JPH05243025A - 永久磁石材料およびその製造方法 - Google Patents

永久磁石材料およびその製造方法

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JPH05243025A
JPH05243025A JP4076315A JP7631592A JPH05243025A JP H05243025 A JPH05243025 A JP H05243025A JP 4076315 A JP4076315 A JP 4076315A JP 7631592 A JP7631592 A JP 7631592A JP H05243025 A JPH05243025 A JP H05243025A
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道也 久米
Yoshio Tanabe
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高価な希土類金属を使うことなく、また粉砕
工程等を経ることなく、大気中で化学的に安定な希土類
−遷移金属−ボロン永久磁石の材料およびその製造方法
を提供する。 【構成】 希土類酸化物粉末と、金属粉末と、含ホウ素
粉末と、粒状のCaとを均一に混合し、この混合物を不
活性ガス雰囲気中で、800℃から1200℃の範囲の
温度で加熱し、引き続いて窒素ガスあるいは窒素を含む
化合物のガス中で、200℃から800℃の範囲の温度
で加熱して窒化処理を行った後、反応生成物を水および
弱酸水溶液で処理することにより、一般式がLnX・M1
00-X-Y-Z・NY・BZ(ただし、Lnは希土類元素、Mは
Fe、Co、Ni、Xは3原子%<X<30原子%、Yは
0.01原子%<Y<15原子%、Zは1原子%<Z<1
5原子%の範囲)で表される永久磁石材料を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、永久磁石材料およびそ
の製造方法に係り、特に大気中で化学的に安定な希土類
−遷移金属−ボロン永久磁石材料とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】希土類−遷移金属−ボロン永久磁石は高
性能永久磁石として知られており、資源的な背景もあっ
てその用途はますます広がっている。一般に、この磁石
の製法は粉末冶金法をとるため、原料となる材料は合金
粉末状態で求められることが多い。合金粉末は、成分と
なる金属を溶融してインゴットにした後、粉砕する方法
が一般的である。また、合金粉末を得る他の方法とし
て、希土類酸化物をCa蒸気で還元して遷移金属および
ボロンと化合させるいわゆる還元拡散法、あるいは直接
還元法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような粉砕方式では、以下のような欠点がある。まず、
溶融する希土類金属は、希土類酸化物に比較して非常に
高価である。加えて、得られた合金粉末は、大気中での
化学的安定性が乏しく極めて短時間に錆やすい。従っ
て、製造工程は勿論、保管等においても不活性雰囲気中
にあることが要求されるため、多くの場合、表面処理を
必要とする。
【0004】また、還元拡散あるいは直接還元法による
と、直接合金粉末は得られるが、反応副生物であるCa
Oの除去のために、水洗工程が不可欠であり、ここで合
金粉末の酸化がおきやすい。水洗工程をできるだけ簡略
化するために、あらかじめCaCl2を加える技術も知
られているが、根本的に合金粉末の耐食性が改善される
ものではない。
【0005】そこで、本発明はこのような事情を鑑み成
されたもので、その目的とするところは、高価な希土類
金属を使うことなく、また粉砕工程等を経ることなく、
大気中で化学的に安定な希土類−遷移金属−ボロン永久
