JPH05245924A - 結晶性熱可塑性樹脂の面配向体の製造法 - Google Patents

結晶性熱可塑性樹脂の面配向体の製造法

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JPH05245924A
JPH05245924A JP4302384A JP30238492A JPH05245924A JP H05245924 A JPH05245924 A JP H05245924A JP 4302384 A JP4302384 A JP 4302384A JP 30238492 A JP30238492 A JP 30238492A JP H05245924 A JPH05245924 A JP H05245924A
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melt
thermoplastic resin
crystalline thermoplastic
film
temperature
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JP4302384A
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Kentaro Noguchi
健太郎 野口
Toshio Yamauchi
敏夫 山内
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Kanebo Ltd
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Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (1)結晶性熱可塑性樹脂の溶融体を、連続的に冷却帯
域を流動させる間に、冷却過程の液相状態の溶融体とな
し、次いで(2)該溶融体が冷却過程の液相状態にある
間に、該溶融体の進行方向をほぼ直角方向に向けたの
ち、金型内の環状口隙より放射状に膜にして外方に押出
して固相状態の面配向体を形成する、ことによって結晶
性熱可塑性樹脂の面配向体を製造する。 【効果】本発明によれば、生産工程を簡素化し且つ二方
向の配向体の生産ラインスピードを格段に高速化しうる
熱可塑性樹脂の面配向体の製造法が提供される。また、
この方法によれば、冷延伸可能な未配向体が得られない
熱可塑性樹脂からも二方向の配向体が得られ、また革新
的に安価な面配向体を製造することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結晶性熱可塑性樹脂の
面配向体の製造法に関する。さらに詳しくは結晶性熱可
塑性樹脂の溶融体を冷却する過程で二軸延伸せしめる工
程を含む該樹脂の面配向体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】1932年の米国化学会誌(J. Am. Che
m. Soc.)第54巻、1579頁〜1587頁に掲載さ
れた『スーパーポリマーから人造繊維へ』と題するカロ
ーサス等の論文には乾式紡糸したスーパーポリエステル
を『冷延伸』してスーパーポリエステルを繊維軸方向に
分子配向させて人造繊維をつくるという結晶性熱可塑性
樹脂の分子配向工程を発見したことが報告されている。
この報告の内容は、デュポン社から線状重合体と題し、
米国特許第2,071,250号として提案されている。
【0003】『冷延伸』による分子配向工程は、その
後、二方向の分子配向工程に拡張され、改良されたポリ
エチレンテレフタレートフィルムの製造法に発展した。
ポリエチレンテレフタレートの逐時二軸延伸によるスカ
ーレットの改良されたポリエチレンテレフタレートフィ
ルムの製造方法はデュポン社から米国特許第2,823,
421号、特公昭30−5639号および特公昭34−
1996号として提案されている。この方法は、縦と横
方向の逐時分子配向工程を含む冷延伸による分子配向方
法であり、次の4工程、すなわち溶融押出急冷フィルム
成形(melt-extrusion and quenching)、縦延伸(draw
ing in the longitudinal or machine direction (M
D))、横延伸(drawing in the transverse direction
(TD))、および熱処理(heat setting)からなる。
【0004】この方法は、ポリエチレンテレフタレート
の樹脂性状が前記4工程に最適であったことと、フィル
ムの物性が非常に優れていたことと、フィルムの原料が
低価格であったこと等によって、長年にわたって多様な
市場要求に対応出来たため、この方法を基本にして製造
されたポリエチレンテレフタレートフィルムは世界市場
で今日も生産が拡大している。
【0005】『冷延伸』による分子配向工程は、スカー
レットのポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィル
ムから更に、ポリエチレンテレフタレートの二軸延伸ボ
トルに拡大した。この関係は、米国特許第3,733,3
09号にポリエチレンテレフタレートの二軸延伸ボトル
として提案されている。これはポリエチレンテレフタレ
ートのパリソンを射出成形し、再加熱して配向条件でパ
リソンをロッドで軸方向に延伸してから、型のなかの延
伸されたパリソンに圧縮空気を導いて横方向に延伸ブロ
ー成形する、ポリエチレンテレフタレートの二軸延伸ボ
トルに関するものである。
【0006】このように、カローサスが発明した『冷延
伸』による分子配向工程は、結晶性熱可塑性樹脂から、
人造繊維、二軸延伸フィルム、そして二軸延伸ボトルへ
と、約40年にわたり研究開発が続行され技術的に発展
した。すなわち、ポリアミドやポリエステル等、冷延伸
