JPH05239712A - 耐摩耗性に優れた高強力アクリル繊維の製造法 - Google Patents
耐摩耗性に優れた高強力アクリル繊維の製造法Info
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- JPH05239712A JPH05239712A JP7289292A JP7289292A JPH05239712A JP H05239712 A JPH05239712 A JP H05239712A JP 7289292 A JP7289292 A JP 7289292A JP 7289292 A JP7289292 A JP 7289292A JP H05239712 A JPH05239712 A JP H05239712A
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- Japan
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- fiber
- hot plate
- weight
- organic solvent
- spinning
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- Artificial Filaments (AREA)
- Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
- Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 高強力で耐摩耗性に優れ高伸度の産業資材用
に適するアクリロニトリル系繊維。 【構成】 重量平均分子量50万以上のアクリロニトリ
ル系重合体の、5〜15%有機溶剤溶液で45℃で50
0〜1500ポイズの原液を、乾湿式紡糸法で、有機溶
剤と水からなる凝固浴に紡糸し、温水中で延伸しながら
脱溶媒し、全延伸倍率が15倍以上の延伸を行い、次い
で150〜200℃の熱ロールで熱処理し、更に200
〜300℃の熱板で、熱板に接触直前の繊維の張力と、
熱板通過直後の繊維の張力の差ΔTが0.1g/d以下
で熱処理する。
に適するアクリロニトリル系繊維。 【構成】 重量平均分子量50万以上のアクリロニトリ
ル系重合体の、5〜15%有機溶剤溶液で45℃で50
0〜1500ポイズの原液を、乾湿式紡糸法で、有機溶
剤と水からなる凝固浴に紡糸し、温水中で延伸しながら
脱溶媒し、全延伸倍率が15倍以上の延伸を行い、次い
で150〜200℃の熱ロールで熱処理し、更に200
〜300℃の熱板で、熱板に接触直前の繊維の張力と、
熱板通過直後の繊維の張力の差ΔTが0.1g/d以下
で熱処理する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タイヤコード、ドライ
ヤーキャンバス、バグフィルター、資材用織物等の産業
資材用の分野に使用可能な耐摩耗性に優れた高強力アク
リル繊維の製造法に関する。
ヤーキャンバス、バグフィルター、資材用織物等の産業
資材用の分野に使用可能な耐摩耗性に優れた高強力アク
リル繊維の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル繊維は、衣料用途として大量に
生産されているが、工業用または産業用としては、機械
的強度が十分でないために、ほとんど使用されていない
のが現状である。したがって、工業用もしくは、産業資
材用繊維として、使用可能な機械的特性を有するアクリ
ル繊維を製造する試みが数多く提案されている。例え
ば、特開昭57−51819号公報、特開昭57−16
1117号公報、特開昭59−199809号公報等に
アクリル繊維の強度を向上させるための技術が開示され
ている。
生産されているが、工業用または産業用としては、機械
的強度が十分でないために、ほとんど使用されていない
のが現状である。したがって、工業用もしくは、産業資
材用繊維として、使用可能な機械的特性を有するアクリ
ル繊維を製造する試みが数多く提案されている。例え
ば、特開昭57−51819号公報、特開昭57−16
1117号公報、特開昭59−199809号公報等に
アクリル繊維の強度を向上させるための技術が開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの公知技術は、
何れも引張強度の向上を目的としている。しかしなが
ら、アクリル繊維を産業資材用の分野に使用するために
