JPH0524423A - シヨツクアブソーバのための電気制御装置 - Google Patents

シヨツクアブソーバのための電気制御装置

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Publication number
JPH0524423A
JPH0524423A JP28915691A JP28915691A JPH0524423A JP H0524423 A JPH0524423 A JP H0524423A JP 28915691 A JP28915691 A JP 28915691A JP 28915691 A JP28915691 A JP 28915691A JP H0524423 A JPH0524423 A JP H0524423A
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JP
Japan
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shock absorber
vehicle
speed
damping coefficient
value
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JP28915691A
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English (en)
Inventor
Takayuki Katsuta
隆之 勝田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スカイフック理論を用いてショックアブソー
バの減衰力を車両の運転状態に応じて制御して、簡単な
構成で車両の乗り心地を良好にする。 【構成】 各輪毎のばね上部材の上下方向の絶対速度を
車体のロール、ピッチ、ヒーブ、ワープなどの運動速度
に変換する(ステップ63)。各運動に対する理想的な
スカイフック減衰係数を車両の運転状態から計算する
(ステップ64)。各運動速度に前記スカイフック減衰
係数を乗算した後、再び前記乗算結果をばね上部材の上
下方向の運動に対応した量に変換する(ステップ6
5)。この変換値をばね上部材のばね下部材に対する相
対速度で除算して、ショックアブソーバの実減衰係数を
計算する(ステップ67)。この実減衰係数と「0」よ
り大きな所定値C0 とを比較することにより、この所定
値を境にショックアブソーバの減衰力を2段階に切り換
える(ステップ68〜70)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は減衰力を大小2段階に切
り換え可能なショックアブソーバを備えた車両のサスペ
ンション装置に係り、特に同アブソーバの減衰力を切り
換え制御するショックアブソーバのための電気制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置は、例えば特開昭6
0−261716号公報に示されているように、ばね上
部材のばね下部材に対する相対速度VY及び相対変位LY
を検出し、相対速度VYの相対変位LYに対する比VY
Yが小さいときには良路を走行中であり、また同比VY
/LYが大きいときには悪路を走行中であるとの判断の
基に、前記比VY/LYが所定値より小さいときショック
アブソーバの減衰力を小さく制御し、かつ前記比VY
Yが所定値より大きいときショックアブソーバの減衰
力を大きく制御している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記従来の
装置においては、ばね上部材が絶対空間に対して静止し
ているような状態でも、前記相対速度VY又は相対変位
Yが変化すれば、前記比VY/LYは変化し、この比VY
/LYが前記所定値を境に変化した場合には、ショック
アブソーバの減衰力が切り替わるので、車両の乗り心地
が悪くなる。本発明は上記問題に対処するためになされ
たもので、その目的は、ばね上部材の絶対速度とばね上
部材のばね下部材に対する相対速度との比に基づいてシ
ョックアブソーバの減衰力を切り換え制御することによ
り、すなわちスカイフック理論に基づいてショックアブ
ソーバの減衰力を切り換え制御することにより、車両の
乗り心地を良好にするようにしたショックアブソーバの
ための電気制御装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の構成上の特徴は、車両のサスペンション装
置内にてばね下部材とばね上部材との間に設けられて減
衰力を大小2段階に切り換え可能なショックアブソーバ
を切り換え制御するための電気制御装置において、ばね
上部材の上下方向の絶対速度を検出する絶対速度検出手
段と、ばね上部材のばね下部材に対する上下方向の相対
速度を検出する相対速度検出手段と、車両の運転状態を
検出する運転状態検出手段と、前記検出した車両の運転
状態に応じてばね上部材の運動に対する減衰係数を決定
する減衰係数決定手段と、前記絶対速度の前記相対速度
に対する比に前記減衰係数を乗算した値を算出する演算
手段と、前記算出された値と零より大きな所定値とを比
較して同算出された値と同所定値との大小関係に応じて
ショックアブソーバの減衰力の大小を切り換え制御する
切り換え制御手段とを設けたことにある。
【0005】
【作用】上記のように構成した本発明においては、ばね
上部材の上下方向の絶対速度が絶対速度検出手段により
検出され、ばね上部材のばね下部材に対する上下方向の
相対速度が相対速度検出手段により検出され、車両の旋
回操作、車両の加減速操作などの車両の運転状態が運転
状態検出手段により検出される。そして、減衰係数決定
手段が前記検出した車両の運転状態に応じてばね上部材
