JP3073594B2 - 高強力アクリル繊維の製造法 - Google Patents

高強力アクリル繊維の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タイヤコード、複合材
料用補強繊維等の工業用繊維として有用な繊維斑の小さ
い高強力アクリル繊維の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アクリル繊維は衣料用途として大
量に生産されているが、工業用または産業用としては機
械的強度が十分でないために、ほとんど使用されていな
いのが現状であり、工業用もしくは産業資材用繊維とし
て使用可能な機械的特性を有するアクリル繊維を製造し
ようとする試みが数多く提案されてきた。
【0003】例えば、特開昭57−51819号公報に
は湿式または乾湿式紡糸法により得られた繊維を湿式延
伸し無緊張下に乾燥し引き続いて加熱板上に接触延伸し
て有効延伸倍率を9倍以上25倍以下にして高弾性率の
アクリル繊維とすることが提案されている。一方特開昭
57−161117号公報には相対粘度が2.5〜6.
0のアクリロニトリル系重合体を乾式または湿式紡糸し
洗浄もしくは洗浄後に湿式延伸し、緊張下に加熱ロール
上で乾燥し、乾熱下に熱処理する方法が提案されてい
る。更に特開昭59−199809号公報には分子量が
40万のアクリル系ポリマーを減圧、脱泡しながらその
溶剤に溶解し得られた紡糸原液を紡出、凝固させた後、
後工程になるほど高温度の条件下で多段延伸し、次いで
130℃以下で緊張下乾燥することによって20g/d
以上のアクリル系繊維を製造することが記載されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの公知技術はい
ずれも引張強度を向上させることのみをその要旨として
おり、このような引張強度の向上は他の機械的性質、例
えば引張弾性率や結節強度を低下させることが多く、引
張強度のみならず弾性率や結節強度などの他の機械的特
性を総合的に向上、改良するものではなく、引張強度が
約20g/dに及ぶ米国デュポン社の“ケラー”に代
表される全芳香族ポリアミド繊維のように複合材料の補
強繊維に要求される繊維物性を満足するものではない。
【0005】更に、これら公知技術の方法では高強度を
発現させる方法として高沸点の熱媒を用いた湿熱延伸法
を採用しているが、このような湿熱延伸法では延伸処理
する糸条の糸幅、処理速度によってその延伸性が異な
り、高強力を発現し得る延伸条件は非常に生産性が低い
ものとなってしまうため、生産性の良い延伸手法によっ
て高強力アクリル繊維を製造する方法が望まれている。
【0006】そこで本発明者らは重量平均分子量50万
以上の高重合度のアクリロニトリル系重合体を用いて繊
維の機械的特性のバランスがとれており、さらに耐薬品
性、耐候性を向上させることを目的として共重合成分
(第2成分)の少ない高強力アクリル繊維の製造法につ
いて鋭意検討の結果、従来のアクリル繊維に比較してそ
の機械的強度が著しく改良、向上した高強力アクリル繊
維を工業的に有利に製造する方法を見出し、本発明を完
成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、95重量%以
上のアクリロニトリルを含有する重量平均分子量50万
以上のアクリロニトリル系重合体を有機溶媒に溶解して
得られる紡糸原液を水と有機溶媒からなる凝固浴中に
乾湿式紡糸を行い、得られた凝固糸を温水中で延伸しな
がら繊維中に含まれる有機溶媒を洗浄除去、次いで延
伸糸を加熱した給糸ローラー(FR)と延伸ローラー
(DR)間において少なくとも1本の熱ピンと少なくと
も1個の熱板からなる延伸装置を用いて、FRの温度t
FRと熱ピンの温度tA 、熱板の温度tB が式(1),
(2)の関係を満し、更に、初めに熱ピン上でもとの長
さから式(3)で示したX倍延伸した後、引き続き熱板
上でN/X倍以下延伸し、熱ピン上と熱板上でN(=D
R速度/FR速度)倍延伸することを特徴とする高強力
アクリル繊維の製造法にある。 300℃≦tFR+tA ≦400℃,tFR≦tA (1) tA −20℃≦tB≦tA +5℃ (2) X={(N−1)/2}+1 (3)
【0008】本発明において用いるアクリロニトリル系
重合体は、重量平均分子量50万以上であることが必要
である。高強力アクリル繊維を製造するためには、以下
