JPH0524103B2 - - Google Patents

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JPH0524103B2
JPH0524103B2 JP5870385A JP5870385A JPH0524103B2 JP H0524103 B2 JPH0524103 B2 JP H0524103B2 JP 5870385 A JP5870385 A JP 5870385A JP 5870385 A JP5870385 A JP 5870385A JP H0524103 B2 JPH0524103 B2 JP H0524103B2
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JP
Japan
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molded article
secondary particles
calcium silicate
molded
weight
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JP5870385A
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JPS61183160A (ja
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Teru Takahashi
Kazuo Shibahara
Katsuhiro Morimoto
Hiromasa Mima
Kazuhiko Kubo
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NIPPON INSULATION KK
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Publication of JPH0524103B2 publication Critical patent/JPH0524103B2/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/91Use of waste materials as fillers for mortars or concrete

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  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
技術分野 本発明は、断熱性能が優れた新規珪酸カルシウ
ム系成形体に関する。 背景技術 珪酸カルシウム成形体は、軽量であること、断
熱性に優れていること、耐火性の大きいこと、そ
の他数多くの特性を有するがために各種の分野に
於て、広く利用されている。 近年、保温材、断熱材等の分野においては、更
に一層断熱性能が高い珪酸カルシウム成形体が要
望されている。このため、珪酸カルシウム成形体
に種々の物質を含有せしめて断熱性を向上させよ
うとする方法が提案されている。 米国特許第3001882号には、石灰原料、珪酸原
料及び水からなる原料スラリーに化学的に不活性
な物質を添加し、成形して得られる生成形体を水
熱合成反応に従わせて高温域(288℃,550〓)で
の断熱性の向上した成形体を得る方法が記載され
ている。しかし乍らこの方法によれば、不活性物
質の添加量の増大に伴い強度が低下する傾向があ
り、殊にその量が成形体の20重量%を超えると強
度低下が著しくなつて実用し得る軽量成形体は得
られなくなる。従つて、静置下に水熱合成反応さ
せるこの方法によれば高温域での断熱性の向上は
認められるが、自ら限度があり、その程度は充分
とはいえず、また200℃以下程度の低温域での断
熱性の向上は得られない。 また特開昭58−145652号公報には、(a)予め
調製した珪酸カルシウム結晶のスラリーに輻射エ
ネルギーを吸収又は散乱する物質を添加し、成形
後乾燥して成形体を得る方法、(b)原料スラリ
ーを予備的に反応させて、珪酸カルシウム結晶の
前駆体であるC−S−H(I)のスラリーを得、
これに上記物質を添加、成形し、得られる生成形
体を水蒸気養生して珪酸カルシウム結晶の成形体
を得る方法、及び(c)上記物質を含有する原料
スラリーを予備的に反応させてC−S−H(I)
のスラリーを得、これを成形して得られる生成形
体を水蒸気養生して珪酸カルシウム結晶の成形体
を得る方法が記載されている。しかしこれらの内
(a)及び(b)の方法では、上記物質を成形体
の20重量%を超えて混合すると強度の著しい低下
を招来し実用性ある軽量成形体を得ることができ
ず、又(c)の方法では同じく15重量%以上程度
の混合で、乾燥時の変形、収縮により、成形体の
製造自体が困難になる。また、上記方法により得
られる成形体の断熱性改善効果は、300℃以上の
高温域においては或る程度認められるが、その程
度は尚不充分であり、しかも200℃以下程度の低
温域では実質的な断熱性改善効果は認められな
い。 発明の開示 本発明の目的は、低温域から高温域までの広い
温度範囲で極めて断熱性が優れ且つ軽量の新規珪
酸カルシウム系成形体を提供することにある。 本発明の他の目的は、充分に満足できる実用的
強度を保持した上で広い温度範囲で極めて断熱性
が優れ且つ軽量の新規珪酸カルシウム系成形体を
提供することにある。 本発明の他の特長は、以下の記載から明らかに
する。 本発明は、多数の相互に連結した珪酸カルシウ
ム結晶の二次粒子、該二次粒子間に 散在した空
隙、及び該二次粒子に包み込まれた状態で該二次
粒子と物理的に一体化した炭素物質、炭化物、窒
化物、珪化物及び金属酸化物の少なくとも1種で
ある無機不活性物質を含有してなり、不活性物質
の含有量が成形体中21〜70重量%である珪酸カル
シウム系成形体、並びに多数の相互に連結した珪
酸カルシウム結晶の二次粒子、該二次粒子間に散
在した空隙、該二次粒子に包み込まれた状態で該
二次粒子と物理的に一体化した炭素物質、炭化
物、窒化物、珪化物及び金属酸化物の少なくとも
1種である無機不活性物質、及び非晶質シリカ物
質を含有してなる珪酸カルシウム系成形体を提供
するものである。 本発明者の研究によれば、本出願人が先に開発
した米国特許第3679446号に記載された成形体に
おいて、相互に連結して成形体を構成する多数の
珪酸カルシウム結晶の二次粒子と炭素物質、炭化
物、窒化物、珪化物及び金属酸化物の少なくとも
1種である無機不活性物質とが該二次粒子に該不
活性物質が包み込まれた状態で物理的に一体化し
て存在し、不活性物質の含有量が成形体中21重量