可能な未配向体が容易に得られる場合成功したが、冷延
伸可能な未配向体が得られない結晶性熱可塑性樹脂では
この分子配向工程は実施できない。
【0007】また、冷延伸可能な未配向体を得る工程
は、結晶性熱可塑性樹脂の溶融体を押出して急冷固化成
形する工程と、冷延伸にともなう非晶の分子配向を安定
化する熱処理工程を含むため、これらの工程は配向体の
生産工程を複雑化させ且つ生産ラインスピードの高速化
を制限している。
【0008】一方、「冷延伸によらない」結晶性熱可塑
性樹脂の分子配向工程として、ポリエチレンテレフタレ
ートの超高速紡糸法があり、ポリエステルフィラメント
の生産工程では従来の溶融紡糸、延伸および熱処理の三
工程は、溶融紡糸のみの一工程に簡素化され、ポリエス
テルフィラメントの生産ラインスピードを従来の1,0
00〜2,000m/分から6,000〜8,000m/
分に高速化している。
【0009】この点について、カローサスは前出の米国
特許第2,071,250号の第7頁左欄64〜68行に
おいて、溶融体から直接分子配向させ得ること、すなわ
ち、「冷延伸」によらない分子配向工程に言及してい
る。
【0010】鞠谷等は、『成形加工』、第1巻、3号、
333〜339頁(1989)において、ポリエチレン
テレフタレートの超高速紡糸に関する報告をなしてい
る。同報告によると、口金から下140cmから150
cmの10cmの区間に於いて、温度160℃、直径6
0ミクロン、線速度1,500m/分の液相状態のフィ
ラメントから、直径30ミクロン、線速度6,000m
/分の固相状態のフィラメントに、千分の1秒の短時間
内に相転移し、ポリエチレンテレフタレートの配向結晶
化したフィラメントになることを示している。
【0011】このような短区間、短時間で達成できる、
結晶性熱可塑性樹脂の二方向の分子配向工程を考える
と、従来からよく行なわれるバブル法やテンターフレー
ム法に含まれる機構では到底達成できるとは考えられな
い。
【0012】
【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、結晶性熱可
塑性樹脂の面配向体を製造する新規製造法を提供するこ
とにある。本発明の他の目的は、生産工程を簡素化し且
つ結晶性熱可塑性樹脂の二方向の配向体の生産ラインス
ピードを格段に高速化した製造方法を提供することにあ
る。
【0013】本発明のさらに他の目的は、冷延伸可能な
未配向体が得られない結晶性熱可塑性樹脂からも二方向
の配向体を製造しうる方法を提供することにある。
【0014】本発明のさらに他の目的は、結晶性熱可塑
性樹脂の二方向の面配向体を革新的に安価に製造するこ
とのできる工業的に有利な方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から
明らかとなろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、第1に、(1)結晶性熱可塑
性樹脂の溶融体を連続的に冷却帯域を流動させる間に、
冷却過程の液相状態の溶融体となし、次いで(2)該溶
融体が冷却過程の液相状態にある間に、該溶融体の進行
方向をほぼ直角方向に向けたのち、金型内の環状口隙よ
り放射状に膜にして外方に押出して固相状態の面配向体
を形成する、ことを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂の面
配向体の製造法(以下、本発明の第1の方法という)に
よって達成される。
【0016】また、本発明の上記目的および利点は、第
2に、(1)結晶性熱可塑性樹脂の溶融体を放射状押出
ダイヘッドより連続的に溶融体膜として押出しし、
(2)該溶融体膜を放射状の冷却金型に進行させ、そし
て該冷却金型内にある間に冷却過程の液相状態となし、
次いで(3)該膜が冷却過程の液相状態にある間に放射
状に拡大させて固相状態の面配向体を形成する、ことを
特徴とする結晶性熱可塑性樹脂の面配向体の製造法(以
下、本発明の第2の方法という)によっても同様に達成
される。
【0017】さらに、本発明の上記目的および利点は、
第3に、(1)結晶性熱可塑性樹脂の溶融体を管状押出
ダイヘッドより連続的に管状膜として押出しし、(2)
該管状膜を管状冷却金型に進行させ、そして該冷却金型
内にある間に冷却過程の液相状態となし、次いで(3)
該管状膜が液相状態にある間に、管状膜の進行方向をほ
ぼ直角に向けて、径方向へ放射状に拡大させて固相状態
の面配向体を形成する、ことを特徴とする結晶性熱可塑
性樹脂の面配向体の製造法(以下、本発明の第3の方法
という)によっても同様に達成される。
【0018】本発明の上記3方法は、熱可塑性樹脂の溶
融体を冷却過程の液相状態にある間に、溶融体の進行方
向をほぼ直角方向に向けて拡大することによって面配向
体を形成するという共通の技術的思想に基づいている。
以下、先ず、本発明の第1の方法について記述する。
【0019】本発明に用いられる結晶性熱可塑性樹脂と
しては、本発明の目的の1つが結晶性熱可塑性樹脂の二
方向の配向体の生産工程を簡素化し且つ生産ラインスピ
ードを高速化した製造法による配向体の量産技術を提供
することにあることから、安価で工業的に大量生産さ
れ、高度に分子配向可能な結晶性熱可塑性樹脂が好まし
い。
【0020】また、本発明に用いられる結晶性熱可塑性
樹脂は、溶融体が熱的に安定で、溶融体から配向可能な
液相状態の成形体にでき、そしてこの液相状態の成形体
に機械的な変形を与えて固相状態に転移できて、結晶性
熱可塑性樹脂の分子配向と再結晶化をすることが好まし
い。従来の熱可塑性樹脂も分子配向工程は、中程度の分
子量が適しているテンターフレーム法や、高い分子量と
広い幅の分子量が適しているバブル法があるが、本発明
の方法が二方向の配向体の生産工程の簡素化と生産ライ