磁石の材料およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【発明を解決するための手段】鉄鋼、チタン等に化学的
安定性を付与するため、表面を窒化処理する技術が知ら
れている。この技術は母材の結晶格子を保ったまま窒素
原子を侵入させることにより、他の原子、特に酸素のア
タックを防ぐというというものである。
【0007】この知見に基づき、本発明者は、工業的に
実施可能なプロセスで永久磁石特性を損なわせることな
く、窒素を含有した化学的に安定な永久磁石材料を得る
ことに成功し、本発明を成すに至った。
【0008】即ち、本発明の永久磁石材料は、主相が正
方晶であって、その一般式がLnX・M100-X-Y-Z・NY
・BZ(ただし、Lnは希土類元素の中から選ばれた少
なくとも一種の元素であり、MはFe、CoおよびNi
の中から選ばれた少なくとも一種の元素であり、Xは3
原子%<X<30原子%の範囲にあり、Yは0.01原子
%<Y<15原子%の範囲にあり、Zは1原子%<Z<1
5原子%の範囲にある。)で表されることを特徴とする
ものである。またこの合金粉末の酸素量は3000pp
m以下であり、大気中に放置してもこれが増えることは
ない。
【0009】本発明の製造方法は、前記永久磁石材料を
得る方法であって、希土類酸化物粉末と、Fe、Coお
よびNiの中から選ばれた少なくとも一種の金属粉末
と、B、B23およびフェロボロンの中から選ばれた少
なくとも一種の含ホウ素粉末と、粒状のCaとを所定の
割合で均一に混合し、この混合物を不活性ガス雰囲気中
において800℃から1200℃の範囲の温度で加熱
し、引き続いて後窒素ガス雰囲気或いは窒素を含む化合
物のガス雰囲気中において200℃から800℃の範囲
の温度で数時間加熱し、その後、この反応生成物を水お
よび弱酸水溶液で処理することを特徴とするものであ
る。また、前記金属粉末の一部を30原子%までの範囲
にて金属酸化物粉末で混合し、前記不活性ガス雰囲気中
での加熱時に、この金属酸化物を自己発熱させてもよ
い。
【0010】本発明において希土類元素LnとはYを含
むと共に、軽希土類、重希土類を含む希土類元素のうち
の少なくとも一種をいい、即ち、Y、Nd、Pr、L
a、Ce、Tb、Dy、Ho、Er、Eu、Sm、G
d、Er、Tm、Yb、Luのうちの少なくとも一種で
あり、希土類酸化物粉末とは、これらの酸化物、複酸化
物、混合物をいう。
【0011】
【作用】以下本発明の製造方法を順に詳説し、その作用
を述べる。まず、目的とする永久磁石材料の組成に応じ
た割合で、希土類酸化物粉末とFe、Co、Ni等の金
属粉末と、B、B23、フェロボロン等の含ホウ素粉末
と、粒状のCaとを混合して混合粉とする。
【0012】金属粉末は、所望とする粉末合金の粒径の
40ないし60%程小さい粒径のものを使用することが
好ましい。また、所定量の金属粉末に対し30原子%ま
での範囲でFe23、Fe34、Co23、CoO、N
iO等、その金属の酸化物を混合してもよい。これらの
金属酸化物はCaにより還元されるときの反応熱によ
り、全体として均一な反応を行わしめることができ、外
部エネルギーを節約し、収率を向上させる作用がある。
つまり、金属粉の一部を30原子%までの範囲にて金属
酸化物を混合することにより、この金属酸化物の粉とC
a粉との反応、換言すると、金属酸化物の還元時の自己
発熱によって希土類酸化物とCa粉との還元反応を全体
として均一にすると共に、容易にすることができる。
【0013】粒状のCaは、希土類酸化物と、選択的に
混合する金属酸化物とを還元するに足りる量を混合する
ことが必要であるが、好適には、その粒状Caの混合量
は、希土類酸化物と、選択的に混合する金属酸化物と、
23(B23を混合した場合にのみ)中の総酸素原子
の当量に対し、1.5倍程度を混合することが望まし
い。