%以上であるときには、 (1) 上記特定の不活性物質が成形体重量の21重量
%以上配合されているにも拘らず充分に満足で
きる実用強度を保持し且つ軽量であること、 (2) 300℃以上の高温域での断熱性の向上が著し
く大となること、 (3) 高温域のみでなく200℃以下の低温域におい
ても断熱性の著しい向上が得られること という新しい事実が見出された。 また本発明者の研究によれば、上記特定の構造
の成形体に非晶質シリカ物質を更に含有させた成
形体は、非晶質シリカ物質の添加に基づく強度低
下を実質的に伴うことなく、断熱性特に200℃以
下の低温域での断熱性が更に向上することが見出
された。 更に本発明者の研究によれば非晶質シリカ物質
の添加による上記効果は、該不活性物質の配合量
が21重量%未満と少ない場合においても顕著であ
り、この場合にも該不活性物質による断熱性の向
上特に高温域での向上と非晶質シリカ物質による
断熱性の向上特に低温域での向上とが総合的に作
用して、広い温度範囲において断熱性が著しく向
上していることを見出した。前記本発明は、これ
らの知見に基いて完成されたものである。 本発明珪酸カルシウム系成形体は、例えば、米
国特許第3501325号及び第3679446号に記載された
珪酸原料、石灰原料及び水を含有する原料スラリ
ーを加圧下加熱攪拌しながら水熱合成反応せしめ
て珪酸カルシウム結晶の二次粒子の水性スラリー
を調製し、次いでこれを成形、乾燥して珪酸カル
シウム成形体を製造する方法において、特定の不
活性物質を特定量原料スラリーに添加せしめる
か、或いは該不活性物質を原料スラリーに添加し
且つ水熱合成反応後に更に非晶質シリカ物質を添
加混合することにより製造できる。 即ち本発明珪酸カルシウム系成形体は、例え
ば、珪酸原料、石灰原料及び水を含有する原料ス
ラリーを加圧下加熱攪拌しながら水熱合成反応せ
しめて珪酸カルシウム結晶二次粒子の水性スラリ
ーを調製し、次いでこれを成形、乾燥して珪酸カ
ルシウム成形体を製造する方法において、炭素物
質、炭化物、窒化物、珪化物及び金属酸化物の少
なくとも1種である無機不活性物質を原料スラリ
ーに添加して上記水熱合成反応により上記二次粒
子に包み込まれた状態で物理的に一体化せしめる
こと及び上記不活性物質の添加量を成形体中に21
〜70重量%となる量とするか、或いは珪酸原料、
石灰原料及び水を含有する原料スラリーを加圧下
加熱攪拌しながら水熱合成反応せしめて珪酸カル
シウム結晶二次粒子の水性スラリーを調製し、次
いでこれを成形、乾燥して珪酸カルシウム成形体
を製造する方法において、炭素物質、炭化物、窒
化物、珪化物及び金属酸化物の少なくとも1種で
ある無機不活性物質(以下、不活性物質という)
を原料スラリーに添加して上記水熱合成反応によ
り上記二次粒子に包み込まれた状態で物理的に一
体化せしめること及び上記水性スラリーに非晶質
シリカ物質を添加混合することにより製造でき
る。 本発明者の研究によれば、不活性物質を攪拌下
の水熱合成反応前に添加し、水熱合成反応を行な
つて珪酸カルシウム結晶の二次粒子を生成せしめ
る場合には不活性物質が珪酸カルシウム結晶の二
次粒子に包み込まれた状態で二次粒子と物理的に
一体化した状態になるので、斯かる二次粒子から
得られる成形体は充分に満足できる実用的強度及
び軽量性を保持した上で多量の不活性物質を配合
できることが明らかになつた。また本発明者は、
非晶質シリカ物質を併用する場合において、該シ
リカ物質は水熱合成反応後に添加しても成形体の
強度は殆んど低下しないこと、従つて不活性物質
を水熱合成反応前に添加して珪酸カルシウム結晶
の二次粒子を生成せしめ、非晶質シリカ物質を水
熱合成反応後に添加することにより、成形体の強
度低下を実質的に伴わず、広い温度範囲におい
て、しかも単独添加で見られる断熱性の改善より
更に一段とその性能の向上が図れることを見出し
た。本発明は、これらの知見に基づいて完成され
たものである。 本発明の成形体は、充分に満足できる実用的強
度を保持した上で、多量の不活性物質により又は
不活性物質と非晶質シリカ物質との併用により、
広い温度範囲において熱伝導率が著しく低減して
いるものである。 本発明の成形体は、米国特許第3679446号の成
形体において、不活性物質が特別な状態で存在し
ているもの、又はこれに更に非晶質シリカ物質が
含有されているものである。即ち、本発明の成形
体は、珪酸カルシウム結晶の二次粒子が多数相互
に連結したものと、該二次粒子間に散在する空隙
とから実質的に構成された成形体において、不活
性物質が上記二次粒子に包み込まれた状態で二次
粒子と物理的に一体化して存在しているものであ
る。このことにより、充分に満足できる実用強度
を保持した上で不活性物質を多量に配合できるも
のである。 上記において、珪酸カルシウム結晶の各二次粒
子は、元来、珪酸カルシウム結晶が三次元的に絡
合して形成されたほぼ球殻状で外径が5〜150μm
程度の形態のものである。、また、成形体中にお
いて珪酸カルシウム結晶の二次粒子は、成形時の
圧力により少なくとも一方向から圧縮された状態
となつている。また、不活性物質は、珪酸カルシ
ウム結晶の二次粒子に包み込まれた状態で物理的
に一体化している。本発明成形体が上記構造であ
ることは、光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡によ
る観察から明らかである。 不活性物質が上記の如く存在するのは、攪拌下
の水熱合成反応前に不活性物質を添加し、水熱合
成反応を行なつて珪酸カルシウム結晶の二次粒子
を生成せしめたことにより、珪酸カルシウム結晶
の二次粒子が生成する際に、不活性物質を該二次
粒子に包み込んだ状態で物理的に一体化すること
による。このことは、珪酸カルシウム結晶二次粒
子の水性スラリーの光学顕微鏡による観察から明
らかである。具体的には、例えば第1図及び第2
図から明らかである。第1図は不活性物質を添加
していないコントロールの珪酸カルシウム結晶の
二次粒子の水性スラリー(実施例1の試料No.1の
成形体製造に使用したもの)の光学顕微鏡写真
(倍率250倍)であり、第2図は水熱合成反応前に
ルチルを添加して得られる珪酸カルシウム結晶の
二次粒子の水性スラリー(実施例1の試料No.3の
成形体製造に使用したもの)の光学顕微鏡写真
(倍率250倍)である。第1図及び第2図より、ル
チルを水熱合成反応前に添加し、水熱合成反応を
行なつて珪酸カルシウム結晶の二次粒子を生成せ
しめるときには、ルチルが珪酸カルシウム結晶の
二次粒子に包み込まれた状態で、該二次粒子と物
理的に一体化していることが判る。水熱合成反応
後にルチルを添加しても、ルチルは該二次粒子と
上記の如き状態で物理的に一体化されない。 本発明の成形体は、不活性物質又はこれと非晶