ンスピードを高速化した製造法の提供を目的の1つにし
ていることから、配向体の物理的性状と配向工程上から
許容される範囲で低分子量の結晶性熱可塑性樹脂が好ま
しい。
【0021】具体的に、例えばポリエチレン、ポリプロ
ピレンの如きポリオレフィン;ポリ塩化ビニリデンの如
きビニルポリマー;ポリオキシメチレンの如きポリエー
テル;ポリエチレンテレフタレートの如きポリエステル
およびポリカプロラクタムやポリヘキサメチレンジアミ
ドの如きポリアミドが挙げられる。
【0022】また、これらの結晶性熱可塑性樹脂は、ガ
ラス繊維、カーボンファイバー、ウィスカのような機能
繊維;カーボンブラック、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、タルク、微粒子シリカのような充填剤;カーボンブ
ラック、フタロシアニンブルー、ベンガラ、酸化チタ
ン、紫外線吸収剤、蛍光増白剤のような染顔料類;静電
防止剤、柔軟剤、可塑剤、結晶核剤、融点降下剤等の添
加剤;異種のポリマー粒子(ポリマーアロイ)、蒸気圧
の低い結晶性熱可塑性樹脂の溶剤及び不活性の気体微粒
子等を、適宜選択し、結晶性熱可塑性樹脂の配向工程に
支障のない範囲で結晶性熱可塑性樹脂と適宜に適量組合
わせて用いることができる。
【0023】小型ミキサーのブレードにかかる結晶性熱
可塑性樹脂の回転力(トルク)の変化を測定するトルク
レオメーターや熱の出入りから熱分析として行なわれる
結晶性熱可塑性樹脂のDSCでの融点と再結晶化温度を
測定すること等を総合して、融解、再結晶化等の状態の
変化に伴う結晶性熱可塑性樹脂の成形加工プロセスは基
本的に設計できる。
【0024】トルクレオメーターは、ブラベンダー社
(Brabender OHG, Duisberg, Germany)の“プラストグ
ラフ”、“プラスチコーダー”や(株)東洋精機製作所
(東京都北区)から上市されている“ラボプラストミ
ル”等があるが、ラボプラストミルでは、容量30〜9
0ccの小型ミキサーによって、試料の加工性を評価す
る。また、熱分析として行なわれるDSCは、物質の融
解、再結晶化等の状態変化に伴う熱の出入りを測定する
方法で、結晶性熱可塑性樹脂の融点と再結晶化温度及び
それらの温度範囲を測定する。DSCは市販されている
機種による通常の取り扱い方法で測定するが、昇降温速
度が小さ過ぎると、その過程で熱に安定な結晶に再配置
するため、融点が高温側にずれ、昇降温速度が大き過ぎ
ると、みかけの融点が高くなって好ましくない。従っ
て、昇降温速度に変えて測定して、極小の融点等を与え
る昇降温速度を選ぶ必要があり、通常10℃/分の昇降
温速度で測定することが好ましい。
【0025】結晶性熱可塑性樹脂のトルクレオメーター
で測定した二三の例を模式的に図示する。トルクレオメ
ーターで測定した結晶性熱可塑性樹脂の模式図(図1)
は、結晶性熱可塑性樹脂のDSCの融点Tm3以上の温
度(後述)の溶融体を、結晶性熱可塑性樹脂のDSCの
再結晶化温度Tmc2〜Tmc3(後述)の温度に冷却し
て、その温度に維持したときの試料のトルクと、その温
度から、DSCのTmc1〜Tmc2の温度に試料を昇温
してその温度に維持したときの試料のトルクの変化を示
す。同様に図2は、融点Tm3以上の温度の溶融体を再
結晶化温度(DSC、Tmc1〜Tmc2)(後述)に冷
却して、その温度を維持したときの試料のトルクの変化
を示す。また、図3は、融点(DSC、Tm3)以上の
温度の溶融体を、融点(DSC、Tm1)と再結晶化温
度(DSC、Tmc1)の間の温度に冷却して、その温
度に維持したときの試料のトルクの変化を示す。
【0026】図1においては、所定量の試料を時間t0
で、小型ミキサーに投入し、ブレードを所定条件で回転
させてから、融点(DSC、Tm3)以上の温度T4に時
間t1で昇温して、溶融した試料のトルクはQ0を示す。
時間t2からt3〜t4にかけて、試料の温度をT4から混
練しながら、再結晶化温度(DSC、Tmc2〜Tmc
3)の温度T1に冷却して維持すると、試料のトルクはQ
0からQ1まで上昇してQ1に安定して維持される。時間
t4からt5〜t6にかけて、再結晶化温度(DSC、T
mc1〜Tmc2)の温度T2に混練しながら昇温して、
温度をT2に維持すると、試料のトルクはQ1からQ2に
低下してQ2に安定して維持される。
【0027】図2においては、時間t0で所定量の試料
を小型ミキサーに投入し、ブレードを所定条件で回転さ
せながら昇温すると、時間t1で試料は融点(DSC、
Tm3)以上の温度T4になり、溶融して試料のトルクは
Q0を示す。時間t2からt3〜t4にかけて、試料の温度
をT4からT2(DSC、Tmc1〜Tmc2)にて混練し
ながら冷却して温度T2に維持すると、試料のトルクは
Q0からQ’2まで上昇してQ’2に安定に維持されて、
実質的に図1の時間t5以降の試料とほぼ同様のトルク
値を示す。
【0028】図3においては、時間t0で所定量の試料
を小型ミキサーに投入し、ブレードを所定条件で回転さ
せながら昇温すると、時間t1で試料は融点(DSC、
Tm3)以上の温度T4になり、溶融した試料のトルクQ
0が示される。時間t2からt3〜t4にかけて、試料の温
度をT4から融点(DSC、Tm1)と再結晶化温度(D
SC、Tmc1)の中間温度T3に混練しながら冷却して
温度T3に維持すると、試料のトルクはQ0からQ3まで
上昇してQ3のトルクに安定に維持される。
【0029】結晶性熱可塑性樹脂の融点と再結晶化温度
をDSCで測定した一例を模式的に図示する。この図4
において、試料をDSCにセットして、昇温速度10℃
/分で温度T1からT2に昇温し、所定時間温度T2に維
持しながら、降温速度10℃/分で温度T2からT3に降
温する。この間に、温度Tm1、Tm2、Tm3で結晶の
融解に伴う吸熱ピークと、温度Tmc1、Tmc2、Tm