に記すように15倍以上の高延伸をおこなう必要がある
が、重量平均分子量50万未満のアクリロニトリル系重
合体を用いた場合にはこのような高倍率延伸を行なうこ
とは不可能であり、高強力アクリル繊維を得ることはで
きない。
【0009】本発明に用いられる重量平均分子量50万
以上のアクリロニトリル系重合体は、通常の懸濁重合
法、乳化重合法及び溶液重合法によって製造することが
できるが、例えば特開昭61−111310号公報に記
載の方法、すなわちアクリロニトリル10〜70重量
%、有機溶剤15〜60重量%、水15〜60重量%の
混合物をラジカル開始剤の存在下で重合した後、水及び
/又は有機溶剤をアクリロニトリル単量体1重量部に対
し1〜10重量部添加して重合する方法が、本発明のア
クリル繊維に用いる高分子量の重合体が安定に得られる
という点で好ましい。
【0010】なお、特開昭61−111310号公報に
記載された発明で用いる有機溶剤としては、ジメチルホ
ルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA
c)、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド(D
MSO)等が挙げられている。
【0011】本発明で用いるアクリロニトリル系重合体
の組成は、そのアクリル繊維の使用目的によって自由に
選択できるが、その繊維物性の点から共重合割合を5重
量%以下にするのが好ましい。5重量%を超える共重合
成分を共重合した場合には、その耐候性、耐アルカリ性
等アクリル繊維の長所が低下する。
【0012】共重合成分の具体例としては、メチルアク
リレートまたはメタクリレート、エチルアクリレートま
たはメタクリレート、n−もしくはイソ−もしくはt−
ブチルアクリレートまたはメタクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレートまたはメタクリレート、α−クロ
ロアクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、ヒドロキシルエチルメタクリレート、ヒドロキシア
ルキルアクリレートまたはメタクリレート、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、酢酸ビニル等の不飽
和単量体が挙げられる。これ以外にもアクリロニトリル
と共重合しうる単量体なら何れの単量体でもよく、これ
らは単独であるいは併用してアクリロニトリルと共重合
させることができる。
【0013】前記の高分子量のアクリロニトリル系重合
体をDMF、DMAc、DMSO、γ−ブチロラクトン
等の有機溶媒に溶解して紡糸原液を調製する。高強力繊
維を得るためには繊維を構成する分子鎖全体を繊維軸方
向に伸びた、いわゆる伸び切り鎖の状態に近づけること
が必要であり、紡糸、延伸段階で重合体分子鎖を引き揃
え易くするために分子鎖が十分にほぐれた重合体溶液
(紡糸原液)を調製することが重要である。
【0014】紡糸原液の粘度は、乾湿式紡糸法によって
紡糸を行なう場合、その操作性を考えると45℃で50
0〜1500ポイズの範囲に設定するのが好ましい。1
500ポイズを超える粘度を持つ紡糸原液を用いて紡糸
を行なう場合には紡糸ノズル、原液濾過機を始めとして
紡糸装置に非常に高い圧力が加わることになり紡糸機の
耐久性が低下する。紡糸原液を高温にすることで粘度を
低下させることも可能であるが、この場合溶媒や原液の
安定性が低下するといった問題点が生じてくる。45℃
における粘度が500ポイズ未満の紡糸原液を用いた場
合は曳糸性が低下し乾湿式紡糸によって安定に紡糸する
ことはできない。
【0015】重量平均分子量50万以上のアクリロニト
リル系重合体を用いて45℃で500〜1500ポイズ
の紡糸原液を得るためには、その原液濃度を15重量%
以下、5重量%以上にする必要がある。紡糸原液のアク
リロニトリル系重合体の濃度が15重量%を超える場合
は、紡糸原液の粘度が1500ポイズを超え、一方、5
重量%未満の場合は凝固糸の構造が疎になり、高延伸を
施しても得られる繊維の高強度化を行うことはできな
い。
【0016】次に、紡糸原液を乾湿紡糸法によりノズル
より吐出し、凝固浴により凝固させて未延伸糸(凝固
糸)を得る。この場合、用いるノズルの孔径は0.15
mm以上のものが好ましい。0.15未満のノズルを用
いた場合には紡糸ドラフトが低下し、糸斑の原因とな