質シリカ物質を使用することを除き、基本的には
米国特許第3679446号及びその基本特許である米
国特許第3501325号に記載された方法により製造
される。 本発明成形体の製造に於いて使用される珪酸原
料は従来から珪酸カルシウム成形体の製造に使用
されて来たものがいずれも有効に使用でき、結晶
質珪酸原料として珪石、珪砂等を、また非晶質珪
酸原料としてシリカゲル、シリカフラワー(フエ
ロシリコンダスト等)、ホワイトカーボン、珪藻
土、湿式リン酸製造プロセスで副生する珪フツ化
水素酸と水酸化アルミニウムとを反応させて得ら
れるシリカ等を例示できる。また、石灰原料とし
ては従来から使用されて来たものがいずれも使用
でき、生石灰、消石灰、カーバイト滓等を例示出
来る。 また、珪酸原料と石灰原料のCaO/SiO2モル
比は、トベルモライト結晶を合成しようとする場
合は0.70〜0.90程度、ゾノトライト結晶を合成し
ようとする場合は0.90〜1.15程度である。 本発明成形体の製造に於ては、上記珪酸原料と
石灰原料に更に不活性物質及び水を加えて、原料
スラリーが調製される。 本発明成形体の製造における不活性物質として
は、炭素物質、炭化物、窒化物、珪化物及び金属
酸化物の少なくとも1種を使用する。具体的に
は、例えば活性炭、木炭、石炭、カーボンブラツ
ク、黒鉛等の炭素物質、炭化珪素、炭化硼素、炭
化チタン等の炭化物、窒化珪素、窒化硼素、窒化
チタン等の窒化物、珪化カルシウム等の珪化物、
酸化鉄(ヘマタイト、マグネタイト等)、酸化チ
タン(ルチル、アナターゼ等)、酸化錫、酸化マ
ンガン、酸化ジルコニウム、イルメナイト、ジル
コン、クロマイト等の金属酸化物を挙げることが
でき、これらは1種又は2種以上混合して用いる
ことができる。また、用いる不活性物質の粒径
は、通常0.001〜120μm程度、好ましくは 0.001〜100μmが適当である。 本発明成形体の製造における不活性物質の添加
量は、非晶質シリカ物質を併用しない場合と併用
する場合とで異なる。 即ち、前者の場合に広い温度範囲での熱伝導率
の著しい低減を得るためには、不活性物質を多量
に含有せしめる必要がある。従つて、この場合の
不活性物質の添加量は成形体中の含有量が21〜70
重量%好ましくは25〜55重量%の範囲となるよう
に添加される。従来法ではこのような多量の不活
性物質の導入は著しい強度低下を招くので実質的
に不可能であつたが、本発明によれば、多量に配
合しても充分に満足し得る実用強度を保持し、し
かも多量配合に基づく特異な効果即ち低温域から
高温域に亘る広い温度範囲における断熱性の向上
が得られる。この際、添加量が21重量%に達しな
い場合には高温域での断熱性の向上は或る程度認
められるものの低温域での断熱性の向上は殆んど
認められず、また70重量%より多くなると輻射伝
熱は抑制されるが、反面不活性物質の固体伝熱が
大きくなるので、全体としては断熱性の向上が不
充分になり、更に成形体の曲げ強さが低下するた
め軽量化が困難になる。 また、非晶質シリカ物質を併用する場合には、
非晶質シリカ物質による断熱性の向上特に低温域
での向上により、不活性物質の添加量を少なくし
ても広い温度範囲での断熱性の向上が得られる。
従つて、この場合の不活性物質の添加量は、成形
体中の含有量が2〜60重量%程度、好ましくは5
〜50重量%の範囲となるように添加される。この
際、添加量が2重量%に達しない場合には非晶質
シリカ物質の併用をもつてしても高温域での断熱
性の向上が不充分となる傾向があり、また60重量
%より多くなると不活性物質と非晶質シリカ物質
との合計添加量が多くなつて成形体の曲げ強さが
低下して軽量化が困難になる傾向があるので好ま
しくない。 本発明成形体の製造に於いては、不活性物質を
水熱合成反応前の原料スラリーに含有せしめ、水
熱合成反応を行なつて珪酸カルシウム結晶の二次
粒子を生成せしめる必要があり、これにより大き
な強度低下を伴うことなく多量の不活性物質を配
合することが可能となる。水熱合成反応後に添加
すると得られる成形体の曲げ強さ等の強度の極端
な低下を招くことになる。 前記原料スラリーには、従来公知の添加材を添
加しても良く、この際の添加材として無機質繊維
例えば石綿、岩綿等を挙げることができる。 原料スラリーを調製する際の水の量は原料スラ
リーの固形分に対し5重量倍以上、好ましくは10
〜50重量倍であり、密度0.1g/cm3程度の軽量体を
製造する場合には15〜50重量倍好ましくは20〜40
重量倍とするのが適当である。 かくして調製された原料スラリーは次いで攪拌
下に水熱合成反応に供される。この反応は、通常
4Kg/cm2以上、好ましくは6〜30Kg/cm2の飽和水
蒸気圧下で行なわれる。この反応により、トベル
モライト結晶又は(及び)ゾノトライト結晶を主
成分とし、これが三次元的に絡合している外径5
〜150μm程度の二次粒子が生成すると共に、原料
スラリー中に共存している不活性物質が該二次粒
子に包み込まれた状態で該二次粒子と物理的に一
体化して存在し、これ等が均一に水に分散したス
ラリーが得られる。 本発明成形体の製造においては多量の不活性物
質を含む上記水性スラリーをそのまま成形体とし
ても良いし、更に低温域での断熱性を一層向上さ
せる為に非晶質シリカ物質を添加混合してから成
形体としても良い。不活性物質の含有量が成形体
中21重量%未満のときは、更に非晶質シリカ物質
を添加混合してから成形体とする必要がある。こ
れらのいずれの場合にも、広い温度範囲で断熱性
が著しく向上した成形体が得られるのは勿論であ
る。 本発明成形体の製造において必要に応じて添加
されるシリカ物質は非晶質である必要がある。結
晶質のシリカ物質を用いた場合には、断熱性の向
上は得られない。また、非晶質シリカ物質は水熱
合成反応後の珪酸カルシウム結晶二次粒子のスラ
リーに添加する必要があり、これにより、不活性
物質による断熱性の向上と非晶質シリカ物質によ
る断熱性の向上とが相伴つて広い温度範囲で断熱
性の向上を図ることができる。 非晶質シリカ物
質としては、ホワイトカーボン、フエロシリコン
ダスト、シリコンダスト、シリカゲル、珪藻土、
フライアツシユ等を挙げることができ、これらは
1種又は2種以上混合して用いることができる。
これらの内、シリカゲルとしては、本出願人が先
に開発した米国特許第4230765号(特公昭55−
14809号)に記載されたオプシルー即ち成形能
を有する高純度多孔質シリカゲル二次粒子も好ま
しく使用できる。オプシルーは、米国特許第
4230765号に記載されている通り、珪酸カルシウ
ム結晶二次粒子を水分の存在下に炭酸化して、珪
酸カルシウムをシリカゲルと極微細炭酸カルシウ
ムに転化せしめ次いでこれを酸処理して得られる
