JPH11219515A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH11219515A
JPH11219515A JP2071998A JP2071998A JPH11219515A JP H11219515 A JPH11219515 A JP H11219515A JP 2071998 A JP2071998 A JP 2071998A JP 2071998 A JP2071998 A JP 2071998A JP H11219515 A JPH11219515 A JP H11219515A
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JP
Japan
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magnetic layer
magnetic
layer
powder
saturation
Prior art date
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Application number
JP2071998A
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English (en)
Inventor
Tetsutaro Inoue
鉄太郎 井上
Hidetoshi Oga
英俊 大賀
Hidehiko Nakayama
英比古 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁変換特性に優れ且つ低ノイズの磁気記録
媒体を提供すること。 【解決手段】 上層磁性層の乾燥厚みd2 を0.2μm
以下となすと共にその飽和磁束密度Bs2 を0.25T
以上となし、下層磁性層の乾燥厚みd1 を0.1〜1.
5μmとなすと共にその飽和磁束密度Bs1 (T)と該
下層磁性層に含有される強磁性粉末の飽和最大磁化σs
1 (Am2 /kg)と乾燥厚みd1 (m)とが下記式
(1)を満たすようになし、更に全厚を9μm以下とな
したことを特徴とする重層型の磁気記録媒体。 40≦Bs1 /(4πσs1 ・d1 )≦120
(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁変換特性に優
れ、高密度記録に適した重層塗布型の磁気記録媒体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】磁気記
録媒体には、支持体上に磁気記録層を塗布により形成す
る塗布型の磁気記録媒体と、支持体上に蒸着やスパッタ
等により連続薄膜からなる磁気記録層を形成する連続薄
膜型の磁気記録媒体とがある。塗布型の磁気記録媒体
は、強磁性粉末を結合剤中に分散させた塗料を支持体上
に塗布するものであるため、連続薄膜型の磁気記録媒体
に比べて磁性体密度が低く、記録密度が低い。しかし、
連続薄膜型の磁気記録媒体は、真空中で磁気記録層を成
膜をすることが必要なため、塗布型の磁気記録媒体に較
べて製造管理が煩雑であり、また製造コストが嵩む。こ
の為、現在では塗布型の磁気記録媒体が主流である。
【0003】塗布型の磁気記録媒体はこれまで支持体上
に一層のみ磁性層を形成した、いわゆる単層型が主流で
あった。しかし単層型の磁気記録媒体では磁性層厚みが
厚いため、自己減磁が生じ、高記録密度化の障害となっ
ていた。そこで磁性層の厚みを薄くして自己減磁が起き
にくくし且つ磁性層の下に比較的厚い非磁性の層を設け
て剛性を保つという、いわゆる磁性層/非磁性層構成の
重層型の磁気記録媒体が現れてきた。
【0004】またこれとは別に、磁性層を2層支持体上
に設けるタイプの磁気記録媒体(いわゆる磁性層/磁性
層構成の重層型)も提案され、実際に市販されている。
このタイプは、古くは上下2層にほぼ同じ塗料組成から
形成される磁性層を設け、下層に長波長信号の記録(音
声信号)という役割を担わせると共に、上層に短波長信