c3で再結晶化に伴う発熱ピークがみられ、それぞれ結
晶性熱可塑性樹脂の融点と再結晶化温度及びそれらの温
度範囲が測定される。また、DSCで測定された二三の
結晶性熱可塑性樹脂の例を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】ここで、PETの場合は、Tmc1<Tm1
であるが、PEの場合は、Tmc1、Tmc2>Tm1に
なっていることがわかる。
【0032】本発明の第1の方法の第一工程で用いる
“冷却帯域”は、融点(DSC、Tm3)以上の温度の
結晶性熱可塑性樹脂の溶融体を流動させる間に、再結晶
化温度(DSC、Tmc3)以上の温度にある、液相状
態の溶融体を調製する機能的な帯域である。該帯域に供
給された融点(DSC、Tm3)以上の温度の結晶性熱
可塑性樹脂の溶融体は、DSC、Tm1からDSC、T
mc1の範囲の温度にあるか、あるいはDSC、Tm1か
らDSC、Tmc3の範囲の温度にある溶融体に調製さ
れてから次工程に有利に供給される。DSC、Tmc1
からDSC、Tmc3の範囲の温度の結晶粒子を含む溶
融体の組成物を一旦調製してから、DSC、Tm1から
DSC、Tmc1の範囲の温度に加熱して昇温すること
もできる。このようなことから、“冷却帯域”は、
【0033】(1)溶融体を冷却しながら混合または混
練してその温度を均一にすること、(2)溶融体を冷却
しながら混合または混練して、実質的に球状でその大き
さが均一で、且つ良好な流動性を持つ結晶粒子を晶析さ
せること、(3)溶融体の流動性を確保し、結晶粒子の
生成を制御するために加熱すること、等を実質的に同時
に行なえる機構を有すことが好ましい。
【0034】従って、本発明の第1の方法の第一工程で
用いる“冷却帯域”は、必要に応じて、加熱冷却機構を
備えたバンバリーミキサー、ある種の単軸押出機、二軸
混練押出機、ラインスタテックミキサー、及びそれらを
組み合わせた、溶融体を連続的に流動させる機能的な帯
域が好ましく、それらは、半連続法であっても、バッチ
法であっても差し支えない。
【0035】また、結晶性熱可塑性樹脂の性状、特に剪
断力を働かせたときの発熱の問題、結晶の晶析の難易、
冷却過程の液相状態の溶融体の温度の均一化の難易等に
よって、スタテックミキサーと混練の機構を適宜選択し
て実施することが好ましい。
【0036】結晶性熱可塑性樹脂の冷却過程の液相状態
の溶融体を調製する、本発明の第1の方法の第一工程
は、本発明方法の第一の要点で重要である。本発明の第
1の方法の第一工程では、結晶性熱可塑性樹脂の融点
(DSC、Tm3)以上の温度の溶融体を“冷却帯域”
を流動させる間に、再結晶化温度(DSC、Tmc1)
以上の温度にして、結晶性熱可塑性樹脂の結晶粒子を実
質的に含まない、流動可能な冷却過程の液相状態の溶融
体を調製するか、あるいは再結晶化温度のDSC、Tm
c1からDSC、Tmc3の温度にして、結晶性熱可塑性
樹脂の結晶粒子を含む、流動可能な溶融体組成物を調製
するが、必要に応じて、結晶性熱可塑性樹脂の結晶粒子
を含む、冷却過程の液相状態の溶融体は、融点(DS
C、Tm2)以下の適当な温度に昇温することができ
る。
【0037】冷却過程の液相状態の溶融体が結晶粒子を
含む溶融体組成物の場合、“冷却帯域”において、溶融
体を強力に混合か混練することによって、流動性が良好
で、実質的に球状で大きさが均一な形状の結晶粒子が調
製される。また、“冷却帯域”において、融点(DS
C、Tm3)以上の温度の溶融体を、再結晶化温度範囲
の高目の温度(DSC、Tmc1〜Tmc2)にすると、
結晶粒子の大きさと組成はいずれも小さ目になる。ま
た、再結晶化温度の低目の温度(DSC、Tmc2〜T
mc3)にすると、結晶粒子の大きさと組成はいずれも
大き目になる。組成物に含まれる結晶粒子は、冷却過程
の液相状態の溶融体の流動性と該溶融体から製造される
面配向体の物性の両面から、形状が実質的に球状で、そ
の直径は10ミクロン以下、好ましくは3ミクロン以
下、更に好ましくは1ミクロン以下であって、結晶粒子
が実質的に50%までの溶融体との組成物であることが
好ましい。
【0038】本発明方法の結晶性熱可塑性樹脂の冷却過
程の液相状態の溶融体は、結晶性熱可塑性樹脂の溶融体
の状態であって、溶融体が冷却されて固化するまでの極
く短い時間帯に一時的に存在する。また、冷却過程の液
相状態の溶融体は、組成の50%以上は非晶状態にある
実質的に溶融状態の溶融体であって、その温度が融点
(DSC、Tm2)から再結晶化温度(DSC、Tmc
3)まで、好ましくは温度(DSC、Tm1〜Tmc1)
の範囲に於いて、温度に対し見かけの粘性が可逆性を示
す流体である。また、組成の50%までが球状の固体結
晶粒子からなる実質的に冷却過程にある液相状態の溶融
体は、固体結晶粒子と溶融体の組成物であり、いわゆる
スラリーの状態で、チクソトロピー性を呈する高粘性流
体になっている。従って、本発明方法の温度が融点(D
SC、Tm2)から再結晶化温度(DSC、Tmc3)の
範囲にある、結晶性熱可塑性樹脂の溶融体の冷却過程の
液相状態の溶融体は、種々の成形加工に付すことがで
き、特に温度が再結晶化温度(DSC、Tmc1〜Tm
c3)にあるときに、例えば圧縮や引張りのような機械
的大きな変変形与えると、容易に変形方向に配向結晶化
した配向体に転換できる。
【0039】本発明方法によれば、冷延伸によらない配
向工程であり、先ず従来法に対し、生産工程が簡素化
し、次に、これまでに説明した、結晶性熱可塑性樹脂の
配向と結晶化が高速化し、本発明の方法の目的が達成さ
れる。また、配向体のラインスピードは、結晶性熱可塑
性樹脂の配向結晶化速度に対応し、結晶化速度を上限に
し、適宜配向体の生産ラインスピードを選択することが
好ましい。
【0040】本発明の第1の方法の第二の工程は、上記