高純度多孔質シリカゲル二次粒子を意味する。 また、用いる非晶質シリカ物質の粒径は、通常 0.001〜150μm程度、好ましくは 0.001〜100μmが適当である。 非晶質シリカ物質の添加量は、成形体中の含有
量が2〜60重量%程度、好ましくは5〜50重量%
の範囲となるように添加される。この際、添加量
が2重量%に達しない場合には、低温での断熱性
の向上が不充分となる傾向にあり、また添加量が
60重量%より多くなると成形体の曲げ強さの低下
が著しくなる傾向にあるので好ましくない。 さらに、本発明成形体の製造における不活性物
質と非晶質シリカ物質の合計添加量は、成形体中
の含有量が4〜70重量%程度となるようにするの
が好ましく、特に10〜50重量%の範囲となるよう
に添加するのが好ましい。この際、添加量が4重
量%に達しない場合には、広い温度範囲における
断熱性の向上が不充分となる傾向があり、また添
加量が70重量%より多くなると曲げ強さの低下が
著しくなる傾向にあるので好ましくない。 本発明成形体の製造においては、成形に先立つ
て、必要に応じて、各種の添加材を更に添加混合
しても良い。この際の添加材としては、珪酸カル
シウム系成形体製造に用いられて来たものが広い
範囲で使用出来、繊維類、粘土類、セメント、各
種バインダー等を例示出来る。 本発明成形体の製造においては、珪酸カルシウ
ム結晶の二次粒子と不活性物質及び必要に応じそ
の他の添加材よりなる水性スラリー、又はこのス
ラリーに更に非晶質シリカ物質を添加混合して得
た混合物を常法例えばプレス脱水成形、遠心脱水
成形等により成形し、乾燥して珪酸カルシウム系
成形体を収得することが出来る。尚、成形の際、
必要に応じて、上記により得られる不活性物質を
含む水性スラリー又は混合物を型に入れてプレス
脱水成形し、さらにその上に常法により得られる
不活性物質を含まない珪酸カルシウム結晶スラリ
ーを型に入れてプレス脱水成形するか、或いはこ
の逆の操作を行つて、積層成形体とすることもで
きる。 かくして得られる本発明成形体は、珪酸カルシ
ウム結晶が三次元的に絡合して形成された外径が
ほぼ5〜150μmの球殻状二次粒子、該二次粒子間
に散在する空隙及び該二次粒子に包み込まれた状
態で物理的に一体化した不活性物質、又はこれら
と非晶質シリカ物質から実質的に構成されている
ものであり、低密度にもかかわらず充分に満足で
きる実用強度を保持した上で、多量の不活性物質
の配合により又は不活性物質と非晶質シリカ物質
との併用により、広い温度範囲において断熱性が
著しく向上しているものである。 本発明の珪酸カルシウム系成形体としては、高
密度のものから低密度の軽量体まで容易に製造出
来るが、特に低密度の軽量体例えば嵩密度0.1g/
cm3程度の成形体を製造する場合には沈降容積5ml
以上の石灰乳を使用することが好ましい。特に好
ましいのは、沈降容積10ml以上のものである。 上記石灰乳の沈降容積とは、水対石灰の固形分
の比が120倍の石灰乳50mlを、内径が1.3cmで容積
が50cm3のメスシリンダー中で20分間静置後に石灰
の粒子が沈降した容積をmlで示したものである。
沈降容積が大きいということは、石灰が良く水に
分散して安定な状態にあり、反応性が高いことを
意味する。沈降容積が大きい石灰乳を使用するこ
とにより、得られる珪酸カルシウム結晶の二次粒
子の見掛密度が低くなるので低密度の軽量体の製
造が容易になる。 発明を実施するための最良の形態 以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体
的に説明する。但し下記例における部及び%は
夫々重量部及び重量%を示し、又各種物性は夫々
次の様な方法で測定したものである。 (イ) 曲げ強さ…JIS A 9510の方法に準じて測定
した。 (ロ) 熱伝導率…JIS A 9510の円筒法に準じて測
定した。 実施例 1 生石灰(CaO 95%)を80℃の温水中で消和し、
ホモミクサーにて水中で分散させて得た石灰乳の
沈降容積は14.1〜15.2mlであつた。上記石灰乳に
平均粒子径6.5μmの珪石粉末(SiO294%)を
CaO/SiO2モル比が1.00となるように加え、さら
に成形体中所定の含有量となるように酸化チタン
粉末(ルチル、平均粒子径2.3μm)及び水を添加
して、全体の水量が固形分の15重量倍となるよう
に混合して原料スラリーを得た。これを飽和水蒸
気圧12Kg/cm2、温度191℃でオートクレープ中で
回転数40r.p.m.で攪拌翼を回転しながら攪拌し、
5時間水熱合成反応を行つて珪酸カルシウム結晶
のスラリーを得た。 上記で得た結晶スラリーを100℃で24時間乾燥
して、X線回析分析した所、ゾノトライト結晶と
酸化チタン粉末を添加したものについてはルチル
結晶のピークが認められた。 また、これらの結晶スラリーを光学顕微鏡及び
走査型電子顕微鏡で観察すると、すべてのスラリ
ーにおいて、ゾノトライト結晶が三次元的に絡合
して形成された外径が5〜150μmの球殻状二次粒
子が認められた。また、酸化チタン粉末を添加し
たものについては、ルチル結晶がゾノトライト結
晶の二次粒子に包み込まれて物理的に一体化して
いることが認められた。 一例として第1図及び第2図に示した光学顕微
鏡写真を示す。即ち、本発明に従つてルチルを成
形体中25重量%となるように添加して得られる結
晶スラリー(後記第1表の試料No.3の成形体製
造に使用したもの)の光学顕微鏡写真(倍率250
倍)を示す第2図を、ルチルを添加していない結
晶スラリー(後記第1表の試料No.1の成形体製
造に使用したもの)の光学顕微鏡写真(倍率250
倍)を示す第1図と比較すると、第2図におい
て、ルチルはゾノトライト結晶の二次粒子に包み
込まれた状態で、該二次粒子と物理的に一体化し
ていることが明らかである。 次いで、上記で得た結晶スラリー90部(固形
分)にガラス繊維7部、ポルトランドセメント3
部を加えてプレス脱水成形し、100℃で乾燥して、
内径114mm、厚さ50mm、長さ610mmの筒状成形体を
得た。 上記で得られた各成形体の構造を調べるため、
光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、すべての成形体はゾノトライト結晶の二次粒
子が多数相互に連結されて構成されており、酸化
チタン粉末を添加したものについてはルチル結晶
が該二次粒子に包み込まれた状態で物理的に一体
化して存在していることが認められた。 得られた各成形体の物性は第1表の通りであつ
た。
【表】 第1表中、本発明成形体は試料No.3〜7のもの
であり、試料No.1,2及び8のものは比較のため
に示すものである。 第1表より、ルチル含有量が成形体中21〜70%
の範囲にある本発明成形体はいずれも充分に満足
できる実用的強度を有する上で、無添加の試料No.