【0014】次に、このようにして得られた混合粉を真
空排気可能な加熱容器中に配置する。加熱容器内を真空
排気した後、不活性ガスを通じながら800℃から12
00℃の範囲内、望ましくは850℃から1100℃の
範囲内で数時間、好適には2時間程度加熱する。なお、
本発明において不活性ガスとはアルゴン、ネオン、ヘリ
ウム等の反応に関与しないガスをいう。
【0015】以上までの工程において、混合粉、すなわ
ち出発系にFe23等の金属酸化物を適量混合した場
合、昇温途中で自己発熱するため、前記したように効率
的に均一な反応を行わしめることができる。しかし、混
合した所定の金属粉末に対して30原子%以上相当の金
属酸化物が混合されていると、極めて大きな発熱により
爆発あるいは飛散が起きて好ましくない。
【0016】その次に、加熱を止め、引き続いて不活性
ガス中で250℃から800℃の範囲内、好ましくは3
00℃から600℃の範囲内の一定の温度まで冷却し
て、この温度で保持する。その後、加熱容器を再び真空
排気した後、窒素ガスを導入してその保持温度で窒化処
理を施す。ガスは窒素に限らず窒素原子を含むガス、例
えば、アンモニアでもよく、好ましくは大気圧以上の圧
力で窒素ガスを通じながら数時間、好適には3時間程度
加熱した後、加熱を停止し放冷する。
【0017】以上の工程において、Caによる還元拡散
あるいは直接還元反応後に、窒素ガス雰囲気或いは窒素
原子を含む化合物ガスの雰囲気での窒化処理を数時間行
うことにより、0.01原子%ないし15原子%の窒素
原子を合金粉末に均一に含有させることができる。
【0018】放冷後、得られた反応生成物をイオン交換
水に投入すると同時に、その反応生成物は直ちに崩壊
し、合金粉末とCa成分との分離が始まる。水中での撹
拌、静置、上澄み液の除去を数回繰り返し、最後に酢酸
等の弱酸で処理することにより、Ca成分の分離が完了
する。この処理により、粒度分布がシャープに揃うと共
に流動性を有する合金粉末を得ることができる。
【0019】本発明の製造方法において、窒化処理を水
洗工程に先立ち行うことにより、水洗工程および弱酸処
理工程においても、酸素成分が3000ppm以下の合
金粉末を得ることができ、最も好ましいことには、得ら
れた合金粉末を大気中に放置してもこの酸素量は増える
ことはない。
【0020】また、窒化処理を行わない場合、水洗工程
において、還元拡散あるいは直接還元反応の副生成物で
あるCaOは速やかに水と反応してCa(OH)2 にな
るが、未反応のCaは比較的緩慢に反応するので除去に
手間取り、ひいては純度の低下をもたらす原因になって
いたのに対し、本発明の如く窒化処理を行う場合、未反
応のCaの大部分がCaN等のカルシウム窒化物にな
り、このCaN等のカルシウム窒化物はCaOと同様に
速やかに水と反応するので、この除去には極めて好都合
である。
【0021】従来の溶解法で得られた母合金を粉砕し、
これを窒化することで、組成比だけを満足する合金を得
ることもできる。しかし溶解法では、冷却過程での希土
類金属の析出は避けられず、これを窒化することで希土
類の窒化物が包含された生成物となる。永久磁石特性は
主に、希土類ー遷移金属ーボロン三元系の正方晶による
ものであるから、この窒化物は、磁気特性に悪影響を及
ぼす。しかるに、本発明によれば主相を正方晶としたま
ま窒素を導入することが可能であり、生成物も粉末であ
って、工業的な有為性は非常に大きい。
【0022】以上のようにして得られた合金粉末は、窒
素が0.01原子%より多く15原子%より少ない範囲
で含まれている。窒化処理の時間を少なくすることによ
り、窒素の含有量を0.01原子%より減少させること
ができるが、0.01原子%より少ないと、大気中での
化学的安定性が得られず、また、15原子%より多い
と、希土類元素の窒化物が生成するため、大気中では、
