JPH05242451A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH05242451A
JPH05242451A JP4076375A JP7637592A JPH05242451A JP H05242451 A JPH05242451 A JP H05242451A JP 4076375 A JP4076375 A JP 4076375A JP 7637592 A JP7637592 A JP 7637592A JP H05242451 A JPH05242451 A JP H05242451A
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JP
Japan
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magnetic layer
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Pending
Application number
JP4076375A
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English (en)
Inventor
Kenji Tokui
健二 徳井
Yoshiteru Matsubayashi
芳輝 松林
Masashi Yoshikawa
正志 吉川
Junji Oshita
順二 尾下
Yuji Ohata
裕司 大畠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Publication date
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Priority to JP4076375A priority Critical patent/JPH05242451A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的強度が高く、電磁変換特性と走行性の
優れた、薄手の磁気記録媒体を作成する。 【構成】 板状粉を含有し面内に磁化容易軸を有する下
地層を備え、この下地層の上に針状粉を含有し長手方向
に配向した磁性層を備えている磁気記録媒体である。こ
の下地層のヤング率が長手方向、幅方向共に、2.0×
1010N/m以上であり、下地層の保磁力Hcsが
1.5×10A/m<Hcs<8.0×10A/m
であるか、または、磁性層の保磁力Hcjよりも低くな
るようにする。また、ヤング率を2.0×1010N/
以上にし、Hcj>Hcsにして、塗膜の抵抗率と
磁気記録媒体の白色光に対する光透過率とを限定する。
更に、磁性層の磁性材料を限定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビデオテープなどの磁
気記録媒体、特にフィルム状支持体に磁荷を有する下地
層を塗布し、この下地層の上に磁性層を塗布した塗布型
磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】フィルム状の支持体上に磁性層を設けた
テープ状磁気記録媒体について、いくつかのフォーマッ
トが定められており、それに準じて、音声、画像、デー
タ等が記録されている。これらのフォーマットによる磁
気記録媒体に対しては、高いS/N比、高記録密度、高
出力、媒体のロングプレイ化等の様々な要求がある。ま
た、将来提案されるであろうフォーマットについては、
更に高度の要求が生じると思われ、磁気記録媒体はこれ
らの要求に対応する必要がある。
【0003】高いS/N比、高記録密度、高出力等の高
い電磁変換特性を実現する手段として、従来から静磁気
特性の向上と磁性層の表面の平滑化を行ってきた。静磁
気特性を向上させる為には、磁性粉自体を改善すること
と、磁性層中の磁性粉の充填密度を上げることで可能と
なる。媒体のロングプレイ化については、媒体の厚みを
薄くし、媒体の単位体積当たりの磁性層の面積を大きく
することが通常行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、磁性粉自体の
磁気特性は限界に近付いており、これ以上の大幅な改善
は望めない。また、磁性層中の磁性粉の充填密度を上げ
ることは、磁性層の耐久性を著しく低下させることにな
り、媒体としての実使用を考慮した場合、有効な手段で
はない。更に磁性層表面の平滑化は、走行特性を著しく
劣化させるので、媒体としての実使用を考慮した場合、
有効な手段ではない。
【0005】媒体のロングプレイ化の為に媒体の厚みを
薄くすることは、媒体の機械的強度を著しく劣化させ、
ヘッドと磁性層表面との接触性の劣化、走行特性の悪
化、耐久性の低下をもたらす。これらの点を改善する手
段として、機械的強度に優れた下地層を設けることや、
支持体の機械的強度を上げる等の手段が提案されている
が、要求を満足するものはない。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した問題点を解決す
るために、以下に示す磁気記録媒体を提供する。
【0007】フィルム状支持体の上に、板状粉を含有し
面内に磁化容易軸を有する下地層を塗布し、この下地層
の上に、針状粉を含有し前記フィルム状支持体の長手方
向に配向した磁性層を塗布してなる塗布型磁気記録媒体
において、前記下地層のヤング率及び保磁力を限定する
磁気記録媒体、磁性層の塗膜の抵抗率及び磁気記録媒体
の白色光に対する光透過率を限定する磁気記録媒体、磁
性層の磁性体の材料を限定する前記磁気記録媒体、そし
て、針状粉よりなる長手方向に配向した磁性層の代わり
に、垂直方向に磁化容易軸を有する六角板状粉よりなる
層を設ける磁気記録媒体を提供する。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。磁
気記録媒体のロングプレイ化を実現する場合、磁気記録
媒体の厚さを薄くすることが一般的であるが、この場
合、磁気記録媒体の機械的強度は著しく低下し、磁気記
録媒体の耐久性が劣化するだけではなく、ヘッドとテー
プとの接触性も悪化し、電磁変換特性は大きく悪化す
る。
【0009】実施例1について説明する。本発明の実施
例1では、板状粉を含有した層を下地層に設けることに
より、磁気記録媒体の機械的強度をテープの長手方向の
みならず幅方向についても改善することができる。この
ように機械的強度を上げることにより、磁気記録媒体の
耐久性、ヘッドと媒体との接触性について改善でき、電
磁変換特性を良好にすることができる。
【0010】磁気記録媒体の機械的強度が上がると薄手
化することが可能になる。また、面内に磁化容易軸を有
する板状粉を使用することで、深層まで記録される周波
数成分の信号の電磁変換特性を改善することができる。
【0011】磁気記録媒体の下地層の保磁力Hcsは検
討の結果、1.5×10A/m<Hcs<8.0×1
A/mで良好な電磁変換特性を得ることができ。下
地層のヤング率がテープの長手方向、幅方向、共に2.