1の成形体に比べて、広い温度範囲で熱伝導率が
著しく低減していることが明らかである。これに
対して、ルチルの含有量が少ないNo.2の試料で
は、無添加の試料No.1の成形体に比べて、平均温
度150℃以上では熱伝導率の低下が認められるが
不充分であり、平均温度70℃では熱伝導率の低下
がほとんど認められず、又逆にルチル含有量が多
いNo.8の試料に於ても、熱伝導率の低下が不充分
であり、しかも成形体の曲げ強さが著しく低く実
用に供し得ないことが認められる。 実施例 2 生石灰(CaO 95%)を80℃の温水中で消和し、
ホモミクサーにて水中で分散させて得た石灰乳の
沈降容積は13.5〜15.2mlであつた。上記石灰乳に
平均粒子径7.1μmの珪石粉末(SiO294%)を
CaO/SiO2モル比が1.00となるように加え、更に
成形体中所定の含有量となるように酸化鉄粉末
(ヘマタイト、平均粒子径0.51μm)及び水を添加
して、全体の水量が固形分の15重量倍となるよう
に混合して原料スラリーを得た。これを飽和水蒸
気圧12Kg/cm2、温度191℃でオートクレープ中で
回転数40r.p.m.で攪拌翼を回転しながら攪拌し5
時間水熱合成反応を行なつて珪酸カルシウム結晶
のスラリーを得た。 上記で得た結晶スラリーを100℃で24時間乾燥
して、X線回析分析した所、ゾノトライト結晶と
酸化鉄粉末を添加したものについてはヘマタイト
結晶のピークが認められた。 また、これらの結晶スラリーを光学顕微鏡及び
走査型電子顕微鏡で観察すると、すべてのスラリ
ーにおいて、ゾノトライト結晶が三次元的に絡合
して形成された外径が5〜150μmの球殻状二次粒
子が認められた。また、酸化鉄粉末を添加したも
のについては、ヘマタイト結晶がゾノトライト結
晶の二次粒子に包み込まれて物理的に一体化して
いることが認められた。 次いで、上記で得た結晶スラリー90部(固形
分)にガラス繊維7部、ポルトランドセメント3
部を加えてプレス脱水成形し、100℃で乾燥して、
実施例1と同形状の成形体を得た。 上記で得られた各成形体の構造を調べるため、
光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、すべての成形体において、ゾノトライト結晶
の二次粒子が多数相互に連結しており、また酸化
鉄粉末を添加したものについてはヘマタイト結晶
が該二次粒子に包み込まれた状態で物理的に一体
化して存在しているのが認められた。 得られた各成形体の物性は第2表の通りであつ
た。
【表】 第2表中、本発明成形体は試料No.11〜15のもの
であり、試料No.9,10及び16は比較のために示す
ものである。 第2表より、ヘマタイト含有量が成形体中21〜
70%の範囲にある本発明成形体はいずれも充分に
満足できる実用的強度を有する上で、無添加の試
料No.9の成形体に比べて、広い温度範囲で熱伝導
率が著しく低減していることが明らかである。 これに対して、ヘマタイトの含有量が少ないNo.10
の試料では、無添加の試料NNo.9の成形体に比べ
て、平均温度150℃以上では熱伝導率の低下が認
められるが不充分であり、平均温度70℃では熱伝
導率の低下が認められず、又逆にヘマタイト含有
量が多いNo.16の試料に於いても、熱伝導率の低下
が不充分であり、しかも成形体の曲げ強さが著し
く低く実用に供し得ないことが認められる。 実施例 3 生石灰(CaO 95%)32.0部を80℃の温水384部
中で消和し、ホモミクサーにて水中で分散させて
得た石灰乳の沈降容積は21.3mlであつた。上記石
灰乳に実施例2と同様の珪石粉末(SiO294%)
34.7部と酸化鉄粉末33.3部(成形体中では30%に
相当)を加え、更に水を加えて、全体の水量を固
形分の20重量倍となるように混合して原料スラリ
ーを得た。これを飽和水蒸気圧12Kg/cm2、温度
191℃でオートクレープ中で回転数40r.p.m.で攪
拌翼を回転しながら攪拌し、5時間水熱合成反応
を行つて珪酸カルシウム結晶のスラリーを得た。
上記で得た結晶スラリーを100℃で24時間乾燥
して、X線回折分析した所、ゾノトライト結晶と
ヘマタイト結晶のピークが認められた。 また、この結晶スラリーを光学顕微鏡及び走査
型電子顕微鏡で観察すると、ゾノトライト結晶が
三次元的に絡合して形成された外径が5〜150μm
の球殻状二次粒子が認められ、またヘマタイト結
晶がゾノトライト結晶の二次粒子に包み込まれて
物理的に一体化していることが認められた。 次いで、上記で得たスラリー90部(固形分)に
ガラス繊維7部、ポルトランドセメント3部を加
えてプレス脱水成形し、100℃で乾燥して、実施
例1と同形状で嵩密度の異なる2種の本発明成形
体(試料No.17及び18)を得た。 上記で得られた各成形体の構造を調べるため、
光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、すべての成形体において、ゾノトライト結晶
の二次粒子が多数相互に連結し、またヘマタイト
結晶が該二次粒子に包み込まれた状態で物理的に
一体化して存在しているのが認められた。 また、比較のため、酸化鉄粉末を使用しない他
は、上記と同様にして同形状の成形体(試料No.19
及び20)を得た。 得られた各成形体の物性は第3表の通りであつ
た。
【表】 比較例 1 生石灰(CaO 95%)を80℃の温水中で消和し
て得た石灰乳に珪石粉末(SiO294%)をCaO/
SiO2モル比が1.00となるように加え、さらに成形
体中所定の含有量となるように実施例2と同様の
酸化鉄粉末(ヘマタイト)と成形体中20%となる
ようにクリソタイル石綿とをそれぞれ添加し、さ
らに水を加えて全体の水量が固形分の7重量倍と
なるように混合して原料スラリーを得、これを内
径114mm、厚さ50mm、長さ610mmの筒状鋳型に入れ
て、そのままオートクレーブ中で飽和水蒸気圧15
Kg/cm2、温度200℃で6時間水熱合成反応させた。 反応後、鋳型をとり出して脱型し、反応物を乾
燥させた。得られた各成形体の結晶は、X線回折
分析したところ、ゾノトライト結晶であることが
認められた。、また、各成形体の構造を調べるた
め、破断面を光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡で