化学的に不安定となって不都合を生じる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の具体例について従来と比較し
ながら説明する。 (実施例1)目的組成をNd15Fe75B10として原料粉
を調整した。平均粒径1μmのNd23粉37.00g
と、平均粒径30μmのFe粉61.41g、および平
均粒径0.1μmのB粉1.59gを混合し、さらに粒
状のCa19.84gを加えて充分に混合する。Caの
当量はNd23中の酸素原子の当量に対し1.5倍であ
る。混合物を軟鋼製の坩堝に入れ、加熱容器中にセット
する。加熱容器内を1×10-2トル(Torr)以下まで真
空排気した後、アルゴンガスを導入し、大気圧で流通さ
せる。
【0024】加熱容器を加熱し850℃になったらこの
状態で2時間保持し続け、以後アルゴンガスを流通させ
たままま冷却していく。500℃になったらこの温度に
保持を開始し、アルゴンガスの流通を止めて直ちに加熱
容器内を真空排気する。加熱容器内を1×10-2トル
(Torr )以下まで真空排気した後、排気を止め、窒素ガ
スを導入し、大気圧で窒素ガスが流通するようにし、そ
の後、3時間の熱処理を行ってから加熱を止めて放冷す
る。
【0025】得られた反応生成物は多孔質のブロック状
であって容易に坩堝から取り出すことができ、反応生成
物を3000ccのイオン交換水中に投入すると、直ち
に崩壊する。この時、反応生成物中のCaOと、ほとん
どがCaN等のカルシウムの窒化物である未反応のCa
とが微細なCa(OH)2 に変わる。このスラリーを1
0分間撹拌した後、10分間静置し、微細なCa(O
H)2 が浮遊している上澄み液を捨てる。ここで再度3
000ccのイオン交換水を加えて先と同様な操作を行
う。数回、この操作を繰り返した後、当初pH4.5に
調整された酢酸水溶液中で15分間撹拌、静置して上澄
み液を捨てる。この後再度水洗いを数回行ってCa分の
除去が完了する。最後に、Ca分を除去した合金粉末を
ヌッチェにてアルコール置換しながら水と分離し、分離
したケーキを80℃で真空乾燥し、これにより、Nd−
Fe−N−B合金粉末を得る。
【0026】こうして得られた合金粉末は90.37g
で、ほぼ球形に近い形を有して粒径を約50μmとする
流動性の良い黒色粉末であった。化学分析値は Nd 27.4 % Fe 70.0 % N 2.14% B 1.5 % Ca 0.08% O 1700ppm(0.17%) であった。得られた合金のNd、Fe、Bに注目すれば
一般式を、Nd14.9Fe75.8B9.3とするものであり、
目的組成にほぼ合致した。また、出発原料の金属分に基
づく収率は92.3%であった。合金粉末は良好な耐食
性を有し、1カ月大気中に放置しても酸素量の増大は見
られなかった。また圧粉体試料の磁化曲線から求めた異
方性磁界Haは、9.8Tであった。キュリー点は、1
5kOeの外部磁界中での磁化の温度特性から求めた結
果、450℃であった。
【0027】次に以下の手順で焼結永久磁石を製作し
た。まず合金粉末を振動ミルで平均粒径3μmまで粉砕
する。次に、15kOeの磁界中で配向したのち、磁界
方向と垂直に2t/cm2でプレス成形して、10×10
×10mmの試料を得た。これを1100℃、1時間、
Ar中の条件で焼結し、その後急冷した。この試料をパ
ルス磁界で着磁し、VSMで磁気特性を測定した。その
結果、 保磁力Hc 13.5kOe 残留磁束密度Br 12.3kG (BH)max 34.5MGOe キュリー点 320℃ という、優れた磁気特性を有する永久磁石が得られた。
また焼結体を粉砕し、窒素濃度を分析すると0.01%
以下であった。すなわち、粉末中に2.14%含まれて
いた窒素は焼結時に揮発して、焼結体内にはほとんど残
留しなかった。
【0028】(比較例1)実施例1と同じくNd15Fe
75B10なる組成比の合金を得るに際し、各々の金属を高