号の記録(映像信号)という役割を担わせていた。しか
し、このタイプの磁気記録媒体は、下層磁性層が強い磁
束を有するため、上層磁性層に強い磁束の漏れを及ぼ
し、結果として上層磁性層で記録される波長の範囲が制
限されていた。
【0005】そこで、本出願人は、特開平9−2516
34号公報において、下層磁性層と上層磁性層がほぼ同
じ保磁力を有し且つ下層磁性層が上層磁性層の5〜60
%の飽和磁束密度を有する重層型の磁気記録媒体を提案
し、上記磁性層/磁性層構成の重層型磁気記録媒体と磁
性層/非磁性層構成の重層型磁気記録媒体の欠点を解決
した。即ち、下層磁性層の飽和磁束密度を抑えることで
上層磁性層への磁束の必要以上の漏れを抑えて、上層磁
性層における短波長記録の効率を向上させたものであ
る。しかも、上下層の保磁力がほぼ同じで、且つ下層磁
性層から上層磁性層への磁束の漏れが磁性層面に垂直方
向へ適度に漏れていることにより、短波長信号の出力特
性を向上させると共に長波長信号の出力も向上させてい
る。しかし、現在では一層の高記録密度化と、媒体厚み
の薄型化による高容量化が求められており、そのような
状況での更なる出力向上と低ノイズとの両立が求められ
ている。
【0006】従って、本発明の目的は、電磁変換特性に
優れ且つ低ノイズの磁気記録媒体を提供することにあ
る。更に、本発明の目的は、記録密度および記録容量が
一層高い磁気記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
行ったところ、上層磁性層の厚みが0.2μm以下と極
めて薄くなった場合には、上層磁性層および下層磁性層
の飽和磁束密度を制御すると共に、下層磁性層の飽和磁
束密度と下層磁性層に含まれる強磁性粉末の飽和磁化と
下層磁性層の厚みとを特定の関係が満たされるようにコ
ントロールすることによって上記目的が達成されること
を知見した。
【0008】本発明は上記知見に基づきなされたもので
あり、支持体の一方の面上に強磁性粉末、非磁性粉末お
よび結合剤を含有する下層磁性層と、強磁性粉末および
結合剤を含有する上層磁性層とをこの順で設けてなる磁
気記録媒体において、上記上層磁性層の乾燥厚みd2
0.2μm以下となすと共にその飽和磁束密度Bs2
0.25T以上となし、上記下層磁性層の乾燥厚みd1
を0.1〜1.5μmとなすと共にその飽和磁束密度B
1 (T)と該下層磁性層に含有される強磁性粉末の飽
和最大磁化σs 1 (Am2 /kg)と乾燥厚みd
1 (m)とが下記関係式(1)を満たすようになし、更
に上記磁気記録媒体の全厚を9μm以下となしたことを
特徴とする磁気記録媒体を提供することにより上記目的
を達成したものである。 40≦Bs1 /(4πσs1 ・d1 )≦120 (1)
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体の好
ましい実施形態を、図面を参照して説明する。ここで、
図1は、本発明の磁気記録媒体の構成の一例を示す概略
図である。
【0010】図1に示す磁気記録媒体1においては、支
持体2の一方の面上に、該支持体2に隣接して下層磁性
層3が設けられおり、該下層磁性層3に隣接して最上層
としての上層磁性層4が設けられている。また、該支持
体2の他方の面上にバックコート層5が設けられてい
る。
【0011】本発明の磁気記録媒体最大の特徴は、下層
磁性層3の飽和磁束密度Bs1 (T)が、同層に含有さ
れる強磁性粉末の飽和最大磁化σs1 (Am2 /kg)
及び同層の乾燥厚みd1 (m)との関係で、上記式
(1)を満たしていることにある。上記式(1)の関係
が満たされることによって、下層磁性層3から上層磁性
層4への漏れ磁束が良好な状態となり、高密度記録用の
薄い上層磁性層を設けた本発明の磁気記録媒体において
は、出力特性が高く且つノイズが低いという極めて優れ
た効果が発現する。
【0012】更に好ましくは、Bs1 、σs1 及びd1
は下記式(1)’を満たし、一層好ましくは下記式