観察したところ、ゾノトライト結晶の二次粒子の
存在は認められなかつた。物性等は、第4表の通
りであつた。
【表】
【表】 第4表から明らかなように、ヘマタイトを含有
する原料スラリーを成形後、静置下に水熱合成反
応させて得られるゾノライト結晶が二次粒子を形
成しない成形体では、ヘマタイトの含有量の増加
につれて曲げ強さが極端に低下し、20%の添加で
実用的強度がなくなり、25%以上添加すると最早
嵩密度0.16及び0.20g/cm3程度の軽量成形体を製
造することができないのが判る。 比較例 2 酸化チタン粉末を使用しない他は、実施例1と
同様にして珪酸カルシウム結晶のスラリーを得
た。 上記で得た結晶スラリーを100℃で24時間乾燥
して、X線回折分析した所、ゾノトライト結晶の
ピークが認められた。また、この結晶スラリーを
スライドグラス上で乾燥して光学顕微鏡で観察す
ると外径が5〜150μmの球状二次粒子が認められ
た。次いで、上記で得たスラリー90部(固形分)
にガラス繊維7部、ポルトランドセメント3部及
び実施例1と同様の酸化チタン粉末を成形体中25
重量%又は40重量%となるように加えてプレス脱
水成形し、100℃で乾燥して、実施例1と同形状
の比較成形体を得た。 得られた成形体の物性は第5表の通りであつ
た。
【表】
【表】 第5表より、酸化チタン粉末を成形体中20重量
%を越えて添加し、且つその添加を水熱合成反応
後に行つた場合には、曲げ強さの極端な低下を招
くことが明らかである。 比較例 3 全体の水量を固形分の30重量倍とした以外、比
較例2と同様にして調製した原料スラリーを、飽
和水蒸気圧15Kg/cm2、温度200℃でオートクレー
ブ中で回転数40r.p.m.で攪拌翼を回転しながら2
時間水熱合成反応を行つてC−S−H(I)を主
成分とする水性スラリーを得た。 次いで上記で得たスラリー93部(固形分)に耐
アルカリガラス繊維7部又はこれらに更に実施例
1と同様の酸化チタン粉末を成形体中25重量%又
は40重量%となる様に加えてプレス脱水成形し、
実施例1と同形状の比較成形体を得た。この成形
体を15Kg/cm2の飽和水蒸気圧で3時間水蒸気養生
した後、100℃で乾燥させた。得られた成形体を
X線回折分析した所、ゾノトライト結晶と酸化チ
タン粉末を添加したものについてはさらにルチル
結晶のピークが認められた。 このものの物性は第6表の通りであつた。
【表】 第6表より、C−S−H(I)のスラリーに酸
化チタン粉末を添加し、成形するときには、成形
後に水蒸気養生を行つても曲げ強さは極端に低下
することが判る。 比較例 4 実施例1と同様の酸化チタン粉末を成形体中に
15%及び25%となるように原料スラリーに添加し
た以外、比較例3と同様にしてC−S−H(I)
及びルチル結晶よりなる水性スラリーを得た。 次いで上記で得たスラリー93部(固形分)に比
較例3と同様の耐アルカリガラス繊維7部を加え
てプレス脱水成形し、実施例1と同形状の比較成
形体を得た。この成形体を15Kg/cm2の飽和水蒸気
圧で3時間水蒸気養生した後、100℃で乾燥させ
た。 得られた成形体をX線回折分析した所、ゾノト
ライト結晶とルチル結晶のピークが認められた。 得られた成形体は、乾燥により著しく変形、収
縮し、所定の形状を保持していなかつた。 この結果から、酸化チタン粉末を含有する原料
スラリーを予備的に反応させてC−S−H(I)
のスラリーを得、これを成形後、水蒸気養生を行
なう方法では、成形体中15%以上程度の添加で、
成形体の製造が困難になることが判る。 実施例 4 生石灰(CaO 95%)32部を80℃の温水384部中
で消和し、ホモミクサーにて水中で分散させて得
た石灰乳の沈降容積は15〜16mlであつた。上記石
灰乳に平均粒子径6.5μmの珪石粉末(SiO294%)
34.7部と第7表に示す不活性物質33.3部(成形体
中では30%に相当)を加え、更に水を加えて、全
体の水量を固形分の15重量倍となるように混合し
て原料スラリーを得た。これを飽和水蒸気圧12
Kg/cm2、温度191℃でオートクレーブ中で回転数
40r.p.m.で攪拌翼を回転しながら攪拌し、5時間
水熱合成反応を行つて珪酸カルシウム結晶のスラ
リーを得た。 上記で得た結晶スラリーを100℃で24時間乾燥
して、X線回折分析し所、ゾノトライト結晶と上
記不活性物質のピークが認められた。 また、これらの結晶スラリーを光学顕微鏡及び
走査型電子顕微鏡で観察すると、すべてのスラリ
ーにおいて、ゾノトライト結晶が三次元的にに絡
合して形成された外径が5〜150μmの球殻状二次
粒子が認められた。また、不活性物質を添加した
ものについては、不活性物質がゾノライト結晶の
二次粒子に包み込まれて物理的に一体化している
ことが認められた。 次いで、上記で得たスラリー90部(固形分)に
ガラス繊維7部、ポルトランドセメント3部を加
えてプレス脱水成形し、100℃で乾燥して、実施
例1と同形状の成形体を得た。 上記で得られた各成形体の構造を調べるため、
破断面を光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡で観察
したところ、すべての成形体は、ゾノライト結晶
の二次粒子が多数相互に連結して構成されてお
り、また不活性物質を添加したものについては不
活性物質が該二次粒子に包み込まれた状態で物理
的に一体化して存在しているのが認められた。 得られた各成形体の物性は第7表の通りであつ
た。
【表】 また、珪化カルシウム、酸化錫、及び酸化マン
ガンの夫々について上記と同様に処理すると、上
記とほぼ同じ程度の物性を有する成形体が得られ
る。 実施例 5 生石灰(CaO 95%)38.4部を80℃の温水474部
中で消和し、ホモミクサーにて水中で分散させて
沈降容積18mlの石灰乳を得た。上記石灰乳に平均
粒子径7.4μmの珪石粉末(SiO294%)41.6部と平
均粒子径0.51μmの酸化鉄粉末(ヘマタイト)20.0
部(成形体中では15.0%に相当)を加え、更に水
を加えて、全体の水量を固形分の20重量倍となる
ように混合して原料スラリーを得、これを飽和水
蒸気圧12Kg/cm2、温度191℃でオートクレーブ中
で回転数40r.p.m.で攪拌翼を回転しながら攪拌し
5時間水熱合成反応を行なつて珪酸カルシウム結