0×1010N/m以上であるとき媒体の耐久性及び
ヘッドとテープの接触性の向上が見られた。
【0012】以下、更に具体的に説明する。実施例1の
磁性層塗料、下地層塗料はそれぞれ表1に示すような組
成をしており、比較例1〜5はそれぞれ、表2〜6に示
す組成をしている。このような下地層塗料を厚さ10μ
mのPETフィルムに塗布し、この下地層の上に磁性層
塗料を塗布する。そして、バックコート層塗布、乾燥、
鏡面処理、硬化の後、1/2インチ幅にスリットし、V
HS(日本ビクター(株)登録商標)方式のビデオテー
プで評価した。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】
【表4】
【0017】
【表5】
【0018】
【表6】
【0019】バックコート層は、厚さ0.5μmだけ設
け、磁気記録媒体の全厚が13.5μmになるようにし
た。表7は本実施例の条件と評価を示したもので、条件
1は実施例1及び比較例1〜5の磁気記録媒体の下地層
のヤング率が長手方向、幅方向共に2.0×1010
/m以上であるかどうかを示したもので、条件を満た
しているものは○を記してあり、条件を満たさないもの
については×が記してある。条件2は磁気記録媒体の下
地層の保磁力Hcsが1.5×10A/m<Hcs<
8.0×10A/mであるかどうかを示したもので、
条件を満たしているものは○を記してあり、条件を満た
さないものについては×が記してある。
【0020】
【表7】
【0021】評価は、C−S/Nと、ヘッド当たりと、
走行性と、機械的強度の評価を行なった。ヘッド当たり
の評価は再生出力のエンベロープを目視により判断し
た。走行性の評価はVHSデッキにより100パス後の
動摩擦係数μkとエッヂダメージから判断した。また、
機械的強度の代用特性としてスティフネスを測定した。
なお、良好なものには◎、やや良好なものには○、やや
悪いものには△、悪いものには×を記してある。
【0022】実施例1は条件を2つとも満たしており、
全般に亙って良好な結果を示している。比較例1は、条
件1を満たしていない上、下地層をもたないので、磁気
記録媒体の機械的強度、C−S/Nが劣り、良好な結果
が得られなかった。比較例2は条件1を満たしている
が、下地層の保磁力が低いので、電磁変換特性が劣る結
果となった。逆に、比較例3は、下地層の保磁力が範囲
外で電磁変換特性が劣る結果となった。比較例4は条件
1を満たしているが、下地層に磁荷をもたないので電磁
変換特性がやや劣り、走行性も劣る結果となった。比較
例5は条件を2つとも満たしているが、下地層に針状粉
の炭化鉄を使用した為、磁気記録媒体の機械的強度が劣
る。
【0023】次に実施例2について説明する。磁性層の
厚みを薄くすることは深層まで記録される低い周波数帯
域の出力の低下を招き、更に光透過率の上昇につなが
る。これは、例えば、VHS方式のビデオテープ等、磁
気記録媒体の遮光性を利用しているフォーマットでは、
遮光性を高める為、バックコート層の付与を余儀無くさ
せる。しかし、バックコート層を設けることは生産性の
著しい低下を招く。また、媒体の薄手化による機械的強
度の劣化を防ぐ手段としては、高剛性の下地層を設ける
手段が提案されているが、要求を満足するものは無かっ
た。
【0024】本実施例の下地層も板状粉を含有している
為、磁気記録媒体の機械的強度は、テープの長手方向の
みならず、幅方向についても改善できる。このように機
械的強度を上げることにより、媒体の耐久性、ヘッドと
媒体との接触性を改善し、電磁変換特性をも良好にす
る。
【0025】磁気記録媒体の薄手化に関しては、機械的
強度の低下、磁荷量の低下に伴う出力の低下を起こす。
またリングヘッドによって記録、再生を行なう磁気記録
媒体に保磁力の低い下地層を設けると、再生出力が向上
することが知られている。
【0026】本実施例の板状粉は、磁荷を有しているの
で、再生出力を向上させることができる。前述した板状
粉は、形状が板状であり、磁化容易軸が面内にあるもの
ならば、その中から用途に応じて選択するものであり、
材質、粒径等をここで限定するものではないが、磁性層
の保磁力Hcjと下地層の保磁力Hcsとの関係がHc
j>Hcsであることが必要である。また、下地層のヤ
ング率がテープの長手方向、幅方向共に2.0×10
10N/m以上であるとき、媒体の耐久性及びヘッド
とテープとの接触性の向上がみられた。
【0027】磁気記録媒体を製造する上で、バックコー
ト層を設けることは、生産性を著しく低下させるもので
あり、生産性を高めようとした場合、バックコート層を
設けない方が望ましい。また磁性層の薄手化を図る上で