る。凝固浴としては、用いるアクリロニトリル系重合体
を溶解するために用いた有機溶剤と水の混合溶液を用い
る。凝固浴の条件としては、重合体の溶剤によりその範
囲は異なるが、通常は溶剤の濃度30%以上、90%以
下、温度−10℃以上、20℃以下の範囲に設定する。
【0017】以上のようにして得られた凝固糸を15倍
以上、好ましくは20倍以上延伸する。そのためには、
まず凝固糸中に残留する溶剤を洗浄しつつ、延伸を行い
続いて油剤を付与し、乾燥ローラーで乾燥して、本発明
の延伸方法で乾熱延伸を行う。すなわち、乾燥ローラー
で乾燥した繊維を、まず、熱ローラーで加熱する。熱ロ
ーラーで加熱することによって、熱ピンに接触した時点
から延伸が開始するため高倍率の延伸が可能となる。
【0018】ここで熱ピンとは、円筒形もしくはこれに
類する形であり、糸との接触する円弧のなす角度θ(以
下接糸角と称す、図2参照。図2は図1の熱ピン1につ
いて拡大したものである。)が、熱ピン1本あた90°
以上である様に糸と接触させたものを指す。また、熱板
とは、平面の板状又は円筒状の円弧の一部もしくは全部
の曲面を利用した形であり、円曲面の場合、糸との接触
する円弧のなす角度が90°以下であるものを指す。
【0019】本発明の乾熱延伸において、熱ピンと熱板
を併用することが重要である。熱ピンと熱板を全く使用
しない単なる熱ローラー間での延伸では、延伸張力が給
糸ローラー(FR)上にかかり、延伸発生位置がFR上
の回転体上になるため、わずかな加熱斑やスリップなど
の変動要因の影響を受けやすく、延伸発生位置が変動
し、繊度斑が大きくなり好ましくない。
【0020】熱ピンのみの延伸では、熱ピンとの接触に
より張力差が付け易く、延伸発生位置をピン上にのみ固
定しやすく、繊度斑の増加を小さく押さえ易いが、延伸
倍率を向上させるために、熱ピンの径を大きくしたりし
て加熱接糸部を大きくしすぎると、延伸が長い区間で起
こり、変動要因を受けやすくなるため繊度斑は増大しや
すい。また、熱板のみの延伸では、加熱接糸部を長く取
り易く延伸倍率を大きく出来るが、熱板前においても大
きな張力がかかるため、延伸発生位置が、熱板上だけで
なく、FR上に来るため、また延伸が長い区間で起こる
ため、繊度斑は増大しやすい。
【0021】そこで本発明では、本発明の対象とするア
クリル系繊維を、先ず熱ピンの加熱接糸部において、X
倍以上延伸させ、引き続き熱板の加熱接糸部においてN
/X倍以下延伸し、熱ピンと熱板の加熱接糸部で、合計
N倍まで延伸させることが重要である。すなわちN=2
倍の場合で考えると、熱ピン部で1.5倍以上延伸後、
引き続き熱板部で1.33倍以下延伸することとなる。
換言すると、延伸で、もとの長さから伸びた長さの50
%以上は、熱ピン上で延伸することが重要である。熱ピ
ン部の延伸倍率がX倍よりあまり小さいと、繊度斑が大
きく増大するため好ましくない。また、熱ピン部の延伸
を、あまり大きくとろうとすると、全延伸倍率Nを大き
くとり難くなるので、特に好ましくは、熱ピン部におい
て式(4)で表されるX´倍程度延伸するのが良い。 X´={2(N−1)/3}+1 (4)
【0022】熱ピン部と熱板での延伸倍率を、それぞれ
目標の倍率で延伸させるためには、本発明で使用する延
伸装置の、例えば、熱ピンや熱板の表面と糸との摩擦係
数や、熱ピンや熱板の半径、曲率半径や、熱ピン、熱
板、FR、DRなどの配置や糸の掛け方、熱ピン、熱
板、DR、FRの温度、接触長などにより、最終FRと
の最初の熱ピン間や、最終の熱ピンと最初の熱板間、最
終熱板と最初のDR間など各場所の張力をコントロール
することにより可能である。
【0023】例えば、熱ピン温度tA を熱板温度tB
り若干高目にしたり、熱ピン部での糸の屈曲角を大きく
とることにより、コントロールがより容易にできる。た
だし、tA をtB よりあまり高くしすぎると、延伸が殆
んど熱ピン部分にかかってくるので熱ピンのみの延伸と
同様となりやすく、本発明の効果が薄くなってしまう。
【0024】本発明における、熱ピンの加熱接糸部にお
ける接糸の方法は、熱ピン1本でも、複数本に分かれて
も構わないが、熱ピンの加熱接糸部の長さ(LA )があ
まり短すぎると、熱ピン部分での延伸倍率を大きくする
のが困難になり、したがって、全延伸倍率Nを大きくで
き難くなる。また、(LA )が、あまり長すぎると、熱
ピンでの均一延伸が困難になり、繊度斑が増大しやすい
ので、X倍程度安定に延伸できる程度の長さにとどめた