(1)”を満たす。 50≦Bs1 /(4πσs1 ・d1 )≦100 (1)’ 50≦Bs1 /(4πσs1 ・d1 )≦80 (1)”
【0013】引き続き下層磁性層3について説明する
と、同層は強磁性粉末、非磁性粉末および結合剤を含有
している。強磁性粉末としては、強磁性金属粉末、強磁
性酸化鉄系粉末、強磁性六方晶系フェライト粉末などが
挙げられる。上記強磁性粉末は、針状や紡錘状の場合に
は、長軸長が100nm以下、針状比2〜10、特に長
軸長80nm以下、針状比2〜8であることが好まし
い。板状の場合には、板径10〜90nm、板状比2〜
15、特に板径15〜70nm、板状比2〜10である
ことが好ましい。これら強磁性粉末の具体例としては、
特開平9−35246号公報の第3欄40行〜第4欄8
行に記載のもの等が挙げられる。
【0014】下層磁性層3に含有される強磁性粉末は、
上層磁性層4に含有される強磁性粉末とほぼ同じ保磁力
を有していることが好ましい。この理由は、ある一つの
記録波長に適合する保磁力は、上下層に関係なく同一で
あることによるものである。具体的には保磁力Hc1
100〜250kA/m、特に125〜225kA/m
であることが好ましい。尚、本明細書において「同じ保
磁力を有している」とは両者の保磁力の差が±10%以
内であることを意味する(以下に述べる磁性層の保磁力
に関しても同じ)。
【0015】また、下層磁性層3に含有される強磁性粉
末の飽和最大磁化σs1 は、上記式(1)が満たされる
ように選択され、更に上層磁性層4に含有される強磁性
粉末の飽和最大磁化の70%以下であることが好まし
い。この理由は、下層磁性層3の飽和磁束密度が高くな
り過ぎると、下層磁性層3による記録が、上層磁性層4
の記録特性を向上させる以上に下層磁性層3そのものの
ノイズを高くしてしまうことによるものである。具体的
には飽和最大磁化σs1 は25〜150Am2 /kg、
特に50〜125Am2 /kgであることが好ましい。
そして、保磁力が125〜225kA/mで且つ飽和最
大磁化σs1 が50〜125Am2 /kgである強磁性
粉末であることが最も好ましい。上層磁性層4には保磁
力および飽和磁化ともに、ある程度高い強磁性粉末を使
用することが高記録密度化のため必要であることを考え
ると、上述の条件を満たす下層磁性層用の強磁性粉末と
しては、高保磁力および低飽和磁化を達成しやすい強磁
性六方晶系フェライト粉末を用いることが好ましい。特
に、板状の強磁性六方晶系フェライト粉末を用いること
により、上層磁性層4への漏れ磁束が記録面に垂直方向
に有効に働き、これによりビット当たりの磁束密度を向
上させ得るので、出力向上の効果が大きくなることから
好ましい。
【0016】下層磁性層3に含有される非磁性粉末は、
同層の静磁気特性を制御したり或いは膜剛性を制御する
ために用いられる。非磁性粉末の具体例としては特開平
9−35246号公報の第9欄第44行目〜第10欄7
行目に記載されているモース硬度が8未満の無機粉末
や、α−アルミナ及び酸化クロム等のモース硬度が8以
上の研磨材を挙げることができる。該無機粉末として
は、α−酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウムが好まし
い。また上記無機粉末は、針状の形状を有することが好
ましく、粒径は0005〜0.1μmであることが好ま
しい。一方、研磨材は、その平均一次粒径が0.01〜
0.5μmであることが好ましく、上記強磁性粉末10
0重量部に対して0.1〜15重量部、特に0.5〜1
0重量部配合されることが、下層磁性層3の剛性が十分
となる点ことから好ましい。
【0017】上記非磁性粉末は、平均一次粒径0.1μ
m以下のものが該非磁性粉末全量の70重量%以上、特
に85重量%以上となるように含有されることが、強磁
性粉末の分散性を高めると共に下層磁性層3と上層磁性
層4との界面の乱れを抑え得ることから好ましい。更
に、下層磁性層3における強磁性粉末と非磁性粉末と
は、20/80〜80/20、特に30/70〜50/