第一の工程で調製された、結晶性熱可塑性樹脂の冷却過
程の液相状態の溶融体から、固相状態の面配向体を形成
させる工程である。本発明方法の結晶性熱可塑性樹脂の
面配向体はこれらの二工程によって達成される。従っ
て、結晶性熱可塑性樹脂の冷却過程の液相状態の溶融体
から固相状態の面配向体を形成させる、この第二の工程
は本発明方法の第二の要点で重要である。
【0041】この第二の工程は、結晶性熱可塑性樹脂の
溶融体が、冷却帯域を流動して冷却過程の液相状態にあ
る間に、該溶融体の進行方向をほぼ直角方向に向け、金
型の環状口隙より放射状に膜にして外方に押出して、固
相状態の結晶性熱可塑性樹脂の面配向体とする工程であ
る。
【0042】この第二の工程は、例えば溶融押出しした
可塑材料を同時二軸延伸する米国特許第2,779,05
3号(明細書および対応特公昭33−1790号)公報
に記載の方法に用いられ、米国特許第2,769,200
号(明細書および対応特公昭34−2328号)公報に
示されている押出用ダイヘッドを用いて実施することが
原理的に好ましい。
【0043】この押出しダイヘッドは管状ダイの軸線に
垂直な平面に於いて、可塑材料を径方向に押出するよう
構成されている。この第二の工程において、上記第一の
工程で調製された、結晶性熱可塑性樹脂の冷却過程の液
相状態の溶融体は、該ダイヘッドの軸線にほぼ垂直な面
にある環状口隙より放射状に膜にして該ダイの径方向に
押出される。該溶融体は金型内で進行方向とほぼ直角方
向に、方向転換とほぼ同時に拡大され、固相状態の結晶
性熱可塑性樹脂の面配向体に転換する。ここで金型の軸
線にそって溶融体は溶融状態から液相状態に転化しつつ
流動し、ダイの軸線にほぼ垂直な面にある環状口隙より
放射状に膜にしてダイの径方向に押出されたとき、液相
状態から直径が拡大した固相状態の管状の面配向体に転
換する。
【0044】結晶性熱可塑性樹脂の冷却過程の液相状態
の溶融体を固相状態の面配向体に転換させる温度は、結
晶性熱可塑性樹脂の再結晶化速度が最大になる温度が好
ましい。また、結晶性熱可塑性樹脂の再結晶化速度と同
等以上の速度で、液相状態の溶融体を膜として進行方向
とほぼ直角方向に、方向転換とほぼ同時に拡大せしめる
ことが好ましい。液相状態の溶融体が大きく変形すると
き、結晶性熱可塑性樹脂の再結晶化速度が著しく高速化
することは既に述べたが、本発明方法でいう液相状態の
溶融体を調製する工程と、液相状態の溶融体の進行方向
をほぼ直角方向に転換し、それとほぼ同時に拡大させ
て、固相状態の配向体とする工程は、いずれも配向体の
生産ラインスピードの高速化によって容易に実現され
る。
【0045】前出の米国特許第2,779,053号明細
書に同時二軸延伸によるポリエチレンフィルムの製造例
が示されている。この例に於いて、管状フィルムを8分
割することなく密度0.94のポリエチレン管状フィル
ムとする場合、次のように、延伸されて得られた管状フ
ィルムの直径は183.8cm、膜厚は29.7ミクロン
と概算できる。ダイス出口の管状の溶融ポリエチレン
は、直径5.12cm、膜厚1067ミクロンで、実質
的に中心から溶融したポリエチレンが放射状に押出され
ているとみて差し支えないと考えられる。199℃の溶
融したポリエチレンが、厚さ1067ミクロン、130
ポンド/時で中心より放射状に押出され、直径183.
8cm、厚さ29.7ミクロンの管状ポリエチレンフィ
ルムが連続的に得られる。この場合、押出された溶融体
から管状フィルムに到るポリエチレンの滞留量と滞留時
間は995.8ccと57.2秒と概算できる。また押出
しからフィルムに到る間には199℃から120℃の温
度勾配がある。
【0046】従って、ポリエチレンの配向結晶化は、ポ
リエチレンが少なくとも融点以下の配向結晶可能な条件
に到達してから膜が拡大されるときに起こる。このよう
な条件の範囲は滞留部の円板に於いて、滞留部の直径の
周辺部の1/4程度以下の部分と推察される。
【0047】一方、本発明方法は次のようになる。即
ち、比較的に低い分子量の高密度ポリエチレン(例えば
重量平均分子量30,000)の溶融体が冷却帯域を流
動する間に、冷却過程の液相状態のポリエチレンの溶融
体(例えば温度120℃)として、放射状押出ダイヘッ
ドに供給し、該押出ダイヘッドから放射状に押出され、
その直後ポリエチレンが配向結晶化するようになる。押
出量と膜厚を上記従来法と同一にすると(130ポンド
/時、29.7ミクロン)、押出温度、フィルム引取速
度及び管状フィルムの直径は、従来法の場合それぞれ1
99℃、20feet/分、183.8cmになるのに
対し、本発明方法の場合、それぞれ120℃、200f
eet/分、18.38cmになると推算される。従っ
て、短区間、短時間の結晶性熱可塑性樹脂の配向結晶化
と生産ラインスピードを高速化する本発明の目的が達成
される。
【0048】冷延伸による二方向の配向体の配向工程の
40年の実績は、本発明方法により、生産工程の簡素化
と生産ラインスピードが高速化した二方向の配向体の配
向工程に革新される。
【0049】上記第二の工程から得られる結晶性熱可塑
性樹脂の面配向体は、金型内で溶融体の進行方向をほぼ
直角方向に向け、環状口隙等より放射状に膜にして外方
に押出して固相状態の面配向体を形成するとき、好まし
くは、放射状に押出された膜が拡大する全方向の進行方
向に対しほぼ90゜の方向にかつ押出された点から等距
離の位置で転向させて管状体として扱われる。また配向
体は冷却して取り出す前に所望により少なくとも1カ所
でスリットして平面状のフィルムにすることができ、ま
たそれを面配向体の進行方向に圧延することもでき、さ
らに必要により用途に適した表面を装飾するロール加工
や、運動する金型等による熱成形を施すこともできる。
【0050】次に、本発明の第2の方法、続いて第3の
方法について記述する。本発明の第2の方法および第3