の運動に対する減衰係数を決定して、演算手段が前記検
出した絶対速度の前記検出した相対速度に対する比に前
記決定した減衰係数を乗算した値を算出するとともに、
切り換え手段が前記算出された値と零より大きな所定値
とを比較して、同算出された値と同所定値との大小関係
に応じてショックアブソーバの減衰力の大小を切り換え
制御する。この場合、一端を絶対空間における仮想的な
一点に固定するとともに他端にてばね上部材を支持した
ショックアブソーバを想定すると、すなわちスカイフッ
クした仮想的なショックアブソーバを想定すると、前記
演算手段により算出した算出値に応じて実際のショック
アブソーバの減衰力を制御することは、前記減衰係数決
定手段にて決定した減衰係数に応じて前記仮想的なショ
ックアブソーバの減衰力を制御することに相当するの
で、スカイフック理論に基づいてショックアブソーバの
減衰力が車両の運転状態に応じて制御される。このスカ
イフック理論に応じた制御によれば、ばね上部材の上下
方向の運動がばね下部材の上下方向の運動とは独立して
絶対空間内にて制御されることになる。また、この制御
においては、切り換え制御手段が零より大きな所定値を
境にした演算手段による算出値の変化に応じてショック
アブソーバの減衰力の大小を切り換え制御し、前記算出
値はばね上部材の絶対速度が零であれば零であるので、
同部材が静止していれば、ショックアブソーバの減衰力
が切り換えられることがなくなる。
【0006】
【発明の効果】上記作用説明からも理解できるように、
本発明によれば、スカイフック理論に基づいてばね上部
材の上下方向の運動がばね下部材の上下方向の運動とは
独立して絶対空間内にて車両の運転状態に応じて制御さ
れるとともに、この制御においては演算手段による算出
値と所定値との比較に応じてショックアブソーバの減衰
力を切り換え制御するのみであるので、同減衰力の制御
が簡単な構成によって実現されるとともに、車両の乗り
心地が良好になる。また、ばね上部材が絶対空間におい
て静止していれば、上記従来装置のように、ショックア
ブソーバの減衰力が切り換えられることがなくなり、こ
れによっても、さらに車両の乗り心地が良好となる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の一実施例を説明するが、その
前に、本発明で利用したスカイフック理論について簡単
に説明しておく。 <スカイフック理論>スカイフック理論とは、車体を構
成するばね上部材1がスプリング2及びショックアブソ
ーバ3を介して車輪に接続されたばね下部材4により支
承されている実際のサスペンション装置(図16(A)参
照)に代えて、一端を絶対空間に固定し他端にてばね上
部材1を支承する仮想のショックアブソーバ5(スカイ
フックされたショックアブソーバ5)を備えたサスペン
ション装置(図16(B)参照)を想定して、ショックア
ブソーバ3の減衰力の制御に利用するものである。そし
て、この制御により、ばね上部材1の上下方向の運動を
ばね下部材2の上下方向の運動とは独立して絶対空間内
にて制御して、車両の乗り心地を基準にして前記減衰力
の制御を乗員の感覚に合わせようとするものである。
【0008】この場合、ばね上部材の絶対空間における
上方向の変位量及び速度をLZ,VZとし、ばね下部材の
絶対空間における上方向の変位量及び速度をLX,VX
すれば、ばね上部材1のばね下部材4に対する上方向の
相対変位量及び相対速度はLZ−LX,VZ−VXにより表
され、図16(A)に示すような実際のサスペンション装
置においては、ばね上部材1の運動方程式は下記数1の
ようになる。
【数1】 m・aZ=−C*・(VZ−VX)−K・(LZ−LX) なお、mはばね上部材1の質量、aZ は絶対空間におけ
るばね上部材1の上方向の加速度、C*はショックアブ
ソーバ4による実減衰係数であり、Kはスプリング2の
ばね定数である。一方、図16(B)に示すようなスカイ
フックされた仮想のショックアブソーバ5を備えたサス
ペンション装置においては、ばね上部材1の運動方程式
は下記数2のようになる。
【数2】m・aZ=−C・VZ−K・(LZ−LX) なお、Cは仮想のショックアブソーバ5による減衰係数
であり、以下このような仮想状態における減衰係数をス
カイフック減衰係数という。
【0009】したがって、図16(A)の実減衰係数C*
をC・VZ/(VZ−VX) とすれば、実際のショックアブ
ソーバ3による減衰力制御はスカイフックされたショッ
クアブソーバ5のスカイフック減衰係数をCに設定した
場合と等価となる。その結果、このスカイフック理論に
基づくショックアブソーバの減衰力の制御にあっては、
車両の旋回操作、加減速操作などの車両の運転状態に応
じて絶対空間におけるばね上部材1の運動に対する減衰
係数Cを決定するとともに、ばね上部材1の絶対速度V
Z 及び同部材1のばね下部材4に対する相対速度(VZ
X)を検出して、実際のショックアブソーバ3の減衰力
を値C・VZ/(VZ−VX) に応じて制御するようにすれ
ば、ばね上部材の運動に対する減衰力を、絶対空間に仮
想のショックアブソーバ5を配設したものとみなして、
車両の運転状態に応じて制御できるという利点を有す
る。
【0010】次に、本発明の具体的な実施例について説
明する。まず、前記図16(A)に示した実際のサスペン
ション装置の具体例について図面を用いて説明すると、
図6及び図7は、図16(A)のスプリング2及びショッ
クアブソーバ3にそれぞれ対応したスプリング10及び
ショックアブソーバ20を備えたサスペンション装置を
示している。ショックアブソーバ20は、外部シリンダ
21の下端にて車輪に接続したロワーアーム11に連結
されるとともに、同シリンダ21に上下動可能に挿入さ
れたロッド22の上端にて車体12に固定されている。