50の重量比で配合されることが好ましい。強磁性粉末
の配合量との関係で非磁性粉末の配合量を上記範囲内と
することにより、下層磁性層3における強磁性粉末間の
凝集が抑制され、下層磁性層3からの磁束の漏れを良好
なものとすることができ、出力向上の効果が大きくなる
と共に下層磁性層3と上層磁性層4との界面の乱れを抑
制できる。
【0018】下層磁性層3に含有される結合剤としては
公知のものが使用でき、具体的には特開平9−3524
6号公報の第4欄第25〜32行に記載のものが挙げら
れる。これらのうち、分子内にスルホ基、エポキシ基、
水酸基、カルボキシル基等の極性基を有するポリウレタ
ン系樹脂および塩化ビニル系樹脂ならびにニトロセルロ
ース系樹脂が好適に使用される。該結合剤の配合量は、
強磁性粉末および非磁性粉末の合計量100重量部に対
して1〜50重量部、特に2〜25重量部が好ましい。
特に、上記ポリウレタン系樹脂と上記塩化ビニル系樹脂
とを併用し且つ両者の比率(前者/後者)を20/80
〜70/30とすることが好ましい。
【0019】下層磁性層3に、上述の成分の他に脂肪酸
や脂肪酸エステル等の潤滑剤、イソシアネート系化合物
等の硬化剤などを任意に含有させることにより、磁気記
録媒体の性能を一層向上させることができる。これらの
成分の好ましい配合量は、強磁性粉末および非磁性粉末
の合計量100重量部に対してそれぞれ以下の通りであ
る。 ・潤滑剤:1〜20重量部、特に3〜10重量部 ・硬化剤:0〜12重量部、特に0〜8重量部 更に下層磁性層3には、防腐材、防錆剤等、防黴剤等を
配合することもできる。
【0020】下層磁性層3は、上述の各成分が溶剤に分
散されてなる下層磁性層用塗料を支持体上に塗布し乾燥
させることにより形成されている。そして下層磁性層3
の乾燥厚みは上述の通り0.1〜1.5μmとなされて
おり、好ましくは0.2〜1.2μm、更に好ましくは
0.5〜1.2μmとなされている。乾燥厚みが0.1
μmに満たないと、下層磁性層3が薄くなり過ぎ、支持
体2表面の粗さが、上下層の界面、ひいては上層磁性層
4の表面の粗さに反映されてしまい記録特性が低下して
しまう。また最適範囲を逸脱しているので、塗布むらや
塗工抜けが大量に発生し記録膜として成り立たなくなっ
てしまう。1.5μmを超えると下層磁性層3による記
録成分が増えることによって、上層磁性層4の記録特性
を向上させる以上に下層磁性層3からのノイズが増大し
てしまう。
【0021】下層磁性層3の飽和磁束密度Bs1 の値
は、上記式(1)が満たされるように選択され、好まし
くは0.02〜0.2T、更に好ましくは0.03〜
0.1Tである。Bs1 の値が0.02Tに満たないと
上層磁性層4による記録特性を向上させることができな
くなることがあり、0.2Tを超えると下層磁性層3に
よる記録成分が増えることによって、上層磁性層4の記
録特性を向上させる以上に下層磁性層3からのノイズが
増大することがあるので上記範囲内とすることが好まし
い。Bs1 の値を斯かる好ましい範囲内とするために
は、例えば下層磁性層3に含有される強磁性粉末として
適切な磁気特性を有するものを選択し且つ適切な量配合
したり、下層磁性層用塗料の分散条件を制御して強磁性
粉末の分散状態を向上させたり(例えば分散に用いられ
るボールミルにおけるビースの粒径を小さくしたり、再
分散機を用いる)、或いは磁場配向処理における強磁性
粉末の配向状態を適切に制御する等の方法が用いられ
る。
【0022】特に、後述する上層磁性層4の飽和磁束密
度Bs2 の値との関係でBs1 が下記式(2)を満たす
ことが下層磁性層3のもれ磁束を効果的に上層磁性層4
がひろう点から好ましい。
【0023】 4×Bs1 ≦Bs2 (2)
【0024】Bs1 とBs2 とは下記式(2)’を満た
すことが更に好ましく、(2)”を満たすことが一層好
ましい。 4×Bs1 ≦Bs2 ≦10×Bs1 (2)’ 6×Bs1 ≦Bs2 ≦8×Bs1 (2)”
【0025】下層磁性層3の保磁力Hc1 は、上層磁性
