルの巻き始め端部及び巻き終り
端部からはそれぞれリード線１２ａ及び１２ｂが
導出され、これらのリード線の内、巻き終り端部
からのリード線１２ｂは鉄心嵌合用筒部１０ｄ内
に嵌合された鉄心１１に適宜の手段により電気的
に接続されてアースされる。

上記１次コイル１２の外側に２次コイル１３が
嵌装される。２次コイル１３は円筒状の２次ボビ
ン１４にコイル導体を複数層巻回したものからな
り、該２次コイルの層間及び最外周部は絶縁紙に
より絶縁されている。２次ボビン１４の内周部の
一端には導電材料からなる帯板状のアース板１５
の一端がハトメ等により固定され、該アース板１
５に２次コイル１３の巻き始め端部１３ａ（第３
図参照）が半田付けされている。２次コイル１３
がケース内に挿入された状態で、アース隔離板１
０ｅがアース板１５と１次コイル１２との間に介
在し、該隔離板により１次コイルとアース間が絶
縁されるようになつている。

２次コイル１３の最外周部を絶縁する絶縁紙の
上には、銅箔、アルミ箔等からなる導電板１６が
接着により固定され、該導電板１６に２次コイル
１３の巻き終り端部１３ｂが半田付けされてい
る。この巻き終り端部１３ｂの半田付けの際に
は、該巻き終り端部にたるみを生じさせないよう
に、巻き終り端部１３ｂと導電板１６とをできる
だけ最短距離で接続するように配慮する。

ケース１０の高圧コード保持部１０ｃには高圧
コード接続用端子金具１７と接触子１８とが取付
けられている。端子金具１７は木ネジ状に形成さ
れていて、保持部１０ｃの底部１０ｃ１を貫通さ
せて取付けられている。

第４図に示すように、接触子１８は基部１８ａ
と該基部に対してほぼ直角な方向に伸びる接点部
１８ｂとを有し、その基部１８ａが高圧コード接
続用端子金具１７の頭部１７ａと保持部１０ｃの
底部１０ｃ１との間に挟み込まれた状態で取付け
られている。接触子１８の接点部１８ｂは２次コ
イルの軸線とほぼ平行するように配置され、２次
コイル１３がケース内に挿入された際に接点部１
８ｂが導電板１６に接触するように、接触子１８
の位置及び導電板１６の位置が設定されている。
接点部１８ｂに弾性を持たせて導電板１６との接
触を良好にするため、該接点部１８ｂには波付け
がされている。

アース板１５は、第３図に鎖線で示したよう
に、ケースの鉄心嵌合用筒部１０ｄ内に鉄心１１
を嵌合させる際に鉄心１１と筒部１０ｄの内周と
の間に挟み込まれて該鉄心１１（アース）に電気
的に接続される。

ケース１０内には１次コイル１２及び２次コイ
ル１３が挿入された後、熱硬化性の絶縁樹脂が注
型され、該絶縁樹脂が加熱硬化されて１次コイル
及び２次コイルがケース内に固定される。

上記実施例のように、２次コイル１３をケース
１０内に挿入した際に、接触子１８を導電板１６
に接触させて、２次コイルの巻き終り端部と高圧
コード接続用端子金具との電気的接続を自動的に
行わせるようにすると、２次コイルの端末部と高
圧端子金具との半田付け作業が不要になるため、
コイル１３をケース１０内に挿入する作業を簡単
に行うことができ、点火コイルの製造を容易にす
ることができる。

また上記のように構成すると、２次コイルの端
末部と導電板１６とは最短距離で接続されるた
め、２次コイルの巻き終り端末部にたるみが生じ
るのを防ぐことができ、２次コイルの端末部のた
るみが他の部分に接触して絶縁の弱点が生じるお
それを無くすことができる。

上記の実施例においては、ケース１０が鉄心嵌
合用筒部１０ｄを有しているが、この筒部１０ｄ
は省略することができる。

また上記の実施例では、アース板１５を鉄心１
１に接触させることにより１次コイル及び２次コ
イルの一端を接地するようにしているが、これら
のコイルの一端の接地の仕方は任意である。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば、２次コイルを
ケース内に挿入した際に、接触子を導電板に接触
させて、２次コイルの巻き終り端部と高圧コード
接続用端子金具との電気的接続を自動的に行うこ
とができるようにしたため、コイルをケース内に
挿入する作業を簡単に行うことができ、点火コイ
ルの製造を容易にすることができる。

また本考案によれば、２次コイルの端末部にた
るみが生じるのを防ぐことができるため、２次コ
イルの端末部のたるみが他の部分に接触して絶縁
の弱点が生じるおそれを無くすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を一部切り欠いて示し
た斜視図、第２図は同実施例で用いる２次コイル
の外観を概略的に示した正面図、第３図は同実施
例の縦断面図、第４図は同実施例における高圧端
子金具と２次コイルの巻き終り端部との接続部の
構造を詳細に示した要部拡大断面図、第５図は従
来の点火コイルの構造を示した縦断面図である。 １０……ケース、１１……鉄心、１２……１次
コイル、１３……２次コイル、１４……２次ボビ
ン、１６……導電板、１７……高圧コード接続用
端子金具、１８……接触子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １次コイルと、前記１次コイルの外側に該１次
   コイルと同心的に配置された２次コイルと、前記
   １次コイル及び２次コイルを収納するケースとを
   備え、前記ケースに固定された高圧コード接続用
   端子金具に前記２次コイルの巻き終り端部が電気
   的に接続された点火コイルにおいて、 前記２次コイルの外周面に導電板が固定されて
   該導電板に前記２次コイルの巻き終り端部が半田
   付けされ、 前記ケース内には前記高圧コード接続用端子金
   具につながる接触子が固定され、 前記接触子及び導電板は前記２次コイルが前記
   ケース内に挿入された状態で互いに接触する位置
   に設けられていることを特徴とする点火コイル。