スプリング10は外部シリンダ21と車体12との間に
介装されている。外部シリンダ21内には内部シリンダ
23が収容されており、同シリンダ23内には上端にて
ロッド22の下端に固定された連結部材24及び筒状部
材25が一体的に変位可能に組み込まれている。筒状部
材25の外周上にはピストン26が固定されており、同
ピストン26により内部シリンダ23内が上下2室2
7,28に区画されている。ピストン26には貫通孔2
6a,26bが設けられるとともに、同ピストン26の
上下の側面にはリーフバルブ31,32がそれぞれ組み
付けられており、ピストン26が上下に移動するのに伴
ってそれぞれ片側に開くようになっている。
【0011】また、ロッド22の内部には圧電素子を積
層した圧電アクチュエータ33が組み込まれており、同
アクチュエータ33に電圧が付与されると、ピストン3
4が下方向に駆動されるようになっている。このピスト
ン34が前記のように駆動されると、スプリング35に
より上方向に付勢されているスプール36がプランジャ
37を介して下方向に変位するようになっている。この
場合、スプール36が下方向に変位した状態において
は、上室27は連結部材24及び筒状部材25内にそれ
ぞれ設けた通路24a,25aを介して下室28に連通
する。また、スプール36が上方位置にあると状態で
は、上下室27,28の前記連通は禁止される。その結
果、このショックアブソーバ20においては、圧電アク
チュエータ33に電圧が付与されない状態では、リーフ
バルブ31,32のみを介して上下室27,28内の作
動油の移動が許容されるので、同アブソーバ20の減衰
力が「大」(ハード)に設定される。また、圧電アクチ
ュエータ33に電圧が付与された状態では、リーフバル
ブ31,32に加えてスプール36を介して上下室2
7,28内の作動油の移動が許容されるので、同アブソ
ーバ20の減衰力は「小」(ソフト)に設定される。
【0012】次に、上記のようなショックアブソーバ2
0を制御する電気制御装置について説明する。この電気
制御装置は、図1に示すように、加速度センサ41a〜
41d、変位量センサ42a〜42d、操舵角センサ4
3、車速センサ44、ブレーキセンサ45及びアクセル
センサ46を備えている。
【0013】加速度センサ41a〜41dは各輪毎に車
体12(ばね上部材1)側にそれぞれ設けられて車体1
2の上方向の加速度aZ1,aZ2,aZ3,aZ4を検出する
もので、各加速度aZ1,aZ2,aZ3,aZ4を表す検出信
号を出力する。これらの加速度センサ41a〜41dに
は積分器47a〜47dが接続されており、各積分器4
7a〜47dは前記各検出信号をそれぞれ積分して出力
することにより、車体12の上方向の速度VZ1,VZ2
Z3,VZ4を表す信号を出力する。変位量センサ42a
〜42dは各輪毎に車体12(ばね上部材1)とロワー
アーム11(ばね下部材4)との間にそれぞれ設けられ
て、車体12のロワーアーム11に対する上方向の相対
的な変位量LY1,LY2,LY3,LY4を検出するもので、
各変位量LY1,LY2,LY3,LY4を表す検出信号を出力
する。これらの変位量センサ42a〜42dには微分器
48a〜48dが接続されており、各微分器48a〜4
8dは前記各検出信号を微分して出力することにより、
車体12のロワーアーム11に対する上方向の相対速度
Y1,VY2,VY3,VY4を表す信号を出力する。なお、
加速度センサ41a〜41d及び変位量センサ42a〜
42dは、左前輪、右前輪、右後輪、左後輪の位置にそ
れぞれ対応している。
【0014】操舵角センサ43は操舵軸に設けられて操
舵ハンドルの基準位置からの回転角を検出することによ
り、同回転角に対応した操舵角θf を表す検出信号を出
力する。この操舵角センサ43には微分器49が接続さ
れており、同微分器49は前記検出信号を微分して出力
することにより、操舵速度dθf/dtを表す信号を出力す
る。車速センサ44は変速機の出力軸の回転を検出する
ことにより車速SPを検出して、同車速SPを表す検出信号
を出力する。ブレーキセンサ45はブレーキペダルの踏
み込み量BRを検出して、同踏み込み量BRを表す検出信号
を出力する。アクセルセンサ46はアクセルペダルの踏
み込み量ACを検出して、同踏み込み量ACを表す検出信号
を出力する。
【0015】これらの積分器47a〜47d、微分器4
8a〜48d、微分器49、車速センサ44、ブレーキ
センサ45及びアクセルセンサ46はマイクロコンピュ
ータ51に接続されており、同コンピュータ51はバス
51aにそれぞれ接続されたROM51b、CPU51
c、RAM51d及びI/O(入出力インターフェー
ス)51eからなる。ROM51bは、図2に示すフロ
ーチャートに対応したプログラムを記憶したプログラム
領域と、操舵速度dθf/dt、車速SP、ブレーキペダルの
踏み込み量BR及びアクセルペダルの踏み込み量ACに対し
て 図3(A)〜(D)に示すような特性で変化する指数P
ST,PSP,PBR,PAC を記憶した指数テーブルと、相
対速度VY1,VY2,VY3,VY4 を図4に示す特性で相
対速度VY10,VY20,VY30,VY40 に変換する変換テ
ーブルとを備えている。CPU51cは前記プログラム
を実行し、RAM51dは前記プログラムの実行に必要
な変数を一時的に記憶するものである。I/O(入出力
インターフェース)51eは前記速度VZ1,VZ2
Z3,VZ4 、相対速度VY1,VY2,VY3,VY4、操舵
速度dθf/dt 、車速SP、ブレーキペダルの踏み込み量B
R及びアクセルペダルの踏み込み量ACを表す信号を入力
するとともに、ショックアブソーバ20の圧電アクチュ
エータ33を駆動制御する制御信号を駆動回路52a〜
52dへ出力する。駆動回路52a〜52dは各輪に対
