JP2000246785A - ポリプロピレンシートの製造方法 - Google Patents

ポリプロピレンシートの製造方法

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JP2000246785A
JP2000246785A JP11049296A JP4929699A JP2000246785A JP 2000246785 A JP2000246785 A JP 2000246785A JP 11049296 A JP11049296 A JP 11049296A JP 4929699 A JP4929699 A JP 4929699A JP 2000246785 A JP2000246785 A JP 2000246785A
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cooling
polypropylene
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Junichi Fujii
純一 藤井
Hiroyuki Umeda
博之 梅田
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】塩化ビニル樹脂やポリスチレンに匹敵する透明
性を有するポリプロピレンシートの製造方法を提供す
る。 【解決手段】ポリプロピレンをT−ダイより溶融状態で
押出したシート状物を、特定の温度範囲になるよう予備
冷却を行い、引き続き30℃以下の温度に急冷する本冷
却を行う多段冷却方法を用いることにより達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリプロピレンシー
トの製造方法に関する。更に詳しくは、該シートの透明
性において、著しく優れるポリプロピレンシートの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、透明性の包装材としては、塩化ビ
ニル樹脂やポリスチレンが主に使用されてきたが、これ
らの材料は使用時や廃棄時の有害性が懸念され、近年の
環境意識の向上からポリオレフィンへの代替要求が高ま
っている。ポリオレフィンの中でも特にポリプロピレン
は、比較的機械強度が高く、耐熱性、耐薬品性に優れる
等の性質を有することから、透明シートの用途にも多く
使用が検討されている。
【0003】ポリプロピレンシートの透明性を向上させ
る方法としては、球晶を微細化することが有効であるこ
とが知られており、ポリプロピレンに透明核剤を添加す
る方法や溶融シートを冷却水で急冷する方法等が提案さ
れている。例えば、ポリプロピレンにソルビトール系の
透明核剤を添加する方法では、一般的なシート製造方法
で比較的容易に透明性の優れたポリプロピレンシートを
得ることができる。一方、特開昭58−142818号
公報にはダイスから押出された溶融シートを冷却水で急
冷することにより、ポリプロピレンシートの透明性を改
良する方法が提案されている。上記冷却方法は、一般的
なシート製造時の冷却方式であるエアーナイフ法、チル
ロール法、無縁ベルト法等よりも冷却効率において著し
く優れ、透明核剤を添加しない場合においても、比較的
透明性に優れるポリプロピレンシートが得られることが
知られている。しかしながら、透明核剤を使用する方法
や冷却水による急冷法で得られるポリプロピレンシート
においても、塩化ビニル樹脂やポリスチレンのシートに
比べ、透明性については改良の余地を残していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、従来から使用されている塩化ビニル樹脂やポリスチ
レンのシートに匹敵する透明性を持ち、使用時や廃棄時
に有害物質を生じる恐れが少ない高透明ポリプロピレン
シートの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決する為の手段】そこで本発明者らは、ポリ
プロピレンシートの透明性を改良する方法について鋭意
検討した結果、驚くべきことに、ダイスから溶融状態で
押出したシート状物を、一旦特定の温度範囲に予備冷却
し、引き続いて特定の温度まで急速に冷却を行い、樹脂
を完全に固化させることで、得られるポリプロピレンシ