の方法について以下に記述のない部分は、本発明の方法
についての上記記述がそのままあるいは当該技術者が容
易に想到しうる範囲で変更して適用されると理解される
べきである。
【0051】本発明の第2の方法に於ける第一の工程
は、熱可塑性樹脂の溶融体を放射状押出ヘッドより連続
的に溶融体膜として押出す工程である。この第一の工程
で用いられる金型は、例えば米国特許第2,769,20
0号明細書および対応の特公昭34−2328号公報に
示されるような放射状押出ダイヘッドである。本発明の
第2の方法に於ける第二の工程は、第一の工程からの溶
融体膜を放射状の冷却金型に進行させ、そして該冷却金
型内にある間に冷却過程の液相状態となす工程である。
この第二の工程は結晶性熱可塑性樹脂の溶融体を冷却金
型内で、金型温度を制御しながら液相状態の溶融体を調
製する。
【0052】この第二の工程は、H. Gebber 等による K
unststoffe 誌70巻246〜253頁(1980)に
示されているようなパイプを成形する冷却金型の機械設
計理念に基づいた放射状の冷却金型(サイジングダイ
ス)を用いて好適に実施することができる。
【0053】本発明の第2の方法に於ける上記第一およ
び第二工程では、上記の如き押出ダイヘッドと冷却金型
(サイジングダイス)とを組み合わせた金型内を溶融体
が流動する間に、効果的な熱交換機能により、結晶性熱
可塑性樹脂の溶融体を液相状態にすることができる。
【0054】本発明の第2の方法に於ける第三の工程
は、第二の工程からの膜が冷却過程の液相状態にある間
に、放射状に拡大させて固相状態の面配向体を形成する
工程である。この第三の工程は、前記 Kunststoffe 誌
に開示された如き冷却金型内で原理的には前記した本発
明の第1の方法に於ける第二の工程と同様にして実施す
ることができる。
【0055】さらに、本発明の第3の方法に於ける第一
の工程は、結晶性熱可塑性樹脂の溶融体を管状押出ダイ
ヘッドより連続的に押出す工程である。この第一の工程
で用いられる金型としては、通常の管状フィルムやパイ
プの押出成形に用いられる金型と同様のものである。
【0056】本発明の第3の方法に於ける第二の工程
は、第一の工程からの管状膜を管状冷却金型に進行させ
そして該冷却金型内にある間に冷却過程の液相状態をな
す工程である。この第二の工程の冷却金型としては、例
えば前記 Kunststoffe 誌に記載された如き冷却金型を
用いることができる。
【0057】本発明の第3の方法に於ける第三の工程
は、第二の工程からの管状膜が液相状態にある間に加圧
した空気を吹き出す環状エアージェット等で管状膜の進
行方向をほぼ直角に向けて径方向へ放射状に拡大させて
固相状態の面配向体を形成する工程である。
【0058】上記のとおり、本発明の第1の方法は、溶
融体が放射状の押出ダイヘッドから外方に押出されるま
でに溶融体を冷却過程の液相状態にするが、本発明の第
2の方法は、溶融体が放射状押出ダイヘッドから押出さ
れたのち、放射状冷却金型を膜が進行する間に液相状態
にする。また、本発明の第3の方法は、環状の押出ダイ
ヘッドから管状膜を押出しし、管状膜を環状の冷却金型
を進行させて、膜が放射状に進行するまでに、溶融体を
冷却過程の液相状態にする。このように、本発明方法
は、結晶性熱可塑性樹脂の溶融体を、冷却過程の液相状
態にある間に、該溶融体の進行方向をほぼ直角方向に向
けて放射状に膜して拡大させて、固相状態の結晶性熱可
塑性樹脂の面配向体とする工程を共通して包含する。
【0059】そして、本発明によれば、再結晶化と融点
の温度差が小さく、融点に近い温度で押出される比較的
低分子量の結晶性熱可塑性樹脂の場合は、溶融体の冷却
過程の液相状態は、本発明の第1の方法によって調製す
るのが好ましい。また、再結晶化と融点の温度差が大き
く、融点より相当に高い温度で押出される比較的高い分
子量の結晶性熱可塑性樹脂の場合は、溶融体の冷却過程
の液相状態は、本発明の第2または第3の方法によって
調製することが好ましい。また、得られる面配向体の膜
厚が比較的薄い場合は、本発明の第2の方法が好まし
く、膜厚が比較的厚い場合は、本発明の第3の方法によ
ることが好ましくい。
【0060】配向体の生産ラインスピードが高速化する
と、特に、結晶性熱可塑性樹脂の二次転移点以下の温度
にした配向体に張力をかけたまま速やかに冷却する操作
が必要である。配向体が薄い場合は捲き取られ、捲き取
られない長さの場合、定長に切断して工程から取り出
す。
【0061】本発明によれば、配向体の生産ラインスピ
ードを高速化して、例えば175μmの厚さの配向体を
100〜200m/minとすることができる。これは
同厚の平面体が10〜20m/min程度の速度でしか
現在のところ生産されていないことを考えると、非常に
高速であることがわかる。このように高速化した場合に
は、特に結晶性熱可塑性樹脂の二次転移温度以下の温度
に配向体をすみやかに冷却することが好ましい。以下、
実施例を挙げ本発明をさらに詳述する。
【0062】
【実施例】
実施例1 図5に模式的に概念図を示した装置を用いた。図5の装
置では、放射状の押出ダイヘッド11から、結晶性熱可
塑性樹脂の溶融体が冷却過程の液相状態に調製されて、
膜として放射状に押出され、米国特許第2,852,81
3号の第10図に示めされていると同種の環状エアージ
ェット12と環状水冷クーラー13の間を、配向結晶化
した管状膜14が、進行方向を90゜変え、かつ膜が環
状水冷クーラー13に接触しながら冷却されて通過す
る。
【0063】図5に模式的に概念図を示した装置の放射
状押出ダイヘッド(11)にオイルバス中に配置したラ
インスタテックミキサーを“冷却帯域”として接続した
装置を用いて、ポリエチレンテレフタレートの溶融体か
ら直接配向結晶化した管状フィルムを次のようにしてつ