応した各ショックアブソーバ20内の圧電アクチュエー
タ33a〜33d(図6,7の圧電アクチュエータ33
に対応)に電圧を印可し、または同印加を解除するもの
である。
【0016】次に、上記のように構成した実施例の動作
を説明すると、電源が投入されると、CPU51cは図
2のステップ60にてプログラムの実行を開始し、ステ
ップ61にて初期設定処理を実行した後、ステップ62
にて積分器47a〜47d、微分器48a〜48d、微
分器49、車速センサ44、ブレーキセンサ45及びア
クセルセンサ46から、ばね上部材1の上方向の速度V
Z1,VZ2,VZ3,VZ4、ばね上部材1のばね下部材4に
対する相対速度VY1,VY2,VY3,VY4、 操舵速度dθ
f/dt、車速SP、ブレーキペダルの踏み込み量BR及びア
クセルペダルの踏み込み量ACを表す信号を入力する。
【0017】次に、CPU51cは、ステップ63にて
車体の運動モードの変換、具体的には、下記数3に基づ
いて、ばね上部材1の上方向の各速度VZ1,VZ2
Z3,VZ4を座標変換することにより、車体12のロー
ル速度VZR、ピッチ速度VZP、ヒーブ速度VZH(車体1
2の上下方向の移動速度)及びワープ速度VZW(車体1
2の前後の捩れ速度)に変換する。
【数3】
【0018】次に、CPU51cは、ステップ64にて
前記入力した操舵速度dθf/dt、車速SP、ブレーキペダ
ルの踏み込み量BR及びアクセルペダルの踏み込み量ACに
基づいて、ロール速度VZR、ピッチ速度VZP、ヒーブ速
度VZH及びワープ速度VZWに対するスカイフック減衰係
数CR,CP,CH,CWを計算する。この場合、ROM5
1b内の指数テーブル(図3)が参照されるとともに、
同テーブルから前記操舵速度dθf/dt、車速SP、ブレー
キペダルの踏み込み量BR及びアクセルペダルの踏み込み
量ACの大きさに対応した各指数PST,PSP,PBR,PAC
が読み出されて、下記数4に基づいて車体のロール、ピ
ッチ、ヒーブ及びワープの各運動に対するスカイフック
減衰係数CR,CP,CH,CWがそれぞれ計算される。
【数4】CR=PST・PSPP=PBR・PACH=PSPW=PST・PSP・PBR・PAC
【0019】次に、CPU51cは、ステップ65にて
車体の運動モードの再合成、具体的には、下記数5に基
づいて、車体12のロール速度VZR、ピッチ速度VZP
ヒーブ速度VZH及びワープ速度VZWに、同ロール、ピッ
チ、ヒーブ及びワープの各運動に対する前記スカイフッ
ク減衰係数CR,CP,CH,CWをそれぞれ乗算するとと
もに、同乗算した各値CR・VZR,CP・VZP,CH・V
ZH,CW・VZWを座標変換することにより、ばね上部材
1の上下方向の運動に相当する値に変換する。
【数5】 なお、前記数5中、各値C10,C20,C30,C40はばね
上部材1の上下運動に対するスカイフック減衰係数に相
当し、VZ10,VZ20,VZ30,VZ40は同部材1の上方向
の速度に相当する(前述した各速度VZ1,VZ2,VZ3
Z4に等しい)。
【0020】このように、ステップ63にて運動モード
分解処理をし、ステップ65にて運動モード再合成処理
をするようにした理由は、制御可能な車体12に対する
減衰力は各輪毎のショックアブソーバ20の減衰力であ
る反面、乗員が感じる車体12の運動は車体12のロー
ル、ピッチ、ヒーブ、ワープなどの各運動であるためで
ある。そして、これらのロール、ピッチ、ヒーブ、ワー
プなどの各運動に対して、目標となるスカイフック減衰
係数CR,CP,CH,CWを車両の運転状態、すなわち操
舵速度dθf/dt、車速SP、ブレーキペダルの踏み込み量
BR及びアクセルペダルの踏み込み量ACなどに基づいて計
算することが、車両の乗り心地を考慮し易いためであ
る。
【0021】前記ステップ65の処理後、CPU51c
は、ステップ66にて、ROM51b内の変換テーブル
(図4)を参照して、前記検出した相対速度VY1
Y2,VY3,VY4を相対速度VY10,VY20,VY30,V
Y40に変換する。これにより、絶対値が微小値ε以下の
相対速度VY1,VY2,VY3,VY4が微小値εに変更され
て、次のステップ67の演算処理にて分母を構成する相
対速度VY10,VY20,VY30,VY40の値が「0」になる
ことを避けることができる。
【0022】ステップ67においては、前記ステップ6
5の変換結果 C10・VZ10,C20・VZ20,C30
Z30,C40・VZ40が前記相対速度 VY10,VY20,V
Y30,VY40により除算されて、各除算結果C10・VZ10
/VY10,C20・VZ20/VY20,C30・VZ30/VY30
40・VZ40/VY40が実減衰係数C10*,C20*,C30
*,C40*として設定される。この演算により、各輪毎
のスカイフック減衰係数C10,C20,C30,C40に等価
な各ショックアブソーバ20の減衰係数が実減衰係数C
10*,C20*,C30*,C40*として設定されることに
なる。このステップ67の処理後、ステップ68にて、
これらの各実減衰係数C10*,C20*,C30*,C40
が「0」より大きな所定値C0 以上であるか否かがそれ
ぞれ判定される。
【0023】ここで、前記所定値C0 の決め方について
説明しておく。まず、ショックアブソーバ20に固有な
減衰力特性を測定するために、実験的に、図6,7に示
すショックアブソーバ20のスプール36を移動させる
ことにより、通路24a,25aの全閉状態から全開状
態までの間の開度を複数段階に切り換えて、各開度毎に
ピストン26の速度VY と減衰力Fとの関係を求める。
次に、前記通路24a,25aの開度と、リーフバルブ
31,32及びピストン26内の通路26a,26bに
相当する開度とを合成して、通路24a,25aの全閉