方が良い。
【0025】熱板の加熱接糸部は、熱板1枚でも、複数
の熱板が糸の両面又は片面から接触しても構わないが、
接触長(LB )があまり短すぎると、全延伸倍率Nを大
きくし難くなり、また長すぎると変動要因を受けやすく
なり、繊度斑が増大しやすくなる。LA ,LB の大きさ
は、延伸する糸の組成や紡糸条件、あるいは目標倍率N
により一概には決められないが、一般にLB がLA
1.5〜3.0位程度が好適である。
【0026】また、延伸の発生位置は、熱ピン部と熱板
部でのみ開始、終了させて、回転するFR×DR上にか
からないようにすることが必要であり、そのため、熱ピ
ン直前のFRの温度tFRは、tA より低く設定する。最
適な熱ロールの温度tFR、熱ピン温度tA 、熱板温度t
B は、重合体の組成などによって異なるが、式(1),
(2)の関係を満したうえでtFRは150℃≦tFR≦2
00℃,180℃≦tA ,tB ≦200℃の範囲で選ぶ
ことができる。温度があまり低すぎると、十分な延伸倍
率が得難く、あまり高すぎると、繊維を構成する重合体
の熱運動のため糸が流動的になりすぎ、延伸斑になりや
すく、繊度斑が増大する傾向が著しくなる。
【0027】一般に繊維を乾熱延伸する方法として熱ロ
ーラーを使用する方法が知られているが、熱ローラーを
使う方法では、繊維斑が大きくなる傾向にある。更に熱
ローラーで繊維に熱を供給しても、繊維がローラーを離
れると冷却されるため、延伸点としては繊維がローラー
を離れるわずかの領域である。ところが本発明の乾熱延
伸法では熱ピンと熱板の広い領域で繊維に熱が供給さ
れ、熱ピンと熱板の上で延伸が行なわれるので延伸倍率
も高く設定することができる。
【0028】以上述べたように、本発明はアクリル系繊
維の乾熱延伸において、熱ピン、熱板を用い、特定の延
伸条件をとることにより、繊度斑の増大が極めて小さく
できることを見出したところにその特徴があり、本発明
に従えば、従来の乾熱延伸法に比べ、高倍率延伸が可能
になり、あるいは高倍率延伸をしても繊度斑が小さくで
きる点で著しい効果がある。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。実施例中、繊度斑は、ウースタ斑(U%)と
して下記の条件で測定した。 測定装置 :計画器工業K.K
製 C型 service selector:1/2 INER
T TEST 糸速度 :25m/分 range of scale :12.5% twister :2000r.p.
m 積分時間 :2分 延伸発生位置、各位置での延伸倍率は、未乾熱延伸糸に
等間隔に、カチオン染料で染色マークを付け、乾熱延伸
されている状態を高速度カメラで撮影し、延伸中の各位
置でのマーク間隔を測定し、未乾熱延伸糸のマーク間隔
と比較することで求めた。また、重量平均分子量はジメ
チルホルアミドにより、25℃で重合体の極限粘度
[η]を測定し、次式によって算出した。 [η]=3.35×10-4[MW0.72
【0030】実施例1 懸濁重合で得た重量平均分子量51万のポリアクリロニ
トリルを、ジメチルアセトアミドに溶解し、共重合体濃
度が12重量%の紡糸原液を調製した。粘度は45℃
で、580ポイズであった。この紡糸原液を、60℃に
保温し、孔直径0.18mm、孔数40ホールからなる
紡糸口金より、紡糸口金表面と凝固浴液面の間隔を7m
mに保ち、ジメチルアセトアミド70重量%、水30重
量%で10℃の凝固浴へ乾湿式紡糸し、糸条形成後、6
0℃の温水での延伸、洗浄処理で4倍延伸を行いつつ繊
維中の残存ジメチルアセトアミドを0.1%とした後、
95℃の熱水中でもとの長さの2倍に延伸し、油剤を均
一に付与し、140℃の加熱ロールで、完全に乾燥処理
を行ない、デニールの異なる未乾熱延伸糸を得た。
【0031】これらの未乾熱延伸糸を引き続き、図1に
示す熱ピン1,2の夫々の半径r1,r2 =40mm、
夫々の接糸角θ1 ,θ2 =220°,LA =307m
m、熱板3の曲率半径R=2000mm、LB =100
0mmであり、FR、DRの表面を鏡面Crメッキ、熱
ピン1,2、熱板3の表面を粗度5Sの梨地Crメッキ
した延伸装置で、tFR=195℃、tA =205℃、t
B =200℃、の条件で延伸した時、延伸切れを始める
最大延伸倍率(以下、MDRと称す。)と、各未乾熱延
伸糸を延伸倍率を変えて延伸し、デニールを等しくした
場合の各未乾燥熱延伸糸と乾熱延伸後の糸のU%の値の