くった。温度180℃のオイルバスに、ノリタケカンパ
ニー製の12素子、内径16mmのラインスタテックミ
キサーを配置して“冷却帯域”とし、温度280℃、流
量70.7kg/時、DSC、Tm1/Tm2/Tm3/T
mc1/Tmc2/Tmc3がそれぞれ237/255/
265/206/178/158(℃)、IV0.65
のポリエチレンテレフタレートの溶融体を、該帯域を流
動させる間に、温度190℃の冷却過程の液相状態の溶
融体にして、開口部の間隙1mm、外周径16mm、温
度178℃の放射状押出ダイヘッド(11)に供給して
押出して、配向結晶化したポリエチレンテレフタレート
の管状フィルムにし、外径47mmの環状エアジェット
(12)と内径48mmの水冷クーラー(13)の間を
環状水冷クーラーにフィルムを接触させながら引取り速
度75m/分で通過させて、配向結晶化したポリエチレ
ンテレフタレートの管状フィルムを捲き取った。
【0064】ポリエチレンテレフタレートの配向結晶化
した管状フィルムは外径48mm、厚さ75ミクロン、
密度1.39の透明フィルムであった。フィルムは15
0℃、30分の空気中で縦横両方向の収縮率は1%であ
った。
【0065】実施例2 オイルバスの温度を210℃、温度220℃の冷却過程
の液相状態の溶融体として、引取り線速度を125m/
分とする以外実施例1と同じ方法を繰り返してポリエチ
レンテレフタレートの配向結晶化した管状フィルムを捲
き取った。ポリエチレンテレフタレートの配向結晶化し
た管状フィルムは外径48mm、厚さ45ミクロン、密
度1.39の透明フィルムであった。フィルムは150
℃、30分の空気中の縦横両方向の収縮率はいずれも
1.2%であった。
【0066】実施例3 実施例1と全く同じ装置の組合せでポリエチレンの溶融
体から直接配向結晶化した管状フィルムを次のようにし
てつくった。即ち、温度110℃のオイルバスに、ノリ
タケカンパニー製の12素子、内径16mmのラインス
タテックミキサーを配置して“冷却帯域”とし、温度1
80℃、流量65.5kg/時、DSC、Tm1/Tm2
/Tm3/Tmc1/Tmc2/Tmc3がそれぞれ110
/128/132/118/112/94(℃)、メル
トフローレート13、密度0.965の三井石油化学工
業(株)製ハイゼックス1300Jの高密度ポリエチレ
ンの溶融体を、該帯域を流動させる間に、温度120℃
の冷却過程の液相状態の溶融体にして、開口部の間隙1
mm、外周径16mm、温度112℃の放射状押出ダイ
ヘッド(図5の11)に供給して押出して、配向結晶化
したポリエチレンの管状フィルムを、外径47mmの環
状エアジェット(図5の12)と内径48mmの水冷ク
ーラー(図5の13)の間を環状水冷クーラーにフィル
ムを接触させながら引取り速度100m/分で通過させ
て配向結晶化したポリエチレンの管状フィルムを捲き取
った。
【0067】ポリエチレンの配向結晶化した管状フィル
ムは外径48mm、厚さ75ミクロン、密度0.965
の透明フィルムであって等方性を示した。
【0068】実施例4 図6に模式的に概念図を示した装置を用いた。図6の装
置では、放射状の押出ダイヘッド21から、溶融した結
晶性熱可塑性樹脂を膜として放射状に押出しし、水スプ
レー22を内臓した放射状の環状冷却金型23を膜が通
過するとき、膜が冷却過程の液相状態に調製され、膜の
進行とともに放射状に拡大され、環状エアージェット2
4と環状水冷クーラー25の間を、配向結晶化した管状
膜26が、進行方向を90゜変え、かつ環状水冷クーラ
ー25に接触しながら冷却されて通過する。
【0069】IV0.65、温度270℃、流量150
kg/時のポリエチレンテレフタレートの溶融体を、開
口部の間隙1mm、外周径16mm、温度260℃の放
射状押出ダイヘッド(21)に供給して膜として押出し
し、水スプレーを調節して温度を150〜160℃に調
節した環状の放射状冷却金型(23)を通過させて、配
向結晶化したポリエチレンテレフタレートの管状体を、
外径47mmの環状エアージェット(24)と内径48
mmの環状水冷クーラー(25)の間を、水冷クーラー
にフィルムを接触させながら、速度120m/分でポリ
エチレンテレフタレートの配向した管状フィルムを捲き
取った。
【0070】ポリエチレンテレフタレートの配向した管
状フィルムは、直径48mm、厚さ99.4ミクロン、
密度1.39で実質的に等方性の透明フィルで、縦と横
方向の140℃、30分の空気中の収縮率はいずれも
1.5%であった。
【0071】実施例5 図7に模式的に概念図を示した装置を用いた。図7の装
置では、環状押出ダイヘッド31から、溶融した結晶性
熱可塑性樹脂が管状膜として押出され、水スプレー32
を内臓した環状冷却金型33によって、管状膜を液相状
態に調製し、環状エアージェット34によって、管状膜
の進行方向を膜の径方向に向けて放射状に進行させ、膜
の進行とともに放射状に拡大させ、環状エアージェット
35と環状水冷クーラー36の間に配向結晶化した管状
膜37が、進行方向を90゜変え、かつ膜が環状水冷ク
ーラー36に接触しながら冷却されて通過する。
【0072】実施例4に於いて、放射状押出ダイヘッド
(21)と放射状の冷却金型(23)の組み合わせを、
環状押出ヘッド(31)と環状冷却金型(33)および
環状エアージェット(34)によって管状膜の進行方向
を径方向に向けて放射状に進行させ(ポリエチレンテレ
フタレートの溶融体の流量が220kg/時、環状フィ
ルムの引取り速度を100m/分)るように変える以外
全く同様にポリエチレンテレフタレートの管状フィルム
をつくった。
【0073】ポリエチレンテレフタレートの配向した管
状フィルムは、直径48mm、厚さ175ミクロン、密
度1.39で実質的に等方性の透明フィルムで140
℃、30分の空気中の収縮率は縦横の両方向とも1.2