ートの透明性が著しく改良されることを見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、ポリプロピレン系樹脂を
溶融状態で押出したシート状物を、該ポリプロピレン系
樹脂の結晶化温度以上、融点未満の温度に冷却(以下、
予備冷却という)後、直ちに30℃以下の温度に急冷
(以下、本冷却という)することを特徴とするポリプロ
ピレンシートの製造方法である。更には、本発明は上記
で得られたポリプロピレンシートを、原料ポリプロピレ
ンの結晶化温度以上、融点未満の温度で熱処理するポリ
プロピレンシートの製造方法をも提供する。
【0007】
【発明の実施形態】本発明の最大の特徴は、押出機から
押出された溶融状態のシート状物の冷却をを特定の温度
に制御された多段で行うことにある。即ち、T−ダイか
ら押出された溶融状態のシート状物の温度が、一旦特定
の温度範囲となるように予備冷却を行い、引き続き予備
冷却されたシート状物を30℃以下の温度となるよう急
速して冷却固化せしめる本冷却を行い、樹脂の冷却固化
速度を最大限に高めて、球晶サイズを微細化し、得られ
るポリプロピレンシートの透明性を著しく改良すること
が可能となる。更に、本発明においては、上記で得られ
るポリプロピレンシートに特定の温度条件で熱処理を施
すことで、得られるポリプロピレンシートの剛性を改良
することを可能とする。
【0008】以下、本発明について更に詳細に説明す
る。
【0009】本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂
は、プロピレン単独重合体、及びプロピレン以外のα−
オレフィン成分を10モル%以下の割合で含有するプロ
ピレン−α−オレフィンランダム共重合体である。上記
プロピレン以外のα−オレフィンは、通常炭素数2〜1
0程度のプロピレンと重合可能なα−オレフィンを何ら
制限なく使用することができる。上記プロピレン以外の
α−オレフィンを具体的に例示すると、エチレン、1−
ブテン、3−メチルブテン、1−ヘキセン、4−メチル
ペンテン−1、1−オクテン、1−デセン等が挙げら
れ、これらの中でも、特にエチレン、1−ブテンが好ま
しく使用される。また、本発明においてはプロピレン単
独重合体とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合
体のそれぞれ1種以上をブレンドして使用しても良い。
【0010】上記ポリプロピレン系樹脂の製造方法は特
に制限されるものでなく、公知の方法であれば如何なる
方法も採用できる。即ち、所謂チーグラー・ナッタ触媒
及びそれをベースにした種々の改良触媒、或いはメタロ
セン触媒によって製造することができる。
【0011】本発明におけるポリプロピレン系樹脂のメ
ルトフローレイトは特に限定されないが、ポリプロピレ
ンシート製造時の生産性を勘案すると、メルトフローレ
イトは0.1〜5g/10分であることが好ましく、
0.3〜4g/10分であることが特に好ましい。メル
トフローレイトが0.1g/10分未満の場合では、押
出機内の溶融樹脂の粘度が著しく上昇することで、生産
性が低下する傾向にあり、また5g/10分を越えた場
合には、溶融状態のシート状物の粘度が低下し、シート
成形が困難となる傾向にある。
【0012】上記のポリプロピレン系樹脂の中でも、本
発明においては、更にポリプロピレンシートの加工性お
よび剛性、耐熱性等の透明性以外のシート物性を向上さ
せる目的で、また、透明性とその他のシート物性バラン
スに優れるポリプロピレンシートを得る目的で、以下に
説明するポリプロピレン系樹脂が特に好ましい原料とし
て使用できる。
【0013】ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
法により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子
量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が
4〜15、特に5〜10であることが、優れた加工性を
得るために好ましい。分子量分布が4未満の場合には、
ポリプロピレンシートの成形加工性が低下し、15を超
える場合には、ポリプロピレンシートの配向の異方性が
大きくなり、シートの反り、収縮率が悪化する傾向とな
る。
【0014】また、昇温溶離分別法により分別された、