は、引張強度のみならず、他の機械的性質、例えば伸度
の向上、耐摩耗性の向上も合わせて要求される。そこ
で、本発明は、高重合度のアクリロニトリル系重合体を
用いて、機械的特性のバランスに優れた高強力アクリル
繊維の製造法を提供することを課題とするものである。
何れも引張強度の向上を目的としている。しかしなが
ら、アクリル繊維を産業資材用の分野に使用するために
は、引張強度のみならず、他の機械的性質、例えば伸度
の向上、耐摩耗性の向上も合わせて要求される。そこ
で、本発明は、高重合度のアクリロニトリル系重合体を
用いて、機械的特性のバランスに優れた高強力アクリル
繊維の製造法を提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、95重量%以
上のアクリロニトリルを含有する重量平均分子量50万
以上のアクリロニトリル系重合体を、有機溶剤に5〜1
5重量%の割合で溶解した粘度が45℃で500〜15
00ポイズの紡糸原液を、乾湿式紡糸法で水と有機溶剤
からなる凝固浴中に紡糸し、得られた凝固糸を温水中で
延伸しながら、繊維中に含まれる有機溶剤を洗浄除去
し、全延伸倍率が15倍以上の延伸を施し次いで、15
0〜200℃の熱ロールで熱処理し、更に、温度200
℃〜300℃の熱板で、かつ、熱板に接触する直前の繊
維の張力と、熱板を通過した直後の繊維の張力の差ΔT
が0.1g/d以下の条件の下に熱処理することを特徴
とする耐摩耗性に優れた高強力アクリル繊維の製造法に
ある。
上のアクリロニトリルを含有する重量平均分子量50万
以上のアクリロニトリル系重合体を、有機溶剤に5〜1
5重量%の割合で溶解した粘度が45℃で500〜15
00ポイズの紡糸原液を、乾湿式紡糸法で水と有機溶剤
からなる凝固浴中に紡糸し、得られた凝固糸を温水中で
延伸しながら、繊維中に含まれる有機溶剤を洗浄除去
し、全延伸倍率が15倍以上の延伸を施し次いで、15
0〜200℃の熱ロールで熱処理し、更に、温度200
℃〜300℃の熱板で、かつ、熱板に接触する直前の繊
維の張力と、熱板を通過した直後の繊維の張力の差ΔT
が0.1g/d以下の条件の下に熱処理することを特徴
とする耐摩耗性に優れた高強力アクリル繊維の製造法に
ある。
【0005】以下、本発明を詳述する。本発明において
用いるアクリロニトリル系重合体は、重量平均分子量5
0万以上であることが必要である。高強力アクリル繊維
を製造するためには、以下に記すように15倍以上の高
延伸をおこなう必要があるが、重量平均分子量50万未
満のアクリロニトリル系重合体を用いた場合にはこのよ
うな高倍率延伸を行なうことは不可能であり、高強力ア
クリル繊維を得ることはできない。
用いるアクリロニトリル系重合体は、重量平均分子量5
0万以上であることが必要である。高強力アクリル繊維
を製造するためには、以下に記すように15倍以上の高
延伸をおこなう必要があるが、重量平均分子量50万未
満のアクリロニトリル系重合体を用いた場合にはこのよ
うな高倍率延伸を行なうことは不可能であり、高強力ア
クリル繊維を得ることはできない。
【0006】本発明に用いられる重量平均分子量50万
以上のアクリロニトリル系重合体は、通常の懸濁重合
法、乳化重合法及び溶液重合法によって製造することが
できるが、例えば特開昭61−111310号公報に記
載の方法、すなわちアクリロニトリル10〜70重量
%、有機溶剤15〜60重量%、水16〜60重量%の
混合物をラジカル開始剤の存在下で重合した後、水及び
/又は有機溶剤をアクリロニトリル単量体1重量部に対
し1〜10重量部添加して重合する方法が、本発明のア
クリル繊維に用いる高分子量の重合体が安定に得られる
という点で好ましい。
以上のアクリロニトリル系重合体は、通常の懸濁重合
法、乳化重合法及び溶液重合法によって製造することが
できるが、例えば特開昭61−111310号公報に記
載の方法、すなわちアクリロニトリル10〜70重量
%、有機溶剤15〜60重量%、水16〜60重量%の
混合物をラジカル開始剤の存在下で重合した後、水及び
/又は有機溶剤をアクリロニトリル単量体1重量部に対
し1〜10重量部添加して重合する方法が、本発明のア
クリル繊維に用いる高分子量の重合体が安定に得られる
という点で好ましい。
【0007】なお、特開昭61−111310号公報に
記載された発明で用いる有機溶剤としては、ジメチルホ
ルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA
c)、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド(D
MSO)等が挙げられている。
記載された発明で用いる有機溶剤としては、ジメチルホ
ルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA
c)、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド(D
MSO)等が挙げられている。
【0008】本発明で用いるアクリロニトリル系重合体
の組成は、そのアクリル繊維の使用目的によって自由に
選択できるが、その繊維物性の点から共重合割合を5重
量%以下にするのが好ましい。5重量%を超える共重合
成分を共重合した場合には、その耐食性、耐アルカリ性
等アクリル繊維の長所が低下する。
の組成は、そのアクリル繊維の使用目的によって自由に
選択できるが、その繊維物性の点から共重合割合を5重
量%以下にするのが好ましい。5重量%を超える共重合
成分を共重合した場合には、その耐食性、耐アルカリ性
等アクリル繊維の長所が低下する。
【0009】共重合成分の具体例としては、メチルアク
リレートまたはメタクリレート、エチルアクリレートま
たはメタクリレート、n−もしくはイソ−もしくはt−
ブチルアクリレートまたはメタクリレート、2−エチル
ヘキシルアクレリートまたはメタクリレート、α−クロ
ロアクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、ヒドロキシルエチルメタクリレート、ヒドロキシア
ルキルアクリレートまたはメタクリレート、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、酢酸ビニル等の不飽
和単量体が挙げられる。これ以外にもアクリロニトリル
と共重合しうる単量体なら何れの単量体でもよく、これ
らは単独であるいは併用してアクリロニトリルと共重合
させることができる。
リレートまたはメタクリレート、エチルアクリレートま
たはメタクリレート、n−もしくはイソ−もしくはt−
ブチルアクリレートまたはメタクリレート、2−エチル
ヘキシルアクレリートまたはメタクリレート、α−クロ
ロアクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、ヒドロキシルエチルメタクリレート、ヒドロキシア
ルキルアクリレートまたはメタクリレート、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、酢酸ビニル等の不飽
和単量体が挙げられる。これ以外にもアクリロニトリル
と共重合しうる単量体なら何れの単量体でもよく、これ
らは単独であるいは併用してアクリロニトリルと共重合
させることができる。
【0010】前記の高分子量のアクリロニトリル系重合
体をDMF、DMAc,DMSO、γ−ブチロラクトン
等の有機溶媒に溶解して紡糸原液を調製する。高強力繊
維を得るためには繊維を構成する分子鎖全体を繊維軸方
向に伸びた、いわゆる伸び切り鎖の状態に近づけること
が必要であり、紡糸、延伸段階で重合体分子鎖を引き揃
え易くするために分子鎖が十分にほぐれた重合体溶液
(紡糸原液)を調製することが重要である。
体をDMF、DMAc,DMSO、γ−ブチロラクトン
等の有機溶媒に溶解して紡糸原液を調製する。高強力繊
維を得るためには繊維を構成する分子鎖全体を繊維軸方
向に伸びた、いわゆる伸び切り鎖の状態に近づけること
が必要であり、紡糸、延伸段階で重合体分子鎖を引き揃
え易くするために分子鎖が十分にほぐれた重合体溶液
(紡糸原液)を調製することが重要である。
【0011】紡糸原液の粘度は、乾湿式紡糸法によって
紡糸を行なう場合、その操作性を考えると45℃で50
0〜1500ポイズの範囲に設定するのが好ましい。1
500ポイズを超える粘度を持つ紡糸原液を用いて紡糸
を行なう場合には紡糸ノズル、原液濾過機を始めとして
紡糸装置に非常に高い圧力が加わることになり紡糸機の
耐久性が低下する。紡糸原液を高温にすることで粘度を
低下させることも可能であるが、この場合溶媒や原液の
安定性が低下するといった問題点が生じてくる。45℃
における粘度が500ポイズ未満の紡糸原液を用いた場
合は曳糸性が低下し乾湿式紡糸によって安定に紡糸する
ことはできない。
紡糸を行なう場合、その操作性を考えると45℃で50
0〜1500ポイズの範囲に設定するのが好ましい。1
500ポイズを超える粘度を持つ紡糸原液を用いて紡糸