晶のスラリーを得た。 上記で得た結晶スラリーを100℃で24時間乾燥
して、X線回折分析し所、ゾノトライト結晶とヘ
マタイト結晶のピークが認められた。 また、この結晶スラリーを光学顕微鏡及び走査
型電子顕微鏡で観察すると、ゾノトライト結晶が
三次元的に絡合して形成された外径が5〜150μm
の球殻状二次粒子が認められ、またヘマタイト結
晶がゾノトライト結晶の二次粒子に包み込まれて
物理的に一体化していることが認められた。 次いで、上記で得た結晶スラリー75部(固形
分)にホワイトカーボン、(商標「トクシール
GU」、粒子径0.02〜0.04μm,徳山曹達(株)製)10
部、更に添加材としてガラス繊維7部、パルプ5
部、ポルトランドセメント3部を加えてプレス脱
水成形し、100℃で乾燥して、実施例1と同形状
の本発明成形体(試料No.36)を得た。 さらにホワイトカーボンに代えて外径が10〜
60μmのオプシルーを用い、上記と同様にして
同形状の本発明成形体(試料No.37)を得た。 各成形体の物性は、後記第8表の通りである。 尚オプシルーは、米国特許第4230765号に記
載の実施例6と同様にして製造したものである。
即ち水熱合成反応して得たゾノトライト結晶スラ
リーを脱水し、水対ゾノトライト結晶固形分の重
量比を5/1とし、これを湿潤雰囲気の容器中に
入れ炭酸ガスを圧入して3Kg/cm2の内圧とし約30
分間反応させた。次いで、反応物を濃度6規定の
塩酸溶液で1分間処理後充分に水洗して塩化カル
シウムを完全に溶出せしめ、外径が10〜60μmで
嵩高な非晶質シリカゲル二次粒子のスラリーを得
た。このスラリーを乾燥して、上記オプシルー
として使用した。 比較例 5 実施例5の試料No.36の成形体において酸化鉄粉
末及びホワイトカーボンを使用しない他は、同様
にして同形状の比較成形体(試料No.38)を得た。 また、試料No.36の成形体においてホワイトカー
ボンを使用せず、成形体中の酸化鉄含有量が15%
になるように酸化鉄粉末の添加量を17.15部とし
た他は、同様にして同形状の比較成形体(試料No.
39)を得た。 また、試料No.37の成形体において酸化鉄粉末を
使用しない他は、同様にして同形状の比較成形体
(試料No.40)を得た。 また、試料No.36の成形体において非晶質シリカ
であるホワイトカーボンに代えて結晶質シリカで
ある珪石粉末(平均粒子径4μm)を用いた他は、
同様にして同形状の比較成形体(試料No.41)を得
た。 また、試料No.36の成形体において酸化鉄粉末を
添加せずに水熱合成反応を行なつた後に、同量の
酸化鉄粉末及び同量のホワイトカーボンを添加
し、同様に成形して同形状の比較成形体(試料No.
42)を得た。 尚、比較例5における添加材(ガラス繊維:パ
ルプ:ポルトランドセメント=7:5:3)の添
加量は、何れの試料についても実施例5と同様に
成形体中15%となるようにした。 実施例5及び比較例5で得られた各成形体の物
性を第8表に示す。
【表】 ** 水熱合成反応後に添加した。
第8表より、不活性物質を水熱合成反応前に添
加し、更に非晶質シリカ物質を水熱合成反応後に
添加することにより、充分に満足できる実用強度
を保持した上で、不活性物質の添加量が15%であ
つても、低温域から高温域までの広い温度範囲に
おいて熱伝導率が著しく低減した珪酸カルシウム
系成形体を得られることが明らかである。 また、オプシルーを用いた場合は、ホワイト
カーボンを用いた場合に比べて強度が大きいこと
が判る。 実施例 6 生石灰(CaO 95%)38.4部を80℃の温水474部
中で消和し、ホモミクサーにて水中で分散させて
得た石灰乳の沈降容積は17〜20mlであつた。上記
石灰乳に平均粒子径6.5μmの珪石粉末(SiO295
%)41.6部と下記第9表に示す不活性物質粉末を
20.0部(成形体中では15.0%に相当)加え、実施
例5と同様にして水熱合成反応に行なつて珪酸カ
ルシウム結晶のスラリーを得た。 上記で得た結晶スラリーを100℃で24時間乾燥
して、X線回折分析した所、ゾノトライト結晶と
上記不活性物質のピークが認められた。 また、これらの結晶スラリーを光学顕微鏡及び
走査型電子顕微鏡で観察すると、すべてのスラリ
ーにおいてゾノトライト結晶が三次元的に絡合し
て形成された外径が5〜150μmの球殻状二次粒子
が認められ、また不活性物質がゾノトライト結晶
の二次粒子に包み込まれて物理的に一体化してい
ることが認められた。 次いで、上記で得た結晶スラリー75部(固形
分)に下記第9表に示す非晶質シリカ物質10部、
さらに添加材としてガラス繊維7部、パルプ5
部、ポルトランドセメント3部を加えて、プレス
脱水成形し、100℃で乾燥して実施例1と同形状
の本発明成形体を得た。 得られた各成形体の物性は第9表の通りであつ
た。
【表】
【表】
【表】 第9表中、オプシルーは、前記実施例5で用
いたものと同じである。 第9表より、不活性物質及び非晶質シリカ物質
の組合せを種々変化させた場合にも、充分に満足
できる実用強度を保持した上で広い温度範囲にお
いて熱伝導率が著しく低減した成形体が得られる
ことが明らかである。 実施例 7 実施例5と同様にして得られた珪酸カルシウム
結晶のスラリー65部(固形分)にホワイトカーボ
ン(商標「ニツプシールVN3」、平均粒子径
0.016μm、日本シリカ(株)製)20部、更に添加剤と
してガラス繊維7部、パルプ5部、ポルトランド
セメント3部を加えてプレス脱水成形し、100℃
で乾燥して実施例1と同形状の本発明成形体を得
た。尚、得られた成形体中におけるヘマタイト含
有量は13%である。 得られた成形体の物性は第10表の通りであつた
【表】 実施例 8 生石灰(CaO 95%)33.0部を80℃の温水396部
中で消和し、ホモミクサーにて水中で分散させて
得た石灰乳の沈降容積は23.6mlであつた。上記石
灰乳に実施例5と同様の珪石粉末35.7部と同じく
実施例5と同様の酸化鉄粉末(ヘマタイト)31.3
部(成形体中では25.0%に相当)を加え、更に水
を加えて、全体の水量を固形分の20重量倍となる
ように混合して原料スラリーを得、これを飽和水
蒸気圧12Kg/cm2、温度191℃でオートクレーブ中
で回転数40r.p.m.で攪拌翼を回転しながら攪拌
し、5時間水熱合成反応を行なつて珪酸カルシウ