横軸を溶出温度(℃)、縦軸を溶出成分の積算重量割合
で表した溶出曲線において、20℃未満の溶出成分、即
ち20℃に至るまでの溶出成分(A成分)の量が0〜1
0重量%、20℃以上110℃未満での溶出成分(B成
分)の量が10〜40重量%、110℃以上の溶出成分
(C成分)の量が60〜90重量%、A成分、B成分お
よびC成分の合計が100重量%、且つ、C成分におけ
るピークトップ温度が115℃以上であることが、透明
性と剛性の優れた物性バランスのために好ましい。昇温
溶離分別法とは、例えばJournal of App
lied Polymer Science;Appl
ied Polymer Symposium 45,
1−24(1990)に詳細に記述されている方法であ
る。まず高温の高分子溶液、本発明においてはポリプロ
ピレン系樹脂溶液を、珪藻土を充填剤として用いた充填
カラムに導入し、カラム温度を徐々に低下させることに
より充填剤表面に融点の高い成分から順に結晶化させ、
次に溶媒をカラムに流しながら、カラム温度を徐々に上
昇させることにより、融点の低い成分から順に、該溶媒
に溶出させて溶出ポリマー成分を分取する方法である。
本発明では測定装置としてセンシュー科学社製SSC−
7300型を用い、溶媒:O−ジクロロベンゼン、流
速:2.5ml/min、昇温速度:4℃/Hr、カラ
ム:φ30mm×300mmの条件で測定した値を示し
ている。
【0015】昇温溶離分別法による20℃未満の溶出成
分(A成分)は、特に透明性を良好にする成分である
が、同時にA成分中には分子量1万以下のポリマーを多
く含むため、A成分が10重量%を越える場合には、低
分子量成分のブリードにより、得られるポリプロピレン
シートにべたつきを生じる等の問題を生じやすくなり、
10重量%以下であることが好ましく、更には5%以下
であることが特に好ましい。
【0016】昇温溶離分別法による20℃以上110℃
未満の溶出成分(B成分)は、特に、良好な透明性と剛
性のバランスを発現させるために必要な成分である。即
ち、B成分の量が10重量%未満では得られるポリプロ
ピレンシートの透明性がやや低下する傾向にあり、ま
た、40重量%を越える場合には剛性が不足する。より
優れた透明性と剛性のバランスを発現させるためには、
B成分の量は、特に、10〜30重量%の範囲であるこ
とが好ましい。更にB成分はポリプロピレンシートの耐
衝撃性を向上させる成分でもあり、B成分が10〜40
重量%の範囲にあるポリプロピレンは、透明性、剛性、
耐衝撃性のバランスにも優れる。
【0017】昇温溶離分別法による110℃以上の溶出
成分(C成分)は、優れた剛性と耐熱性を向上させる成
分である。すなわち、C成分の量が60重量%未満であ
るか、またはC成分におけるピークトップ温度が115
℃未満ではポリプロピレンシートとした場合の剛性と耐
熱性が低下し、またC成分の量が90重量%を越える場
合には、透明性が低下する傾向となる。
【0018】透明性および剛性、耐熱性のバランスを勘
案するとC成分の量は、特に、60重量%以上、85重
量%以下であることが好ましい。更に、より優れた剛性
と耐熱性を得るためにC成分が120℃以上の溶出成分
を60重量%以上有する高結晶性ポリプロピレン成分で
あることが好ましい。
【0019】また、本発明のポリプロピレン系樹脂に
は、必要に応じて、酸化防止剤、中和剤、有機過酸化
物、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、透明化剤等の添加
剤を配合しても良い。
【0020】本発明において、上記ポリプロピレン樹脂
は、T−ダイを備えた押出機よりシート状物に押し出さ
れ、これを特定の条件下に多段に冷却することによりポ
リプロピレンシートに形成される。
【0021】本発明において、ポリプロピレンシートの
製造方法は、T−ダイを備えた押出機から溶融状態で押
し出されたシート状物を、特定の冷却条件を満足する方
法で冷却してポリプロピレンシートに成形する方法が採
用される。
【0022】以下、本発明の方法を好適に実施するため
のシート成形装置の実施態様を示す図1、図2に基づ
き、本発明の方法を更に詳細に説明する。
【0023】本発明において、T−ダイ1から押出され
たシート状物は、原料ポリプロピレン系樹脂の結晶化温