を行なう場合には紡糸ノズル、原液濾過機を始めとして
紡糸装置に非常に高い圧力が加わることになり紡糸機の
耐久性が低下する。紡糸原液を高温にすることで粘度を
低下させることも可能であるが、この場合溶媒や原液の
安定性が低下するといった問題点が生じてくる。45℃
における粘度が500ポイズ未満の紡糸原液を用いた場
合は曳糸性が低下し乾湿式紡糸によって安定に紡糸する
ことはできない。
【0012】重量平均分子量50万以上のアクリロニト
リル系重合体を用いて45℃で500〜1500ポイズ
の紡糸原液を得るためには、その原液濃度を15重量%
以下、5重量%以上にする必要がある。紡糸原液のアク
リロニトリル系重合体の濃度が15重量%を越える場合
は、紡糸原液の粘度が1500ポイズを超え、一方、5
重量%未満の場合は凝固糸の構造が疎になり、高延伸を
施しても得られる繊維の高強度化を行うことはできな
い。
リル系重合体を用いて45℃で500〜1500ポイズ
の紡糸原液を得るためには、その原液濃度を15重量%
以下、5重量%以上にする必要がある。紡糸原液のアク
リロニトリル系重合体の濃度が15重量%を越える場合
は、紡糸原液の粘度が1500ポイズを超え、一方、5
重量%未満の場合は凝固糸の構造が疎になり、高延伸を
施しても得られる繊維の高強度化を行うことはできな
い。
【0013】次に、紡糸原液を乾湿紡糸法によりノズル
より吐出し、凝固浴により凝固させて未延伸糸(凝固
糸)を得る。この場合、用いるノズルの孔径は0.15
mm以上のものが好ましい。0.15未満のノズルを用
いた場合には紡糸ドラフトが低下し、糸斑の原因とな
る。凝固浴としては、用いるアクリロニトリル系重合体
を溶解するために用いた有機溶剤と水の混合溶液を用い
る。凝固浴の条件としては、重合体の溶剤によりその範
囲は異なるが、通常は溶剤の濃度30%以上、90%以
下、温度−10℃以上、20℃以下の範囲に設定する。
より吐出し、凝固浴により凝固させて未延伸糸(凝固
糸)を得る。この場合、用いるノズルの孔径は0.15
mm以上のものが好ましい。0.15未満のノズルを用
いた場合には紡糸ドラフトが低下し、糸斑の原因とな
る。凝固浴としては、用いるアクリロニトリル系重合体
を溶解するために用いた有機溶剤と水の混合溶液を用い
る。凝固浴の条件としては、重合体の溶剤によりその範
囲は異なるが、通常は溶剤の濃度30%以上、90%以
下、温度−10℃以上、20℃以下の範囲に設定する。
【0014】以上のようにして得られた凝固糸は全延伸
倍率で15倍以上、好ましくは20倍以上延伸する。延
伸は、まず、凝固糸中に残留する溶剤を洗浄しつつ、5
倍以上の倍率で延伸を行い、次いで油剤を付与し、乾燥
ローラーで乾燥し、更に100℃以上の高温で2.0倍
以上の延伸を行う。100℃以上の雰囲気での延伸方法
としてはスチーム延伸、熱ロール、熱ピン、熱板を用い
る延伸、更には、グリセリン等の高沸点の溶媒を熱媒と
して用いる延伸法等が挙げられる。
倍率で15倍以上、好ましくは20倍以上延伸する。延
伸は、まず、凝固糸中に残留する溶剤を洗浄しつつ、5
倍以上の倍率で延伸を行い、次いで油剤を付与し、乾燥
ローラーで乾燥し、更に100℃以上の高温で2.0倍
以上の延伸を行う。100℃以上の雰囲気での延伸方法
としてはスチーム延伸、熱ロール、熱ピン、熱板を用い
る延伸、更には、グリセリン等の高沸点の溶媒を熱媒と
して用いる延伸法等が挙げられる。
【0015】続いて、繊維の伸度、耐摩耗性を向上させ
るために、熱板を用いて繊維を緩和熱処理する。ここで
使用する熱板とは、アクリル繊維と接触している面の繊
維の走行方向の断面が凸型である曲面形状を持っている
ものであれば特に限定されないが、典型的なものとして
は図1の1に示した形状が挙げられ、曲率半径が15m
以上であることが好ましい。図1において2は熱ロー
ル、3は引取ロールである。
るために、熱板を用いて繊維を緩和熱処理する。ここで
使用する熱板とは、アクリル繊維と接触している面の繊
維の走行方向の断面が凸型である曲面形状を持っている
ものであれば特に限定されないが、典型的なものとして
は図1の1に示した形状が挙げられ、曲率半径が15m
以上であることが好ましい。図1において2は熱ロー
ル、3は引取ロールである。
【0016】熱処理は、まず、熱板1で熱処理する前に
150℃以上200℃以下の温度の熱ロール2を使用し
て繊維を熱処理し、続いて熱板1を用いて熱処理を行
う。熱板の凸曲面の表面温度は200℃以上、300℃
以下の範囲で選ぶことができる。熱ロール及び熱板の表