も同様である。しかし、バックコ−ト層を設けずVHS
方式のビデオテープ等に用いる場合、光透過率を低くす
ることが容易ではない。
【0028】これらの点を含め、光透過率の条件を満た
し、走行性を良好なものにする為に、鋭意検討を行なっ
た結果、白色光に対する光透過率を0.8%以下とし、
磁性層表面の抵抗率を3.0×10−12Ω・mm以下
とすることで、走行性及び、光透過率に対する要求を満
足し、その手段として、磁性層に用いる磁性粉をマグネ
タイトにする方法がある。
【0029】以下、更に具体的に説明する。実施例2の
磁性層塗料、下地層塗料はそれぞれ表8に示すような組
成をしており、このような組成をしている下地層塗料を
厚さ10μmのPETフィルムに塗布し、この下地層の
上に、磁性層塗料を塗布した後、この磁気記録媒体を1
/2インチ幅にスリットし、VHS方式のビデオテープ
とした。比較例6〜8はそれぞれ、下地層の塗料組成の
中で、ポリビニルブチラールとポリウレタン樹脂の重量
比を変更することによってヤング率を変え、表9に示す
ように4つの異なるヤング率をもつ磁気記録媒体を得
た。これらの磁気記録媒体をヘッド当たり、耐久性につ
いて評価した。なお、良好なものには○、やや悪いもの
には△、悪いものには×を記してある。
【0030】
【表8】
【0031】
【表9】
【0032】実施例2及び比較例6は良好なヘッド当た
り、耐久性をもち、その結果、下地層のヤング率はほぼ
2.0×1010N/m以上必要であることがわか
る。
【0033】次に、本実施例のその他の条件について説
明する。比較例9〜12はそれぞれ表10〜13に示す
組成をしており、これらの下地層塗料及び磁性層塗料を
実施例2と同様に,VHS方式テープとして評価した。
表14は本実施例の条件と評価を示したもので、条件1
は磁性層の保磁力Hcjと下地層の保磁力Hcsの関係
がHcj>Hcsであるかどうかを調べたもので、条件
2は磁性層表面の抵抗率が3.0×10−12Ω・mm
以下であるかどうかを示したもので、条件3は磁気記録
媒体の光透過率が0.8%以下であるかどうかを示した
ものである。条件を満たしているものは○、満たしてい
ないものは×を記してある。
【0034】
【表10】
【0035】
【表11】
【0036】
【表12】
【0037】
【表13】
【0038】
【表14】
【0039】評価はVHS方式のビデオデッキにより、
輝度信号によるS/NであるY−S/N、クロマ信号に
よるS/NであるC−S/N、再生出力のエンベロープ
写真により判断したヘッド当たり、及びビデオデッキに
よって多数回走行させた後のテープのダメージを目視に
より観察したテープの耐久性に基づいている。
【0040】表14によると、実施例2は条件を全て満
たしている為、全般に亙って良好な結果を示している。
比較例9は下地層の保磁力Hcsが磁性層の保磁力Hc
jよりも大きくなっており、下地層の磁荷が十分活かさ
れず、電磁変換特性がやや劣っている。比較例10及び
比較例12は下地層がない為、テープの強度が大きく低
下しており、ヘッド当たり、テープの耐久性が劣る。比
較例11は、抵抗率、光透過率の条件である条件2及び
3を満たしていないので、磁性層の電気伝導性、遮光性
が不十分である。なお、良好なものには○、悪いものに
は×を記してある。
【0041】次に実施例3及び実施例4について説明す
る。本実施例の下地層は、板状粉を含有しているので、
磁気記録媒体の機械的強度がテープの長手方向のみなら
ず、テープの幅方向についても改善されるものである。
【0042】磁気記録媒体の耐久性及びヘッドとテープ
の接触性については、テープの長手方向と幅方向の機械
的強度を上げることにより、著しい改善を図ることがで
きることが知られており、ゆえに本実施例の下地層を設
けることにより、磁気記録媒体の耐久性及びヘッドとテ
ープとの接触性を大きく改善することができ、電磁変換
特性を良好にすることができる。磁気記録媒体の薄手化
に関しては、機械的強度の低下と共に、磁荷量の低下に
伴う低域の出力の低下につながる。また、リングヘッド
によって、記録、再生を行なう磁気記録媒体では、下地
層に保磁力の低い層を設けると再生出力が向上すること
が知られている。
【0043】前記板状粉は、形状が板状であり、磁化容
易軸が面内にあるものならば、その中から用途に応じて
選択するものであり、材質、粒径等をここで限定するも
のではないが、下地層の保磁力については、磁性層の保
磁力より低い値であるとき、再生出力の向上がみられ
た。そこで、磁性層の保磁力Hcjと下地層の保磁力H
csとの関係がHcj>Hcsである必要がある。ま
た、下地層のヤング率がテープの長手方向、幅方向共に