度以上、融点未満の温度に予備冷却される。ここで、ポ
リプロピレン系樹脂の結晶化温度、融点は示査走査熱量
計(DSC)を用いて測定された温度である。また、上
記予備冷却されたシート状物の温度は、本冷却される直
前、具体的には1秒以内に本冷却の媒体と接触するシー
ト状物の中央部について、放射型温度計で測定したシー
ト状物の表裏両面の表面温度である。
【0024】上記予備冷却された後のシート状物の温度
が結晶化温度未満である場合は、本冷却前に溶融樹脂の
固化が進み過ぎ、急冷効果が小さくなることで、透明性
が不良となり好ましくない。また、予備冷却されたシー
ト状物の温度が融点以上の場合は、本冷却時の冷却固化
時間が長くなり、透明性が不良となり好ましくないばか
りか、シート状物の溶融粘度が極端に低下する為、予備
冷却ロールへの巻き付き等のトラブルを生じ好ましくな
い。
【0025】本発明においては、本冷却に入る前のシー
ト状物の温度が、特に、結晶化温度より5℃以上高く、
且つ、140℃未満の範囲になるよう予備冷却を行うこ
とが好ましい。
【0026】また、本発明における予備冷却の冷却速度
は、本冷却に至るまでのシート状物の温度が本発明の温
度範囲を満足すれば特に限定されず、本発明では1〜5
0℃/秒程度の冷却速度である。冷却速度は、予備冷却
前後のシート状物の表面温度の差と経過時間により計算
される平均冷却速度を示す。
【0027】本発明においては、シート状物の両表面温
度を共に上記の温度範囲に制御することが必要であり、
特に、シート状物表裏の両面の温度差が5℃以内である
ことが、得られるシートの両面の物性差や得られるポリ
プロピレンシートのカールを減少させるために好まし
い。
【0028】上記の予備冷却の方法は特に制限されない
が、例えば、図1に示すような冷却ロール2によって行
う方法、図2に示すようなエアナイフ2’によって行う
方法、一対の無縁ベルト等を用いた冷却方式等を採用す
ることも可能であり、またそれらを2種以上組み合わせ
て使用することも可能である。そのうち、特に、冷却ロ
ールによって行うことが温度制御を確実に行うために好
適である。
【0029】上記冷却ロール2によって予備冷却を行う
場合、冷却ロール2の表面温度は、本冷却直前のシート
状物の温度が上記温度範囲を満足すれば特に限定され
ず、成形速度と得られるポリプロピレンシートの厚みに
よって、適宜設定すれば良い。通常、80〜150℃程
度の温度範囲が適当である。
【0030】予備冷却で使用される予備冷却ロールの材
質は特に限定されないが、溶融樹脂の粘着を防止する目
的で、鏡面加工を施した金属ロールや表面にテフロン加
工を施したロールが好適に使用できる。
【0031】本発明における本冷却は、予備冷却で特定
の温度範囲内に温度を制御したシート状物を直ちに30
℃以下の温度に急冷し、シート状物を固化させることに
よって行うことが重要である。本発明において、得られ
るポリプロピレンシートの透明性を更に改良するために
は、20℃以下の温度に急冷することが特に好ましい。
【0032】本冷却における温度が30℃を越える場合
には、得られるポリプロピレンシートの透明性が十分で
なく、本発明の目的を達成することができない。
【0033】本発明における本冷却の方法は、予備冷却
後のシート状物を直ちに30℃以下の温度に急冷できる
冷却方法であれば特に限定されない。尚、本発明におけ
る急冷は、シート状物が可及的に短時間で上記温度に達
することが必要で、具体的には、30℃/秒以上の冷却
速度で冷却することが望ましい。即ち、冷却速度が30
℃/秒未満の場合は、得られるポリプロピレンシートの
透明性が十分向上しない傾向がある。
【0034】本冷却方法について具体的に示すと、例え
ば、冷却水等の液状冷媒中に投入する方法、エアと液状
冷媒のミストを混合した冷媒を吹きつける方法、無縁ベ
ルトやエアナイフ、金属ロールを使用する方法等が挙げ
られ、また、上記の方法を2種以上組み合わせて使用し
ても良い。これらの中でも本発明においては、冷却水等
の液状冷媒に導入する方法は、予備冷却されたシート状
物が液状冷媒と接触すると同時に水温とほぼ同等温度に
冷却されるため、冷却効率の優れた方法であり、最も好
ましく採用される。
【0035】図に示す態様は、冷却水槽6を設け、これ
にシート状物を導入せしめる態様を示す。また、このよ
うに、冷却水での急冷を採用する場合には、固化過程の
