JP2000254726A - ペイオフリールへのコイル装着方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ゴムスリーブを装着したペイオフ
リールのリールをコイルへ装入するペイオフリールへの
コイル装着方法に関する。 【解決手段】内径だれ検出センサでコイルの内径だれ量
を検出し、検出した内径だれ量にもとづいてコイルに装
入可能な前記ペイオフリールのリール径を演算し、演算
したリール径となるように前記ペイオフリールのリール
を拡縮してコイルに装入する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は熱延鋼板の巻戻し点
検設備、スリッターライン、ＳＫ（調質圧延）ライン等
の入側ペイオフリールでゴムスリーブを用いてペイオフ
リールのリール径よりも内径が大きいコイルを処理する
際に適用することが可能なペイオフリールへのコイル装
着方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、コイルの巻き戻しを行うペイオ
フリールにコイルを装着するにあたっては、ペイオフリ
ールのリール外径を拡縮できるようにしてコイルへのリ
ール装入を容易にしコイル装着を行うことが行われてい
る。その際、リールをコイルに装入するにあたって、リ
ールの外径を最小径として縮小状態とし、コイルスキッ
ド上に載荷したコイルにリールを装入した後、コイルを
リールに担持させ、次に、リール径を最大に拡大した拡
大状態としてリールとコイルを固着し、リールへのコイ
ル装着を完了させる。

【０００３】このとき、リールのセンターとコイルのセ
ンターの位置合わせが行われ、両者のセンターを一致さ
せて装入が行われる。ペイオフリールのリールは、例え
ば、図４に示すように、リール７の外径部がセグメント
９に分割される（図の場合は４分割）。そして、その分
割したセグメント９を、リール７の中心から外側に押し
広げ、また、中心に向け内側に縮退させることによって
リール７の径方向の拡縮が行われる。図４では、縮小状
態のリール7aを実線で示し、拡大状態のリール7bを点線
で示している。ここで、リール７の拡縮には、リンク機
構やカム機構などが適用され、拡縮は「縮小」状態と
「拡大」状態とその間の任意の径の状態に拡縮すること
が可能である。

【０００４】ここで、内径がリール径（拡大時のリール
径）より大きいコイルを処理するに際し、ペイオフリー
ルのリールにゴムスリーブを装着してコイルへのリール
装入を行う。この場合、装入に際しては、リール径は
「縮小」と「拡大」の中間径となる「中拡」に設定す
る。このように「中拡」に設定するのは、ゴムスリーブ
はリールが「縮小」状態でリールに装入可能となってい
るため、ゴムスリーブを装着し、リールを「縮小」とす
ると、ゴムスリーブとリールの下部に隙間ができてしま
うからであり、リールを「中拡」としてゴムスリーブと
リールを密着させて同心円状として装入処理を行うこと
で円滑なコイル装入を可能としているのである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図３に
示すように、コイルスキッド２上に載荷されているコイ
ル１の内径部には、コイルの最内側端部が垂れ下がった
状態となる内径だれ３がしばしば発生する。このような
内径だれのある状態でゴムスリーブが装着されたリール
のコイルへの装入処理を行うと、リールを「中拡」とし
ており、ゴムスリーブの外径が一定の値であることか
ら、前記内径だれのだれ量が大きい場合は、ゴムスリー
ブの外周部に内径だれが接触することになる。このよう
な接触が発生すると、コイル内巻きをリール装入方向に
押し出してしまい、一度設備を停止して、人力で押し出
されたコイル内巻き部分を挿し戻してから、再度コイル
へのリール装入を行う必要があり、設備のダウンタイム
に直接つながり大きな問題となっていた。

【０００６】「中拡」時のリール径を、ゴムスリーブと
リールとの間に隙間ができる程度のなるべく小さい径に
設定しておくと、ゴムスリーブと内径だれとの接触を減
らすことができるが、「中拡」時のリール径が小さい場
合は、リールをコイルに装入後に「拡大」状態としてゴ
ムスリーブとコイルとを密着させるのに要する時間が長
くなり、効率が悪くなってしまう。

【０００７】本発明は、コイルの内径だれが発生してい
てもゴムスリーブの外周部に内径だれが接触することの
ないようにして、設備のダウンタイムが発生しないよう
にするとともに、リールをコイルに装入してからゴムス
リーブとコイルとを密着させて巻出可能状態とするまで
に要する時間を最小限とすることが可能なペイオフリー
ルへのコイル装着方法を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、ゴムスリーブ
を装着したペイオフリールのリールをコイルへ装入する
ペイオフリールへのコイル装着方法であって、内径だれ
検出センサでコイルの内径だれ量を検出し、検出した内
径だれ量にもとづいてコイルに装入可能な前記ペイオフ
リールのリール径を演算し、演算したリール径となるよ
うに前記ペイオフリールのリールを拡縮してコイルに装
入することによって上記課題を解決したのである。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明のコイル装着方法を図１に
基づき説明する。まず、コイルスキッド２上に載荷した
コイル１が所定位置となった段階で、コイル１の内径部
分を内径だれセンサ５で計測し、内径だれ量、すなわ
ち、コイル内巻先端部のコイル内巻からのずれ量Ｈを測
定する。