2.0×1010N/m以上であることが必要であ
る。
【0044】以下、更に具体的に説明する。実施例3及
び実施例4の磁性層塗料、下地層塗料はそれぞれ表15
及び表16に示すような組成をしており、比較例13〜
15はそれぞれ表17〜表19に示す組成をしている。
このような下地層塗料を、厚さ0.5μmのバックコー
ト層を設けた厚さ6μmのPETフィルムに塗布した
後、これらの磁気記録媒体を0.150インチ幅にスリ
ットし、DAT方式(株式会社日立製作所登録商標)用
テープとして評価した。
【0045】
【表15】
【0046】
【表16】
【0047】
【表17】
【0048】
【表18】
【0049】
【表19】
【0050】表20は本実施例の条件と、評価を示した
もので、条件1は、ヤング率が2.0×1010N/m
以上であるかどうかを示したもので、条件2は磁性層
の保磁力Hcjと下地層の保磁力Hcsとの関係が、H
cj>Hcsであるかどうかを示したものである。
【0051】
【表20】
【0052】評価は、DAT方式デッキによって、RF
出力、再生出力のエンベロープ写真によるヘッド当た
り、及びDAT方式デッキにより多数回走行させた後の
テープダメージを目視により観察したテープの耐久性に
基づいている。なお、良好なものには○、やや悪いもの
には△、悪いものには×を記してある。
【0053】表20によると、実施例3及び実施例4は
下地層の磁性材料が異なるだけで、条件は全て満たして
いるので、全般に亙って良好な結果が出ている。比較例
13は磁性層の保磁力Hcjと下地層の保磁力Hcsが
等しく条件2を満たしていない。その為、下地層の磁荷
が十分活かされておらず、RF出力がやや劣っている。
比較例11は下地層に磁荷がないので、RF出力が劣っ
ている。比較例15は下地層がなく、条件を満たしてい
ないので、RF出力はやや劣り、テープの機械的強度は
大きく低下し、ヘッド当たり、耐久性が劣っている。
【0054】次に、実施例5について説明する。本実施
例の下地層は板状粉を含有しているので、磁気記録媒体
の機械的強度はテープの長手方向のみならず、幅方向に
ついても改善されるものである。磁気記録媒体の耐久性
及びヘッドとテープとの接触性については、テープの長
手方向と幅方向の機械的強度を上げることにより、著し
い改善が可能になることが知られており、本実施例の下
地層を設けることは、磁気記録媒体の耐久性及びヘッド
とテープとの接触性を大きく改善することにつながり、
電磁変換特性を良好なものにすることができる。
【0055】磁気記録媒体の薄手化に関しては、機械的
強度の低下と共に、磁荷量の低下に伴う低域の出力の低
下につながる。また、リングヘッドにて、記録、再生を
行なう磁気記録媒体は、下地層として保磁力の低い層を
設けると再生出力が向上することが知られている。
【0056】前記板状粉は形状が板状であり、磁化容易
軸が面内にあるものならば、その中から用途に応じて選
択するものであり、材質、粒径等をここで限定するもの
ではないが、磁性層の保磁力Hcjと下地層の保磁力H
csとの関係が、Hcj>Hcsであるとき、再生出力
の向上がみられた。ゆえに、磁性層の保磁力が下地層の
保磁力より大きくなる必要がある。
【0057】六角板状粉であるBa−Fe磁性体は垂直
磁気記録を行なうことにより、高密度の磁気記録ができ
ることが知られている。また、Ba−Fe磁性体を使用
する上で起こる欠点、絶対的な出力レベルが低く、特に
本発明で求めている薄手の磁気記録媒体では、ヘッドと
テープの磁性層表面との接触性に問題がでることが多く
なる点があるが、本実施例の構成をすることで、補うこ
とができる。
【0058】以下、更に具体的に説明する。磁性層を形
成する磁性塗料としてBa−Fe磁性体を用いて、表2
1に示す実施例5を得た。比較例16は表22に示すよ
うに磁性層にBa−Fe磁性体を使用し、下地層塗料を
もたないもの。比較例17は表23に示すように、磁性
層にBa−Fe磁性体に代えてCo−γFeを使
用したもので、比較例18は表24に示すように磁性層
にCo−γFeを使用し、下地層を持たないもの
である。
【0059】
【表21】
【0060】
【表22】
【0061】
【表23】
【0062】
【表24】
【0063】このような組成をもつ下地層塗料を厚さ1
0μmのPETフィルムに塗布し、この下地層の上に磁
性層塗料を塗布した後、これらの磁気記録媒体を1/2
インチ幅にスリットし、VHS方式のビデオテープにて
評価した。
【0064】図1は本実施例及び比較例の磁気記録媒体
を1/2インチ幅にスリットし、VHS方式ビデオデッ
キを改造した評価装置にて測定した周波数特性である。