差(U%増加)と単繊維強度は表1の通りであった。単
繊維強度の測定はJIS−L1015に従った。
【0032】比較例1 実施例1と同様にして得た未乾熱延伸糸を、実施例1で
の延伸装置の熱ピン1,2、熱板3を取り外したFRと
DR間のロール間延伸、および、実施例1での延伸装置
の熱板3のみを取り外し、接糸角θ1 ,θ2 が実施例1
と同じになるようDR位置を変えた延伸装置で、実施例
1と同じ温度条件での熱ピン延伸、実施例1での延伸装
置の熱ピンのみを取り外し、図1の熱板のVI位置の接線
上にI位置が来るようにFR位置を変えた延伸装置で、
実施例1と同じ温度条件での熱板延伸のそれぞれについ
ての、MDRおよびU%増加と単繊維強度は、表2〜表
4の通りであった。
【0033】実施例2、比較例2 実施例1と同様にして得た未乾熱延伸糸No.3を実施
例1と同じ延伸装置で、tFR=180℃とし、tA ,t
B を変えた場合の、MDRおよびN=2.8倍延伸時
(X=1.9)の熱ピン上での延伸倍率とその場合のU
%増加の関係と単繊維強度は、表5の通りとなった。
【0034】実施例3、比較例3 実施例1と同様にして得た未乾熱延伸糸No.2を実施
例1と同じ延伸装置でtFR=195℃、tA =200
℃、tB =200℃とし、熱ピン1の位置を動かし、接
糸角θ1 ,θ2 を変え、N=2.5倍とした場合(X=
1.75)の、熱ピン上での延伸倍率とその場合のU%
増加の関係と単繊維強度は、表6の通りとなった。
【0035】実施例4、比較例4 実施例1と同様にして得た未乾熱延伸糸No.3を図1
の熱ピンの接糸角θ1,θ2 =220°、熱板の曲率半
径R=2000mm、LB =1000mmとした延伸装
置で、tFR=195℃、tA =205℃、tB =200
℃、の条件一定で、熱ピン半径r1 ,r2 を変えた時
の、LA とMDRの関係、およびN=3.0倍延伸時
(X=2.0)の、熱ピンでの延伸倍率とその場合のU
%増加の関係と単繊維強度は表7の通りとなった。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【発明の効果】本発明によって得られるアクリル繊維
は、単繊維強度は12g/d以上、特に15g/d以上
で、かつ、繊度斑が小さいため、工業用、産業用、とし
て多くの分野、具体的にはキャンバス、アスベスト代
替、ホース、重布、タイヤコードなどの産業用、工業用
として、更に複合材料の補強用繊維として、使用するこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための典型的な延伸装置を示
す図である。
【図2】熱ピンを拡大して接糸角θ 1 を表した図であ
る。
【符号の説明】
FR 供給ローラー DR 延伸ローラー 1 熱ピン 2 熱ピン 3 熱板 II,IV,VI,VIII 延伸装置と糸の接触開始点 I ,III ,V ,VII 延伸装置と糸の接触終了点 γ 半径 θ 接糸角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/18 D01F 6/38 D02J 1/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 95重量%以上のアクリロニトリルを含
    有する重量平均分子量50万以上のアクリロニトリル系
    重合体を有機溶媒に溶解して得られる紡糸原液を、水と
    有機溶剤からなる凝固浴中に乾湿式紡糸を行い、温水中
    で延伸しながら繊維中に含まれる有機溶剤を洗浄・除去
    し、次いで延伸糸を加熱した給糸ローラー(FR)と延
    伸ローラー(DR)間において少なくとも1本の熱ピン
    と少なくとも1個の熱板からなる延伸装置を用い、FR
    の温度tFRと熱ピンの温度tA、熱板の温度tB が式
    (1),(2)の関係を満し、更に、初めに熱ピン上で
    もとの長さから式(3)で示したX倍延伸した後、引き
    続き熱板上でN/X倍以下延伸し、熱ピン上と熱板上で
    N(=DR速度/FR速度)倍延伸することを特徴とす
    る高強力アクリル繊維の製造法。 300℃≦tFR+tA ≦400℃,tFR≦tA (1) tA −20℃≦tB ≦tA +5℃ (2) X={(N−1)/2}+1 (3)
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