シート状物と冷却水の接触部での水温上昇を避ける目的
で、シート状物の表面の水を強制的に拡散させる方法が
好ましく使用できる。
【0036】上記方法を具体的に例示すれば、図に示し
たように冷却水槽上部より強制的に水流を与える、線状
のノズルを下端に有する水槽よりなる強制冷却水流の発
生装置4を設け、シートの両面に流動する冷却水流を発
生させ、より強制的に冷却する方法等が挙げられる。
【0037】本冷却において、シート状物は内部まで3
0℃以下の温度になるまで冷却を維持することが好まし
く、かかる時間は冷却方法、条件によって異なり、一概
に限定することはできないが、通常1秒から5分程度で
ある。
【0038】上記の本発明の方法によって得られるポリ
プロピレンシート厚みは特に限定されないが、通常0.
1mmから1mm程度であり、0.15mmから0.5
mmとなるように、前記シート状物の厚みを調整して製
造することが、良好な透明性を発現するために特に好ま
しい。
【0039】上記した本発明の方法により、透明性が著
しく優れたポリプロピレンシートが得られるが、よりポ
リプロピレンシートの剛性を改良するためには、後述す
る熱処理を施し、ポリプロピレンシートの結晶化度を向
上させる方法が好適に採用できる。即ち、得られたポリ
プロピレンシートを原料ポリプロピレンの結晶化温度以
上、融点未満の熱処理温度で熱処理を行なう方法が好適
である。熱処理方法としては、例えば、図に示すよう
に、温度制御された複数の金属ロールや1対の無縁ベル
トよりなる熱処理ロール7間にポリプロピレンシートを
通して熱処理を行う方法等が挙げられる。
【0040】上記熱処理温度が結晶化温度未満の場合
は、ポリプロピレンシートの結晶化度の向上が小さく剛
性の改良効果が小さい為、好ましくない。また、熱処理
温度が融点以上の場合には、ポリプロピレンシートが部
分的に溶融し再結晶化することで、透明性が著しく低下
するため好ましくない。熱処理時間は特に限定されない
が、本発明においては、通常1秒〜10分の熱処理処理
時間が採用される。
【0041】上記熱処理により得られる本発明のポリプ
ロピレンシートは、特徴的な透明性を発揮するシートで
あり、これに対して上記熱処理を施すことにより、通常
のシーとにおいて発揮される効果に比して、その熱処理
による効果が顕著に現れ、後記の実施例に示すように、
熱処理による剛性の改良効果が非常に大きい。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、塩化ビニル樹脂やポリ
スチレンに匹敵する優れた透明性を有するポリプロピレ
ンシートを得ることが可能となり、透明ポリプロピレン
シートの製造方法として極めて有用なものである。
【0043】また、得られたポリプロピレンシートは文
具や化粧品ケース、食品容器等における透明性を重視さ
れる分野で好適に使用できる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例を挙げて
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。以下の実施例において用いた測定方法につい
て説明する。
【0045】(1) メルトフローレイト(以下、MF
Rと略す。) JIS K 7210に準拠した。
【0046】(2) 融点、結晶化温度 示査走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度、降温速度
を10℃/分で測定を行った。
【0047】(3)ヘイズ JIS K 7105に準拠した。
【0048】(4) 白色度(W) スガ試験機株式会社製カラーコンピュータにより、押え
板に鏡を使用し、反射光について測定し、ハンターの方
法を用い、 W=100−[(100−L)2+a2+b2]1/2 で計算した。白色度の値が小さい程、シートに白っぽさ
が少なく、ヘイズと共に透明性の指標となる。
【0049】(5) 引張弾性率 JIS K 7113 に準拠し、測定した。
【0050】実施例1 図1に示すような装置を使用し、下記のようにしてポリ
プロピレンシートを製造した。
【0051】先ず、ポリプロピレン(メルトフローレイ
ト2.9g/10分、融点159.9℃、結晶化温度1
10.7℃、分子量分布7.0、昇温溶離分別法のA成
分2.9重量%、B成分16.2重量%、C成分80.
