JPH05245539A - 調質圧延におけるストリップの巻締まり疵防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】冷延鋼板の調質圧延の際、ペイオフリールから
巻戻されるストリップの巻締まり疵の発生防止。 【構成】ストリップを外周から加圧する加圧ロール３
と、加圧ロール３に所定の圧力を加える加圧用アクチュ
エータ４と、加圧用アクチュエータ４を加圧ロール３の
軸方向に移動させる移動用アクチュエータ４′、４″
と、コイル１のエッジ位置を検出するエッジ位置検出器
６と、エッジ位置検出器６により検出されるエッジ位置
の偏差信号を入力してこの偏差をなくするような信号を
前記のアクチュエータ４′、４″に出力するロール位置
制御装置７を有するストリップの巻締まり疵防止装置。 【効果】ストリップの巻締まり疵の発生を防止すること
ができる。また、加圧ロールとストリップ間のスリップ
による疵等が発生するおそれもない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、焼鈍した冷延鋼板を
調質圧延する際にペイオフリールから巻戻されるコイル
の表面疵の発生を防止する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】冷延鋼板（コールド・ストリップ）の製
造過程では、焼鈍を終えたストリップの機械的性質を改
善し、表面状態や形状を矯正するために、伸び率 0.3〜
3.0 ％程度の軽度の調質圧延を施している。この調質圧
延工程では、前の工程でコイル巻きされたストリップが
ペイオフリールに挿入され、ここから巻戻されて調質圧
延機に供給される。

【０００３】上記のペイオフリールからの巻戻しの際
に、ストリップの表面に巻締まり疵と呼ばれる疵が発生
する場合がある。これは、コイル巻きがルーズで巻戻し
のときにスリップして、ストリップ面が相互にこすれ合
うからである。

【０００４】調質圧延工程で発生する巻締まり疵を防止
する方法として、本出願人は特願平３−248770号で、ペ
イオフリールからのコイルの巻戻しに際し、ロールによ
ってコイルを外周から加圧した状態で巻戻しを行い、巻
戻し中のストリップ面間の摩擦係数μが静止摩擦係数
μ’を超えない状態で巻戻しを行うことにより、巻締ま
り疵を防止する方法を提案した。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記の方法によれば、
ロールでコイルを外周から加圧するという比較的簡単な
手段で巻締まり疵の発生を防止できるが、実機に適用す
る際に以下のような問題の発生が懸念される。

【０００６】(1) 加圧ロールのエッジ部分による押し込
み疵の発生。

【０００７】(2) ペイオフリールの左右への移動に伴う
コイルの移動に起因するロールとコイル間のスリップに
よる疵の発生。

【０００８】前記(1) の押し込み疵は、ストリップの幅
に比べ加圧ロールの長さが短い場合に、特に厚みが薄い
ストリップで発生しやすい。しかし、この問題は、長さ
が調質圧延機の仕様で定められるストリップの最大幅に
比べ僅かに長い加圧ロールを用いることにより解消する
ことができる。

【０００９】また、(2) のスリップ疵は以下のような場
合に発生する可能性がある。即ち、コイル巻きされたス
トリップはそのエッジ部が完全に揃った状態ではなく、
図２に示すように巻姿の悪いものも含まれている。この
ような場合、ＥＰＣ（ EdgePosition Controler）等と
称する蛇行修正装置によって、ストリップが圧延機の最
適位置に供給されるように、ペイオフリールをストリッ
プ供給方向に対して左右に移動させるが、このとき、ロ
ールとコイルの間でスリップが生じ、ストリップ表面に
疵が発生する。

【００１０】本発明は、冷延鋼板の調質圧延において、
本出願人が提案した前記のストリップの巻締まり疵防止
方法を適用するに際し、上記のような問題を生じる懸念
がなく、この方法を効果的に用いることができるストリ
ップの巻締まり疵防止装置を提供することを目的とす
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記(2) の問
題は加圧ロールを蛇行修正装置によるペイオフリールの
動きと同調させることによって解決できる、との知見に
基づいてなされたもので、その要旨は、「調質圧延機に
コイルを供給するペイオフリールからのコイルの巻戻し
の際にコイルを外周から加圧する加圧ロールと、加圧ロ
ールに所定の圧力を加える加圧用アクチュエータと、加
圧用アクチュエータを加圧ロールの軸方向に移動させる
移動用アクチュエータと、コイルのエッジ位置を検出す
るエッジ位置検出器と、エッジ位置検出器により検出さ
れるエッジ位置の偏差信号を入力してこの偏差をなくす
るように加圧ロールの位置を制御する信号を前記の移動
用アクチュエータに出力するロール位置制御装置を有す
ることを特徴とするストリップの巻締まり疵防止装置」
にある。