%であった。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、生産工程を簡素化し且
つ二方向の配向体の生産ラインスピードを格段に高速化
しうる結晶性熱可塑性樹脂の面配向体の製造法が提供さ
れる。また革新的に安価な面配向体を製造することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トルクレオメーターで測定したある結晶性熱可
塑性樹脂の温度とトルクの関係を示す模式図である。
【図2】トルクレオメーターで測定した他の結晶性熱可
塑性樹脂の温度とトルクの関係を示す模式図である。
【図3】トルクレオメーターで測定したさらに他の結晶
性熱可塑性樹脂の温度とトルクの関係を示す模式図であ
る。
【図4】ある結晶性熱可塑性樹脂のDSCの模式図であ
る。
【図5】結晶性熱可塑性樹脂の管状フィルムを製造する
ために実施例1〜3で用いた装置の断面を示す模式的概
念図である。
【図6】ポリエチレンテレフタレート管状フィルムを製
造するために実施例1〜3で用いた装置の断面を示す模
式的概念図である。
【図7】ポリエチレンテレフタレート管状フィルムを製
造するために実施例1〜3で用いた装置の断面を示す模
式的概念図である。
【符号の説明】
T1 昇温開始温度 T2 昇温終了及び昇温開始温度 T3 昇温終了温度 Tmc1 発熱ピークのベースラインから離れる温度 Tmc2 発熱ピーク温度 Tmc3 発熱ピークのベースラインに戻る温度 Tm1 発熱ピークのベースラインから離れる温度 Tm2 発熱ピーク温度 Tm3 発熱ピークのベースラインに戻る温度 11 放射状の押出ダイヘッド 12 環状エアージェット 13 環状水冷クーラー 14 管状膜 21 放射状の押出ダイヘッド 22 水スプレー 23 放射状の環状冷却金型 24 環状エアージェット 25 環状水冷クーラー 26 管状膜 31 環状の押出ダイヘッド 32 水スプレー 33 環状の冷却金型 34、35 環状エアージェット 36 環状水冷クーラー 37 管状膜

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)結晶性熱可塑性樹脂の溶融体を、
    連続的に冷却帯域を流動させる間に、冷却過程の液相状
    態の溶融体となし、次いで(2)該溶融体が冷却過程の
    液相状態にある間に、該溶融体の進行方向をほぼ直角方
    向に向けたのち、金型内の環状口隙より放射状に膜にし
    て外方に押出して固相状態の面配向体を形成する、こと
    を特徴とする結晶性熱可塑性樹脂の面配向体の製造法。
  2. 【請求項2】 冷却過程の液相状態にある溶融体が、結
    晶性熱可塑性樹脂のDSCの融点Tm2以下、DSCの
    再結晶化温度Tmc1以上の温度にあって、実質的に結
    晶性熱可塑性樹脂の結晶粒子を含まない流動可能な溶融
    体である、請求項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】 冷却過程の液相状態にある溶融体が、結
    晶性熱可塑性樹脂のDSCの融点Tm2以下、DSCの
    再結晶化温度Tmc3以上の温度にあって、結晶性熱可
    塑性樹脂の結晶粒子と結晶性熱可塑性樹脂の溶融体で構
    成される流動可能な組成物である、請求項1に記載の製
    造法。
  4. 【請求項4】 溶融体が管状である請求項1に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 面配向体が少なくとも二方向に配向して
    結晶化している請求項1に記載の製造法。
  6. 【請求項6】 工程(2)によって得られた面配向体
    を、該配向体の進行方向に圧延する請求項1に記載の製
    造法。
  7. 【請求項7】 (1)結晶性熱可塑性樹脂の溶融体を放
    射状押出ダイヘッドより連続的に溶融体膜として押出し
    し、(2)該溶融体膜を放射状の冷却金型に進行させ、
    そして該冷却金型内にある間に冷却過程の液相状態とな
    し、次いで(3)該膜が冷却過程の液相状態にある間に
    放射状に拡大させて固相状態の面配向体を形成する、こ
    とを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂の面配向体の製造
    法。
  8. 【請求項8】 (1)結晶性熱可塑性樹脂の溶融体を管
    状押出ダイヘッドより連続的に管状膜として押出しし、
    (2)該管状膜を管状冷却金型に進行させ、そして該冷
    却金型内にある間に冷却過程の液相状態となし、次いで
    (3)該管状膜が液相状態にある間に、管状膜の進行方
    向をほぼ直角に向けて、径方向へ放射状に拡大させて固
    相状態の面配向体を形成する、ことを特徴とする結晶性
    熱可塑性樹脂の面配向体の製造法。
JP4302384A 1991-11-29 1992-11-12 結晶性熱可塑性樹脂の面配向体の製造法 Withdrawn JPH05245924A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5654394A (en) * 1994-04-08 1997-08-05 Toray Industries, Inc. Thermoplastic resin film

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5654394A (en) * 1994-04-08 1997-08-05 Toray Industries, Inc. Thermoplastic resin film

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