9重量%、ピークトップ温度120.8℃)を40mm
φT−ダイ1を備えた押出機により、樹脂温度260℃
でシート状に押出し、このシート状物を120℃に設定
した一対の金属ロールよりなる冷却ロール2間に導入
し、表1に示す温度に予備冷却を行った。
【0052】次いで、このシート状物を1秒以内に図1
に示す強制冷却水流の発生装置4を経て水温15℃の冷
却水槽6に導入することで表1に示す温度に本冷却を行
い、成形速度3m/分で厚み0.3mmのシートを得
た。結果を表1に示した。
【0053】実施例2〜5 本冷却前のシート表面温度(予備冷却ロール温度の変更
による)、冷却水槽の水温を表1に示したように変更し
た以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレンシート
成形を実施した。結果を表1に示した。
【0054】実施例6、7 実施例1と同様にして得られたポリプロピレンシート
を、引き続き120℃(実施例6)、140℃(実施例
7)に設定した3本の金属ロールで構成した熱処理ロー
ル7で熱処理を行った。結果を表1に示した。
【0055】実施例8 実施例4で得られたシートを、引き続き120℃に設定
した3本の金属ロールで構成した熱処理ロール7で熱処
理を行った。結果を表1に示した。
【0056】実施例9 実施例5で得られたシートを、引き続き120℃に設定
した3本の金属ロールで構成した熱処理ロール7で熱処
理を行った。結果を表1に示した。
【0057】比較例1 実施例1において冷却ロールを使用しなかった以外は実
施例1と同様にしてシート成形を実施した。結果を表1
に示した。
【0058】比較例3〜5 本冷却前のシート状物の表面温度(予備冷却ロール温度
の変更による)、冷却水槽の水温を表1に示したように
変更した以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン
シート成形を実施した。結果を表1に示した。
【0059】尚、比較例4では、シートが予備冷却ロー
ルに巻き付き、成形時の安定性が不良であった。
【0060】
【表1】
【0061】実施例10〜12 実施例1において、使用するポリプロピレン樹脂を表2
に示す樹脂に代えた以外は、同様にしてポリプロピレン
シートを製造した。
【0062】得られたシートについての物性測定結果を
表3に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】予備冷却にロールを用いた本発明のシート成形
装置の一実施態様を示す概略図
【図2】予備冷却にエアナイフを用いた本発明のシート
成形装置の他の実施態様を示す概略図
【符号の説明】
1 T−ダイ 2 冷却ロール 2’エアーナイフ 3 シート状物表面温度測定位置 4 強制冷却水流の発生装置 5 引取ロール 6 冷却水槽 7 熱処理ロール 8 シート

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂を溶融状態で押出
    したシート状物を、該ポリプロピレン系樹脂の結晶化温
    度以上、融点未満の温度に冷却後、直ちに30℃以下の
    温度に急冷することを特徴とするポリプロピレンシート
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法で得られたポリプ
    ロピレンシートを、さらに原料ポリプロピレン系樹脂の
    結晶化温度以上、融点未満の温度で熱処理することを特
    徴とするポリプロピレンシートの製造方法。
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Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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