状態をショックアブソーバ20の最小開度AMIN (ハー
ド)とするとともに、通路24a,25aの全開状態を
同アブソーバ20の最大開度AMAX (ソフト)として、
その間の開度を順にA1〜A4とする。そして、この実験
的に求めた速度VY と減衰力Fとの関係を図5(A)の実
線AMIN,A1〜A4,AMAXのようにグラフ化するととも
に、同図破線で示すように、各実線AMIN,A1〜A4
MAXの傾きΔAMIN,ΔA1〜ΔA4,ΔAMAXを直線近
似により求める。この場合、前記傾きΔAMIN,ΔA1
ΔA4,ΔAMAXは本件実施例で用いるショックアブソー
バ20の各開度AMIN,A1〜A4,AMAXに対する固有の
減衰係数C*を示しているので、横軸を傾きΔA1 〜Δ
4 (減衰係数C*)とし縦軸を開度A1〜A4としてこ
れらの点をプロットするとともに、これらのプロットし
た点と、最小開度AMIN及び最大開度AMAXとを結ぶ曲線
(図5(B)の破線)を想定する。そして、この曲線が横
軸を横切る近傍の点を所定値C0 として設定する。
【0024】ふたたび、プログラム処理(図2)の説明
に戻ると、前記ステップ68の判定処理にて、これらの
各実減衰係数C10*,C20*,C30*,C40*が所定値
0以上であるとそれぞれ判定されると、CPU51c
はステップ69にて駆動回路52a〜52dと協働して
圧電アクチュエータ33a〜33dに対する電圧印加を
それぞれ解除する。これにより、スプール36はスプリ
ング35により上方に付勢されて通路24a,25aが
閉成されるので、上下室27,28の連通はリーフバル
ブ31,32及び貫通孔26a,26bを介してのみ許
容され、ショックアブソーバ20は減衰力が大きなハー
ド状態に設定される。また、各実減衰係数C10*,C20
*,C30*,C40*が所定値C0 未満であれば、CPU
51cはステップ70にて駆動回路52a〜52dと協
働して圧電アクチュエータ33a〜33dに電圧をそれ
ぞれ印加をする。これにより、スプール36はスプリン
グ35の付勢力に抗して下方に変位して通路24a,2
5aが開成されるので、上下室27,28の連通は前述
した場合に加えて前記通路24a,25aを介して許容
され、ショックアブソーバ20は減衰力が小さなソフト
状態に設定される。
【0025】このような実減衰係数C10*,C20*,C
30*,C40*(=C10・VZ10/VY 10,C20・VZ20
Y20,C30・VZ30/VY30,C40・VZ40/VY40)に
基づく所定値C0 を境にしたショックアブソーバ20の
切り換え制御は、スカイフックされたショックアブソー
バを想定すれば、スカイフック減衰係数C10,C20,C
30,C40が大きいとき同アブソーバがハードに設定さ
れ、かつスカイフック減衰係数C10,C20,C30,C40
が小さいとき同アブソーバがソフトに設定されることを
意味する。一方、これらの各スカイフック減衰係数
10,C20,C30,C40は、絶対空間内における車体1
2のロール、ピッチ、ヒーブ、ワープなどの各運動に対
する各スカイフツク減衰係数CR,CP,CH,CWに対応
して増減するものである。そして、これらのスカイフツ
ク減衰係数CR,CP,CH,CWは、下記数6(上記数4
と同じ)に基づいて車両の運転状態量に応じて計算した
もので、各指数PST,PSP,PBR,PACの特性(図3)
から理解できるように次の〜の特徴を有する。
【0026】
【数6】CR=PST・PSPP=PBR・PACH=PSPW=PST・PSP・PBR・PAC 操舵速度dθf/dtの絶対値|dθf/dt|又は車速SPが
大きくなるにしたがって指数PST又はPSPが大きくなる
ので、車体12のロール運動に対するスカイフツク減衰
係数CR が大きくなる、すなわち同ロール運動が速く収
束するように制御される。 ブレーキペダルの踏み込み量BR又はアクセルペダルの
踏み込み量ACが大きくなるにしたがって指数PBR又はP
ACが大きくなるので、車体12のピッチ運動に対するカ
イフツク減衰係数CP が大きくなる、すなわち同ピッチ
運動が速く収束するように制御される。 車速SPが大きくなるにしたがって指数PSPが大きくな
るので、車体12のヒーブ運動に対するカイフツク減衰
係数CH が大きくなる、すなわち同ヒーブ運動が速く収
束するように制御される。 操舵速度dθf/dt、車速SP、ブレーキペダルの踏み込
み量BR又はアクセルペダルの踏み込み量ACが大きくなる
にしたがって指数PST、PSP、PBR又はPACが大きくな
るので、車体12のワープ運動に対するカイフツク減衰
係数CWが大きくなる、すなわち同ワープ運動が速く収
束するように制御される。
【0027】その結果、上記実施例のようなスカイフッ
ク理論に基づくショックアブソーバ20の減衰力の制御
によれば、車両の旋回操作、車両の加速及び減速などの
運転状態量に応じて、車体12のロール、ピッチ、ヒー
ブ、ワープなどの各運動に対する減衰特性が事前に制御
されて、車両の乗り心地が良好になる。また、この場
合、特に所定値C0 は「0」より大きな値に設定されて
いるので、車体12(ばね上部材1)が絶対空間におい
てほぼ静止していれば、すなわち速度VZ1,VZ2
Z3,VZ4が「0」の近傍の値であれば、実減衰係数C
10*,C20*,C30*,C40*(=C10・VZ10
Y10,C20・VZ20/VY20,C30・VZ30/VY30,C
40・VZ40/VY40)が常に所定値C0 未満になる。した
がって、この場合には、ショックアブソーバ20の減衰
力がソフトに保たれてソフト及びハード間の切り換えが
行われることがなくなるので、減衰力の切り換えによっ
て車両の乗り心地が悪化することもなくなる。さらに、
上記実施例によれば、ショックアブソーバ20の減衰力
をソフト又はハードの2段階のみに切り換えるようにし