層4の保磁力Hc2 とほぼ同じになされていることが好
ましく、具体的には150〜250kA/m、特に17
5〜250kA/mとなされていることが好ましい。下
層磁性層3の保磁力Hc1 の値を斯かる好ましい範囲内
とするためには、上記飽和磁束密度Bs1 の値を上述し
た好ましい範囲内にするための方法と同様の方法が用い
られる。
【0026】次に、上層磁性層4について説明する。上
層磁性層4は強磁性粉末および結合剤を含有している。
強磁性粉末としては、上記下層磁性層4に含有し得る強
磁性粉末として列挙したものと同様のものを使用でき
る。それらのうちでも特に、高記録密度化のための高保
磁力と高飽和磁化を兼ね備える針状の強磁性金属粉末を
用いること好ましい。該強磁性金属粉末は、その長軸長
が0.1μm以下、特に0.08μm以下で、針状比が
2〜10、特に2〜8 であることが好ましい。また、該
強磁性金属粉末は、上述の通り、その保磁力が下層磁性
層3に含有される強磁性粉末の保磁力とほぼ同じである
ことが好ましく、具体的には120〜250kA/m、
特に150〜250kA/mが好ましい。また、その飽
和最大磁化σs2 は100〜150Am2 /kg、特に
110〜150Am2 /kgであることが好ましい。
【0027】上層磁性層4に含有される結合剤として
は、下層磁性層3に含有される結合剤と同様のものが使
用できる。従って、ここでは結合剤の詳細については特
に説明しないが、下層磁性層3に含有される結合剤に関
して詳述した説明が適宜適用される。結合剤の配合量
は、上層磁性層4に含有される強磁性粉末100重量部
に対して1〜30重量部、特に2〜15重量部であるこ
とが好ましい。
【0028】上層磁性層4には、下層磁性層3に含有さ
れる非磁性粉末と同様のものを含有させてもよい。但
し、上層磁性層4は乾燥厚みが0.2μm以下と薄く、
しかも磁気ヘッドと直接接触するために、充分な静磁気
特性と膜剛性を両立しなければならない点で下層磁性層
3と異なることから、非磁性粉末が含有される場合に
は、その量は強磁性粉末100重量部に対して0.5〜
10重量部、特に0.5〜8重量部であることが好まし
い。該非磁性粉末のうち、モース硬度8以上の研磨材
と、モース硬度8未満の無機粉末との重量比は、40/
60〜98/2であることが好ましい。
【0029】上層磁性層4には、下層磁性層3と同様
に、更に潤滑剤、カーボンブラック及び硬化剤ならびに
防腐剤や防黴剤等のその他の添加剤を任意に添加でき
る。これらの成分としては下層磁性層3に含有されるも
のと同様のものが使用できる。従って、ここではこれら
の成分の詳細については特に説明しないが、下層磁性層
3に含有され得る各成分に関して詳述した説明が適宜適
用される。これらの成分の好ましい添加量は、強磁性粉
末100重量部に対してそれぞれ以下の通りである。 ・潤滑剤:0.1〜5重量部、特に、0.5〜2重量部 ・カーボンブラック:0.1〜10重量部、特に0.1
〜5重量部 ・硬化剤:5重量部以下、特に2重量部以下 ・その他の添加剤:合計量で2重量部以下
【0030】上層磁性層4は、上述の各成分が溶剤に分
散されてなる上層磁性層用塗料を下層磁性層3上に塗布
し乾燥させることにより形成されている。そして上層磁
性層4の乾燥厚みは上述の通り0.2μm以下となされ
ており、好ましくは0.05〜0.15μm、特に好ま
しくは0.05〜0.1μmとなされている。即ち、上
層磁性層4は極めて薄型の磁性層である。上層磁性層4
をこのように薄型となすことによって、自己減磁を起こ
りにくくし、電磁変換特性の高い高記録密度の磁気記録
媒体となすことができる。
【0031】上層磁性層4は、その飽和磁束密度Bs2
が0.25T以上であり、好ましくは0.30〜0.4
5T、特に好ましくは0.35〜0.40Tである。上
層磁性層4のBs2 を上記の値以上とすることにより、
短波長から長波長に亘る広帯域の記録に関して良好な記
録再生特性が実現される。Bs2 の値を上記の値以上と
するためには、下層磁性層3の場合と同様に、上層磁性