周波溶解し、水冷銅鋳型に鋳造する。この鋳塊をジョー
クラッシャーおよびブラウンミルで50μmまで粉砕し
た。この粉末は粉砕途中から赤く錆びはじめ、1カ月大
気中に放置すると、酸素量は35000ppm(3.5
%)にも達した。従ってこの粉末は、焼結体製造はもち
ろん、保管等においても、きわめて厳重に雰囲気の酸素
濃度を管理する必要がある。
【0029】(実施例2)目的組成をPr15Fe75B10
として原料粉を調整した。平均粒径1μmのPr 611
粉 37.28gと平均粒径30μmのFe粉61.1
4g、および平均粒径0.1μmのB粉1.58gを混
合し、さらに粒状のCa19.99gを加えて充分に混
合する。Caの当量はPr611中の酸素原子の当量に
対し1.5倍である。後は、実施例1と全く同じ操作を
施してPr−Fe−N−B合金を製作した。
【0030】こうして得られた合金粉末は90.37g
で、ほぼ球形に近い形を有して粒径を約50μmとする
流動性の良い黒色粉末であった。化学分析値は Pr 31.9 % Fe 64.1 % N 2.31% B 1.5 % Ca 0.07% O 1800ppm(0.18%) であった。すなわち、得られた合金はPr、Fe、Bに
注目すると、一般式をPr14.7Fe76.1B9.2とするも
のであり、目的組成にほぼ合致した。また、出発原料の
金属分に基づく収率は94.4%であった。合金粉末は
良好な耐食性を有し、1カ月大気中に放置しても酸素量
の増大は見られなかった。また圧粉体試料の磁化曲線か
ら求めた異方性磁界Haは、8.6Tであった。キュリ
ー点は、15kOeの外部磁界中での磁化の温度特性か
ら求めた結果、480℃であった。
【0031】次に実施例1と同様に、焼結永久磁石を製
作し、 保磁力Hc 14.2kOe 残留磁束密度Br 12.0kG (BH)max 35.7MGOe キュリー点 330℃ という、優れた磁気特性を有する永久磁石が得られた。
また焼結体を粉砕し、窒素濃度を分析すると0.01%
以下であった。すなわち、粉末中に2.31%含まれて
いた窒素は焼結時に揮発して、焼結体内にはほとんど残
留しない。
【0032】(比較例2)実施例2と同じくPr15Fe
75B10なる組成比の合金を得るに際し、各々の金属をア
ーク溶解することで調整した。このボタンをジョークラ
ッシャーおよびブラウンミルで50μmまで粉砕した。
この粉末は粉砕途中から赤く錆びはじめ、1カ月大気中
に放置すると、酸素量は32000ppm(3.2%)
にも達した。従ってこの粉末は、焼結体製造はもちろ
ん、保管等においても、きわめて厳重に雰囲気の酸素濃
度を管理する必要がある。
【0033】(実施例3)目的組成を実施例1と同じN
d15Fe75B10として、以下の原料粉を調整した。平均
粒径1μmのNd23粉37.00gと平均粒径30μ
mのFe粉58.34g、平均粒径0.1μmのFe2
3粉4.39gと、平均粒径0.1μmのB粉1.5
9gを混合し、さらに粒状のCa24.8gを加えて充
分に混合する。ここでは系内のFe原子の内、Fe23
に基づくものは5原子%である。Caの当量はNd23
とFe23中の酸素原子の当量に対し1.5倍である。
後は実施例1と全く同様の操作を施して合金を製作した
が、初期の昇温中520℃から、Fe23の還元に伴う
急激な発熱により系全体の温度は瞬間的に890℃に達
する。
【0034】こうして得られた合金粉末は92.38g
で、ほぼ球形に近い形を有して粒径を約50μmとする
流動性の良い黒色粉末であった。化学分析値は Nd 32.2 % Fe 63.9 % N 2.11% B 1.5 % Ca 0.09% O 2400ppm(0.24%) であった。すなわち、得られた合金は一般式を、Nd1
4.8Fe76.0B8.8とするものであり、目的組成にほぼ合
致した。また、出発原料の金属分に基づく収率は95.