たので、車体12の上方向の速度VZ1,VZ2,VZ3,V
Z4、車体12のロワーアーム11に対する相対速度
Y1,VY2,VY3,VY4の他、各種変数の精度が要求さ
れなくなり、加速度センサ41a〜41d、変位量セン
サ42a〜42dの他、各種センサの精度を高くする必
要がなくなると同時に、前記各種変数のための計算の精
度を高くする必要がなくなって、簡単な構成により前記
減衰力が制御されるようになる。
【0028】(第1変形例)次に、上記のように構成し
た実施例の変形例について説明すると、図16はこの変
形例に係る電気制御装置をブロック図により示してい
る。この変形例に係る電気制御装置においては、バンド
パスフィルタ53、最大値検出回路54及び路面指標発
生回路55が上記実施例に付加されている点と、上記実
施例の図2のステップ68〜70の処理を図12のステ
ップ81〜94の処理で置換したプログラムがマイクロ
コンピュータ51のROM51b内に記憶されている点
とが上記実施例と異なり、他の構成は同じである。
【0029】バンドパスフィルタ53、最大値検出回路
54及び路面指標発生回路55は、走行路面が悪路(舗
装のされてない石、轍等の多い道)であるか、良路(舗
装されている平坦な道)であるかを判定するもので、バ
ンドパスフィルタ53は加速度センサ41aに接続され
ている。このフィルタ53の中心周波数は、図9に示す
ように、約10Hz程度に設定されており、左前輪位置
の加速度センサ21aからの検出信号を入力して同検出
信号のうち約10Hz近辺の周波数成分のみを出力す
る。この場合、加速度センサ21aは路面の凹凸を代表
して検出する役目を果たすものである。日本国内では車
両走行中に前輪が後輪に比べて先に路面の影響を受ける
ために、本実施例においては左前輪位置の加速度センサ
21aをバンドパスフィルタ45に接続するようにした
が、他の車輪位置の加速度センサ21b〜21dをバン
ドパスフィルタ45に接続してもよい。
【0030】最大値検出回路54はバンドパスフィルタ
53の出力信号を入力して、図10に示すように、同入
力信号から所定時間ΔT内(10Hzの信号の1周期に
対応した約100ms程度)の信号をフレーム信号とし
て順次切り出すとともに、このフレーム信号の最大瞬時
値ZMAX を表す信号を時々刻々と出力するものである。
これにより、前記最大瞬時値ZMAX は前記約10Hz程
度の路面入力の振幅(信号レベル)に対応した値を表す
ことになり、最大値検出回路54は前記信号レベルを表
す信号を出力する。路面指標発生回路55は、図11に
示すような特性の変換テーブルを内蔵しており、最大値
検出回路54からの最大値ZMAX を表す信号を入力し
て、同信号を路面指標R(最大瞬時値ZMAX が大きくな
るにしたがって小さくなる)を表す信号に変換してマイ
クロコンピュータ51のI/O51eへ出力する。その
結果、この路面指標Rは、その値が小さいとき悪路を表
し、その値が大きいとき良路を表すことになる。
【0031】次に、上記構成の第1変形例の動作を説明
する。この場合には、上記実施例のステップ67(図
2)にて実減衰係数C10*,C20*,C30*,C40*が
計算された後、図12のステップ81〜94からなる処
理が実行される。この処理においては、ステップ81,
93,94の処理によって変数iを「1」から「4」ま
で「1」ずつ増加させながら、各輪(各ショックアブソ
ーバ)に対応した各実減衰係数C10*,C20*,C
30*,C40*毎にステップ82〜92の処理が実行され
る。なお、各輪(各ショックアブソーバ)及び各実減衰
係数C10*,C20*,C30*,C40*は、変数i(=1
〜4)によりそれぞれ指定される。
【0032】ステップ82においては変数iにより指定
される実減衰係数Ci0*が上記実施例の場合と同様な所
定値C0 と比較され、実減衰係数Ci0*が所定値C0
上であれば、前記ステップ82にて「YES」と判定さ
れ、ステップ83にて駆動電圧値Xi が「0」に設定さ
れる。また、実減衰係数Ci0*が所定値C0 より小さけ
れば、前記ステップ82にて「NO」と判定され、ステ
ップ83にて駆動電圧値Xi が所定値X0 に設定され
る。なお、前記「0」はショックアブソーバ20をハー
ド状態に設定するための上記実施例の電圧解除に対応
し、かつ所定値X0は同アブソーバをソフト状態に設定
するための上記実施例の電圧付与に対応する。
【0033】次に、ステップ85〜87の判定処理が実
行される。ステップ85の判定処理は、前記設定された
駆動電圧値Xi が前回設定された駆動電圧値Xi (図2
のステップ62〜67と図12のステップ81〜94と
からなる循環処理の一循環前の駆動電圧値Xi )に対し
て変化したか否か、すなわちショックアブソーバ20の
ハード状態とソフト状態との間の切り換えタイミングで
あるか否かを判定するものである。ステップ86の判定
処理は、前記駆動電圧値Xi の変化が「0」から所定値
0 への変化であるか否か、すなわちショックアブソー
バ20のハード状態からソフト状態への切り換えを示す
ものであるか否かを判定するものである。また、ステッ
プ87の判定処理は、路面指標発生回路55から入力し
た路面指標Rが予め決めた所定値R0 以上であるか否
か、すなわち走行路面が良路であるか否かを判定するも
のである。
【0034】いま、車両が良路を走行中、路面の小さな
突起、路面上の異物などによってばね上部材1のばね下
部材4に対する相対速度VYiが大きくなって、実減衰係
数Ci0*が所定値C0 より小さくなると、駆動電圧値X
i は「0」から所定値X0 へ変化するとともに、路面指
標Rは大きな値に保たれているので、前記各ステップ8
5〜87にて「YES」と判定され、ステップ88にて
遅延フラグDFGiが”1”に設定されるとともに、ステッ