層4に含有される強磁性粉末として適切な磁気特性を有
するものを選択し且つ適切な量配合したり、上層磁性層
用塗料の分散条件を制御して強磁性粉末の分散状態を向
上させたり、或いは磁場配向処理における強磁性粉末の
配向状態を適切に制御する等の方法が用いられる。
【0032】また、上層磁性層4の保磁力Hc2 は、下
層磁性層3の磁気特性に関して上述した通り、下層磁性
層3の保磁力Hc1 とほぼ同じになされていることが好
ましく、具体的には125〜250kA/m、特に15
0〜250kA/mとなされていることが好ましい。
【0033】次に、図1に示す磁気記録媒体1における
その他の部材について説明する。バックコート層5は主
として結合剤及びカーボンブラックを含むバックコート
塗料を塗布し乾燥させることによって形成されている。
該結合剤及びカーボンブラックとしては、上層磁性層4
や下層磁性層3で使用されるものと同様のものを使用す
ることができる。カーボンブラックの配合量は、バック
コート層5に含有される全結合剤量100重量部に対し
て5〜100重量部、特に10〜70重量部であること
が好ましい。また、バックコート層の厚みは、0.05
〜1.0μm、特に0.1〜0.7μmであることが好
ましい。
【0034】支持体2は磁気記録媒体用であれば公知の
支持体が使用でき、具体的には特開平9−35246号
公報の第2欄30〜42行に記載のものが使用できる。
これらのうちでも、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミ
ド(PA)等の非磁性材料が好適である。支持体2の厚
みは、8μm以下、特に6μm以下であることが、磁気
記録媒体の高容量化のために好ましい。また、支持体2
の表面に異接着層を設け、下層磁性層3やバックコート
層5との接着性を高めてもよい。
【0035】図1に示す磁気記録媒体全体の磁気特性と
しては、保磁力Hct が100〜250kA/m、特に
175〜225kA/mであることが好ましく、飽和磁
束密度Bst が0.35〜0.50T、特に0.40〜
0.45Tであることが好ましい。
【0036】次に図1に示す磁気磁気記録媒体1の好ま
しい製造方法の概略を説明する。まず、支持体2上に上
層磁性層4を形成する上層磁性層用塗料と下層磁性層3
を形成する下層磁性層用塗料とを、各層が所定の厚みと
なるようにウエット・オン・ウエット方式により同時重
層塗布を行い、上層磁性層4および下層磁性層3の塗膜
を形成する。即ち、上層磁性層4は、下層磁性層3の湿
潤時に塗設・形成されることが好ましい。次いで、これ
らの塗膜に対して磁場配向処理を行った後に乾燥処理を
行い巻き取る。この後、カレンダー処理を行い、更に支
持体2の裏面上にバックコート塗料を塗布してバックコ
ート層5を形成する。あるいはバックコート層5を形成
した後に上層磁性層4および下層磁性層3を形成しても
よい。次いで、40〜80℃下で6〜100時間エージ
ング処理し、例えば磁気テープを製造する場合には所望
の幅にスリットする。具体的な製造方法は、特開平9−
35246号公報の第11欄5行〜第12欄7行に記載
の方法に基づくことが好ましい。
【0037】以上、本発明の磁気記録媒体をその好まし
い実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記実施形
態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲におい
て種々の変更が可能である。例えば、図1に示す実施形
態の磁気記録媒体1には、更に、支持体2と下層磁性層
3又はバックコート層5との間にプライマー層を設けた
り、長波長信号を使用するハードシステムに対応してサ
ーボ信号等を記録するための他の磁性層やその他の層を
設けてもよい。また、本発明の磁気記録媒体は、8mm
ビデオテープやDATテープ、DVCテープ等の画像音
声記録テープ、DDSテープや1/4インチデータカー
トリッジ(QIC)テープなどのデータ記録テープ等の
磁気テープとして好適であるが、フレキシブルディスク