面温度が低いと、十分な熱処理が行なえず目的とする繊
維の機械的強度の発現が困難になる。また高すぎた場合
は、繊維の収縮応力が高くなり、ΔTが高くなる結果本
発明の目的を達成することはできない。又、熱板の表面
温度が高い場合繊維が着色する。
150℃以上200℃以下の温度の熱ロール2を使用し
て繊維を熱処理し、続いて熱板1を用いて熱処理を行
う。熱板の凸曲面の表面温度は200℃以上、300℃
以下の範囲で選ぶことができる。熱ロール及び熱板の表
面温度が低いと、十分な熱処理が行なえず目的とする繊
維の機械的強度の発現が困難になる。また高すぎた場合
は、繊維の収縮応力が高くなり、ΔTが高くなる結果本
発明の目的を達成することはできない。又、熱板の表面
温度が高い場合繊維が着色する。
【0017】本発明では、このΔTすなわち熱板に接触
する直前の繊維糸条と熱板を通過した直後の繊維糸条の
張力の差ΔTが0.1g/d以下であることが必要であ
る。このΔTを0.1g/d以下とするためには前述の
とおり、熱板の表面温度を200℃以上、300℃以下
の範囲に保つ方法、又は熱板上で緩和率を4%以上とす
る方法等が挙げられる。
する直前の繊維糸条と熱板を通過した直後の繊維糸条の
張力の差ΔTが0.1g/d以下であることが必要であ
る。このΔTを0.1g/d以下とするためには前述の
とおり、熱板の表面温度を200℃以上、300℃以下
の範囲に保つ方法、又は熱板上で緩和率を4%以上とす
る方法等が挙げられる。
【0018】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。なお、本発明に記載した重量平均分子量はジメチ
ルホルムアミドにより、25℃で重合体の極限粘度
[η]を測定し次式によって算出した。 [η]=3.35×10-4[Mw]0.72 単繊維強度、伸度の測定はJIS−L1015に従っ
た。
する。なお、本発明に記載した重量平均分子量はジメチ
ルホルムアミドにより、25℃で重合体の極限粘度
[η]を測定し次式によって算出した。 [η]=3.35×10-4[Mw]0.72 単繊維強度、伸度の測定はJIS−L1015に従っ
た。
【0019】懸濁重合法で重合した重量平均分子量52
万のポリアクリロニトリルを、ジメチルアセトアミドに
溶解し、重合体濃度が12重量%の紡糸原液を調製し
た。この紡糸原液の粘度は、45℃で610ポイズであ
った。この紡糸原液を、60℃に保温し、孔直径0.1
8mm、孔数40ホールからなる紡糸口金より、紡糸口
金表面と凝固浴液面の間隔を7mmに保ち、ジメチルア
セトアミド70重量%、水30重量%で10℃の凝固浴
へ乾湿式紡糸し、糸条形成後、60℃の温水での延伸洗
浄処理で4倍延伸を行いつつ繊維中の残存ジメチルアセ
トアミドを0.1%とした後、更に95℃の熱水中でも
との長さの2倍に延伸し、油剤を均一に付与し、140
℃の加熱ロールで完全に乾燥処理を行なった。次いで、
200℃の熱ロールを用いて更に2倍の延伸を行った。
万のポリアクリロニトリルを、ジメチルアセトアミドに
溶解し、重合体濃度が12重量%の紡糸原液を調製し
た。この紡糸原液の粘度は、45℃で610ポイズであ
った。この紡糸原液を、60℃に保温し、孔直径0.1
8mm、孔数40ホールからなる紡糸口金より、紡糸口
金表面と凝固浴液面の間隔を7mmに保ち、ジメチルア
セトアミド70重量%、水30重量%で10℃の凝固浴
へ乾湿式紡糸し、糸条形成後、60℃の温水での延伸洗
浄処理で4倍延伸を行いつつ繊維中の残存ジメチルアセ
トアミドを0.1%とした後、更に95℃の熱水中でも
との長さの2倍に延伸し、油剤を均一に付与し、140
℃の加熱ロールで完全に乾燥処理を行なった。次いで、
200℃の熱ロールを用いて更に2倍の延伸を行った。
【0020】続いて、表1に示したように温度、Δtを
変化させて熱ロール、熱板処理を行った。その結果を表
1にまとめて示した。No.4,5では得られるアクリ
ル繊維の伸度が高くなっており緩和処理が効果的になさ
れている。表1中の破断回数は耐摩耗性の評価結果を表
わすもので、図2に示した耐摩耗性測定装置で、測定し
た値を示す。測定は、図2に示した円筒4に2000#
のエメリペーパー5を捲きつけ、0.3g/dの荷重6
をかけ、40回/分で往復運動(図2中矢印で示す。)
させ繊維が破断するまでの回数で示した。。
変化させて熱ロール、熱板処理を行った。その結果を表
1にまとめて示した。No.4,5では得られるアクリ
ル繊維の伸度が高くなっており緩和処理が効果的になさ