また、表25は、本実施例と比較例とを評価したもの
で、再生出力のエンベロープ写真により、テープとヘッ
ドとの接触性を評価し、ビデオデッキで多数回走行させ
た後のテープのダメージを目視により観察し、テープの
耐久性として評価した。なお、良好なものには○、やや
悪いものには△、悪いものには×を記してある。
【0065】
【表25】
【0066】実施例5及び比較例17は磁荷のある下地
層塗料を使用している為、中低域の周波数特性が、3〜
5dB、高域については、1〜3dB程度の出力増加が
確認できる。特に磁性粉にBa−Fe磁性体を用いた実
施例5は、磁荷のある下地層により、大きく出力増加し
ている。これは、比較例16が薄手テープであり、ヘッ
ドとの接触性が低下するが、Ba−Fe磁性体磁性体は
元来出力レベルが低い為、下地層の効果がより大きくで
るからであると考えられる。また、どちらの磁性塗料で
も、ヘッド当たりと耐久性の面で大きな改善が確認でき
た。
【0067】
【発明の効果】フィルム状支持体の上に板状粉を含有
し、面内に磁化容易軸を有する下地層を塗布し、この下
地層の上に針状粉を含有し、前記フィルム状支持体の長
手方向に配向した磁性層とを塗布してなる塗布型磁気記
録媒体において、下地層のヤング率を限定し、下地層の
保磁力を限定することによって、磁気記録媒体の機械的
強度が上がり、電磁変換特性と走行性の優れた磁気記録
媒体を得ると共に、薄手の磁気記録媒体を作成すること
ができる。
【0068】また、磁性層の保磁力を下地層の保磁力よ
り大きくし、下地層のヤング率と、磁性層の塗膜の抵抗
率と、磁気記録媒体の白色光に対する光透過率を限定す
ることによって薄手でバックコート層を必要としない磁
気記録媒体を作成することができる。更に、磁性層の保
磁力を下地層の保磁力より大きくし、下地層のヤング率
を限定し、磁性層に使用する磁性体をメタル粉とするこ
とによって、DAT用薄手ロングプレイ用磁気記録媒体
の作成を実現する。そして、磁性層に、媒体の垂直方向
に磁化容易軸を有し、六角板状粉を含有する層を設ける
ことにより、高密度磁気記録媒体に適した媒体である六
角板状粉の特性をより良く引き出すことが可能になり、
よって、高密度記録を行なった薄手の磁気記録媒体を作
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5の周波数特性を示した図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年2月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビデオテープなどの磁
気記録媒体、特にフィルム状支持体に磁荷を有する下地
層を塗布し、この下地層の上に磁性層を塗布した磁気記
録媒体に関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】フィルム状支持体の上に、面内に磁化容易
軸を有する板状粉を含有した下地層を形成し、この下地
層の上に磁性層を形成してなる磁気記録媒体、前記構成
を有する磁気記録媒体であって、前記下地層のヤング率
及び保磁力を限定する磁気記録媒体、磁性層の塗膜の抵
抗率及び磁気記録媒体の白色光に対する光透過率を限定
する磁気記録媒体、磁性層の磁性体の材料を限定する前
記磁気記録媒体、そして、針状粉よりなる長手方向に配
向した磁性層の代りに、垂直方向に磁化容易軸を有する
六角板状粉よりなる層を設けてなる磁気記録媒体を提供
する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】
【表7】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】
【表8】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】
【表12】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】
【表16】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】
【表18】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正内容】
【0052】
【表20】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】
【表21】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正内容】
【0061】