2%であった。この結果からFe23の還元に伴う急激
な発熱効果により、収率の向上と投入エネルギーの低減
が期待できることがわかる。合金粉末は良好な耐食性を
有し、1カ月大気中に放置しても酸素量の増大は見られ
なかった。また圧粉体試料の磁化曲線から求めた異方性
磁界Haは、9.7Tであった。キュリー点は、15k
Oeの外部磁界中での磁化の温度特性から求めた結果、
450℃であった。
【0035】次に実施例1と同様に、焼結永久磁石を製
作し、 保磁力Hc 13.7kOe 残留磁束密度Br 12.9kG (BH)max 34.6MGOe キュリー点 320℃ という、優れた磁気特性を有する永久磁石が得られた。
また焼結体を粉砕し、窒素濃度を分析すると0.01%
以下であった。すなわち、粉末中に2.11%含まれて
いた窒素は焼結時に揮発して、焼結体内にはほとんど残
留しない。
【0036】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の永久磁石材
料は窒素を含んでいるが、これが磁気特性に悪影響を及
ぼすことはない。粉末の磁気特性は、保磁力、残留磁束
密度、温度特性などは、窒素を含まないものと比べて、
同等もしくはそれ以上の特性を有する。また、この永久
磁石材料を焼結する場合、800℃以上で窒素は揮発す
るので、通常の焼結操作を施した場合、焼結体中に窒素
は残留しない。従って、窒素を含まない材料を焼結した
場合と同等もしくはそれ以上の磁気特性を有する永久磁
石を得ることができる。
【0037】また本発明の製造方法によると、窒化処理
を行っているために、その後の水および弱酸水溶液処理
は勿論、大気中に露出しておいても合金粉末の酸素量が
増大しない化学的に安定な永久磁石材料を得ることがで
きる。また窒素を侵入させることで、肝心の永久磁石特
性も損なわれることなく、その操作も、工業的に実施可
能なプロセスである。しかも、反応生成物を移動させる
ことなく、1つの反応容器内で反応雰囲気および反応温
度を変えることにより、還元拡散あるいは直接還元反応
および窒化処理を行うことができる。
【0038】このように、本発明により、高価な希土類
金属を原料として使うことなく、希土類金属より安価で
ある希土類酸化物を原料とすることができ、また粉砕工
程等を経ることなく、大気中で化学的に安定な、希土類
−遷移金属−ボロン永久磁石の材料を提供することがで
きる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主相が正方晶であって、その一般式がL
    nX・M100-X-Y-Z・NY・BZ(ただし、Lnは希土類元
    素の中から選ばれた少なくとも一種の元素であり、Mは
    Fe、CoおよびNiの中から選ばれた少なくとも一種
    の元素であり、Xは3原子%<X<30原子%の範囲にあ
    り、Yは0.01原子%<Y<15原子%の範囲にあり、
    Zは1原子%<Z<15原子%の範囲にある。)で表され
    ることを特徴とする永久磁石材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の永久磁石材料の製造方法
    であって、希土類酸化物粉末と、Fe、CoおよびNi
    の中から選ばれた少なくとも一種の金属粉末と、B、B
    23およびフェロボロンの中から選ばれた少なくとも一
    種の含ホウ素粉末と、粒状のCaとを目的組成に応じた
    割合で均一に混合し、この混合物を不活性ガス雰囲気中
    で、800℃から1200℃の範囲の温度で加熱し、引
    き続いて窒素ガスあるいは窒素を含む化合物のガス中
    で、200℃から800℃の範囲の温度で加熱した後、
    反応生成物を水および弱酸水溶液で処理することを特徴
    とする永久磁石材料の製造方法。
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