のような磁気ディスク等の他の磁気記録媒体としても適
用することもできる。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
すると共にその有効性を例証する。しかしながら、本発
明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
尚、以下の例中、「部」及び「%」は特に断らない限り
「重量部」及び「重量%」をそれぞれ意味する。
【0039】〔実施例1〕下記の配合成分(硬化剤を除
く)を、それぞれニーダーにて混練し、次いで攪拌機に
て分散し、更にサンドミルにて微分散し、1μmのフィ
ルターにて濾過後、硬化剤を最後に添加して、上層磁性
層用塗料、下層磁性層用塗料及びバックコート塗料をそ
れぞれ調製した。
【0040】 <上層磁性層用塗料> ・針状Fe系強磁性金属粉末 100部 (保磁力:175kA/m、飽和最大磁化σs2 :125Am2 /kg、長軸長 :75nm、針状比:6) ・α−アルミナ(一次粒径:200nm、モース硬度:9) 7部 ・カーボンブラック(一次粒径:17nm) 5部 ・スルホ基含有ポリウレタン系樹脂 7部 ・スルホ基、エポキシ基および水酸基含有塩化ビニル系樹脂 7部 ・ミリスチン酸 1部 ・ミリスチン酸ブチル 2部 ・メチルエチルケトン 150部 ・トルエン 150部 ・シクロヘキサノン 150部
【0041】 <下層磁性層用塗料> ・板状強磁性バリウムフェライト粉末 65部 (保磁力:170kA/m、飽和最大磁化σs1 :60Am2 /kg、板径:5 0nm、板径比:8) ・α−酸化鉄(針状、長軸長:80nm、針状比:7) 35部 ・α−アルミナ(一次粒径:250nm) 7部 ・カーボンブラック(一次粒径:50nm) 10部 ・スルホ基含有ポリウレタン系樹脂 7部 ・スルホ基、エポキシ基および水酸基含有塩化ビニル系樹脂 7部 ・イソシアネート系硬化剤 2部 ・ミリスチン酸 1部 ・ミリスチン酸ブチル 2部 ・メチルエチルケトン 150部 ・トルエン 150部 ・シクロヘキサノン 150部
【0042】 <バックコート層用塗料> ・カーボンブラック(一次粒径:17nm) 65部 ・カーボンブラック(一次粒径:50nm) 15部 ・ニトロセルロース系樹脂 70部 ・ポリウレタン系樹脂 10部 ・塩化ビニル系樹脂 30部 ・イソシアネート系硬化剤 3部 ・ステアリン酸 2部 ・ステアリン酸イソプロピル 2部 ・メチルエチルケトン 150部 ・トルエン 150部 ・シクロヘキサノン 150部
【0043】得られた上層磁性層用塗料及び下層磁性層
用塗料を厚み6.5μmのPET支持体上に、下層磁性
層厚みが1.2μm、上層磁性層厚みが0.15μmと
なるように、ダイコーターにて同時重層塗布を行った。
次いで、磁性層が湿潤状態から乾燥状態になる間で、4
00kA/mの磁場強度のソレノイドにより磁場配向処
理をした。更に、乾燥炉中にて、80℃の温風を10m
/分の速度で塗膜に吹きつけて乾燥した。乾燥後カレン
ダー処理し、更に上記支持体の反対側の面上に上記バッ
クコート塗料を乾燥厚みが0.5μmになるように塗布
し、90℃にて乾燥してバックコート層を形成した。最
後に8mm幅にスリットして、図1に示す構造を有する
磁気テープを製造した。
【0044】〔実施例2〜6及び比較例1〜3〕実施例
1の下層磁性層用塗料における板状強磁性バリウムフェ
ライト粉末およびα−酸化鉄の配合部数と種類を表1に
示す通りとし、且つ下層磁性層および上層磁性層の厚み
を表1に示す通りとする以外は実施例1と同様にして磁
気テープを得た。
【0045】〔実施例7〕実施例1の下層磁性層用塗料
における板状強磁性バリウムフェライト粉末に代えて、
針状Co−γ−Fe2 3 (保磁力:120kA/m、
飽和最大磁化σs 1 :105Am2 /kg、長軸長:
0.2μm、針状比:6)を表1に示す配合部数用い、
且つ上層磁性層の厚みを表1に示す通りとする以外は実
施例1と同様にして磁気テープを得た。