【表23】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾下 順二 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内 (72)発明者 大畠 裕司 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番 地 日本ビクター株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィルム状支持体の上に、板状粉を含有し
    面内に磁化容易軸を有する下地層を塗布し、この下地層
    の上に、針状粉を含有し前記フィルム状支持体の長手方
    向に配向した磁性層を塗布してなる塗布型磁気記録媒体
    において、 前記下地層のヤング率が媒体の長手方向、幅方向共に
    2.0×1010N/m以上であり、前記下地層の保
    磁力をHcsとしたとき、1.5×10A/m<Hc
    s<8.0×10A/mであることを特徴とする磁気
    記録媒体。
  2. 【請求項2】前記磁性層の磁性体として、酸化鉄を使用
    することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】フィルム状支持体の上に、板状粉を含有し
    面内に磁化容易軸を有する下地層を塗布し、この下地層
    の上に、針状粉を含有し前記フィルム状支持体の長手方
    向に配向した磁性層を塗布してなる塗布型磁気記録媒体
    において、 前記下地層のヤング率が媒体の長手方向、幅方向共に
    2.0×1010N/m以上であり、前記下地層の保
    磁力をHcsとし、磁性層の保磁力をHcjとしたと
    き、Hcj>Hcsであることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】前記磁性層の塗膜の抵抗率が、3.0×1
    −12Ω・mm以下であり、前記塗布型磁気記録媒体
    の白色光に対する光透過率が0.8%以下であることを
    特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】前記磁性層の磁性体として、マグネタイト
    を使用することを特徴とした請求項4記載の磁気記録媒
    体。
  6. 【請求項6】前記磁性層の磁性体として、メタル粉を使
    用することを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】前記メタル粉の保磁力が、1.1×10
    A/mから1.3×10A/mの間にあることを特徴
    とする請求項6記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】フィルム状支持体の上に、板状粉を含有し
    面内に磁化容易軸を有する下地層を塗布してなる塗布型
    磁気記録媒体において、この下地層の上に磁性層とし
    て、媒体の垂直方向に磁化容易軸を有し、六角板状粉を
    含有する層を設け、前記下地層のヤング率が媒体の長手
    方向、幅方向共に2.0×1010N/m以上であ
    り、前記下地層の保磁力をHcsとし、磁性層の保磁力
    をHcjとしたとき、Hcj>Hcsであることを特徴
    とする磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】前記磁性層の磁性体として、Ba−Feを
    使用することを特徴とする請求項8記載の磁気記録媒
    体。
JP4076375A 1992-02-27 1992-02-27 磁気記録媒体 Pending JPH05242451A (ja)

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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03288327A (ja) * 1990-04-05 1991-12-18 Matsushita Electric Ind Co Ltd 磁気テープ
JPH03292618A (ja) * 1990-04-10 1991-12-24 Hitachi Maxell Ltd 磁気記録媒体

Patent Citations (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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