ム結晶のスラリーを得た。 上記で得た結晶スラリーを100℃で24時間乾燥
して、X線回折分析した所、ゾノトライト結晶と
ヘマタイト結晶のピークが認められた。 また、この結晶スラリーを光学顕微鏡及び走査
型電子顕微鏡で観察すると、ゾノトライト結晶が
三次元的に絡合して形成された外径が5〜150μm
の球殻状二次粒子が認められ、また、ヘマタイト
結晶がゾノトライト結晶の二次粒子に包み込まれ
て物理的に一体化していることが認められた。 次いで、上記で得たスラリー80部(固形分)に
実施例5と同様のオプシルー10部、さらに添加
材としてガラス繊維7部、セメント3部を加えて
プレス脱水成形し、100℃で乾燥して、嵩密度が
異なる2種の実施例1と同形状の本発明成形体
(試料No.54及び55)を得た。物性を第11表に示す。 比較例 6 実施例8において石灰乳の沈降容積が18mlであ
り酸化鉄粉末及びオプシルーを使用しない他
は、同様にして同形状の比較成形体(試料No.56及
び57)を得た。 また、実施例8において石灰乳の沈降容積が18
mlであり酸化鉄粉末を使用しない他は、同様にし
て同形状の比較成形体(試料No.58及び59)を得
た。 尚、比較例6における添加材(ガラス繊維:セ
メント=7:3)の添加量は、実施例8と同様に
成形体中10%である。 実施例8及び比較例6で得られた各成形体の物
性を第11表に示す。
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1における試料No.1の成形体
製造に使用した珪酸カルシウム結晶スラリーの光
学顕微鏡写真(倍率250倍)である。第2図は、
実施例1における試料No.3の成形体製造に使用し
た珪酸カルシウム結晶スラリーの光学顕微鏡写真
(倍率250倍)である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 多数の相互に連結した珪酸カルシウム結晶の
    二次粒子、該二次粒子間に散在した空隙、及び該
    二次粒子に包み込まれ状態で該二次粒子と物理的
    に一体化した炭素物質、炭化物、窒化物、珪化物
    及び金属酸化物の少なくとも1種である無機不活
    性物質を含有してなり、不活性物質の含有量が成
    形体中21〜70重量%である珪酸カルシウム系成形
    体。 2 珪酸カルシウム結晶の二次粒子が、元来、珪
    酸カルシウム結晶が三次元的に絡合して形成され
    たほぼ球殻状で外径が5〜150μm程度の形態のも
    のである特許請求の範囲第1項に記載の成形体。 3 不活性物質の含有量が、成形体中25〜55重量
    %である特許請求の範囲第1項に記載の成形体。 4 炭素物質が活性炭、木炭、石炭、カーボンブ
    ラツク及び黒鉛の少なくとも1種であり、炭化物
    が炭化珪素、炭化硼素及び炭化チタンの少なくと
    も1種であり、窒化物が窒化珪素、窒化硼素及び
    窒化チタンの少なくとも1種であり、珪化物が珪
    化カルシウムであり、金属酸化物が酸化鉄、酸化
    チタン、酸化錫、酸化マンガン、酸化ジルコニウ
    ム、イルメナイト、ジルコン及びクロマイトの少
    なくとも1種である特許請求の範囲第1項に記載
    の成形体。 5 珪酸カルシウム結晶が、トベルモライト結晶
    又は(及び)ゾノトライト結晶である特許請求の
    範囲第1項に記載の成形体。 6 多数の相互に連結した珪酸カルシウム結晶の
    二次粒子、該二次粒子間に散在した空隙、該二次
    粒子に包み込まれた状態で該二次粒子と物理的に
    一体化した炭素物質、炭化物、窒化物、珪化物及
    び金属酸化物の少なくとも1種である無機不活性
    物質、及び非晶質シリカ物質を含有してなる珪酸
    カルシウム系成形体。 7 珪酸カルシウム結晶の二次粒子が、元来、珪
    酸カルシウム結晶が三次元的に絡合して形成され
    たほぼ球殻状で外径が5〜150μm程度の形態のも
    のである特許請求の範囲第6項に記載の成形体。 8 炭素物質が活性炭、木炭、石炭、カーボンブ
    ラツク及び黒鉛の少なくとも1種であり、炭化物
    が炭化珪素、炭化硼素及び炭化チタンの少なくと
    も1種であり、窒化物が窒化珪素、窒化硼素及び
    窒化チタンの少なくとも1種であり、珪化物が珪
    化カルシウムであり、金属酸化物が酸化鉄、酸化
    チタン、酸化錫、酸化マンガン、酸化ジルコニウ
    ム、イルメナイト、ジルコン及びクロマイトの少
    なくとも1種である特許請求の範囲第6項に記載
    の成形体。 9 不活性物質の含有量が、成形体中2〜60重量
    %である特許請求の範囲第6項に記載の成形体。 10 不活性物質の含有量が、成形体中5〜50重
    量%である特許請求の範囲第9項に記載の成形
    体。 11 非晶質シリカ物質が、ホワイトカーボン、
    フエロシリコンダスト、シリコンダスト、珪藻
    土、フライアツシユ及びシリカゲルの少なくとも
    1種である特許請求の範囲第6項に記載の成形
    体。 12 非晶質シリカ物質が、オプシルーである
    特許請求の範囲第6項に記載の成形体。 13 非晶質シリカ物質の含有量が、成形体中2
    〜60重量%である特許請求の範囲第6項に記載の
    成形体。 14 非晶質シリカ物質の含有量が、成形体中5
    〜50重量%である特許請求の範囲第13項に記載
    の成形体。 15 不活性物質及び非晶質シリカ物質の合計含
    有量が、成形体中4〜70重量%である特許請求の
    範囲第6項に記載の成形体。 16 不活性物質及び非晶質シリカ物質の合計含
    有量が、成形体中10〜50重量%である特許請求の
    範囲第15項に記載の成形体。 17 珪酸カルシウム結晶が、トベルモライト結
    晶又は(及び)ゾノトライト結晶である特許請求
    の範囲第6項に記載の成形体。
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Citations (5)

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