【００１２】図１は本発明の装置の一例の構成を示す図
である。この図において、１はペイオフリールのマンド
レル２に取り付けられたコイルである。コイル１を外周
から加圧する加圧ロール３は軸受け３′によって回転自
在に支持され、軸受け３′は加圧ロール３に所定の圧力
を加える加圧用アクチュエータ４の下端部に固定されて
いる。加圧用アクチュエータ４の上端部は加圧用アクチ
ュエータ４を加圧ロール３の軸方向に移動させるロッド
５′に固定されている。ロッド５′の両端には移動用ア
クチュエータ４′と４″がそれぞれ反対向きに連結され
ている。６はコイル１のエッジの位置を検出するエッジ
位置検出器、７はエッジ位置検出器６の信号を入力し、
移動用アクチュエータ４′、４″に加圧用アクチュエー
タ４の位置を制御する信号を出力するロール位置制御装
置である。

【００１３】

【作用】以下、本発明の装置の作用について説明する。

【００１４】前記図１において、先ず、ペイオフリール
にコイル１を装着し、加圧ロール３とコイル１の中心を
一致させた後、加圧用アクチュエータ４を作動させて加
圧ロール３をコイル１に所定の面圧になるように押しつ
ける。次いで、コイル１をペイオフリールから巻戻して
圧延を開始する。圧延が進むにつれてコイル１の巻高さ
が小さくなっていくが、所定の設定面圧が保たれるよう
に加圧ロール３が下降し、コイル１の終端部が巻戻され
るまで加圧ロール３による押え付けが続けられる。な
お、この加圧ロール３による押え付けは、前述のよう
に、コイル全長について行ってもよいが、巻締まり疵が
最も発生しやすい圧延初期の加速段階でのみ行うように
すれば、押し込み疵の発生を最小限に抑えることができ
る。

【００１５】このコイル１の巻戻しの際、図２に示した
ようにコイル１の巻姿が悪い場合は、蛇行修正装置が働
いて、ペイオフリールのマンドレル２がストリップの供
給方向に対して左右直角方向（図中の矢印の方向）に移
動し、それに伴ってコイル１が左右に動く。このコイル
１の動き、すなわち、コイル１のエッジ部の左右への動
きがエッジ位置検出器６によってエッジ位置の偏差、つ
まり、圧延開始前に加圧ロール３とコイル１の中心を一
致させたときのコイル１のエッジ部の位置（基準値）か
らのずれ、として検出され、その信号がロール位置制御
装置７へ出力される。ロール位置制御装置７は、この信
号を受けると、エッジ位置の偏差が零になるように位置
制御出力信号を移動用アクチュエータ４′、４″へ送
り、これらを作動させる。アクチュエータ４′と４″は
互いに反対方向に作動し、ペイオフリールの左右への移
動に伴うコイル１の動きに同期してロッド５′を加圧ロ
ール３の軸方向に左右に動かし、ロッド５′に固定され
ている加圧用アクチュエータ４を同じく加圧ロール３の
軸方向に左右に移動させる。

【００１６】上記のような加圧ロール３の位置の制御が
コイルの巻戻し開始から終了まで行われるので、加圧ロ
ール３とストリップの間でスリップが生じることがな
く、前記の本出願人が提案したストリップの巻締まり疵
防止方法を効果的に実施することができる。

【００１７】加圧用アクチュエータ４としては、空気圧
シリンダーや電動スクリューを用いることも考えられる
が、全荷重が数トンであることを考えると、油圧シリン
ダーが好適である。

【００１８】移動用アクチュエータ４′、４″として
は、応答性がよく、低コストであることから、空気圧シ
リンダーが好適である。

【００１９】エッジ位置検出器６としては、非接触で、
走行中使用可能な光電方式のものが好適で、調質圧延機
のような高速ラインでは、動特性がよく、分解能がよ
い、フォトヘッド検出器が好適である。

【００２０】前記の図１においては、軸方向の長さがス
トリップの最大幅よりも大きい加圧ロールを使用してい
るので、加圧ロールのエッジ部分による押し込み疵が発
生するおそれはない。しかし、加圧ロールは、このよう
なコイル幅よりも長いものに限定されず、コイル幅より
も短い加圧ロールを用いてもよい。その場合は、ストリ
ップの厚みに応じて加圧力を調整し、押し込み疵の発生
を回避する。

【００２１】

【発明の効果】冷延鋼板を調質圧延する際に、加圧ロー
ルを用いる本発明の装置を適用すれば、コイルの巻戻し
の際生じ易い巻締まり疵を防止することができる。ま
た、加圧ロールのエッジ部分による押し込み疵の発生
や、加圧ロールとストリップ間のスリップによる疵が発
生する懸念もない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の装置の一例の構成を示す図である。

【図２】コイルの巻姿の一例を示す図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】調質圧延機にコイルを供給するペイオフリ
   ールからのコイルの巻戻しの際にコイルを外周から加圧
   する加圧ロールと、加圧ロールに所定の圧力を加える加
   圧用アクチュエータと、加圧用アクチュエータを加圧ロ
   ールの軸方向に移動させる移動用アクチュエータと、コ
   イルのエッジ位置を検出するエッジ位置検出器と、エッ
   ジ位置検出器により検出されるエッジ位置の偏差信号を
   入力してこの偏差をなくするように加圧ロールの位置を
   制御する信号を前記の移動用アクチュエータに出力する
   ロール位置制御装置を有することを特徴とするストリッ
   プの巻締まり疵防止装置。