プ89にて下記数7の演算の実行によって駆動電圧値X
i に一次遅れ演算が施される。
【数7】 なお、前記数7中、Tは所定の時定数であり、sはラプ
ラス演算子である。
【0035】このステップ89の演算処理後、ステップ
92にて前記演算の施された駆動電圧値Xi が変数iに
よって指定される駆動回路52a〜52dの一つに出力
される。前記指定された駆動回路52a〜52dはこの
駆動電圧値Xi に比例した電圧を対応する圧電アクチュ
エータ33a〜33dに印加する。そして、しばらくの
間は、ステップ82,84の処理によって駆動電圧値X
i は所定値X0 に保たれ続けるので、ステップ85にて
「NO」すなわち同電圧値Xi は変化していないと判定
され、ステップ90にて遅延フラグDFGiが”1”である
か否かが判定される。この場合、前記ステップ88の処
理により遅延フラグDFGiは”1”に設定されているの
で、ステップ90にて「YES」と判定され続けて、ス
テップ89にて前回の同ステップ89の演算処理に引き
続いて前記数7による一次遅れの演算処理が駆動電圧値
i に施される。これにより、前述のステップ82,8
4の処理によって「0」から所定値X0 に変化した駆動
電圧値Xi (図13(A)の実線参照)は、ステップ89
の一次遅れ演算処理により、時定数Tの遅れで「0」か
ら所定値X0に変化するもの(図13(A)の破線参照)
に変換される。
【0036】そして、前述のように、ステップ92の処
理によってこの変換された駆動電圧値Xi が駆動回路5
2a〜52dに出力されるとともに、駆動回路52a〜
52dがこれに比例した電圧を圧電アクチュエータ33
a〜33dに付与するので、駆動電圧値Xi の過渡的な
変化に対応して圧電アクチュエータ33a〜33dの応
答性が鈍くなる。その結果、良路を走行中、路面の小さ
な突起、路面上の異物により、ショックアブソーバ20
がハード状態からソフト状態に切り換えられる場合に
は、同切り換えの応答性が鈍くなるので、ショックアブ
ソーバ20がハード状態からソフト状態へ切り換える際
の高い周波数成分による乗員のショックが軽減されると
ともに、前記切り換えに伴うショックアブソーバ20に
おける異音の発生が防止される。
【0037】一方、前記ショックアブソーバ20のハー
ド状態からソフト状態への切り換え後、ばね上部材1の
ばね下部材4に対する相対速度VYiが小さくなって、実
減衰係数Ci0*が所定値C0 より大きくなると、ステッ
プ82にて「YES」と判定され、ステップ83にて駆
動電圧値Xi は所定値X0 から「0」へ変更される。そ
の結果、この場合には、ステップ85にて「YES」と
判定された後、ステップ86にて「NO」と判定され、
ステップ91にて遅延フラグDFGiが”0”に変更された
後、プログラムはステップ89の一次遅れ演算処理をバ
イパスしてステップ92へ直接進められる。また、駆動
電圧値Xi が「0」に保たれている場合でも、前記遅延
フラグDFGiの”0”への変更により、ステップ85,9
0にて共に「NO」と判定され、プログラムはステップ
92へ直接進められる。これにより、この場合には、所
定値X0 から「0」へステップ状に変化する駆動電圧値
i (図13(B)参照)が駆動回路52a〜52dへ出
力され、駆動回路52a〜52dは圧電アクチュエータ
33a〜33dに対する前記駆動電圧値Xi に比例した
電圧付与を応答性よく解除するので、ショックアブソー
バ20もソフト状態からハード状態へ応答性よく切り換
えられる。これは、ソフト状態からハード状態への切り
換えは、乗員にあまりショックを与えないと同時に、速
い応答性を必要とするためである。
【0038】また、凹凸の多い悪路を走行している場合
には、ステップ82〜84の処理より、駆動電圧値Xi
が所定値X0 から「0」へ、または「0」から所定値X
0 へ変更されても、路面指標Rが小さい値であるので、
ステップ87にて「NO」と判定されて、ステップ89
の一次遅れ演算処理は行われない。その結果、この場合
も、前述と同様に、ショックアブソーバ20のソフト状
態とハード状態との間の切り換えは応答性よく行われ
る。これは、悪路を走行中には、ショックアブソーバ2
0は頻繁にソフト状態とハード状態との間を切り換えら
れるので、この頻繁な切り換えに追従させるためであ
る。
【0039】(第2変形例)次に、上記第1変形例をさ
らに変形した第2変形例について説明する。この変形例
は、図12のステップ87,89の処理を図14のステ
ップ95,96の処理で置き換えるとともに、路面指標
Rに略比例して変化する時定数T(R)(図15参照)を
マイクロコンピュータ51のROM51b内のテーブル
に記憶しておくようにしたものである。
【0040】これによれば、駆動電圧値Xi が「0」か
ら所定値X0 に変化する場合、すなわちショックアブソ
ーバ20がハード状態らソフト状態へ切り換えられる場
合には、ステップ86における「YES」との判定の基
に、ステップ95,96の処理が必ず行われるようにな
る。この場合、ステップ95にて路面指標発生回路55
から入力した路面指標Rに基づいてROM51b内のテ
ーブルから 時定数T(R) が読み出され、ステップ96
にて下記数8の演算の実行により時定数を可変とする一
次遅れ演算が駆動電圧値Xi に施される。
【数8】
【0041】これにより、この第2変形例によれば、シ
ョックアブソーバ20がハード状態らソフト状態へ切り
換えられる場合、走行路面が凹凸の多い悪路であれば、
路面指標Rは小さく、時定数T(R)が小さいので、駆動
回路52a〜52dに供給される駆動電圧値Xi は応答
性よく「0」から所定値X0 に変化する。したがって、
この場合、駆動回路52a〜52dもステップ状に変化
する駆動電圧を圧電アクチュエータ33a〜33dに供