【００１０】内径だれセンサ５としては、例えば、２次
元のＣＣＤカメラが用いられ、内径だれは画像処理によ
って定量的に求められる。ただし、この方式に限定する
ものではなく、一次元のラインセンサをスキャンさせて
内径だれを計測しても良く、又、接触式のセンサを用い
て内径だれを直接計測するようにしても良い。測定した
内径だれ量は、リール径設定装置６に送られ、該リール
径設定装置６において予め設定されたロジックに従って
演算が行われ、リール７に装着されたゴムスリーブ８に
内径だれが接触しないリール径を算出し、リール径の設
定を行う。ここで、リール７にはゴムスリーブ８が装着
されているが、このゴムスリーブ厚さ等の所要の情報は
あらかじめリール径設定装置６にセットされているもの
とする。なお、リール径を予めゴムスリーブ８が抜けな
い程度のなるべく小さい径としておき、リール径設定装
置６によるリール径演算後に、算出されたリール径まで
拡大し、その後にリール装入を行うようにしてもよい
し、リール径を予め内径だれが生じていないコイルに対
して挿入可能な最大径としておき、リール径演算後に算
出されたリール径まで縮小してリール装入を行うように
してもよく、ゴムスリーブ８が抜けない程度のなるべく
小さい径と、内径だれがないコイルに対する挿入可能な
最大径との間の値にリール径を予め設定しておけばよ
い。

【００１１】内径だれ量に応じたリール径が設定された
ペイオフリール４を、コイルに装入し、その後にリール
径を「拡大」としてゴムスリーブとコイルを密着させ、
コイルの巻出しを可能とする。このようにしてコイル装
入を行うようにしたので、ゴムスリーブが内径だれに接
触することがなくなり、円滑なコイル装入を行うことが
可能となった。

【００１２】

【実施例】以下、熱延鋼板ＳＫ（調質圧延）ライン入側
のペイオフリールに本発明のコイル装入方法を適用した
場合について説明する。ただし、本発明はコイル内径変
更時にゴムスリーブを装着した場合に適用される。適用
したゴムスリーブの内径は 556mmφ、外径は 720mmφで
ある。まず、ペイオフリールのリールを「縮小」（リー
ル径524mm ）として、ゴムスリーブをリールに装着し
た。リールが「拡大」の場合には、ゴムスリーブの内径
（すなわち、リールの外径）は 610mmφ、外径は 762mm
φとなる。

【００１３】コイル装入時には、従来リール径は「中
拡」（リール径580mm ）とされており、ゴムスリーブ外
周部と内径だれとの接触トラブルが多発していた。そこ
で、内径だれセンサで検出した内径だれ量に応じて、リ
ール径をゴムスリーブ装着を前提として556mm φ〜580m
m φの範囲で縮小するようにした。その結果、ゴムスリ
ーブ外周部が内径だれに接触するトラブルはほとんど解
消された。

【００１４】また、内径だれ量が大きすぎてコイル装入
が行えない場合には、ラインを自動停止してオペレータ
に警報を発するようにした。その結果、コイルにリール
を装入する際にコイル内巻を押し出してしまうというト
ラブルが発生しなくなり、ラインのダウンタイムに至る
重大トラブルはほとんど解消することができた。図２
は、ゴムスリーブがコイルの内径だれに接触するトラブ
ル発生率を示したグラフであり、上記で説明した本発明
例と、コイル装入時の「中拡」を内径だれに関係なく一
定レベルとしている従来例について比較したものであ
る。

【００１５】図から、30％強もあった従来のトラブル発
生率（ライン停止回数／リール装入回数）が、本発明の
適用で３％にまで激減したことがわかる。

【００１６】

【発明の効果】本発明のコイル装着方法を適用すること
で、コイルへのリール装入時のゴムスリーブと内径だれ
との接触トラブルをほとんど解消することができ、ライ
ンのダウンタイムを大きく減少させることができた。そ
のため、本発明の適用によって、ラインの稼働率アッ
プ、生産性アップに大きな効果がえられた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のコイル装着方法を説明するための模式
図である。

【図２】本発明例と従来例についてトラブル発生率を比
較したグラフである。

【図３】コイルの内径だれを説明する模式図である。

【図４】ペイオフリールのリールの拡縮を説明する模式
図である。

【符号の説明】

１ コイル ２ コイルスキッド ３ （コイルの）内径だれ ４ ペイオフリール ５ 内径だれセンサー ６ リール径設定装置 ７ リール 7a 縮小状態のリール 7b 拡大状態のリール ８ ゴムスリーブ ９ セグメント

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ゴムスリーブを装着したペイオフリール
   のリールをコイルへ装入するペイオフリールへのコイル
   装着方法であって、内径だれ検出センサでコイルの内径
   だれ量を検出し、検出した内径だれ量にもとづいてコイ
   ルに装入可能な前記ペイオフリールのリール径を演算
   し、演算したリール径となるように前記ペイオフリール
   のリールを拡縮してコイルに装入するペイオフリールへ
   のコイル装着方法。