れている。表1中の破断回数は耐摩耗性の評価結果を表
わすもので、図2に示した耐摩耗性測定装置で、測定し
た値を示す。測定は、図2に示した円筒4に2000#
のエメリペーパー5を捲きつけ、0.3g/dの荷重6
をかけ、40回/分で往復運動(図2中矢印で示す。)
させ繊維が破断するまでの回数で示した。。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】本発明の方法で得られる高強力アクリル
繊維は、その機械的特性に優れ、ロープ、ドライヤーキ
ャンバス等に使用した場合、耐摩耗性が向上するため、
耐久性が向上する。一方、伸度等が高いために繊維を加
工して、編物・繊維を作成する際にも、工程通過性が良
好である。
繊維は、その機械的特性に優れ、ロープ、ドライヤーキ
ャンバス等に使用した場合、耐摩耗性が向上するため、
耐久性が向上する。一方、伸度等が高いために繊維を加
工して、編物・繊維を作成する際にも、工程通過性が良
好である。
【図1】本発明を実施する典型的な緩和熱処理装置を示
す概略図である。
す概略図である。
【図2】耐摩耗測定装置の模式図である。
【符号の説明】 1 熱板 2 熱ロール 3 引取ロール 4 円筒 5 エメリーペーパー 6 荷重 矢印 繊維の走行方向
Claims (1)
- 【請求項1】 95重量%以上のアクリロニトリルを含
有する重量平均分子量50万以上のアクリロニトリル系
重合体を、有機溶剤に5〜15重量%の割合で溶解した
粘度が45℃で500〜1500ポイズの紡糸原液を、
乾湿式紡糸法で水と有機溶剤からなる凝固浴中に紡糸
し、得られた凝固糸を温水中で延伸しながら、繊維中に
含まれる有機溶剤を洗浄除去し、全延伸倍率が15倍以
上の延伸を施し、次いで150〜200℃の熱ロールで
熱処理し、更に、温度200℃〜300℃の熱板で、か
つ、熱板に接触する直前の繊維の張力と、熱板を通過し
た直後の繊維の張力の差ΔTが0.1g/d以下の条件
の下に熱処理することを特徴とする耐摩耗性に優れた高
強力アクリル繊維の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7289292A JPH05239712A (ja) | 1992-02-24 | 1992-02-24 | 耐摩耗性に優れた高強力アクリル繊維の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7289292A JPH05239712A (ja) | 1992-02-24 | 1992-02-24 | 耐摩耗性に優れた高強力アクリル繊維の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05239712A true JPH05239712A (ja) | 1993-09-17 |
Family
ID=13502461
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7289292A Pending JPH05239712A (ja) | 1992-02-24 | 1992-02-24 | 耐摩耗性に優れた高強力アクリル繊維の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05239712A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111088531A (zh) * | 2018-10-23 | 2020-05-01 | 中国石油化工股份有限公司 | 湿纺聚丙烯腈碳纤维原丝的制造方法 |
CN111088532A (zh) * | 2018-10-23 | 2020-05-01 | 中国石油化工股份有限公司 | 高性能聚丙烯腈碳纤维原丝的制造方法 |
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1992
- 1992-02-24 JP JP7289292A patent/JPH05239712A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111088531A (zh) * | 2018-10-23 | 2020-05-01 | 中国石油化工股份有限公司 | 湿纺聚丙烯腈碳纤维原丝的制造方法 |
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