【0046】〔比較例4〕実施例1の下層磁性層用塗料
における板状強磁性バリウムフェライト粉末に代えて、
針状Fe系強磁性金属粉末(保磁力:135kA/m、
飽和最大磁化σs 1 :115Am2 /kg、長軸長:
0.15μm、針状比:8)を表1に示す配合部数用
い、且つ上層磁性層の厚みを表1に示す通りとする以外
は実施例1と同様にして磁気テープを得た。
【0047】<性能評価>実施例および比較例で得られ
た磁気テープにおける上層磁性層および下層磁性層なら
びに磁気テープ自体の保磁力および飽和磁束密度の値を
表1に示す。更に、これらの磁気テープについて出力お
よびC/Nを下記の方法により測定した。その結果を表
1に示す。
【0048】<出力及びC/Nの測定方法>市販のHi
8ビデオテープレコーダー〔ソニー(株)製、EV−S
900〕を用いて6MHzの信号を記録し、その再生出
力を測定した。更に、この信号を再生した時の5MHz
に発生するノイズを測定し、このノイズに対する再生信
号の比(C/N)を測定した。測定はTR4171型S
PECTRUM ANALYZER〔ADVANTES
T(株)製〕を用いて行った。なお表記した値は比較例
1で得られた磁気テープの値を0dBとしたときの値で
ある。
【0049】
【表1】
【0050】表1に示す結果から明らかなように、実施
例の磁気テープ(本発明品)は、比較例の磁気テープに
比して出力が高く且つC/Nが低いものであることが判
る。特に上層磁性層のBs2 が下層磁性層のBs1 の4
倍以上である実施例1〜6の磁気テープでは出力が一層
高く且つC/Nが一層低くなっている。
【0051】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明によれば、
電磁変換特性に優れ且つ低ノイズの磁気記録媒体が得ら
れる。また、本発明によれば、記録密度および記録容量
が一層高い磁気記録媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の構成の一例を示す概略
図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体 2 支持体 3 下層磁性層 4 上層磁性層 5 バックコート層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方の面上に強磁性粉末、非磁
    性粉末および結合剤を含有する下層磁性層と、強磁性粉
    末および結合剤を含有する上層磁性層とをこの順で設け
    てなる磁気記録媒体において、 上記上層磁性層の乾燥厚みd2 を0.2μm以下となす
    と共にその飽和磁束密度Bs2 を0.25T以上とな
    し、 上記下層磁性層の乾燥厚みd1 を0.1〜1.5μmと
    なすと共にその飽和磁束密度Bs1 (T)と該下層磁性
    層に含有される強磁性粉末の飽和最大磁化σs 1 (Am
    2 /kg)と乾燥厚みd1 (m)とが下記関係式(1)
    を満たすようになし、更に上記磁気記録媒体の全厚を9
    μm以下となしたことを特徴とする磁気記録媒体。 40≦Bs1 /(4πσs1 ・d1 )≦120 (1)
  2. 【請求項2】 上記下層磁性層の飽和磁束密度Bs
    1 と、上記上層磁性層の飽和磁束密度Bs2 とが下記関
    係式(2)を満たすようになしたことを特徴とする請求
    項1記載の磁気記録媒体。 4×Bs1 ≦Bs2 (2)
  3. 【請求項3】 上記下層磁性層における非磁性粉末は、
    平均一次粒径0.1μm以下のものが該非磁性粉末全量
    の70重量%以上となるように含有され、且つ上記下層
    磁性層における強磁性粉末と非磁性粉末とは、両者の重
    量比(前者/後者)が20/80〜80/20となるよ
    うに含有されることを特徴とする請求項1又は2記載の
    磁気記録媒体。
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