給するので、ショックアブソーバ20の切り換え応答性
は鋭くなる。一方、走行路面が良好になるにしたがっ
て、路面指標Rは大きくなって、時定数T(R)は大きく
なるので、前記駆動電圧値Xi は応答性鈍く「0」から
所定値X0 に変化するようになる。したがって、駆動回
路52a〜52dも立ち上がりの鈍い駆動電圧を圧電ア
クチュエータ33a〜33dに供給するので、ショック
アブソーバ20の切り換え応答性が鈍くなる。その結
果、この第2変形例においても、前記第1変形例の場合
と同じ効果が得られると同時に、悪路と良路との間の応
答性を連続的に変更制御できる。
【0042】(その他の変形例)上記実施例、第1及び
第2変形例においては、ショックアブソーバ20のバル
ブ開度を切り換えるアクチュエータとして圧電アクチュ
エータ33a〜33dを利用するようにしたが、この圧
電アクチュエータ33a〜33dの代わりに、電磁ソレ
ノイド又はステップモータを利用することもできる。電
磁ソレノイドを利用して、上記第1及び第2変形例のよ
うに、ショックアブソーバ20の状態切り換えの応答性
を変更する場合、上述した第1及び第2変形例の場合と
同様、電磁ソレノイドへ印可される励磁電圧をステップ
状に変化させたり、時定数をもって変化させたりすれば
よい。また、ステップモータを利用してショックアブソ
ーバ20の状態切り換えの応答性を変更する場合には、
ステップモータの回転制御に利用するパルス列信号のパ
ルス間隔を短くしたり、同パルス間隔を長くしたりすれ
ばよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示すショックアブソーバ
のための電気制御装置のブロック図である。
【図2】 図1のマイクロコンピュータにて実行される
プログラムのフローチャートである。
【図3】 (A)〜(D)はショックアブソーバの減衰係数
を算出するための車両の運転状態に対する各種指数の特
性図である。
【図4】 ばね上部材のばね下部材に対する相対速度の
変換特性図である。
【図5】 (A)はショックアブソーバの特性図であり、
(B)は同特性図に基づいて決めたショックアブソーバの
ソフト・ハード切り換え特性図である。
【図6】 ショックアブソーバの部分破断図である。
【図7】 同ショックアブソーバの一部の拡大断面図で
ある。
【図8】 前記実施例の第1及び第2変形例を示すショ
ックアブソーバのための電気制御装置のブロック図であ
る。
【図9】 図8のバンドパスフィルタの周波数特性図で
ある。
【図10】図8の最大値検出回路の作動を説明するため
の説明図である。
【図11】図8の路面指標発生回路における入出力変換
特性図である。
【図12】図8のマイクロコンピュータにて実行される
第1変形例に係るプログラムのフローチャートである。
【図13】ショックアブソーバの状態切り換えにおける
応答特性を説明するためのタイムチャートである。
【図14】図8のマイクロコンピュータにて実行される
第2変形例に係るプログラムのフローチャートである。
【図15】路面指標Rに対する時定数T(R)の変化特
性図である。
【図16】(A)は現実の車両のばね上部材の運動を説明
するための解説図であり、(B)はスカイフック理論に基
づき同ばね上部材の運動を説明するための解説図であ
る。
【符号の説明】
1…ばね上部材、2…スプリング、3…ショックアブソ
ーバ、4…ばね下部材、10…スプリング、11…ロワ
ーアーム、12…車体、20…ショックアブソーバ、3
3,33a〜33d…圧電アクチュエータ、41a〜4
1d…加速度センサ、42a〜42d…変位量センサ、
43…操舵角センサ、44…車速センサ、45…ブレー
キセンサ、46…アクセルセンサ、47a〜47d…積
分器、48a〜48d,49…微分器、51…マイクロ
コンピュータ、53…バンドパスフィルタ、54…最大
値検出回路、55…路面指標発生回路。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 車両のサスペンション装置内にてばね下
    部材とばね上部材との間に設けられて減衰力を大小2段
    階に切り換え可能なショックアブソーバを切り換え制御
    するための電気制御装置において、 前記ばね上部材の上下方向の絶対速度を検出する絶対速
    度検出手段と、 前記ばね上部材の前記ばね下部材に対する上下方向の相
    対速度を検出する相対速度検出手段と、 車両の運転状態を検出する運転状態検出手段と、 前記検出した車両の運転状態に応じて前記ばね上部材の
    運動に対する減衰係数を決定する減衰係数決定手段と、 前記絶対速度の前記相対速度に対する比に前記減衰係数
    を乗算した値を算出する演算手段と、 前記算出された値と零より大きな所定値とを比較して同
    算出された値と同所定値との大小関係に応じてショック
    アブソーバの減衰力の大小を切り換え制御する切り換え
    制御手段とを設けたことを特徴とするショックアブソー
    バのための電気制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0616912A1 (en) * 1993-03-22 1994-09-28 Unisia Jecs Corporation Apparatus and method for independently controlling damping force characteristic of vehicular shock absorber
JP2014196029A (ja) * 2013-03-29 2014-10-16 日立オートモティブシステムズ株式会社 サスペンション制御装置

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